介護休暇は通院の付き添いに使えるか、取得の条件と会社への届け出

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
介護休暇は通院の付き添いに使えるか、取得の条件と会社への届け出

この記事のポイント

  • ✓介護休暇は通院の付き添いに使えます
  • ✓育児・介護休業法の施行規則に「通院等の付添い」が明記されています
  • ✓年5日(2人以上で10日)の日数

親の通院に付き添うために、仕事を休まなければならない日が増えてきた。そんなとき、年次有給休暇を削り続けるしかないのか、介護休暇を使ってよいのか迷う人は多いはずです。結論から言うと、介護休暇は通院の付き添いに使えます。育児・介護休業法にもとづく省令に「通院等の付添い」がはっきり書かれているからです。この記事では、厚生労働省の資料をもとに、介護休暇を通院の付き添いに使うための条件、時間単位での取り方、会社への伝え方、給与の扱い、日数が足りないときの組み合わせ方までを順に整理します。

通院の付き添いは、介護休暇の対象として法令に書かれている

介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護や世話をするために、労働者が取れる休暇のことです。育児・介護休業法という法律で定められていて、会社の就業規則に書かれていなくても、条件を満たす労働者は申し出ることで取得できます。

この休暇で認められる「世話」の中身は、法律の下にある省令(育児・介護休業法施行規則)で決められています。第38条には次のように書かれています。

法第十六条の五第一項の厚生労働省令で定める世話は、次に掲げるものとする。 一 介護 二 通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の必要な世話 出典: mhlw.go.jp

つまり、介護休暇は家で食事や入浴を手伝うような直接の介護だけでなく、病院への付き添いや、ケアマネジャーとの打ち合わせ、介護サービスの契約の手続きなどにも使える休暇です。厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」でも、「世話」の例として通院等の付き添いと、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行が挙げられています。

ただし、介護休暇を取れるのは、付き添う家族が「要介護状態」にあり、法律が定める「対象家族」に当たる場合です。この2つの条件については後の節で詳しく見ていきます。

通院の付き添いで休む人は少なくない

介護休暇の話に入る前に、介護をしながら働く人がどれくらいいるのかを見ておきます。厚生労働省の介護休業制度の特設サイトでは、総務省の令和4年就業構造基本調査をもとに、次のように紹介されています。

雇用労働者のうち、55~59歳の10人に1人以上が介護に直面しています。 出典: mhlw.go.jp

50代後半の働く人のうち、10人に1人以上が家族の介護をしているということです。親の通院の付き添いは、介護のなかでも早い段階から必要になる用事の1つです。最初は年に数回の受診だったものが、持病が増えるにつれて月に何回もの付き添いになる、という流れはよくあります。

同じサイトでは、介護休業を「まとまった期間休みたい場合」、介護休暇を「スポットで休みたい場合」の制度として紹介しています。通院の付き添いは、まさにこのスポットで休みたい場面に当たります。介護をしながら働き続けるための制度は、思っている以上に身近なものです。

介護休暇の基本:1年度に5日、家族が2人以上なら10日

まず、介護休暇の日数と単位を押さえておきます。厚生労働省の資料では、次のように説明されています。

要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度において5労働日(その介護、世話をする対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、介護休暇を取得することができます。 介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます。 出典: mhlw.go.jp

「1年度」とは、会社が特に決めていない場合は、毎年4月1日から翌年3月31日までです。会社によっては1月から12月までのように別の区切りを決めていることもあるので、就業規則で確かめてください。

大切なのは、介護休暇は年次有給休暇とは別に与えなければならない休暇だという点です。年次有給休暇を使い切っていても、介護休暇は取れます。逆に、介護休暇を取ったからといって年次有給休暇が減ることもありません。

父と母の両方の通院に付き添っている、親と配偶者の両方に介護が必要、というように対象家族が2人以上いる場合は、1年度に10日まで取得できます。家族が2人以上いるかどうかで上限が変わるので、介護が必要な家族が増えたときは、会社にその旨を伝えておきましょう。

「要介護状態」は、要介護認定がなくても当てはまることがある

介護休暇を取るには、付き添う家族が「要介護状態」にあることが条件です。ここでよく誤解されるのが、介護保険の要介護認定を受けていないと対象にならない、という思い込みです。

育児・介護休業法でいう要介護状態とは、けがや病気、体や心の障害によって、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことです。厚生労働省は、常時介護を必要とする状態かどうかを判断する基準を示していて、次のどちらかに当てはまればよいとしています。

・介護保険の要介護状態区分で要介護2以上であること ・座っていられるか、歩けるか、食事や排せつ、着替えが自分でできるか、薬の管理ができるか、物忘れで日常生活に支障があるかなど12の項目のうち、一部の介助が必要な状態が2つ以上、または全面的な介助が必要な状態が1つ以上あり、その状態が続くと認められること

つまり、要介護認定を受けていなくても、たとえば「歩くときに何かにつかまる必要があり、薬の管理も見守りが必要」という状態が続いていれば、要介護状態に当たる可能性があります。手術のあとしばらく自力で歩けない、病気の治療中で日常生活に介助が要る、といった場合も、2週間以上続くなら対象になりえます。

厚生労働省の資料には、この基準に厳密に従うことにとらわれて休業の取得が制限されないよう、事業主は個々の事情に合わせて柔軟に運用することが望まれる、とも書かれています。自分の家族が当てはまるか迷ったら、まずは会社の人事担当者に状況を説明して相談してください。

対象になる家族の範囲

介護休暇の対象になる「対象家族」は、次の人たちです。

・配偶者(婚姻の届出をしていない事実婚の相手を含む) ・父母 ・子 ・配偶者の父母 ・祖父母 ・兄弟姉妹 ・孫

厚生労働省の資料では、対象家族は同居しているかどうかを問わないとされています。離れて暮らす親の通院に付き添うために実家まで行く場合も、親が要介護状態にあれば介護休暇を使えます。

配偶者の父母、つまり義理の父母も対象に含まれます。一方で、おじやおば、いとこ、配偶者の兄弟姉妹などは対象家族に入っていません。こうした親族の付き添いが必要な場合は、年次有給休暇や会社独自の休暇制度を使うことになります。

時間単位で取る:通院の付き添いに合わせた使い方

通院の付き添いは、1日がかりになる場合もあれば、午前中だけで済む場合もあります。介護休暇は時間単位でも取れるので、付き添いに必要な時間だけ休むことができます。

時間単位の取り方には、法令で決まった形があります。厚生労働省の資料によると、法令で定められている時間単位の取得は、始業の時刻から続けて取るか、終業の時刻まで続けて取る形です。たとえば、始業が9時の会社で、10時の診察に付き添う場合は「9時から12時まで休み、午後から出勤する」という取り方になります。午後の診察なら「15時から終業まで休む」という形です。

就業時間の途中で抜けて、また途中で戻る、いわゆる「中抜け」までは、法律は会社に求めていません。ただし、厚生労働省の指針では、中抜けを認めるなど制度を柔軟に使えるよう配慮することが会社に求められています。会社によっては中抜けを認めているところもあるので、就業規則を確かめてみてください。

時間単位で取った分は、1日分の所定労働時間がたまると1日として数えます。1日の所定労働時間が7時間30分の場合は、1時間に満たない端数を切り上げて8時間分の休暇で1日分になります。年5日なら、合計で40時間分を時間単位で使えるということです。

時間単位で取ると、同じ5日でも使える回数が大きく変わります。1日の所定労働時間が8時間の人なら、5日分は40時間です。午前中の受診に付き添うために毎回3時間ずつ取るとすると、1年度で13回分の付き添いに使える計算になります。すべてを1日単位で取れば5回で終わってしまうので、付き添いに必要な時間を見積もって、時間単位で取るほうが長く使えます。

病院の待ち時間は読みにくく、予定より長引くこともあります。最初は少し余裕を持たせた時間で申し出ておき、実際にかかった時間を記録しておくと、次からの見積もりが正確になります。

通院の付き添いでよくある使い方を例にすると、次のようになります。

場面 取り方の例
午前の定期受診に付き添う 始業から3時間取り、午後から出勤する
夕方の検査に付き添う 15時から終業まで取る
遠方の病院に1日付き添う 1日単位で取る
入院の手続きと付き添い 1日単位で取り、手続きもまとめて済ませる

介護休暇と介護休業の違いを整理する

名前が似ているので混同されやすいのが、介護休暇と介護休業です。通院の付き添いのような短い用事には介護休暇、介護の体制を整えるためにまとまった期間休むなら介護休業、と使い分けるのが基本です。厚生労働省の資料をもとに、違いを表にまとめます。

項目 介護休暇 介護休業
休める日数 1年度に5日(対象家族2人以上で10日) 対象家族1人につき通算93日まで
取り方 1日単位または時間単位 まとまった期間、3回まで分割可
申し出の時期 当日の申し出でも取得を認める必要がある 希望どおりの日から休むには開始予定日の2週間前まで
申し出の方法 口頭でも可 書面のほか、会社が認めればFAXや電子メールなど
雇用保険の給付 なし 介護休業給付金あり

介護休業は、たとえば親が退院したあとの生活を整えるために、介護サービスの手配や住まいの調整をする期間として使うことが想定されています。厚生労働省のリーフレットでも、介護休業制度は介護の体制を作るために一定期間休業する場合に対応するもの、という趣旨を踏まえて情報提供するよう会社に求めています。

一方、通院の付き添いは、通院の日ごとに数時間から1日休めば済むことが多い用事です。こうした細切れの用事に介護休業を使うと、93日という上限を早く使い切ってしまいます。日々の付き添いは介護休暇と年次有給休暇で、まとまった準備が必要な時期は介護休業で、という組み立てを意識しておくと、制度を無駄なく使えます。

取得できる人、できない人

介護休暇は、正社員だけの制度ではありません。パートや契約社員など、期間を定めて雇われている人も取得できます。厚生労働省の資料では、期間を定めて雇用される人や、ほかに介護できる家族がいる人について、介護休暇の取得を拒めるようにすることはできないと明記されています。

取得できないのは、まず日々雇い入れられる人です。また、会社が労働者の代表と労使協定を結んでいる場合は、次の人を対象から外すことができます。

・1週間の所定労働日数が2日以下の人 ・時間単位で介護休暇を取ることが難しいと認められる業務に就いている人(この場合も、1日単位での取得はできる)

令和7年4月1日からは、この除外の範囲が狭まりました。それまでは「その会社に続けて雇われた期間が6か月に満たない人」も労使協定で外すことができましたが、この規定が撤廃されています。入社してまもない人でも、介護休暇を取れるようになったということです。

自分が対象から外されているかどうかは、労使協定の内容によります。就業規則や会社の案内に書かれていることが多いので、確かめておきましょう。

会社への届け出:伝える4つの事項と、当日の申し出

介護休暇を取るときは、会社に申し出ます。厚生労働省の資料によると、申し出では次の4つを会社に明らかにすることになっています。

  1. 労働者の氏名
  2. 対象家族の氏名と、労働者との続き柄
  3. 介護休暇を取る年月日(時間単位で取る場合は、開始と終了の日時)
  4. 対象家族が要介護状態にある事実

申し出の方法について、同じ資料には次のように書かれています。

介護休暇の申出の方法は書面の提出に限定されていないことから、口頭での申出も可能です。 また、当日の電話等の申出でも取得を認め、書面の提出等を求める場合は事後となっても差し支えないこととすることが必要です。 出典: mhlw.go.jp

高齢の家族の体調は急に変わることがあり、朝になって「今日は病院に連れて行かないと」となる場面も少なくありません。そうした当日の電話での申し出でも、会社は取得を認める必要があるということです。

会社は、対象家族との続き柄や、要介護状態にある事実を証明する書類の提出を求めることができます。ただし、厚生労働省の指針では、証明書類を求める場合も事後の提出を認めるなど、労働者に過重な負担をかけないよう配慮することが求められています。

実際に申し出るときの伝え方の例を挙げておきます。

「母の通院に付き添うため、明日の9時から12時まで介護休暇を取らせてください。母は足が不自由で、通院には付き添いが必要な状態が続いています。」

続き柄、日時、要介護状態にあることの3点が入っていれば、まずは十分です。書面の提出が必要な会社なら、後から決まった様式で出せば足ります。

通院の付き添いで介護休暇を使う前に準備しておくこと

介護休暇は当日の申し出でも取れる制度ですが、通院の予定が分かっているなら、事前に準備しておくことで、職場とのやりとりがずっと楽になります。

1つ目は、家族の状態を説明できるようにしておくことです。会社に要介護状態にあることを伝えるとき、「歩くときに支えが必要」「薬の管理を見守らないとできない」など、具体的な状態を一言で説明できると話が早く進みます。要介護認定を受けている場合は、その区分も伝えられるようにしておきます。

2つ目は、通院の予定を早めに共有することです。定期的な受診の日が決まっているなら、分かった時点で上司に伝えておきます。介護休暇は当日でも取れますが、事前に分かっていれば、仕事の引き継ぎや会議の日程の調整がしやすくなります。

3つ目は、就業規則で自分の会社の決まりを確かめることです。年度の区切り、時間単位の取り方、中抜けの可否、給与の扱い、申し出の様式など、会社ごとに違う部分があります。人事の担当部署に、介護休暇の申し出に使う様式があるかどうかも聞いておくとよいでしょう。

4つ目は、残りの日数を自分でも記録しておくことです。時間単位で取っていると、残りが何日と何時間あるのか分からなくなりがちです。取った日時をメモしておけば、年度の終わりに日数が足りなくなる前に、ほかの制度との組み合わせを考えられます。

5つ目は、家族のなかで付き添いの役割を分けることです。対象家族の範囲には兄弟姉妹も含まれるので、兄弟姉妹がそれぞれ自分の勤め先で介護休暇を取り、交代で付き添うこともできます。一人で抱え込まず、家族で予定を分け合うことが、長く続けるための工夫になります。

給与はどうなるか:有給か無給かは会社の決まり

介護休暇を取った日や時間の給与がどうなるかは、法律では決まっていません。給与を払うか払わないかは、会社の就業規則などで決められます。

厚生労働省の資料では、介護休暇を取った日について、働かなかった時間の賃金を支払わないことは、不利益な取り扱いには当たらないとされています。一方で、休暇を取ったことを理由に、実際に休んだ分を超えて働かなかったものとして扱うことは、「不利益な算定」に当たるとされています。たとえば、介護休暇を半日取っただけなのに、賞与の計算で1日分を差し引くようなことは認められません。

また、介護休暇の申し出や取得を理由に、解雇や雇い止め、降格、不利益な配置の変更などをすることは、法律で禁じられています。

就業規則では、介護休暇の条文のなかに「介護休暇を取得した日は無給とする」「通常の給与を支払う」といった形で書かれていることが多いので、該当する部分を探してみてください。見当たらない場合は、人事の担当部署に、介護休暇を取った日や時間の給与の扱いと、賞与や昇給の計算にどう反映されるかをまとめて確かめておくと安心です。

給与が出ない会社でも、介護休暇を使う意味はあります。年次有給休暇を残しておけば、自分が体調を崩したときや、ほかの家族の用事に使えるからです。どちらを先に使うかは、給与の扱いと残りの日数を見て決めるとよいでしょう。

5日で足りないときの組み合わせ方

通院の付き添いが月に何回も続くと、年5日ではすぐに足りなくなります。そのときに組み合わせられる制度を整理しておきます。

1つ目は、年次有給休暇です。年次有給休暇は原則として1日単位で取りますが、会社が労使協定を結んでいれば、年5日の範囲で時間単位で取ることもできます。介護休暇の時間単位と合わせれば、細かい付き添いにも対応しやすくなります。

2つ目は、介護休業です。介護休業とは、要介護状態の家族を介護するために、まとまった期間仕事を休める制度のことです。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取得できます。介護休業を取ると、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。ハローワークの案内では、支給額は原則として、休業を始めたときの賃金日額に支給日数と67%をかけた額です。介護休暇には、この給付金はありません。

3つ目は、働く時間を調整する制度です。育児・介護休業法には、要介護状態の家族を介護する労働者のために、残業の免除、時間外労働や深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの制度が定められています。通院が毎週の決まった曜日にあるなら、短時間勤務や始業時刻の変更を組み合わせるほうが、休暇を使い続けるより安定することもあります。

4つ目は、テレワークです。令和7年4月からは、要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選べるようにすることが、会社の努力義務になりました。通院の前後だけ在宅で働けるようになれば、休む時間そのものを減らせます。

令和7年4月からの改正で、会社が行うこと

令和7年4月1日から、介護と仕事の両立を支えるための改正が段階的に始まっています。厚生労働省のリーフレットでは、介護に関わる主な改正として次の点が挙げられています。

・介護に直面したことを申し出た労働者に対し、会社は介護休業や介護休暇などの制度の内容、申し出先、介護休業給付金について個別に知らせ、利用の意向を確かめなければならない ・労働者が40歳になる年度などの早い段階で、会社は介護休業などの制度について情報を提供しなければならない ・会社は、制度に関する研修、相談窓口の設置、利用の事例の紹介、利用を進める方針の周知のうち、いずれかの措置を講じなければならない ・介護をする労働者がテレワークを選べるようにすることが、会社の努力義務になった

つまり、家族の通院の付き添いが必要になったことを会社に伝えれば、会社の側から介護休暇を含む制度の説明を受けられる仕組みになっています。厚生労働省は、取得や利用を控えさせるような個別の周知や意向の確認は認められないとしています。一人で悩まず、まず人事担当者や上司に状況を伝えることが、制度を使う第一歩になります。

上司や同僚への伝え方と、休む前後の段取り

介護休暇は権利として認められた休暇ですが、職場で気持ちよく使い続けるには、伝え方と段取りにも気を配りたいところです。介護は数か月から数年にわたって続くことが多く、一度きりの休みでは終わらないからです。

最初に伝えるときは、介護が必要になった家族がいること、通院の付き添いがどれくらいの頻度で発生しそうか、介護休暇を使いたいことの3点を、上司に落ち着いて話します。令和7年4月からは、介護に直面したことを申し出た労働者に対し、会社が制度を個別に知らせ、意向を確かめることが義務になっています。この最初の申し出が、会社の側の手続きが動き出すきっかけにもなります。

休む前には、自分が抜ける時間の仕事の段取りを決めておきます。急ぎの連絡の窓口を誰にするか、締め切りの近い仕事をどこまで進めておくかを、同僚と共有しておくと安心です。時間単位で休む場合は、戻る時刻を伝えておくと、職場の側も予定を立てやすくなります。

休んだあとは、不在の間に動いたことを確かめ、手伝ってくれた同僚にひとこと声をかけます。小さな積み重ねですが、介護が長く続くほど、こうした関係が自分を助けてくれます。

それでも、介護休暇を取ることについて嫌みを言われたり、取りにくい雰囲気を作られたりすることがあるかもしれません。厚生労働省の特設サイトでは、介護休業などに関するハラスメントを防ぐ措置を講じることは事業主の義務だと説明されています。困ったときは、社内の相談窓口や、都道府県労働局に相談してください。

介護休暇でつまずきやすい点

介護休暇は使いやすい制度ですが、制度を正しく知らないために使いそびれる例もあります。よくあるつまずきを整理しておきます。

まず、「要介護認定を受けていないから使えない」という思い込みです。先に説明したとおり、育児・介護休業法の要介護状態は、介護保険の要介護認定とは別の基準で判断されます。認定を受けていなくても、介助が必要な状態が2週間以上続いていれば対象になりえます。

次に、「パートだから使えない」という思い込みです。期間を定めて雇われている人も、介護休暇を取れます。労使協定で外せるのは、1週間の所定労働日数が2日以下の人などに限られています。

また、「半日休暇しかない」と思い込んでいる例もあります。法律が定めているのは時間単位での取得で、1時間単位で必要な時間数だけ取れるようにする必要があります。会社の制度が半日単位しかないように見える場合も、時間単位で取りたいと申し出てみてください。

最後に、「同居していない親には使えない」という思い込みです。対象家族は同居しているかどうかを問いません。離れて暮らす親の通院に付き添うために帰省する場合も、要介護状態にあれば介護休暇を使えます。

会社が認めてくれないときの相談先

介護休暇の申し出を断られた、取ったことで不利益な扱いを受けた、という場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。厚生労働省のリーフレットでは、育児・介護休業法に関する問い合わせ先として案内されていて、受付時間は平日の8時30分から17時15分までです。

相談する前に、会社のなかで解決できないかも考えてみます。人事の担当部署や社内の相談窓口に、法律で認められた休暇であることを伝えれば、上司の誤解が解けて取得できるようになる場合もあります。

労働局では、相談を受けるだけでなく、会社と労働者の間の紛争の解決を助ける仕組みもあります。相談するときは、申し出た日時と方法、会社からの返答、就業規則の該当する部分などを手元にそろえておくと、話が早く進みます。

介護そのものの相談先も知っておく

介護休暇は、仕事を休むための制度です。一方で、通院の付き添いが増えてきたら、介護の負担そのものを軽くする方法も考える必要があります。厚生労働省の特設サイトでは、目的ごとに次のような相談先が紹介されています。

相談したいこと 相談先
育児・介護休業法や両立支援の制度 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)
介護休業給付金 ハローワーク
高齢者の日常生活の困りごとや介護の相談 地域包括支援センター
介護保険を利用する手続きなど 市区町村の介護保険の担当課

地域包括支援センターとは、高齢者の暮らしや介護について幅広く相談できる、地域の窓口のことです。親が住んでいる地域のセンターに相談すれば、介護保険の申請の方法や、使えるサービスについて案内を受けられます。介護サービス情報公表システムで、地域包括支援センターや介護サービスの事業所を探すこともできます。

通院の付き添いを毎回自分で引き受けるのが難しくなったら、こうした窓口で、介護サービスを使えないかを相談してみてください。介護休暇で時間を作るのと並行して、介護の体制を少しずつ整えておくことが、仕事を続けるための土台になります。

会社員でない人の介護と仕事の両立

ここまでの内容は、会社に雇われて働く人のための制度です。フリーランスや業務委託で働く人には、育児・介護休業法の介護休暇は適用されません。通院の付き添いで仕事を休むときは、自分で予定を調整するしかありません。

その代わり、働く時間や場所を自分で決めやすいのがフリーランスの強みです。在宅でできる仕事を中心に組み立てれば、通院の付き添いがある日は午前を空け、午後から作業する、という調整がしやすくなります。システム開発や記事の執筆のように、納期さえ守れば時間の使い方を選べる仕事は、介護との両立に向いています。報酬の水準は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、公的な統計をもとにした目安を確かめられます。

在宅の働き方を長く見てきた立場から言えば、介護と仕事を長く両立できている人ほど、取引先に事情を早めに伝え、納期に余裕を持たせる関係を築いています。「この人なら事情があっても必ず仕上げてくれる」という信頼があれば、急な通院の日にも相談がしやすくなります。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側はより多くを頼め、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%の取引の価値は、この手取りの厚さにあります。

業務の改善やAIを使った効率化を手伝う仕事も、時間の融通が利きやすい分野です。どのような仕事があるかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介されています。会社員として介護休暇を使う場合も、フリーランスとして予定を調整する場合も、事情を文書で正確に伝える力は欠かせません。申し出のメールや取引先への連絡の書き方を基礎から固めたい人には、ビジネス文書検定の学習範囲が役に立ちます。

よくある質問

Q. 介護休暇は親の通院の付き添いに使えますか?

使えます。育児・介護休業法施行規則の第38条に、介護休暇で認められる世話として「通院等の付添い」が明記されています。ただし、付き添う親が2週間以上常時介護を必要とする要介護状態にあることが条件です。要介護認定を受けていなくても、歩行や食事などに介助が必要な状態が続いていれば当てはまる場合があります。

Q. 介護休暇は何日取れますか?

対象家族が1人なら1年度に5日、2人以上なら10日まで取れます。年度は会社が特に決めていなければ4月1日から翌年3月31日までです。1日単位のほか時間単位でも取れ、始業から続けて、または終業まで続けて取る形が法令で定められています。年次有給休暇とは別の休暇なので、有給休暇を使い切っていても取得できます。

Q. 当日の朝に電話で介護休暇を申し出てもよいですか?

厚生労働省の資料では、介護休暇の申し出は書面に限られず口頭でもよく、当日の電話などの申し出でも取得を認め、書面の提出を求める場合は事後でもよいとすることが必要とされています。伝える内容は、自分の氏名、家族の氏名と続き柄、休む日時、家族が要介護状態にある事実の4つです。

Q. 介護休暇の日は給料が出ますか?

法律では決まっておらず、有給か無給かは会社の就業規則などで決まります。休暇を取った時間の賃金を払わないことは不利益な取り扱いに当たりませんが、休んだ分を超えて賞与などを差し引くことは認められません。日数が足りないときは、年次有給休暇や、給付金が出る介護休業、短時間勤務などとの組み合わせを考えます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月24日最終更新:2026年10月2日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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