子育てしながら訪問診療のクリニックで働く|シフトの融通と、頼れる制度

長谷川 奈津
長谷川 奈津
子育てしながら訪問診療のクリニックで働く|シフトの融通と、頼れる制度

この記事のポイント

  • 訪問診療のクリニックで子育てしながら看護師として働くには
  • オンコールや土曜診療の実態
  • 育児・介護休業法で使える短時間勤務や子の看護等休暇まで

「病棟の夜勤はもう無理。でも看護師の仕事は続けたい」。子育て中の看護師さんから、こういう声を本当によく聞きます。そこで候補に上がるのが訪問診療のクリニックです。日勤中心で、土日は休みのところが多い。ただ、オンコールや急な往診があるので、外来クリニックと同じ感覚で入ると後悔します。

この記事では、訪問診療のクリニックという職場の中で1日がどう動くか、子育てとの両立で効いてくる「シフトの融通」の中身、求人票で見るべき箇所、そして法律で使える制度を順番に書きます。私は契約や労務の相談を受ける立場なので、制度の話は条文ベースで、ただし「つまり、どういうことか」まで噛み砕きます。

訪問診療のクリニックとは、どんな職場なのか

まず言葉の整理から入ります。訪問診療とは、通院が難しい患者さんのお宅や高齢者施設へ、医師が計画的に定期訪問して診療することです。月2回など、あらかじめ決めたスケジュールで回ります。これに対して「往診」は、患者さんや家族から連絡を受けて臨時に駆けつける診療を指します。訪問診療のクリニックは、この2つを組み合わせて在宅医療を担っています。

外来クリニック、病棟、訪問看護との違い

同じ看護師資格でも、職場によって任される範囲がまるで違います。

職場 看護師の主な役割 勤務の特徴
外来クリニック 診察介助、採血、処置、受付との連携 診療時間が決まっていて読みやすい
病棟 入院患者の24時間の看護 夜勤・交代制が基本
訪問看護ステーション 看護師が単独で訪問し、ケアを提供 1人で判断する場面が多い
訪問診療のクリニック 医師に同行し、診療の準備と介助、多職種との調整 日勤中心、ただし往診やオンコールがある

訪問看護ステーションとの違いは、特に誤解されやすいところです。訪問看護では看護師が1人で利用者宅に行き、主治医の指示書に基づいてケアを行います。訪問診療のクリニックでは、基本的に医師と一緒に動きます。つまり、その場で医師に確認できるので、在宅医療が初めての看護師さんにとっては心理的な負担が小さい職場です。

在宅療養支援診療所という仕組み

求人票でよく見る「在宅療養支援診療所(在支診)」は、24時間連絡を受ける体制と往診できる体制を整えていると届け出たクリニックのことです。常勤医師が3人以上いるなどの要件を満たすと「機能強化型」になります。

これ、知らない人が本当に多いんです。在支診ということは、夜間や休日も誰かが電話を受け、必要なら往診に行く体制があるということ。その「誰か」に看護師が含まれるかどうかで、子育て中の働きやすさは大きく変わります。医師だけで夜間対応を回しているクリニックもあれば、看護師が一次受けの電話を持つクリニックもあります。後で詳しく書きますが、ここが最初の確認ポイントです。

在宅医療は保険診療なので、時間帯によって加算が付きます。あるクリニックの在宅医療の案内には、次のように書かれています。

上記時間内のうち下記時間帯では夜間・早朝等加算が追加になります。 平日 18時以降 土曜日 12時以降 日曜日 終日 また、当院が標榜している診療時間外に受診された場合は、時間外加算(時間外・深夜・休日加算)が追加になります。 出典: kay-cl.com

患者さん向けの料金説明ですが、働く側から読むと「平日18時以降や土曜午後、日曜にも診療が発生しうる職場だ」という情報になります。加算の仕組みがあるということは、時間外の対応が制度として想定されているということです。

訪問診療クリニックの1日:看護師はどう動いているか

では、実際の1日を追ってみます。クリニックの規模や地域によって差はありますが、平日の日勤の流れはおおむね次のようになります。

朝のミーティングと準備(8時30分〜9時30分)

出勤すると、まず前日夜から朝までの連絡の共有があります。夜間に往診が入った患者さん、容体が変わった患者さん、入院した患者さんの情報をここで確認します。その後、その日に回る患者さんのカルテを見て、訪問バッグの準備をします。採血管、点滴、注射薬、ガーゼや処置物品、血圧計、パルスオキシメーター、ポータブルの心電図やエコーを持っていくクリニックもあります。

準備に30分ほど見ておくのが一般的です。ここで忘れ物をすると、訪問先で処置ができず、もう一度出直すことになります。

午前の訪問(9時30分〜12時30分)

医師、看護師、運転手(またはクリニックのスタッフ)の2〜3人で車に乗って回ります。看護師が運転を兼ねるクリニックもあり、ここは求人票で確認が必要です。

1件あたりの滞在は、定期の診察なら15〜30分程度。移動時間を含めて午前に4〜6件ほど回るのが目安です。高齢者施設への訪問では、1回で10人以上をまとめて診ることもあります。

看護師の仕事は、バイタル測定、医師の診察介助、採血や点滴、褥瘡の処置、カテーテルの交換補助、そして家族や施設職員からの聞き取りです。在宅では、家族が何に困っているかを聞き出すことが診療の質を左右します。医師が診察している間に、看護師が家族と話して「最近夜に眠れていない」「食事量が落ちた」といった情報を拾う。この役割分担が回っている職場は、看護師の裁量も評価されています。

昼休みと午後の訪問(12時30分〜17時)

昼はクリニックに戻るか、訪問先の近くで休憩を取ります。移動の都合で休憩時間がずれることはよくあります。午後も同じように訪問し、夕方にクリニックへ戻ります。

帰院後の事務(17時〜18時)

戻ってからは、訪問記録の入力、処方の確認、訪問看護ステーションやケアマネジャー、薬局への連絡、翌日の準備があります。ここで長引くと残業になります。電子カルテをタブレットで訪問先から入力できるクリニックでは、帰院後の事務が短く済む傾向があります。

施設を回る日と、ご自宅を回る日の違い

訪問診療のクリニックの多くは、個人のお宅(居宅)と、有料老人ホームやグループホームなどの施設の両方を担当しています。この2つは、看護師の動き方がかなり違います。

施設の日は、1か所に1〜2時間ほど滞在して、入居者さんを順番に診ていきます。移動が少ないので時間が読みやすく、施設の看護職員が情報をまとめてくれているため、看護師は診察介助と記録に集中できます。一方、ご自宅の日は1件ごとに移動があり、家族への説明や生活環境の確認にも時間を使います。渋滞や駐車場探しで予定がずれやすいのも居宅訪問の特徴です。

子育て中の方にとっては、施設中心のルートを担当できるかどうかで、終業時刻の読みやすさが変わります。施設の比率が高いクリニックは、帰りの時間が安定する傾向があります。面接で「居宅と施設の比率はどれくらいですか」と聞いておくと、1日の動きが具体的に想像できます。

急な往診が入ったとき

1日の流れを乱すのが臨時の往診です。「熱が出た」「呼吸が苦しそう」「お看取りが近い」といった連絡が入ると、予定の合間に差し込んだり、夕方に追加で出たりします。お看取りは時間を選びません。

私が以前相談を受けた看護師さんは、面接で「残業はほとんどありません」と聞いて入職したものの、実際は月に数回、18時過ぎに往診へ同行していたそうです。保育園のお迎えに間に合わず、ファミリーサポートを急いで手配したと話していました。クリニック側に悪意があったわけではなく、「平均すると残業は少ない」という意味だったのです。平均の数字だけでは、子育て中の人が本当に知りたい「月に何回、何時まで延びるか」は分かりません。

子育て中に効いてくる「シフトの融通」の中身

「融通が利く」という言葉は求人票によく出てきますが、中身はクリニックごとに違います。子育てとの両立で具体的に効いてくるのは、次の5つです。

オンコールの有無と頻度

最も大きいのがオンコールです。オンコールとは、勤務時間外に電話を持って待機し、連絡があれば対応する仕組みのことです。訪問診療のクリニックでは、次の3つのパターンがあります。

  1. 看護師のオンコールなし(医師のみ、または外部の夜間対応サービスに委託)
  2. 看護師が電話の一次受けを担当し、医師へつなぐ
  3. 看護師が電話を受け、往診にも同行する

子育て中なら、1のクリニックが最も両立しやすいのは言うまでもありません。2や3でも、月の回数が2〜4回程度で、子どもの年齢に応じて免除できる運用があるなら検討の余地があります。オンコール手当は1回あたり2,000〜5,000円程度が相場で、実際に出動した場合は別途時間外手当が付くのが一般的です。

土曜診療と日曜・祝日

訪問診療のクリニックは、平日のみ、または土曜午前まで診療するところが多いです。土曜は月1〜2回の交代出勤という形も見かけます。子どもを預ける先がない土曜に出勤が必要かどうかは、家族の協力体制と合わせて確認してください。

時短勤務やパートの枠

「9時〜16時」「週3日」のような働き方ができるかどうか。訪問診療は車でチームを組んで回るので、1人だけ早く帰ることが難しい構造があります。午前のルートだけ担当するパート枠や、午後は院内で電話対応と事務を担当する枠を設けているクリニックなら、時短でも回ります。求人票に「時短勤務の実績あり」と書かれていれば、構造的に回す工夫がすでにあるということです。

急な休みへの対応

子どもの発熱で当日休むことは避けられません。訪問診療では、看護師が1人欠けると医師が単独で回るか、ルートを組み替えることになります。看護師が複数在籍していて、代わりに入れる人がいるかどうか。常勤看護師が1人だけのクリニックだと、休みにくさは段違いです。

直行直帰の可否

訪問先への直行や、最終訪問先からの直帰ができれば、お迎えに間に合う可能性が上がります。ただし訪問バッグや薬剤の管理があるため、直行直帰を認めないクリニックも多いです。ここは柔軟さの有無より、ルールが明確かどうかを見てください。

求人票のどこを見れば、子育て中でも働ける職場か分かるか

求人票は、書いてあることより「書いていないこと」に情報があります。次の項目を順にチェックしてください。

1. 勤務時間と休憩の書き方

「8:30〜17:30(休憩60分)」とだけ書かれていて、残業の目安がない場合は面接で必ず聞きます。「月平均残業5時間」のように数字があれば、その数字の内訳(往診による延長か、事務による延長か)まで聞くと実態が見えます。

2. オンコールの記載

「オンコールなし」と明記されていれば安心材料です。「オンコールあり(相談可)」は、何を相談できるのかが曖昧です。免除の条件、代わりに何を担当するのか、手当の額を確認します。記載自体がない場合は、あると思って質問してください。

3. 運転の要否

「普通自動車免許(AT限定可)」が必須になっていれば、看護師が運転する可能性が高いです。ペーパードライバーの方は、狭い住宅街の運転に慣れるまで時間がかかります。運転手が別にいるかどうかは、1日の疲れ方にも直結します。

4. 看護師の人数と医師の人数

「看護師3名在籍」「常勤医師2名」のように人数が書かれていれば、休みの取りやすさを推測できます。機能強化型の在支診は常勤医師が3人以上いるので、夜間対応を医師の当番制で回していることが多く、看護師の負担が軽い傾向があります。

5. 訪問件数と訪問エリア

「1日平均10件」「本院のある市と隣接2市」のような記載は、移動時間の長さを示します。エリアが広いと、急な往診で帰りが遅くなりやすいです。自宅や保育園との位置関係も合わせて見てください。

6. 福利厚生の欄

「育児休業取得実績あり」「子の看護休暇(有給)」「保育料補助」など、制度名が具体的に書かれているかどうか。法律上の義務として全事業所にある制度でも、あえて書いているところは運用の実績があると読めます。

看護師の給与水準は、職場の種類や地域によって幅があります。統計ベースの年収分布や、年齢別の推移を確認しておくと、求人票の金額が相場より高いのか低いのか判断しやすくなります。看護師の年収・単価相場には、公的統計をもとにした看護師の年収の目安と、働き方ごとの違いがまとまっています。

法律で使える制度:知っているだけで交渉が変わる

ここからは、私の本業に近い話です。子育て中の看護師さんが使える制度は、クリニックの「ご厚意」ではなく法律で決まっている権利です。つまり、要件を満たせば、規模の小さなクリニックでも対応する義務があります。

所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)

育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者について、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を講じることが事業主に義務付けられています。つまり、フルタイム正社員のままで時短勤務ができるということです。

ただし、労使協定で「業務の性質上、短時間勤務が困難な業務」を対象外にできる例外があります。訪問診療のチーム運用がこれに当たるとクリニックが主張する場合、代わりにフレックスタイムや始業時刻の変更などの措置を講じる必要があります。※実際に対象外とされた場合の判断は、労働局の雇用環境・均等部(室)や社会保険労務士に相談してください。

所定外労働の制限(残業免除)

子を養育する労働者が請求すれば、所定労働時間を超えて働かせてはいけません。2025年4月の改正で、対象が「3歳未満」から「小学校就学前」まで広がりました。これ、知らない人が本当に多いんです。

訪問診療のクリニックで言えば、夕方の往診同行を断る根拠になります。つまり「17時30分までの勤務で、それ以降の往診には入らない」という働き方を、請求によって法的に確保できるということです。請求は、制限を始めたい日の1か月前までに書面などで行います。

時間外労働の制限と深夜業の制限

小学校就学前の子を養育する労働者が請求すれば、時間外労働は月24時間、年150時間までに制限されます。また、深夜(22時〜翌5時)に働かせないよう請求することもできます。

オンコールで夜間に出動することは深夜業に当たりうるため、深夜業の制限を請求すれば、夜間の出動を伴うオンコールから外れる根拠になります。待機だけの時間が労働時間に当たるかどうかは、呼び出しの頻度や拘束の程度で判断が分かれるので、ここは個別に確認が必要です。

子の看護等休暇

小学校3年生修了までの子を養育する労働者は、1年度に5日(子が2人以上なら10日)の休暇を取れます。2025年4月の改正で名称が変わり、病気やけがの看病、予防接種や健診に加えて、感染症による学級閉鎖や、入園式・卒園式などの行事参加でも使えるようになりました。時間単位で取得することもできます。

注意したいのは、有給か無給かは法律で決まっておらず、就業規則次第だという点です。求人票に「子の看護休暇(有給)」と書いてあるクリニックは、ここを手厚くしていると分かります。

柔軟な働き方を実現するための措置

2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に向けて、事業主が次の中から2つ以上の措置を選んで講じることが義務になりました。始業時刻などの変更、テレワーク、保育施設の設置運営など、新たな休暇の付与、短時間勤務です。労働者はその中から1つを選んで使えます。あわせて、子が3歳になる前に、個別に制度を周知し意向を確認することも義務付けられています。

訪問診療のクリニックがどの措置を選んでいるかは、就業規則を見れば分かります。面接で「3歳以降の柔軟な働き方の措置は、どれを導入されていますか」と聞くと、制度を整えているかどうかがはっきりします。

入職してすぐの育休と、雇用保険の給付

転職を考えている方からよく聞かれるのが、「入職してすぐに2人目を妊娠したら、育休は取れるのか」という質問です。育児休業そのものは、原則として入職直後でも取得できます。ただし、労使協定を結んでいれば、雇用されて1年未満の労働者を対象外にすることが認められています。つまり、クリニックによっては取れない場合があるということです。就業規則か労使協定の内容を確認してください。

お金の面では、雇用保険の育児休業給付金があります。休業開始から180日までは休業前賃金の67%、それ以降は50%が目安です。受給には、休業開始前の2年間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12か月以上あることなどの要件があります。前職と通算できる場合もあるので、転職の間が空くときは注意してください。

2025年4月からは、2歳未満の子を育てながら時短勤務をしたときに、時短中の賃金の10%を上限に支給される育児時短就業給付も始まりました。時短で手取りが減ることをためらっていた方にとっては、判断材料が1つ増えたことになります。

育児時間(労働基準法)

1歳に満たない子を育てる女性は、休憩時間とは別に、1日2回、各30分の育児時間を請求できます(労働基準法第67条)。授乳だけでなく、保育園への送迎時間に充てる使い方も認められています。育休から早めに復帰する方には、この制度が効きます。

制度の詳細や最新の改正内容は、厚生労働省の育児・介護休業法のページで確認できます。法律はあなたの味方です。ただ、使うためには「知っていて、請求する」ことが必要です。

面接で確かめること、入職後に崩れないための段取り

制度を知っていても、職場の空気で使えないのでは意味がありません。面接と入職後の最初の3か月で、次のことを押さえておくと崩れにくくなります。

面接で聞く質問リスト

聞きにくいことほど、入職前に聞いておく方が関係はこじれません。

・看護師のオンコールはありますか。ある場合、月何回で、子育て中の方の免除実績はありますか ・夕方の往診同行は、誰がどういう順番で担当していますか ・急な欠勤のとき、ルートはどう組み替えていますか ・現在、子育て中の看護師さんは何人いて、どんな勤務形態ですか ・時短勤務や残業免除を使った方はいますか ・運転は看護師が担当しますか

「子育て中の看護師さんが何人いるか」は特に重要です。いまいる人が制度を使っているなら、仕組みとして回っています。誰もいない場合は、自分が最初の1人になるので、交渉の余地も負担も大きくなります。

雇用契約書で確認する項目

内定が出たら、労働条件通知書(雇用契約書)を必ず書面で受け取ってください。労働基準法では、賃金や労働時間などの主要な条件を書面などで明示する義務があります。ここで確認するのは次の点です。

・始業・終業時刻と休憩 ・所定外労働の有無 ・オンコールの有無と手当 ・休日(土曜出勤の扱い) ・試用期間とその間の条件

面接で「オンコールはなしで大丈夫です」と言われたのに、通知書に「オンコール当番あり」と書かれていたケースを、私は実際に相談で見ています。口頭の約束と書面が食い違ったら、入職前に修正してもらうのが鉄則です。※入職後に条件の相違で揉めた場合は、弁護士や労働局の総合労働相談コーナーに相談してください。

入職後の最初の3か月

最初の数か月は、ルートと患者さんを覚える期間です。この時期に制度をフルに使うと、周囲との関係が作りにくいと感じる方もいます。遠慮する必要はありませんが、次のような段取りをしておくと、休むときの気まずさが減ります。

・担当患者さんの申し送りを、自分以外の看護師にも共有しておく ・子どもの急病時の連絡ルール(誰に、何時までに)を最初に決めておく ・病児保育やファミリーサポートを事前登録しておく

訪問診療のクリニックで長く働いている看護師さんに共通しているのは、「自分が休んでも回る状態」を自分から作っていることです。それは制度の問題というより、チームの一員としての信頼の問題です。

もし「職場とどう交渉すればいいか分からない」「このまま看護師を続けるか迷っている」という段階なら、専門家に相談するのも手です。キャリアの悩みを整理する相談の仕事がどんな内容か、どういう人が担っているかは職場・転職・キャリア相談のお仕事にまとまっています。国家資格としての相談の専門家について知りたい方は、キャリアコンサルタントの資格ガイドで試験の概要や役割を確認できます。

在宅医療の広がりと、子育て中の看護師の選択肢

最後に、少し引いた視点から書きます。

在宅医療の需要は伸び続けている

高齢化が進むなかで、国は「住み慣れた地域で最期まで暮らす」ことを支える地域包括ケアシステムを推進しています。通院が難しい高齢者は増え続けており、在宅医療を担うクリニックの数も、訪問診療を受ける患者数も増加傾向にあります。訪問診療のクリニックは、今後も看護師の求人が出続ける職場だと言えます。

需要が伸びている職場は、働く側が条件を選びやすいという特徴があります。つまり、子育てとの両立を前提に条件を提示しても、受け入れてくれるクリニックが見つかりやすいということです。オンコールなし、土曜休み、時短勤務といった条件を最初から伝えて探すことは、決してわがままではありません。

雇用以外の関わり方もある

子どもが小さいうちは、クリニックに雇われる働き方だけにこだわる必要はありません。訪問診療で身につく、多職種との調整や家族への説明の経験は、在宅でできる仕事にもつながります。医療系の記事の監修、健康相談のオンライン対応、看護師向け研修の資料作成など、臨床経験を活かせる在宅ワークはいくつかあります。具体的な選択肢は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で紹介しています。

運営者として見てきたこと

フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、子育て期に働き方を切り替えた医療職の方で長く続いている人には、共通点があります。雇用の仕事と、自分で受ける小さな仕事を、完全に分けずに行き来していることです。たとえば、週3日の訪問診療クリニック勤務を軸にしながら、空いた時間に医療系の原稿や相談の仕事を少し受ける。どちらか一方がうまくいかない時期も、もう一方で経験と収入をつなげます。

雇用以外の仕事を受けるときは、仲介の手数料がどれだけ乗るかで手取りが変わります。中間マージンが乗らない直接取引なら、同じ予算で依頼者はより多く頼め、受け手は手元に残る額が厚くなります。手数料0%で直接つながる形は、短い時間で働く子育て中の人ほど、その差が効いてきます。

訪問診療のクリニックは、夜勤のない日勤中心の職場として、子育て中の看護師さんにとって有力な選択肢です。ただし、オンコールや往診の運用はクリニックごとにまったく違います。求人票の書いていない部分を面接で確かめ、使える制度を知ったうえで条件を伝える。それだけで、入職後のすれ違いはかなり防げます。

よくある質問

Q. 訪問診療のクリニックは、子育て中の看護師でもオンコールなしで働けますか?

働けるクリニックはあります。医師だけで夜間対応を回している、または外部の夜間対応サービスに委託しているクリニックでは、看護師のオンコールがありません。求人票に「オンコールなし」と明記されているか確認し、記載がなければ面接で回数と免除の実績を聞いてください。

Q. 訪問診療のクリニックと訪問看護ステーション、子育てと両立しやすいのはどちらですか?

一概には言えませんが、医師に同行する訪問診療のクリニックは判断の負担が小さく、日勤中心で土日休みのところが多いです。訪問看護ステーションは1件ごとに単独で動くため、件数調整で時短にしやすい面があります。オンコールの有無と頻度で比べるのが確実です。

Q. 小学生の子どもがいても残業を断れますか?

所定外労働の制限は、2025年4月から小学校就学前の子まで対象が広がりました。小学生の場合、この請求は使えませんが、子の看護等休暇は小学校3年生修了まで使えます。就業規則で独自に対象を広げているクリニックもあるので、入職前に確認してください。

Q. 看護師が運転しない訪問診療のクリニックはありますか?

あります。運転手や医療事務のスタッフが運転を担当し、看護師は同乗して診療の準備に集中するクリニックも多いです。求人票の応募資格に普通自動車免許が必須と書かれている場合は、看護師が運転する可能性が高いので、面接で運転の担当を確認しましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月15日最終更新:2026年9月15日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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