顧客満足度と従業員満足度|両方を上げる考え方


この記事のポイント
- ✓顧客満足度と従業員満足度はどうつながっているのか
- ✓サービス・プロフィット・チェーンの考え方
- ✓両方を上げる施策の進め方
顧客満足度と従業員満足度は、別々の部署が別々に追いかける数字だと思われがちです。実際には、働く人が仕事に納得しているかどうかが接客や品質に表れ、それが顧客の評価につながるという関係があります。この記事では、両者のつながりを説明する考え方、それぞれの測り方、両方を同時に上げる施策の進め方を順番に整理します。結論を先に書くと、片方だけを上げようとする施策は長続きしません。従業員が顧客のために動ける環境を整え、その結果を測って従業員に返す、という循環をつくることが要点です。
顧客満足度と従業員満足度が注目される背景
人手不足で、1人あたりの対応の質が問われている
多くの業種で人手不足が続いています。採用が難しくなると、今いる従業員が辞めずに働き続けてくれることの価値が上がります。従業員が辞めると、残った人に負担が集中し、接客や品質が落ちて顧客の不満が増える。その不満への対応でさらに従業員が疲れる。こうした悪い循環を断ち切る手段として、従業員満足度に目が向けられるようになりました。
顧客の声が、すぐに外へ広がるようになった
口コミサイトやSNSの普及で、顧客の体験はすぐに外へ広がります。1回の不愉快な接客が多くの人の目に触れることもあります。顧客満足度は、マーケティング部門だけでなく、現場で顧客に接する全員の行動の結果です。現場の行動を変えるには、現場で働く人の状態に目を向ける必要があります。
顧客からの理不尽な要求への対策が、事業主の義務になった
もうひとつ大きな変化があります。令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になりました。カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからの、社会通念上許容される範囲を超えた言動によって、働く人の就業環境が害されることです。
令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されました。事業主の皆さまは、改正法や指針の内容に沿った対策を行ってください。 出典: あかるい職場応援団(厚生労働省)
「お客様は神様」という考え方で、どんな要求にも従業員を耐えさせる運用は、従業員満足度を下げるだけでなく、法律上の対策義務にも反するおそれが出てきました。顧客満足度を上げることと、従業員を守ることを両立させる設計が、制度の面からも求められています。
ESとCSの基本と、つながりを説明する考え方
従業員満足度(ES)とは
従業員満足度は、英語のEmployee Satisfactionを略してESと呼ばれます。従業員が仕事の内容、職場の人間関係、評価、給与や福利厚生、働く環境などにどれだけ満足しているかを示す指標です。アンケートで測ることが一般的です。
似た言葉に従業員エンゲージメントがあります。エンゲージメントとは、会社の目標に共感し、自分から貢献しようとする意欲のことです。満足度が「職場に不満がないか」を見るのに対し、エンゲージメントは「進んで力を出そうとしているか」を見ます。両方を測る会社も増えています。
顧客満足度(CS)とは
顧客満足度は、Customer Satisfactionを略してCSと呼ばれます。商品やサービスを利用した顧客が、どれだけ満足したかを示す指標です。顧客は利用する前に期待を持っており、実際の体験がその期待を上回ると満足し、下回ると不満を持ちます。つまり、品質を上げることだけでなく、期待を正しく伝えることも顧客満足度に影響します。
サービス・プロフィット・チェーンという考え方
ESとCSのつながりを説明する代表的な考え方が、サービス・プロフィット・チェーンです。1994年にハーバード・ビジネススクールの研究者らが、成功しているサービス企業の分析をもとに提唱しました。流れを単純化すると次のようになります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 社内のサービスの質 | 道具、研修、評価の仕組み、職場の支援 |
| 2. 従業員満足度 | 働く人が仕事に納得している |
| 3. 定着率と生産性 | 辞める人が減り、仕事に慣れた人が増える |
| 4. 顧客へのサービスの質 | 対応が速く、丁寧で、間違いが少ない |
| 5. 顧客満足度 | 顧客が期待以上だと感じる |
| 6. 顧客ロイヤルティ | 繰り返し利用し、他の人にも勧める |
| 7. 売上と利益 | 安定した収益が生まれ、社内へ再投資できる |
最後の段階で生まれた利益を社内のサービスの質に再投資すると、最初の段階に戻り、循環がまわります。この考え方の要点は、ESとCSを別々に扱わず、ひとつのつながった仕組みとして管理することです。
実際のデータでもつながりは見られるのか
この考え方が理論だけでなく実際に当てはまるのかについては、組織調査を手がける会社が自社の調査データで検証しています。
さて、従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)、業績は、理論上だけでなく実際にも相関するのでしょうか?弊社が保有するビッグデータを分析した結果をご紹介します。 出典: msandc.co.jp
同社の分析では、従業員満足度の中でも「お客様への想い」に関わる項目が高い法人ほど、顧客満足度も高い傾向が示されています。ここで注意したいのは、「相関がある」ことと「ESを上げれば必ずCSが上がる」ことは別だという点です。相関とは、片方が高いともう片方も高い傾向があるという関係で、どちらが原因かまでは示しません。顧客に褒められる職場だから従業員が満足している、という逆向きの関係もありえます。だからこそ、両方を同時に測り、施策の前後でどう変わったかを見ることが大切になります。
ESとCSの測り方
従業員満足度の測り方
従業員満足度は、匿名のアンケートで測るのが基本です。質問の例を領域ごとに並べると次のようになります。
| 領域 | 質問の例 |
|---|---|
| 仕事の内容 | 自分の仕事が顧客の役に立っていると感じる |
| 上司との関係 | 困ったときに上司に相談できる |
| 同僚との関係 | 同じチームの人と協力して仕事ができている |
| 評価 | 自分の働きが正当に評価されていると感じる |
| 成長 | この職場で新しいことを学べている |
| 働く環境 | 必要な道具や情報がそろっている |
| 顧客への想い | 顧客に喜んでもらうための工夫を自分から考えている |
回答は「とてもそう思う」から「まったくそう思わない」までの5段階で取ると、集計しやすくなります。自由記述の欄も1つ用意しておくと、数字に表れない不満や提案を拾えます。
eNPSという指標もよく使われます。「この職場で働くことを親しい友人に勧めたいか」を0から10の11段階で聞き、9から10をつけた人の割合から0から6をつけた人の割合を引いたものです。質問が1つで済むので、毎月のように短い間隔で測るのに向いています。
顧客満足度の測り方
顧客満足度は、利用後のアンケートで測るのが一般的です。代表的な方法は次の3つです。
・満足度の段階評価:「今回のサービスにどれくらい満足しましたか」を5段階で聞く
・NPS:「このサービスを知人に勧めたいか」を0から10で聞き、eNPSと同じ計算をする
・自由記述と問い合わせの分析:アンケートの記述や、苦情・問い合わせの内容を分類する
数字だけでなく、問い合わせや苦情の記録も大切な材料です。苦情の件数が減っているか、同じ種類の苦情が繰り返されていないかを見ると、改善の効果を確かめられます。
ESとCSを並べて見る
両方を測ったら、同じ期間、同じ単位(店舗、チーム、担当者など)で並べて見ます。
| 単位 | ES(5段階の平均) | CS(5段階の平均) | 苦情件数 |
|---|---|---|---|
| A店 | 4.1 | 4.3 | 2件 |
| B店 | 3.2 | 3.6 | 9件 |
| C店 | 3.9 | 3.4 | 6件 |
上の表は説明のための例です。A店とB店のようにESとCSが同じ方向に動いている単位は分かりやすいですが、C店のようにESは高いのにCSが低い単位もあります。こうした「ずれ」がある単位こそ、詳しく見る価値があります。C店では従業員は満足しているのに、顧客の期待と提供しているサービスがずれている可能性があります。
両方を上げる施策の進め方
手順1:現状を測り、優先する課題を決める
最初に、ESとCSの両方を測って現状をつかみます。そのうえで、点数が低い項目の中から、顧客への影響が大きいものを優先します。たとえば「必要な道具や情報がそろっている」の点数が低く、顧客からも「回答に時間がかかる」という苦情が多いなら、情報共有の仕組みを整えることが最優先になります。
手順2:顧客のために動ける環境を整える
従業員満足度を上げる施策というと、福利厚生や給与が思い浮かびます。もちろん大切ですが、顧客満足度とのつながりを考えると、まず手をつけたいのは「顧客のために動きたいのに動けない」状況の解消です。
・よくある質問への回答をまとめた資料を整え、誰でも同じ答えを出せるようにする
・現場の判断で対応できる範囲を決めて、毎回上司の確認を待たなくて済むようにする
・顧客情報や過去の対応履歴を、必要な人が見られるようにする
・古い道具や遅いシステムを入れ替え、待ち時間を減らす
こうした施策は、従業員の負担を減らすと同時に、顧客への対応の速さと正確さを上げます。一度に両方に効く施策から始めると、効果が見えやすくなります。
手順3:従業員を守る仕組みを整える
顧客満足度を上げようとするあまり、理不尽な要求にも応じるように現場に求めると、従業員満足度は確実に下がります。現場でよく取られている対処としては、難しい相手に1人で対応させないこと、管理職がすぐに報告を受けて指示を出すこと、同じ要求が繰り返されるときは対応を打ち切る基準を決めておくこと、などがあります。具体的にどこまでの措置が事業主に求められているかは、厚生労働省が公表しているカスタマーハラスメント防止指針とQ&Aで確かめてください。
ここで大切なのは、顧客からの苦情の多くは正当な申し入れだという点です。正当な苦情には誠実に応え、改善につなげる。社会通念を超えた要求には組織として毅然と対応し、従業員を守る。この線引きを社内で明確にしておくことで、従業員は安心して顧客に向き合えます。
手順4:顧客の声を従業員に返す
施策の効果を確かめるだけでなく、顧客から寄せられた感謝の声や改善の結果を従業員に伝えます。「あなたの対応で顧客がこう感じた」という情報は、従業員にとって仕事の手応えになります。顧客満足度の結果を一部の管理職だけが見ている会社は少なくありませんが、現場に返すことで、従業員満足度の「仕事が役に立っていると感じる」という項目が上がりやすくなります。
手順5:定着率など、間をつなぐ数字も追う
ESとCSの間には、定着率や生産性といった中間の数字があります。これらも一緒に追うと、施策がどこで効いているのかが分かります。
| 追う数字 | 見る理由 |
|---|---|
| 離職率・定着率 | 慣れた人が残っているかを確かめる |
| 1件あたりの対応時間 | 道具や情報の整備が効いているかを確かめる |
| 初回で解決できた割合 | 現場の判断の範囲が適切かを確かめる |
| 苦情の再発件数 | 改善が根本に届いているかを確かめる |
費用をかけずに始められる施策
お金をかける前に、仕事の進めにくさを減らす
ESを上げる施策というと、昇給や手当、社内イベントといった費用のかかるものが先に思い浮かびます。ところが、アンケートの自由記述を読むと、不満の多くは「手順が分かりにくい」「同じことを何度も聞かれる」「判断を仰ぐ相手がつかまらない」といった仕事の進めにくさに関するものです。これらは、費用をかけずに直せることが少なくありません。
・繰り返し聞かれる質問と回答を共有の文書に書き出し、新しく入った人もそこを見れば答えられるようにする
・顧客への返信でよく使う文面をひな型として保存し、毎回ゼロから書かなくて済むようにする
・「この金額までの返金は担当者の判断でよい」のように、現場で決めてよい範囲を文書にする
・朝や週の初めに10分だけ、その日の予定と困りごとを共有する時間をつくる
感謝を伝える仕組みをつくる
顧客から感謝のメールや口コミが届いたら、担当者だけでなくチーム全体に共有します。共有のチャットに専用の場所をつくり、届いた声を貼り付けていくだけでも効果があります。従業員同士で「助かった」を伝え合う仕組みも、費用はほとんどかかりません。
ここで大事なのは、感謝の声を伝えるときに、具体的な行動とセットにすることです。「対応が良かった」だけでなく、「納期の相談に当日中に回答したことで、顧客が予定を立て直せた」のように書くと、他の従業員も同じ行動をまねできます。感謝の共有は、ESを上げるだけでなく、CSを上げる行動を広げる手段にもなります。
休みと負担の偏りを見える形にする
特定の人に仕事が集中していないか、休みが取れていない人がいないかを、表にして見える形にします。少人数の職場ほど、仕事ができる人に依頼が集まり、その人が疲れて辞めるという事態が起こりやすくなります。担当の偏りを週に1回見直すだけでも、離職の兆しに早く気づけます。
アンケート結果を改善につなげる進め方
結果は1か月以内に返す
アンケートを取ったら、結果はできるだけ早く回答者に返します。目安は1か月以内です。時間が空くと、回答した人は「答えても何も変わらない」と感じ、次の回答率が下がります。結果を返すときは、点数だけでなく、点数が低かった項目と、それに対して何をするかをあわせて伝えます。
改善の打ち合わせは、テーマを1つか2つに絞る
結果をもとに改善の打ち合わせを開くときは、扱うテーマを1つか2つに絞ります。低い項目をすべて同時に直そうとすると、どれも中途半端になります。顧客への影響が大きく、すぐに手をつけられるものから選ぶのが基本です。
打ち合わせでは、次の順番で話を進めると、結論が出やすくなります。
- 点数が低かった項目と、自由記述に書かれていた具体的な声を確認する
- その原因を、現場の人に聞いて洗い出す
- 来月までに試すことを1つ決め、担当者と期限を決める
- 次の打ち合わせで、試した結果と数字の変化を確かめる
数字の小さな上下に振り回されない
少人数の職場では、1人の回答が平均点を大きく動かします。10人の職場で1人が低い点をつければ、それだけで平均が下がることがあります。1回の結果で一喜一憂せず、3回ほど続けて見て、同じ方向に動いているかを確かめます。CSも同じで、回答数が少ない月の点数は参考程度にとどめ、苦情の内容や件数とあわせて判断します。
1年間の進め方の例
最初の3か月は、測る仕組みをつくる
ESとCSに初めて取り組むなら、1年を目安に段階を踏んで進めると無理がありません。最初の3か月は、測る仕組みをつくる期間です。ESのアンケートとCSのアンケートの質問を決め、回答を集める手順を整えます。この時期は、点数を上げることより、毎回同じ質問で測れる状態をつくることを優先します。質問を毎回変えると、前の結果と比べられなくなるからです。
4か月目から9か月目は、小さな改善を回す
仕組みができたら、毎月の結果をもとに小さな改善を回します。前の節で書いた打ち合わせの進め方で、1か月に1つずつ試すことを決めます。この期間に5つか6つの改善を試すと、どの施策がESとCSの両方に効いたかが見えてきます。効いた施策は手順書に書き残し、新しく入った人にも引き継げるようにします。
10か月目からは、評価と採用に反映する
1年の終わりに近づいたら、それまでの結果を振り返り、評価の仕組みや採用の基準に反映するかを検討します。たとえば、顧客の声を共有する行動や、後輩への手助けを評価の項目に加えると、ESとCSを上げる行動が会社の仕組みとして定着します。採用の面接でも、顧客にどう向き合いたいかを聞く質問を加えると、入社後のずれが減ります。
成功例に共通するポイント
採用と育成をCSの視点で見直した例
組織調査の会社が紹介している事例では、店舗の風土づくりと並行して、採用や面接の進め方をそろえる取り組みが行われています。
これらの施策で社内風土を高めていくと同時に、スタッフの採用率・定着率アップのために、「全国一律の募集」や「店長面接の標準化」を行いました。結果、入社半年以内のアルバイトスタッフと契約社員の定着率は60%から 80%へと20ポイントも向上しました。この事例も従業員満足度と顧客満足度の両面から取り組みを行っているところが特徴的です。 出典: msandc.co.jp
入社したばかりの時期は、仕事に慣れず不安を感じやすく、辞める人が出やすい時期です。この時期の定着が良くなると、経験を積んだ人が増え、接客の質も安定します。
成功例に共通する3つの特徴
ESとCSの両方を上げることに成功している例には、共通する特徴があります。
- 経営者が両方を同じ重さで語っている:顧客のためと言いながら現場に無理を強いる、または従業員のためと言いながら顧客を軽んじる、ということがない
- 測った結果を現場に返している:アンケートを取って終わりにせず、結果と改善の内容を従業員に伝えている
- 小さな改善を続けている:一度の大きな改革より、毎月の小さな改善を積み重ねている
失敗しやすいパターン
反対に、失敗しやすいパターンもあります。
・アンケートを取るだけで、結果に対して何も変えない
・CSの数字を個人の評価に直結させ、従業員が顧客に高い点数を頼むようになる
・ESを上げるために福利厚生だけを手厚くし、仕事の進めにくさはそのまま
・顧客の要求をすべて受け入れることを「顧客満足」と考え、現場が疲弊する
特に2つ目には注意が必要です。CSの点数を給与や評価に強く結びつけると、点数そのものが目的になり、本来の顧客の体験は良くならないことがあります。数字は改善の手がかりとして使い、評価の唯一の基準にはしないほうが安全です。
ES低下がもたらすリスク
離職の連鎖
従業員満足度が下がると、最初に表れるのは離職です。1人が辞めると、残った人の負担が増え、さらに辞める人が出るという連鎖が起こります。採用と育成には時間と費用がかかるため、離職が続くと、その分だけ顧客への対応に使える力が減ります。
品質の低下と苦情の増加
疲れた従業員は、確認の手順を省いたり、顧客の話を最後まで聞かずに対応したりしがちです。その結果、間違いや苦情が増えます。苦情への対応にはさらに時間がかかり、従業員の負担が増えます。
情報が上がってこなくなる
満足度の低い職場では、現場の問題が上司に伝わりにくくなります。「言っても変わらない」と感じた従業員は、改善の提案や問題の報告をしなくなるからです。顧客からの不満の兆しも現場で止まり、気づいたときには大きな問題になっている、ということが起こります。
評判への影響
従業員の不満は、口コミサイトや求人の評判として外に出ることもあります。働く人の評判が悪い会社は、採用でも不利になり、人手不足がさらに進みます。
小さな会社や在宅のチームでの進め方
少人数でもできる測り方
従業員が10人に満たない会社や、在宅で働くメンバーが中心のチームでも、考え方は同じです。大がかりな調査会社のサービスを使わなくても、無料のフォーム作成ツールで5問ほどのアンケートを作れば、毎月の変化を追えます。少人数だと回答者が特定されやすいため、自由記述は任意にし、結果は全体の傾向として共有するなどの配慮をします。
在宅のチームで起こりやすい課題
在宅で働くメンバーは、顔を合わせる機会が少ないため、次のような課題を抱えやすくなります。
・自分の仕事が顧客にどう役立ったのかが見えにくい
・困ったときに誰に聞けばよいか分からない
・評価の基準があいまいに感じる
これらは、オンラインの定例で顧客の声を共有する、相談先を明確にする、評価の基準を文書にする、といった施策で改善できます。顧客の声を返すことは、在宅のチームでこそ効果が大きい施策です。
業務委託のメンバーとの関係
外部の業務委託のメンバーと一緒に仕事をしている場合、そのメンバーは従業員満足度の調査の対象外になることが多いでしょう。それでも、顧客への対応の質には委託先の働きやすさも影響します。依頼の内容を明確にする、質問への回答を早くする、成果物への感謝や評価を伝える、といった基本的な配慮が、委託先との関係を良くし、結果として顧客への品質を安定させます。
経営者が1人で抱え込まない
小さな会社では、経営者が営業も顧客対応も従業員の相談も1人で受け持っていることがよくあります。この状態では、経営者が忙しくなるほど従業員の相談が後回しになり、顧客への返信も遅れます。ESとCSの両方が同時に下がる典型的な形です。
対策は、経営者でなくても判断できることを少しずつ手放すことです。顧客からの定型的な問い合わせは担当者に任せる、従業員の勤務の調整は決まった人が受ける、といった分担を決めるだけで、経営者は本当に判断が必要なことに時間を使えるようになります。分担を決めたら、誰が何を受け持っているかを全員が見られる表にしておくと、顧客からの連絡が宙に浮くことも減ります。
振り返りの時間を予定に入れる
忙しい時期ほど、ESやCSの振り返りは後回しになります。そこで、四半期に1回、半日だけの振り返りの時間を最初から予定に入れておきます。この時間には、アンケートの結果、苦情の内容、辞めた人がいればその理由を並べて、次の3か月に何を変えるかを決めます。予定に入っていない振り返りは、たいてい実施されません。
業種ごとに見るESとCSのつながり方
店舗の接客
飲食店や小売店のように、顧客と直接顔を合わせる仕事では、ESとCSのつながりが最も分かりやすく表れます。従業員の表情や声の調子は、そのまま顧客の印象になります。忙しい時間帯に人手が足りず、従業員が余裕をなくしている店では、注文の聞き間違いや待ち時間への不満が増えます。シフトの組み方を見直し、混む時間帯に慣れた人を厚めに配置するといった施策は、従業員の負担を減らすと同時に、顧客の待ち時間を短くします。
電話やメールでの問い合わせ対応
問い合わせ窓口の仕事では、1件ごとの対応の質に加えて、対応する人の疲れがたまりやすいことが特徴です。厳しい言葉を受け止める場面も多く、ESが下がると離職が続きやすい職種です。回答の資料をそろえる、難しい問い合わせを上の担当者に引き継ぐ基準を決める、対応の合間に短い休憩を挟む、といった施策が効きます。CSは、初回の対応で解決できた割合で見ると、改善の効果が分かりやすくなります。
医療や介護の受付
病院や介護施設の受付では、体調が悪い人や不安を抱えた人に接することが多く、丁寧な説明が顧客の満足を大きく左右します。受付の担当者が手続きや制度を正しく理解していると、説明に迷いがなくなり、患者や利用者の不安が和らぎます。受付の仕事に必要な知識を体系的に学ぶ方法として、医療事務の資格があります。試験の内容や学び方は医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)のページで紹介しています。知識が身につくと、担当者自身の自信にもつながり、ESの面でも効果があります。
制作や開発などの受託の仕事
デザインやシステム開発のように、顧客から依頼を受けて成果物を納める仕事では、顧客と接する時間は短くても、やり取りの質がCSを左右します。依頼の内容があいまいなまま作業に入ると、作り直しが増え、作り手の負担も顧客の不満も大きくなります。最初の打ち合わせで目的と完成の基準を文書にしておくことが、ESとCSの両方を守る一番の手段です。デザインの仕事の報酬の水準は、デザイナーの年収・単価相場で職種ごとの相場として確認できます。報酬と作業量の釣り合いが取れているかは、作り手の満足度に直結する要素です。
ESとCSに関わる仕事と、運営者の視点
ESとCSの改善に関わる仕事
ESとCSの改善は、社内の担当者だけでなく、外部の専門家に依頼されることも増えています。アンケートの設計と分析、顧客の声の分類、改善施策の提案などは、外部の人材が担いやすい仕事です。最近では、顧客からの問い合わせや自由記述をAIで分類し、改善の優先順位を出す取り組みも広がっています。こうした業務の内容は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、AIを使った業務改善の仕事として紹介しています。
アンケートの集計画面や、問い合わせ管理の仕組みを自社向けに作る場合は、開発の仕事として依頼されることもあります。小さな会社では、既製のツールでは足りない部分を外部の開発者に頼むことが少なくありません。こうした仕事の範囲はアプリケーション開発のお仕事で確認できます。
運営者として見てきたこと
フリーランス・在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、受注者と発注者の関係にも、ESとCSと同じ構造があります。依頼の内容が明確で、質問にすぐ答えてくれる発注者のもとでは、受注者は力を出しやすく、成果物の質も上がります。成果物の質が上がれば、発注者の顧客の満足度も上がり、次の依頼につながります。
この好循環は、中間の手数料が乗らない直接取引だとより強くまわります。同じ予算で発注者はより多くを頼め、受け手は手取りが厚くなるので、受け手が次の仕事に時間と手間をかけやすくなるからです。手数料0%の価値は、金額の差そのものより、こうした「双方に余裕が生まれる」という質の差にあると考えています。
経営の視点で学ぶ場合
ESとCSを、個別の施策ではなく経営全体の仕組みとして考えたい人には、中小企業の経営課題を幅広く扱う国家資格が役に立ちます。組織、人事、マーケティング、財務をひとつの体系で学べるため、ESとCSをつなぐ仕組みづくりの土台になります。試験の範囲や学び方は中小企業診断士のページで整理しています。
よくある質問
Q. 従業員満足度を上げれば、顧客満足度も必ず上がりますか?
必ず上がるとは言えません。両者には相関があることが多いものの、相関は片方が高いともう片方も高い傾向を示すだけで、原因と結果までは示しません。従業員が満足していても、顧客の期待とサービスの内容がずれていれば顧客満足度は上がりません。両方を同時に測り、施策の前後でどう変わったかを確かめることが大切です。
Q. 小さな会社でも従業員満足度の調査は必要ですか?
少人数の会社でも、定期的に状態を知ることは役に立ちます。無料のフォーム作成ツールで5問ほどのアンケートを作れば、毎月の変化を追えます。少人数だと回答者が特定されやすいので、自由記述は任意にし、結果は全体の傾向として共有するなどの配慮をします。大がかりな調査会社のサービスは必須ではありません。
Q. 顧客満足度の点数を従業員の評価に使ってもよいですか?
参考として使うことはできますが、評価の唯一の基準にするのは避けたほうが安全です。点数を給与や評価に強く結びつけると、従業員が顧客に高い点数を頼むなど、点数そのものが目的になることがあります。数字は改善の手がかりとして使い、顧客の声の中身や行動の改善とあわせて評価する方法が向いています。
Q. カスタマーハラスメント対策の義務化は顧客満足度とどう関係しますか?
令和8年10月1日から、事業主にカスタマーハラスメント対策が義務付けられました。理不尽な要求にも従業員を耐えさせる運用は、従業員満足度を下げるうえ、法律上の対策義務にも反するおそれがあります。正当な苦情には誠実に応え、社会通念を超えた要求には組織として対応する線引きを決めることで、従業員は安心して顧客に向き合えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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