アンケートの自由記述をまとめる方法と、分類して読み取る手順


この記事のポイント
- ✓アンケートの自由記述をまとめる方法を
- ✓分類の表(コード表)の作り方
- ✓ExcelやGoogleスプレッドシートでの件数の数え方
アンケートの選択式の質問は、グラフにすればすぐに結果が見えます。ところが自由記述の欄だけは、何百件もの文章が並んだまま手が付けられず、「目を通しました」で終わってしまう。そんな経験はありませんか。自由記述には、選択肢では拾えない本音や、作り手が想定していなかった不満が書かれています。読んで終わりにするのは、いちばん価値のある部分を捨てているのと同じです。
この記事では、アンケートの自由記述をまとめる方法を、回答の下ごしらえ、分類の表の作り方、件数の数え方、属性との掛け合わせ、報告の書き方の順に説明します。ExcelとGoogleスプレッドシートのどちらでも使える手順にしています。後半では、自由記述に個別の返信が必要な場面の選択肢として、届いた回答を担当や状況つきで管理し、同じ画面から返信まで送れるフォームのHalictにも触れます。
自由記述のまとめ方で困る人が多い理由
自由記述(フリーアンサー)とは、選択肢を用意せず、回答者に自由に文章で書いてもらう形式の質問のことです。「ご意見・ご要望をお書きください」「その理由を教えてください」のような質問がこれにあたります。
選択式の質問なら、選ばれた数を数えればそのまま結果になります。自由記述は、同じことを言っていても書き方が人によって違うため、数える前に「どれとどれが同じ意見か」を人が判断する必要があります。この判断の手間が、まとめにくさの正体です。
自由記述の分析を解説している記事でも、その難しさがはっきり書かれています。
今回は自由記述形式のアンケートを効率的に分析する方法を丁寧に解説しました。アンケートの自由記述は、回答者の本音や気づきを引き出せる一方で、分析しにくいと感じるものです。 出典: screen.co.jp
まとめにくさは、大きく3つに分けられます。
| まとめにくさ | 具体的な例 |
|---|---|
| 同じ意見でも書き方が違う | 「値段が高い」「料金がもう少し安ければ」「コスパが悪い」 |
| 1つの回答に複数の意見が入っている | 「説明は分かりやすかったが、待ち時間が長かった」 |
| 意味のない回答が混ざる | 「特になし」「とくにありません」「なし」「。」 |
この3つにそれぞれ手を打てば、自由記述は数えられるデータに変わります。ここから順に手順を見ていきます。
保険の相談の現場でも、相談のあとにお客様アンケートを取ることがよくあります。選択式の満足度は毎回ほとんど同じ数字になりがちで、改善のヒントにはなりにくいものです。ヒントが見つかるのは、自由記述の欄です。「専門用語が多くて途中から分からなくなった」「資料を持ち帰れたらよかった」。こうした声は、件数としては少なくても、次の相談の進め方を変えるきっかけになります。自由記述は、数が少ないから無視してよい、というものではありません。
手順1:回答を1行に1人の表にそろえる
最初にやるのは、回答を表の形にそろえることです。GoogleフォームやMicrosoft Formsで集めた回答なら、スプレッドシートやExcelに書き出した時点で、1行に1人、1列に1問の形になっています。紙のアンケートを手で入力する場合も、この形に合わせて入力します。
表をそろえるときは、次の点を確かめます。
・1行目は質問の名前(見出し)だけにする
・回答者ごとに番号の列を作る(あとで元の回答に戻るため)
・年代や利用回数など、属性の質問の列も残しておく
・自由記述の列は、元の文章に手を加えず残しておく
特に大事なのが、元の文章を残しておくことです。このあと文章を整えたり、分けたりしますが、元の文章を上書きしてしまうと、分類が正しかったかを後から確かめられなくなります。作業用の列を別に作り、元の列には触らないようにします。
Googleフォームの回答は、フォームの「回答」タブにあるスプレッドシートへのリンクのアイコンから、まとめてスプレッドシートで確認できます。CSV形式でダウンロードすることもできます(フォームの回答を表示、管理する)。
手順2:意味のない回答を外し、表記をそろえる
表がそろったら、分類の前の下ごしらえをします。
意味のない回答に印を付ける
「特になし」「なし」「とくにありません」「。」のような回答は、分類の対象から外します。削除するのではなく、作業用の列に「対象外」と印を付けておくのがよい方法です。最終的な報告で「有効な回答は何件中何件だったか」を示すときに、外した件数も必要になるからです。
「特になし」の書き方は人によって違います。スプレッドシートの並べ替えで自由記述の列を並べ替えると、似た短い回答が近くに集まるので、まとめて印を付けやすくなります。
表記のゆれをそろえる
同じものを指す言葉の書き方がばらばらだと、あとでキーワードで探すときに漏れが出ます。たとえば「スマホ」「スマートフォン」「携帯」や、「HP」「ホームページ」「サイト」などです。作業用の列に、表記をそろえた文章を作っておきます。ExcelやGoogleスプレッドシートの置換の機能を使えば、まとめて書き換えられます。ただし、この作業も必ず作業用の列で行い、元の文章は残します。
1つの回答に複数の意見があれば分ける
「説明は分かりやすかったが、待ち時間が長かった」のように、1つの回答に2つの意見が入っている場合は、分け方を決めておきます。方法は2つあります。
| 方法 | やり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 1つの回答に複数の分類を付ける | 分類の列を2つか3つ用意し、該当する分類をすべて書く | 回答数が多く、1件ずつ分割する時間がない |
| 回答を意見ごとに分割する | 1つの回答を2行に分け、それぞれに分類を付ける | 回答数が少なく、意見の単位で丁寧に数えたい |
回答数が数百件を超える場合は、1つ目の方法のほうが現実的です。どちらの方法を使ったかは、報告のときに書き添えます。
手順3:分類の表(コード表)を作る
下ごしらえが終わったら、いよいよ分類です。自由記述を分類して数える方法は「アフターコーディング」と呼ばれます。回答が集まったあとに(アフター)、分類の記号(コード)を付けていく方法、という意味です。
まず全体を読み、仮の分類を作る
最初から分類を決めて読み始めると、決めた分類に無理やり当てはめてしまいがちです。まずは100件程度、回答数が少なければ全部を読み、出てきた意見を書き出します。書き出した意見の中から似たものをまとめて、仮の分類を作ります。
分類の表の例
たとえば、オンライン講座の受講後アンケートで「改善してほしい点」を自由記述で聞いた場合、分類の表は次のようになります。
| コード | 分類 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 料金 | 価格、費用、割引、支払い方法に触れている |
| 2 | 内容の難しさ | 難しい、分からない、専門用語が多い |
| 3 | 内容の量 | 物足りない、もっと詳しく、多すぎる |
| 4 | 講師の話し方 | 声、速さ、説明の順番 |
| 5 | 動画や画面 | 音声が聞き取りにくい、画質、見づらい |
| 6 | 申し込みや手続き | 申し込みの手順、ログイン、メール |
| 7 | 時間や日程 | 開催時間、期間、日程の選択肢 |
| 8 | 満足・感謝 | 改善点ではなく、よかった点を書いている |
| 9 | その他 | どの分類にも当てはまらない |
分類の表を作るときのポイントは、「判断の目安」の列を必ず書くことです。目安がないと、同じ回答でも作業する人や日によって分類がぶれます。複数人で分担するときは、なおさら必要です。
分類の数は多すぎず少なすぎず
分類の数は、7個から12個程度が扱いやすい目安です。少なすぎると「その他」ばかりが増え、多すぎると1つの分類あたりの件数が少なくなって、傾向が見えにくくなります。「その他」が全体の1割を超えたら、その中に新しい分類が隠れていないか見直します。
手順4:回答に分類を付け、件数を数える
分類の表ができたら、回答の横の列に分類を付けていきます。
分類の入力はリストから選ぶ形にする
分類の列には、手で文字を入力するのではなく、リストから選ぶ形にしておくと、書き間違いがなくなります。Excelではデータタブの「データの入力規則」、Googleスプレッドシートでは「プルダウン」の機能で、分類の表の分類名を選べるようにします。
COUNTIF関数で分類ごとの件数を数える
全部の回答に分類を付け終えたら、分類ごとの件数を数えます。分類の名前を縦に並べ、その横にCOUNTIF関数を入れます。たとえば、分類の列がD列で、分類の名前がF2のセルにあるなら、「=COUNTIF(D:D,F2)」と入力します。COUNTIF関数は、範囲の中で条件に合うセルの数を数える関数で、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも同じ形で使えます(COUNTIF)。
1つの回答に複数の分類を付けた場合は、分類の列が2つか3つになります。その場合は、COUNTIF関数の範囲を「D:F」のように複数の列に広げれば、どの列に書かれていても数えられます。
割合を出すときの分母に気をつける
件数を割合にするときは、何で割るかに気をつけます。1つの回答に複数の分類を付けた場合、分類ごとの件数を合計すると、回答者の数より多くなります。この場合の割合は「有効な回答者のうち、その分類に触れた人の割合」として、有効な回答者の数で割ります。合計が100%を超えるのは正しい結果で、誤りではありません。
ExcelとGoogleスプレッドシートの使い分け
この記事の手順は、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも同じように進められます。使い分けの目安は、作業する人数です。1人で作業するならどちらでもかまいませんが、複数人で振り分けを分担するなら、同じ表を同時に編集できるGoogleスプレッドシートのほうが、ファイルのコピーが何通りもできる心配がありません。Googleフォームで集めた回答なら、回答の画面からそのままスプレッドシートを開けるので、書き出しの手間もかかりません。Microsoft Formsで集めた回答なら、Excelで開くのが自然な流れです。
手順5:キーワードで回答を探す
分類とは別に、特定の言葉がどのくらい出てくるかを知りたい場面もあります。「送料」「対応」「サポート」のように、気になる言葉に触れている回答の数を数える方法です。
COUNTIF関数では、ワイルドカード(あいまいな文字を表す記号)を使って、言葉を含むセルを数えられます。「=COUNTIF(C:C,"送料")」と入力すると、C列の中で「送料」という言葉を含むセルの数が数えられます。「*」は、任意の文字が何文字でも入ることを表す記号です。
キーワードで数える方法は手軽ですが、次の点に注意が必要です。
・「送料が高い」も「送料無料がうれしい」も同じように数えられ、良い意見か悪い意見かは区別されない
・表記のゆれ(「送料」と「配送料」など)があると、片方しか数えられない
・否定の言い回し(「送料は気にならない」)も数えられてしまう
キーワードで数えた件数は、あくまで「その話題がどのくらい出ているか」の目安です。良い意見か悪い意見かまで知りたい場合は、分類の作業が必要になります。キーワードで当たりを付け、気になる言葉に触れた回答だけを読んで分類する、という組み合わせも効率的です。
手順6:属性と掛け合わせて読み取る
分類ごとの件数が出たら、次は年代や利用回数などの属性と掛け合わせます。2つの質問を掛け合わせて数える方法を「クロス集計」と呼びます。
たとえば、「内容の難しさ」に触れた回答が全体で30件あったとします。年代と掛け合わせると、そのうち20件が60代以上の回答だった、ということが分かるかもしれません。そうなると、改善策は「全体の内容を易しくする」ではなく、「60代以上の受講者向けに補足の資料を用意する」に変わります。
クロス集計は、ピボットテーブルを使うと手早く作れます。ピボットテーブルとは、表のデータを、行と列に項目を選ぶだけで自動で集計してくれる機能のことです。行に分類、列に年代を選び、値に回答者の番号の個数を選ぶと、分類ごと・年代ごとの件数の表ができます(ピボット テーブルを作成、使用する)。
掛け合わせるときは、件数が少なくなりすぎないように注意します。ある年代の回答者が5人しかいないのに、その中の3人が同じことを書いたからといって「この年代の60%が不満」とは言えません。件数が少ない組み合わせは、割合ではなく件数のまま示し、「少数ながら」と添えて扱います。
次のアンケートでまとめやすくする質問の書き方
自由記述のまとめやすさは、集める前の質問の書き方でも大きく変わります。今回のまとめで苦労した点は、次のアンケートの質問の書き方で減らせます。
何について書いてほしいかを絞る
「ご意見・ご要望をお書きください」のように広く聞くと、回答の中身があらゆる方向に散らばり、分類の数が増えます。「講座の内容について、分かりにくかった点があればお書きください」のように、何について書いてほしいかを絞ると、回答がまとまりやすくなります。聞きたいことが2つあるなら、自由記述の欄を2つに分けます。
選択式の質問とセットにする
自由記述だけで聞くより、先に選択式で満足度などを聞き、そのあとに「その理由をお書きください」と続けるほうが、回答の意味を読み取りやすくなります。満足度の低い人の理由だけを抜き出して読む、といった使い方もできます。
「その他」の選択肢に記入欄を付ける
選択式の質問に「その他」の選択肢を用意し、その横に短い記入欄を付けておくと、選択肢に無かった意見を拾えます。今回の自由記述で多く出てきた意見は、次のアンケートでは選択肢として用意すると、集計の手間が減り、件数も正確に比べられるようになります。
回答の長さの目安を示す
「一言で結構です」「200字程度まで」のように長さの目安を示すと、回答者が書きやすくなり、極端に長い回答も減ります。長い回答は意見がいくつも入りやすく、手順2の分割の手間が増えるからです。
生成AIで分類を補助するときの注意点
最近は、ChatGPTやClaudeのような生成AIに、自由記述の分類を手伝ってもらう方法も使われています。回答を貼り付けて「似た意見ごとに分類して」と頼むと、数百件の回答でもすぐに分類の案を出してくれます。
便利な方法ですが、次の点に注意が必要です。
個人情報を含めない
自由記述には、名前や連絡先、病気や家族のことなど、個人を特定できる情報が書かれていることがあります。会社の決まりで、外部のAIのサービスに入力してよい情報が決められていることも多いので、確かめずに貼り付けないようにします。貼り付ける場合も、名前や連絡先を消した作業用の列を使います。
分類の案として使い、最終の判断は人がする
生成AIの分類は、同じ回答を入れても、頼み方や日によって違う結果になることがあります。また、皮肉や遠回しな言い方を読み違えることもあります。AIに出してもらうのは「分類の表の案」までにして、実際の振り分けと件数の確認は、手順3と手順4の方法で人が行うのが確実です。少なくとも、AIが振り分けた結果から20件ほどを抜き出して、人の判断と合っているかを確かめます。
件数はAIに数えさせない
AIに「各分類の件数を数えて」と頼むと、もっともらしい数字が返ってきますが、実際の件数と合わないことがあります。件数は、分類を付けた表からCOUNTIF関数やピボットテーブルで数えます。
300件の回答をまとめる流れの例
ここまでの手順を、実際の作業の流れに当てはめてみます。オンライン講座の受講後アンケートで、「改善してほしい点」の自由記述に300件の回答が集まった場合の例です。
| 段階 | 作業 | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 下ごしらえ | 表をそろえ、「特になし」など40件に対象外の印を付ける | 30分 |
| 仮の分類 | 100件を読み、意見を書き出して9つの分類を作る | 1時間 |
| 振り分け | 残りの回答も含め、260件に分類を付ける。新しい意見が出たら分類を見直す | 2時間から3時間 |
| 数える | COUNTIF関数で分類ごとの件数、ピボットテーブルで年代別の件数を出す | 30分 |
| 報告 | 件数と代表的な回答の表を作り、分析の方法を書き添える | 1時間 |
全体で5時間から6時間ほどかかる計算です。時間の多くは振り分けに使われます。振り分けの途中で分類の表を見直したときは、それまでに振り分けた回答も見直す必要があるので、最初の100件を読む段階で分類をしっかり固めておくと、全体の時間が短くなります。
2回目以降は、前回の分類の表をそのまま使えるので、仮の分類の段階をほぼ省けます。下ごしらえも、「特になし」の書き方の傾向が分かっているので早くなります。回を重ねるごとに作業は短くなり、前回との比べ方も身についていきます。
複数人で分担する場合は、振り分けの段階を人数で分けます。最初に同じ20件を全員で振り分け、結果のずれを話し合ってから分担すると、分類のぶれを小さくできます。
報告の書き方:件数と代表的な声を並べる
まとめた結果を報告するときは、件数だけでも、回答の抜き出しだけでも、伝わりにくくなります。分類ごとの件数と、その分類を代表する回答の文章を並べるのが、読み手に伝わりやすい形です。
| 分類 | 件数 | 割合 | 代表的な回答 |
|---|---|---|---|
| 内容の難しさ | 30件 | 25% | 「専門用語が多く、途中からついていけなかった」 |
| 動画や画面 | 18件 | 15% | 「スマートフォンだと資料の文字が小さくて読めない」 |
| 料金 | 12件 | 10% | 「分割で払える方法があるとうれしい」 |
代表的な回答を選ぶときは、その分類の中で一番多い言い方に近いものを選びます。極端な言い方の回答を選ぶと、読み手に実際より強い印象を与えてしまいます。
分析の方法を書き添えることも大事です。
「500件の自由記述をアフターコーディングで分類し、年代別に集計しました」といった短い説明を加えるだけでも、データの信頼性は大きく向上します。分析方法を示すことで、別の場面で同じ手法を再現できるようになり、社内の共有や引き継ぎもスムーズに。 出典: screen.co.jp
報告には、次の3つを必ず書き添えます。
- 回答の総数と、分類の対象にした有効な回答の数
- 1つの回答に複数の分類を付けたかどうか
- 分類の表(判断の目安を含む)
この3つがあれば、次回のアンケートで同じ方法を使い、結果を比べられます。前回より「内容の難しさ」が減ったかどうかを比べられるのは、同じ分類の表を使った場合だけです。
少数の意見を見落とさない
件数で並べると、上位の分類にばかり目が向きます。ただ、自由記述で本当に見落としてはいけないのは、件数が少なくても重い意見です。
・事故や安全に関わる指摘(「階段の手すりがぐらついていた」)
・個人情報の扱いへの不安(「ほかの人の名前が書かれたメールが届いた」)
・差別や不快な対応についての訴え
こうした回答は、1件でもすぐに対応が必要です。分類の作業とは別に、作業用の列に「要対応」の印を付ける列を作り、読みながら印を付けていきます。件数の集計の報告とは別に、要対応の回答だけを一覧にして担当者に渡します。
保険の相談の現場でも、アンケートの自由記述に「説明された内容と、届いた書類の内容が違う気がする」という1件が書かれていた、という例があります。件数で言えば全体の1%にも満たない回答でしたが、確かめると書類の送付に手違いがあり、すぐに対応できたそうです。件数が少ないからこそ、読み飛ばさない仕組みが要ります。
自由記述のまとめでよくある失敗
最後に、自由記述をまとめるときによくある失敗を整理しておきます。
| 失敗 | 起こること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 元の文章を上書きする | 分類が正しかったかを確かめられない | 作業用の列を別に作る |
| 分類を決めてから読む | 想定外の意見を見落とす | まず100件ほど読んで仮の分類を作る |
| 判断の目安を書かない | 人や日によって分類がぶれる | 分類の表に目安の列を作る |
| 割合の分母を取り違える | 合計が100%を超えて混乱する | 有効な回答者の数で割ると決める |
| 極端な回答を代表に選ぶ | 読み手に実際より強い印象を与える | 一番多い言い方に近い回答を選ぶ |
| 件数の少ない重い意見を読み飛ばす | 安全や信頼に関わる問題に気づけない | 「要対応」の列で別に拾う |
どれも、一度経験すると次からは避けられる失敗です。分類の表と一緒に、今回つまずいた点をメモに残しておくと、次回のまとめが楽になります。
まとめた結果を次の行動につなげる
自由記述をまとめて報告したところで終わると、せっかくの声が改善に生かされません。報告のあとに、次の行動を決めるところまで進めます。
- 件数の多い分類と、要対応の回答から、改善したいことを3つ程度に絞る
- それぞれに担当者と期限を決める
- 改善したことを、次回のアンケートの案内や回答者への連絡で伝える
- 次回のアンケートで、同じ分類の表を使って件数を比べる
3つ目は見落とされがちですが、大事な手順です。「前回のアンケートでいただいた声をもとに、資料の文字を大きくしました」と伝えると、回答者は自分の声が届いたと感じ、次のアンケートにも答えてくれるようになります。回答率が上がれば、次の集計の結果もより確かなものになります。
4つ目の比べ方は、手順3で作った分類の表がそのまま役に立ちます。前回25%だった「内容の難しさ」が、改善のあとに10%に下がっていれば、改善の効果が数字で示せます。分類の表を毎回作り直すと、こうした比べ方ができなくなるので、分類の表は大きく変えずに使い続けるのが基本です。新しい意見が増えてきたら、分類を1つ加える形で調整します。
回答者に返信が必要な場面の進め方
自由記述の中には、質問や要望、苦情のように、回答者に個別に返信したほうがよいものが含まれます。アンケートを「集めて数える」だけで終わらせず、返信が必要な回答に対応するところまでが、本来のアンケートの仕事です。
表計算ソフトとメールソフトで返信まで回す場合は、次のような手順になります。
- 作業用の列に「返信が必要」の印を付ける
- 担当者の列と、対応の状況(未対応・対応中・完了)の列を作る
- 回答者のメールアドレスを表から写し、メールソフトで返信する
- 返信したら、状況の列を「完了」に変える
回答が少ないうちはこれで回りますが、件数が増えると、誰がどの回答に返信したのかが分からなくなります。表の状況の列を書き換え忘れて、同じ人に2人が返信してしまうこともあります。
こうした場面で使える選択肢の1つが、フォームを作り、届いた回答を担当・ステージ・タグつきで管理し、同じ画面から返信まで送れるHalictです。公式サイトによると、集まった回答は一覧で確認でき、CSVに書き出して、この記事で紹介した分類や件数の集計にそのまま使えます。届いた1件ごとに担当と状況が残り、返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。料金ページによると、1人で使うフリープランでもフォームの数と回答の数は無制限で、ステージ管理と自動返信、CSVの書き出しが含まれています。複数人で使う場合は、メンバー3人までのスタータープランが月額2,980円(税抜)で、Googleスプレッドシートとの連携もこのプランから使えます。Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
集計の作業そのものは、これまでどおりExcelやスプレッドシートで行い、返信が必要な回答の対応だけをフォームの管理画面で回す、という分け方もできます。
自由記述を読み解く力が仕事になる理由
最後に、運営者の立場から見えていることを書いておきます。
フリーランスや在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から言えば、アンケートの集計や分析の作業を外部に頼む会社や団体は少なくありません。特に自由記述のまとめは、時間がかかるうえに、社内に慣れた人がいないことが多い作業です。分類の表を作り、件数と代表的な声を並べて報告できる人は、依頼者にとって頼もしい存在です。依頼する側と受ける側が直接やり取りし、仲介の手数料が乗らない取引では、依頼者は同じ予算で分析の範囲を広げられ、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引できる関係では、一度の分析の質が、次回のアンケートの依頼につながっていく様子がよく見られます。
アンケートの分析は、調査や研究の仕事の基本でもあります。調査や研究に関わる仕事の収入の傾向は研究者の年収・単価相場で確かめられます。AIを業務に取り入れる支援の仕事では、生成AIを使った自由記述の分類の仕組みを作る依頼も増えています。この分野の仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。
NPOや地域の団体でも、活動の振り返りのためにアンケートを取る場面は多くあります。活動資金の確保に使える制度はNPO法人が使える補助金・助成金2026年版|活動資金の確保方法まとめで整理しています。事業者の経営の相談に乗る仕事に関心がある人には、顧客の声を経営の改善につなげる考え方を体系的に学べる中小企業診断士もあります。
自由記述のまとめは、最初の1回は時間がかかりますが、分類の表を一度作れば、次回からはずっと早くなります。まずは手元のアンケートで、100件だけ読んで仮の分類を作るところから始めてみてください。
よくある質問
Q. 自由記述の回答が少ない場合も、分類して数える必要がありますか?
回答が20件から30件程度なら、分類して数えるより、全部を読んで要点を書き出すほうが早く、内容も正確に伝わります。件数で示すと、1件の違いで割合が大きく動いてしまうからです。分類して数える方法が役に立つのは、回答が100件を超え、全部を読んで説明するのが難しくなってからです。
Q. 分類を複数人で分担するときに気をつけることは何ですか?
分類の表に「判断の目安」の列を必ず書き、全員が同じ表を見て作業することです。最初に同じ20件を全員で分類して、結果がどのくらいずれるかを確かめると、目安のあいまいなところが見つかります。ずれた回答について話し合って目安を書き足してから、本番の分担に入ると、分類のぶれが小さくなります。
Q. 「特になし」などの回答は削除してよいですか?
削除せず、作業用の列に「対象外」の印を付けて残しておくのがよい方法です。報告で「回答の総数のうち、有効な回答は何件か」を示すときに、外した件数も必要になります。元の文章を消してしまうと、あとで分類の判断を確かめ直すこともできなくなるので、元の列には手を加えないようにしてください。
Q. 生成AIに分類を任せてもよいですか?
分類の表の案を出してもらう使い方は便利ですが、振り分けの最終の判断と件数の確認は人が行うのが確実です。生成AIは頼み方や日によって分類が変わることがあり、遠回しな言い方を読み違えることもあります。個人情報を含む回答を外部のサービスに入力してよいかも、所属先の決まりで先に確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







