言語聴覚士の最初の1件の取り方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
言語聴覚士の最初の1件の取り方

この記事のポイント

  • 言語聴覚士 副業 案件 取り方を
  • 実績ゼロからの実績の作り方
  • 契約前に確認する条件まで順番に整理しました

言語聴覚士 副業 案件 取り方と検索する人の多くは、すでに国家資格を持ち、在宅でできる仕事を探し始めた段階にいます。応募はしてみたが返事が来ない、あるいは何から手をつければよいのか分からない。結論から言うと、最初の1件が取れない原因は、経験不足ではなく、伝え方の不足であることがほとんどです。発注する側は、あなたの臨床経験の年数を知りたいのではなく、「何を任せられて、いつ返ってくるのか」を知りたいだけです。この記事では、応募前に用意する材料、提案文に書く中身、実績ゼロから実績を作る方法、そして契約前に確認しておく条件を、順番に扱います。

資格の取り方や国家試験の話ではありません。すでに免許を持っている人が、その知識を最初の1件に換えるための手順です。

最初の1件で見られているのは3点だけ

発注側の判断基準

フリーランスの契約相談を受けていると、発注する側の言い分を聞く機会が多くあります。彼らが初めての相手を選ぶとき、見ているのは3つです。何ができる人なのか、任せて大丈夫そうか、連絡が取れるか。この3つです。

経験年数や資格の取得年は、ほとんど見られていません。むしろ「言語聴覚士として10年勤務」とだけ書かれた応募より、「成人の失語症と摂食嚥下を中心に担当してきたので、家族向けの説明記事なら書けます」と書かれた応募のほうが選ばれます。前者は経歴で、後者は使い道だからです。

任せて大丈夫かは、態度で判断されている

2つ目の「任せて大丈夫か」は、実は最初のやり取りで判断されています。募集要項を読んでいるか、質問が具体的か、納期の話を自分から出しているか。ここで雑な印象を与えると、どれだけ資格が立派でも通りません。

医療職の人は、この点でむしろ有利です。臨床では申し送り、記録、他職種との連携を毎日やっています。報告と連絡の習慣は、そのまま在宅の仕事で評価される資質です。自分では当たり前だと思っている習慣が、選ばれる理由になります。

副業をしている医療福祉従事者は多数派ではない

そもそも、この市場にいる同業者は多くありません。

業種別に見たときに、言語聴覚士を含む医療・福祉業界の副業をしている人の割合は、9.9%という調査データが出ています。 出典: iryo-careernavi.com

1割ということは、大半の言語聴覚士はまだ応募していないということです。医療福祉分野の発注者から見れば、有資格者の応募が来ること自体が珍しい。競争が激しいと思い込んで応募をためらう必要はありません。

応募する前に用意する3つの材料

材料1 プロフィール

まず、200文字程度のプロフィールを作ります。書く内容は決まっています。資格名、臨床で担当してきた領域、対応できる仕事の種類、稼働できる時間帯。この4つです。

悪い例は「言語聴覚士です。何でもやります。よろしくお願いします」。これでは、発注側は何を頼んでよいか分かりません。良い例は「言語聴覚士として回復期リハビリテーション病棟で7年、成人の失語症と摂食嚥下障害を中心に担当。医療介護分野の記事執筆、教材の下書き、資料の事実確認に対応できます。平日は21時以降、土日は日中の対応が可能です」。同じ人物でも、後者には依頼が来ます。

なお、資格名は正確に書いてください。言語聴覚士は名称独占の資格で、言語聴覚士法(平成9年法律第132号)により、資格を持たない者がこの名称や紛らわしい名称を使うことは制限されています。逆に言えば、正しく名乗ることには意味があります。省略した通称や、実態より広く見える肩書きを使わないでください。

材料2 見せられるもの

「実績がないから応募できない」という相談を、本当によく受けます。これ、知らない人が本当に多いのですが、発注側が見たいのは実績ではなく、あなたが作ったものです。過去に納品したものである必要はありません。

作れるものは3つあります。1つ目は、想定読者を決めて書いた1,500文字程度の見本原稿。2つ目は、勤務先の勉強会で使った資料を、個人情報や施設が特定される要素を完全に取り除いて再構成したもの。3つ目は、講座を想定したスライドの数枚です。

いずれも、患者の情報が入っていないことを厳重に確認してください。言語聴覚士法は業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと定めており、この義務は資格を持たなくなった後も続きます。事例を使いたい場合は、複数の経験を統合した架空の像にするか、公表されている典型例を使ってください。ここを軽く扱う人は、どれだけ文章がうまくても、発注側から見ると危険な相手になります。

材料3 稼働条件

3つ目は、自分の稼働条件をはっきりさせておくことです。週に何時間使えるか、返信できる時間帯はいつか、納期はどのくらい必要か。

これを決めずに応募すると、受けた後に苦しくなります。特にシフト勤務のある職場では、月ごとに使える時間が変わります。最初の1件は、余裕を大きく見積もって受けてください。納期を守れなかった1件は、こなした10件より強く記憶されます。

提案文に何を書くか

使える型

提案文には型があります。順番は、結論、根拠、具体案、稼働条件、締め。この順で書くと、読む側が判断しやすくなります。

結論は「このお仕事に応募します。◯◯の領域であれば、専門的な内容の正確性も含めて対応できます」。根拠は臨床の担当領域と年数。具体案は「募集内容を読んで、こういう構成にすると読者に伝わると考えました」という一言。稼働条件は前述の通り。締めは、簡潔に。

長さは400文字から600文字で十分です。長すぎる提案文は読まれません。

具体案を1行入れるだけで通過率が変わる

型の中で最も効くのが、具体案の1行です。募集要項を読んで、自分ならどうするかを一つだけ書く。「誤嚥予防の記事とのことですが、家族向けであれば、食事中に見てほしいサインを先に置く構成のほうが読まれると思います」といった程度で構いません。

これが入っているだけで、発注側は「この人は内容を理解している」と判断します。逆に、テンプレートを貼り付けただけの提案文は、一目で分かります。同じ文面を何十件にも送るより、5件に絞って具体案を入れるほうが、結果的に早く決まります。

単価をどう書くか

金額を先に書くべきか迷う人が多いのですが、募集に単価が明記されている場合はそれに従い、明記されていない場合はこちらから範囲で提示するのが実務的です。「1本あたり◯円から◯円で、内容の分量に応じてご相談させてください」という書き方なら、交渉の余地を残せます。

相場が分からないまま提示するのは危険です。専門知識を提供する仕事の水準は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場に公的統計をもとにした目安が整理されているので、自分の提示額がどのあたりに位置するかを確認しておいてください。安すぎる提示は、実は選ばれにくくなります。品質への不安を持たれるからです。

やってはいけない書き方

避けたほうがよい書き方が3つあります。1つ目は、謙遜が過ぎるもの。「未熟ですが」「ご迷惑をおかけするかもしれませんが」と書くと、発注側は不安になります。2つ目は、資格の説明が長いもの。言語聴覚士がどういう資格かの説明は不要で、何ができるかだけを書きます。3つ目は、条件を曖昧にしたもの。「できる限り対応します」ではなく、具体的な曜日と時間帯を書いてください。

実績ゼロから実績を作る順番

勤務先の中で最初の1本を作る

外部に応募する前に、勤務先の中で作れるものがあります。院内の勉強会で発表する、家族向けの説明資料を作る、新人向けの手順書を作る。これらは業務の一部として認められることが多く、その経験は「資料作成の経験がある」という説明に使えます。

ただし、作成した資料そのものを外部に持ち出すことはできません。あくまで経験として説明し、応募用の見本は自分で作り直してください。

小さく受けて、記名をもらう

最初の1件は、金額より条件で選ぶという考え方があります。具体的には、氏名と資格を出せる案件を優先することです。記名記事が1本あると、次の応募で見せられるものが増えます。

逆に、匿名で単価の低い作業だけを受け続けると、実績が積み上がりません。数をこなしているのに次のステップに進めない人は、たいていここでつまずいています。

見本原稿を1本作る手順

見本原稿の作り方が分からないという声も多いので、手順を書いておきます。所要時間はおよそ4時間です。

最初に、読者を1人に絞ります。「80代の親が最近むせるようになって心配している50代の娘」というところまで具体的にします。次に、その人が検索しそうな言葉を書き出します。「親 むせる 食事」「飲み込みにくい 高齢者 対処」といった言葉です。この段階で、記事のテーマが決まります。

続いて、見出しを5つ作ります。読者が知りたい順に並べるのが原則で、原因の解説から始めるのではなく、まず「今日から見てほしいこと」を置きます。見出しが決まったら、それぞれに根拠となる資料を当てます。学会のガイドライン、省庁の公表資料、教科書。ここで一次資料に当たる習慣を作っておくと、実際の案件で困りません。

本文は1,500文字程度で十分です。最後に、出典を明記します。どの資料の、いつ時点の情報かまで書いてください。この1本があれば、応募のたびに添付できます。同じ原稿を使い回して問題ありません。

応募が通らないときに見直す順番

10件応募して反応がない場合、闇雲に数を増やしても状況は変わりません。見直す順番を決めておきます。

最初に見直すのは、応募先の選び方です。医療分野と無関係な案件に応募していないか、報酬の水準が極端に低い案件ばかり選んでいないか。有資格者を求めている案件に絞るだけで、通過率は変わります。

次に、提案文の具体案の1行です。募集内容に触れずに自己紹介だけを書いていないかを確認します。3つ目が、見せられるものの有無です。添付できる見本原稿があるかどうかで、判断材料の量が変わります。最後に、稼働条件の書き方です。曖昧な表現になっていないかを見直してください。

この4点を順に直していけば、たいていどこかで反応が出ます。反応がない理由を実力や資格のせいにしないことが、続けるうえで大切です。

3件やったら振り返る

3件納品したら、いったん立ち止まって振り返ってください。どの作業に時間がかかったか、どの依頼が楽しかったか、どの条件がきつかったか。この振り返りをもとに、次に応募する案件の種類を絞ります。

在宅の仕事にどのような種類があるかを俯瞰しておくと、絞り込みが早くなります。相談やキャリア支援の領域はキャリア・副業・人生相談のお仕事に、記事制作の周辺で需要が伸びている領域はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されています。まったくの初めてであれば、副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめで全体の流れを押さえておくのも手です。

どこに応募するか

3つの経路

案件に出会う経路は3つです。在宅ワークの求人サイトや業務委託のマッチングサービス、発注元への直接の営業、そして知人からの紹介です。

最初の1件は、求人サイト経由が現実的です。募集内容が文章で書かれているので、条件を確認しやすく、比較もできます。直接営業は反応率が低く、紹介は待つしかない。ただし2件目以降は、紹介の比重が上がっていきます。

医療福祉の分野では、既存の人的つながりが強く効きます。院内の他職種、以前の同僚、養成校の同期。副業をしていることを公にできる状況であれば、こうしたつながりから依頼が来ることがあります。勤務先の就業規則との関係は事前に確認しておいてください。

避けたほうがよい募集の見分け方

初心者が狙われやすい募集もあります。判断材料になるのは4点です。無償のテスト作業を大量に求めるもの。相場から著しく外れた低単価。契約前に登録料や教材費の支払いを求めるもの。業務内容が具体的に書かれていないもの。

特に、報酬を受け取るために先に費用を払わせる形は、仕事ではありません。データ入力や文字起こしのような、参入しやすい分野で見かけることがあります。相場の目安はデータ入力・文字起こしの副業は稼げる?在宅ワークの始め方と相場で確認できるので、提示された金額が妥当かどうかを比べてください。

応募の数と質のバランス

最初のうちは、週に3件から5件の応募を、丁寧に書いて出すのが現実的です。返事が来ないことが続いても、それは実力の問題ではありません。募集側の事情で締め切られていることも多いからです。

10件出して1件も反応がない場合は、提案文の型を見直します。具体案の1行が入っているか、稼働条件が書いてあるか、資格の説明が長すぎないか。この3点を直すだけで、反応が変わることがよくあります。

募集文の読み方

応募先を選ぶとき、募集文のどこを見るかで結果が変わります。読む順番は、業務内容、納期と分量、報酬、応募条件、そして最後に募集元の情報です。

業務内容の欄では、作業の範囲がどこまで書かれているかを見ます。「執筆」とだけ書かれている募集は、構成作成、画像の選定、校正、修正対応まで含まれる可能性があります。範囲が曖昧なまま受けると、想定の2倍の時間がかかります。応募の際に「構成案の作成は含まれますか」と確認しておくと、後の食い違いを防げます。

納期と分量は、自分の稼働時間と照らします。医療系の記事は下調べに時間がかかるため、3,000文字なら5時間から8時間を見込んでください。週の可処分時間が8時間なら、月2本が上限です。ここを楽観して受けると、初回から納期に追われます。

募集元の情報も確認します。運営しているメディアの既存記事を数本読むと、求められる文体と表記の癖が分かります。既存記事の水準に合わせた提案を書けば、それだけで他の応募者と差がつきます。

最初のやり取りで信頼を作る

応募が通ると、条件のすり合わせが始まります。ここでの返信の仕方が、その後の関係を決めます。

守るべきことは3つです。1つ目は、返信を早くすること。24時間以内に一次返信を返すだけで、印象は大きく変わります。すぐに答えられない内容でも「確認して明日までにお返事します」と返せば十分です。2つ目は、質問をまとめて出すこと。思いついた順に小出しにすると、相手の作業が細切れになります。3つ目は、認識を文章で確認すること。「今回は、家族向けに3,000文字、納期は◯日、修正は2回まで、という理解で進めます」と一度書いて送ると、双方の記憶が揃います。

臨床で申し送りをしてきた人は、この作業が得意なはずです。誰に、何を、いつまでに、どういう状態で渡すのか。医療現場で当たり前にやっていることが、そのまま在宅の仕事で評価されます。

本業と両立させるための時間の作り方

シフト勤務がある職場では、月ごとに使える時間が変わります。だからこそ、受ける本数を先に決めておく必要があります。

現実的な組み立て方は、シフトが出た時点で作業できる日を先にカレンダーに入れてしまうことです。空いた時間にやろうと考えると、疲労した日は手が止まり、締切前にまとめて作業することになります。作業日を先に置き、その枠に収まる量だけ受ける。この順番にすると、本業の睡眠を削らずに済みます。

夜勤明けの日に作業を入れないことも重要です。医療記事の下調べは集中力を要する作業で、疲労した状態でやると誤りが混ざります。事実の誤りは、書き手としての信用を一度で失わせます。

最初の1件でよくある失敗

相談を受けていて多い失敗が3つあります。

1つ目は、安く受けすぎることです。「経験がないから」と相場の半分以下で受けると、その金額があなたの基準として記録されます。次回の値上げ交渉は、初回の金額からの引き上げになるため、最初に下げすぎると回復に時間がかかります。実績が欲しいなら、金額ではなく記名や実績としての使用許可で交換してください。

2つ目は、範囲外の作業を無償で引き受けることです。「ついでにこれもお願いできますか」と言われたとき、断りにくい気持ちは分かります。ただし一度受けると、それが標準になります。「その作業も承れます。追加のお見積もりをお送りします」と返すのが正しい対応です。

3つ目は、納期の遅れを直前に伝えることです。遅れそうだと分かった時点で伝えれば、相手は調整できます。締切当日に伝えると、相手の予定が壊れます。遅れそのものより、伝えるのが遅いことのほうが信頼を損ないます。

契約前に必ず確認する条件

書面で条件をもらう

口頭やチャットの流れだけで作業を始めるのは避けてください。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注事業者はフリーランスに業務委託をした場合、給付の内容や報酬額などを書面または電磁的方法で明示する義務を負います。

つまり、条件が書かれた記録をもらうことは、こちらのわがままではなく、法が求めていることです。メールでもチャットでも構いません。「内容の確認のため、条件を一度まとめて送っていただけますか」と伝えれば済みます。

支払期日を確認する

同法では、発注事業者は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に報酬支払期日を定めることが求められています。「掲載されたら支払います」という条件は、掲載時期が未定であれば問題になり得ます。

契約前に、いつ請求して、いつ支払われるのかを確認してください。この確認をしたことで印象が悪くなるような相手なら、その時点で見送ったほうが安全です。

修正回数と追加作業

もう一つ、確認しておきたいのが修正の範囲です。「納得いくまで対応します」と言ってしまうと、作業が無限に続きます。修正は2回まで、それ以降は別途相談、という条件を最初に共有しておいてください。

契約書の読み方に不安があるなら、書類作成に関わる専門職の業務範囲を知っておくと、どこまで自分で判断し、どこから相談すべきかが見えてきます。行政書士の資格ガイドが参考になります。なお、報酬の未払いなど紛争になっている場合は弁護士の領域です。契約前の確認と、揉めた後の対応は別物として考えてください。

最初の1件を、2件目につなげる

納品時にやること

納品して終わりにしないでください。納品のメールに、次につながる一文を添えます。「今回の内容に関連して、◯◯というテーマも読者の関心が高いと思います」といった提案です。

臨床で家族から繰り返し受ける質問は、そのまま需要のあるテーマです。これを提案できる書き手は、発注側から見て手放したくない存在になります。企画を出せる人は、指示を待つ人より確実に単価が上がります。

定期的な依頼に変える

3件ほど納品した段階で、継続の相談をします。「月2本の形にしていただけると、こちらも品質を安定させやすいです」と伝えると、発注側にも都度の説明を減らせるという利点があります。

副業として続けるうえで効くのは、単価の高さより収入の見通しです。来月も同じ依頼があると分かっていれば、生活の設計ができます。

手取りの差にも目を向ける

同じ作業でも、受け取る金額は取引の形で変わります。制作会社や仲介が入る場合、発注元が支払った金額の一部が中間で差し引かれます。手数料0%で発注者と直接つながる仕組みを使えば、同じ予算でも依頼側は回数を増やせ、受け手の手取りは厚くなります。限られた時間で働く副業ほど、この差は効いてきます。

運営者として見てきた、最初の1件を早く取る人の共通点

在宅ワークとフリーランスの市場を20年ほど見てきた立場から言えば、最初の1件を早く取る人には共通点があります。応募の数が多い人ではなく、応募先の募集内容を読んでいる人です。

募集文には、発注側の困りごとが必ず書かれています。「専門的な内容の正確性を担保したい」「医療職の視点でチェックできる方を探している」。ここに直接答える一文を提案文に入れるだけで、通過率は目に見えて変わります。逆に、自分の経歴を並べただけの提案文は、どれだけ立派でも読み飛ばされます。

もう一つ、長く続く人は、断ることを恐れていません。守備範囲の外の依頼、条件の合わない依頼を断った人のほうが、結果的に依頼数が増えています。何でも受ける人は、都合よく使われて疲れ、やがて市場から消えていきます。「これはできますが、これは専門外なので別の方が適任です」と言える人が、信頼を集めます。

三つ目に、最初の1件を早く取る人は、応募を「選考」ではなく「打ち合わせの入口」と考えています。落ちたかどうかを気にするより、条件が合わなかっただけだと受け止めて次に進む。この切り替えが早い人ほど、結果として早く決まっています。

医療職として毎日やっている、相手の状態を見て、伝わる形に情報を組み替え、記録に残すという一連の作業は、そのまま在宅の仕事で求められる能力です。足りないのは経験ではなく、それを相手に伝える言葉だけです。プロフィールを200文字書き、見本を1つ作り、5件に丁寧な提案文を出す。この3つを終えれば、最初の1件は思っているより近くにあります。法律も契約も、準備をした人の側に立ちます。

よくある質問

Q. 実績がまったくない状態でも応募してよいですか?

問題ありません。発注側が見たいのは過去の納品実績ではなく、あなたが何を作れるかです。想定読者を決めて書いた1,500文字程度の見本原稿を1つ用意すれば、応募の材料になります。ただし患者の情報が入らないよう厳重に確認し、事例は複数の経験を統合した架空の像にしてください。

Q. 提案文はどのくらいの長さで書けばよいですか?

400文字から600文字が目安です。結論、臨床で担当してきた領域、募集内容に対する具体案を1行、稼働できる曜日と時間帯、この順で書きます。長すぎる提案文は読まれません。テンプレートを大量に送るより、5件に絞って具体案を入れるほうが早く決まります。

Q. 単価はこちらから提示すべきですか?

募集に単価が明記されていればそれに従い、なければ範囲で提示するのが実務的です。安すぎる提示は品質への不安を持たれ、かえって選ばれにくくなります。公的統計をもとにした相場の目安を確認し、自分の提示額がどのあたりに位置するかを把握してから応募してください。

Q. 契約前に確認しておくべきことは何ですか?

条件を書面か電磁的方法で明示してもらうこと、報酬の支払期日、修正回数の上限の3点です。フリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注事業者には条件明示の義務があり、支払期日は給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めることが求められています。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月2日最終更新:2026年9月1日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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