労働基準法と介護休暇の関係は|根拠になる法律と取れる範囲、会社への申し出 2026


この記事のポイント
- ✓労働基準法に介護休暇の定めはあるのかを確かめ
- ✓根拠になる育児・介護休業法の内容(年5日・10日
- ✓労使協定で対象外にできる人
親の通院に付き添うため、会社を半日だけ休みたい。そう考えて「介護休暇は労働基準法で決まっているのだろうか」「会社に断られたら労働基準法違反になるのか」と調べる人は多いものです。休みの決まりといえば労働基準法、というイメージが強いため、介護休暇もそこにあると思われがちです。
結論から言うと、介護休暇は労働基準法ではなく、育児・介護休業法という別の法律で定められています。労働基準法に介護休暇の条文はありません。ただし、労働基準法の年次有給休暇や就業規則の決まりは、介護休暇の使い方に深く関わります。2つの法律の役割を分けて理解しておくと、会社とのやり取りで迷わずに済みます。
この記事では、介護休暇の根拠になる育児・介護休業法の条文と、労働基準法との関係を整理したうえで、取れる日数と単位、給与の扱い、対象外にできる人、令和7年4月の改正、会社への申し出方、断られたときの相談先までを、条文と厚生労働省の資料をもとに説明します。
介護休暇の根拠は育児・介護休業法
介護休暇の根拠は、育児・介護休業法(正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)の第16条の5です。条文は次のように定めています。
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合は10労働日)を限度として、その世話を行うための休暇を取得できる。
つまり、介護休暇とは、家族の介護や世話のために、1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)まで取れる短い休みのことです。続く第16条の6では、事業主は労働者からの介護休暇の申し出を拒むことができないとされています。会社が「忙しいから」という理由で断ることは、原則としてできません。
一方、労働基準法を見ると、休みに関する条文は休日(第35条)や年次有給休暇(第39条)、産前産後の休業(第65条)などで、介護のための休暇の定めはありません。介護休暇や介護休業は、育児・介護休業法がまとめて定めているのです。これ、知らない人が本当に多いんです。
介護休暇と介護休業の違い
名前が似ている介護休業も、同じ育児・介護休業法の制度です。違いを整理しておきます。
| 項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
|---|---|---|
| 根拠 | 育児・介護休業法第16条の5 | 育児・介護休業法第11条 |
| 日数 | 1年度に5日(対象家族2人以上は10日) | 対象家族1人につき通算93日、3回まで |
| 単位 | 1日または時間単位 | 期間を決めて連続して休む |
| 主な使い道 | 通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談など | 介護の体制を整えるための休業 |
| 休み中のお金 | 給与を払う義務はない(会社の定めによる) | 条件を満たせば雇用保険から介護休業給付金 |
介護休暇は短い用事のための休み、介護休業は介護の体制を整えるための長めの休み、と考えると使い分けやすくなります。どちらも同じ法律の制度なので、対象家族の範囲や要介護状態の考え方は共通です。
介護休暇を取れる人と対象になる家族
介護休暇を取れるのは、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者です。正社員だけでなく、パートや契約社員などの有期雇用の人も対象です。日々雇用される人は対象外です。
対象家族の範囲
育児・介護休業法第2条第4号と施行規則第3条によると、対象家族は次のとおりです。
・配偶者(事実婚を含む)
・父母、子、配偶者の父母
・祖父母、兄弟姉妹、孫
厚生労働省の判断基準の注記では、対象家族は同居しているかどうかを問わないとされています。離れて暮らす親の通院の付き添いにも使えます。
要介護状態とは
要介護状態とは、育児・介護休業法第2条第3号と施行規則第2条により、けがや病気、身体や精神の障害によって、2週間以上にわたり常に介護が必要な状態のことです。厚生労働省は、要介護認定を受けていることは必ずしも条件ではないと説明しています。
常に介護が必要かどうかは、厚生労働省の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」で判断します。座位保持、歩行、移乗、食事、排泄、衣類の着脱、意思の伝達、認知・行動上の課題など12の項目のうち、一部の手助けや見守りが必要な状態が2つ以上、または全面的な手助けが必要な状態が1つ以上あり、その状態が続くと認められる場合が対象です。介護保険の要介護2以上の認定を受けていれば、それだけで対象になります。
「世話」には通院の付き添いや手続きも含まれる
条文は「介護その他の厚生労働省令で定める世話」と書いています。介護休暇は、食事や入浴の手助けのような直接の介護だけでなく、通院の付き添いや、介護サービスを受けるための手続きの代行など、家族の世話のための用事にも使えると理解されています。実際に使う場面としては、病院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、介護保険の認定調査の立ち会い、施設の見学などが代表的です。
取れる日数と時間単位での取り方
介護休暇の日数は、対象家族が1人なら1年度に5日、2人以上なら10日までです。年度は、会社が別に定めていなければ4月1日から翌年3月31日までです(第16条の5第4項)。父と母の両方が要介護状態なら、合わせて10日まで取れ、配分は自由です。
時間単位の取り方
介護休暇は、1日単位だけでなく時間単位でも取れます。育児・介護休業法施行規則第40条では、時間単位の介護休暇は「始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続する」形と定められています。つまり、朝の始業から数時間休んで遅れて出勤する、または終業前に数時間休んで早めに退勤する、という取り方が法律の求める形です。
1日分が何時間にあたるかは、1日の所定労働時間で決まります。1日の所定労働時間に1時間未満の端数がある場合は、1時間に切り上げます。給与計算の解説でも、次のように説明されています。
介護休暇は、1日単位でも時間単位でも取得することができます。時間単位で取得する場合には、1日の時間数は「1日の所定労働時間数」とするのが原則です。1日の所定労働時間が7時間30分などと1時間未満の端数がある場合は、端数を切り上げて(この場合は8時間)計算します。 出典: biz.moneyforward.com
たとえば1日の所定労働時間が7時間30分の人なら、1日分は8時間として数えるので、5日分は40時間です。2時間ずつ取れば、20回に分けて使える計算になります。
中抜けは会社の判断
勤務時間の途中で抜けて、また戻る「中抜け」の形は、施行規則の定める形ではありません。法律上、会社が中抜けを認める義務はありませんが、会社が独自に認めることはできます。病院の予約が昼の時間帯しか取れない、といった事情がある場合は、会社に中抜けを認めてもらえないか相談してみる価値があります。
時間単位が難しい業務の場合
第16条の6第2項では、業務の性質や実施体制から、時間単位で取ることが難しいと認められる業務に従事する人は、労使協定(会社と労働者の代表が結ぶ書面の取り決め)を結べば、時間単位での取得の対象外にできるとされています。この場合も、1日単位の介護休暇は取れます。
介護休暇の使い方の具体例
介護休暇は、取れる日数が限られている分、どんな場面で使うかを考えておくと無駄なく使えます。よくある使い方を場面ごとに紹介します。
通院の付き添い
最も多いのが、家族の通院の付き添いです。午前中の診察なら、始業から3時間の介護休暇を取って付き添い、午後から出勤する、という使い方ができます。1日の所定労働時間が8時間の人なら、3時間の介護休暇を取っても、その年度に残る介護休暇は37時間です。毎月の定期通院に付き添う場合、3時間ずつなら1年度で13回ほど使える計算になります。
介護保険の認定調査の立ち会い
介護保険の要介護認定を申請すると、市区町村の調査員が自宅などを訪れて、本人の状態を確かめる認定調査があります。家族が立ち会って普段の様子を伝えることが大切なので、介護休暇を使って立ち会う人が多い場面です。調査の日時は平日の日中になることが多いため、時間単位の介護休暇が役立ちます。
ケアマネジャーとの面談や施設の見学
介護サービスの計画を立てるケアマネジャーとの面談、デイサービスや施設の見学、福祉用具の業者との打ち合わせなども、平日の日中に集中します。1回あたり1時間から2時間で済むことが多いので、終業前の数時間を介護休暇にして早めに退勤する使い方が向いています。
離れて暮らす親の介護
対象家族は同居していなくてもよいので、遠方に住む親の用事にも使えます。移動に時間がかかる場合は、1日単位で取ることになります。年5日では足りないことも多いので、年次有給休暇や、まとまった期間が必要なら介護休業との組み合わせを考えます。
日数が足りなくなったときの選択肢
介護が長引くと、1年度に5日(2人なら10日)の介護休暇では足りなくなることがあります。そのときに考えられる選択肢を整理します。
・年次有給休暇を使う。労働基準法第39条の休暇で、給与が支払われる。労使協定があれば年5日分までは時間単位でも取れる
・介護休業を使う。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる。条件を満たせば雇用保険から介護休業給付金が出る
・時間外労働の制限や所定外労働の制限で、残業を減らして介護の時間を作る
・短時間勤務やフレックスタイムなど、会社が用意している所定労働時間の短縮等の措置を使う
・会社独自の休暇制度を確かめる。法律を上回る日数の介護休暇や、失効した年次有給休暇を積み立てて介護に使える制度を設けている会社もある
介護休暇は年度ごとに日数が戻るので、年度の終わりに近い時期は、残りの日数と翌年度の予定を見比べて使い方を決めるとよいでしょう。会社が年度を4月1日以外から始めると定めている場合もあるので、就業規則で年度の区切りを確かめておきます。
パートや契約社員が介護休暇を取るときの注意
介護休暇は、パートや契約社員などの有期雇用の人も取れます。正社員と同じく、対象家族1人なら1年度に5日、2人以上なら10日までです。
パートの人が時間単位で取る場合、1日分の時間数は、その人の1日の所定労働時間で決まります。たとえば1日5時間勤務の人なら1日分は5時間で、5日分は25時間です。日によって勤務時間が違う人は、1年間の1日あたりの平均の所定労働時間で計算し、1時間未満の端数は切り上げます。
気をつけたいのは、週の所定労働日数が2日以下の人です。会社が労使協定を結んでいれば、この人たちは介護休暇の対象外にできます。週2日だけ働くパートの人は、自分の会社に労使協定があるかどうかを確かめてください。協定がなければ、週2日以下の人でも介護休暇を取れます。
介護休暇は有給か無給か
介護休暇の日の給与について、育児・介護休業法は何も定めていません。厚生労働省の事業主向けの案内では、次のように説明されています。
労働者が介護休暇を取得して労務を提供しない日や時間について、事業主に給与を支払う義務はなく、就業規則等で決めていただくことになります。企業によっては、失効年次有給休暇を利用するなど一定の範囲で有給としている例も見られます。 出典: mhlw.go.jp
つまり、介護休暇を有給にするか無給にするかは会社が決めることで、法律上は無給でもかまいません。自分の会社がどちらなのかは、就業規則や育児・介護休業規程で確かめます。
ただし、同じ案内では、実際に休んだ日や時間を超えて賃金を減らしたり、賞与や昇給で不利益な計算をしたりすることは禁止されているとも説明されています。たとえば2時間の介護休暇を取ったのに1日分の給与を差し引く、といった扱いは認められません。
無給の会社で、収入を減らしたくない場合は、労働基準法の年次有給休暇を使う方法もあります。年次有給休暇は給与が支払われる休みなので、介護の用事に使っても問題ありません。どちらを使うかは本人が選べます。
労働基準法が介護休暇に関わる場面
介護休暇そのものは労働基準法の制度ではありませんが、労働基準法の決まりが関わる場面がいくつかあります。
就業規則に介護休暇を書く義務
労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使う会社は就業規則を作り、労働基準監督署に届け出なければならず、その記載事項として「休暇」に関する事項が挙げられています。介護休暇も休暇なので、就業規則に書いておく必要があります。給与の有無、申し出の方法、時間単位での取り方などは、就業規則やそれに付属する育児・介護休業規程で確かめましょう。
年次有給休暇との関係
年次有給休暇は労働基準法第39条の制度で、入社から6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤した人に、まず10日が与えられます。介護休暇とは別の休暇なので、介護休暇を使っても年次有給休暇の日数は減らず、年次有給休暇を使っても介護休暇の日数は減りません。
年次有給休暇にも時間単位の取り方がありますが、こちらは労使協定がある場合に限られ、時間単位で取れるのは年5日分までです(第39条第4項)。介護休暇の時間単位の取り方は法律上の権利なので、労使協定がなくても取れます。両方を組み合わせれば、時間単位で使える休みの幅が広がります。
介護休業は年休の出勤率で出勤とみなされる
労働基準法第39条では、年次有給休暇がもらえるかどうかを決める出勤率の計算で、育児・介護休業法の介護休業をした期間は出勤したものとみなすと定められています。長めの介護休業を取っても、そのせいで翌年の年次有給休暇がもらえなくなることはありません。介護休暇については、この条文に名前が挙がっていないので、出勤率の計算での扱いは会社の定めを確かめてください。
労使協定で対象外にできる人と、令和7年4月の改正
介護休暇は、会社が労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数を代表する人)と労使協定を結べば、一部の人を対象外にできます。
令和7年4月1日から、この対象外にできる人の範囲が狭くなりました。厚生労働省のリーフレット「育児・介護休業法改正のポイント」によると、改正前後の違いは次のとおりです。
| 区分 | 改正前 | 令和7年4月1日以後 |
|---|---|---|
| 週の所定労働日数が2日以下の人 | 労使協定で対象外にできる | 労使協定で対象外にできる |
| 継続して雇われた期間が6か月未満の人 | 労使協定で対象外にできる | 対象外にできない(撤廃) |
つまり現在は、入社して間もない人でも介護休暇を取れます。転職した直後に親の介護が始まった、という場合でも安心です。会社の就業規則が改正前のまま「入社6か月未満は対象外」と書いてある場合は、規則の見直しが必要な状態なので、人事や総務に確かめてみてください。
令和7年4月の改正で会社に求められるようになったこと
同じ改正で、介護に関する会社の義務も広がりました。厚生労働省のリーフレットでは、次の点が挙げられています。
・介護に直面したと申し出た労働者に、介護休業や介護休暇などの制度、申し出先、介護休業給付金について個別に知らせ、利用の意向を確かめること(義務)
・労働者が40歳に達する年度などの早い時期に、介護休業などの制度について情報を提供すること(義務)
・研修、相談窓口の設置、利用事例の紹介、方針の周知のいずれかで、制度を使いやすい環境を整えること(義務)
・要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選べるようにすること(努力義務)
会社に「家族の介護が始まった」と伝えれば、会社の側から介護休暇を含む制度の説明があるはずです。説明がないときは、こちらから制度について聞いてかまいません。
介護が始まったら最初に確かめること
家族の介護が始まったとき、介護休暇を無理なく使うために、最初に確かめておきたいことを順番に並べます。
- 就業規則や育児・介護休業規程で、介護休暇の定めを確かめる。有給か無給か、年度の区切り、時間単位の取り方、当日の申し出の連絡方法がポイント
- 家族の状態が要介護状態にあたるかを、厚生労働省の判断基準の12項目にあてはめて確かめる。要介護認定の結果を待つ必要はない
- 家族の状態を簡単なメモにまとめる。会社への説明にも、ケアマネジャーとの面談にも使える
- 上司や人事に、介護が始まったことを伝える。令和7年4月からは、会社は制度を個別に知らせ、利用の意向を確かめることが義務になっている
- 当面の通院や面談の予定を書き出し、介護休暇で足りるか、年次有給休暇や介護休業も使うかを見積もる
- 休む時間帯の仕事を誰に引き継ぐかを決めておく。時間単位で休むことが多い場合は、定例の会議の時間などを調整してもらう
介護休暇は法律で守られた権利ですが、職場の理解があったほうが使いやすいのは確かです。予定が分かっている用事は早めに申し出ておき、急な用事のときに当日の申し出を受け入れてもらいやすくしておく、という段取りが、長く両立を続けるコツです。
会社への申し出方
介護休暇の申し出の方法は、育児・介護休業法施行規則第41条で定められています。申し出るときに会社へ伝えることは次のとおりです。
・申し出る労働者の氏名
・対象家族の氏名と、本人との続柄
・介護休暇を取る年月日(時間単位なら開始と終了の日時)
・対象家族が要介護状態にある事実
会社は、続柄や要介護状態にある事実を証明する書類の提出を求めることができます(第41条第2項)。ただし、厚生労働省は介護休業について、証明書類は医師の診断書に限らず、労働者が提出できるもので足りるという考え方を示しています。介護休暇でも、家族の状態を説明するメモや介護保険の認定通知など、手元で用意できるものを相談するとよいでしょう。
何日前までに申し出ればよいか
介護休業には「2週間前までに申し出ないと開始日を会社に指定される」という決まりがありますが、介護休暇の条文には、何日前までに申し出なければならないという期限は書かれていません。家族の急な体調の変化で当日に休みが必要になることもあります。当日の申し出をどう受け付けるかは会社ごとに決まっているので、急な場合の連絡方法(電話、メール、社内のシステムなど)を、あらかじめ就業規則で確かめておきましょう。
申し出の例
申し出は書面や社内の申請システムで行うのが一般的です。口頭で伝える場合も、あとで行き違いが起きないよう、メールなどで内容を残しておくと安心です。申し出の文面の例を示します。
「母(同居していません)が要介護状態にあり、通院の付き添いのため、10月15日の9時から12時まで介護休暇を取得します。母は要介護2の認定を受けています。」
申し出る人の氏名、対象家族と続柄、日時、要介護状態の事実という、施行規則が求める4つの要素が入っていれば足ります。社内の申請システムを使う会社では、これらを入力する欄が用意されていることが多いので、欄を埋めれば申し出になります。
会社に制度がないと言われたときの考え方
小さな会社では、就業規則に介護休暇の定めがないことがあります。常時10人未満の労働者しかいない会社は、労働基準法第89条の就業規則を作る義務自体がありません。そのため「うちには介護休暇の制度がない」と言われることもあります。
しかし、介護休暇は育児・介護休業法が直接、労働者に認めている権利です。就業規則に書いていなくても、会社の規模にかかわらず、要件を満たす労働者が申し出れば、会社は拒めません。就業規則がない場合、給与の有無などの細かな扱いは、会社と話し合って決めることになります。
伝えるときは、「育児・介護休業法の第16条の5にもとづいて、介護休暇を申し出ます」と根拠の法律を示すと、話が早く進みます。会社の担当者が、労働基準法に書いていないから義務はないと思い込んでいる場合もあるからです。話し合いで決まった内容は、あとで行き違いが起きないよう、メールや書面で残しておきましょう。小さな会社でも、育児・介護休業法の相談先は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で、会社の規模による違いはありません。
不利益な扱いの禁止と、断られたときの相談先
育児・介護休業法第16条の7は、介護休業の不利益取扱いの禁止を定めた第16条を介護休暇にも準用しています。つまり、会社は、労働者が介護休暇を申し出たことや取ったことを理由に、解雇やその他の不利益な扱いをしてはなりません。
厚生労働省の事業主向けの案内では、介護のための制度の利用を申し出たり利用したりしたことを理由に、正社員からパートタイマーになるよう強要したり、解雇や退職を強要したりすることは法律で禁止されていると説明されています。
会社が申し出を受け付けない、介護休暇を取ったら評価を下げられた、といった場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。育児・介護休業法の担当は労働基準監督署ではなく、この部署です。労働基準法の問題と思って労働基準監督署に行くと、担当が違うと案内されることがあるので注意してください。
育児・介護休業法第56条では、厚生労働大臣が事業主に報告を求め、助言、指導、勧告をすることができるとされ、第56条の2では、介護休暇の申し出を拒んだり不利益な扱いをしたりした事業主が勧告に従わない場合に、その旨を公表できると定められています。また第66条では、報告をしなかったり虚偽の報告をしたりした者は20万円以下の過料とされています。
※会社との話し合いがこじれて解雇や退職の強要に発展しているような場合は、労働局の相談とあわせて、弁護士や社会保険労務士に相談することも検討してください。
相談の現場でよくあるつまずき
労務や手続きの相談の場では、介護休暇と労働基準法をめぐって似たつまずきがくり返し起きます。匿名化して典型的な例を紹介します。
1つ目は、「労働基準法に書いていないから、会社は介護休暇を認めなくてよい」と会社側が誤解していた例です。小さな会社で就業規則に介護休暇の定めがなく、申し出た人が「うちには制度がない」と断られた、というものです。介護休暇は育児・介護休業法で定められた労働者の権利なので、就業規則に書いていなくても、会社は申し出を拒めません。
2つ目は、時間単位で取った介護休暇を、会社が半日単位で計算していた例です。2時間だけ休んだのに半日分の給与を差し引かれていた、というものです。休んだ時間を超えて賃金を減らすことは不利益な扱いにあたるので、給与明細を確かめて会社に相談すべきでした。
3つ目は、入社3か月の人が「6か月たたないと取れない」と言われた例です。令和7年4月の改正で、継続雇用期間6か月未満の人を対象外にする労使協定は結べなくなっています。会社の規則が古いままになっていたケースです。
介護と仕事の両立で使える制度の全体像
介護休暇は、仕事と介護の両立のための制度の1つにすぎません。育児・介護休業法には、ほかにも次のような制度があります。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて休業できる |
| 所定外労働の制限 | 申し出れば残業をしなくてよい |
| 時間外労働の制限 | 残業を1か月24時間、1年150時間までに制限できる |
| 深夜業の制限 | 午後10時から午前5時までの勤務を免除できる |
| 所定労働時間の短縮等の措置 | 短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤などのうち会社が用意したもの |
介護休暇で通院に付き添い、介護休業で介護サービスの手配を済ませ、その後は時間外労働の制限や短時間勤務で毎日の介護と仕事を回す、という組み合わせが現実的です。介護休業の間は、条件を満たせば雇用保険から休業前の賃金の67%を目安とする介護休業給付金が出ます。
雇われない働き方で介護と仕事を両立するとき
介護休暇も介護休業も、雇われて働く人の制度です。業務委託で仕事を受けるフリーランスには使えません。介護をきっかけに在宅で時間を調整しやすい働き方へ移る人もいますが、その場合は休暇の制度がない分、仕事の量や納期を自分で調整することになります。
在宅で受けやすい仕事の例には、文章の作成や編集があり、その単価の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。社内の文書作成の経験を生かすなら、ビジネス文書検定のような資格が、仕事を受けるときの説明材料になることもあります。
業務委託で仕事を受けるときは、報酬の支払期日などを契約で確かめておくことが欠かせません。報酬が支払われないトラブルが起きたときの手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】で詳しく説明されています。
運営者として見てきたこと
フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、家族の介護をきっかけに働き方を変える人は年々目立つようになっています。そのなかで仕事を長く続けられている人は、介護の状況を取引先に早めに伝え、納期に余裕のある仕事や、作業の時間帯を自分で決められる仕事を選んでいます。介護は予定どおりに進まないことが多いからです。
また、中間の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側も同じ予算で多く頼めます。手数料0%の取引で手取りが厚くなれば、介護のために仕事量を抑えても、収入の落ち込みをいくらか和らげられます。会社員なら介護休暇と介護休業を、フリーランスなら手取りの厚い取引を、それぞれ使える手段として知っておくことが、介護と仕事を両立させる土台になります。
まずは、自分の会社の就業規則で介護休暇の定めを確かめ、家族の介護が始まったら会社に伝えてください。労働基準法に書いていなくても、介護休暇は育児・介護休業法で守られた権利です。在宅や業務委託でどんな仕事が募集されているかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のような職種別のガイドで具体的に確かめられます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 介護休暇は労働基準法で定められていますか?
いいえ、介護休暇は労働基準法ではなく、育児・介護休業法の第16条の5で定められています。対象家族1人なら1年度に5日、2人以上なら10日まで取れ、会社は申し出を原則として拒めません。労働基準法は年次有給休暇や就業規則の決まりを通じて、介護休暇の使い方に関わります。
Q. 介護休暇の日は給料が出ますか?
法律上、会社に給与を支払う義務はなく、有給か無給かは就業規則などで会社が決めます。厚生労働省は、失効した年次有給休暇を使うなどして一定の範囲で有給にしている会社もあると紹介しています。無給の会社でも、休んだ時間を超えて賃金を減らすことは不利益な扱いとして禁止されています。
Q. 入社したばかりでも介護休暇は取れますか?
取れます。令和7年4月1日から、継続して雇われた期間が6か月未満の人を労使協定で対象外にする仕組みはなくなりました。現在、労使協定で対象外にできるのは、週の所定労働日数が2日以下の人などに限られます。就業規則が古いままの場合は、人事や総務に確かめてください。
Q. 介護休暇を断られたらどこに相談すればいいですか?
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。育児・介護休業法の担当は労働基準監督署ではなくこの部署です。介護休暇の申し出を拒んだり、取ったことを理由に不利益な扱いをしたりすることは法律で禁止されており、労働局は会社に助言や指導、勧告を行えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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