子育てしながら耳鼻科クリニックで働く|シフトの融通と、頼れる制度


この記事のポイント
- ✓子育てしながら耳鼻科クリニックで働くときに知っておきたいことを整理しました
- ✓午前のみや午後のみの勤務と保育園や学童の時間の重ね方
- ✓シフトの融通がききやすい院の見分け方
子育てをしながら働く場所を探していると、「耳鼻科クリニックは午前だけのパートがある」「日勤のみで夜勤がない」と聞いて、気になっている人も多いのではないでしょうか。一方で、子どもが熱を出したときに休めるのか、夕方のお迎えに間に合うのか、忙しい時期にシフトを増やしてほしいと言われないかといった不安も、なかなか消えないものです。
先にお伝えすると、耳鼻科クリニックは、午前の診療と午後の診療の間に長い昼休みがあるため、勤務の時間を「午前だけ」「午後だけ」と区切りやすく、子育てと組み合わせやすい職場の1つです。ただし、耳鼻科ならではの難しさもあります。冬と春の繁忙期が、子どもが風邪をひきやすい時期とちょうど重なること、午後の診療が18時半ごろまで続くこと、土曜日も診療する院が多いことです。この難しさを知ったうえで、シフトの融通がききやすい院を選び、法律で守られている制度を上手に使えば、無理なく続けていくことができます。
この記事では、耳鼻科クリニックの時間割と子育ての1日の重ね方から始めて、融通がききやすい院の見分け方、繁忙期と子どもの体調不良への備え、頼れる制度、そして求人票と面接で確かめたいことを順番に整理します。
耳鼻科クリニックの時間割と、子育ての1日の重ね方
耳鼻科クリニックで子育てと両立できるかどうかは、まず時間の重ね方で決まります。一般的な耳鼻科の診療時間は、午前が9時ごろから12時半ごろまで、午後が15時ごろから18時半ごろまでです。その間に2時間から3時間ほどの昼休みがあります。この時間割に、子育ての1日をどう重ねるかを、勤務の形ごとに見てみます。
一番組み合わせやすいのが、午前のみの勤務です。8時半ごろに出勤して、午前の診療の片付けが終わる13時ごろに退勤する形で、保育園や幼稚園、小学校に子どもを送り出してから働き、お迎えまでの時間に家事や買い物を済ませられます。耳鼻科の午前の診療は患者さんが多く、午前だけのパートを複数人で回している院は珍しくありません。院にとっても、忙しい午前に人手を厚くできるので、求人が出やすい働き方です。
午後のみの勤務は、15時前後から19時ごろまでの形です。午前に自分の時間を取れる一方で、保育園のお迎えや学童の終わる時刻と重なりやすいのが難点です。家族にお迎えを頼める人や、子どもが中学生以上になった人には選びやすい働き方ですが、小さな子どもがいる場合は、夕方の送迎を誰が担うのかを先に決めておく必要があります。
午前と午後の両方に入る常勤やフルタイムのパートは、朝から夜まで職場にいることになります。昼休みが長いので、家が近ければ一度帰って夕食の下ごしらえをすることもできますが、終業が19時ごろになるため、延長保育の利用や家族の協力が欠かせません。
保育園を利用する場合、自治体に就労の状況を届け出るための就労証明書を勤務先に書いてもらいます。耳鼻科のように昼休みが長い職場では、勤務の時間帯と休憩の時間がどう書かれるかによって、保育の必要な時間の認定に影響することがあります。扱いは自治体によって違うので、勤務先が決まったら、就労証明書の書き方と、保育園の利用できる時間を自治体の窓口で確かめておくと安心です。
勤務の形を決めるときは、今の子どもの年齢だけでなく、数年後の変化も考えておきましょう。保育園から小学校に上がると、預かりの時間が短くなり、夏休みなどの長期休みも始まります。「小1の壁」と呼ばれるこの時期には、学童の時間と勤務の時間が合うかどうかが改めて問題になります。午前のみの勤務から始めて、子どもの成長に合わせて午後にも入るなど、勤務の形を変えていけるかどうかも、院を選ぶときの大切な視点です。
シフトの融通がききやすい院、ききにくい院
同じ耳鼻科クリニックでも、シフトの融通のききやすさは院によって大きく違います。求人票の「子育て中の方歓迎」「扶養内勤務可」という言葉だけでは、実際にどこまで融通がきくのかは分かりません。見分けるための手がかりを整理します。
1つ目の手がかりは、スタッフの人数とパートの割合です。スタッフが少なく、ほとんどが常勤という院では、1人が休むと代わりがいません。反対に、パートのスタッフが複数いて、午前のみ、午後のみの人が組み合わさっている院は、急な休みにも交代で対応しやすくなります。求人票に「午前のみのパートさん活躍中」などと書かれていたら、その形で働く人がすでにいるということです。
2つ目は、子育て中のスタッフがどれくらいいるかです。子育て中の人が多い職場では、急な休みがお互いさまという空気ができていて、声をかけやすくなります。耳鼻科クリニックの中には、スタッフの子育ての経験を患者さんへの対応に活かしていることを、公式サイトで紹介している院もあります。
どい耳鼻咽喉科船橋日大前クリニックのスタッフは子育て経験者ばかり、ご兄弟での来院や妊娠中の方などお手伝いさせていただきます。 出典: doi-jibika.net
この例のように、スタッフに子育て経験者が多いことを院が前向きに打ち出している場合、子育てとの両立に理解がある職場である可能性が高いと言えます。耳鼻科は兄弟そろって来院する家族や、ベビーカーで来る保護者が多いので、子育ての経験はそのまま患者さんへの気配りとして役立ちます。院の側から見ても、子育て中のスタッフは貴重な戦力なのです。
3つ目は、繁忙期のシフトの扱いです。耳鼻科は花粉症の時期に患者さんが大きく増えるので、その時期だけパートの勤務時間を増やしてほしいと考える院があります。「繁忙期は勤務日数を増やせる方歓迎」と書かれた求人は、増やせない人にとっては肩身が狭くなるかもしれません。反対に、繁忙期だけ短期のスタッフを雇う院や、常勤のスタッフで吸収する院では、子育て中のパートの勤務は一年を通して変わりにくくなります。
4つ目は、土曜日の勤務の決め方です。耳鼻科は土曜日も診療する院が多く、土曜日の出勤が交代制なのか、全員が出るのかで負担が変わります。土曜日に子どもを預ける先がない人は、「土曜日は月に何回まで」「土曜日は出勤しなくてもよい」といった条件を相談できるかを確かめましょう。
融通がききにくい院を避けるための目安としては、スタッフ全員が常勤、繁忙期のシフト増を条件にしている、土曜日は全員出勤、募集が頻繁に出ている、といった特徴が重なる院は、慎重に検討したほうがよいでしょう。
職種ごとに違う、子育てとの組み合わせやすさ
耳鼻科クリニックの中でも、職種によって子育てとの組み合わせやすさは違います。自分の資格や経験に合わせて、どの職種で入るかを考えるときの参考にしてください。
看護師と准看護師は、パートでも時給が比較的高く、短い時間でも一定の収入を得やすい職種です。午前のみの勤務で処置の介助や注射を担当する形は、耳鼻科ではよく見られます。一方で、看護師の人数が少ない院では、急に休んだときに代わりが見つかりにくく、休みの調整に気を遣う場面もあります。日帰り手術を行う院では、手術の日に合わせて勤務を求められることがあるので、手術の曜日と自分の都合が合うかも確かめておきましょう。
受付と医療事務は、募集の数が多く、午前のみ、午後のみ、週2日からなど、勤務の形の選択肢が広い職種です。資格がなくても始められるので、ブランクのある人や、医療の現場が初めての人も入りやすくなっています。ただし、月初めのレセプト(診療報酬の請求書)の作成の時期は、事務の仕事が集中します。レセプトを担当する場合は、毎月の最初の数日に休みを入れにくいことを覚えておきましょう。反対に、レセプトを担当しない受付のみの勤務なら、月初めの縛りは少なくなります。
診療助手や看護助手は、器具の洗浄や診察室の準備、患者さんの誘導などを担当します。資格が不要で、午前の忙しい時間帯だけ入る短時間の募集も見られます。体を動かす仕事が中心なので、妊娠中の人や、体力に不安がある時期の人は、仕事の内容を事前に確かめ、立ち仕事や重いものを運ぶ場面がどれくらいあるかを聞いておくと安心です。
言語聴覚士が補聴器外来などを担当する場合は、予約制の外来であることが多く、診療の時間が決まっているぶん、勤務の時間も読みやすくなります。外来の曜日や時間帯が限られていれば、その枠に合わせた勤務も相談しやすくなります。
どの職種でも共通するのは、耳鼻科では子どもの患者さんとの関わりが多いということです。子育てを経験した人は、泣いている子どもへの声かけや、保護者の不安への気配りを自然にできることが多く、職種を問わず頼りにされます。自分の子育ての経験が職場で活きる場面が多いことは、耳鼻科で働くことの大きな魅力と言えます。
職種を決めるときは、今の収入の必要度と、時間の自由度のどちらを優先するかで考えると整理しやすくなります。
扶養の範囲で働くか、社会保険に入って働くか
子育て中にパートで働く人がよく迷うのが、扶養の範囲で働くか、それを超えて働くかという点です。耳鼻科クリニックの午前のみのパートは、勤務時間の組み方によってどちらにもなり得るので、先に考え方を整理しておきます。
扶養には、税金の扶養と社会保険の扶養の2種類があり、それぞれ基準が違います。社会保険の扶養は、原則として年収130万円未満が目安で、これを超えると自分で健康保険と年金に加入することになります。また、従業員数の多い法人では、週20時間以上などの条件を満たすと、年収がそれより低くても勤務先の社会保険に加入する対象になります。この加入の対象は、法改正によって段階的に広がる予定です。税金の扶養の基準は、税制の改正で見直しが続いているので、働き始める年の基準を確かめてください。
扶養の範囲で働くと、手取りの収入は抑えられますが、保険料の負担がありません。一方、勤務先の社会保険に加入して働くと、保険料の負担は出ますが、将来受け取る年金が増え、出産手当金や傷病手当金といった保障も受けられるようになります。耳鼻科クリニックは冬に感染症をもらいやすい職場なので、自分が体調を崩して休んだときの傷病手当金があるかどうかは、意外と大きな違いになります。
また、繁忙期に勤務を増やしてほしいと頼まれたとき、扶養の範囲を気にしていると、年末に向けて勤務を減らさなければならないことがあります。耳鼻科の繁忙期は冬から春にかけてなので、年末に勤務を減らす時期と、院が人手を必要とする時期が重なりやすいのです。扶養の範囲で働くと決めた場合は、1年の勤務の配分を院と最初に相談しておくと、お互いに困らずに済みます。
どちらを選ぶかは、家庭の収入の状況や、この先どれくらいの期間働くつもりかによって変わります。子どもが小さいうちは扶養の範囲で働き、小学校に上がって預け先の心配が減ってから勤務を増やす、というように、途中で切り替えることもできます。切り替えを考えている人は、面接の段階で「将来的に勤務時間を増やすことはできますか」と聞いておくと、同じ職場で働き方を変えていけるかどうかが分かります。
迷ったときは、家計の手取りだけでなく、将来の年金や保障も含めて比べてみてください。
冬と春の繁忙期に、子どもの体調不良が重なる問題
子育てしながら耳鼻科クリニックで働くときに、ほかの職場以上に考えておきたいのが、繁忙期と子どもの体調不良が重なる問題です。
耳鼻科が忙しくなるのは、12月から2月の冬と、スギ花粉が飛ぶ2月から4月です。冬に耳鼻科が混むのは、風邪、副鼻腔炎、そして子どもの急性中耳炎が増えるからです。つまり、耳鼻科に子どもの患者さんが押し寄せている時期は、自分の子どもも同じように風邪をひき、中耳炎になりやすい時期なのです。保育園で風邪が流行すると、兄弟で順番に熱を出して、1週間以上続けて休まざるを得ないこともあります。
院の側も、この問題はよく分かっています。だからこそ、面接で「お子さんが熱を出したときはどうしますか」と聞かれることが多いのです。この質問は、責めるためではなく、いざというときの備えがあるかを確かめるためのものです。
備えとして考えておきたいのは、次のような手段です。家族や親族に預けられるかどうか、病児保育や病後児保育の施設が近くにあるか、地域のファミリー・サポート・センターを利用できるか、パートナーと交代で休めるか。すべてがそろっている必要はありませんが、1つでも2つでも答えられると、院の側も安心します。病児保育は事前の登録が必要なことが多いので、仕事が決まる前に登録を済ませておくと、いざというときに慌てずに済みます。
職場の中での備えも大切です。急に休むときの連絡の方法と時刻、代わりに誰が入るのか、休んだ分をあとで別の日に振り替えられるのかといった決まりが、院によって違います。入職の前に確かめておくと、実際に休むときの心理的な負担が軽くなります。
私も子どもが小さかったころ、冬になると中耳炎を繰り返し、そのたびに耳鼻科に通っていました。待合室には同じように子どもを抱えた保護者がたくさんいて、受付のスタッフが「お熱が高いならこちらで横になっていてください」と声をかけてくれたのを覚えています。そのスタッフの方もきっと、家に帰れば自分の子どもの体調を気にかけていたのだと思います。お互いさまで支え合える職場かどうかは、子育て中の人にとって、給与の数字以上に働き続けられるかどうかを左右します。
もう1つ知っておきたいのは、自分が体調を崩したときのことです。耳鼻科は風邪やインフルエンザの患者さんが多く来る職場なので、働き始めた最初の冬は、自分も体調を崩しやすくなります。子どもの看病で睡眠が足りない時期に、職場で感染症をもらうと、回復に時間がかかります。手洗いやマスクといった基本の感染対策に加えて、繁忙期の前にしっかり休める日を作っておくことも、長く続けるための工夫です。
子育てと仕事の両立を支える、法律で決まった制度
子育て中の人が働き続けるために、育児・介護休業法でさまざまな制度が定められています。これらは大きな病院だけでなく、スタッフが数人の小さな耳鼻科クリニックにも同じように適用されます。パートのスタッフも、条件を満たせば対象になります。主な制度を整理しておきます。
育児短時間勤務の制度は、3歳未満の子どもを育てる人が、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できる制度です。耳鼻科のように午前と午後で勤務が分かれる職場では、午前のみの勤務に近い形で短縮することもあります。
所定外労働の制限は、残業を免除してもらえる制度です。2025年4月から、対象が小学校に入る前の子どもを育てる人にまで広がりました。耳鼻科は受付終了の間際に患者さんが集中し、片付けで帰りが遅くなりがちな職場なので、保育園のお迎えがある人にとっては心強い制度です。
子の看護等休暇は、子どもの病気やけがの看病、予防接種や健康診断のために休める制度です。2025年4月からは、対象が小学校3年生の修了までに広がり、感染症による学級閉鎖や、入園式、卒園式、入学式への参加でも使えるようになりました。休める日数は、子どもが1人なら1年に5日、2人以上なら10日で、時間単位でも取れます。この休暇を給与の出る休みにするか、無給にするかは院によって違うので、就業規則で確かめておきましょう。
さらに、2025年10月からは、3歳から小学校に入る前の子どもを育てる人のために、始業時刻の変更、テレワーク、短時間勤務、保育施設の設置や運営、養育のための休暇などの中から、事業主が2つ以上の措置を用意し、働く人が選んで使えるようにすることが義務付けられました。クリニックの場合、テレワークは難しくても、始業時刻の変更や短時間勤務を用意しているところが多いはずです。どの措置が用意されているかは、面接や入職時に確かめてください。
これらの制度には、労使協定によって、週の所定労働日数が2日以下の人などを対象から外せる仕組みもあります。週に数日だけのパートで働く人は、自分が対象になるかどうかを事前に確かめておくと安心です。制度の詳しい内容は、厚生労働省の育児・介護休業法の案内で確かめられます。
小さなクリニックでは、院長や事務長がこうした制度の改正を十分に把握していないこともあります。制度を使いたいときは、「こういう制度があると聞いたのですが、こちらではどうなっていますか」と、責める調子ではなく確認する形で相談すると、話が進みやすくなります。
妊娠・出産・育休のときに関わるお金の制度
これから出産を考えている人や、2人目、3人目を考えている人は、産休と育休のときのお金の制度も知っておきましょう。耳鼻科クリニックでは、加入している保険の種類によって受けられる制度が変わる点に注意が必要です。
産前産後休業は、出産予定日の6週間前(双子などの場合は14週間前)から、出産の翌日から8週間まで取れる休みです。この間、勤務先の健康保険に加入していれば、出産手当金として給与のおよそ3分の2にあたる額が支給されます。また、産休と育休の間は、健康保険と厚生年金の保険料が免除されます。
ここで気を付けたいのが、健康保険の種類です。医療法人のクリニックや、従業員が常時5人以上の個人のクリニックでは、健康保険と厚生年金に加入するのが原則です。一方、従業員が5人未満の個人のクリニックでは、国民健康保険や、医師国保と呼ばれる医師の国民健康保険組合に加入していることがあります。国民健康保険には出産手当金がなく、医師国保では組合によって扱いが違います。出産を考えている人は、求人票の「社会保険完備」という言葉だけで判断せず、どの健康保険に加入するのかを確かめてください。
育児休業の間は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。支給を受けるには、雇用保険に加入していることが条件で、雇用保険はおおむね週20時間以上働く人が対象です。午前のみのパートで週の勤務時間が短い人は、雇用保険の対象外になることもあるので、勤務時間を決めるときに意識しておきましょう。パートなど期間を定めて雇われている人も、子どもが1歳6か月になるまでに契約が終わることが明らかでなければ、育児休業を取れます。
2025年4月からは、新しい給付も始まりました。両親がともに一定の期間の育児休業を取った場合に上乗せされる出生後休業支援給付と、2歳未満の子どもを育てるために短時間勤務をしている人に、短くした勤務の間の賃金の10%を支給する育児時短就業給付です。耳鼻科クリニックで時短勤務に切り替える人にとっては、収入の減り方を和らげる制度になります。
制度は複雑で、支給の条件も細かく決まっています。実際に使うときは、勤務先の担当者やハローワークで確かめながら手続きを進めてください。
求人票と面接で、確かめておきたいこと
ここまでの内容を踏まえて、子育て中の人が耳鼻科クリニックの求人を見るときと、面接で確かめておきたいことを整理します。
求人票で見ておきたいのは、次の点です。勤務時間の欄に「午前のみ可」「週2日から」などの柔軟な書き方があるか。休憩時間と診療時間から、実際の終業時刻がどうなりそうか。休診日が何曜日で、土曜日の勤務がどう書かれているか。加入保険の欄に、健康保険と厚生年金、雇用保険がそろって書かれているか。「育児休業取得実績あり」「子育て中のスタッフ在籍」といった記載があるか、の5つです。
面接では、求人票だけでは分からないことを聞きます。子育て中のスタッフが何人くらいいるか、急に休むときにはどう連絡し、誰が代わりに入るのか、繁忙期に勤務を増やしてほしいという話があるか、土曜日の出勤はどう決めているか、午前の診療が実際に終わるのは何時ごろか、の5つが特に大切です。
育児休業や子の看護等休暇を使った人がいるかどうかも、聞いておきたい点です。「育休を取って復帰された方はいらっしゃいますか」と聞くと、制度が実際に使われているかどうかが分かります。制度が就業規則に書かれていても、使った人がいない職場では、いざというときに言い出しにくいものです。
聞きにくいと感じるかもしれませんが、子育てとの両立に関わることは、入職してから分かっても取り返しがつきません。院の側も、条件が合わずにすぐ辞められるより、最初に話し合っておくほうが助かります。質問はメモにして持っていき、自分の生活に一番関わるものから聞くようにしましょう。
面接の日程を決めるときにも、子育て中ならではの配慮を頼んで構いません。耳鼻科の面接は昼休みか診療後に行われることが多いので、保育園のお迎えの時間と重なる場合は、昼休みの時間帯を希望すると調整してもらいやすくなります。子どもを連れて行くしかない場合は、事前に相談しておけば、嫌な顔をされることはほとんどありません。面接のときの院の対応そのものが、子育てへの理解があるかを知る手がかりにもなります。
内定が出たら、勤務の条件を書面で受け取ることも忘れないでください。勤務の曜日と時間、休憩時間、時給や月給、加入する保険は、労働条件通知書などの書面で示されることになっています。面接で口頭で約束したことが書面に反映されているかを確かめておくと、入職後の食い違いを防げます。
心と体の負担を軽くするために
子育てと仕事を両立していると、どうしても自分のことが後回しになります。耳鼻科クリニックのように忙しい時期がはっきりしている職場では、その波に合わせて心と体の負担を軽くする工夫が役に立ちます。
1つは、繁忙期の前に家の中の段取りを整えておくことです。冬と春の繁忙期は、仕事でも家庭でも余裕がなくなりやすいので、秋のうちに作り置きの献立を決めておく、家事の分担をパートナーと話し合っておく、病児保育の登録を済ませておくなど、先に手を打っておくと、忙しい時期の負担がぐっと減ります。
もう1つは、「完璧にやろう」としないことです。職場でも家でも100点を目指すと、どちらかがうまくいかなかったときに、自分を責めてしまいます。子どもの急な発熱で休むことは、誰にでも起きることです。休んだ日の穴を埋めてくれた同僚には感謝を伝え、次に同僚が休むときには自分が支える。そうした支え合いの中で働いていると思えると、休むことへの罪悪感は少しずつ軽くなっていきます。
そして、疲れのサインに早めに気付くことです。眠れない日が続く、朝起きるのがつらい、仕事に行くことを考えると気持ちが沈むといった状態が続くときは、1人で抱え込まずに、家族や信頼できる人に話してください。勤務の時間を一時的に減らしてもらうなど、職場に相談することで解決できることもあります。
耳鼻科クリニックで働くことは、子どもの体調不良に悩む保護者の気持ちが分かる人にとって、その経験を活かせる場でもあります。泣いている子どもを抱えた保護者に「うちの子もよく中耳炎になっていました」と声をかけられるのは、子育てを経験した人ならではの強みです。
体の負担については、耳鼻科の外来が立ち仕事の多い職場であることも意識しておきましょう。子どもを抱っこする毎日に立ち仕事が加わると、腰や足に疲れがたまりやすくなります。クッション性のある靴を選ぶ、長い昼休みに少し体を横にする、休みの日に意識して体を休めるなど、小さな工夫を積み重ねることが、長く働き続けるための土台になります。
心の負担については、職場の中に1人でも気持ちを話せる相手がいるかどうかが大きな支えになります。子育ての悩みを共有できる同僚がいると、忙しい時期の小さなつまずきも笑い話に変えやすくなります。入職してすぐは遠慮しがちですが、昼休みの雑談などから少しずつ関係を作っていくとよいでしょう。
年収データと相談先から考える、子育て中の働き方
最後に、子育てしながら耳鼻科クリニックで働くときに参考になる情報をまとめます。
看護師として働く場合、午前のみのパートか、常勤かによって収入は大きく変わります。看護職の年収の水準や年代ごとの推移は看護師の年収・単価相場にまとまっているので、短時間勤務やパートを選んだときに、常勤と比べて収入がどれくらい変わるかを考える材料にしてください。扶養の範囲で働くか、社会保険に加入して働くかを決めるときにも、相場を知っておくと判断しやすくなります。
医療事務や受付として働く場合は、資格がなくても始められますが、子育ての合間に少しずつ学んでおくと、仕事を覚えるのが楽になります。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)では試験の範囲や受験の流れが紹介されていて、子どもが寝たあとの時間で学ぶ計画を立てるときの目安になります。
看護師の免許を持つ人の中には、耳鼻科の午前のみの勤務と、在宅でできる仕事を組み合わせて、子どもといる時間を確保している人もいます。看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】では医療記事の監修や健康相談など、看護の知識を在宅で活かせる仕事が紹介されていて、勤務時間を増やさずに働き方の幅を広げる参考になります。
仕事と子育ての両立で迷ったときや、この先の働き方をどうするか考えたいときは、第三者に話を聞いてもらうことで、気持ちが整理されることがあります。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、キャリア相談を担当する人がどんな相談に乗っているのかが紹介されているので、相談先を探すときの手がかりにしてください。
働く人と職場の組み合わせを長く見てきた限りでは、子育てと仕事を長く両立できている人ほど、職場を選ぶ段階で「困ったときにどうするか」を話し合っています。融通がきくかどうかは、求人票の言葉ではなく、実際に子育て中のスタッフがどう働いているかに表れます。耳鼻科クリニックの忙しい時期と、子どもの成長の時期を見通しながら、無理のない形を院と一緒に作っていってください。
よくある質問
Q. 子育て中でも耳鼻科クリニックで働きやすいですか?
午前と午後の間に長い昼休みがあるため、午前のみや午後のみの勤務を組みやすく、子育てと両立しやすい職場の1つです。ただし冬と春の繁忙期は子どもが体調を崩しやすい時期と重なり、午後の診療は18時半ごろまで続きます。急な休みへの備えと、お迎えの時間に合う勤務の形を先に考えておきましょう。
Q. 子どもが熱を出したとき、休めますか?
育児・介護休業法の子の看護等休暇で、小学校3年生の修了までの子どもの看病のために、1年に5日(2人以上なら10日)休めます。有給か無給かは院によって違います。急な休みの連絡方法や代わりの人の手配は院ごとに決まりがあるので、入職前に確かめ、病児保育の登録なども済ませておくと安心です。
Q. 午前のみのパートでも、育児休業を取れますか?
パートでも、子どもが1歳6か月になるまでに契約が終わることが明らかでなければ育児休業を取れます。ただし育児休業給付金を受けるには雇用保険への加入が必要で、おおむね週20時間以上働く人が対象です。勤務時間を決めるときに、雇用保険の対象になるかどうかも確かめておきましょう。
Q. 面接で子育て中であることを伝えても大丈夫ですか?
伝えておくほうが、入職後のすれ違いを防げます。耳鼻科は子どもの患者さんが多く、子育ての経験は保護者への気配りとして役立ちます。そのうえで、勤務できる曜日と時間帯、急な休みへの備えを具体的に伝え、子育て中のスタッフの人数や育休から復帰した人がいるかを聞いておくと、働きやすさを判断できます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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