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傾聴力とは|相手の話を深く聞く技術と鍛え方

@SOHO編集部
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傾聴力とは|相手の話を深く聞く技術と鍛え方

この記事のポイント

  • ✓相手の気持ちに関心を持ちながら積極的に話を聴く力のことです
  • ✓あいづち・くり返し・質問などの技術
  • ✓職場の面談や接客での使い方

部下との面談がうまくかみ合わない、お客様の要望を聞き違えてしまう、評価の面談で「傾聴力を伸ばしましょう」と言われたものの何をすればよいか分からない。そんな悩みから傾聴力を調べている人は多いはずです。傾聴力とは、相手が今どんな気持ちで話しているのかに関心を持ちながら、積極的な姿勢で話を聴く力のことです。生まれつきの性格ではなく、姿勢と技術を知って練習すれば、誰でも少しずつ身につけられます。この記事では、傾聴の意味と効果、基本の姿勢、あいづちやくり返し、質問の技術、職場での使い方、ひとりでできる練習、聞く側が疲れないための注意までを順に説明します。面談で出た相談ごとを担当と期限を付けて追いかける方法の1つとして、プロジェクト管理ツールのPinatecaにも後半で触れます。

傾聴力とは何か

傾聴とは、相手の話に耳を傾け、心を込めて聴くことです。ただ黙って聞いているだけでも、相手の話を聞き流しているのでもありません。相手が何を伝えたいのか、その裏にどんな気持ちがあるのかに関心を向け、それを受け止めながら聴く姿勢を指します。

厚生労働省の働く人のメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」では、傾聴を次のように説明しています。

「傾聴」とは、「この人は今どんな気持ちでこの話をしているのだろう」ということに関心を持ちながら積極的な姿勢で話を聴くことです。聴き手が話し手を大切にすることで、話し手は自分の気持ちを率直にのびのびと話すことができるようになります。 出典: こころの耳「部下の話を聴けていますか 傾聴のすすめ」

傾聴力とは、この傾聴をさまざまな場面で実践できる力のことです。職場の面談、お客様との打ち合わせ、家族や友人との会話など、人と話すすべての場面で役に立ちます。

「聞く」と「聴く」の違い

日本語には「聞く」と「聴く」という2つの書き方があります。「聞く」は、音や声が自然に耳に入ってくることを表します。「聴く」は、注意を向けて、意識して耳を傾けることを表します。傾聴の「聴」は後者で、相手の言葉だけでなく、表情や声の調子、話の間にも注意を向けて受け止めることを意味しています。

積極的傾聴という考え方

傾聴の考え方は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズが広めた「積極的傾聴」が基になっていると言われます。積極的傾聴では、聴き手が大切にする態度として、一般に次の3つが挙げられます。

  • 共感的な理解:相手の立場に立って、相手の気持ちを理解しようとすること
  • 無条件の肯定的な関心:相手の話を、良い悪いで判断せずに受け止めること
  • 自己一致:聴き手自身が、分からないことは分からないと率直であること

こころの耳には、積極的傾聴について学べる話を「聴く」積極的傾聴とはというページもあり、傾聴の練習の進め方を動画で紹介しています。

傾聴力が求められる理由

傾聴力が仕事の場面で重視されるようになった背景には、働き方の変化があります。

1つ目は、話を聞く機会の質が問われるようになったことです。在宅勤務やオンライン会議が広がり、職場で雑談をする機会が減りました。顔を合わせる時間が短くなった分、限られた面談や打ち合わせの中で、相手の考えや悩みを正確に受け止める力が必要になっています。

2つ目は、心の健康への関心の高まりです。職場で部下の様子の変化に気づき、話を聴くことは、上司の大切な役割の1つと考えられるようになりました。相談しやすい雰囲気があるかどうかは、働く人が安心して力を出せるかどうかに関わります。上司が忙しそうにしていると、部下は「今は話しかけてはいけない」と感じ、相談を後回しにしがちです。話を聴く姿勢を普段から示しておくことが、早めの相談を引き出す土台になります。

3つ目は、お客様の要望が多様になったことです。営業や接客、相談の窓口の仕事では、お客様が言葉にした要望だけでなく、その奥にある本当の困りごとを聞き取ることが求められます。表面の言葉だけを受け取って提案すると、的外れな提案になりがちです。

傾聴の効果

傾聴には、話し手と聴き手の両方にとって良い効果があります。

話し手にとっての効果

話を最後まで聴いてもらえた話し手は、自分が大切にされていると感じます。気持ちを言葉にしていくうちに、自分でも気づかなかった考えが整理されることもあります。悩みを抱えている人にとっては、話を聴いてもらえること自体が、気持ちを落ち着かせる助けになることがあります。

聴き手にとっての効果

聴き手にとっては、相手の考えや状況を正確に知ることができるのが一番の効果です。正しく理解したうえで助言や提案ができるので、行き違いや手戻りが減ります。また、話をよく聴いてくれる人には信頼が集まり、大切な情報が早く届くようになります。聴くことは、相手のためだけでなく、聴き手自身の仕事を楽にする方法でもあります。

職場全体にとっての効果

上司が部下の話をよく聴く職場では、問題が小さいうちに相談が上がってきます。小さなミスや悩みのうちに共有されれば、大きな失敗やトラブルになる前に手を打てます。

傾聴の基本の姿勢

傾聴の技術を学ぶ前に、聴くときの姿勢を整えることが大切です。技術だけを真似ても、姿勢がともなわないと、相手には形だけの聞き方に見えてしまいます。

話を遮らない

相手が話している途中で、自分の意見を言ったり、結論を先回りしたりしないことが基本です。こころの耳でも、部下の話を遮ってアドバイスや説得をしてしまう対応は、相談しようという気持ちをそいでしまうことがあると注意しています。相手が話し終えるまで待ち、少し間を置いてから自分の言葉を返します。

評価や判断をいったん後回しにする

話を聴いている途中で、「それは間違っている」「自分ならこうする」と頭の中で判断し始めると、相手の話が耳に入らなくなります。まずは相手がどう感じ、どう考えているのかを理解することに集中し、評価は後に回します。

話す場所と時間を選ぶ

相談ごとを聴くときは、周りに話の内容が聞こえない場所を選びます。電話や来客で何度も中断される状況では、話し手は落ち着いて話せません。ゆっくり話を聴く時間が取れないときは、「今は10分しかないので、夕方に30分取れますか」のように、改めて時間を作ることを伝えます。

体を相手に向ける

話を聴くときは、パソコンの画面や手元の書類から目を離し、体を相手のほうに向けます。視線は相手の目をじっと見続けるより、目のあたりから口元のあたりを柔らかく見るくらいがちょうどよいとされます。腕を組む、時計を何度も見るといったしぐさは、早く話を終わらせたいように見えるので避けます。

傾聴の技術

姿勢が整ったら、相手の話を深く聴くための技術を使います。どれも特別なものではなく、日常の会話の中で意識すれば使えるものです。

あいづちを打つ

あいづちは、相手の話をきちんと聴いていることを示す合図です。「はい」「ええ」「そうなんですね」「なるほど」などを、相手の話の区切りで入れます。同じあいづちばかりが続くと、聞き流しているように聞こえるので、いくつかの言葉を使い分けます。

あいづちの速さと声の大きさも大切です。相手がゆっくり話しているときは、ゆっくりとうなずき、相手が勢いよく話しているときは、少し短めのあいづちで調子を合わせます。

くり返す

相手が言った言葉を、そのままくり返して返す技術です。たとえば相手が「最近、仕事が多くて大変なんです」と言ったら、「仕事が多くて大変なんですね」と返します。くり返すことで、相手は自分の話が正しく伝わっていると感じ、さらに話を続けやすくなります。

くり返すときは、相手の大切な言葉、特に気持ちを表す言葉を選びます。「困っている」「不安だ」「うれしかった」のような言葉は、相手がいちばん分かってほしいと思っている部分であることが多いので、聞き逃さないようにします。話の内容よりも、こうした気持ちの言葉に先に反応すると、相手は理解されていると感じやすくなります。全部をくり返すと、オウム返しのようで不自然になるので、要所だけにとどめます。

言い換える

相手の話を、自分の言葉で短くまとめ直して返す技術です。「つまり、〇〇の作業が増えて、ほかの仕事に手が回らなくなっているということですね」のように確かめます。言い換えることで、聴き手の理解が合っているかを相手に確かめてもらえます。ずれていれば、相手が訂正してくれるので、誤解を防げます。

気持ちを受け止める

話の内容だけでなく、相手の気持ちに焦点を当てて返す技術です。「それは悔しかったですね」「不安になりますよね」のように、相手が感じているであろう気持ちを言葉にします。ただし、相手の気持ちを決めつけないよう注意します。「悔しかったのではないですか」と尋ねる形にすると、相手が自分の言葉で気持ちを話しやすくなります。

質問する

質問には、答えが「はい」「いいえ」で終わる閉じた質問と、相手が自由に答えられる開いた質問があります。

  • 閉じた質問の例:「その作業は今日中に終わりそうですか」
  • 開いた質問の例:「その作業で、どんなところが難しいと感じていますか」

傾聴の場面では、開いた質問を中心に使うと、相手が考えや気持ちを話しやすくなります。一方で、事実を確かめたいときや、話が広がりすぎたときは、閉じた質問で要点を絞ります。2つの質問を場面に合わせて使い分けることが大切です。

「なぜ」で始まる質問は、相手を問い詰めているように聞こえることがあります。「なぜ遅れたのですか」より、「遅れた事情を教えてもらえますか」「どんなことがあったのですか」のほうが、相手は答えやすくなります。

沈黙を待つ

相手が黙り込んだとき、聴き手はつい何か言葉をかけたくなります。しかし、沈黙は相手が考えをまとめている時間であることが多いものです。すぐに言葉を足さず、少し待ってみると、相手から大切な一言が出てくることがあります。

会話の例で見る傾聴の違い

傾聴の技術を使うと、同じ相談でも会話の流れが大きく変わります。部下が上司に仕事の悩みを打ち明ける場面で、2つの会話を比べてみます。

傾聴を使わない会話

部下「最近、〇〇の作業がなかなか終わらなくて」 上司「ああ、あれは手順を変えればすぐ終わるよ。前に教えた方法でやってる?」 部下「はい、一応……」 上司「じゃあ、もう少し集中してやってみて」 部下「分かりました」

この会話では、上司が部下の話を最後まで聴かずに助言をしています。部下が本当に伝えたかったことが何だったのかは、分からないまま終わっています。

傾聴を使った会話

部下「最近、〇〇の作業がなかなか終わらなくて」 上司「〇〇の作業が終わらないんですね。どんなところで時間がかかっていますか」 部下「確認の作業が増えて、ほかの仕事と重なってしまうんです」 上司「確認が増えて、ほかの仕事と重なっている。それは大変ですね」 部下「はい。どれを先にやればいいのか分からなくなっていて」 上司「なるほど、優先順位が見えにくくなっているんですね。一緒に整理してみましょうか」

こちらの会話では、上司がくり返しと開いた質問を使い、部下の本当の困りごとが「作業の量」ではなく「優先順位が分からないこと」だと分かりました。助言の中身も、部下の困りごとに合ったものになっています。

傾聴でよくある失敗

傾聴を意識していても、知らないうちに相手の話を妨げていることがあります。よくある失敗と、その直し方を紹介します。

自分の話にすり替える

相手の話を聴いているうちに、「そういえば自分も」と自分の体験を話し始めてしまう失敗です。共感を示すつもりでも、話の主役が聴き手に移ってしまい、相手は話を続けにくくなります。自分の体験を話すのは、相手が話し終えて、求められたときにとどめます。

励ましで話を終わらせる

「大丈夫だよ」「気にしすぎだよ」と励ますと、聴き手は相手を元気づけたつもりになります。しかし相手からすると、自分の気持ちを受け止めてもらえず、話を打ち切られたように感じることがあります。励ます前に、「そう感じているんですね」と気持ちを受け止める一言をはさみます。

聞いたふりをする

忙しいときに、パソコンの画面を見ながら「うん、うん」とあいづちだけを打つと、相手にはすぐに分かります。きちんと聴けない状況なら、正直に「今は手が離せないので、15分後に改めて聴かせてください」と伝えるほうが、相手への誠実な対応です。

質問を重ねすぎる

開いた質問は大切ですが、質問ばかりを続けると、相手は取り調べを受けているように感じます。質問の間に、くり返しや気持ちの受け止めをはさみ、相手が話すペースに合わせます。

職場の面談での使い方

傾聴の技術が最も役立つ場面の1つが、上司と部下の面談です。

面談の始め方

面談の始めは、いきなり本題に入らず、話しやすい雰囲気を作ります。「最近どうですか」のような軽い問いかけから始め、相手が話し始めたら、聴くことに集中します。面談の目的が評価なのか相談なのかを最初に伝えておくと、相手は何を話せばよいかが分かり、安心して話せます。

助言は求められてから

部下から悩みを打ち明けられると、上司はすぐに解決策を伝えたくなります。しかし、部下がまず求めているのは、話を聴いてもらうことである場合も多くあります。助言は、話をひととおり聴き、相手の気持ちを受け止めてからにします。「何か一緒にできることはありますか」と尋ね、相手が助言を求めたら、具体的な提案をします。

面談の記録と後の対応

面談で出た相談ごとや、上司が対応すると約束したことは、短く記録しておきます。面談で話を聴いてもらえても、その後に何も変わらなければ、部下は「話しても無駄だった」と感じてしまいます。約束したことは期限を決めて対応し、次の面談でその結果を伝えます。

気になる様子に気づいたとき

部下の元気がない、遅刻や欠勤が増えた、ミスが続くといった変化に気づいたときは、責めるのではなく「最近疲れていませんか」と声をかけ、話を聴く機会を作ります。話の中で心身の不調がうかがえる場合は、上司が1人で抱え込まず、職場の産業保健の担当者や、専門の相談窓口につなぐことが大切です。こころの耳では、働く人や家族、上司が使える相談の窓口も案内しています。

接客や営業での使い方

お客様と接する仕事でも、傾聴の技術は欠かせません。

要望の奥にある困りごとを聴く

お客様が「もっと安いものはありますか」と尋ねたとき、その奥には「予算が決まっている」「使う頻度が少ない」「品質より価格を重視したい」など、さまざまな事情があります。すぐに安い商品を勧める前に、「どのような場面でお使いになる予定ですか」と開いた質問で事情を聴くと、お客様に合った提案ができます。

苦情を受けたとき

苦情を受けたときこそ、傾聴が役に立ちます。話の途中で言い訳をしたり、事情を説明したりすると、お客様の不満はかえって強くなります。まずは最後まで話を聴き、「ご不便をおかけして申し訳ございません」と気持ちを受け止めます。そのうえで、事実を確かめる質問をして、対応を伝えます。

打ち合わせの最後に確かめる

お客様との打ち合わせの最後には、聴いた内容を言い換えて確かめます。「本日伺った内容は、〇〇と〇〇の2点ということでよろしいでしょうか」と確かめておけば、聞き違いによる手戻りを防げます。

相手のタイプに合わせた聴き方

話し手には、それぞれ話し方のくせがあります。相手に合わせて聴き方を少し変えると、より話しやすい雰囲気を作れます。

話が長い人

話があちこちに広がる人には、途中で要点を言い換えて確かめると、話の筋が見えてきます。「ここまでのお話は、〇〇ということですね。そのうえで、一番困っているのはどこでしょうか」と尋ねると、相手も話を整理しやすくなります。話を遮るのではなく、相手の話を短くまとめ直して返すことで、話の中心に戻ってもらいます。

口数が少ない人

あまり話さない人には、答えやすい質問から始めます。いきなり「悩みはありますか」と尋ねると答えにくいので、「今週はどの作業に一番時間がかかりましたか」のように、事実を答えれば済む質問で話の入口を作ります。答えが返ってきたら、くり返しで受け止め、少しずつ気持ちの話に広げていきます。沈黙が続いても、急かさずに待つことが大切です。

感情が高ぶっている人

怒っている人や、強い不安を抱えている人の話を聴くときは、まず気持ちが落ち着くまで聴くことに徹します。途中で反論したり、事実の誤りを正したりすると、かえって感情が高ぶります。「それはお困りでしたね」と気持ちを受け止め、相手が話し終えて落ち着いてから、事実を確かめる質問をします。

目上の人

上司や取引先の役員のように目上の人の話を聴くときも、傾聴の基本は変わりません。あいづちは「はい」「おっしゃるとおりです」のような丁寧な言葉を選び、確かめたいことは「念のため確認させていただきたいのですが」と前置きしてから尋ねます。目上の人ほど、話を正しく理解しようとする姿勢を好意的に受け止めてくれることが多いものです。

オンラインで話を聴くときの工夫

ビデオ会議や電話で話を聴くときは、対面よりも工夫が要ります。表情や身振りが伝わりにくく、声の遅れで話が重なりやすいからです。

ビデオ会議では、うなずきを対面より少し大きめにし、相手が話し終えたのを確かめてから話し始めます。あいづちの声は、通信の遅れで相手の話に重なることがあるので、うなずきで代える場面を増やします。カメラをオフにしている場合は、表情が見えない分、「なるほど、そういうことだったんですね」のように、言葉で受け止めを伝えます。

電話では、相手の声の調子や話す速さに注意を向けます。いつもより話すのが遅い、声が小さいといった変化は、相手の状態を知る手がかりになります。メモを取りながら聴き、最後に要点をくり返して確かめます。

ひとりでできる傾聴力の練習

傾聴力は、日常の会話の中で少しずつ練習できます。次の方法は、特別な道具がなくても始められます。

1日1回、最後まで聴く

1日に1回、誰かと話すときに、相手の話を最後まで遮らずに聴くことを意識します。自分が話したくなっても、相手が話し終えるまで待ちます。最初は難しく感じますが、続けるうちに、相手の話の終わりを待つことに慣れてきます。

聴いた話を要約してみる

会議や人との会話の後に、相手が話したことを3行で書き出してみます。相手が何を伝えたかったのか、どんな気持ちだったのかを書くうちに、話の要点をつかむ力が伸びます。

自分の聞き方を振り返る

会話の後に、「話を遮らなかったか」「すぐに助言をしなかったか」「相手の気持ちを受け止める言葉を使えたか」を振り返ります。うまくいかなかった点を1つだけ選び、次の会話で意識します。

ロールプレイで練習する

職場の研修や、信頼できる同僚との練習では、話し手、聴き手、見る人の3人に分かれて練習する方法がよく使われます。話し手は身近な悩みを話し、聴き手は傾聴の技術を使って聴き、見る人は聴き手の様子を観察して後で感想を伝えます。役割を交代しながら練習すると、自分では気づかない聞き方のくせが分かります。

傾聴力を伸ばすための1か月の練習計画

傾聴力は、一度にすべての技術を使おうとすると、かえって会話がぎこちなくなります。1週間ごとに1つの技術に絞って練習すると、無理なく身につきます。

  • 1週目:相手の話を最後まで遮らずに聴く。話し終えたのを確かめてから、自分が話し始める
  • 2週目:あいづちの言葉を3種類以上使い分ける。相手の話す速さに合わせてうなずく
  • 3週目:相手の大切な言葉をくり返し、ときどき自分の言葉で言い換えて確かめる
  • 4週目:開いた質問を使い、相手の気持ちを受け止める一言を添える

週の終わりには、うまくできた場面と、できなかった場面を1つずつ書き出します。1か月が終わったら、また1週目から始めて、前より自然にできているかを確かめます。くり返すうちに、意識しなくても技術を使えるようになっていきます。

傾聴力を自己PRや面接で伝える方法

就職や転職の面接、評価の面談で、自分の強みとして傾聴力を伝えたい人もいます。傾聴力は目に見えにくい力なので、伝え方に工夫が要ります。

まず、「人の話を聴くのが得意です」とだけ言うのではなく、具体的な場面を1つ選んで話します。いつ、どんな相手の話を聴き、その結果どうなったのかを順に話すと、聞き手は傾聴力が仕事にどう生きるのかを想像できます。

たとえば、「お客様の問い合わせの窓口で、要望を最後まで伺い、言い換えて確かめることを続けた結果、伺った内容の聞き違いによる手戻りが減りました」のように、行動と結果を結びつけて話します。数字で示せる結果があれば添えますが、無理に大きな数字を作る必要はありません。

面接そのものも、傾聴力を見せる場になります。面接官の質問を最後まで聴き、質問の意図に合った答えを返すこと自体が、話を聴く力の表れです。質問の意味が分からないときは、「〇〇についてのご質問でよろしいでしょうか」と確かめてから答えると、聴く力をそのまま示せます。

家族や友人との会話での傾聴

傾聴の技術は、仕事の場面だけでなく、家族や友人との会話でも役立ちます。身近な人ほど、相手の話を最後まで聴かずに、つい自分の意見を言ってしまいがちです。

子どもが学校の出来事を話してくれたときは、すぐに「それはあなたが悪い」と判断せず、「そんなことがあったんだね」と受け止めてから話を聴きます。家族の愚痴を聴くときも、解決策を伝える前に、まず気持ちを受け止める一言をかけると、相手は安心して話せます。

身近な人との会話で傾聴を練習すると、職場でも自然に使えるようになります。毎日の会話が、そのまま傾聴力の練習の場になります。

傾聴で疲れないための注意

人の話を深く聴くことは、聴く側にとってもエネルギーのいることです。特に、悩みや不満を聴く機会が多い人は、自分自身が疲れてしまわないよう注意が要ります。

1つ目は、自分の気持ちと相手の気持ちを分けることです。相手の気持ちに寄り添うことは大切ですが、相手の悩みを自分のことのように抱え込むと、聴き手が疲れてしまいます。「相手はこう感じている」と理解することと、「自分も同じように感じなければならない」ことは別です。

2つ目は、1人で抱え込まないことです。聴いた相談の内容が、自分だけでは対応できない問題であれば、上司や人事、専門の窓口につなぎます。聴き手がすべてを解決する必要はありません。

3つ目は、聴く時間に区切りをつけることです。長い時間話を聴き続けると、集中が切れて聴き方も雑になります。時間を決めて聴き、必要ならまた別の日に時間を取ります。

聴き手自身が心身の不調を感じたときは、無理をせず、信頼できる人や専門の相談窓口に相談してください。

面談で出た相談ごとを追いかける方法

傾聴の成果は、話を聴いたその場だけでなく、その後の対応で決まります。面談で部下から出た相談や、お客様との打ち合わせで出た要望に、誰がいつまでに対応するのかを記録し、きちんと追いかけることが信頼につながります。

対応することが少ないうちは、手帳や表計算ソフトの一覧で十分です。日付、相手、相談の内容、対応すること、期限、終わったかどうかを1行ずつ書いておけば、次の面談の前に見返せます。

チームの複数の人が面談や打ち合わせを担当し、そこで出た対応を分担して進める場合は、担当と期限と進み具合を共有する道具を使う方法もあります。選択肢の1つが、Pinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaはカンバン、ガントチャート、カレンダーなど8種類のボードとチャットを備えたプロジェクト管理ツールで、カードに担当者と期限を付けて管理できます。面談で出た対応をカードにし、担当者と期限を入れておけば、締め切りの近い対応を受信箱で知らせてもらえます。権限の設定で見える範囲を分けられるので、面談の内容のように見せる相手を限りたい情報は、決まったメンバーだけのワークスペースに分けて管理できます。

料金は、5人までのチームなら無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。面談の中身そのものは、本人の了解なく広く共有しないことが前提です。道具に記録するのは、対応する作業と期限に絞ります。

傾聴力が働き方の幅を広げる理由

2004年から在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた範囲では、仕事の依頼が長く続く人ほど、最初の打ち合わせで相手の話をよく聴いています。依頼する側の要望をそのまま受け取るのではなく、「その資料は誰に見せるものですか」「いつまでに必要ですか」と質問し、本当に必要なものを確かめてから作業に入る人は、手戻りが少なく、次の仕事も任されやすい傾向があります。

依頼する側と受ける側が直接やり取りできる環境では、要望を聞き取る役目を間に入る人が担ってくれるわけではありません。その分、仲介の手数料がかからず手取りが厚くなる一方で、聴く力がそのまま仕事の質の差になります。

デザインのように、依頼する側の頭の中にあるイメージを形にする仕事では、傾聴力が特に大切です。デザイナーの年収・単価相場では、デザインの仕事の収入と単価の目安を紹介しています。企業の課題を聴き取り、業務の改善を提案する仕事に関心があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事の内容と求められる力を確かめられます。経営者の話を聴いて課題を整理する専門家の資格として、中小企業診断士もあります。

よくある質問

Q. 傾聴力は生まれつきの性格で決まるものですか?

生まれつきの性格だけで決まるものではありません。話を遮らない、評価をいったん後回しにする、あいづちやくり返し、開いた質問を使うといった姿勢と技術を知り、日常の会話で意識して練習すれば、少しずつ身につけられます。1日1回、相手の話を最後まで聴くことから始め、会話の後に自分の聞き方を振り返ると効果的です。

Q. 傾聴と、ただ黙って聞くことは何が違いますか?

ただ黙って聞くことは、相手の話が耳に入っている状態にとどまります。傾聴は、相手が今どんな気持ちで話しているのかに関心を持ち、あいづちやくり返しで受け止めを伝えながら、積極的に聴くことです。相手は自分の話が理解されていると感じ、気持ちを率直に話しやすくなります。

Q. 部下の悩みを聴いたら、すぐに助言したほうがよいですか?

まずは話を最後まで聴き、相手の気持ちを受け止めることを優先します。部下が求めているのは、助言より話を聴いてもらうことである場合も多いからです。ひととおり聴いた後に「何か一緒にできることはありますか」と尋ね、助言を求められたら具体的に伝えます。心身の不調がうかがえる場合は、専門の窓口につないでください。

Q. 人の話を聴くと疲れてしまうのですが、どうすればよいですか?

相手の気持ちを理解することと、相手の悩みを自分のことのように抱え込むことを分けて考えます。自分だけで対応できない相談は、上司や人事、専門の窓口につなぎ、1人で抱えないようにします。聴く時間に区切りをつけることも大切です。疲れが続くときは、自分自身も信頼できる人や相談窓口に相談してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月15日最終更新:2026年10月24日
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