ハローワークの求人票が実態と違うときの見分け方と相談先


この記事のポイント
- ✓ハローワークの求人票が実態と違う
- ✓嘘だったと感じたときの見分け方と相談先を解説
- ✓求人票の項目ごとの読み方
「ハローワークの求人票に書いてあったことと、面接で言われたことが違う」「入社してみたら残業も休みも求人票と全然違った」。ハローワークの求人は嘘ばかりなのではないか、と不安になって検索した人も多いはずです。
先に結論を書くと、ハローワークの求人票の多くは会社がきちんと書いたものですが、実態と違う求人が紛れ込むことはあります。そして、そうした食い違いを申し出るための専用の窓口を、国が用意しています。この記事では、求人票が実態と違うときにどこを見れば気づけるのか、面接や入社前に何を確かめればよいのか、違っていたときにどこへ相談すればよいのかを、厚生労働省の資料と法律の条文で確かめた内容をもとに整理します。特定の会社や求人サイトを批判するのではなく、求人票を読む側が自分を守るための知識として読んでください。
ハローワークの求人票は、誰が書いているのか
最初に押さえておきたいのは、ハローワークの求人票に書かれている内容は、基本的に求人を出す会社が申し込んだものだという点です。会社は、ハローワークに求人を申し込むときに、仕事の内容、賃金、労働時間などの労働条件を示すことが法律で義務づけられています。職業安定法という、仕事の紹介や労働者の募集のルールを定めた法律には、次のように書かれています。
求人者は求人の申込みに当たり公共職業安定所、特定地方公共団体又は職業紹介事業者に対し、労働者供給を受けようとする者はあらかじめ労働者供給事業者に対し、それぞれ、求職者又は供給される労働者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
ここでいう公共職業安定所とは、ハローワークのことです。つまり、求人票は会社が自分で示した労働条件をもとに作られています。ハローワークは無料で求人を受け付け、全国の求職者に紹介する公的な窓口ですが、職場の一つひとつに出向いて、書かれた内容と実態が同じかどうかを事前に確かめる仕組みにはなっていません。
だからといって、ハローワークの求人が信用できないというわけではありません。大切なのは、求人票は「会社が示した約束の出発点」であり、最終的に働く条件は、面接や内定の段階で示される書面で確定するという流れを知っておくことです。求人票を鵜呑みにするのでも、最初から疑ってかかるのでもなく、確かめるべき点を順番に確かめていく姿勢が、実態と違う求人から自分を守るいちばんの方法です。
「ハロワの求人は嘘ばかり」という声が出る理由
インターネットで検索すると、「ハロワの求人は嘘ばかり」という強い言葉を目にすることがあります。こうした声が出る背景には、ハローワークという窓口の性格が関係しています。
ハローワークは、会社が無料で求人を出せる公的な窓口です。そのため、人事の専門の担当者がいる大きな会社から、社長が一人で採用まで担っている小さな会社まで、さまざまな規模の会社が求人を出しています。求人票の書き方に慣れていない会社では、労働条件を正確に書き切れていなかったり、数年前の条件をそのまま使い回していたりすることがあります。意図的なうそではなくても、読む側から見れば「書いてあることと違う」という結果になります。
また、求人票は限られた欄に条件を書き込む形式のため、細かな事情が伝わりにくいという面もあります。たとえば、残業時間は会社全体の平均で書かれることが多く、忙しい部署に配属されれば実態は大きく違って感じられます。休日も、繁忙期と閑散期で大きく変わる業種では、平均の数字だけでは実感とずれることがあります。
こうした事情を知っておくと、「嘘か本当か」という二択ではなく、「どこまでが確かで、どこからを確かめる必要があるか」という見方で求人票を読めるようになります。求人票は、応募するかどうかを判断するための入口の情報であり、確定した条件は面接と書面で確かめるもの。この前提を持っているかどうかで、入社後の後悔の大きさは大きく変わります。
実態と違うと言われやすいのは、どんな項目か
ハローワークインターネットサービスには、求人票と実際が違っていたときの申し出の窓口を案内するページがあります。そこには、よくある食い違いの例として次のようなものが挙げられています。
面接に行ったら、求人票より低い賃金を提示された。 求人票と違う仕事の内容だった。 正社員と聞いて応募したのに、非正規雇用の形態だった。 採用の直前に、求人票にはなかった勤務地を提示された。 始業の30分前に出社するように言われた。 「あり」となっていた雇用保険、社会保険に加入していない。 労働条件の変更について、契約前に説明がなかった。 出典: hellowork.mhlw.go.jp
この例を見ると、食い違いが起きやすいのは、賃金、仕事の内容、雇用形態、勤務地、労働時間、社会保険の6つの分野だと分かります。どれも、生活や働き方に直結する項目です。
このほかに、求職者からの相談でよく話題になるのが、残業時間と休日の数です。求人票の「時間外労働」の欄に書かれた月平均の時間と、実際の残業時間が大きく違う、あるいは「週休2日」と書かれていたのに、実際は月に数日しか休めない、といった食い違いです。
なぜこうした食い違いが起きるのでしょうか。原因は1つではありません。求人票を書いた時点からの状況の変化(人が辞めて忙しくなった、繁忙期に入った)、部署ごとの差(求人票の数字は会社全体の平均で、配属先はもっと忙しい)、求人票の書き方の問題(固定の残業代を含めた額を基本給のように見せている)、そして、ごく一部ですが、意図的に良く見せている場合もあります。読む側としては、どの理由であっても、確かめる手順は同じです。
求人票と実態の食い違いは、法律でどう扱われるか
求人票の内容が実態と違うことは、法律ではどのように扱われているのでしょうか。ここでは、関係する法律のポイントを、難しい言葉をかみ砕きながら紹介します。個別のケースが違反にあたるかどうかは事情によって変わるため、判断は相談窓口に確かめてください。
うその表示や誤解を招く表示は禁じられている
職業安定法には、求人の情報を出すときのルールとして、「虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない」と定めた条文があります。これは、事実と違う内容を書くことだけでなく、事実ではあっても読む人が誤解するような書き方も禁じているという意味です。また、労働者を募集する会社は、出した情報を「正確かつ最新の内容に保たなければならない」とも書かれています。
さらに、同じ法律には罰則もあります。虚偽の広告を出したり、虚偽の条件を示したりして労働者を募集した場合や、虚偽の条件を示してハローワークに求人を申し込んだ場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になると定められています。拘禁刑とは、刑法の改正で懲役と禁錮が一本化された刑罰のことです。
契約のときに示された条件が事実と違えば、すぐに契約をやめられる
労働基準法という、働く条件の最低限のルールを定めた法律には、会社は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの条件を示さなければならないと書かれています。そして、示された労働条件が事実と違う場合には、働く人は「即時に労働契約を解除することができる」と定められています。仕事のために引っ越した人が、契約を解除した日から14日以内に帰郷する場合は、会社が必要な旅費を負担しなければならないことも定められています。
ここで注意したいのは、この条文が対象にしているのは「労働契約を結ぶときに示された条件」だという点です。求人票の内容そのものではなく、内定や入社の際に渡される労働条件通知書や雇用契約書に書かれた条件が基準になります。だからこそ、入社前に書面で条件を受け取り、求人票と照らし合わせることが大切なのです。
2024年4月から、示さなければならない項目が増えた
2024年4月1日からは、職業安定法の施行規則(法律の細かいルールを定めた省令)が改正され、会社が募集のときに示さなければならない労働条件に、次の3つが加わりました。
・従事すべき業務の変更の範囲(将来、配置転換などで担当する可能性のある仕事の範囲)
・就業場所の変更の範囲(将来、転勤などで働く可能性のある場所の範囲)
・有期労働契約を更新する場合の基準(契約期間を区切って働く場合の、更新の判断基準や更新の上限)
これにより、「採用の直前に、求人票にはなかった勤務地を提示された」といった食い違いは、求人票の段階で気づきやすくなりました。求人票の就業場所の欄に「変更の範囲」が書かれているかどうかを、必ず確かめてください。
求人票の項目ごとに、どこを見ればよいか
ここからは、ハローワークの求人票を読むときに、実態との食い違いに気づくためのチェックポイントを項目ごとに整理します。厚生労働省が求職者向けに出しているリーフレットには、最低限示さなければならない労働条件の記載例が載っており、これを基準にすると、書き方が足りない求人票に気づきやすくなります。
賃金:固定残業代が含まれていないか
賃金の欄でいちばん注意したいのが、いわゆる固定残業代です。固定残業代とは、実際の残業の有無にかかわらず、一定の時間分の残業代としてあらかじめ支払われる手当のことです。厚生労働省のリーフレットでは、固定残業代を採用する場合には、次の3つを書く必要があると示されています。
(1) 基本給 ●●円((2)の手当を除く額) (2) ■■手当(時間外労働の有無に関わらず、●時間分の時間外手当として▲▲円を支給) (3) ×時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給 出典: mhlw.go.jp
求人票の月給が高く見えても、その中に何十時間分もの固定残業代が含まれていると、基本給は思ったより低いことがあります。基本給の額、固定残業代が何時間分でいくらか、その時間を超えた分は追加で支払われるか、の3点がそろっているかを確かめてください。どれかが欠けている場合は、面接で必ず聞くべき項目です。
時間外労働:月平均の時間と、特別な延長の有無
求人票には、時間外労働の有無と、ある場合は月平均の時間が書かれます。リーフレットの記載例でも「あり(月平均20時間)」という形が示されています。この数字は平均であるため、繁忙期や部署によっては大きく上回ることがあります。また、残業の上限を決める労使の協定(いわゆる36協定)に、臨時的に上限を超えて働かせることができる特別な取り決めがあるかどうかも、忙しさを測る手がかりになります。
休日:年間休日の数と「週休2日」の意味
休日の欄では、「週休2日制」と「完全週休2日制」の違いに注意します。週休2日制は、月に1回以上、週2日の休みがある週があるという意味で使われることが多く、毎週必ず2日休めるとは限りません。毎週2日の休みが保証されているのは完全週休2日制です。あわせて年間休日の数を見ると、実際にどれくらい休めるかの目安になります。
雇用形態と契約期間
正社員として募集されているのか、契約社員やパートなのか、契約期間の定めがあるのかを確かめます。契約期間がある場合は、更新の有無と、更新するときの判断基準、更新回数や通算期間の上限が書かれているかを見ます。リーフレットでは、更新の基準について「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」のような抽象的な書き方ではなく、「勤務成績、態度により判断する」など具体的に書くことが望ましいとされています。
試用期間
試用期間がある場合、その期間の長さと、期間中の賃金が本採用後と違うかどうかを確かめます。リーフレットの記載例には「月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)」のように、試用期間中の賃金を明記する例が載っています。試用期間中の賃金が書かれていないのに、入社後に下げられた、という食い違いは少なくありません。
加入保険
雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険の加入の有無を確かめます。ハローワークのページでも、「あり」となっていた保険に加入していないという例が挙げられていました。保険への加入は、働く条件によって法律で決まっている部分も多いため、求人票の記載と入社後の扱いが違えば、相談の対象になります。
求人票の言葉で、立ち止まって確かめたい表現
求人票の自由に書ける欄には、会社が職場の魅力を伝えるための言葉が並びます。その多くは事実をもとにした説明ですが、中には読む人が都合よく受け取りやすい表現もあります。次のような言葉を見かけたら、具体的な中身を面接で確かめるきっかけにしてください。
・「月給〇〇万円以上可」「年収〇〇万円も可能」:上限や例として示された額で、全員がその額になるわけではありません。最低いくらから始まるのか、その額になるにはどんな条件があるのかを確かめます。
・「みなし残業代を含む」「各種手当込み」:固定残業代や手当の内訳が書かれていなければ、基本給がいくらかが分かりません。前の節で紹介した3つの項目がそろっているかを見ます。
・「残業少なめ」「定時で帰れます」:時間外労働の欄の月平均の数字と一致しているかを見ます。数字がない場合は、面接で配属先の実態を聞きます。
・「幹部候補」「将来の店長候補」:昇進の時期や条件が書かれていない場合、責任だけが先に重くなることもあります。昇進までの目安と、その間の待遇を確かめます。
・「アットホームな職場」「若いスタッフが活躍中」:職場の雰囲気を伝える言葉で、労働条件の説明ではありません。条件の欄の記載と切り分けて読みます。
・「未経験でも高収入」:未経験から高い収入が得られる理由が書かれているかを見ます。歩合や成果報酬の割合が大きい場合は、固定で支払われる部分がいくらかを確かめます。
これらの言葉が書かれていること自体が問題なのではありません。言葉の印象と、条件の欄に書かれた数字が一致しているかを照らし合わせる習慣をつけることが、実態と違う求人を見分ける近道です。
応募する前に確かめておきたいこと
求人票を読んだうえで、応募する前にもう一段確かめておくと、実態と違う求人を避けやすくなります。
まず、求人票の受付日や更新日を見ます。ずっと前に出された求人がそのまま残っている場合、状況が変わっている可能性があります。また、同じ会社の同じ職種の求人が、短い間隔で何度も出されている場合は、人の入れ替わりが多い職場である可能性も考えられます。もちろん、事業の拡大で採用を続けている場合もあるため、それだけで判断はできませんが、面接で理由を聞くきっかけになります。
次に、会社の情報を確かめます。会社のホームページ、事業の内容、所在地が求人票と一致しているかを見ます。厚生労働省は、労働者の募集広告には「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」の表示が必要だと案内しており、これらの表示がない募集広告には特に気をつけるよう呼びかけています。ハローワーク以外の求人を見る場合も、この6つがそろっているかは最低限の確認点です。
そして、ハローワークの窓口を活用することです。ハローワークでは、求人について職員に相談できます。気になる点があれば、応募の前に窓口で「この求人の残業の実態を会社に確かめてもらえますか」と相談してみるのも一つの方法です。紹介状を発行してもらって応募する形であれば、ハローワークを通じたやりとりの記録も残ります。
面接で確かめること
面接は、会社が応募者を見る場であると同時に、応募者が会社を確かめる場でもあります。求人票の内容について、遠慮せずに確かめておきましょう。聞き方の例を挙げます。
・「求人票に月給〇〇円とありますが、基本給と手当の内訳を教えていただけますか」
・「固定残業代が含まれている場合、何時間分で、超えた分はどのように支払われますか」
・「求人票の残業は月平均〇時間となっていますが、配属予定の部署ではいかがですか。繁忙期はどれくらいになりますか」
・「年間休日は何日ですか。土日の出勤はどれくらいありますか」
・「試用期間中の給与や待遇は、本採用後と違いますか」
・「入社後に勤務地や担当業務が変わる可能性はありますか」
・「社会保険には入社日から加入できますか」
聞きにくいと感じるかもしれませんが、労働条件を確かめることは、働く人として当然の行動です。答えをはぐらかされたり、「入ってから説明します」と言われたりした場合は、それ自体が判断の材料になります。厚生労働省のリーフレットでも、求人広告に書き切れない場合は面接など最初に接触する時点までにすべての労働条件を示すことになっているとしたうえで、明らかになっていない労働条件がないかを面接などで確認することが大切だと呼びかけています。
面接で聞いた内容は、その日のうちにメモに残しておきます。日付、面接した人の名前、聞いた内容と答えを書いておけば、あとで条件が違っていたときの記録になります。
内定から入社までに、書面で照らし合わせる
内定が出たら、入社する前に必ず労働条件を書面で受け取ります。労働基準法では、賃金や労働時間などの大切な条件は、書面などの決められた方法で示さなければならないとされています。一般には「労働条件通知書」や「雇用契約書」という名前で渡されます。
受け取ったら、求人票と1項目ずつ照らし合わせます。照らし合わせる項目は、次のとおりです。
| 項目 | 求人票 | 労働条件通知書 | 確認のポイント |
|---|---|---|---|
| 仕事の内容 | 記載あり | 記載あり | 変更の範囲まで一致しているか |
| 就業場所 | 記載あり | 記載あり | 変更の範囲まで一致しているか |
| 契約期間 | 記載あり | 記載あり | 更新の基準と上限 |
| 賃金 | 記載あり | 記載あり | 基本給、手当、固定残業代の内訳 |
| 労働時間 | 記載あり | 記載あり | 始業と終業の時刻、休憩 |
| 休日 | 記載あり | 記載あり | 年間休日の数 |
| 試用期間 | 記載あり | 記載あり | 期間と期間中の賃金 |
| 加入保険 | 記載あり | 記載あり | 加入の時期 |
違いが見つかったら、入社前に会社に確かめます。職業安定法では、求人票で示した条件を変える場合には、契約を結ぶ前にその変更内容を示さなければならないとされています。説明のないまま条件が変わっていた場合は、その場で理由を聞き、納得できなければ入社を考え直す選択肢もあります。
求人票と違ったときの相談先
実態が求人票と違っていたとき、一人で抱え込む必要はありません。相談先は、状況に応じていくつかあります。
ハローワーク求人ホットライン
ハローワークの求人票と実際の労働条件が違っていた場合の、いちばん直接的な相談先です。ハローワークインターネットサービスの案内によると、申し出を受けると担当のハローワークが事実を確認したうえで、会社に対して是正の指導を行います。電話番号は03-6858-8609(求職者・就業者専用)と案内されています。最寄りのハローワークの窓口でも相談できます。
総合労働相談コーナー
厚生労働省が各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署の中などに設けている窓口です。厚生労働省のページによると、全国の378か所に設置されており、解雇、賃金の引き下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題を対象にしています。予約は不要で、利用は無料です。面談か電話で専門の相談員が対応し、法律に違反する疑いがある場合は、労働基準監督署などの担当部署に取り次ぐとされています。土日・祝日と年末年始は閉庁しています。
労働条件相談ほっとライン
平日の夜間や土日に相談したい場合は、厚生労働省の委託事業である労働条件相談ほっとラインが使えます。公式サイトによると、電話番号はフリーダイヤルの0120-811-610で、平日は午後5時から午後10時、土日・祝日は午前9時から午後9時に受け付けています。匿名でも相談でき、違法な残業や賃金の不払いなどについて、専門の相談員が法令や裁判例をふまえて答えてくれます。ただし、この窓口から会社への指導はできないと明記されているため、指導を求める場合は、紹介された機関に改めて相談します。
労働基準監督署
残業代が支払われない、最低賃金を下回っているなど、労働基準法などの法律に違反している疑いが強い場合は、労働基準監督署に相談します。法律に基づいて会社を調べ、是正を求める権限を持つ機関です。
相談する前に、記録をそろえておく
どの窓口に相談する場合でも、記録がそろっているほど話が早く進みます。次のものを手元に用意しておきましょう。
・求人票の控え(印刷したもの、画面を保存したもの)
・面接のメモ(日付、相手の名前、聞いた内容と答え)
・労働条件通知書や雇用契約書
・給与明細
・実際の出勤と退勤の時刻の記録(タイムカードの写し、手帳のメモ、スマートフォンの記録など)
・会社とのやりとりのメールやメッセージ
特に、求人票の控えは見落とされがちです。応募したあとに求人が取り下げられたり、内容が書き換えられたりすると、元の条件を示す証拠がなくなってしまいます。気になる求人に応募するときは、その時点の求人票を印刷するか画面を保存しておく習慣をつけておくと安心です。
勤務時間の記録は、会社の記録と自分の記録が食い違うこともあるため、自分でも毎日の出勤と退勤の時刻を書き留めておくと、残業時間の食い違いを示す材料になります。
記録をそろえたら、出来事を時系列で1枚の紙に書き出しておくと、相談の場で説明しやすくなります。「〇月〇日に求人票を見て応募」「〇月〇日の面接で残業は月10時間程度と説明を受けた」「〇月〇日に労働条件通知書を受け取った」「入社後の〇月は残業が45時間だった」のように、日付と出来事、そのときの資料を並べるだけで十分です。相談員は限られた時間で状況を把握する必要があるため、時系列のメモがあるだけで、どの法律のどの点が問題になりそうか、どの窓口が適しているかを早く判断してもらえます。
すでに働き始めてから違いに気づいた場合
入社してから求人票との違いに気づいた場合も、選べる道はあります。
まず、契約のときに示された条件と実際が違う場合は、先に紹介したとおり、労働基準法では即時に契約を解除できると定められています。ただし、求人票と違うだけで、労働条件通知書には実態どおりの条件が書かれていた場合などは、扱いが変わることがあります。どの条件が「契約のときに示された条件」にあたるのかは、書面の内容によって変わるため、相談窓口で確かめてから動くのが安全です。
次に、会社に是正を求める道です。求人票で示された賃金が支払われていない、加入するはずの保険に加入していないといった場合は、まず会社に書面やメールで確かめ、それでも直らなければ、ハローワーク求人ホットラインや総合労働相談コーナーに相談します。総合労働相談コーナーでは、労働局長による助言・指導や、第三者が間に入って話し合いを進めるあっせんという制度も案内しています。
そして、転職を考える道です。食い違いが大きく、職場への信頼が持てない場合は、次の仕事を探すことも現実的な選択です。その際は、今回の経験を生かして、次の求人票をより丁寧に読み、面接で確かめる点を事前に整理しておきます。在職中に次を探す場合は、給与明細や勤務時間の記録をそろえておくと、あとで未払いの賃金を求めるときにも役立ちます。
いずれの道を選ぶ場合も、感情的に退職を告げる前に、記録をそろえ、相談窓口で状況を整理してもらうことをおすすめします。退職の時期や手続きによっては、失業したときの給付の扱いが変わることもあるため、ハローワークで事前に確かめておくと安心です。
求人の情報を読み解く力は、働き方を選ぶ力になる
ハローワークの求人票が実態と違うかどうかを見分ける力は、会社員として働く場合だけでなく、業務委託やフリーランスとして仕事を受ける場合にも役立ちます。仕事の募集の文面から、報酬の内訳、作業の範囲、納期、修正の回数といった条件を読み取り、足りない部分を確かめてから引き受ける。この手順は、雇用の求人票を読むときとまったく同じです。厚生労働省も、フリーランスの募集を広告で行う場合でも、募集主の名称や連絡先、業務内容、就業場所、賃金にあたる報酬などの表示が同じように必要だと案内しています。
募集の文面や契約の書面を正確に読む力は、ビジネス文書の基本でもあります。文書を正しく読み書きする力を測る資格としてビジネス文書検定があり、契約書や依頼の文面を扱う仕事を目指す人の学び直しにも使えます。また、求人や契約の情報を分かりやすく伝える文章を書く仕事に関心がある場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、書く仕事の収入の目安を公的な統計で確認できます。
在宅ワークの仲介を長く運営してきた立場から見ると、条件の食い違いでつまずく人と、長く安定して働ける人の差は、最初の確認の丁寧さにあることが多いと感じます。長く続く人ほど、引き受ける前に「この金額には何が含まれていますか」「修正は何回までですか」と聞き、答えを文字で残しています。会社員の求人でも、業務委託の仕事でも、条件を確かめることは相手を疑うことではなく、お互いが気持ちよく働くための準備です。中間の手数料が乗らない直接の取引であれば、その分だけ条件のやりとりも当事者どうしで完結するため、確認の習慣がそのまま自分を守る力になります。
募集の情報に紛れ込む怪しい誘いへの備えについては、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、情報の安全を守る側の仕事の内容も紹介しています。求人票を正しく読み、記録を残し、困ったときは公的な窓口に相談する。この3つを押さえておけば、ハローワークの求人を必要以上に恐れることなく、自分に合った仕事を選べるはずです。
よくある質問
Q. ハローワークの求人票と実際の条件が違うのは違法ですか?
職業安定法は、求人の情報についてうその表示や誤解を招く表示を禁じており、虚偽の条件を示して求人を申し込むことには罰則もあります。ただし、状況の変化や部署ごとの差など、食い違いの理由はさまざまで、個別のケースが違反にあたるかどうかは事情によって変わります。ハローワーク求人ホットラインや総合労働相談コーナーで確かめてください。
Q. ハローワーク求人ホットラインに申し出ると、どうなりますか?
ハローワークインターネットサービスの案内によると、担当のハローワークが事実を確認したうえで、会社に対して是正の指導を行います。電話番号は03-6858-8609(求職者・就業者専用)で、最寄りのハローワークの窓口でも相談できます。求人票の控えや面接のメモ、給与明細などの記録を手元にそろえてから連絡すると、話がスムーズに進みます。
Q. 求人票と違う条件だったら、すぐに辞めてもよいですか?
労働基準法では、労働契約を結ぶときに示された条件が事実と違う場合、働く人はすぐに契約を解除できると定められています。ただし、基準になるのは求人票ではなく、契約のときの労働条件通知書などの書面です。書面の内容によって扱いが変わるため、辞める前に記録をそろえ、相談窓口で状況を整理してもらうことをおすすめします。
Q. 面接で労働条件を細かく聞くと、印象が悪くなりませんか?
労働条件を確かめるのは、働く人として当然の行動です。厚生労働省も、明らかになっていない労働条件がないかを面接などで確認することが大切だと呼びかけています。基本給と手当の内訳、残業の実態、試用期間中の待遇など、聞き方を事前に準備しておけば、落ち着いて確かめられます。答えをはぐらかされた場合は、それ自体が判断の材料になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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