電気工事士の開業届は必要か|登録が要る仕事と要らない仕事の線引き

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
電気工事士の開業届は必要か|登録が要る仕事と要らない仕事の線引き

この記事のポイント

  • 電気工事士の開業届は必要か
  • 電気工事業の登録はどこから要るのか
  • 電気工事業法上の登録・通知・届出は別物です

電気工事士の免状を持っていて、これから個人で仕事を受けようとしている人がまず引っかかるのが、手続きの話です。開業届は出すのか。電気工事業の登録は要るのか。届けを出さずに受けたら違法なのか。結論から言うと、この3つはそれぞれ別の法律の話で、要否の判断基準も別々です。

先に整理しておきます。開業届は所得税法の話で、事業として反復継続して収入を得るなら基本的に提出します。電気工事業の登録は電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)の話で、「電気工事業を営む」かどうかで決まります。そして工事そのものに従事できるかは電気工事士法の話で、これは免状の種類の問題です。この3層を混ぜて考えるから、ネット上の情報を読んでも自分のケースに当てはまらないという事態になります。

この記事では、免状をすでに持っている人が個人で仕事を受けるとき、どの手続きが要って、どこからは要らないのかを、根拠になる法令名を出しながら並べます。ただし最終的な線引きは働き方の実態で変わるため、断定はしません。確認すべき窓口も併せて書きます。

電気工事士まわりの手続きは3層に分かれている

まず地図を描きます。電気工事士が個人で動くとき、関係してくる法律は主に3つです。

第一層は電気工事士法です。これは「誰が作業してよいか」を決める法律で、一般用電気工作物の工事は第二種電気工事士以上、自家用電気工作物のうち最大電力500キロワット未満の需要設備は第一種電気工事士、という区分がここにあります。免状を持っていること自体がこの層の要件を満たしている状態です。

第二層は電気工事業法です。正式名称は電気工事業の業務の適正化に関する法律。こちらは「誰が事業として請け負ってよいか」を決めています。免状を持っていることと、事業者として登録されていることは別で、免状だけでは事業者要件を満たしません。ここが最大の誤解ポイントです。

第三層は税務です。所得税法第229条に基づく個人事業の開業・廃業等届出書、いわゆる開業届がこれにあたります。こちらは事業を始めた事実を税務署に知らせるための手続きで、電気工事という業種固有のものではありません。

3層のどれが要るかは、あなたが「どういう立場で」「誰から」仕事を受けるかで変わります。同じ電気工事士でも、常用で応援に入る人と、自分の名前で工事を請け負う人では要る手続きが違う。ここを分けずに「電気工事士は登録が必要」とだけ書いてある記事を読むと、必要以上に身構えることになります。

免状の種類と扱える範囲は法律で決まっている

第二種電気工事士は一般用電気工作物、つまり一般住宅や小規模店舗の低圧受電設備の工事に従事できます。第一種電気工事士はそれに加えて、自家用電気工作物のうち最大電力500キロワット未満の需要設備の工事にも従事できます。ビルや工場の高圧受電設備はこちらの範囲です。

ここで注意したいのが、電気工事士法は業務独占資格を定めた法律だという点です。免状を持たない人が該当する工事に従事することは禁止されており、罰則も規定されています。逆に言えば、免状を持っている人が「どこまでやってよいか」も法律の条文と経済産業省令で細かく決まっていて、感覚で広げてよいものではありません。

さらに、自家用電気工作物のうち特殊なもの、たとえばネオン工事や非常用予備発電装置の工事については、第一種電気工事士免状に加えて特種電気工事資格者認定証が求められます。また、電線路に係らない一定の簡易な工事については認定電気工事従事者認定証という枠組みがあります。自分の免状で受けられる範囲かどうかは、案件ごとに確認が要ります。

正直なところ、この範囲の確認を後回しにして受注してしまう人は少なくありません。受けたあとで「これ第一種の範囲だった」と気づくと、断るしかなくなります。案件の話が来た時点で、受電方式と設備の規模を先に聞くのが実務的な防御策です。

開業届は必要か、いつ出すのか

税務の話から片付けます。所得税法上、事業所得を生む事業を新たに開始した場合、開業の日から1か月以内に個人事業の開業・廃業等届出書を納税地の所轄税務署へ提出することとされています。電気工事に限った話ではなく、業種を問わない一般ルールです。

「副業で年に数件だけなら要らないのでは」という質問は非常に多いのですが、判断軸は金額の大小ではなく、反復継続して事業として行っているかどうかです。年に1件だけ知人宅のコンセント増設を手伝って謝礼をもらった、という程度なら雑所得で処理する余地があります。一方で、募集を見て継続的に案件を取りに行っているなら、規模が小さくても事業としての実態があると見るのが自然です。

開業届を出す実務上のメリットもあります。青色申告承認申請書を出せるのが最大の点で、これを提出すると複式簿記による記帳を条件に最大65万円の青色申告特別控除が使えます。提出期限は原則として事業開始から2か月以内で、その年の1月1日から1月15日までに開業した場合はその年の3月15日までです。開業届を出したその場で一緒に出しておくのが定石になっています。

もうひとつ、屋号付きの事業用口座を作る、事業用のクレジットカードを作る、といった場面で開業届の控えを求められることがあります。工具や材料の仕入れが発生する電気工事は、家計の口座と混ぜると経費計算が一気に面倒になる業種です。口座を分ける準備という意味でも、早めに出しておく実利があります。

なお開業届の提出先は住所地を管轄する税務署です。引っ越しをすると納税地が変わるため、届出をやり直す必要が出てきます。この手のフリーランス側の住所変更手続きは、電気工事に限らずまとめて整理しておくと迷いません。開業届の住所変更や関連する届出先をまとめた解説としてフリーランスの引っ越し手続き一覧|開業届の住所変更や届出先まとめがあります。引っ越す予定がある人は先に目を通しておくと、あとで慌てずに済みます。

開業届を出しても電気工事業の登録にはならない

ここを取り違えている人が本当に多い。開業届は税務署に対する届出で、電気工事業の登録は都道府県知事または経済産業大臣に対する登録です。管轄する役所も、根拠法も、審査の中身もまったく別です。開業届を出したから電気工事業者として登録された、ということにはなりません。

逆もまた然りで、電気工事業の登録を受けても、それは所得税法上の開業届の代わりにはなりません。事業をやるなら両方の話が並行して出てくると考えておくのが正確です。

電気工事業の登録が要るのはどこからか

本題です。電気工事業法は、電気工事業を営もうとする者に対して登録または通知を求めています。ここでいう「電気工事業を営む」とは、一般用電気工作物または自家用電気工作物に係る電気工事を、事業として請け負って行うことを指します。

区分は主に4つあります。

一つ目が登録電気工事業者です。建設業の許可を持たない事業者が、一般用電気工作物の工事を請け負う場合の区分がこれにあたります。登録の有効期間は5年で、更新手続きが必要です。個人で始める人の大半はまずこの区分に該当します。

二つ目がみなし登録電気工事業者です。建設業法上の許可を受けている事業者が電気工事業を営む場合、あらためて登録を受けるのではなく開始届出を行う形になります。建設業許可を先に取っている人はこちらです。

三つ目が通知電気工事業者です。自家用電気工作物に係る電気工事のみを請け負う場合の区分で、登録ではなく開始の通知を行います。四つ目がみなし通知電気工事業者で、建設業許可を持ちつつ自家用のみを扱う場合です。

提出先は、営業所が1つの都道府県内に収まるなら当該都道府県知事、2つ以上の都道府県にまたがるなら経済産業大臣(実務上は所管の産業保安監督部)です。個人で始める場合はほぼ都道府県知事登録になります。

主任電気工事士の要件が実質的なハードルになる

登録電気工事業者の登録には、営業所ごとに主任電気工事士を置くことが求められます。ここが個人で始める人にとって一番の関門です。

登録には、営業所ごとに主任電気工事士の配置が求められます。第一種電気工事士または第二種電気工事士で3年以上の電気工事会社などにおける実務経験があることが求められます。経験が不足する場合は、要件を満たすスタッフを雇う必要があります。 出典: biz.moneyforward.com

第二種電気工事士の免状を取ったばかりの人が、その日から登録電気工事業者になれるわけではないということです。第二種で登録を目指すなら実務経験3年という壁があり、第一種免状を持っていればこの経験年数の要件は問われません。第一種免状自体が実務経験を前提に交付されるものだからです。

実務経験の証明は、勤務していた事業者に証明書を書いてもらう形が一般的です。ここで前職と関係が悪いまま辞めていると詰まる。円満に辞めておくことが将来の登録要件に直結する、というのは電気工事業界特有の事情のひとつだと思います。

罰則と、無登録のまま受けることのリスク

電気工事業法には、登録を受けずに電気工事業を営んだ場合の罰則規定があります。金額の多寡以前に、登録なしで元請から直接請け負っていることが発覚すると、その先の取引が止まります。工務店やハウスメーカーは、登録番号の提示を求めてくるのが普通だからです。

現実的なリスクは、罰則そのものよりも取引の入り口で弾かれることにあります。個人でやっている電気工事士に対して、元請が最初に聞くのが「登録は取っていますか」であることは珍しくありません。答えられないと、その時点で常用扱いの話に切り替わるか、話自体が流れます。

登録が要らない働き方もある

ここまで読むと登録が必須のように見えますが、そうとも限りません。電気工事業法が対象にしているのは、電気工事を事業として請け負う行為です。したがって、請け負っていない働き方であれば登録の枠組みの外にある可能性があります。

典型的なのが常用、いわゆる人工出しです。元請や下請の事業者の指揮命令のもとで作業に従事し、日当ベースで支払いを受ける形。この場合、工事を請け負っているのはあくまで元の事業者であり、あなたは作業者として入っている構図になります。免状は必要ですが、事業者登録の話とは別です。

ただし、ここは書面上の名目ではなく実態で判断される領域です。契約書の名前が「常用契約」でも、実際には工事範囲と完成責任をあなたが負っていれば請負と評価される余地があります。逆に「請負契約」という書面でも実態が常用なら別の評価になり得ます。この線引きは自己判断で決めきらず、営業所所在地の都道府県の電気工事業担当窓口に、自分の契約形態を具体的に説明して確認するのが確実です。

もう一点。電気工事士免状が要る作業の範囲そのものにも、軽微な工事として政令で除外されているものがあります。ただ、その除外範囲を自分に都合よく広く解釈するのは危険で、実務では「これは軽微だから免状なしでよい」と判断する場面はまず作らないほうがいい。免状を持っている人がこの記事の読者である以上、悩む必要のない論点でもあります。

保険と、登録以外に整えておくもの

登録の有無にかかわらず、個人で電気工事を受けるなら保険は先に手当てしておくべきです。工事中の事故で第三者の身体や財物に損害を与えた場合に備える請負業者賠償責任保険、完成後の工事の欠陥に起因する事故に備える生産物賠償責任保険。この2つは元請から加入証明を求められることもあります。

労災については、一人親方は原則として労働者ではないため通常の労災保険の対象外ですが、一人親方等の特別加入という制度があります。建設現場に入る場合、元請から特別加入の証明を求められるケースが多く、実質的に必須と考えたほうがいい。加入窓口は一人親方団体経由になります。

インボイス制度への対応も判断が要ります。取引先が課税事業者でインボイスを求めてくる場合、適格請求書発行事業者の登録をするかどうかを検討することになります。ここは売上規模と取引先の構成で答えが変わるため、税理士に一度相談する価値があります。税理士側がどう独立して仕事を受けているかを知っておくと相談相手を選びやすくなるので、税理士の独立開業ガイド|準備から集客まで【2026年版】のような記事も参考になります。同じく士業の働き方として会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】もあり、どういう人に何を頼めるかの当たりがつきます。

登録後にも続く手続きがある

見落とされやすいのですが、電気工事業の登録は取って終わりではありません。

登録の有効期間は5年で、期間満了後も引き続き営業するなら更新の登録が必要です。更新を忘れると登録が失効し、そのまま営業を続ければ無登録状態になります。有効期間の満了日は登録証に記載されているので、カレンダーに入れておくのが確実です。

登録事項に変更があったときの変更届も必要です。氏名や住所の変更、営業所の名称や所在地の変更、主任電気工事士の変更。これらは所定の期間内に届け出ることとされています。引っ越しをして届出を忘れる、というのが最も起きやすいパターンです。

さらに、電気工事業法は登録業者に対して、営業所への器具の備付け、帳簿の備付けと保存、電気工事士免状の携帯、標識の掲示といった義務を課しています。絶縁抵抗計、接地抵抗計、回路計といった測定器具を営業所に備えることが求められる点は、開業準備の費用計算に入れておく必要があります。帳簿には施工した工事の内容を記載し、一定期間保存することとされています。

廃業した場合の届出も定められています。事業をやめるときにも手続きがある、と覚えておいてください。

手続きを進める順番

順番を間違えると手戻りが出ます。実務的にはこの流れが素直です。

最初に、自分の免状の種類と実務経験年数を確定させます。第二種で実務経験3年に届いていないなら、登録電気工事業者としてスタートする道は当面閉じます。この時点で常用中心で経験を積む方針に切り替える判断ができます。

次に、開業届と青色申告承認申請書を税務署に出します。これは登録の可否にかかわらず、事業として動くなら共通です。同時に事業用の口座を用意します。

そのうえで、請け負う形で仕事を取るなら電気工事業の登録手続きに進みます。申請書、主任電気工事士の免状の写しと実務経験証明書、誓約書、住民票などが典型的な必要書類ですが、都道府県ごとに様式と添付書類が微妙に異なります。必ず提出先のホームページで最新の様式を確認してください。

最後が保険と、必要に応じて建設業許可の検討です。1件あたりの請負金額が一定額を超える工事を受ける場合、建設業法上の許可が別途必要になります。個人で始めた段階で即座に必要になるものではありませんが、案件が大きくなってきたときに出てくる論点として頭に入れておくとよいでしょう。

見積書と請求書の整備は登録より先に効く

手続きの話ばかりしましたが、実務で最初に効いてくるのは書類の見た目です。個人で受け始めた人の見積書は、項目が「電気工事一式」の1行だけということが珍しくありません。これだと相手は判断できず、価格交渉の材料にもなりません。

材料費、労務費、諸経費を分けて書く。数量と単価を出す。有効期限を入れる。この程度でも、受け取る側の印象はまったく変わります。文書の作り方そのものを整理したい人にはビジネス文書検定の解説が参考になります。資格を取るかどうかは別として、体系の存在を知っておくと自分の書類の穴が見えます。

屋号を決めておくのも地味に効きます。開業届には屋号を書く欄があり、事業用口座の名義にも使えます。個人名だけで請求書を出すより、屋号があるほうが法人相手の経理処理が通りやすい場面があります。名前は凝る必要はなく、地域名と業種を組み合わせた分かりやすいもので十分です。ただし既存の会社と紛らわしい名称は避けてください。

連絡手段を分けるのも準備のひとつです。仕事用の携帯番号かメールアドレスを用意しておくと、家族の生活と仕事の連絡が混ざりません。着信に出られなかったときに折り返せる体制を作っておくことは、それ自体が信用の一部になります。工事業では、電話がつながるかどうかが受注の分かれ目になることが本当に多い。

見積の根拠として自分の時間単価を持っておくことも重要です。職種ごとの単価の考え方を横断的に見たい場合、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような職種別のデータを眺めておくと、時間あたりいくらで自分の工数を売っているのかという感覚が掴めます。業種は違っても、単価の組み立て方の考え方は共通します。

建設業許可はどの段階で関係してくるか

登録の話とセットでよく混乱するのが建設業許可です。これも別の法律、建設業法の話です。

建設業法上、軽微な建設工事のみを請け負う場合は許可が不要とされています。電気工事業を含む建築一式工事以外の工事については、請負金額が500万円未満(税込)であれば軽微な工事として扱われるのが基本的な考え方です。個人で住宅の内線工事を受けている段階では、この範囲に収まることがほとんどでしょう。

問題は、案件が育ってきたときです。テナントの改修や工場の設備更新など、1件あたりの金額が大きい仕事が来るようになると、許可の有無が受注可否を分けます。また、元請が下請に対して許可を求めるケースもあります。金額が届いていなくても、取引条件として求められることがあるわけです。

許可を取るには、経営業務の管理責任者としての経験、専任技術者の配置、財産的基礎など複数の要件を満たす必要があります。第一種電気工事士免状は専任技術者の要件を満たす資格のひとつとして扱われますが、他の要件は別途クリアが必要です。要件の詳細は都道府県ごとの手引きで確認してください。

順序としては、まず電気工事業の登録で個人事業として動き、案件規模が上がってきたら建設業許可を検討する。この流れが自然です。最初から全部揃えようとすると、動き出す前に息切れします。

記帳と経費の扱いで気をつける点

税務の話をもう少し具体的にしておきます。電気工事は材料の仕入れが発生する業種なので、記帳のやり方で手間が大きく変わります。

まず、材料費と工具費は扱いが違います。工事に使って消費する材料は仕入や材料費として処理しますが、繰り返し使う工具は取得価額によって扱いが分かれます。10万円未満のものは消耗品費として一括で経費にできるのが原則で、それを超えると減価償却の対象になります。絶縁抵抗計や高価な電動工具を買ったときにここが効いてきます。

車両費も論点です。仕事にもプライベートにも使う車は、事業使用割合で按分します。走行距離や使用日数など、合理的な基準で分けて記録を残しておくことが求められます。何も記録がないまま全額を経費にすると、後で説明できません。

そして領収書。現場でホームセンターに寄って材料を買う場面が多い業種なので、レシートが車の中に散らばりがちです。月ごとに封筒を分けるだけでも、確定申告時の作業量がまったく違ってきます。会計ソフトを使うなら、口座とカードを事業用に分けて連携させるのが最も楽です。

青色申告特別控除の65万円を取るには、複式簿記による記帳に加えて、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が条件になります。紙で申告すると控除額が下がるので、この点は先に確認しておいてください。

運営者として見てきた限りでの観察

在宅・フリーランス市場を20年運営してきた立場から見ると、資格職の人が個人で仕事を受け始めるとき、つまずくポイントには共通のパターンがあります。技術ではなく、事業者としての体裁のところで止まるのです。

電気工事士は特にそれが顕著な職種だと感じます。腕は十分にあるのに、登録の有無を聞かれて答えられずに商談が終わる。見積の出し方が分からずに相場より安く受けてしまう。技術力と受注力は別の能力で、後者は誰も教えてくれないまま独立する人が多い。

もうひとつの観察は、長く続く人ほど単発の作業ではなく関係を作っているという点です。工務店1社と継続的な関係ができれば、案件は向こうから来るようになります。そのために効くのが、手続き面で相手に不安を持たせないこと。登録番号を出せる、保険に入っている、請求書がきちんとしている。この3つが揃っているだけで、発注側は「この人に任せると楽だ」と判断します。

そして中間マージンの話。同じ工事でも、間に何社挟まるかで手元に残る額は大きく変わります。元請から直接受けられる体制を整えると、発注側は同じ予算でより多く頼めるようになり、受け手の手取りも厚くなる。この構造は業種を問わず共通で、直接取引の価値は金額の派手さではなく手取りの質にあらわれます。手続きを整えるというのは、その直接取引の入り口に立つための準備でもあるわけです。

登録が要るか要らないかという問いに、どこにでも当てはまる一つの答えはありません。あなたが請け負う側に回るのか、作業者として入るのか。その一点で答えが変わります。まずは自分の契約形態を書き出し、免状と実務経験を確定させ、そのうえで都道府県の窓口に具体的に聞く。これが遠回りに見えて一番速い順路です。

よくある質問

Q. 副業で年に数件だけ電気工事を受ける場合も開業届は必要ですか?

判断軸は金額ではなく、反復継続して事業として行っているかどうかです。継続的に案件を取りに行っているなら、規模が小さくても開業届の提出が原則です。年に1回知人宅を手伝った程度なら雑所得で処理する余地がありますが、迷うなら税務署か税理士に確認してください。

Q. 第二種電気工事士の免状だけで電気工事業の登録はできますか?

登録電気工事業者には営業所ごとに主任電気工事士の配置が必要で、第二種の場合は電気工事会社などでの実務経験3年以上が求められます。第一種免状があれば経験年数は問われません。要件を満たさない間は、常用として作業に従事しながら経験を積む選択肢があります。

Q. 開業届を出せば電気工事業の登録も済んだことになりますか?

なりません。開業届は所得税法に基づく税務署への届出、電気工事業の登録は電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく都道府県知事などへの登録で、根拠法も窓口も別です。請け負う形で仕事を取るなら、両方の手続きを別々に進める必要があります。

Q. 常用(人工出し)で入る場合も電気工事業の登録は要りますか?

電気工事業法が対象にしているのは電気工事を事業として請け負う行為です。元の事業者の指揮命令下で作業に従事する常用は、請け負っていない構図になります。ただし書面の名目ではなく実態で判断されるため、自分の契約形態を都道府県の電気工事業担当窓口に説明して確認するのが確実です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月20日最終更新:2026年8月27日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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