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扶桑電通の不正アクセスと情報漏えいの可能性|クラウドストレージの共有フォルダ 26,489件 氏名・住所・電話番号 対象と確かめること 2026

@SOHO編集部
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扶桑電通の不正アクセスと情報漏えいの可能性|クラウドストレージの共有フォルダ 26,489件 氏名・住所・電話番号 対象と確かめること 2026

この記事のポイント

  • ✓扶桑電通の不正アクセスについて
  • ✓2026年7月22日の第1報と9月10日の第2報をもとに整理
  • ✓クラウドストレージの共有フォルダへの認証情報の不正利用で

扶桑電通の不正アクセスについて、扶桑電通株式会社は2026年9月10日の第2報で、社外の関係者との情報共有に使っていたクラウドストレージの共有フォルダに第三者が不正にアクセスした件の調査結果を発表しました。漏えいの可能性がある個人情報は、取引先のお客様と担当者の氏名、住所、電話番号で、件数は26,489件です。銀行口座番号やクレジットカード情報などの決済に関する情報は含まれていないと明記されています。 対象になりうる人がまずすることは、扶桑電通や取引先を名乗る不審な電話・メール・郵便に注意し、請求先や振込先の変更などの知らせを別の手段で確かめることです。 自分や自社が対象か分からないときは、第2報に載っている取引先向けの問い合わせ先で確かめます。

最初の公表は2026年7月22日の第1報です。第2報では、原因が第三者による認証情報(IDとパスワードなど、本人であることを確かめる情報)の不正利用だったことが分かり、調査は完了したとされています。2026年11月1日時点で、扶桑電通のホームページの「お知らせ」の一覧を見た範囲では、9月10日の第2報が最新で、それより後の続報は掲載されていません。この記事は、第1報と第2報を2026年11月1日に開き直して確かめた内容だけで書いています。報道の数字や推測は入れていません。

扶桑電通の不正アクセスで何が起きたのか

扶桑電通は、ネットワークの構築、ソフトウェアの設計と開発、通信機器や電子機器の導入などを手がける、法人向けのICTサービスの会社です。今回の件は、同社が社外の関係者と情報を共有するために使っていたクラウドストレージ(インターネット上にファイルを保存して共有するサービス)の、共有フォルダの一部が狙われたものです。

第2報の骨子は次のとおりです。

  • 外部のセキュリティ専門会社の協力のもと調査した結果、本件は第三者による認証情報の不正利用で発生したことを確認した
  • 認証情報の不正利用以外の不審な活動は確認されなかった
  • 認証情報が不正に使われた具体的な経路は、特定に至っていない
  • 調査は完了しており、新たな事実は確認されていない
  • 不正アクセスを受けた共有フォルダ内に、個人情報を含むファイルが保存されていた
  • 漏えいの可能性がある個人情報は、取引先のお客様と担当者の氏名、住所、電話番号で、26,489件
  • 銀行口座番号、クレジットカード情報などの決済に関する情報は含まれていない
  • 対象となるお客様には個別に連絡している
  • 本件に起因する個人情報の不正利用などの二次被害は、現時点で確認されていない

会社のシステムそのものに侵入されたのではなく、社外とのやり取りに使っていた共有フォルダに、正しいIDとパスワードなどを使って入られた形です。正しいIDとパスワードが使われると、記録の上では本来の利用者のログインと見分けにくくなります。だからこそ、パスワードだけに頼らず、多要素認証などの別の確認を重ねることが大切になります。今回の件で、いつから不正に使われていたのかは、発表には書かれていません。発表は「漏えいの可能性」という表現で、この記事でも漏えいしたと言い切る書き方はしません。

公表の経緯と各報で分かったこと

扶桑電通の発表は、2026年11月1日時点で2回です。

日付 発表 主な内容
2026年7月22日 第1報 7月15日に共有フォルダへの第三者による不正アクセスを確認。一部の情報(個人情報を含む)が漏洩した可能性。アクセス権の停止、関係アカウントの削除、アクセスログの調査、対象への個別連絡を進める
2026年9月10日 第2報 原因は認証情報の不正利用。調査は完了。漏えいの可能性がある個人情報は26,489件。再発防止策5項目

第1報では、不正アクセスされたフォルダの一部に個人情報が保管されていたため、個人情報保護委員会へ、漏洩の可能性がある事案として第1報を入れたとされています。漏洩が判明した場合には関係各所に速やかに報告するとしていました。

日付の流れで見ると、不正アクセスの確認が2026年7月15日、第1報の公表が7月22日、調査結果をまとめた第2報が9月10日です。確認から第1報までが1週間、第1報から第2報までが約1か月半かかっています。その間にどのような調べ方で件数を確定させたのかは、発表には書かれていません。件数や項目を知りたい人が読むべきなのは、第1報ではなく第2報です。

第1報の時点では、件数も項目も書かれていませんでした。第2報で初めて、対象が「お取引先のお客様およびご担当者様」で、項目が氏名、住所、電話番号、件数が26,489件と示されています。第1報だけを読んだ人は、第2報の内容を確かめてください。

続報を確かめるときは、検索結果に出てくるまとめ記事ではなく、扶桑電通の第2報のページと、ホームページの「お知らせ」の一覧を見てください。第1報は7月22日のお知らせです。

第1報と第2報で変わったこと

7月22日の第1報と9月10日の第2報では、分かっていることの量が大きく違います。第1報の内容だけを覚えている人は、次の違いを押さえておいてください。

項目 第1報(7月22日) 第2報(9月10日)
表現 一部情報(個人情報を含む)が漏洩した可能性 漏えいの可能性がある個人情報を特定
対象と件数 記載なし お取引先のお客様およびご担当者様、26,489件
項目 記載なし 氏名、住所、電話番号
含まれない情報 記載なし 銀行口座番号、クレジットカード情報などの決済に関する情報
原因 調査中 第三者による認証情報の不正利用。経路は特定に至らず
調査の状況 外部の専門会社と調査中 調査は完了。新たな事実は確認されていない
再発防止策 策定・実施を進める 多要素認証の義務化など5項目

第1報の時点では、どの情報が含まれているのかが分からなかったため、取引先の中には、口座情報なども含まれているのではないかと心配した人がいたかもしれません。第2報で、決済に関する情報は含まれていないことが明記されました。

一方で、第2報でも「漏えいの可能性」という表現は変わっていません。実際に情報が外に持ち出されたことまで確認されたとは書かれていない点も、あわせて押さえておきます。

漏えいの可能性がある情報と含まれない情報

第2報に書かれている対象と項目を、漏えいの可能性があるものと、含まれないと明記されたものに分けると次のとおりです。

区分 内容
対象者 お取引先のお客様およびご担当者様
漏えいの可能性がある情報 氏名、住所、電話番号
件数 26,489件
含まれないと明記された情報 銀行口座番号、クレジットカード情報などの決済に関する情報

第2報の該当部分は次のとおりです。

外部のセキュリティ専門会社の協力のもと調査を実施した結果、本件は第三者による認証情報の不正利用により発生したことを確認しております。また、本件に関連する認証情報の不正利用以外の不審な活動は確認されませんでした。なお、認証情報が不正利用された具体的な経路については特定に至っておりません。 出典: fusodentsu.co.jp

対象の「お取引先のお客様およびご担当者様」は、扶桑電通と取引のある会社やその担当者などを指す表現です。扶桑電通は法人向けの事業を行う会社なので、対象の多くは、取引先の会社で扶桑電通とのやり取りを担当している人と考えられます。ただし、どの範囲のお客様が含まれるのかについて、発表にはこれ以上の説明はありません。この記事でも範囲を推測して広げたり狭めたりはしません。

項目は氏名、住所、電話番号の3つです。取引の場面で使う住所や電話番号は、会社の所在地や代表電話のこともあれば、担当者個人の連絡先のこともあります。どちらが含まれているかは、発表からは分かりません。

原因について発表で分かっていること

第2報によると、原因は第三者による認証情報の不正利用です。認証情報とは、IDとパスワードなど、サービスにログインする人が本人であることを確かめるための情報のことです。第三者がこの認証情報を手に入れ、正しい利用者になりすましてクラウドストレージの共有フォルダに入った、という形です。

認証情報がどのような経路で第三者の手に渡ったのかは、特定に至っていないとされています。考えられる経路は一般にいくつかありますが、今回の件でどれだったかは公式に書かれていないので、この記事では推測しません。

第2報で示された再発防止策を見ると、どこに弱いところがあったかの手がかりになります。

再発防止策 内容
多要素認証の導入 クラウドストレージの外部の利用者を対象に、多要素認証を義務化する
パスワードの決まりの強化 パスワードの複雑さの要件を見直し、定期的な変更の決まりを適用する
外部共有フォルダの管理と運用の決まりの強化 共有フォルダの利用の実態、アクセス権の管理の方法、定期点検の決まりを見直す
定期的なアカウントの点検 年2回の棚卸しで、決まりに反するアカウントや不要なアカウントを見つけて整理する
社内教育 情報セキュリティの教育を定期的に行う

1つ目の対策が「外部の利用者を対象とした多要素認証の義務化」であることから、共有フォルダには社外の利用者もアカウントを持って入れる仕組みだったことが読み取れます。また、4つ目の対策として不要なアカウントの整理が挙がっています。第1報でも、本件の発覚後に関係アカウントを削除したと書かれていました。

多要素認証とは、パスワードに加えて、スマートフォンの認証アプリやSMSのコードなど、別の手段での確認を組み合わせてログインする仕組みのことです。パスワードが盗まれても、それだけでは入れなくなります。

扶桑電通の対応と今後の連絡

第1報と第2報で発表されている対応は次のとおりです。

  • 不正アクセスを確認した後、直ちに共有フォルダへのアクセス権を停止し、共有を止めた
  • 関係アカウントの削除と、アクセスログ(接続の記録)の調査を行った
  • 緊急対策本部を設け、外部のセキュリティ専門会社の協力のもと、原因の究明と再発防止策の策定・実施を進めた
  • 個人情報保護委員会へ、漏洩の可能性がある事案として第1報を入れた
  • 対象となるお客様には個別に連絡している
  • 再発防止策として、多要素認証の義務化など5つの項目を実施している

個別の連絡がメールなのか、郵便なのか、電話なのかは、発表には書かれていません。第1報の時点ですでに「対象となるお客様への個別連絡を進めております」と書かれていたので、第1報の時点から、個別の連絡は進められていたことになります。2026年11月1日の時点で連絡に心当たりがない場合は、社内のほかの担当者に届いていないかを確かめてみてください。補償やお詫びについての記載もありません。発表にないことは、この記事でもあるとは書きません。ほかの会社の事案で、補償の考え方がどう扱われてきたかを知りたい人は、情報漏洩の補償はもらえるのか|お詫び金・ポイントの例と利用者が確かめること 2026が参考になります。

自分や自社が対象かを確かめる方法

対象は「お取引先のお客様およびご担当者様」です。扶桑電通と取引がある会社の人、または以前に取引があった会社の人は、次の順で確かめます。

  1. 扶桑電通から、今回の件についての個別の連絡が届いていないかを、メール、郵便、電話の記録で確かめる
  2. 社内で扶桑電通とのやり取りを担当している人、または以前に担当していた人に、連絡が届いていないか聞く
  3. 連絡が届いていても、その中の連絡先に直接返信せず、第2報に載っている問い合わせ先と同じかを照らし合わせる
  4. 分からないときは、第2報に載っている取引先向けの問い合わせ先に、自分から問い合わせる

過去に取引があって、今は取引のない会社の人も、対象に含まれている可能性があります。共有フォルダにいつのファイルが保存されていたかは、発表には書かれていないためです。以前に扶桑電通と仕事をしたことがある人で気になる場合も、取引先向けの窓口で確かめてください。

会社の取引では、窓口の担当者が異動や退職で変わっていることがよくあります。個別の連絡が、すでに会社にいない人の宛先に届いている可能性もあります。社内の総務や情報システムの担当者に、扶桑電通からの連絡が届いていないかを確かめてもらうのも一つの方法です。

問い合わせる前に、次の点をメモにしておくと話がまとまりやすくなります。

  • 会社名と部署名、扶桑電通とのやり取りの担当者の名前(現在と以前の両方)
  • 扶桑電通と共有フォルダでファイルをやり取りしたことがあるかどうか
  • 不審な電話やメール、郵便が届いていれば、その日時と内容

取引先の担当者がすること

今回の項目は、氏名、住所、電話番号です。パスワードや口座番号は含まれていないので、すぐに何かの手続きをしなければならない、という種類の件ではありません。それでも、取引の場面では、氏名と会社の連絡先が分かるだけで、なりすましのメールや電話が本物らしく見えやすくなります。

請求先や振込先の変更の知らせを別の手段で確かめる

取引先を名乗って「振込先の口座が変わった」「請求書の送付先が変わった」と知らせてくる手口は、企業の取引で狙われやすい形です。扶桑電通やその関係者を名乗るこのような知らせが届いたら、メールに書かれた連絡先ではなく、契約書や過去の正式な書類にある番号で、普段の担当者に確かめます。

添付ファイルとリンクに注意する

取引先を名乗るメールの添付ファイルを開いたり、リンクから偽のログイン画面に誘導されたりすると、自社のアカウントの認証情報が盗まれるおそれがあります。今回の件の原因が認証情報の不正利用だったことを考えると、ここは特に気をつけたいところです。偽のメールの見分け方と、開いてしまった後の対処は、フィッシング詐欺メールの見分け方|5秒で振り分ける手順と開いた後の対処で説明しています。

電話番号への備え

電話番号が含まれているので、扶桑電通や関係する会社を名乗る電話にも注意します。会社の代表電話ではなく、担当者の携帯電話の番号が含まれている可能性もあります。電話番号が出回った場合の迷惑電話やSMSへの備えは、電話番号の流出チェックの方法|流出したらどうなるかと迷惑電話・SMSへの備え 2026にまとめています。

社内に共有する

取引先の担当者の情報が対象に含まれている可能性がある以上、扶桑電通とのやり取りに関わる社内の人に、今回の発表があったことを共有しておくと、偽の連絡に気づきやすくなります。共有するときは、報道やまとめ記事ではなく、扶桑電通の第2報のページを示すと、内容の食い違いが起きにくくなります。

しなくてよいこと

発表の内容からは、次のことは今すぐ必要とは読み取れません。

  • 銀行口座の変更(銀行口座番号は含まれていないと明記)
  • クレジットカードの停止や再発行(カード情報は含まれていないと明記)
  • 扶桑電通との取引の見直し

不安だからといって、手続きを増やしすぎる必要はありません。

取引先の情報システムの担当者がすること

取引先の会社で情報システムやセキュリティを担当している人は、個々の担当者とは別の立場で、会社としての備えを進めておくと安心です。今回の件で漏えいの可能性があるのは、氏名、住所、電話番号で、システムに入るための情報ではありません。それでも、取引先の名前を使ったなりすましのメールは、社内のアカウントを狙う入口になりえます。

会社として進めておきたいのは、次のような点です。

  • 扶桑電通を名乗るメールが届いた場合の報告の窓口を、社内に知らせておく
  • メールの受信の設定で、送信元のなりすましを見分ける仕組み(送信元のドメインの認証など)が働いているかを確かめる
  • 扶桑電通との取引で使っているアカウント(共有フォルダ、保守の窓口のサイトなど)を洗い出し、多要素認証を設定できるものは設定する
  • 社内の担当者が異動や退職をしたときに、取引先の共有フォルダのアカウントを整理する手順があるかを確かめる

最後の点は、扶桑電通が再発防止策で挙げた「年2回のアカウントの棚卸し」と同じ考え方です。取引先との共有の仕組みは、自社と取引先の両方にまたがるため、どちらか一方の点検だけでは穴が残りやすくなります。取引先と話し合い、共有フォルダのアカウントを定期的に見直す決まりを、双方でそろえておくのが理想です。

自社の共有フォルダを見直すきっかけにする

今回の件は、扶桑電通だけの話ではありません。社外の関係者とファイルを共有するために、クラウドストレージの共有フォルダを使っている会社は多いはずです。扶桑電通が挙げた再発防止策は、そのまま自社の点検の項目として使えます。

自社の共有フォルダについて、次の点を確かめておくと安心です。

  • 社外の利用者が共有フォルダに入るときに、多要素認証を求めているか
  • 取引が終わった社外の利用者のアカウントが、残ったままになっていないか
  • 共有フォルダに、必要のなくなった個人情報を含むファイルが残っていないか
  • 共有フォルダの利用の実態とアクセス権を、定期的に点検しているか
  • 共有の範囲が「リンクを知っている全員」になっているフォルダがないか

とくに、取引が終わった相手のアカウントや、使われなくなった共有フォルダは、気づかないうちに外からの入口として残り続けます。扶桑電通が年2回のアカウントの棚卸しを再発防止策に入れているのは、この入口を減らすためと考えられます。棚卸しとは、ここでは、登録されているアカウントを一つずつ確かめ、不要なものを整理する作業のことです。

扶桑電通の共有フォルダを使っていた社外の人へ

対象の個人情報とは別に、扶桑電通の共有フォルダに、社外の利用者としてアカウントを持っていた人もいるはずです。第1報では、本件の発覚後に関係アカウントを削除したとされ、第2報では、再発防止策として外部の利用者を対象とした多要素認証の義務化を挙げています。

認証情報がどの利用者のものだったのか、どのような経路で不正に使われたのかは、発表には書かれていません。そのため、共有フォルダのアカウントを持っていた人が、自分の認証情報が使われたと考える根拠はありません。それでも、次の点を確かめておくと安心です。

  • 扶桑電通の共有フォルダで使っていたパスワードを、ほかのサービスでも使っていないか。使っていれば、ほかのサービスのパスワードを変える
  • 扶桑電通から、アカウントの再登録や多要素認証の設定について案内が届いていないか
  • 案内が届いていても、メールのリンクから設定を始める前に、普段の担当者に本物かを確かめる

共有フォルダのアカウントを作り直す案内や、多要素認証の設定の案内は、便乗したメールでも使われやすい題材です。「セキュリティ強化のため、こちらから再設定してください」というメールが届いたら、送信元と、普段の担当者からの連絡かどうかを確かめてから対応してください。

認証情報が盗まれる経路への備え

第2報では、認証情報が不正に使われた具体的な経路は特定に至っていないとしています。今回の件でどの経路だったかは分かりませんが、一般に、IDとパスワードが第三者の手に渡る経路として、次のようなものが知られています。

  • 偽のログイン画面に誘導するメール(フィッシング)で、利用者自身に入力させる
  • 別のサービスから漏れたIDとパスワードの組み合わせを、ほかのサービスで試す(使い回しを狙う)
  • パソコンに入り込んだ不正なプログラムが、保存されたパスワードを抜き取る

どの経路でも、パスワードだけで入れる状態だと、盗まれた時点で入られてしまいます。多要素認証を設定しておけば、パスワードが盗まれても、それだけでは入れなくなります。扶桑電通が再発防止策の1つ目に多要素認証の義務化を挙げているのは、経路が特定できなくても効く対策だからと考えられます。

自分の側でできることは、サービスごとに違うパスワードを使うこと、多要素認証を設定できるサービスでは設定すること、ログイン画面はメールのリンクからではなくブックマークや自分で入力したアドレスから開くことの3つです。

取引先を名乗る連絡の具体例と見分け方

今回の件に便乗した連絡が実際に確認されているとは、第2報には書かれていません。第2報では、本件に起因する二次被害は確認されていないとしています。ここでは、備えとして、連絡の種類ごとの見分け方の目安をまとめます。

メールの場合

  • 扶桑電通や取引先の担当者を名乗り、「共有フォルダの移行に伴い、新しいURLからログインしてください」と誘導してくる
  • 「請求書を確認してください」として、添付ファイルを開かせようとしてくる
  • 送信元のアドレスが、普段のやり取りで使っているものと少し違う

このようなメールは、本文のリンクや添付ファイルを開かず、普段の担当者に別の手段で確かめます。

電話の場合

  • 扶桑電通を名乗り、「情報漏洩の確認のため」として、社内のシステムのIDやパスワードを聞いてくる
  • 「至急、振込先を変更してほしい」と急がせる

このような電話は、いったん切って、扶桑電通の正式な連絡先に自分からかけ直します。

郵便の場合

郵便で、請求書の送付先や振込先の変更を知らせる書類が届くことも考えられます。書類に書かれた番号に電話したり、書かれた口座に振り込んだりする前に、契約書や過去の正式な書類にある連絡先で、普段の担当者に確かめます。

入力してしまったとき

もし偽のログイン画面にIDやパスワードを入力してしまった場合は、すぐにそのサービスのパスワードを変え、同じパスワードを使っているほかのサービスも変えます。仕事のアカウントであれば、社内の情報システムの担当者にもすぐに知らせます。パスワードを変える順番と作り方は、パスワードが漏洩したらどうなる|変更の順番と使い回しの見直し方 2026で詳しく説明しています。

続報が出たときに確かめること

第2報では、調査は完了しており、新たな事実は確認されていないとしています。そのため、今後大きな続報が出るかどうかは分かりません。それでも、新しいお知らせが出た場合は、次の点が第2報から変わっていないかを確かめると、自分や自社に関係があるかを判断しやすくなります。

  • 件数が26,489件から変わっていないか
  • 項目が氏名、住所、電話番号から増えていないか
  • 「漏えいの可能性」が「漏えいを確認」に変わっていないか
  • 二次被害が確認されたかどうか
  • 問い合わせ先が変わっていないか

検索で、ほかの会社のクラウドストレージの事案に当たることもあるかもしれません。そこに書かれた件数や項目を、今回の扶桑電通の件と混ぜないよう、発表元と日付を必ず確かめてください。

問い合わせ窓口

今回の件の問い合わせ先は、第2報に次のとおり載っています。

区分 名称 電話番号 メール
取引先からの問い合わせ 扶桑電通株式会社 ビジネス推進本部 03-3544-7191 [email protected]
報道機関からの問い合わせ 扶桑電通株式会社 管理本部 経営企画室 03-3544-7211 [email protected]

受付時間は、第1報にも第2報にも書かれていません。電話がつながらない時間帯であれば、メールで問い合わせる方法もあります。メールで問い合わせる場合は、会社名、部署名、氏名、扶桑電通との取引の内容、確かめたいことを書くと、返事がもらいやすくなります。メールアドレスは第2報に載っているものをそのまま使い、届いた連絡に書かれたアドレスを使わないようにします。取引先として自分が対象かを確かめたい場合は、取引先向けのビジネス推進本部の窓口を使ってください。経営企画室の窓口は報道機関向けです。

窓口に問い合わせるときも、パスワードや口座番号を伝える必要はありません。もし電話口でそれらを聞かれたら、その番号が本当に第2報に載っている窓口かを確かめ直してください。

在宅で仕事をする人が気をつけること

今回の件の入口は、社外の関係者との情報共有に使われていたクラウドストレージの共有フォルダでした。在宅で業務委託の仕事を受ける人は、まさにこの「社外の関係者」の立場で、取引先の共有フォルダにアカウントを持たせてもらうことがよくあります。

在宅で働く人は、取引先から顧客の名簿、原稿、デザインのデータなどを預かり、共有フォルダでやり取りします。自分のアカウントの認証情報が盗まれると、自分の情報だけでなく、取引先の共有フォルダの中身まで外に出るおそれがあります。扶桑電通の再発防止策が「外部の利用者を対象とした多要素認証の義務化」から始まっているのは、社外の利用者のアカウントが入口になりうることを示しています。

個人情報保護委員会の漏えい等の対応のページでは、事業者に委員会への報告が義務づけられる場合として、要配慮個人情報(病歴など、とくに慎重に扱う情報)を含む漏えい等、不正に使われるとお金の被害が出るおそれがある漏えい等、不正の目的で行われたおそれがある漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等が挙げられています。いずれも「そのおそれ」がある段階から対象です。不正アクセスにより個人データが漏えいした場合は、不正の目的で行われたおそれがある例として示されています。報告は発覚したら速やかに行い、不正の目的で行われたおそれがある場合は発覚日から60日以内とされています。

業務委託で個人情報を扱う人が、自分のアカウントから預かった情報を漏らしてしまった場合、まず対応を迫られるのは委託元の取引先です。どこまでが自分の責任になるかは、契約の内容や事情で変わるので、ここでは断定できません。ただ、気づいた時点ですぐ取引先に伝えることが、取引先が期限内に必要な手続きを進めるうえで欠かせない点は変わりません。

今回の件をきっかけに、仕事で使うアカウントについて次の点を見直しておくと安心です。

  • 取引先の共有フォルダに入るアカウントに、多要素認証を設定しているか(取引先が求めていなくても、設定できるなら設定する)
  • そのアカウントのパスワードを、ほかのサービスと使い回していないか
  • 仕事が終わった取引先の共有フォルダへのアクセスを、返すよう取引先に伝えているか
  • 共有フォルダからダウンロードしたファイルを、仕事が終わったあとも手元に残していないか

仕組みの違いと選び方は、MFA(多要素認証)導入のメリットと製品比較|2026年の認証セキュリティ決定版にまとめています。

フリーランス・在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く人ほど、納品物の質だけでなく、預かった情報の扱い方で信頼を得ています。仕事が終わったら共有フォルダのアクセスを返す、自分から多要素認証を設定して取引先に伝える、といった地味な手当てが、そのまま取引先からの評価につながっていきます。中間の手数料が乗らない直接の取引では、こうした信頼がそのまま次の依頼と手取りの厚さに結びつきます。

アカウントを守る力を仕事に生かす

情報の守り方は、自分の身を守る知識であると同時に、仕事として求められる力でもあります。企業の中には、共有フォルダやアカウントの棚卸しの手伝い、社員向けのセキュリティの研修資料の作成、取引先向けの注意喚起の文面づくりなどを、外部の人に頼むところがあります。今回のような事案を、公式の発表から正確に読み取り、「何が含まれて何が含まれないか」「取引先は何をすればよいか」を整理する作業も、その一つです。

セキュリティの仕事を在宅で受けたい場合、いきなり専門的な診断の仕事を目指す必要はありません。まずは自分のアカウントの管理を整え、事案の発表を正確に読む習慣をつけるところから始められます。@SOHOのAI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、在宅で受けられるセキュリティ関連の仕事の種類と探し方を紹介しています。

扶桑電通の件は、2026年11月1日時点で9月10日の第2報が最新で、調査は完了したとされています。取引先の人は、個別の連絡が届いていないかを社内で確かめること、振込先の変更などの知らせを別の手段で確かめること、迷ったら第2報の取引先向けの窓口に問い合わせることの3つを押さえ、続報は扶桑電通のホームページの「お知らせ」で確かめてください。

よくある質問

Q. 扶桑電通と取引があれば、必ず対象になりますか?

必ず対象とは限りません。第2報では、漏えいの可能性があるのは取引先のお客様と担当者の26,489件とされ、対象となるお客様には個別に連絡しているとしています。連絡が届いていないか社内で確かめ、分からなければ取引先向けのビジネス推進本部(03-3544-7191)に問い合わせてください。

Q. 不正アクセスの原因は何だったのですか?

第2報では、第三者による認証情報の不正利用で発生したことを確認したとしています。認証情報の不正利用以外の不審な活動は確認されなかった一方、認証情報が不正に使われた具体的な経路は特定に至っていないとされています。調査は完了しており、新たな事実は確認されていないとのことです。

Q. 口座やクレジットカードを止める必要はありますか?

第2報では、漏えいの可能性がある個人情報に、銀行口座番号やクレジットカード情報などの決済に関する情報は含まれていないと明記されています。そのため、今回の発表を理由に口座やカードを止める必要は読み取れません。ただし、振込先の変更などを求める連絡には注意してください。

Q. 自社でも同じことを防ぐには、何から始めればよいですか?

扶桑電通が挙げた再発防止策が参考になります。社外の利用者が共有フォルダに入るときの多要素認証、パスワードの決まりの見直し、共有フォルダとアクセス権の定期点検、不要なアカウントの整理、社員への教育の5つです。まずは、取引が終わった社外の利用者のアカウントが残っていないかを確かめるところから始められます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年11月1日
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