事業目的を変えるときの登記|書き方しだいで許認可が通らない


この記事のポイント
- ✓事業目的変更登記の手順と費用を
- ✓法務局の申請書記載例と登録免許税法にあたって整理しました
- ✓許認可の窓口が定款と登記簿の両方を見る理由
事業目的変更登記でもっとも多い失敗は、費用でも期限でもなく、書き方です。追加したい事業だけを書いて申請してしまう、あるいは許認可の窓口が求める表現と違う書き方をしてしまう。この2つで手戻りが発生します。登録免許税は3万円、期限は決議から2週間ですが、それ以前に「何をどう書くか」で結果が変わる手続きです。ここでは法務局が公開している申請書の記載例に沿って、書き方の原則から順に整理します。
事業目的は、会社が何をする会社なのかの公式な宣言
事業目的というのは、会社がどんな事業を行うかを定款に書いたものです。定款は会社の基本的な決まりをまとめた文書で、たいてい第2条か第3条に「当会社は、次の事業を行うことを目的とする」として箇条書きが並んでいます。
この目的は登記簿にも載ります。登記簿は法務局が管理している誰でも見られる記録なので、会社が何をする会社なのかは外部の誰からも確認できる状態になっています。
なぜわざわざ公開されているのかというと、会社と取引する相手にとって重要な情報だからです。銀行が融資を検討するとき、行政が許認可を出すとき、大企業が新しい取引先を審査するとき、相手はまず登記簿を取って目的欄を見ます。そこに書かれていない事業をしていると、話が止まります。
逆に言えば、目的欄に書いてあるからといって実際にその事業をしている必要はありません。将来やる予定の事業を先に書いておくことも認められています。これは実務でよく使われる考え方で、あとから追加登記する手間と費用を省けます。
変える手順は定款が先、登記が後
事業目的を変える作業は2段階です。
1段階目が定款の変更です。事業目的は定款に書かれている事項なので、株主総会の決議で書き換えます。しかも通常より重い特別決議が必要で、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が求められます。定款で出席の条件を3分の1以上まで緩めることはできますが、賛成の3分の2は動かせません。
2段階目が登記です。定款を書き換えただけでは登記簿の目的欄は変わらないので、法務局に変更登記を申請します。
定款そのものを役所に提出する必要はありません。会社が保管しておく文書です。ただし登記を申請するときに、定款変更を決議した株主総会の議事録を添付するので、議事録に書いた内容と定款の条文が食い違わないようにしてください。
順番を逆にすると詰みます。登記だけ先に申請することはできませんし、定款を変えずに登記を申請すると、添付した議事録と定款の整合が取れません。
許認可の窓口は、定款と登記簿の両方を見る
この手続きで実際に困るのは、許認可との関係です。
たとえば中古品の売買をするには古物商の許可が必要ですが、警視庁が公開している古物商許可申請の案内を見ると、法人が申請する場合の添付書類として「法人の定款」と「法人の登記事項証明書」の両方が挙げられています。申請手数料は19,000円です。
つまり窓口は、会社が自分で持っている定款と、法務局が管理している登記簿の2つを突き合わせて見ます。ここで目的欄に古物の売買にあたる事業が書かれていなければ、申請そのものが進みません。
同じ構造は、建設業、宅地建物取引業、人材派遣、有料職業紹介、飲食店、産業廃棄物の収集運搬など、多くの許認可で共通しています。許認可を取ろうとして初めて「目的欄に書いていない」と言われるのが典型的な流れで、そこから定款変更と登記をやり直すと、許認可の申請自体が1か月以上遅れます。
対策は単純です。許認可を取る予定があるなら、その許認可の窓口に「目的欄にどういう表現で書いてあれば通るか」を先に確認してください。窓口によっては推奨する文言を教えてくれます。行政書士に許認可の申請を頼む予定があるなら、登記を申請する前の段階で相談するほうが確実です。
ここは事業や自治体によって判断が分かれる部分なので、この記事の内容で断定せず、必ず所管の窓口で確認してください。
目的欄の書き方。3つの原則
目的の書き方には、実務上の原則があります。
1つ目は、具体的に書くことです。「商業」「サービス業」のような広すぎる表現は、何をする会社なのか分からないため、許認可の窓口や銀行の審査で説明を求められます。何を扱って何をするのかが分かる粒度で書いてください。
2つ目は、日本語として通じる表現にすることです。業界内でしか通じない略語や、造語をそのまま書くと、読む側に伝わりません。新しい分野の事業であっても、その内容を説明する言葉で書き直すほうが後が楽です。
3つ目は、最後に包括的な項目を入れることです。法務局の記載例も、目的の最後に「前各号に附帯する一切の事業」という行を置いています。これを入れておくと、書いた事業に付随する周辺業務まで含まれると解釈できるので、細かい事業を1つずつ追加登記する必要が減ります。
記載例が示している形はこうです。
「目的」
1 ○○の製造販売
2 ○○の売買
3 前各号に附帯する一切の事業
番号を振った箇条書きで並べ、最後に包括条項を置く。これが標準的な形です。
項目数に法律上の上限はありません。ただし数十項目を並べると、何が本業なのか分かりにくくなり、銀行の審査で「結局何をしている会社なのか」と聞かれる材料になります。将来やる予定を入れておくのは有効ですが、やる見込みのないものまで並べる必要はありません。
登記すべき事項には、変更後の目的を全部書く
ここが事業目的変更登記でもっとも事故が多い部分です。
法務局の記載例は、目的の欄に明確な注意を付けています。目的は変更部分だけでなく、変更後のすべての目的を記録してください、という内容です。
言い換えると、既存の目的が5つあって1つ追加したい場合でも、申請書の登記すべき事項には追加する1つだけを書くのではなく、変更後に残る6つ全部を1番から並べ直して書きます。
これを知らずに追加分だけを書いて申請すると、目的欄の内容が書いた1つだけに置き換わる登記になりかねません。既存の目的が消えると、その事業に必要な許認可の根拠が失われ、取引先から見た会社の姿も変わります。あとから更正の登記をする手間が発生します。
書き方としては、現在の登記事項証明書を取って目的欄をそのまま写し、そこに追加分を入れ、番号を振り直し、最後に包括条項を置く、という順番が確実です。削除したい項目があれば、写すときに落とします。
削除についても補足すると、使っていない目的を消すこと自体に問題はありません。ただし、その事業に関連する許認可を持っている場合、目的を消すと許認可の要件を満たさなくなる可能性があります。整理のつもりで消した項目が、実は許認可の根拠だったという事故は起こりえます。消す前に、その項目が何に紐づいているかを確認してください。
費用は3万円。商号変更と同時なら1回で済む
登録免許税法は「登記事項の変更、消滅又は廃止の登記」について1件につき3万円と定めています。事業目的の変更はこの区分に入るため、資本金の額にかかわらず3万円です。目的を1つ追加しても10個書き換えても、金額は同じです。
納め方は収入印紙か領収証書です。収入印紙は法務局のほか郵便局でも買えます。申請書ではなく収入印紙貼付台紙という別の紙に貼り、申請書とつづって提出します。割印をしないで貼ってください。割印や消印を押すとその印紙は使えなくなります。
ここで知っておくと得をするのが、商号変更との関係です。商号の変更も、この同じ「登記事項の変更」の区分に入ります。つまり両方をまとめて1通の申請書で出せば、登録免許税は3万円のままです。
| 申請の仕方 | 登録免許税 |
|---|---|
| 目的変更だけ | 3万円 |
| 商号変更だけ | 3万円 |
| 別々の日に両方を申請 | 6万円 |
| 1通の申請書にまとめて申請 | 3万円 |
社名と事業内容の両方を見直す予定があるなら、同じ株主総会で決議して1件にまとめてください。手続きの手間はほとんど変わらないのに、3万円の差が出ます。
なお役員の変更は別の区分なので、同時に申請しても登録免許税は別に発生します。商号と目的は同じ区分、役員は別の区分と覚えておくと判断しやすくなります。
自分で申請する場合の実費は、この3万円に登記事項証明書の取得費と郵送代を足した程度です。司法書士に依頼すると報酬が加わります。報酬額は事務所によって幅があるので、依頼する前に複数から見積もりを取ってください。
期限は2週間。過ぎても申請は通るが別の問題が残る
登記の期限は、定款変更の効力が生じてから2週間です。株主総会で決議してその場で効力が生じるなら、決議日から数えます。
期限を過ぎても申請自体は受け付けられ、遅れたことだけを理由に却下されることはありません。ただし代表者個人に対して、裁判所から100万円以下の過料が科される可能性が残ります。会社ではなく代表者個人に通知が来る点が、この制度の特徴です。
もう1つ、効力が生じる前に申請することはできません。来月から新しい事業を始めるので今のうちに登記しておきたい、という進め方はできないということです。定款変更の効力が生じた日を待ってから申請してください。
添付書類は3つだけ
申請書に添える書類は、商号変更のときと同じ構成です。
| 書類 | 通数 | 必要な場面 |
|---|---|---|
| 株主総会議事録 | 1通 | 常に必要 |
| 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) | 1通 | 常に必要 |
| 委任状 | 1通 | 代理人に頼む場合のみ |
株主リストは、誰が何株持っていて議決権が何個あるかを一覧にし、会社の代表者名義で証明する書類です。全株主を書く必要はなく、議決権の割合が高い順に、合計が3分の2に達するまでか10位に達するまでか、少ないほうの人数までで足ります。自己株式のように議決権のない株式は書かず、総議決権数にも加えません。
議事録には、定款の何条をどう変えるかを書きます。目的の条文を丸ごと書き換える形になるので、変更後の目的全部を条文の形で書いてください。ここでも「変更後の全部を書く」という原則は同じです。
定款そのものを添付する必要はありません。株式会社の目的変更では、法務局の記載例が挙げている添付書類は上の3つだけです。
申請書の欄ごとの書き方
申請書の様式は法務局が無料で配っています。商業・法人登記の申請書様式というページに「株式会社変更登記申請書(目的の変更)」という様式があり、1-12という番号が振られています。記載例と空欄の様式があり、様式はWord形式とPDF形式の両方が用意されています。まず記載例を開いてください。
書く項目は次のとおりです。
会社法人等番号は12桁で、登記事項証明書に載っています。分かる場合に書けばよいとされています。
フリガナは、株式会社という種類を表す部分を除いてカタカナで左詰めに書きます。間に空白があっても、空白を削除した形で登録されます。このフリガナは国税庁の法人番号公表サイトを通じて公表される一方、登記事項証明書には表示されません。
商号の欄には、今登記されている社名を書きます。目的だけを変える場合は社名が変わらないので、ここで迷うことはありません。
本店は、登記されているとおりの表記で書きます。普段使っている住所表記と登記簿上の表記がずれていることがあるので、登記事項証明書から写すのが確実です。
登記の事由は「目的の変更」と書きます。
登記すべき事項には、変更後のすべての目的と原因年月日を書きます。ここが前述した最大の注意点で、追加分だけを書いてはいけません。
登録免許税は「金3万円」です。
添付書類の欄には、株主総会議事録、株主リスト、委任状を通数とともに書きます。株主リストは「株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)」という正式名称で書きます。
申請書の末尾には、本店所在地と商号、代表取締役の住所と氏名を書き、法務局に届け出た印鑑を押します。代理人が申請する場合は代理人の住所と氏名を書いて代理人の印鑑を押し、このときは代表取締役の押印は不要です。連絡先の電話番号は、補正があったときの連絡先になるので必ず書いてください。携帯電話でもかまいません。
申請書と収入印紙貼付台紙が複数ページになるときは、つづり目に契印を押します。契印に使う印は申請書に押したものと同じでなければなりません。
書き損じた場合、修正液は使えません。訂正したい文字を二重線で消し、近くに正しい文字を書いて押印します。申請書を直すなら申請書に押した印、添付書類を直すならその書類に押した印を使います。
削除、並び順、英語表記についての実務
目的欄をめぐって実務で出てくる細かい疑問を整理しておきます。
目的の削除は自由にできます。使っていない事業を消すこと自体に制限はありません。ただし前述のとおり、その項目が許認可の根拠になっている場合は要注意です。整理のつもりで消した項目が許認可の要件だった、という事故は実際に起こりえます。消す前に、各項目が何に紐づいているかを確認してください。
並び順にも決まりはありません。ただし読む側の理解を考えると、本業を上に置き、付随する事業を下に置き、最後に包括的な項目を置くのが自然です。登記簿を見た相手が最初の数行で会社の姿をつかめる並びにしておくと、融資や取引先の審査で説明する手間が減ります。
英語やカタカナの扱いは、商号ほど厳しくありません。商号に使える文字は法務省の告示で限定されていますが、目的欄は文章として書くものなので、一般に通じる表現であればカタカナの業界用語も使えます。とはいえ、読む側が行政の担当者や銀行の審査担当であることを考えると、聞き慣れない言葉だけで書くのは避けたほうが無難です。意味を説明する言葉を添える形にしてください。
項目数の上限もありません。ただし数十項目が並ぶと、何が本業なのかが伝わらなくなります。将来の予定を先に書いておく実務は有効ですが、やる見込みのないものまで並べる必要はありません。
有限会社と合同会社の場合
今も「○○有限会社」として登記されている特例有限会社でも、事業目的の変更はできます。法務局の様式のページには特例有限会社向けの「特例有限会社商号及び目的変更登記申請書」という様式が用意されています。社名を株式会社に変える場合とは違い、目的だけを変えるなら解散と設立の登記は必要ありません。
合同会社の場合は、決議の仕組みが株式会社とまったく違います。会社法は、持分会社は定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって定款を変更できると定めています。株主総会の3分の2ではなく、社員全員の同意です。社員が1人だけの合同会社なら自分の判断で決められますが、複数いる場合は全員の合意が要るということです。定款で別の決め方をしている場合はそちらが優先されるので、まず自社の定款を確認してください。
合同会社でも、目的の変更が登記事項であることは同じです。登録免許税も1件につき3万円で変わりません。
銀行と補助金の審査でも目的欄は見られる
許認可以外にも、目的欄が効いてくる場面があります。
融資の審査では、事業計画と登記簿の目的欄が一致しているかを見られます。新しい事業のために借りたいのに、その事業が目的欄にないと、説明を求められます。書いていないことが即座に否決につながるわけではありませんが、余計な質問が増え、審査が長引きます。融資の相談をする前に目的を整えておくほうが、話が早く進みます。
補助金や助成金でも、申請要件として特定の事業を行っていることが求められる場合があります。ここでも登記事項証明書の提出を求められるケースがあり、目的欄が確認の対象になります。公募期間が短い制度では、目的変更の登記が間に合わずに応募できなかった、という事態が起こります。狙っている制度があるなら、公募が始まる前に済ませておいてください。
大企業との取引を始めるときの与信審査でも、登記事項証明書は定番の提出書類です。審査する側は、取引しようとしている業務がその会社の目的に入っているかを確認します。実際に事業をしていても目的に書いていなければ、書類上は「その事業をしない会社」に見えます。
こうした場面に共通しているのは、相手が見るのは実態ではなく書類だということです。目的欄は会社の実態を映す鏡ではなく、外部に対する宣言として機能しています。
登記のあとに残る届出
登記が終わっても、それで完了ではありません。税務署への届出が残ります。
国税庁は、異動届出書の対象となる事項を次のように案内しています。
事業年度等の変更、納税地の異動、資本金の額等の異動、商号又は名称の変更、代表者の変更、事業目的の変更、法人の合併、法人の分割による事業の譲渡若しくは譲受け、法人区分の変更、法人の解散(信託の終了を含みます。)・清算結了、支店・工場等の異動等をした場合の手続です。 出典: nta.go.jp
事業目的の変更がはっきり対象に入っています。提出時期は異動後速やかに、提出先は異動前の納税地を所轄する税務署長、添付書類はなしとされています。ただし異動事項の内容確認のために定款などの写しを求められる場合があると書かれているので、手元に用意しておくと話が早くなります。都道府県税事務所と市区町村にも同様の届出が必要です。
許認可を持っている場合は、その変更届も確認してください。目的を追加しただけなら届出が不要な許認可もあれば、届出を求めるものもあります。期限が短いものが多いので、登記を申請する段階で所管の窓口に確認しておくと二度手間になりません。
新しい事業が消費税や税率の扱いに影響する場合もあります。この部分は会社ごとの事情で結論が変わるため、断定せずに税務署か顧問税理士に確認してください。
許認可を取るなら、開業の日から逆算して日程を組む
目的の追加が遅れて困るのは、たいてい別の期限が先に決まっているときです。許可が下りないと開業できない、公募の締切が決まっている、取引の開始日を先に約束している。こういう場面では、登記が終わる日を後ろから数えて組みます。
古物商の許可を取って10月1日に開業したい会社を例にします。
・8月上旬 所管の窓口に、目的欄にどう書いてあれば要件を満たすかを確認する ・8月中旬 株主総会の招集の通知を出す。全株式に譲渡制限をつけている会社なら1週間前までで足ります ・8月下旬 株主総会で定款変更を決議し、その日のうちに議事録と株主リストを作る ・9月上旬 法務局へ変更登記を申請する。効力が生じた日から2週間以内に出します ・9月中旬 登記が完了したことを確認し、新しい登記事項証明書を取る ・9月中旬から下旬 許可の申請書に定款の写しと登記事項証明書を添えて提出する
ここで読み違えやすいのが、法務局に申請した日ではなく登記が完了した日を待つ必要がある点です。許可の窓口が見るのは登記事項証明書なので、目的欄が書き換わって証明書に出てくるまでは提出できません。完了までの日数は法務局と時期によって変わり、各法務局が登記完了予定日を公表しています。申請する前にその日付を確認して、後ろの予定を決めるとずれにくくなります。
許可の審査そのものにも日数がかかります。標準的な処理期間を公表している許認可もあるので、窓口に確認して逆算に組み込んでください。登記の待ち時間と審査の待ち時間を足すと、思っていたよりずっと前から動く必要があると分かります。
逆算して日程が足りない場合に取れる手は、株主総会を前に倒すことだけです。招集の通知期間は定款で短くできますが、その定めがなければ1週間は必要になります。取締役会を置いていない会社で、定款に通知期間を短縮する一文があるかどうかを、この段階で確かめておくと余裕が生まれます。
登記が終わったあとに取る書類と、その手数料
申請して完了の連絡が来ても、法務局から新しい登記事項証明書が送られてくるわけではありません。必要なら自分で請求します。目的を変えた会社は、取引先や金融機関、許認可の窓口に変わったことを示す必要が出てくるので、たいてい数通を取ることになります。
手数料は法務省が登記手数料についてとして公表しています。令和7年4月1日からの額は次のとおりです。
| 請求する書類と方法 | 手数料 |
|---|---|
| 登記事項証明書 書面で請求 | 600円 |
| 登記事項証明書 オンラインで請求して郵送 | 520円 |
| 登記事項証明書 オンラインで請求して窓口で受け取る | 490円 |
| 印鑑証明書 書面で請求 | 500円 |
| 印鑑証明書 オンラインで請求して郵送 | 450円 |
| 印鑑証明書 オンラインで請求して窓口で受け取る | 420円 |
| 登記簿等の閲覧、登記事項要約書の交付 | 500円 |
同じ紙でも請求のしかたで100円以上変わります。1通なら気になりませんが、許可の申請、銀行、主要な取引先と配っていくと数通になるので、オンラインで請求できる状態を作っておくと差が出ます。1通の枚数が50枚を超える場合は、超える枚数50枚までごとに100円が加算される点も覚えておいてください。
なお、相手に渡す目的で取るなら、発行から3か月以内のものを求められることが多いです。先に何通必要かを聞いてから、まとめて請求したほうが手数料も送料も少なくて済みます。
帳簿にどう書くか
登記にかかったお金は経費になります。仕訳の形を先に決めておくと、毎回迷いません。
自分で申請した場合は単純です。登録免許税として納めた3万円は租税公課、登記事項証明書の手数料や郵送代は支払手数料や通信費として処理します。
・租税公課 30,000円 / 現金 30,000円(目的変更の登録免許税) ・支払手数料 600円 / 現金 600円(登記事項証明書1通)
司法書士に頼んだ場合は、ここに論点が1つ増えます。司法書士に支払う報酬は源泉徴収の対象で、国税庁が計算のしかたを次のように案内しています。
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は、同一人に対し、1回に支払われる金額から10,000円を差し引いた残額に10.21パーセントの税率を乗じて算出します。 出典: nta.go.jp
報酬が5万円なら、5万円から1万円を引いた4万円に10.21パーセントを掛けた4,084円を差し引いて支払い、差し引いた分は原則として支払った月の翌月10日までに納めます。
ここで大事なのは、請求書の中身を分けて見ることです。同じ案内は、登記の申請のために本来納付すべきものとされる登録免許税や手数料に充てるものとして支払われたことが明らかなものについては、源泉徴収をする必要がないとしています。つまり請求書に「報酬5万円、登録免許税3万円、実費600円」と内訳が書かれていれば、源泉徴収の対象になるのは報酬の5万円だけです。総額の8万600円から計算してしまうと、納めすぎになります。
内訳が書かれていない請求書が届いたら、分けて書いてもらうよう頼めば済みます。差し引いた額は年末に作る書類にも関わるので、最初から分かれているほうが後の作業が軽くなります。実際の処理は会社の状況で変わる部分があるため、迷うところは税務署か顧問税理士に確認してください。
目的欄を増やすかどうかは、事業を始める判断とは別物
ここからは、在宅ワークと業務委託の市場を長く見てきた立場からの観察です。
事業目的の追加を相談される場面で共通しているのは、「新しい事業を始めるから目的を足したい」という順番になっていることです。ところが実際には、始めてみてから続けるかどうかを決める事業のほうが多くなっています。
20年この市場を見てきた立場から言えば、この10年で明らかに変わったのは、新しい事業を小さく試せるようになったことです。以前なら人を雇い、設備を用意し、数百万円を投じてから始まるものだった新規事業が、今は外部の専門家に部分的に頼みながら、数十万円の範囲で市場の反応を確かめられるようになりました。ウェブサイトを作る、試作品を作る、少量だけ販売してみる。どれも業務委託で必要な分だけ頼める作業です。
そして頼み方の形が、続けられるかどうかを左右します。仲介が中間手数料を取る形だと、会社が同じ予算を出しても受け手に届く金額は目減りします。手数料0%の直接取引なら、同じ予算でより多く試せて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、新しい事業が立ち上がった会社は、外部の担当者と長く同じ相手で組んでいることが多いという共通点があります。毎回違う人に一から説明していると、試す速度そのものが落ちるためです。
目的欄への追加は、試した結果として続けると決めた段階でも間に合います。将来の予定を先に書いておく実務があるのは事実ですが、やるかどうか分からないものを全部並べる必要はありません。
新しい事業を試すときに外へ出しやすい仕事
新規事業の立ち上げで外部に頼みやすいのは、専門性が高くて社内に人がいない領域です。
システムやアプリを伴う事業なら、開発の相場を知っておくと予算が立てやすくなります。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には公的統計をもとにした年収の分布がまとまっており、案件の種類はアプリケーション開発のお仕事に整理されています。試作の段階でどこまで作るかによって金額が大きく変わるので、最初に相場を把握しておくと過大な見積もりに気づけます。
近年増えているのが、既存の業務に人工知能を組み込む形の事業です。この領域で何が頼めるのかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事に整理されており、導入の支援から運用の設計までの幅が分かります。マーケティングやセキュリティと組み合わせた案件についてはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっています。事業目的に書く文言を考える段階で、自社が具体的に何をするのかを言語化する材料にもなります。
事業の説明文、契約書のひな形、案内資料といった文書の整備も同時に発生します。文章を扱う職種の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、書式の基準はビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。外部に出す文書の形式を押さえておくと、許認可の申請書類を作るときにも効いてきます。
新しい取引先と契約を結ぶ機会も増えるので、発注書や契約書の必須項目を整理したフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストを一度確認しておくと、あとの揉め事を減らせます。
よくある質問
Q. 事業目的変更登記の費用はいくらですか?
登録免許税は1件につき3万円です。目的を1つ追加しても複数を書き換えても金額は変わらず、資本金の額にも左右されません。商号の変更も同じ区分に入るため、1通の申請書にまとめて出せば両方あわせて3万円で済みます。別々の日に申請すると6万円になるので、両方を変えるなら同時にまとめてください。
Q. 目的を1つ追加するだけでも、全部書き直す必要がありますか?
あります。法務局の記載例は、目的は変更部分だけでなく変更後のすべての目的を記録するよう求めています。追加分だけを書いて申請すると、既存の目的が消えた内容で登記されかねません。現在の登記事項証明書の目的欄をそのまま写し、追加分を入れ、番号を振り直して書いてください。
Q. 許認可を取るために目的を追加する場合、何に気をつければいいですか?
許認可の窓口は、会社の定款と登記事項証明書の両方を見ます。古物商許可では法人の定款と登記事項証明書がどちらも添付書類になっています。窓口が求める表現と違う書き方をすると申請が止まるため、登記を申請する前に所管の窓口へ、どういう文言なら通るかを確認してください。
Q. 将来やる予定の事業を先に書いておいてもいいですか?
かまいません。目的欄に書いてある事業を実際に行っていなければならない、という決まりはないため、将来の予定を先に入れておく実務は一般的です。追加登記の手間と3万円を省けます。ただし項目を並べすぎると本業が分かりにくくなり、融資の審査などで説明を求められるので、見込みのあるものに絞ってください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







