弁理士の最初の1件の取り方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
弁理士の最初の1件の取り方

この記事のポイント

  • 弁理士の資格を持っていても最初の1件は簡単には決まりません
  • プロフィールに書く3項目
  • 実績がない状態での実績の作り方を具体的に整理しました

弁理士の資格を持っていれば、個人で仕事を受けるのは簡単だろう。そう思って動き出した人が、最初の1件で止まります。応募しても返事が来ない、知り合いに声をかけても具体的な話にならない。この段階で「やはり実績がないと無理だ」と結論づけてしまう人が少なくありません。

実際のところ、最初の1件が決まらない理由は実績の有無ではありません。依頼者側が何を頼めるのか判断できていないことがほとんどです。弁理士という肩書きは、依頼者から見ると範囲が広すぎます。出願を頼めるのか、調査だけ頼めるのか、翻訳もやってくれるのか、いくらかかるのか。判断材料がないまま提案文だけ届いても、相手は動けません。

この記事では、資格を持っている人が最初の1件を取るまでにやることを、順番に整理します。提案文に何を書くか、実績がない状態でどう実績を作るか、単価をどう決めるか。試験や資格の取り方の話はしません。すでに手元にある資格を、実際の依頼に変える段階の話です。

副業をする弁理士が増えている背景

まず、市場の状況を押さえておきます。弁理士が個人で仕事を受ける動きは、以前より広がっています。

高収入といわれる弁理士が副業する理由は、収入を増やしたいというだけではなく、独立を目指して人脈を作りたい、空いた時間を有効に使いたいなど様々です。 出典: legal-job-board.com

理由が収入だけではないという点は重要です。独立の前段階として顧客との接点を作りたい、勤務では触れない分野に関わりたい、といった動機で始める人が一定数います。この違いは、最初に受ける案件の選び方に直結します。収入が目的なら単価の高い案件を狙うことになりますが、関係づくりが目的なら、多少単価が低くても継続の見込みがある依頼者を選ぶほうが合理的です。

働き方の変化も後押しになっています。

特にここ数年コロナ過の影響でリモートワークをする弁理士は増加しています。通勤などの時間が浮いた分、空き時間を有効に使えることも副業をする魅力です。 出典: legal-job-board.com

知財の実務は、もともと在宅と相性がよい仕事です。文献を読み、書類を作り、電子的に提出する。物理的に出社しなければできない工程は多くありません。この点で、他の専門職より条件は恵まれています。

受ける仕事を1つに絞る

最初の1件を取るために、まずやることは絞り込みです。何でもやりますという姿勢は、依頼者から見ると何もできない人と区別がつきません。

弁理士の知識で受けられる仕事を並べると、おおむね次のように分かれます。特許庁への手続の代理、先行技術調査、技術文献の翻訳、明細書のレビュー、知財に関する社内研修や資料作成、記事や解説の執筆。それぞれ求められる能力も、依頼者の層も、単価の構造も違います。

最初の1件を狙うなら、この中から1つを選びます。選ぶ基準は3つです。自分が勤務で最も多く手を動かしてきた領域であること。在宅で完結すること。納期が自分でコントロールできること。この3条件を満たすものが、最初の案件として最も成立しやすくなります。

多くの場合、この条件に合うのは調査か翻訳です。出願の代理は魅力的に見えますが、期限管理の責任が重く、勤務との両立で最初に選ぶには負荷が高い。まず調査や翻訳で取引の実績を作り、そこから広げていく順序のほうが現実的です。

なお、弁理士法は特許庁への手続の代理などを弁理士の業務として定めており、弁理士でない者が業として行うことを制限しています。一方で、資格があれば他の士業の独占業務まで行えるわけではありません。契約書の作成や紛争の代理は弁護士法や行政書士法との線引きが問題になる領域なので、引き受ける前に確認が要ります。関連する士業の業務範囲は行政書士の資格ガイドでも扱っています。

案件を探す場所は3つに分かれる

絞り込みが終わったら、次はどこで探すかです。弁理士の場合、経路は大きく3つに分かれます。

ひとつ目は、業務委託のマッチングサービスです。企業や特許事務所が外注する調査や翻訳の案件が出てきます。募集要項に必要な資格や分野が書かれているため、自分に合うかどうかを判断しやすい。仲介手数料の有無で手取りが変わるため、契約条件は最初に確認しておきます。

ふたつ目は、知人と元同僚からの紹介です。知財の世界は狭く、前職の同僚や研修で知り合った人が別の事務所や企業に移っていることが多い。ただし、紹介は相手の都合で発生するため、こちらから時期を選べません。紹介だけを当てにすると、いつまでも動き出せない状態が続きます。

みっつ目は、自分から発信して問い合わせを受ける形です。専門分野の解説を書き続けていると、その分野で困っている企業から連絡が来ることがあります。時間はかかりますが、来る依頼の質が高く、価格交渉も起きにくい。3つのうち最も再現性が低い一方で、続けた人の成果は大きくなります。

現実的なのは、1つ目で最初の実績を作りながら3つ目を並行して進める形です。2つ目は自分でコントロールできないため、期待値に入れないほうが計画は立てやすくなります。

プロフィールに書く3項目

依頼者が最初に見るのはプロフィールです。ここで判断できなければ、提案文は読まれません。書くべき項目は3つに集約されます。

ひとつ目は、技術分野です。機械、電気電子、情報通信、化学、バイオ、意匠、商標。自分がどの分野の案件を扱ってきたかを明示します。「幅広い分野に対応」と書くと、依頼者は自分の案件が該当するか判断できません。分野を絞ったほうが、該当する依頼者からの反応は増えます。

ふたつ目は、対応言語です。日本語のみか、英語の読み書きができるか、明細書の英日翻訳ができるか、外国出願の書類を扱えるか。知財の実務では英語の需要が高く、ここが書かれているだけで問い合わせの質が変わります。

みっつ目は、扱える案件の規模と形式です。1件あたり何時間程度の作業まで受けられるか、報告書の形式は指定に合わせられるか、週にどれくらい稼働できるか。勤務を続けながら受ける場合、稼働可能な時間を先に示しておくと、依頼者側も無理な打診をしなくなります。

この3項目が書かれていれば、依頼者は「この人に何を頼めるか」を判断できます。逆に、資格と経験年数だけが並んでいるプロフィールは、判断材料としてはほとんど機能しません。

提案文の組み立て方

提案文は、長さではなく構造で決まります。読む側は複数の提案を並べて比較しているため、必要な情報が同じ順序で出てくることが重要です。

冒頭で案件を理解していることを示す

最初の2文で、依頼内容を自分の言葉で要約します。「本件は、貴社が出願を検討している技術について、公開特許公報を対象とした先行技術調査を行うものと理解しました」といった書き方です。テンプレートを貼り付けただけの提案は、この1文がないためすぐに分かります。

できることとできないことを書く

範囲を明示します。「調査対象は日本の公開特許公報と登録実用新案とし、外国文献は対象外とします」のように、含まれるものと含まれないものを両方書く。できないことを書くと不利になると思われがちですが、実際は逆です。範囲が明確な提案のほうが、依頼者は判断しやすくなります。

工程と納期を数字で示す

どの作業に何日かかるかを分解します。「検索式の設計に1日、スクリーニングに2日、報告書の作成に1日、合計4営業日」という形です。納期だけを書くより、工程が見えるほうが信頼されます。勤務がある場合は、稼働できる曜日も添えておきます。

価格の根拠を添える

金額だけを書くと、高いか安いかの判断しかされません。作業時間と単価の掛け算で示すと、比較の土俵が変わります。相場感をつかむには、職種別の水準を見ておくと役立ちます。技術文書を扱う仕事の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場、文章を商品にする仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。専門知識を要する調査や翻訳は、一般的な文書作成より高い水準で取引されるのが通常です。

実績がない状態で実績を作る

外部案件の実績がゼロの状態でも、示せるものはあります。実績とは受注履歴のことだと考えると手が止まりますが、依頼者が知りたいのは「この人は品質の高い成果物を出せるか」の一点です。

最も効果があるのは、サンプルを作ることです。公開されている特許公報を題材に、自分で調査報告書を1本作る。あるいは、公開されている英文明細書の一部を翻訳して、訳文のサンプルとして示す。守秘義務に触れない公開情報だけで完結するため、勤務先との関係でも問題が起きません。

次に有効なのが、書くことです。知財に関する解説を継続的に発信していると、それ自体が専門性の証明になります。文章で説明できる人は、報告書も読みやすいだろうと推測されます。発信の場は自分のブログでも、専門メディアへの寄稿でも構いません。書く仕事そのものを受注につなげる人もいます。

勤務で手がけた案件については、案件名や出願人を出せない代わりに、分野と業務種別だけを集計して示す方法があります。「電気電子分野の中間処理を年間40件程度」といった粒度なら、守秘義務に触れずに経験の厚みを伝えられます。

未経験の領域から実績を積み上げる考え方は、分野を問わず共通します。フリーランス 英語 案件 未経験 始め方!2026年最新の海外副業術では英語案件を例に、実績ゼロからの入り方を整理しています。手順そのものを確認したい場合は副業 始め方ガイド!星野ゆいが教える失敗しない4ステップとおすすめが全体像の把握に使えます。

断られる提案文に共通するもの

依頼者側の話を聞いていると、落とされる提案には共通点があります。

ひとつは、資格の説明が長いことです。弁理士という資格が何をする資格かは、依頼者のほうがよく知っています。資格の説明に紙幅を割くほど、肝心の「この案件で何をするか」が薄くなります。

ふたつめは、価格の記載がないことです。詳細はご相談の上、と書かれた提案は後回しにされます。範囲を限定したうえで金額を出す。範囲が変われば金額も変わると添えておけば、それで足ります。

みっつめは、納期が曖昧なことです。可能な限り早く、という表現は何も約束していません。日数で書けないなら、いつ着手できるかだけでも書きます。

よっつめは、質問が多すぎることです。確認事項を10個並べた提案は、依頼者に作業を発生させます。本当に金額が変わる質問だけに絞り、それ以外は前提を置いて進めます。前提を書いておけば、違う場合は相手が訂正してくれます。

勤務先との関係を先に整理しておく

案件を探し始める前に、勤務先の規程を確認しておきます。後から発覚するより、先に線を引いておくほうが確実に楽です。

見るのは3か所です。副業が禁止か許可制か届出制か。競業避止の条項がどこまでを対象にしているか。秘密保持の範囲がどう定められているか。特許事務所に勤めている場合、個人での受任は事務所の売上と直接ぶつかるため、この確認を飛ばすと後で問題になります。

受けない案件の条件を先に決めておくことも効きます。勤務先の顧客とその関連会社、勤務先が扱っている技術分野の中核領域、納期が読めない案件。この3つを除外リストに入れておけば、依頼が来たときに毎回悩まずに済みます。

企業の知財部に勤めている場合は、事情が少し変わります。企業は代理人業務を売っていないため売上は競合しませんが、自社の出願分野に近い領域の仕事を受けると他社の情報に触れる可能性が出てきます。どちらの立場でも、勤務先が守りたいのは労働時間ではなく情報だと考えると、線の引き方が見えます。

最初の案件で必ず確認すること

初回の取引では、金額より条件のほうが後を左右します。確認しておきたいのは4点です。

作業範囲の確定です。何をどこまでやるのかを書面に残します。口頭で決めた範囲は、後から広がります。

修正対応の回数です。報告書や訳文には修正依頼がつきものです。何回までが料金に含まれるのかを最初に決めておかないと、無償対応が延々と続きます。

秘密保持の取り決めです。出願前の技術情報を扱う以上、避けて通れません。相手から契約書が提示される場合も、こちらから出す場合もあります。勤務先がある状態で受けるなら、情報の管理方法を説明できることが自分の防御になります。

支払条件です。支払サイト、振込手数料の負担、着手金の有無。初回で決めておけば、以降は同じ条件で進められます。

単価をどう決めるか

最初の案件で価格を下げすぎると、その金額が基準になります。値上げは値下げより何倍も難しいため、最初の設定は慎重に決めます。

考え方はシンプルです。自分の勤務時給を出し、そこに個人で受けることによる負担分を上乗せします。営業、契約、請求、税務。勤務なら会社が担っている工程を自分でやる以上、その分は価格に含める必要があります。

安く受けて実績を作るという発想は、専門職では機能しにくい。単価を理由に選ばれた依頼者は、次はもっと安いところに移ります。関係が続かない相手に時間を使うより、適正価格で1件を取るほうが結果的に早く軌道に乗ります。

作業量の読みにくい案件では、時間単価での契約も選択肢になります。調査は検索してみるまで工数が読めないため、上限時間を決めたうえで時間単価にすると、双方のリスクが下がります。

見積もりの精度を上げる

最初の数件で多くの人がつまずくのが、工数の読み違いです。見積もりの2倍の時間がかかり、実質的な時給が大きく下がる。これは能力の問題ではなく、勤務では見えていない工程が抜けているために起きます。

勤務であれば、案件の受付、資料の受け渡し、フォーマットの調整、請求処理は誰かがやってくれています。個人で受けると、この全部が自分の作業になります。実作業が4時間でも、周辺の工程で2時間かかることは珍しくありません。

対策は、記録を取ることです。案件ごとに、実作業の時間と周辺作業の時間を分けて記録します。3件も記録すれば、自分の周辺工程の比率が見えてきます。あとはその比率を見積もりに織り込むだけです。

もうひとつ、最初の案件では余裕を持った納期を提示します。前倒しで納品されて怒る依頼者はいません。逆に、1日遅れるだけで次の依頼が来なくなることはあります。勤務の繁忙期と重なる可能性も考慮に入れて、無理のない日程を出してください。

2件目につなげる動き方

最初の1件が終わったとき、そこで完結させるか次につなげるかで、その後がまったく変わります。

納品時にやっておくとよいのが、次に頼めることを1行添えることです。「今回は日本の公報を対象としましたが、外国文献まで広げる場合も対応できます」といった形です。売り込みではなく、範囲の説明として書くと自然になります。

もうひとつは、記録を残すことです。分野、業務種別、工数、単価。この4項目を案件ごとに記録しておくと、次の見積もりの精度が上がります。何件こなしても工数の見積もりが安定しない人は、この記録を取っていないことが多い。

20年この市場を運営してきた立場から見ていると、長く続いている人ほど、単発の作業を取ることより、依頼者との関係を作ることに時間を使っています。一度依頼した相手が期待どおりの品質で返してくれると分かれば、依頼者は次から相見積もりを取らなくなります。中間マージンが乗らない手数料0%の直接取引では、依頼者は同じ予算でより多く頼めるようになり、受け手の手取りは厚くなります。この構造が効いてくるのは、単価が高く繰り返し発注が生まれる仕事です。知財の実務はそのまま当てはまります。

最初の3か月をどう使うか

期間を区切ると動きやすくなります。最初の3か月をどう配分するかの目安を示します。

最初の1か月は、準備に充てます。受ける仕事を1つに絞り、プロフィールの3項目を書き、サンプルを1本作る。勤務先の規程を確認し、受けない案件の条件を決める。この段階で案件に応募しても、判断材料が揃っていないため通りません。

2か月目は、応募と発信を並行します。応募は数を打つより、合いそうな案件に丁寧な提案を出すほうが結果が出ます。週に2件から3件、内容を読み込んで書いた提案のほうが、10件のテンプレート提案より通ります。並行して、専門分野の解説を書き始めます。

3か月目に最初の1件が動き出せば、想定どおりです。ここで焦って条件の悪い案件を受けると、その単価と条件が自分の基準になってしまいます。決まらない場合は、応募数ではなくプロフィールと提案文の中身を見直します。返事が来ない原因は、ほぼ判断材料の不足にあります。

なお、専門職の場合、依頼者側が動くタイミングは相手の事情で決まります。出願の予定が立った、係争が起きた、社内で知財の整備が始まった。こうした事情がなければ依頼は発生しません。返事が来ないことを自分の評価だと受け取らないほうが、長く続けられます。

品質で選ばれるための仕上げ

成果物の中身が同じでも、仕上げの差で評価は変わります。専門職の場合、ここが継続発注の分かれ目になります。

報告書は、結論を先に書きます。調査であれば、該当文献の有無と最も近い文献を冒頭に置く。依頼者が読むのは結論の部分で、検索式や過程は根拠として後ろにあれば足ります。時系列で作業の順に書いた報告書は、読む側に負担をかけます。

訳文であれば、用語の統一を徹底します。同じ原語が別の訳語になっている箇所が1つでもあると、全体を疑われます。用語集を作って納品物に添える人もいます。手間はかかりますが、次から同じ依頼者の案件を任される確率が上がります。

納品の形式も指定に合わせます。ファイル名の付け方、拡張子、フォントの指定。細かい部分ですが、指定どおりに届くかどうかで、その後の依頼のしやすさが変わります。

資格を活かせる範囲は思ったより広い

弁理士の知識は、出願業務の外側でも使えます。

また弁理士資格や弁理士の特性を活かしてできる業務が多いので、弁理士が副業を始めやすいというのもあります。 出典: legal-job-board.com

近年増えているのが、AIに関する相談です。生成AIの学習データと権利の関係、出力物の取扱い、社内利用ルールの整備。法務だけでは判断が難しく、知財の素養がある人に回ってきます。この領域の広がりはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のガイドで扱う案件の傾向からも読み取れます。

キャリアそのものを扱う仕事もあります。専門職としての経験を、これから同じ道を進む人に伝える役割です。キャリア・副業・人生相談のお仕事のガイドでは、相談を受ける側の仕事について整理しています。

著作権に関わる分野では、音楽や映像の権利処理に知財の知識が求められる場面があります。作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような制作の現場でも、権利の扱いは常に論点になります。制作系のツールに触れておくと会話の幅が広がるため、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような資格に手を出す人もいますが、弁理士の場合は専門分野の実績が優先されます。

作業量の読み方という点では、単純作業系の案件の相場を知っておくのも無駄になりません。データ入力・文字起こしの副業は稼げる?在宅ワークの始め方と相場で扱っている単価水準と比べると、専門知識を要する仕事の価格がどこに位置するのかが見えてきます。自分の作業を安く売らないための基準として使えます。

案件の種類ごとに、最初の1件までの距離は違います。目安を並べます。

案件の種類 求められるもの 在宅との相性 最初の1件の取りやすさ
先行技術調査 検索式の設計力と分野知識 高い 取りやすい
技術文献の翻訳 語学力と技術理解 高い 取りやすい
明細書のレビュー 実務経験の厚み 高い 中程度
研修や資料の作成 説明する力 高い 中程度
出願の代理 期限管理と責任の引き受け 中程度 難しい
記事や解説の執筆 書く力と発信の継続 高い 時間がかかる

この表で見ると、最初に狙うべき領域が絞られます。取りやすさだけで選ぶのではなく、自分が続けたい方向と重なるものを選ぶことが、2件目以降の展開につながります。

動き出す前に完璧な準備を求めないことも大切です。プロフィールも提案文も、実際に応募してみないと何が足りないか分かりません。3件出して反応がなければ書き直す。この繰り返しのほうが、机上で考え続けるより早く形になります。

最初の1件は、資格ではなく段取りで決まります。受ける仕事を1つに絞り、プロフィールに3項目を書き、範囲と工程と価格を明示した提案を出す。この順序を守れば、返事の来る確率は確実に変わります。

よくある質問

Q. 実績がまったくない状態でも案件は取れますか?

公開されている特許公報を題材に調査報告書のサンプルを1本作る、公開されている英文明細書の一部を訳して訳文のサンプルとして示す、といった方法で品質を証明できます。守秘義務に触れない公開情報だけで完結するため、勤務先との関係でも問題が起きにくい方法です。

Q. 最初に狙うべき案件はどれですか?

勤務で最も多く手を動かしてきた領域で、在宅で完結し、納期を自分で管理できるもの。この3条件に合うのは多くの場合、先行技術調査か技術文献の翻訳です。出願の代理は期限管理の責任が重く、勤務との両立で最初に選ぶには負荷が高くなります。

Q. 提案文にはどれくらいの分量を書くべきですか?

分量より構造が重要です。案件の要約、対応範囲と対象外、工程と納期、価格の根拠。この4つが同じ順序で書かれていれば、比較する側は判断できます。資格の説明に紙幅を割くと、肝心の内容が薄くなります。

Q. 最初の案件は安く受けて実績を作るべきですか?

勧めません。最初の金額が以降の基準になり、値上げは値下げより何倍も難しくなります。単価を理由に選んだ依頼者は次はより安いところへ移るため、関係も続きません。適正価格で1件を取るほうが結果的に早く軌道に乗ります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月13日最終更新:2026年8月27日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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