介護休暇と有給休暇の違い|賃金の扱いと使い分けの考え方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
介護休暇と有給休暇の違い|賃金の扱いと使い分けの考え方

この記事のポイント

  • ✓介護休暇と有給休暇の違いを
  • ✓出勤率や賞与への影響の4点から整理します
  • ✓親の通院の付き添いでどちらを使うか迷ったときの使い分けと

介護休暇と有給休暇の違いを一番短く言うと、「介護休暇は家族の介護のために法律が別枠で用意した休みで、給料が出るかどうかは会社次第。有給休暇は理由を問わない休みで、給料が出ることが法律で決まっている」です。親の通院に付き添う日が月に何度か出てきたとき、どちらを使えば手取りが減らず、あとで困らないのか。この記事では、取れる日数、賃金の扱い、会社が断れるかどうか、出勤率や賞与への影響を順に並べ、最後に場面ごとの使い分けと、就業規則で確かめておく項目を整理します。

結論を先に書いておくと、介護休暇は「有給休暇を使い切ったあとの最後の手段」ではありません。年5日の介護休暇は有給休暇とは別に与えなければならないと決まっているので、両方を組み合わせて使うのが前提です。どちらを先に使うかは、会社の規程で介護休暇が有給か無給か、そして有給休暇の残り日数がいくつあるかで決まります。

介護休暇と有給休暇の違いを表で整理する

まずは違いを一覧で見ておきます。細かい説明はこのあとの節で順に書きます。

比べる点 介護休暇 年次有給休暇
根拠になる法律 育児・介護休業法 労働基準法
使える理由 要介護状態の家族の介護や世話 理由を問わない
日数 年5日(対象家族が2人以上なら年10日) 勤続6か月で10日から、勤続に応じて最大20日
取得の単位 1日または時間単位 原則1日。労使協定があれば年5日以内で時間単位
給料 会社の規程による(無給でも違法ではない) 支払いが義務
会社が日をずらせるか 申出を拒めない 事業の正常な運営を妨げる場合は時季変更ができる
繰り越し 法律上の繰り越しはない 2年で時効

この表で一番大事なのは「給料」と「会社が日をずらせるか」の2行です。有給休暇は給料が出る代わりに、繁忙期などで会社が別の日に変えてほしいと言える余地があります。介護休暇は給料の保証がない代わりに、要件を満たした申出であれば会社は断れません。つまり、お金の面では有給休暇が強く、確実に休めるという面では介護休暇が強いという関係になっています。

これ、知らない人が本当に多いんです。介護休暇という名前から「介護のための有給の休み」と思い込んでいて、給与明細を見て初めて欠勤控除に気づく、という相談はよくあります。逆に、有給休暇を介護のためだけに使い切ってしまい、自分が体調を崩したときに休む日が残っていなかったという話もあります。

介護と仕事を両立する人の数から見えること

総務省統計局の令和4年就業構造基本調査によると、ふだん家族の介護をしている人は629万人で、そのうち仕事をしている人は365万人でした。介護をしている人に占める仕事をしている人の割合は58.0%で、5年前より2.8ポイント上がっています。働きながら介護をする人は、もう少数派ではありません。

介護をしている者は629万人で、うち有業者は365万人 出典: 総務省統計局 令和4年就業構造基本調査 結果の概要

同じ調査では、介護・看護のために過去1年間に前の仕事を辞めた人が11万人いました。5年前より1万人増えています。介護休暇や介護休業の制度があっても、使い方が分からないまま辞めてしまう人が一定数いるということです。

介護の負担は、最初の数か月に集中しやすいと言われます。要介護認定の申請、ケアマネジャーとの面談、介護サービスの契約、通院の付き添い。どれも平日の昼間に入る用事で、1回あたりは2時間から半日程度です。丸1日休むほどではないけれど、仕事を抜けないと済まない。この「細切れの用事」を何で埋めるかが、介護休暇と有給休暇の使い分けの本題になります。

40歳を過ぎると、親の介護が急に自分ごとになります。2025年4月からは、会社が40歳前後の社員に介護休業などの制度を知らせることが義務になりました。知らせ方は面談、書面、メールなどで、時期は40歳になる年度か、40歳の誕生日から1年間のどちらかです。会社から案内が届いていれば、それが自社の介護休暇の規程を知る一番早い手がかりです。

介護休暇の仕組み:誰が、何日、どんな用事で使えるか

介護休暇は、育児・介護休業法で決められた休暇です。要介護状態の家族を介護したり世話をしたりする労働者が、会社に申し出ることで取れます。要介護状態とは、けがや病気、体や心の障害のために、2週間以上にわたって常に介護が必要な状態のことです。介護保険の要介護認定を受けていることは必ずしも条件ではありません。

厚生労働省は「常時介護を必要とする状態」の判断基準を示していて、介護保険で要介護2以上と認定されているか、座っていられるか、歩けるか、食事や排泄、衣類の着脱、意思の伝達、物忘れによる日常生活への支障など12の項目のうち、一部介助や見守りが必要な項目が2つ以上、または全面的な介助が必要な項目が1つ以上あり、その状態が続くと認められれば該当します。要支援の認定しか受けていない家族や、まだ認定を申請していない家族でも、この表に当てはまれば対象になります。会社はこの基準に厳密にこだわらず、柔軟に運用することが望ましいとされています。

取れる日数は、対象家族が1人なら1年度に5日、2人以上なら10日です。1年度は、会社が別に決めていなければ4月1日から翌年3月31日までです。対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母で、同居しているかどうかは問いません。

労働基準法の年次有給休暇とは別に取得させなければなりません。介護休暇期間中は有給とするか無給とするかは、会社の規定によります。 出典: 厚生労働省 介護休業制度特設サイト 介護休暇

使える用事は、直接の介護だけではありません。通院の付き添い、介護サービスを受けるための手続きの代行、ケアマネジャーとの短い打ち合わせにも使えます。時間単位で取れるので、「午前中に2時間だけ抜けて病院に付き添い、午後から出社する」といった使い方ができます。時間単位の取得は2021年1月から可能になりました。ただし、時間単位で抜けることが業務上どうしても難しい仕事について労使協定で除外している場合は、その人は1日単位でしか取れません。

対象になる人は、日々雇用の人を除くすべての労働者です。パートや契約社員でも取れます。労使協定で対象外にできるのは「週の所定労働日数が2日以下の人」だけです。以前は「勤続6か月未満の人」も労使協定で外せましたが、2025年4月1日からこの要件はなくなりました。入社して間もない人でも、介護休暇は取れるということです。

申出の方法は書面に限られておらず、口頭でも構いません。急に家族の具合が悪くなった朝に電話で申し出て、書類はあとで出すという形でも有効です。社内に決まった様式があればそれを使います。

年次有給休暇の仕組み:日数、時季変更、年5日の取得義務

年次有給休暇は労働基準法39条で決まっている休暇です。雇われた日から6か月続けて働き、全労働日の8割以上出勤した人に、10日が与えられます。その後は勤続年数に応じて日数が加算され、6年6か月以上で20日になります。パートなど週の所定労働日数が少ない人には、日数に応じた比例付与があります。

有給休暇は、労働者が「この日に休みたい」と指定した日に与えるのが原則です。ただし、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合、会社は別の日に変えるよう求められます。これを時季変更権といいます。つまり、有給休暇は「確実にその日に休める」とまでは言い切れない休みです。とはいえ、一般には単に忙しいという理由だけで時季変更が認められるわけではなく、代わりの人を手配できないかといった事情も含めて判断されます。

年に10日以上の有給休暇が与えられる人については、会社は1年以内に5日を、時季を指定して取らせなければなりません。2019年から始まった年5日の取得義務です。介護のために自分から有給休暇を5日以上使っている人は、会社が改めて時季を指定する必要はなくなります。

時間単位の有給休暇は、会社と労働者代表が労使協定を結んでいる場合に限り、年5日以内で認められます。協定がなければ、有給休暇は1日単位か、会社が認めていれば半日単位です。介護休暇は法律上当然に時間単位で取れるのに対し、有給休暇の時間単位は会社に制度があるかどうかで変わります。ここは見落としやすい違いです。

使わなかった有給休暇は翌年度に繰り越せますが、権利は2年で時効になります。介護休暇には法律上の繰り越しはなく、その年度の5日(または10日)を使わなければそれで終わりです。会社によっては独自に繰り越しを認めている場合もあるので、規程を確かめておきます。

賃金の扱いの違い:介護休暇は無給でも違法ではない

ここが一番大事なところです。介護休暇を取った日に給料を払うかどうかは、法律では決まっていません。厚生労働省は事業主向けの説明で、次のように書いています。

労働者が介護休暇を取得して労務を提供しない日や時間について、事業主に給与を支払う義務はなく、就業規則等で決めていただくことになります。企業によっては、失効年次有給休暇を利用するなど一定の範囲で有給としている例も見られます。 出典: 厚生労働省 よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)

つまり、介護休暇を無給にしている会社は違法ではありません。月給制の人なら、休んだ日や時間の分が欠勤控除として差し引かれることがあります。一方、有給休暇は労働基準法で賃金の支払いが義務になっていて、平均賃金か、所定労働時間働いた場合の通常の賃金などで支払われます。

ただし、無給にしてよいのは「実際に働かなかった分」までです。同じ説明の中で、実際に働かなかった日や時間を超えて賃金を減らすことや、賞与や昇給で不利益な計算をすることは禁止されていると書かれています。たとえば介護休暇を2時間取っただけなのに1日分の給料を引く、介護休暇を取ったことを理由に賞与の評価を下げる、といった扱いは許されません。

計算の例で考えます。月給30万円、月の所定労働日が20日、1日8時間の人が、介護休暇を2時間取ったとします。1時間あたりの単価は30万円を160時間で割って1,875円なので、無給の会社なら差し引かれるのは3,750円です。同じ2時間を時間単位の有給休暇で取れば、差し引きはありません。年に5回、毎回2時間ずつ通院に付き添うと、無給の介護休暇なら年間で18,750円の差になります。

この金額を大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれです。ただ、有給休暇は自分の体調不良や子どもの行事にも使える貴重な枠なので、介護の用事で全部を使い切るのが正解とは限りません。賃金だけでなく、残しておきたい有給休暇の日数も一緒に考えるのがコツです。

※賃金の計算方法は会社の給与規程によって異なります。欠勤控除の計算式が分からない場合は、人事や給与の担当者に確認してください。

出勤率や賞与、昇給への影響はどう違うか

有給休暇が付与されるかどうかは「全労働日の8割以上出勤したか」で決まります。労働基準法39条10項は、業務上のけがや病気で休んだ期間、育児休業、介護休業、産前産後休業の期間を「出勤したものとみなす」と定めています。ここに挙がっているのは介護休業で、介護休暇は列挙されていません。

介護休暇を取った日を出勤率の計算でどう扱うかは、会社の規程を確かめる必要があります。年5日程度の介護休暇で8割を割り込むことは通常は考えにくいのですが、病気で長く休んだ年などは影響が出ることもあります。気になる人は、介護休暇の日を出勤率でどう数えるかを人事に聞いておくと安心です。

賞与や昇給の算定では、先ほどの通り「実際に働かなかった分を働かなかったものとして扱う」ことは不利益な取扱いに当たりません。厚生労働省の指針では、介護休暇を取った日数を日割りで算定対象期間から差し引くことは不利益な取扱いに当たらないとしています。一方で、休暇を取った日数以上に減らす、休暇を取ったこと自体を理由に評価を下げる、といった扱いは禁止です。

有給休暇については、労働基準法の附則で、有給休暇を取った労働者に賃金の減額などの不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされています。賞与の算定で有給休暇の日を欠勤扱いにする規程は、トラブルの元になりやすいので注意が必要です。

ここで押さえておきたいのは、介護休暇も有給休暇も「取ったこと自体」を理由に評価を下げることは許されないという点です。違いは、働かなかった時間の給料が出るかどうか、という一点に集約されます。

場面別の使い分け:どちらを先に使うか

ここからは、よくある場面ごとに使い分けの考え方を整理します。前提として、自分の会社で介護休暇が有給か無給かを先に確かめておきます。介護休暇が有給の会社なら、介護の用事は迷わず介護休暇から使えばよく、有給休暇は温存できます。以下は介護休暇が無給の会社を前提にした考え方です。

通院の付き添いで2時間だけ抜けたい

会社に時間単位の有給休暇の制度があり、残り日数に余裕があるなら、有給休暇の時間単位で取ると賃金は減りません。時間単位の有給休暇がない会社では、有給休暇を半日や1日で使うと必要以上に枠を消費してしまいます。その場合は、介護休暇を時間単位で取り、差し引かれるのは2時間分だけにするほうが合理的なこともあります。

朝、急に家族の具合が悪くなった

当日の朝の申出でも、介護休暇は会社が拒めません。有給休暇も当日の申請を認めている会社は多いのですが、就業規則で「前日までに申請」と決めている会社もあります。当日の急な休みは介護休暇を使い、あとから会社の規程で有給休暇への振り替えが認められるかを相談するという手順もあります。

有給休暇がほとんど残っていない

入社したばかりで有給休暇がまだ付与されていない人、あるいは使い切ってしまった人にとって、介護休暇は休む権利を確保する手段になります。2025年4月から勤続6か月未満の人も介護休暇を取れるようになったので、有給休暇がゼロでも年5日は休めます。

介護の用事が月に何度も続く

介護休暇の5日はすぐに使い切ってしまいます。用事が毎週のように続くなら、介護休暇と有給休暇だけで乗り切ろうとせず、介護のための所定労働時間の短縮等の措置や、所定外労働の制限(残業の免除)を組み合わせることを考えます。短縮等の措置は、利用開始から連続する3年以上の期間で2回以上使えるように会社が用意しなければならない制度です。

数週間まとまって休む必要がある

入院から在宅介護への切り替えなど、体制を整えるためにまとまった期間が必要なときは、介護休業を検討します。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休め、雇用保険の被保険者で要件を満たせば、休業開始時の賃金日額の67%相当の介護休業給付金がハローワークから支給されます。介護休業は介護に専念するためではなく、仕事と介護を両立できる体制を作るための期間と位置づけられています。

介護休暇と有給休暇のメリット・デメリット

使い分けを考えるときの判断材料として、それぞれの長所と短所を整理しておきます。

介護休暇のメリットは、会社が申出を拒めないこと、時間単位で確実に取れること、有給休暇の残り日数に関係なく年5日(または10日)が別枠で確保されていること、勤続期間が短くても取れることです。デメリットは、給料が出るかどうかが会社次第であること、年5日はすぐに使い切ってしまうこと、使えるのが要介護状態の家族の用事に限られることです。

有給休暇のメリットは、給料が必ず出ること、使い道を会社に説明する必要がないこと、2年間は繰り越せることです。デメリットは、会社に時季変更権があること、時間単位は労使協定がないと使えないこと、介護に使い込むと自分の病気や家庭の他の用事に回す分が減ることです。

もう1つ見落としやすい点があります。有給休暇は「理由を言わなくてよい」休みなので、介護のことを職場に知られたくない人には使いやすい面があります。一方で、介護休暇を使うと会社は介護に直面していることを把握できるので、2025年4月から義務になった個別の制度周知や意向確認につながり、介護休業や短時間勤務など他の制度の案内を受けやすくなります。介護が長引きそうなら、早めに会社に伝えたほうが使える手段は広がります。

申し出る前に就業規則で確かめる5項目

介護休暇の扱いは会社によって大きく違います。申し出る前に、就業規則や育児・介護休業規程で次の5点を確かめておきます。

1つめは、介護休暇が有給か無給か。有給の場合も「年3日までは有給、それ以降は無給」のように一部だけ有給にしている会社があります。

2つめは、時間単位の取得のルール。始業や終業に続けて取る形に限る会社と、勤務時間の途中で抜けることも認める会社があります。法律が求めているのは始業時刻から連続する時間、または終業時刻まで連続する時間での取得で、途中で抜ける「中抜け」を認めるかどうかは会社の判断です。

3つめは、年度の区切り。4月始まりか、入社日基準か、有給休暇の基準日に合わせているかで、使える日数の数え方が変わります。

4つめは、申出の方法と証明書類。医師の診断書を出さなければ休ませないという規程は認められていません。家族が要介護状態にあることを示す書類は、労働者が出せるもので足ります。

5つめは、失効した有給休暇の積み立て制度があるかどうか。2年の時効で消える有給休暇を積み立てて、介護や病気のときに使えるようにしている会社があります。この制度があれば、介護休暇が無給でも実質的に有給で休める日を確保できます。

就業規則が手元にない場合は、会社に見せてもらえます。会社には就業規則を職場で見られるようにしておく義務があります。

上司や人事への伝え方の例

介護休暇は口頭でも申し出られますが、あとで「聞いていない」と言われないよう、メールやチャットなど記録が残る形で伝えておくと安心です。伝える内容は、介護休暇を取りたいこと、対象家族との続柄、取得する日と時間、家族が介護を必要としている状態の簡単な説明の4点で足ります。

たとえば次のような文面です。

「○月○日(○)の9時から11時まで、介護休暇を時間単位で取得させてください。母の通院の付き添いのためです。母は脳梗塞の後遺症で歩行に介助が必要な状態が続いています。11時以降は通常どおり勤務します。社内の申請書があれば提出しますので、ご指示ください。」

有給休暇で休む場合は、理由を書く必要はありません。「○月○日に年次有給休暇を取得します」とだけ伝えれば足ります。ただ、介護が長く続く見込みなら、あえて事情を伝えておくほうが、業務の調整や他の制度の案内を受けやすくなります。どこまで話すかは本人が決めてよいことで、会社が家族の病名を細かく聞き出す権利はありません。

同じ時期に何度も休むことが分かっている場合は、1回ごとに申し出るより、向こう1〜2か月の予定を一度に伝えておくと、職場の側もシフトや会議の日程を組みやすくなります。

会社に拒まれたり、不利益な扱いを受けたりしたら

介護休暇の申出を拒むこと、介護休暇を取ったことを理由に解雇や降格、不利益な配置転換をすることは、育児・介護休業法で禁止されています。「繁忙期だから介護休暇は認めない」という対応は、有給休暇の時季変更とは違い、介護休暇には通用しません。

困ったときの相談先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。育児・介護休業法の相談を受け付けていて、会社への助言や指導、当事者の間に入る紛争解決の援助も行っています。相談は無料です。給料の未払いなど労働基準法に関わる問題は、労働基準監督署が窓口になります。

相談するときは、申し出た日時、誰に何と言われたか、就業規則の該当箇所、給与明細などを手元にそろえておくと話が早く進みます。メールやチャットでやり取りした場合は、その記録も残しておきます。

※会社とのやり取りがこじれて退職や解雇の話になっている場合は、早めに弁護士や社会保険労務士に相談してください。

1年間の休み方を逆算して組み立てる

介護休暇と有給休暇の使い分けは、1回ごとに迷うより、年度の初めにざっくり計画しておくほうが楽になります。考える順番は次の通りです。

最初に、今年度に見込まれる介護の用事を書き出します。たとえば、親の定期通院が2か月に1回で年6回、ケアマネジャーとの面談が年2回、要介護認定の更新に伴う手続きが年1回、急な体調不良への対応が年2回程度、という具合です。1回あたりの所要時間も書いておきます。通院の付き添いは移動を含めて3時間、面談は1時間半、急な対応は丸1日、といった見積もりです。

次に、使える枠を並べます。介護休暇が年5日(対象家族が2人なら10日)、有給休暇の残り日数、時間単位の有給休暇の上限(労使協定があれば年5日以内)、会社独自の特別休暇や失効年休の積み立てがあればその日数です。

最後に、用事を枠に振り分けます。半日以下で済む定期的な用事は時間単位で取れる休暇に、丸1日かかる急な用事は介護休暇の日単位に、という分け方が基本です。介護休暇が無給の会社なら、時間単位の有給休暇から先に埋め、足りない分を介護休暇で補います。有給休暇は自分の病気や家族の行事のために、少なくとも数日は残しておくと安心です。

この見積もりで年間の介護の用事が10日を超えそうなら、休暇だけで回すのは難しいサインです。所定外労働の制限、時差出勤やフレックスタイムなどの短縮等の措置、在宅勤務の可否を会社に相談し、休まずに用事を済ませられる働き方を組み合わせます。2025年4月からは、要介護状態の家族を介護する人がテレワークを選べるようにすることが会社の努力義務になりました。義務ではありませんが、相談する根拠にはなります。

パートや契約社員の場合に気をつけること

介護休暇は、パートやアルバイト、契約社員でも取れます。週の所定労働日数が3日以上あれば、労使協定で対象外にされることはありません。週2日以下の人は、会社が労使協定を結んでいる場合に限って対象外になることがあるので、自分の会社に協定があるかを確かめます。

有給休暇は、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人には、日数に応じて少なく付与されます。たとえば週3日勤務の人は、勤続6か月で5日です。有給休暇の日数が少ない分、介護休暇の年5日の重みは正社員より大きくなります。

時給で働く人にとって、無給の介護休暇は休んだ時間がそのまま収入減になります。時給1,200円で3時間の通院付き添いなら3,600円です。有給休暇の残りがあるなら、まずそちらを使うのが手取りを守る方法です。逆に、有給休暇がまだ付与されていない入社直後の人は、介護休暇があるおかげで、欠勤扱いにされずに休めます。欠勤と介護休暇では、無給という点は同じでも、介護休暇なら不利益な取扱いが禁止されるという違いがあります。

雇われない働き方を選ぶ人が知っておくこと

介護休暇も有給休暇も、会社に雇われている人のための制度です。業務委託で働くフリーランスには、どちらも適用されません。介護をきっかけに会社員を辞めて在宅の業務委託に切り替える人もいますが、その場合は「休んだ日の収入はゼロになる」という前提で働き方を組み立てる必要があります。

とはいえ、2024年11月に施行されたフリーランス法では、6か月以上の継続的な業務委託について、従業員を使用する発注者は、フリーランスからの申出に応じて、育児や介護と両立できるよう必要な配慮をしなければならないとされています。納期の調整や打ち合わせの時間帯の変更などを相談しやすくする仕組みです。契約書で確かめるべき項目は、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで整理されています。

在宅で続けやすい仕事としてよく選ばれるのは、文章を書く仕事やシステム開発のように、作業の時間帯を自分で動かせるものです。たとえば著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、書く仕事の収入水準を職種別に確認できます。

現場を長く見てきた立場から見えること

フリーランス・在宅ワーク市場を20年近く見てきた立場から言えば、介護と仕事の両立で行き詰まる人の多くは、制度を知らなかったというより「休むと周りに迷惑がかかる」と感じて、使える休みを使わずに無理を重ねています。介護休暇は年5日しかありませんが、時間単位で使えば最大で40時間程度の通院付き添いに充てられます。これは決して小さな枠ではありません。

もう1つの観察は、介護を理由に雇用から業務委託へ移った人ほど、最初の1年で収入の波に戸惑うということです。会社員の間は、介護休暇や介護休業給付、短時間勤務といった制度が収入の落ち込みを和らげてくれます。辞める前に使える制度を一通り使い、それでも両立が難しいときに働き方を変えるという順番が、結果として手取りを守ることにつながります。

業務委託に移るなら、仲介の手数料がかからない直接取引の場を選ぶと、同じ予算でも受け取る報酬が厚くなります。手数料0%の仕組みは、介護で稼働時間が限られる人ほど効いてきます。在宅でできる仕事の種類を広く知りたい場合は、アプリケーション開発のお仕事のような職種ガイドで、必要なスキルと仕事の進め方を確かめるところから始めると、無理のない計画が立てやすくなります。文書作成の基礎を固めたい人には、ビジネス文書検定のような資格で書く力を証明する道もあります。

介護休暇と有給休暇は、どちらか一方を選ぶものではなく、組み合わせて使う道具です。会社の規程を確かめ、賃金と残り日数を見比べ、足りなければ他の制度につなぐ。その順番さえ押さえておけば、介護のために仕事を手放さずに済む可能性は大きく広がります。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 介護休暇を取ると給料は減りますか?

介護休暇の日に給料を払うかどうかは法律で決まっておらず、会社の就業規則で決まります。無給の会社では休んだ日や時間の分が差し引かれることがありますが、実際に休んだ分を超えて減らすことや、賞与や昇給で不利益に扱うことは禁止されています。まずは自社の規程を確認してください。

Q. 有給休暇が残っていても介護休暇を使えますか?

使えます。介護休暇は有給休暇とは別に与えなければならない休暇なので、有給休暇を先に使い切る必要はありません。介護休暇が無給の会社では賃金を優先して有給休暇を使い、有給休暇を残しておきたいときは介護休暇を使うなど、残り日数と賃金を見比べて選べます。

Q. 介護休暇は会社に断られることがありますか?

要件を満たした申出であれば、会社は介護休暇を拒めません。有給休暇のような時季変更もできません。ただし週の所定労働日数が2日以下の人は、労使協定で対象外にされている場合があります。不当に拒まれたときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

Q. 介護休暇は何時間単位で取れますか?

介護休暇は1日単位か時間単位で取れます。時間単位は始業時刻から続けて取るか、終業時刻まで続けて取る形が基本で、勤務の途中で抜ける中抜けを認めるかは会社の判断です。時間単位で取ることが業務上難しい仕事として労使協定で除外されている場合は、1日単位でのみ取れます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月2日最終更新:2026年10月3日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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