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部下育成のコーチング|問いかけで考えさせる進め方

@SOHO編集部
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部下育成のコーチング|問いかけで考えさせる進め方

この記事のポイント

  • ✓部下育成にコーチングを取り入れる進め方を
  • ✓問いかけで考えさせる5つのステップ
  • ✓1on1で使える質問の例

部下育成にコーチングを取り入れたいと考えても、「質問しても黙ってしまう」「結局こちらが答えを言ってしまう」とつまずく人は少なくありません。コーチングは特別な話術ではなく、問いかけの順番と、聞く姿勢を整えることで身につく進め方です。

この記事では、ティーチングとの違い、必要なスキル、問いかけで部下に考えてもらう5つのステップ、1on1で使える質問の例、失敗しやすい注意点を順に解説します。面談で決めた行動を部下と一緒に追いかけたい場合は、プロジェクト管理ツールのPinatecaのように、行動をカードにして期限と進み具合を共有する方法もあります。

部下育成のコーチングとは:ティーチングとの違い

コーチングとは、相手に答えを教えるのではなく、問いかけによって相手自身に考えてもらい、目標に向けた行動を自分で決めてもらう関わり方です。これに対してティーチングは、やり方や正解を上司が教える関わり方です。

どちらが優れているというものではなく、部下の経験や場面によって使い分けるものです。コーチングの研修を手がける会社の解説でも、次のように説明されています。

また、コーチングは「教える」や「管理する」ことを目的としたティーチングやマネジメントとは異なります。相手の中にある答えを引き出すことを重視するため、特に一定の経験やスキルを持つ部下の育成に効果的です。 出典: nisouken.co.jp

両者の違いを表にすると、次のようになります。

項目 ティーチング コーチング
答えを持っている人 上司 部下
上司の主な行動 教える、見本を見せる、指示する 問いかける、聞く、認める
向いている相手 経験が浅い人、手順を覚える段階の人 基本ができていて、次の段階に進みたい人
向いている場面 緊急時、ルールや安全に関わること 改善策を考える、目標を決める、キャリアを考える
時間 短く済む 時間がかかる

ここで大切なのは、コーチングとティーチングを対立させないことです。入社したばかりの部下に「どうしたらいいと思う?」と聞いても、判断の材料がないため答えられません。まずはティーチングで基本を教え、部下が自分で判断できる材料を持ち始めたところで、少しずつコーチングに切り替えていくのが自然な流れです。

コーチングが向く場面、向かない場面

コーチングを始めたばかりの上司がつまずきやすいのは、どの場面でもコーチングを使おうとしてしまうことです。向く場面と向かない場面を先に整理しておきます。

向いている場面

  • 部下が担当している仕事の進め方を改善したいとき
  • 半期や年度の目標を部下自身に決めてもらうとき
  • 部下が今後の働き方やキャリアについて迷っているとき
  • 部下が失敗したあと、次にどうするかを考えてもらうとき
  • チームの課題について、現場の意見を引き出したいとき

これらに共通するのは、答えが1つに決まっておらず、部下自身が納得して動くことに価値がある場面だという点です。

向いていない場面

  • 顧客からのクレームや事故など、すぐに対応が必要な緊急時
  • 法令や社内規程、安全に関わる決まりを守ってもらうとき
  • 部下が手順そのものを知らない段階
  • 部下が体調を崩していたり、強い不安を抱えていたりするとき

緊急時やルールに関わる場面では、上司がはっきりと指示を出すほうが部下も安心します。また、部下が心身の不調を抱えている様子があるときは、コーチングで考えさせるのではなく、まず業務の負担を減らすことや、社内の相談窓口や産業医につなぐことを優先します。

部下育成にコーチングを取り入れるメリット

コーチングを取り入れると、部下と上司の双方に次のような変化が期待できます。

部下が自分で考えて動くようになる

上司が答えを出し続けると、部下は「聞けば教えてもらえる」と考え、判断を上司に預けるようになります。コーチングで「あなたならどうする?」と問いかけ続けると、部下は質問される前に自分の考えを用意するようになります。

部下が自分で決めたことは続きやすい

人から言われたことより、自分で決めたことのほうが行動に移しやすく、続きやすいものです。同じ改善策でも、上司が指示したものと部下が自分で考えたものでは、取り組む姿勢が変わります。

上司が抱える判断が減る

部下が自分で判断できる範囲が広がると、上司のところに持ち込まれる相談や確認が減ります。上司は、本当に自分にしか判断できない仕事に時間を使えるようになります。

部下の考えや悩みが見えるようになる

問いかけて話を聞く時間を持つことで、部下が何に悩み、何に関心を持っているかが分かります。業務の報告だけでは見えない、仕事の進め方の癖や、将来の希望が見えてくることもあります。

一方で、コーチングには時間がかかるという面もあります。1回の面談で目に見える変化が出ることは少なく、数か月単位で関わり続けることで少しずつ効果が出ます。すぐに結果を求めず、続けることを前提に始めることが大切です。

部下育成のコーチングに必要な3つのスキル

コーチングに必要な基本のスキルは、聞く、問いかける、認めるの3つです。どれも特別な才能ではなく、意識して練習すれば身につきます。

1つ目:聞く(傾聴)

傾聴とは、相手の話を途中でさえぎらず、評価や反論をいったん脇に置いて、最後まで聞くことです。上司が部下の話を聞くときに一番やってしまいがちなのは、話の途中で「それはこうすればいい」と答えを出してしまうことです。

聞くときは、次の点を意識します。

  • 部下が話し終えるまで口をはさまない
  • うなずきや相づちで、聞いていることを伝える
  • 部下の言葉をそのまま繰り返して確かめる(「納期に間に合わないかもしれない、ということですね」)
  • 沈黙を怖がらず、部下が考えている時間を待つ

特に沈黙を待つことは、多くの上司が苦手とするところです。問いかけたあとに10秒ほど黙っているだけでも、話す側にとっては長く感じます。それでも待つことで、部下は自分の考えを言葉にする時間を持てます。

2つ目:問いかける(質問)

質問には、「はい」か「いいえ」で答えられる閉じた質問と、自由に答えられる開いた質問があります。コーチングでは主に開いた質問を使い、部下に考えを広げてもらいます。

  • 閉じた質問の例:「この方法でいいですか?」「締め切りに間に合いますか?」
  • 開いた質問の例:「どんな方法が考えられますか?」「締め切りに間に合わせるには何が必要ですか?」

ただし、「なぜできなかったのか」のように、理由を問い詰める質問は避けます。「なぜ」は責められているように聞こえやすく、部下は言い訳を考え始めます。「何があれば進められたか」「次はどうしたいか」のように、これからに目を向ける質問に言い換えます。

3つ目:認める(承認)

承認とは、部下の行動や成長、努力を言葉にして伝えることです。結果が出たときにほめるだけでなく、取り組んだ過程や、前回からの小さな変化に気づいて伝えることが大切です。

「前回より報告が早くなりましたね」「この資料は、相手の質問を先回りして準備してありますね」のように、具体的な事実を添えて伝えると、部下は何が良かったのかが分かり、同じ行動を続けやすくなります。

問いかけで考えさせる進め方5ステップ

コーチングの面談は、問いかけの順番を決めておくと進めやすくなります。ここでは、よく知られているGROWモデルという型をもとに、5つのステップで進め方を紹介します。GROWモデルとは、目標、現状、選択肢、意思の順に問いかけていく面談の型のことです。

ステップ1:話しやすい場を整える

最初の数分は、本題に入る前に話しやすい雰囲気を作ります。面談の目的と時間を伝え、「今日は答えを出すより、一緒に考える時間にしたい」と伝えておくと、部下も構えずに話せます。面談の時間は、1回30分程度から始めると、上司にも部下にも負担が少なくなります。

ステップ2:目標を確かめる

次に、部下が何を達成したいのかを問いかけます。

  • 「この仕事で、どうなっていたら満足ですか?」
  • 「3か月後に、どんな状態になっていたいですか?」

目標は、部下自身の言葉で語ってもらうことが大切です。上司が考える目標を押しつけると、その後の問いかけがすべて誘導になってしまいます。

ステップ3:今の状況を確かめる

目標が見えたら、今どこまで来ているのかを確かめます。

  • 「今はどのくらいまで進んでいますか?」
  • 「うまくいっていることと、困っていることは何ですか?」
  • 「目標までの間に、何が足りないと感じますか?」

ここでは、上司が評価をしないことが大切です。「それは遅いね」と言った瞬間に、部下は本当の状況を話さなくなります。

ステップ4:選択肢を広げる

目標と現状の差が見えたら、その差を埋める方法を部下に考えてもらいます。

  • 「どんな方法が考えられますか?」
  • 「ほかにはありますか?」
  • 「もし時間や予算の制約がなかったら、何をしますか?」
  • 「同じことで成功している人は、どうしていると思いますか?」

「ほかには?」を2回、3回と重ねると、最初に出てこなかった案が出てきます。上司に案がある場合は、部下の案が出尽くしたあとで「こういう方法もあると思うけれど、どう思う?」と提案の形で伝えます。

ステップ5:次の行動と期限を決める

最後に、出てきた選択肢の中から、部下が自分で次の行動を選びます。

  • 「この中で、まず何から始めますか?」
  • 「いつまでにやりますか?」
  • 「やると決めたことを、どのくらいやれそうだと感じますか?」
  • 「上司として、何か手伝えることはありますか?」

行動は「来週の水曜までに、取引先に見積もりの再提出を打診する」のように、何を、いつまでにやるかが分かる形で決めます。決めた行動は次の面談で必ず振り返ります。

1on1で使える問いかけの例

1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談のことです。業務の報告ではなく、部下が話したいことを中心にする時間として使います。ここでは、よくある場面ごとに問いかけの例を紹介します。

仕事が思うように進んでいないとき

  • 「今、一番引っかかっているのはどこですか?」
  • 「その部分を進めるには、何があれば楽になりますか?」
  • 「誰かに相談できそうなことはありますか?」

失敗したあと

  • 「振り返ってみて、どこで流れが変わったと思いますか?」
  • 「次に同じ場面が来たら、どうしたいですか?」
  • 「今回の経験から、ほかの仕事に生かせることはありますか?」

目標を決めるとき

  • 「この半年で、できるようになりたいことは何ですか?」
  • 「それができるようになったら、仕事はどう変わりますか?」
  • 「そのために、最初の1か月で何をしますか?」

キャリアに迷っているとき

  • 「仕事の中で、時間を忘れて取り組めるのはどんなときですか?」
  • 「5年後に、どんな働き方をしていたいですか?」
  • 「今の仕事の中で、そこにつながっていることはありますか?」

部下から提案や相談を持ちかけられたとき

  • 「その案を考えたきっかけは何ですか?」
  • 「実際に進めるとしたら、最初の一歩は何になりますか?」
  • 「進めるうえで心配なことはありますか?」

部下から提案を受けたとき、上司はすぐに良し悪しを判断しがちです。先に問いかけて考えを深めてもらうと、案の中身がはっきりし、上司も判断しやすくなります。

チームの中で人間関係に悩んでいるとき

  • 「どんな場面で、やりにくさを感じますか?」
  • 「その場面で、自分にできそうなことはありますか?」
  • 「上司として、間に入ったほうがよいことはありますか?」

人間関係の悩みは、部下だけで解決できないことも多いものです。問いかけで状況を整理したうえで、上司が動くべきことは上司が引き受けます。

質問は、すべてを使う必要はありません。1回の面談で2つか3つの問いかけを深めるほうが、たくさんの質問を順に投げるよりも部下の考えが深まります。

部下のタイプ別の関わり方

同じ問いかけでも、部下の経験や性格によって受け止め方は変わります。よくある4つのタイプごとに、関わり方の目安を紹介します。

経験が浅く、判断の材料が少ない部下

入社して間もない部下や、異動したばかりの部下には、コーチングだけで関わると負担になります。まずは手順や基本の考え方をティーチングで伝え、そのうえで「教わったやり方で、やりにくいところはありましたか?」のように、経験したことを振り返る問いかけから始めます。答えやすい質問を重ねることで、少しずつ自分で考える習慣がついていきます。

経験が豊富な部下や年上の部下

経験の豊富な部下には、コーチングがもっとも効果を出しやすいといわれます。一方で、年上の部下に上司が問いかけると、試されているように感じさせてしまうこともあります。「この件は経験のある方の意見を聞きたい」と、相手の経験を頼りにしていることを先に伝えると、問いかけが素直に受け止められやすくなります。

自信がなく、意見を言いにくい部下

自信のない部下は、間違ったことを言うのを怖がって、問いかけに「分かりません」と答えがちです。この場合は、正解のない質問から始めるのが効果的です。「どちらのやり方が好きですか?」「やってみて楽しかったのはどこですか?」のように、正しいか間違っているかで評価されない質問を重ね、話したことを否定せずに受け止めます。小さな意見でも採用して実際に試してみると、意見を言うことへの抵抗が少しずつ減っていきます。

自分のやり方にこだわりが強い部下

自分のやり方に自信を持っている部下には、「そのやり方の良いところはどこですか?」と先に認めたうえで、「この点だけは心配なのだけれど、どう考えますか?」と気になる点を問いかけます。いきなり別のやり方を勧めると反発を招きやすいので、本人の考えを聞き切ってから、提案の形で別の選択肢を示します。

フィードバックの伝え方

コーチングは問いかけが中心ですが、上司から部下に気づいたことを伝えるフィードバックも欠かせません。フィードバックとは、相手の行動について、見たことと、それがどう影響したかを伝えることです。

伝えるときは、次の3つをそろえると、部下が受け止めやすくなります。

  1. 見た事実(「昨日の会議で、資料の数字を説明する前に結論を話していましたね」)
  2. その影響(「先に結論が分かったので、出席者からの質問が具体的になっていました」)
  3. 次への問いかけ(「次の会議でも同じ形で進めてみますか?」)

改善してほしい点を伝える場合も、同じ形で伝えます。「あなたは説明が下手だ」のように人柄を評価するのではなく、「昨日の説明では、結論が最後に出てきたので、途中で質問が多く出ていました。どうすれば伝わりやすくなると思いますか?」のように、行動と影響を伝えてから問いかけます。こうすると、部下は自分の何を変えればよいかが分かり、責められているとは感じにくくなります。

フィードバックは、時間を空けずに伝えるほど効果があります。1on1まで待たず、気づいたその日のうちに短く伝え、詳しい振り返りは1on1で行うと使い分けがしやすくなります。

よくある失敗と注意点

コーチングを始めた上司がつまずきやすい失敗と、その避け方を紹介します。

答えが決まった質問で誘導してしまう

「この方法のほうがいいと思わない?」のように、上司の答えに誘導する質問は、部下にはすぐに見抜かれます。部下は「結局、上司の答えを当てるゲームだ」と感じ、本音を話さなくなります。上司に答えがある場合は、質問の形で隠さず、提案としてはっきり伝えるほうが誠実です。

質問が問い詰めになってしまう

「なぜできなかったの?」「どうしてそうなったの?」を繰り返すと、部下は責められていると感じます。コーチングのつもりでも、言い方や頻度によっては部下を追い詰めることになります。

職場での上司から部下への言動については、厚生労働省の「あかるい職場応援団」で、パワーハラスメントの考え方が次のように示されています。

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。 出典: 厚生労働省 あかるい職場応援団

同じページには、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導はパワーハラスメントに当たらないとも書かれています。問いかけそのものが問題になるわけではありませんが、人格を否定する言い方や、長時間にわたって問い詰めることは避けます。職場のハラスメント防止の取り組みについては、厚生労働省の職場におけるハラスメントの防止のページに事業主向けの資料がまとめられています。

面談が業務の進み具合の確認だけになる

1on1の時間が、気づけば業務の進み具合の報告会になっていることがあります。進み具合の確認は日々のやり取りや会議で済ませ、1on1は部下が話したいことを話す時間として分けておきます。

1回きりで終わってしまう

忙しい時期になると、面談が後回しになり、そのまま立ち消えになることがよくあります。月に1回、隔週に1回など、頻度を決めて予定表に先に入れておきます。日程を動かすことはあっても、取りやめにはしないと決めておくと続きます。

上司が話しすぎる

コーチングの面談では、部下が話す時間が長いほうがうまくいっています。面談のあとに「今日は自分が何割くらい話していたか」を振り返り、上司が半分以上話していたら、次回は聞く時間を意識して増やします。

決めた行動を続けてもらう仕組み

コーチングの面談で行動を決めても、次の面談までに忘れられてしまえば効果は出ません。決めた行動を部下と上司の両方が見られる形で残しておくことが大切です。

紙やスプレッドシートで残す方法

部下が少ないうちは、面談のメモを紙のノートや、部下ごとのGoogleスプレッドシートに残すだけでも十分です。「決めた行動」「期限」「次の面談で振り返った結果」の3列を作り、面談のたびに書き足していきます。部下にも同じものを見られるようにしておくと、「言った、言わない」の行き違いが防げます。

複数の部下と行動の進み具合を共有したい場合

部下が増えてくると、誰とどんな行動を決めたか、期限はいつだったかを、上司1人で把握するのが難しくなります。また、決めた行動の中にほかのメンバーの協力が必要なものが混ざると、関係者にも進み具合を共有する必要が出てきます。

この段階では、プロジェクト管理ツールを使う方法があります。候補の1つがPinatecaです。面談で決めた行動を1枚ずつカードにして担当者と期限を付ければ、「まだ」「取り組み中」「終わった」の列で進み具合を並べるカンバンボードで、部下と上司が同じ画面を見ながら次の面談を始められます。カードにはコメントを書き込めるため、行動の途中で気づいたことや、上司からのひとことを行動と一緒に残せます。カスタムフィールドを使えば、カードに「次の面談日」のような項目を追加することもできます。公式の料金ページによると、5人までのチームなら期限なしで無料のフリープランを使え、クレジットカードの登録も要りません。フリープランではボードを10個まで作成でき、6人目からは1人あたり月額500円(税抜)のスタンダードプランになります。なお、Pinatecaは面談の内容を記録したり評価をつけたりするための人事の道具ではなく、決めた行動の担当と期限と進み具合を共有するための道具です。面談の詳しいメモは紙やスプレッドシートに残し、行動の追いかけに使うといった組み合わせが向いています。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

在宅勤務やオンラインでコーチングをするときの注意点

在宅勤務の部下とは、ビデオ会議で1on1を行うことが多くなります。対面と比べて表情や雰囲気が伝わりにくいため、次の点に気をつけます。

  • 可能であれば、お互いにカメラをオンにして表情が見えるようにする
  • 回線の遅れで話がかぶりやすいので、相手が話し終わってから一呼吸おいて話す
  • 相づちが伝わりにくいので、うなずきを少し大きめにしたり、「なるほど」と言葉にしたりする
  • 画面共有で決めた行動を一緒に書き込み、面談の最後に内容を読み上げて確かめる
  • 部下の生活の場に配慮し、家族の事情などを無理に聞き出さない

在宅勤務では、日々のちょっとした会話が減るため、1on1が部下にとって数少ない相談の機会になります。予定どおりに開くことが、対面のとき以上に大切です。

また、文字のやり取りが中心になる職場では、チャットでの問いかけにも工夫が要ります。文字だけの「なぜ?」は、対面以上に冷たく伝わります。チャットでは問いかけの前に「確認させてください」「参考までに聞きたいのですが」と一言添えるだけで、受け取る側の印象が大きく変わります。

上司自身の関わり方を振り返るチェックリスト

コーチングは、上司自身が自分の関わり方を振り返ることで上達します。面談のあとに、次の項目を確かめてみてください。

  • 部下が話している途中で、口をはさまなかったか
  • 答えを先に言ってしまわなかったか
  • 「なぜ」で問い詰める質問をしなかったか
  • 部下が自分の言葉で目標と行動を決めたか
  • 決めた行動に期限が付いているか
  • 前回決めた行動を振り返ったか
  • 部下の小さな変化や努力を言葉にして伝えたか

すべてにできていなくても構いません。毎回1つずつ意識する項目を決めて面談に臨むと、数か月で関わり方が変わっていきます。

コーチングの効果を確かめる方法

コーチングは効果が目に見えにくいため、「続けて意味があるのか」と不安になりがちです。数か月ごとに、次のような変化を確かめると、続ける手応えがつかめます。

  • 部下から相談に来る前に、自分の考えや案を用意してくるようになったか
  • 面談で決めた行動のうち、期限までに取り組めたものの割合が増えたか
  • 部下が自分で決めた目標を、自分の言葉で説明できるか
  • 上司に持ち込まれる「どうしたらいいですか」という確認が減ったか
  • 部下がほかのメンバーに問いかけるなど、関わり方が周りに広がっているか

数字で追いたい場合は、面談ごとに決めた行動の数と、次の面談までに取り組めた数を記録しておくと変化が分かります。ただし、数字を部下の評価に直結させると、部下は達成しやすい小さな行動ばかりを選ぶようになります。記録はあくまで面談の振り返りに使うものとして扱い、評価とは切り分けておきます。

チームや会社でコーチングを広めるとき

管理職の1人だけがコーチングを取り入れても、ほかの管理職が答えを指示するやり方のままだと、部下は戸惑います。チームや会社で広めるときは、次の順番で進めると定着しやすくなります。

  1. 管理職どうしで、コーチングとティーチングを使い分ける考え方をそろえる
  2. 1on1の頻度と時間の目安を、会社として決める
  3. 管理職どうしで問いかけのロールプレイをして、上司役と部下役を交代で体験する
  4. 数か月ごとに、うまくいった問いかけと困った場面を持ち寄って共有する

特に3番のロールプレイは、部下役を体験することに意味があります。問い詰める質問を受ける側になってみると、言葉の選び方ひとつで話しやすさが大きく変わることを実感できます。

コーチングを無料で学ぶ方法と研修の選び方

コーチングは、本格的な研修を受けなくても、身近な方法で学び始めることができます。

無料で始められる学び方

  • 図書館でコーチングや1on1に関する本を借り、問いかけの例を自分の職場向けに書き換えてみる
  • 自治体や商工会議所が開く管理職向けの無料セミナーを探す
  • 社内の先輩管理職に、自分の1on1を見てもらい感想をもらう
  • 自分の面談を、部下の許可を得て振り返り用にメモに残し、上司が話した割合を数えてみる

特に最後の方法は、費用をかけずに上達を実感しやすいやり方です。自分では聞いているつもりでも、メモを見返すと答えを先に言っている場面が多いことに気づきます。

有料の研修やコーチを選ぶときのポイント

社内でコーチングを広めたい場合や、自分のコーチングを本格的に磨きたい場合は、研修や専門のコーチを利用する方法もあります。選ぶときは、次の点を確かめます。

  • 講義だけでなく、実際に問いかけを練習するロールプレイの時間があるか
  • 研修のあとに、職場での実践を振り返る機会があるか
  • 自社の管理職の悩み(部下の人数、在宅勤務の有無など)に合わせた内容か

経営者や役員が専門のコーチをつける場合の費用の考え方は、エグゼクティブコーチングの相場|経営者の孤独を解消する1回5万円〜の価値とは?で紹介されています。また、部下育成を含めた組織づくりを経営の視点から体系的に学びたい人には、企業の経営課題を診断し助言する国家資格である中小企業診断士の学習も、組織や人材管理の考え方を整理するのに役立ちます。

人を育てる仕事を長く見てきた立場から

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、チームの外にいる人と仕事をする場面でも、コーチングの考え方は役に立ちます。業務委託で仕事を受けるフリーランスや在宅ワーカーは、社内の部下のように細かく指示を受けられないことが多く、自分で考えて動くことが前提になるからです。長く関係が続く発注者は、指示を細かく出すより、「この仕事で何を達成したいか」を最初に共有し、進め方は相手に考えてもらう関わり方をしていることが多いものです。

また、仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも依頼する側は相談の時間を多めに取れ、受ける側は手取りが厚くなります。お互いに余裕があるからこそ、問いかけて考えてもらう関わり方が成り立ちやすいという面もあります。

部下育成のコーチングは、問いかけの型を覚えれば明日の面談から始められます。まずは次の1on1で、ステップ5の「まず何から始めますか?」「いつまでにやりますか?」の2つだけを試してみてください。コーチングやメンタリングを仕事として提供する道に関心がある場合は、メンタリング・コーチングのお仕事で、個人や企業向けに伴走する仕事の内容と進め方を確認できます。

よくある質問

Q. 部下にコーチングをしても答えが返ってこないときはどうすればよいですか?

答えが返ってこない理由は、判断の材料がない、質問が大きすぎる、評価されるのが怖い、のどれかであることが多いです。経験の浅い部下にはティーチングで基本を教えてから問いかけるようにし、「どうしたい?」ではなく「まず何から手をつけたい?」のように質問を小さくします。沈黙が続いても10秒ほどは待ち、答えを急がせないことが大切です。

Q. コーチングとティーチングはどう使い分ければよいですか?

答えが1つに決まっていて、すぐに正しく覚えてもらう必要がある場面はティーチング、答えが1つではなく部下自身が納得して動くことに価値がある場面はコーチングが向いています。入社直後や手順を覚える段階ではティーチングを中心にし、基本ができてきたら改善策や目標を考える場面から少しずつコーチングに切り替えていくのが自然です。

Q. 1on1はどのくらいの頻度と時間で行えばよいですか?

決まった正解はありませんが、隔週から月1回、1回30分程度から始めると、上司にも部下にも負担が少なく続けやすくなります。大切なのは頻度より続けることで、予定表に先に入れておき、日程を動かすことはあっても取りやめにはしないと決めておくと定着します。業務の報告は別の場で済ませ、1on1は部下が話したいことを中心にします。

Q. コーチングの問いかけがパワハラにならないか心配ですが、どこに気をつければよいですか?

業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導は、パワーハラスメントに当たらないと厚生労働省は示しています。ただし、「なぜできなかったのか」を繰り返して問い詰める、人格を否定する言い方をする、長時間にわたって追及するといった関わり方は避けます。これからに目を向けた質問に言い換え、部下の話を最後まで聞くことを意識すると安心です。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年10月15日最終更新:2026年10月25日
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