子育てしながら透析クリニックで働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓透析クリニックでママ看護師として働くとき
- ✓シフトの融通はどこまで利くのか
- ✓急な休みを左右する人員体制
「子どもが小さいうちは夜勤は無理。でも看護師は続けたい」。 こういうご相談、本当によくいただきます。
そして、その次に出てくる候補が透析クリニックです。 夜勤がない、日曜が休み、残業が少ない。 条件だけ並べると、子育て中のママ看護師にぴったりに見えますよね。
ただ、実際に働き始めてから「思っていたのと違った」と感じる方もいます。 透析クリニックには、透析クリニックならではの時間の流れと、休みにくさの理由があるからです。
この記事では、透析クリニックの中で1日がどう動いているのか、急な休みが取れるかどうかを何が決めているのか、そして子育て中に頼れる制度と、求人票で確かめておくべき項目をお話しします。 読み終わるころには、「自分の家庭の事情で、このクリニックは続けられそうか」を判断できるようになっているはずです。
透析クリニックが子育て中の看護師に選ばれる理由と、その裏側
まず、なぜ透析クリニックが子育て中の看護師に選ばれるのかを整理しておきます。
一番大きいのは、夜勤とオンコールがほとんどないことです。 透析は予約制の治療で、患者さんは決まった曜日、決まった時間にやってきます。 救急外来のように、夜中に突然呼び出される仕組みがありません。
職場の広さも関係しています。 病棟のように長い廊下を何往復もする必要がなく、ベッドが並んだ1つのフロアで仕事が完結します。 看護師向けの情報サイトでも、この点が子育て中の復職先としての働きやすさにつながると説明されています。
基本的にワンフロアで行われるので、多くの部屋を行ったり来たりすることが少なく、子育て中の方や産休育休からの復職先としても働きやすいです。 ただし、夜間透析やオーバーナイト透析がある職場は人手不足などを理由に、日勤看護師が残業で夜間透析も担当したり、夜勤明けに日中透析の機械準備を担当したりといったケースもあるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。 出典: co-medical.com
この引用の後半が、とても大事なところです。 「透析クリニックは定時で帰れる」というのは、あくまで一般論なんです。
透析の患者さんは全国に約34万人いると言われていて、その多くが週3回、1回4時間前後の治療を受けています。 治療を休めば命に関わるので、クリニックは祝日も年末年始も、基本的には止まりません。
ここに、子育てとの両立を考えるうえでの「裏側」があります。
・日曜は休みでも、土曜は出勤日になりやすい ・祝日やお盆、年末年始も、通常どおり透析の日がある ・患者さんの治療を後ろにずらせないので、急な欠勤の穴を埋める方法が限られる
保育園は祝日がお休みですし、小学校の行事は土曜にあることも多いですよね。 「夜勤がない」だけで決めてしまうと、この部分でつまずきます。
大丈夫です。 これは透析クリニックが悪いという話ではなく、「どういう仕組みの職場なのか」を知っておけば、対策できることです。 次の節から、その仕組みを1つずつ見ていきましょう。
透析クリニックの1日:クールで動く職場の時間割
透析クリニックの時間は「クール」という単位で動きます。 1回分の透析のまとまりのことで、午前クール、午後クール、夜間クールといった呼び方をします。
患者さんは「月・水・金」か「火・木・土」のどちらかの組に分かれて通院します。
仕事帰りの患者さんが通う夜間クールは、月・水・金だけに置いているところも少なくありません。
午前・午後の2クールのクリニックを例に、1日の流れを追ってみます。
7時半〜8時ごろ:立ち上げ 臨床工学技士が透析装置の立ち上げと洗浄の確認をします。 看護師はその日の患者さんの情報を確認し、前回からの体重の増え方や、注意が必要な方をチェックします。
8時〜9時ごろ:穿刺(せんし)が集中する時間 患者さんが次々に到着し、体重を量ってベッドへ。 シャント(透析のために腕の血管をつないだ部分)に針を刺して、治療を始めます。 この1時間ほどが、1日で一番手が足りない時間です。 全員の治療をほぼ同じ時間帯に始めるので、穿刺ができる人の数がそのまま処理できる人数になります。
9時〜12時ごろ:治療中の観察 血圧の急な低下、足のつり、気分不良などに対応しながら、定期的に血圧を測ります。 患者さんと話せるのもこの時間で、食事や水分の管理について一緒に振り返ります。
12時〜13時ごろ:返血と入れ替え 治療が終わった方から順に、血液を体に戻して針を抜きます。 止血を確認し、体重を量ってお見送り。 ベッドのシーツ交換をしながら、午後クールの準備に入ります。
13時〜17時ごろ:午後クール 午前と同じ流れがもう一度繰り返されます。
17時半ごろ:片付けと翌日の確認 記録を整え、翌日の患者さんの予定を確認して終業です。
この流れを見ると、子育て中の方にとっての大事なポイントが見えてきます。
・朝の出勤時刻が早い(8時前後の始業が多い) ・穿刺の時間帯に人がいないと、治療の開始そのものが遅れる ・終わりの時刻は患者さんの治療時間で決まるので、読みやすい
保育園の開園が7時半のところだと、朝はかなり慌ただしくなります。 逆に、終わる時刻が読みやすいので、お迎えの時間は計画しやすい職場です。
夜間クールまであるクリニックでは、ここに3つ目の山が加わります。 17時ごろから仕事帰りの患者さんが到着し、もう一度穿刺の時間が来て、治療が終わるのは21時から22時ごろです。 この時間帯は、早番と遅番の2つのシフトに分けて回すのが一般的です。 早番の人は午前と午後を担当して夕方に上がり、遅番の人は昼過ぎに出勤して夜間クールの最後まで残ります。
つまり、同じ「透析クリニックの看護師」でも、夜間クールの有無で1日の形はまったく違うものになるんです。 求人票の「日勤のみ」という言葉だけでは、この違いは見えません。
それから、病院の中にある透析室と、透析だけを行うクリニックの違いにも触れておきます。 病院の透析室では、入院中の患者さんの透析や、急に腎臓の働きが悪くなった方の緊急の透析が入ることがあります。 その分、予定外の仕事が発生しやすく、病棟との連絡や移送の手間も加わります。 外来の患者さんだけを受け入れる透析クリニックのほうが、1日の予定が崩れにくいのはこのためです。
「朝が早い代わりに、夕方の予定が立てやすい」。 この性質が、ご自分の家庭のリズムに合うかどうかを、まず考えてみてください。
人員体制と「急に休めるか」を決めるもの
子育て中の方から一番多いご相談が、これです。 「子どもが熱を出したとき、休ませてもらえるのでしょうか」。
正直にお伝えすると、ここはクリニックによって本当に差があります。 その差を生んでいるのは、雰囲気や院長の人柄だけではありません。 仕組みとしての人員体制です。
透析クリニックのスタッフは、主に次の人たちで構成されています。
・医師(常勤は1〜2人のところが多い) ・看護師 ・臨床工学技士(装置の管理や、施設によっては穿刺も担当) ・看護助手やクラーク ・送迎の運転手(送迎があるクリニックの場合)
前の節でお話ししたとおり、朝の穿刺の時間に何人の手があるかで、その日の治療が回るかどうかが決まります。 看護師1人で受け持つ患者さんの数は、施設の方針や患者さんの状態によって違いますが、目安として4〜6人程度とされることが多いです。
たとえばベッドが30床あるクリニックで、穿刺ができるスタッフがちょうどの人数しかいない場合を考えてみます。 1人が休むと、残りの人の受け持ちが一気に増え、治療の開始が遅れて、午後クールまで後ろにずれていきます。 こういう職場では、休みの連絡を入れる側の心理的な負担がとても大きくなります。
反対に、休みにくさが小さいクリニックには共通点があります。
・シフト上の人数に、1人か2人の余裕を持たせている ・臨床工学技士も穿刺ができ、看護師と役割を補い合える ・パートや短時間の人が複数いて、急な出勤を頼める相手がいる ・子育て中のスタッフが何人もいて、「お互いさま」が制度ではなく習慣になっている
私自身、息子たちが小さいころは、朝の電話で職場に謝ってばかりでした。 そのとき身にしみたのは、「休めるかどうか」は自分の頑張りではどうにもならない、ということです。 職場に余裕があるかどうか、つまり構造の問題なんです。
だからこそ、入る前に構造を確かめてほしいのです。 面接では「急なお休みのときは、どなたが代わりに入ることが多いですか」と聞いてみてください。 具体的な答えがすぐに返ってくる職場は、実際にその場面を何度も乗り越えてきた職場です。
子育て中に組みやすいシフトの形
透析クリニックの良いところは、「クール」という区切りがあるので、働き方を切り分けやすいことです。 病棟のように、1日の途中で抜けると仕事が中途半端になる、ということが起きにくいんです。
子育て中の方が実際に選んでいる働き方には、次のような形があります。
午前クールだけ働く 8時ごろから13時ごろまでの勤務です。 1日で一番人手が要る穿刺の時間に入るので、クリニック側からも歓迎されやすい形です。 お昼過ぎには上がれるので、幼稚園のお迎えにも間に合います。
曜日を固定して働く 「月・水・金だけ」「火・木だけ」のように、曜日で固定する形です。 患者さんも曜日で固定されているので、受け持ちの方の顔と状態を覚えやすいという利点もあります。
常勤で時短勤務を使う 正職員のまま、1日の労働時間を短くする形です。 後の節でお話ししますが、3歳未満の子どもを育てている場合、会社にはこの制度を用意する義務があります。
夜間クールのない施設を選ぶ 遅番がそもそも存在しないので、夕方以降の予定が崩れません。
一方で、気をつけたいシフトもあります。
土曜の出勤頻度 火・木・土の組がある以上、土曜は必ず誰かが出ます。 「月に何回、土曜に入ることになるのか」は数字で聞いておきましょう。 月1〜2回の交代制なのか、ほぼ毎週なのかで、家庭の負担はまったく違います。
祝日と長期休暇 ゴールデンウィークや年末年始は、透析の日程を組み替えて対応するクリニックが多いです。 保育園が休みの日に出勤が重なることを前提に、家族や一時保育の手配ができるかを考えておきます。
遅番の有無 夜間クールがある施設では、13時ごろから22時ごろまでといった遅番があります。 「子育て中は遅番免除」としている施設もあれば、全員で持ち回りの施設もあります。
こういうご相談がありました。 「午前だけのパートで入ったのに、人が足りなくなって、気づいたら午後まで残るのが当たり前になっていた」。 入職時の約束は、口頭だけでなく雇用契約書や労働条件通知書に書いてもらうことが、自分を守ることにつながります。
もう1つ、子どもの年齢によって「合うシフト」は変わっていく、ということも覚えておいてください。
・0〜2歳:保育園のお迎え時刻が最優先。午前クールだけ、または時短の常勤が組みやすい ・3歳〜就学前:体力がついて発熱は減るものの、行事が増える。曜日固定で土曜の回数を抑えると楽になる ・小学校低学年:学童の終了時刻と長期休みがネックに。夏休みの午後をどうするかを先に決めておく
透析クリニックはクールの単位で働き方を変えやすいので、子どもの成長に合わせて「来年度から午後クールも入ります」と段階的に戻していく方も多いです。 最初から完璧な形を決めなくて大丈夫です。 「今の家庭に合う形」から始めて、1年ごとに見直していけばいいんです。
頼れる制度:育児・介護休業法と2025年からの変更点
ここからは、法律で決まっている制度のお話です。 「うちは小さいクリニックだから、そういう制度はない」と言われることがありますが、多くは規模に関係なく使える制度です。 知っているかどうかで、交渉のしかたが変わります。
育児短時間勤務(時短勤務) 3歳未満の子どもを育てている場合、1日の所定労働時間を原則6時間にする措置を、事業主は用意しなければなりません。
所定外労働の制限(残業の免除) 請求すれば、所定の勤務時間を超える残業をしなくてよくなります。 2025年4月から、対象が小学校に上がる前の子どもを育てる人まで広がりました。 透析クリニックで「最後の患者さんの止血が長引いて残業」という場面でも、この制度があることは覚えておいてください。
時間外労働と深夜業の制限 小学校入学前の子どもを育てる人が請求すれば、時間外労働は月24時間、年150時間までに制限されます。 夜間クールで22時を過ぎる勤務(深夜業)も、請求によって免除を求められます。
子の看護等休暇 子どもの病気やけがのときに取れる休暇で、子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日です。 2025年4月の改正で、対象が小学校3年生の修了までに延び、学級閉鎖や入園式、卒園式などにも使えるようになりました。 時間単位でも取れるので、「朝だけ病院に連れて行ってから出勤」という使い方もできます。 なお、この休暇を有給にするか無給にするかは法律で決まっていないので、就業規則を確認しましょう。
柔軟な働き方を実現するための措置 2025年10月からは、3歳から小学校入学前の子どもを育てる人に向けて、事業主は始業時刻の変更、テレワーク、保育施設の設置運営など、国が示した5つの中から2つ以上を選んで用意することになりました。 透析クリニックではテレワークは現実的でないため、始業時刻の変更や短時間勤務を選ぶ施設が多くなると考えられます。
お金の面の支え 育児休業中は雇用保険から育児休業給付金が出ます。 休業開始から180日までは休業前賃金の67%が目安です。 2025年4月からは、両親がともに一定期間の育休を取ったときの上乗せ(出生後休業支援給付)と、2歳未満の子どもを育てながら時短で働く人への給付(育児時短就業給付)も始まりました。
1つだけ注意があります。 育児休業は、労使協定を結んでいれば「入社1年未満の人」を対象外にできます。 転職してすぐに2人目を考えている方は、応募先の就業規則でこの点を確かめておくと安心です。
制度の最新情報は、厚生労働省のサイトで確認できます。 ※個別の職場で制度を使わせてもらえない場合は、都道府県の労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
求人票と面接で確かめること
ここまでの話を、実際の転職活動で使える形にまとめます。 求人票に書いてあることと、面接で聞くことに分けて見ていきましょう。
求人票で読み取れること
・ベッド数と透析のクール数:ベッド数が多く、夜間クールまであるほど、シフトは複雑になります ・夜間透析の有無:「夜間透析あり」なら、遅番の扱いを必ず確認します ・休日の書き方:「日曜・祝日休み」なのか「日曜休み、祝日は交代」なのか。ここは読み飛ばしがちです ・始業時刻:7時半始業と8時半始業では、朝の保育園事情がまったく変わります ・「子育て中のスタッフ在籍」の記載:人数まで書いてあれば、なお安心材料になります ・臨床工学技士の人数:技士が多い施設は、看護師が装置まわりに追われにくい傾向があります
面接で聞いておきたいこと
・土曜出勤は月に何回くらいですか ・急な欠勤のときは、どなたが代わりに入ることが多いですか ・時短勤務や子の看護等休暇を、実際に使っている方はいますか ・子の看護等休暇は有給ですか、無給ですか ・午前だけ、曜日固定といった働き方は相談できますか ・残業はどんなときに発生しますか
聞きにくい質問もありますよね。 でも、ここで遠慮して入職すると、あとで困るのはご自分とお子さんです。 「長く働きたいので、最初に確認させてください」と前置きすれば、失礼にはなりません。 長く働いてほしいのは、クリニック側も同じだからです。
見学ができるなら、ぜひ午前の穿刺の時間帯に見せてもらってください。 スタッフ同士の声のかけ方、ぎりぎりの人数で回しているかどうか、ほんの15分でも伝わってきます。
見学のときに目を向けておきたいのは、次のような場面です。
・穿刺の時間に、手が空くのを待っている患者さんがいないか ・スタッフの休憩が交代で取れている様子があるか ・更衣室やロッカーの数(人数に対して少ないと、在籍者が多い証拠のこともあります) ・掲示板に、シフト表や勉強会の予定が貼られているか
シャントの穿刺に自信がない方は、教育の体制も確かめておきましょう。 「最初の数か月は穿刺の練習期間があるか」「誰が指導につくか」は、ブランクのある方ほど大切です。 慣れない穿刺で緊張が続くと、それだけで家に帰ったときの疲れ方が変わってきます。
収入はどう変わるか:夜勤のない働き方と、選び方ごとの見通し
子育てを理由に病棟から透析クリニックへ移ると、多くの場合、年収は下がります。 これは、はっきりお伝えしておきたいことです。
理由は単純で、病棟の給与には夜勤手当が大きく含まれているからです。 夜勤1回あたりの手当は施設によって違いますが、月に4〜8回の夜勤があれば、それだけで月に数万円の差になります。 その分がなくなるので、基本給が同じでも手取りは減ります。
一方で、透析クリニックには透析の専門性に対する手当を設けているところもあります。 夜間クールがあれば、遅番の手当がつく施設もあります。 ですから「外来のクリニックよりは高く、病棟よりは低い」あたりに落ち着くことが多いです。
働き方ごとの見通しは、次のように考えると整理しやすくなります。
・常勤(フルタイム):賞与や退職金の対象になりやすく、育休や時短などの制度も一番使いやすい ・常勤で時短勤務:働く時間に合わせて基本給が減るのが一般的。ただし賞与や社会保険は常勤のまま ・パート(午前クールのみなど):時給は地域によって差があり、看護師のパートでは1,600〜2,200円程度の求人がよく見られます ・パートで扶養の範囲内:年収の壁を意識して日数を抑える方法。ただし社会保険の加入要件は広がってきているので、勤務先の規模とあわせて確認が必要です
こういう相談もよくあります。 「パートにしたら収入は減ったけれど、保育料や延長保育の費用、疲れて外食が増えていた分を考えると、家計はほとんど変わらなかった」。 額面の数字だけでなく、家族の時間と出費を含めた「家庭全体の手取り」で考えると、判断を誤りにくくなります。
それから、時短やパートを選ぶと、将来の厚生年金や育児休業給付の計算にも影響します。 子どもが小さい数年間のことだと割り切るのか、常勤のまま時短で制度を使うのか。 ここは「どちらが正しい」ではなく、家庭ごとの答えがあるところです。
看護師の収入の相場は、看護師の年収・単価相場にまとまっています。 全国の平均や年代ごとの傾向が載っているので、夜勤をやめたときに自分の年収がどのあたりに来るのか、見通しを立てる参考になります。
長く続けるために、家庭の側で準備しておくこと
職場選びと同じくらい大切なのが、家庭の側の準備です。 透析クリニックは「急な欠勤の穴が埋めにくい職場」だとお話ししました。 だからこそ、休まずに済む仕組みを家庭側にも作っておくと、気持ちがぐっと楽になります。
病児保育の登録を先に済ませる 病児保育は、事前登録が必要なところがほとんどです。 熱が出た当日に登録から始めると、まず間に合いません。 入職が決まった時点で、近くの病児保育室を2か所ほど登録しておきましょう。
朝の分担を決めておく 透析クリニックの朝は早いので、パートナーと「発熱時にどちらが休むか」を曜日で決めておく家庭もあります。 「月・水・金は私が出勤、火・木はパートナーが対応」のように、クリニックの曜日の組と合わせると分かりやすくなります。
ファミリー・サポート・センターを知っておく 市区町村が運営する、地域の人に送り迎えや預かりをお願いできる仕組みです。 土曜出勤の日の保育園の送り迎えに使っている方もいます。
自分の心の余裕も、準備のうち 子育てと仕事の両立で一番多いのは、「どちらにも申し訳ない」という気持ちです。 心理学では、複数の役割のあいだで板挟みになる状態を「役割葛藤」と呼びます。 難しい言葉ですが、要するに「全部ちゃんとやろうとして苦しくなる」ということです。
これは、あなたの努力が足りないから起きるのではありません。 役割が重なっている時期には、誰にでも起きることです。 「今は8割でいい」と自分に許可を出すことも、長く続けるための立派な準備です。
カウンセリングでよくお伝えしているのは、「罪悪感を小さくする言葉を、先に決めておく」という方法です。 たとえば、休みの連絡を入れるときに「申し訳ありません」を何度も繰り返す代わりに、「ご迷惑をおかけします。明日は出勤できます」と、次の見通しを添えて短く伝える。 謝る回数が減るだけで、気持ちの消耗はずいぶん違ってきます。
そして、職場に戻ったら「ありがとうございました、助かりました」と一言。 これで職場の「お互いさま」の輪に、自分もきちんと入っていけます。 次に誰かが休むとき、今度はあなたが支える側になればいいんです。
働き方の悩みを誰かに整理してもらいたいときは、キャリアの専門家に相談するのも1つの方法です。 キャリアコンサルタントは、働く人のキャリアの相談にのる国家資格で、どんな人が、どんな相談にのれるのかがまとまっています。
運営者として見てきた、長く働き続ける人の共通点
最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、少しお話しさせてください。
子育て期に働き方を変える看護師さんは、とても多いです。 運営者として見てきた限りでは、長く働き続けられる人ほど、1つの職場にすべてを預けていません。 透析クリニックのパートを軸にしつつ、子どもが寝たあとに医療記事の監修や健康相談の在宅の仕事を少しだけ持つ、といった形で、収入と経験の柱を2本にしている方が目立ちます。
柱が2本あると、職場で「休みにくい」と感じたときに、追い詰められずに済みます。 「ここを辞めたら収入がゼロになる」という不安がないので、無理なシフトを断る判断もしやすくなるんです。
透析の現場で身につく経験は、実は在宅の仕事とも相性が良いものです。 食事や水分の管理を患者さんと一緒に考える力、慢性の病気と長く付き合う人の気持ちに寄り添う力は、健康に関する記事の監修や、オンラインでの相談の仕事で求められる力と重なります。 ただし、副業を始めるときは勤務先の就業規則を必ず確認してください。 医療機関によっては、副業に届け出や許可が要るところがあります。
在宅でできる仕事の具体例は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で紹介しています。 臨床の経験を、どんな形で在宅の仕事に生かせるのかがつかめます。
もう1つ感じているのは、仲介の手数料がかからない直接のやり取りのほうが、子育て中の方には合っているということです。 同じ依頼額でも受け取る側の手取りが厚くなるので、少ない時間で必要な収入に届きやすくなります。 手数料0%の良さは、金額の大きさよりも、限られた時間を無駄にしない働き方ができる点にあります。
仕事と家庭の相談をしたい、あるいは相談にのる側の仕事に興味がある方は、職場・転職・キャリア相談のお仕事も参考になります。 キャリア相談の仕事がどんな内容で、どう始めるのかが整理されています。
透析クリニックは、仕組みを知ったうえで選べば、子育て中の看護師にとって本当に心強い職場になります。 あなたの家庭の時間割に合うクリニックは、きっと見つかります。 焦らず、1つずつ確かめていきましょう。
よくある質問
Q. 透析クリニックは子育て中でも土曜日を休めますか?
火・木・土の組で通う患者さんがいるため、土曜は多くのクリニックで出勤日になります。ただし全員が毎週出るわけではなく、交代制で月1〜2回程度に抑えている施設もあります。面接で「土曜出勤は月に何回か」を数字で確認し、雇用契約書に反映してもらうと安心です。
Q. 子どもの急な発熱で休むと、透析クリニックでは迷惑になりますか?
朝の穿刺の人数が治療の開始を左右するため、ぎりぎりの人数で回している施設ほど負担は大きくなります。一方、シフトに余裕があり、パートや臨床工学技士と補い合える施設では休みやすい傾向です。子の看護等休暇は法律で認められた休暇なので、遠慮せず使ってよい制度です。
Q. 透析クリニックで時短勤務は使えますか?
3歳未満の子どもを育てている場合、事業主は1日原則6時間の短時間勤務の措置を用意する義務があり、クリニックの規模に関係なく対象になります。午前クールだけの勤務と組み合わせやすいのも透析クリニックの特徴です。実際に利用しているスタッフがいるかを面接で聞いておきましょう。
Q. 夜間透析があるクリニックは子育て中には避けたほうがよいですか?
一概に避ける必要はありませんが、遅番の扱いは必ず確認してください。子育て中は遅番免除としている施設もあれば、全員で持ち回りの施設もあります。小学校入学前の子どもがいれば、請求によって深夜業や残業の制限を受けられるので、制度も踏まえて相談しましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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