理学療法士の最初の1件の取り方


この記事のポイント
- ✓理学療法士 副業 案件 取り方を
- ✓最初の1件に絞って解説します
- ✓実績ゼロから見せるものを作る手順
結論から書きます。理学療法士が副業の最初の1件を取れるかどうかは、応募数ではなく、応募する前に何を用意したかで決まります。
案件が見つからないという相談を受けることがありますが、実際に話を聞くと、案件は見つかっています。見つかったあとに応募していないか、応募しても通っていない。この2つのどちらかです。そして通らない理由は、資格が足りないからではありません。発注側から見て、この人に頼んだらどうなるかが想像できないからです。
想像できる材料を先に作っておけば、通過率は変わります。この記事では、最初の1件を取るまでにやることを順番に整理します。資格をどう取るかの話ではなく、すでに理学療法士の免許を持っている人が、その資格を最初の案件に換えるまでの話だけをします。
最初の1件が取れない理由は3つに絞られる
観察していると、原因はほぼこの3つのどれかに収まります。
1つ目は、見せるものがないことです。実績ゼロの状態で「書けます」「話せます」と言っても、発注側には判断材料がありません。判断材料がなければ、実績のある人が選ばれます。
2つ目は、提案文が長すぎて要点が沈んでいることです。経歴を丁寧に書いた結果、発注側が知りたい情報がどこにあるか分からない。読み飛ばされます。
3つ目は、応募先の選び方です。競争が激しい案件ばかりに応募していると、実績のない状態では通りません。通りやすい案件には特徴があり、そこを見分けられるかどうかで結果が変わります。
この3つは、どれも準備で解消できます。才能や運の話ではありません。順に見ていきます。
市場の現状を先に押さえておく
前提として、理学療法士の副業がどのくらい一般的なのかを確認しておきます。
厚生労働省の報告によると、副業を行っている割合は全体で9.7%です。一方で理学療法士を含む「医療・福祉」の分野で見ると9.9%となっており、全産業の平均と比べるとやや高い傾向にあります(2026年1月時点)。 出典: medi-jump.com
9.9%という数字は、10人に1人という水準です。決して多くはありません。つまり、まわりに副業をしている人がいないのは普通のことで、身近に相談相手がいないまま始めることになります。
背景にある事情も確認しておきます。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士・作業療法士の平均年収は約444万円。これは日本の平均年収である460万円と比較してやや下回っており、将来に不安を感じる方も少なくありません。 出典: co-medical.mynavi.jp
正直なところ、この数字だけを見て焦る必要はありません。重要なのは、収入の柱が1本しかない状態を、2本にしておくかどうかです。1件目を取るというのは、2本目の柱の起点を作る作業にあたります。
応募する前に「見せるもの」を作る
ここが最初の1件の成否を分けます。順番として、案件を探す前にこれをやってください。
サンプルを1本だけ作る
実績がないなら、実績になるものを自分で作ります。ライティングの案件を狙うなら、記事を1本書いてしまう。誰から依頼されたものでもなくてかまいません。
テーマは、自分が臨床で扱ってきた領域から選びます。文字数は2,000字から3,000字あれば十分です。構成を作り、参照した資料のURLを添えて、読める形に仕上げる。これを1本持っているだけで、応募時の説得力がまったく変わります。
正直なところ、この作業を面倒がる人が非常に多い。だからこそ差がつきます。応募のたびに「実績はありませんが頑張ります」と書き続けるより、1本作って毎回それを見せるほうが、投入時間あたりの効果ははるかに高い。
講師の案件を狙うなら、スライドを10枚だけ作ります。相談や助言の案件なら、想定される相談に対する回答例を1つ書いておきます。形式は違っても、考え方は同じです。
提供できることの品書きを作る
次に、自分が受けられる仕事を箇条書きにした1枚を作ります。テーマ、対象読者または対象者、想定される分量や時間、受けられる本数。この4項目です。
「何でもやります」は、もっとも依頼につながらない書き方です。逆に「回復期のリハビリについて、一般読者向けに3,000字程度の記事を、月2本まで」のように狭く具体的に書くと、発注側が自分の企画に当てはめて判断できます。
この品書きは一度作れば使い回せます。応募のたびにゼロから文章を組み立てる必要がなくなり、応募にかかる時間が大きく減ります。応募数を増やしたいなら、まずここを作るのが近道です。
プロフィールに何を書くか
案件サイトのプロフィール欄は、発注側が最初に見る場所です。ここで見られているのは経歴の長さではなく、次の3点です。
何ができるか。どの領域に詳しいか。どのくらいの頻度で動けるか。この3つが冒頭の数行で分かる状態にします。経歴を時系列で並べるのは、その後で構いません。
資格名は明記します。理学療法士という国家資格は、医療や介護の分野の案件で明確な優位性になります。ただし、資格があることと、その資格でどこまでの内容を提供できるかは別の問題です。とくに、身体に直接関わるサービスや、治療的な内容に踏み込む場合は、理学療法士及び作業療法士法をはじめとする関係法令との関係を確認する必要があります。プロフィールに「何でも対応可能」と書くのは避けてください。
提案文に入れる5つの要素
案件に応募するときの文面です。長く書く必要はありません。必要なのは5つだけです。
1つ目 冒頭の2行で読む理由を作る
発注側は、多数の応募文を短時間で処理します。最初の2行で「この人は読む価値がある」と思われなければ、その先は読まれません。
冒頭に置くのは、資格と、この案件に関係する経験です。「理学療法士として回復期病棟で7年勤務しています。今回の募集にある高齢者の転倒予防は、実際に担当してきた領域です」といった形です。挨拶や意気込みを先に書くと、要点が2行目以降に沈みます。
2つ目 書ける範囲を狭く言い切る
範囲を広げると信用されません。「医療全般に対応できます」より「整形外科領域と回復期のリハビリについて書けます」のほうが強い。狭く言い切ると、その範囲での専門性が伝わります。
範囲外の依頼が来なくなることを心配する人がいますが、逆です。範囲が明確な人には、その範囲の依頼が確実に来ます。範囲が曖昧な人には、何も来ません。
3つ目 この案件でどう役に立つかを1つ書く
募集文をよく読むと、発注側が困っていることが書かれています。「医療の内容に間違いがないか不安」「専門用語が難しくて読者に伝わらない」といった記述です。
そこに対して、自分がどう役に立つかを1つだけ書きます。「参照した一次資料のURLを原稿に添えて納品します」「専門用語を使わずに書いた文章を、正確さを保ったまま提出できます」といった具体的な形です。抽象的な意欲表明ではなく、相手の手間がどう減るかを書いてください。
4つ目 対応できる量と納期を正直に書く
本業がある以上、無制限には受けられません。月に何本、いつまでに納品できるかを書きます。
ここで見栄を張ると、あとで破綻します。「月2本まで」と正直に書いた人のほうが、長く続く関係になっています。発注側が困るのは、量が少ないことではなく、約束が守られないことです。
5つ目 質問を1つ入れる
提案文の最後に、案件に関する質問を1つ入れます。「読者層は介護をしている家族と、ご本人のどちらを想定していますか」といった、実務的な質問です。
質問があると、返信が発生します。返信のやり取りが1往復あるだけで、他の応募者との差がつきます。ただし、募集文に既に書かれていることを聞くのは逆効果です。読んでいないと判断されます。
やってはいけない書き方
観察していて多いのが、次の3つです。
長い自己紹介から始める。テンプレートをそのまま貼る。単価の交渉を最初に持ち出す。この3つは、いずれも通過率を下げます。とくに3つ目は、実績がない段階では成立しません。単価の話は、納品を数本重ねてからです。
通りやすい案件の見分け方
応募先の選び方で結果が変わります。実績ゼロの段階では、次の特徴がある案件を優先します。
1つ目は、募集要項に「有資格者」「医療関係者」といった条件が書かれている案件です。条件が絞られているぶん応募者が少なく、資格を持っていることが直接効きます。条件がない案件は応募が殺到し、実績で比較されます。
2つ目は、募集文が具体的に書かれている案件です。読者層、目的、納品形式、修正の回数まで書かれている案件は、発注側が慣れています。慣れている発注者は、応募文もきちんと読みます。逆に、募集文が数行しかない案件は、返信自体が来ないことがあります。
3つ目は、継続前提と明記されている案件です。単発の募集より、継続案件のほうが発注側は慎重に選びますが、通れば安定します。1件目としては、継続案件を狙う価値があります。
在宅で受けられる仕事の全体像を把握しておくと、選択の幅が広がります。キャリア・副業・人生相談のお仕事には、相談や助言といった、医療職の経験が直接活きる依頼が集まっています。医療から少し離れた領域も含めて見ておきたい場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野にも目を通しておくと、自分の経験の使い道が意外なところで見つかります。
未経験から案件を取るまでの一般的な流れは、副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめで4段階に整理されています。理学療法士に限らない内容ですが、最初の1件までの動きの型を確認しておくと迷いが減ります。
案件を探す場所は3つに分かれる
どこを見るかで、出会える案件の性質が変わります。3種類あります。
汎用のクラウドソーシング
案件の総数がもっとも多い場所です。ライティング、資料作成、データ整理、オンラインでの相談まで幅広く募集が出ています。実績ゼロでも応募できる点が最大の利点です。
一方で、応募者の数も多い。実績のない状態で汎用の案件に応募すると、比較され負けます。ここを使うなら、有資格者を条件にしている案件だけに絞って応募するのが効率的です。検索の条件に資格名を入れて絞り込む機能があるので、まずそれを使ってください。
もう一点、システム利用料が報酬から引かれる仕組みである点は前提として理解しておきます。1件目の段階では気にならない差ですが、継続して受けるようになると効いてきます。
分野に特化した案件サイト
医療、介護、健康の分野に特化して案件を扱っている場所があります。母数は少ない代わりに、募集の条件に資格が組み込まれているため、応募段階の競争が緩くなります。
特化型の弱点は、案件の絶対数が少ないことです。常時見張っていないと、条件の良い案件が埋まってしまいます。通知の設定ができるなら、必ず設定しておいてください。
在宅で完結する業務委託が全体としてどういう形で募集されているかは、作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような、まったく別分野の募集も含めて眺めておくと構造が見えます。分野が違っても、業務委託の募集文の書かれ方や、発注側が求める情報の並びは共通しています。
直接のつながり
実は、最初の1件がここから来る人が一番多い。院内の勉強会で話した内容を聞いた人からの紹介、養成校時代の同期からの声かけ、地域の連携先の担当者からの相談。
ここを使うには、自分が何をやろうとしているかを周囲に伝えておく必要があります。ただし、勤務先の副業規定を確認する前に広く伝えるのは避けてください。順番としては、就業規則の確認が先です。
本業と両立できる作業量を先に決める
1件目を取る前にやっておくべきことがもう一つあります。自分が週に何時間、副業に使えるのかを決めることです。
理学療法士の勤務は日中がほぼ埋まります。使えるのは早朝か夜か休日で、そこから家庭の時間を引いた残りが実際の作業時間です。ここを計算せずに受注すると、納期の直前に無理をすることになります。
現実的な目安として、平日に1時間、休日に3時間を確保できるなら、週に8時間です。3,000字の記事なら、慣れないうちは1本に8時間から10時間かかると見ておきます。つまり、最初は月に2本が上限という計算になります。
この数字を先に出しておくと、応募時に書く本数が正確になります。そして、無理な約束をしなくて済みます。データ整理や文字起こしのような作業時間が読みやすい仕事から入るという選択肢もあり、その相場感はデータ入力・文字起こしの副業は稼げる?在宅ワークの始め方と相場で整理されています。書く仕事より単価は下がりますが、時間の見積もりが立てやすいという利点があります。
受注前に条件を文面で確認する
1件目でつまずく人の多くが、条件を確認せずに始めています。確認するのは4つです。
1つ目は納期です。いつまでに、どの形式で納品するのか。曖昧なまま始めると、想定より早い納期を後から言われることがあります。
2つ目は修正の回数です。無制限修正を前提にした契約は、実質的な時給を大きく下げます。何回までか、それを超えた場合はどうなるかを事前に決めます。
3つ目は報酬の支払時期です。2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法では、発注事業者に取引条件の明示が求められ、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めることとされています。納品から何か月も待たされる形は、法律が想定しているものではありません。
4つ目は、実績として公開してよいかどうかです。前述のとおり、ここを聞いておかないと次の営業で使えません。
これらは、メールやメッセージのやり取りで文面として残しておけば十分です。正式な契約書がない案件でも、やり取りの記録が条件の証拠になります。口約束だけで進めないでください。
最初の単価をどう決めるか
1件目の単価をどう設定するかは、悩みどころです。個人的には、1件目に限っては相場より低めでも受けるべきだと考えています。理由は3つあります。
1つ目は、実績を作ることの価値が金額を上回るからです。2件目以降の応募で「納品実績があります」と書けるようになると、通過率が変わります。
2つ目は、1件目は必ず時間がかかるからです。慣れていない作業に高い金額をもらうと、修正のやり取りで疲弊します。低めの金額のほうが、精神的に楽に進められます。
3つ目は、継続で単価が上がるからです。修正指示がほとんど入らない状態を数本続けたあとに単価の見直しを相談すると、通ります。最初の金額は出発点であって、固定ではありません。
ただし、無償で受けるのは勧めません。無償の仕事は、発注側にとっても優先度が下がり、結果としてフィードバックが得られないことが多い。金額の水準を知りたい場合は、公的統計をもとにした著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、書く仕事全体の水準を確認したうえで、その下限あたりから始めるのが実務的です。
なお、案件サイトを経由する場合、報酬から利用料が差し引かれる仕組みが一般的です。16.5%から20%が引かれる例が知られており、受け取る金額に直接影響します。実績ができたあとは、手数料0%で直接やり取りできる形の仲介サイトを併用する人が多い。1件目の段階では気にしなくてよいですが、続けるつもりなら早めに知っておくべき差です。
資格を持つ人が最初につまずく2つの落とし穴
理学療法士に特有の、最初の1件でのつまずき方があります。
1つ目は、専門的に書きすぎることです。臨床で使っている言葉と、一般読者に届く言葉はまるで違います。「大腿四頭筋の筋出力低下により立ち上がり動作が困難」と書かれた原稿は、正確ですが読まれません。発注側から見ると、これは書き直しが必要な原稿です。
対策は、書き終わったあとに専門用語を機械的に洗い出すことです。医療系の学校で習った言葉が出てきたら、そこを日常の言葉に置き換えます。置き換えたあとで、内容が間違いになっていないかを確認する。この二段階の作業が、専門職がライティングで評価されるための必須工程です。
2つ目は、断定を避けすぎることです。医療職は、断定しない訓練を受けています。カルテでも「〜の可能性がある」と書きます。この癖がそのまま原稿に出ると、何も言っていない文章になります。
読者が知りたいのは結論です。根拠を示したうえで結論を書き、そのうえで例外や注意点を添える。この順番であれば、断定を避けながら読者に伝わる文章になります。「人によります」で終わる原稿は、専門家が書いた意味がありません。
なお、資格の範囲について書く場面では、慎重さが必要です。理学療法士がどこまでの行為を提供できるかは、理学療法士及び作業療法士法をはじめとする関係法令との関係で判断されるところであり、記事の中で自分の判断として断定するのは避けてください。根拠となる法令名を示し、個別の事案では確認が要ると書くのが、専門職として正しい書き方です。
断られたときにどこを直すか
応募して通らなかったとき、闇雲に応募数を増やすのは効率が悪い。直す場所には順番があります。
まず確認するのは、返信が来たかどうかです。返信すら来ない場合、問題は提案文の冒頭にあります。最初の2行を書き直してください。資格と案件への関連性が、冒頭に来ているかを見ます。
返信は来たが選ばれなかった場合、問題は見せるものの側にある可能性が高い。サンプルの質か、実績の見せ方です。サンプルを1本追加するか、既存のサンプルを作り直します。
面談まで進んで通らなかった場合、問題は条件の擦り合わせです。納期、本数、対応可能な時間帯。ここで折り合わなかった可能性があります。次からは、条件を提案文の段階で明示しておきます。
正直なところ、実績ゼロの段階では10件応募して1件通れば十分な水準です。1件や2件通らなかったことで方向性を疑う必要はありません。ただし、10件応募して返信がゼロなら、それは提案文の問題です。数を増やす前に文面を直してください。
1件目が取れたあとにやること
1件目を取ることより、2件目につなげることのほうが重要です。ここでやることは2つだけです。
1つ目は、納品時に次の話をすることです。「今回の内容で問題なければ、継続でも対応できます」と一文添える。これだけで、次の依頼が来る確率が変わります。言わなければ、発注側は毎回新しく募集をかけます。
2つ目は、実績として使える形を確認しておくことです。記事のURLを他の発注者に見せてよいか、資格名だけでも実績として書いてよいか。守秘義務の範囲を、納品後に確認しておきます。ここを聞いておかないと、せっかくの1件目が次の営業で使えません。
1件目を取るまでの2週間の使い方
やることを日程に落としておきます。準備に時間をかけすぎないことが重要なので、期間は2週間で区切ります。
1日目から3日目は、就業規則の確認です。副業に関する条項と服務規律を読み、許可制なら届け出の様式を入手します。公立の施設に勤務している場合は、地方公務員法の制限があるため人事担当に確認します。ここが済まないうちは、次に進まないでください。
4日目から7日目は、サンプルの作成です。臨床で扱ってきた領域から1テーマ選び、構成を作り、2,000字から3,000字で書き上げます。参照した資料のURLを添えるところまでを1セットにします。
8日目と9日目は、品書きとプロフィールの作成です。テーマ、対象者、分量、受けられる本数の4項目を並べた1枚を作り、案件サイトのプロフィール欄を埋めます。ここまでで、応募に必要なものがすべてそろいます。
10日目から14日目が、応募です。有資格者を条件にしている案件と、募集文が具体的に書かれている案件に絞って、10件を目安に出します。提案文の型は1つ作っておき、案件ごとに冒頭2行と役立ち方の1文だけを差し替えます。1件あたり10分程度で応募できるようになります。
この2週間で1件も決まらなかった場合でも、作ったサンプルと品書きは残ります。次の2週間は、応募だけを繰り返せばよい。準備は一度きりで、二度目からは応募に集中できます。
運営者として見てきたこと
在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から、最初の1件について観察していることを書きます。
1件目を取るまでの期間には、大きな差があります。準備をしてから応募した人は、数週間で決まっています。準備をせずに応募を繰り返した人は、数か月かかっているか、途中で止めています。差は行動量ではなく、行動の順番です。
もう一つ、最初の1件を取った人の中でも、続く人と続かない人が分かれます。続かない人は、1件目が終わるたびにゼロから探し直します。続く人は、1件目の発注者との関係を残しています。運営者として見てきた限り、継続の関係を1つか2つ持っている人は、本業が忙しい時期があっても市場から消えません。
額面と手取りの話も付け加えておきます。同じ報酬額でも、間に入る仲介の取り分があるかないかで、手元に残る金額は変わります。しかもこれは受け手だけの話ではなく、依頼する側も、仲介の取り分がない形なら同じ予算でより多く頼めます。この構造に気づいた発注者と受注者は、一度組むと長く続く関係になります。1件目の単価を追いかけるより、こういう相手に出会えるかどうかのほうが、結果として効いてきます。
最初の1件は、探すものではなく、準備の結果として取れるものです。サンプルを1本、品書きを1枚、提案文の型を1つ。この3つを用意する時間は、合わせて数日です。その数日を先に使えるかどうかで、その後の数か月が変わります。
よくある質問
Q. 実績がまったくない状態で、何を見せればよいですか?
自分でサンプルを作ります。ライティングなら、臨床で扱ってきた領域について2,000字から3,000字の記事を1本書き、参照した資料のURLを添えて仕上げます。講師の案件ならスライドを10枚、相談系の案件なら想定される相談への回答例を1つ用意します。依頼されたものでなくてかまいません。見せるものが1つあるだけで、応募時の説得力が変わります。
Q. 提案文はどのくらいの長さで書けばよいですか?
長さより、冒頭2行に何を置くかが重要です。資格と、その案件に関係する経験を最初に書きます。そのうえで、書ける範囲を狭く言い切り、この案件で相手の手間がどう減るかを1つ書き、対応できる本数と納期を正直に示し、最後に実務的な質問を1つ入れます。この5要素が入っていれば、長い自己紹介は不要です。
Q. 何件くらい応募すれば1件目が取れますか?
実績ゼロの段階では、10件応募して1件通れば十分な水準です。1件や2件通らなかったことで方向性を疑う必要はありません。ただし、10件応募して返信がゼロなら提案文の冒頭に問題があります。数を増やす前に、最初の2行を書き直してください。返信は来るのに選ばれない場合は、見せるサンプルの側を直します。
Q. 最初の単価は低くても受けるべきですか?
1件目に限っては、相場より低めでも受ける価値があります。実績ができると2件目以降の通過率が変わり、慣れない作業に高額をもらうと修正のやり取りで疲弊するためです。ただし無償で受けるのは勧めません。優先度が下がってフィードバックが得られないことが多くなります。単価は納品を数本重ねたあとに見直しを相談すると通りやすくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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