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エクセルで顧客データベースを作る|項目と入力のルール

@SOHO編集部
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エクセルで顧客データベースを作る|項目と入力のルール

この記事のポイント

  • ✓エクセルで顧客管理のデータベースを作る方法を
  • ✓テーブルと入力規則の設定
  • ✓表記ゆれを防ぐ入力のルール

エクセルで顧客管理のデータベースを作るときに、うまくいかない表にはよく似た共通点があります。1人のお客様の情報が何行にも分かれている、同じ会社名が「株式会社」と「(株)」で別々に入っている、見出しが2段になっていて並べ替えができない。どれも、作り始めの数分で決めるべき「表の形」と「入力のルール」を決めずに入力を始めたことが原因です。この記事では、エクセルで顧客データベースを作る手順を、表の形の決め方、項目の並べ方、テーブルとデータの入力規則の設定、入力のルール、関数やピボットテーブルを使った活用、守っておきたい保護の設定まで、順番に整理します。問い合わせフォームで集めた情報をエクセルに取り込む方法の1つとして、Halictのような受付用のフォームサービスにも触れます。

エクセルの顧客データベースとは|「名簿」との違い

顧客データベースという言葉は大げさに聞こえますが、エクセルで作るものは、決まった形で並んだ顧客の一覧表です。ただし、紙の名簿をそのままエクセルに写したものとは、少し違います。違いは、あとから「探す」「並べ替える」「数える」ができる形になっているかどうかです。

たとえば、紙の名簿では、見やすさのために会社ごとに枠で囲み、担当者を2段に書き、余白にメモを書き込むことがあります。人が目で読むならそれで十分ですが、エクセルで同じことをすると、並べ替えた途端に行がずれ、フィルターで絞り込んでも欲しい行が出てきません。データベースとして使う表は、見た目より「機械が読める形」を優先します。

顧客管理の道具を提供する会社の解説記事も、エクセルでの顧客データベースづくりを、基本の作り方から関数や集計での活用まで段階を追って説明しています。

この記事では、エクセルを使った顧客管理データベースの作り方を、初心者の方でも理解しやすいように、ステップバイステップで解説します。読み終える頃には、あなたは以下のスキルと知識を習得し、日々の業務を劇的に効率化する道筋を見つけることができるでしょう。 出典: flexcrm.jp

エクセルで顧客データベースを作る利点は、多くの会社ですでに使える環境があり、追加の費用がかからないことです。操作に慣れている人が多いので、教える手間も少なくて済みます。反対に、複数の人が同時に書き込む、履歴を残す、メールの送受信と結び付ける、といったことは苦手です。この記事では、エクセルが得意なところを生かしつつ、苦手なところでつまずかない作り方を説明します。

作る前に決める3つの原則

エクセルの顧客データベースは、入力を始める前に次の3つを決めておくと、あとから作り直す必要がなくなります。

原則1:1行に1件、1列に1項目

1人のお客様(または1社)を1行に入れ、1つの列には1種類の情報だけを入れます。「住所」の列に郵便番号と住所と電話番号をまとめて書いたり、1人のお客様を2行に分けたりしません。担当者が複数いる会社なら、会社の表と担当者の表を分けるか、担当者ごとに1行にして会社名を繰り返し入れます。

原則2:見出しは1行目だけ、結合しない

見出しは1行目に1段だけ並べます。セルの結合は使いません。表の上にタイトルや作成日を書きたい場合は、表のシートには書かず、別のシートに書くのが確実です。表の上にタイトルの行があると、エクセルがどこからが見出しなのかを判断しにくくなるためです。Microsoftの公式ヘルプでも、ピボットテーブルを作る前提として、データは1つの見出し行がある列にまとめる必要があると説明されています。

原則3:空白の行と列を挟まない

見やすくするために途中に空の行を入れると、エクセルはそこで表が終わったと判断し、並べ替えやフィルターが途中までしか効かなくなります。区切りが欲しいときは、空の行ではなく「区分」のような列を作って値で分けます。

この3つの原則は、どれも地味ですが、守られていない表は、あとでどんな関数を使っても扱いにくいままです。すでに作ってある表がある場合は、まず結合を外し、空の行を消し、1行1件の形に直すところから始めます。

入れる項目と列の並べ方

項目は、顧客データベースを何に使うかで決めます。請求書の宛先として使うのか、案内のメールを送るのか、来店や購入の履歴を見るのかで、必要な列が変わります。まずは小さな事業者でよく使う項目を、列の並び順の例として挙げます。

列 項目 入れ方の例
A 顧客番号 C0001 のように、文字と数字を決まった桁で
B 区分 法人、個人、見込み など選択肢から
C 会社名 株式会社は省略せずに全角で
D 氏名 姓と名のあいだに全角の空白を1つ
E フリガナ 全角カタカナ
F メールアドレス 半角。1つの列に1つだけ
G 電話番号 半角の数字とハイフン。文字列として入れる
H 郵便番号 半角の数字とハイフン。文字列として入れる
I 住所 都道府県から
J 初回取引日 2026/10/23 のように日付として
K 最終取引日 日付として
L 担当者 社内の担当者を選択肢から
M 案内メールの可否 可、不可 を選択肢から
N メモ 自由に記入

並べ方のこつは、左から「必ず入る項目」「よく使う項目」「ときどき使う項目」の順にすることです。顧客番号と氏名を左端に寄せておけば、横に長い表でも、右のほうを見ているときに誰の行か分かりにくくなりません。

顧客番号は、氏名やメールアドレスとは別に必ず作ります。同じ名前の人がいる、結婚などで名字が変わる、メールアドレスが変わる、といったことは珍しくありません。番号は一度振ったら変えず、取引をやめたお客様の番号も別の人に使い回しません。

「案内メールの可否」の列は、見落とされやすいけれど大切な項目です。広告や宣伝のメールを送るには、原則として相手の同意が必要とされています。誰がいつ同意したのかを記録しておけば、送ってよい相手だけに絞り込めます。

項目は増やしすぎないことも大切です。「あると便利かもしれない」で列を増やすと、空欄だらけの表になり、どの列が信用できるのか分からなくなります。はじめは10列から15列程度に絞り、3か月使ってみて足りないものを加えるほうが、結果として長く使える表になります。

テーブルとデータの入力規則を設定する

表の形と項目が決まったら、エクセルの機能で「崩れにくい表」にします。使うのは、テーブル、データの入力規則、ウィンドウ枠の固定の3つです。

テーブルとして書式設定する

1行目の見出しと、少なくとも1行のデータを入力したら、表の中のセルを1つ選び、[ホーム] の [テーブルとして書式設定] から好きなスタイルを選びます。範囲を確かめる画面で「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にあたるチェックを入れて [OK] を押せば完了です。空の表から始めたいときは、範囲を選んで [挿入] の [テーブル] を使う方法もあります。

テーブルにすると、次のような利点があります。

  • 最後の行のすぐ下に入力すると、表が自動で広がり、書式や数式も引き継がれる
  • 見出しにフィルターのボタンが付き、並べ替えと絞り込みがすぐできる
  • 1行おきに色が付き、横に長い表でも行を見失いにくい
  • 数式の中で、セルの番地の代わりに列の名前で範囲を指定できる

データの入力規則で選択肢を作る

区分、担当者、案内メールの可否のように、決まった値しか入らない列は、選択肢から選ぶ形にします。列のセルを選び、[データ] タブの [データの入力規則] を開き、[設定] タブの [入力値の種類] で [リスト] を選んで、元の値に「法人,個人,見込み」のように半角のカンマで区切って入力します。

データの入力規則は、選択肢を作るだけでなく、日付の列に日付以外が入らないようにする、電話番号の列の文字数を決める、といった使い方もできます。[入力時メッセージ] のタブで「半角で、ハイフンを付けて入力」のような説明を出しておくと、入力する人が迷いません。[エラー メッセージ] のタブでは、決まりに合わない値が入力されたときの表示を決められます。

ウィンドウ枠を固定する

行が増えてくると、下に送ったときに見出しが見えなくなります。[表示] タブの [ウィンドウ枠の固定] を使えば、見出しの行と左端の列を固定できます。顧客番号と氏名の列まで固定しておくと、右のほうの列を見ているときにも、どのお客様の行かが分かります。

表記ゆれを防ぐ入力のルール

顧客データベースが使えなくなる一番の原因は、関数の知識の不足ではなく、表記のばらつきです。同じお客様が「株式会社ABC」「(株)ABC」「ABC」の3行に分かれていれば、件数も取引の履歴も正しく数えられません。入力のルールを文章にして、表と同じブックの別のシートに保存しておきます。

ルールの例を挙げます。

  1. 会社名の「株式会社」「有限会社」は省略しない。前株、後株は登記の表記どおりにする
  2. 英字と数字は半角、カタカナは全角にそろえる
  3. 氏名は、姓と名のあいだに全角の空白を1つ入れる
  4. 電話番号と郵便番号はハイフンを付け、先頭の0が消えないように文字列として入れる
  5. 日付は「2026/10/23」の形で入れ、「10月23日」や「R8.10.23」のような書き方をしない
  6. 1つのセルに2つの情報を入れない(メールアドレスが2つある場合は列を分ける)
  7. 分からない項目は空欄のままにし、「不明」「なし」「-」などの文字を入れない

住所の書き方も人によってばらつきやすい項目です。「1丁目2番3号」と「1-2-3」が混ざると、同じ住所でも別のものとして扱われ、重複を見つけられません。番地は半角の数字とハイフンで書く、建物の名前と部屋番号は番地のあとに全角の空白を1つ空けて続ける、のように、住所だけでも決まりを1行書いておくと、入力する人ごとの違いが小さくなります。

7番目は意外に効く決まりです。空欄なら「まだ入っていない」と分かりますが、人によって「不明」「なし」「-」と書き方が違うと、絞り込みのたびにすべての書き方を拾う必要が出てきます。

すでに入力されたデータの表記をそろえるには、関数が使えます。ASC関数は全角の英数字を半角に変える関数で、=ASC(F2) のように使います。TRIM関数は、文字の前後にある余分な空白を取り除く関数で、=TRIM(D2) のように使います。どちらも、隣の列に数式を入れて結果を確かめ、問題がなければ [値の貼り付け] で元の列に戻すと、元のデータを壊さずに直せます。

電話番号の先頭の0が消える問題は、多くの人がつまずきます。エクセルは「09012345678」を数字と判断し、先頭の0を落としてしまいます。ハイフンを付けて入力するか、列の表示形式をあらかじめ [文字列] にしておけば防げます。

重複を見つけて整理する

長く使っていると、同じお客様が2回登録されていることが必ず出てきます。問い合わせのたびに新しい行を作ってしまう、別の担当者が同じ人を登録する、といった理由です。重複を見つける方法と、消すときの注意を整理します。

条件付き書式で重複に色を付ける

メールアドレスや電話番号の列を選び、[ホーム] の [条件付き書式] から [セルの強調表示ルール]、[重複する値] を選ぶと、同じ値が2つ以上あるセルに色が付きます。まずは色で確かめ、本当に同じ人かどうかを目で見て判断します。

COUNTIF関数を使う方法もあります。COUNTIF関数は、範囲の中で条件に合うセルの数を数える関数です。たとえば、O列に =COUNTIF(F:F,F2)>1 と入れると、同じメールアドレスが2つ以上ある行に TRUE と表示されます。フィルターで TRUE だけを表示すれば、重複している行だけを並べて見られます。

重複の削除を使う前にコピーを取る

[データ] タブの [重複の削除] を使うと、選んだ列の値が同じ行を一度に消せます。便利ですが、消した行は元に戻せない前提で考えます。Microsoftの公式ヘルプも、作業の前に元のデータを残すよう勧めています。

[ 重複の削除 ] 機能を使用すると、重複データは完全に削除されます。 誤って情報が失われないように、重複を削除する前に、元のデータを別のワークシートに 移動またはコピー することをお勧めします。 出典: Microsoft サポート(重複を検索して削除する)

顧客データベースでは、重複の削除をいきなり使うより、重複した2行のうち情報の多いほうを残し、もう一方の行にしかないメモや取引日を書き写してから、手で行を削除するほうが安全です。件数が多い場合も、ファイルを別名で保存してから作業します。

関数とピボットテーブルで活用する

データがそろってくると、顧客データベースは「探す」「数える」に使えるようになります。よく使う機能を3つ紹介します。

XLOOKUP関数で顧客番号から情報を引く

XLOOKUP関数は、表の中から値を探し、同じ行の別の列の値を返す関数です。請求書や送り状のシートで、顧客番号を入れるだけで会社名や住所を表示したいときに使います。書式は =XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 戻り配列, [見つからない場合]) です。たとえば、別のシートのB2に顧客番号を入れ、=XLOOKUP(B2,顧客!A:A,顧客!C:C,"未登録") とすれば、顧客のシートのC列から会社名を返し、見つからなければ「未登録」と表示します。

XLOOKUP関数は Microsoft 365、Excel 2021、Excel 2024 などで使えますが、Excel 2016 と Excel 2019 では使えません。古い版のエクセルを使う人とファイルをやり取りする場合は、VLOOKUP関数を使います。=VLOOKUP(B2,顧客!A:N,3,FALSE) と書けば、顧客番号の列から数えて3列目の会社名を返します。

フィルターで目的別に絞り込む

テーブルにしてあれば、見出しのボタンからすぐに絞り込めます。「案内メールが可で、最終取引日が2026年4月1日以降」のように、複数の列の条件を重ねれば、案内を送る相手の一覧ができます。絞り込んだ結果は、別のシートに貼り付けてから使うと、元の表を崩さずに済みます。

最後の取引から時間がたっているお客様を見つけたい場合は、最終取引日から今日までの日数を数える列を作ります。=TODAY()-K2 と入れて表示形式を [標準] にすれば、何日たったかが数字で出ます。この列で大きい順に並べ替えれば、しばらく連絡していないお客様が上に並びます。

並べ替えずに一目で分かるようにしたい場合は、条件付き書式で行ごとに色を付けます。表のデータの範囲を選び、[ホーム] の [条件付き書式] から [新しいルール] を開き、[数式を使用して、書式設定するセルを決定] を選んで、=TODAY()-$K2>=180 と入れます。書式で薄い色を選べば、最後の取引から180日以上たったお客様の行に色が付きます。$K のように列の前にだけ $ を付けるのは、どの列のセルでも K列の日付を見るようにするためです。日数は事業に合わせて、90日や365日に変えて使います。

ピボットテーブルで数える

ピボットテーブルは、表のデータを項目ごとに数えたり合計したりする機能です。表の中のセルを選んで [挿入] の [ピボットテーブル] を選び、[新規ワークシート] を選んで [OK] を押します。右側に出る一覧で、[行] に「区分」や「担当者」、[値] に「顧客番号」を入れると、区分ごと、担当者ごとの件数が出ます。元の表に行を追加したら、ピボットテーブルの上で右クリックして [更新] を選びます。

都道府県ごとの件数、初回取引の年ごとの件数なども、同じ手順で数えられます。月に1回、件数の動きを見るだけでも、どの地域や区分のお客様が増えているかが分かります。

取引の履歴は別のシートに分ける

顧客データベースを作り始めると、「購入した日と金額も同じ行に入れたい」と考えがちです。けれども、1回目の購入、2回目の購入と列を右へ増やしていくと、取引の多いお客様ほど行が長くなり、合計や比較がしにくくなります。取引の履歴は、顧客の表とは別のシートに分けて記録します。

2つの表を顧客番号でつなぐ

顧客のシートには、氏名や連絡先のように「お客様1人につき1つ」の情報だけを入れます。取引のシートには、1回の取引を1行として、取引日、顧客番号、内容、金額を並べます。2つの表をつなぐのは顧客番号です。取引のシートには氏名を入れず、顧客番号だけを入れておけば、お客様の名字が変わっても取引の記録を直す必要がありません。

列 項目 入れ方の例
A 取引日 2026/10/23
B 顧客番号 C0001(顧客のシートと同じ番号)
C 内容 商品名やサービス名を選択肢から
D 金額 数字だけ。円は表示形式で付ける

顧客のシートで取引を数える

顧客のシートの側には、取引のシートから計算した値を表示する列を作ります。SUMIFS関数は、条件に合う行の数値を合計する関数で、=SUMIFS(取引!D:D,取引!B:B,A2) と入れると、その行のお客様の取引金額の合計が出ます。MAXIFS関数は、条件に合う行の中で一番大きい値を返す関数で、=MAXIFS(取引!A:A,取引!B:B,A2) と入れると、そのお客様の最後の取引日が出ます。表示形式を日付にしておくと読みやすくなります。MAXIFS関数は Excel 2019 以降と Microsoft 365 で使えます。

この形にしておけば、取引を1行追加するだけで、顧客のシートの合計と最終取引日が自動で変わります。最終取引日を手で書き換える作業がなくなり、書き忘れによるずれも起きません。

パスワードと共有の注意点

顧客データベースには、名前、住所、電話番号、メールアドレスなど、個人を特定できる情報が集まります。個人情報保護法は、個人情報を扱う事業者に、その情報が漏れたり失われたりしないよう安全に管理する手立てを求めています。小さな事業者でも、次の設定と決まりは最低限そろえておきます。

ファイルにパスワードを設定する

Windows版のエクセルでは、[ファイル] の [情報] を選び、[ブックの保護] から [パスワードで暗号化] を選ぶと、ファイルを開くときにパスワードを求めるようにできます。Microsoftの公式ヘルプでは、パスワードを忘れると Microsoft にも回復できないと注意されています。パスワードは、ファイルとは別の安全な場所に控えておきます。

共有の仕方を決める

メールにファイルを添付して社内でやり取りすると、どれが最新か分からなくなり、送り間違いの心配も増えます。複数の人で使うなら、OneDrive や SharePoint などに1つだけ保存し、使う人だけに共有の権限を付けます。共有のリンクを「リンクを知っている全員」にしないこと、退職した人や外部の協力者の権限をその日のうちに外すことも決めておきます。

控えを残す

誤って行を消したり、上書き保存したりしたときに備えて、週に1回、日付を付けた名前でファイルの控えを保存します。控えのファイルも同じように個人情報の集まりなので、保存先と保存する期間を決め、古いものは削除します。

どこまでの手立てが必要かは、扱う件数や情報の種類で変わります。考え方は個人情報保護委員会の案内で確かめ、判断に迷う場合は専門家に相談します。

更新と見直しのルールを決める

顧客データベースは、作った日がいちばん正確で、放っておくと少しずつ実際とずれていきます。引っ越し、転職、会社の名前の変更、メールアドレスの変更は、お客様から知らせてもらえないことも多いからです。使い続けるために、更新と見直しのルールも決めておきます。

誰がいつ更新するかを決める

新しいお客様を登録する人、連絡先の変更を反映する人を決めます。人数が少ないなら、担当者の列に入っている人が、自分のお客様の行に責任を持つ形が分かりやすいです。変更したときは、メモの列に「2026/10/23 住所変更」のように日付と内容を書き残すと、あとで経緯をたどれます。

月に1回の点検

月に1回、次の点を確かめます。

  1. 必ず入る項目(顧客番号、氏名、区分)に空欄の行がないか
  2. 条件付き書式で、メールアドレスや電話番号の重複に色が付いていないか
  3. 案内メールが「不可」の人が、配信の一覧に混ざっていないか
  4. 返ってきた郵便物や届かなかったメールの宛先が、直されているか

10分ほどの点検ですが、続けていれば、表記ゆれや重複が積み重なって使えなくなる前に手を打てます。

取引のなくなったお客様の扱い

長く取引のないお客様の行を、いつまでも残しておく必要はありません。個人情報保護法では、利用する必要がなくなった個人データは、遅れることなく消すよう努めることとされています。「最後の取引から何年たったら削除する」という基準を決め、年に1回、基準を過ぎた行を整理します。請求や契約の記録のように、税や法律の決まりで保存の期間が定められている書類は別に扱うので、削除の基準を決めるときは、経理の担当者や税理士に確かめます。

フォームで集めた情報をエクセルに取り込む

顧客データベースを手で入力していると、問い合わせや申込みのたびに、メールを見ながら1件ずつ転記する作業が生まれます。転記は、打ち間違いと表記ゆれが入り込む一番の入り口です。最初から決まった項目で受け付けるフォームを使えば、入力の手間と表記のばらつきを同時に減らせます。

無料で始めるなら、Googleフォームや Microsoft Forms で受け付け、回答をCSVで書き出して、エクセルのテーブルに貼り付ける方法があります。フォームの項目名を、エクセルの見出しと同じ名前と順番にしておくと、貼り付けるだけで列がそろいます。

問い合わせの受付から対応までをまとめて扱いたい場合

フォームで受けた1件ごとに担当と状況を残し、返信まで同じ画面で行いたい場合の選択肢の1つが、受付から対応までを扱うフォームサービスのHalict(ハリクト)です。公式サイトの案内では、メールアドレスをもとに、同じ人が複数のフォームに答えても1人の連絡先として束ねられると説明されています。回答と、応募後に事務局が付ける情報は、列としてCSVに書き出せるので、エクセルの顧客データベースに取り込むこともできます。スタータープラン(3人まで、月額2,980円・税抜)からは、新しい回答をGoogleスプレッドシートに1行ずつ追記する連携も使えます。メンバー1人までのフリープランは0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

Halictは、フォームで受け付けた人の情報と対応の記録を扱う道具です。電話や店頭で受けたお客様の情報、請求や売上の記録まで1か所で扱いたい場合は、顧客管理の専用ツールのほうが合います。

エクセルで続けるか、専用のツールに移るか

エクセルの顧客データベースは、件数が数百件程度で、使う人が2人から3人までなら、十分に役目を果たします。一方で、次のような状態になったら、顧客管理の専用ツール(CRMと呼ばれる、顧客の情報とやり取りの履歴をまとめて扱うソフト)を考える時期です。

  • 複数の人が同時に書き込み、誰かの入力が上書きされることがある
  • お客様とのメールや電話の記録が、エクセルとは別のところに散らばっている
  • 誰がいつどの行を変えたのかを、あとからたどる必要がある
  • 件数が増えて、ファイルを開くのや並べ替えに時間がかかる
  • 外出先からスマートフォンで確かめたい場面が多い

専用のツールに移る場合も、エクセルで作った表はむだになりません。1行1件、1列1項目、表記のそろった表であれば、多くのツールがCSVの取り込みに対応しているので、そのまま移せます。反対に、セルの結合や表記ゆれが残った表は、移すときに手直しが必要になります。今はエクセルで続けるつもりでも、この記事の原則どおりに作っておけば、将来の移行が楽になります。

中小企業やSOHO向けの専用ツールの違いは、中小企業・SOHO向けCRMツールおすすめ5選|HubSpot vs Salesforceで、代表的な製品を比べながら紹介しています。美容室やサロンのように予約と顧客管理と会計をまとめたい業種については、美容・サロン業界のDX2026|予約管理 × 顧客管理 × 決済のSaaS一括導入が参考になります。

顧客データベースづくりから広がる仕事

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、小さな会社の事務の相談には、「顧客の一覧はあるが、表がばらばらで使えない」というものが少なくありません。表の形を整え、入力のルールを決め、集計の仕組みを作る作業は、会社の中に詳しい人がいないと後回しになりがちで、外部の人に頼みたいという声につながっています。仲介の手数料がかからない直接取引なら、依頼する側は同じ予算で頼める範囲が広がり、受ける側は手取りが厚くなります。整えた表を使い続けてもらえれば、次の相談にもつながりやすくなります。

顧客の一覧を使ってメールの配信や案内の自動化を組み立てる仕事は、CRM・メルマガ・自動化施策のお仕事で紹介しています。顧客の情報を守る仕組みづくりや、データを生かした集客の仕事はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にあたります。

顧客の管理の仕方を含めて、中小企業の経営と業務の改善を幅広く支援する国家資格として中小企業診断士があります。医療機関の受付では、患者の情報を正確に入力し、漏れなく管理する力が求められ、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)で学ぶ受付の業務にも、この記事の入力のルールと同じ考え方が通じます。

エクセルの顧客データベースは、高度な関数よりも、1行1件の形と、表記をそろえる入力のルールで使いやすさが決まります。まずは今ある表の結合を外し、空の行を消し、ルールを1枚のシートに書くところから始めてみてください。

よくある質問

Q. エクセルの顧客データベースには何件くらいまで登録できますか?

エクセルのワークシートで扱える行数の上限は大きく、小さな事業者の顧客データベースで登録できる件数に困ることはまずありません。ただし、件数が数千件を超え、複数の人が同時に書き込むようになると、上書きや動作の遅さが気になってきます。件数そのものより、使う人の数と、やり取りの履歴まで残したいかどうかで、専用のツールに移る時期を判断します。

Q. 電話番号の先頭の0が消えてしまうのはなぜですか?

エクセルが「09012345678」のような入力を数字と判断し、数字としては意味のない先頭の0を落とすためです。ハイフンを付けて「090-1234-5678」と入力するか、入力する前に列の表示形式を「文字列」にしておくと防げます。すでに消えてしまったものは、表示形式を変えたうえで入力し直します。

Q. VLOOKUP関数とXLOOKUP関数はどちらを使えばよいですか?

Microsoft 365 や Excel 2021 以降を使っているなら、列の番号を数える必要がなく、見つからない場合の表示も指定できるXLOOKUP関数のほうが扱いやすいです。Excel 2016 や Excel 2019 ではXLOOKUP関数が使えないので、古い版を使う人とファイルをやり取りする場合はVLOOKUP関数を使います。

Q. 顧客データベースのファイルを社内で共有するときに気を付けることは?

メールにファイルを添付して回すと、最新版が分からなくなり、送り間違いの心配も増えます。OneDrive などに1つだけ保存し、使う人だけに権限を付けるのが基本です。ファイルにパスワードを設定する、退職した人の権限をすぐに外す、日付を付けた控えを定期的に保存する、といった決まりも合わせて作っておきます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月23日最終更新:2026年10月25日
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