公認心理師の最初の1件の取り方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
公認心理師の最初の1件の取り方

この記事のポイント

  • 公認心理師 副業 案件 取り方を
  • 応募先の順に整理しました
  • 臨床の経験はあるのに受注の実績がないという状態から

公認心理師 副業 案件 取り方という検索をする人の多くは、資格も臨床の経験も持っています。足りていないのは、業務委託で仕事を受けた実績だけです。この2つはまったく別のもので、混同すると必要以上に自信を失います。

結論を先に書きます。最初の1件を取るためにやることは、新しいスキルを身につけることではありません。すでに持っているものを、依頼者が判断できる形に並べ替える作業です。この作業に必要な時間は、実際にやってみると3時間ほどです。多くの人が、この3時間を使わないまま募集を眺めて終わっています。

この記事では、棚卸し、受ける型の選択、プロフィール、提案文、実績の作り方、応募先の順に、最初の1件までの手順を整理します。資格の取り方や試験の話は扱いません。すでに資格を持っている人が、それを仕事に換えるための話です。

「実績がない」の中身を分解する

まず、自分の状態を正確に把握します。ここを曖昧にしたまま動くと、提案文が弱くなります。

臨床の経験と受注の実績は別物

医療機関、教育機関、福祉施設、企業の相談窓口。どこかで働いてきたなら、そこには実務の蓄積があります。相談を受けた件数、扱ってきた領域、他職種との連携の経験。これらはすべて、依頼者にとって価値のある情報です。

一方で、業務委託として個人で仕事を受けたことがないという状態は、単に手続きを経験していないというだけです。契約書を読む、見積もりを出す、納期を守る、請求書を発行する。この4つを一度やれば、その部分の不足は解消します。

つまり、埋めるべき差は経験ではなく手順です。ここを理解しているかどうかで、提案文の書き方が変わります。

発注者が見ているのは3点だけ

募集を出す側が判断しているのは、次の3点です。頼んだ仕事を仕上げられるか、期限を守るか、やり取りが成立するか。専門性の高さは、この3つが満たされたうえでの加点材料です。

だから、最初の1件を取るときに強調すべきなのは、専門性そのものより、対応できる範囲と時間の明示です。「この領域の内容を、この分量で、この期日までに納品できます」と書ける人が選ばれます。

未経験から入る人と競合しない

心理分野の案件には、資格を持たない人も応募してきます。ただし、有資格者を条件に挙げている募集では、そもそも土俵が違います。

クラウドソーシングサイトの募集を見てみると「未経験者募集」「スキル・資格不問」などの初心者向けの案件があります。そこで実践経験を積んで実績を作っていくのも1つの手です。資格を取得するとなると、ある程度の時間を確保する必要があります。とりあえず始めてみたいとお考えの方はまずは未経験OKの案件を探してどんどんこなしていくのがおすすめです。しかし、依頼者とのトラブルにつながりかねないので最低限の知識は身に付けておきましょう。 出典: jpinstructor.org

これは資格を持たない人に向けた助言です。すでに資格を持っている人が同じ道をたどる必要はありません。資格不問の低単価案件から始めると、単価の基準がそこで固定されてしまいます。最初から、有資格者を条件にしている募集を狙ってください。

受ける仕事の型を1つに絞る

心理職が受けられる業務委託には、いくつかの型があります。最初は1つに絞ってください。理由は、絞ったほうが提案が具体的になるからです。

執筆と監修

記事を書く、あるいは書かれた記事を確認する仕事です。在宅で完結し、稼働の時間帯を自分で決められるため、本業を持ちながら受けやすい。

監修は執筆より短時間で終わりますが、名前を出す前提の依頼が多く、責任は重くなります。最初の1件としては、名前を出さない執筆から入るほうが心理的な負担が軽い場合があります。

講師と研修

企業や自治体で研修を担当する仕事です。時間あたりの報酬は高くなりやすい一方、日程が平日の日中に指定されることが多く、本業との調整が要ります。

初回は資料の作成に時間がかかるため、同じテーマを繰り返し受けられるかどうかで採算が決まります。

相談業務

オンラインで相談を受ける形です。臨床の経験がそのまま生きますが、稼働の時間帯が相手に左右されます。また、記録の管理や緊急時の対応方針を自分で決める必要があるため、準備の負担は他の型より重い。

教材や資料の制作

研修用のスライド、eラーニングの台本、社内向けのハンドブック。1件が大きく、継続案件になりやすい型です。

生成された文章の確認

AIが出力した心理関連の文章を確認する仕事も出ています。表現が断定的すぎないか、危険な状態にある読者への配慮が入っているかを見ます。単価は低めですが、1件あたりの時間が短く、隙間時間で処理できます。

どれを選ぶかの基準は、稼働できる時間帯です。平日の日中が空かないなら、執筆、教材制作、文章の確認から選びます。日程の調整がつくなら、講師や相談業務も候補になります。

棚卸しをして材料を並べる

型が決まったら、自分の材料を書き出します。この作業を飛ばして提案文を書こうとすると、手が止まります。

書き出す項目は次のとおりです。勤務してきた機関の種別、扱ってきた相談の領域、対象としてきた年齢層、連携してきた他職種、使ってきた検査や技法、担当したことのある研修や勉強会、書いたことのある文章の種類。

このうち、公開できるものと公開できないものを分けます。個別のケースの内容は当然書けません。ただし、「医療機関で成人の相談を担当していた」「学校現場で保護者対応を担当していた」といった業務の枠組みは書けます。ここを混同して、何も書けないと思い込んでいる人がいます。

そして、この材料の中から、選んだ型に関係するものだけを抜き出します。執筆を選んだなら、扱ってきた領域と書いたことのある文章の種類が中心になります。講師を選んだなら、研修や勉強会の経験が中心になります。

プロフィールの作り方

応募や提案の前に、プロフィールを用意します。1つ作れば使い回せます。

書く順番

冒頭に、資格の登録があることと、対応できる領域を書きます。次に、実務の背景を2行から3行。そして、提供できる工程と、稼働できる分量と時間帯。最後に、連絡の手段と返信の目安時間。

この順番が重要です。多くの人は経歴から書き始めますが、依頼者が最初に知りたいのは「何を頼めるか」です。経歴はその裏付けとして後から読まれます。

資格名の表示について

プロフィールに資格名を書く場面が来ます。公認心理師法には名称の使用に関する定めがあります(第44条)。登録を受けている状態であれば表示できますが、肩書の書き方や他の資格との併記の仕方については、条文と関連する通知を確認したうえで判断してください。

また、自分ができる業務の範囲を説明するときは、断定を避けてください。心理に関する支援がどこまで資格の裏付けで行えるかは、医師法をはじめとする他の法令との関係もあり、単純に線を引けるものではありません。「この資格があればここまでできます」と書き切るのではなく、対応してきた業務の実績として書くほうが安全です。

書いてはいけないこと

実務で知り得たケースの内容は書けません。公認心理師法は秘密保持義務を定めています(第41条)。実績を具体的に示したいという気持ちは分かりますが、匿名化しても属性を重ねると特定される可能性が残ります。

実績は、件数や領域といった枠組みの形で示してください。「成人の職域における相談を数年担当」という書き方で十分伝わります。

提案文に何を書くか

ここが最大の分かれ目です。同じ経歴でも、提案文の中身で結果が変わります。

応募理由から書き始めない

「貴社の理念に共感しました」「心理の知識を活かしたいと考えています」という書き出しは、読み飛ばされます。依頼者が読んでいるのは、自分の依頼が回るかどうかだけです。

書き出しは、依頼の内容への言及にしてください。「メンタルヘルスに関する記事とのことですが、想定読者は管理職の方でしょうか、一般の従業員の方でしょうか」という一文があるだけで、読んでいることが伝わります。

提供できる工程を明示する

執筆だけなのか、構成から作れるのか、監修も受けられるのか。ここを書いていない提案が非常に多い。

依頼者は工程ごとに人を探しています。「執筆と監修の両方に対応できます。構成の段階から関わることも可能です」と書いてあれば、いま募集していない工程でも記憶されます。

稼働の分量と時間帯を数字で書く

「月に3本まで対応可能です」「平日夜と土日に作業でき、返信は24時間以内に行います」という具体性が効きます。

本業がある人にとって、稼働できる量は限られています。それを隠して受けると、納期で問題が起きます。最初から書いておくほうが、結果的に信頼されます。

参考になるものを1つ添える

実績がなくても、添えられるものはあります。サンプルとして書いた記事、研修の企画書1枚、扱えるテーマの一覧。これがあると、依頼者は判断できます。

心理カウンセラーの分野では、実績が重視される傾向があると指摘されています。

心理カウンセラーの仕事は、実績が重視される仕事であるため、求人に積極的に応募しましょう。経験が浅いうちは、熱意や資格などでアピールする必要があります。また、副業の場合は、仕事を依頼する側と時間や働き方などの面でマッチすることも重要です。条件にうまくマッチすれば、普通は経験者でなければなかなか採用されないような求人であっても採用されるチャンスが得られます。 出典: jpinstructor.org

条件が合うかどうかが採否を分けるという指摘は、実務の感覚と一致します。だからこそ、稼働の条件を先に書くことに意味があります。

実績がない状態で見せるものを作る

提案に添える材料を、自分で作ります。半日あればできます。

執筆を選んだ場合

想定読者と目的を決めて、記事を1本書きます。分量は3,000字程度で十分です。テーマは、自分が扱ってきた領域から選びます。

書いたものは、公開しても、しなくても構いません。提案時にファイルで添える形でも成立します。重要なのは、書ける証拠が存在することです。

あわせて、構成案を1つ作っておくと強い。見出しの構成と、各見出しで扱う内容、参照する情報源を書いた1枚です。構成から関われる人だと伝わります。

講師を選んだ場合

研修の企画書を1枚作ります。テーマ、対象者、所要時間、目次、各パートの狙い、必要な機材。これだけです。

依頼者は、この1枚があると社内で検討できます。逆に、これがないと「研修ができます」という言葉だけになり、判断のしようがありません。

相談業務を選んだ場合

提供する枠組みを文書にします。1回あたりの時間、対応する領域、対応しない領域、緊急時の方針、記録の取り扱い。この5項目を書いた文書があると、依頼側は安心して任せられます。

本業の中で機会を作る

もっとも早いのは、いま勤めている場所で勉強会や研修の枠を1回もらうことです。社内向けなら報酬は発生しませんが、実施した事実と資料が残ります。参加者からの質問も記録しておいてください。どういう疑問が出るかを知っていること自体が、外部への説得材料になります。

応募先をどう探すか

材料が揃ったら、探し方です。3つの経路があります。

募集を見て応募する

マッチングサービスや求人サイトで、心理分野の執筆、監修、講師、相談の募集を探します。

フリーランスとして心理カウンセラーの仕事をしたいとお考えの方は、クラウドソーシングサイトをチェックするとよいでしょう。クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したい企業や団体と働きたい人とのマッチングサイトのことです。クラウドソーシングサイトには、副業での心理カウンセラーを含め業務委託の仕事がクラウドソーシング上で募集されていいます。 出典: jpinstructor.org

この経路は案件数が多い反面、手数料が差し引かれます。主要なサービスでは報酬から16.5%から20%程度が引かれるのが一般的で、年間の受注額が増えるほど差が大きくなります。最初の実績づくりには有効ですが、ここだけで続ける前提は持たないほうがよい。

在宅の業務委託案件から探す

職種別に案件が整理されているサイトを見ると、自分の材料がどの枠に当てはまるかが分かります。相談やキャリアに関わる仕事の全体像はキャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっており、心理職の知見がどう依頼されているかを確認できます。企業のメンタルヘルス関連の記事はマーケティング施策の一部として発注されることも多いため、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も併せて見ておくと、発注の背景が分かります。

納品物を渡す形の仕事がどういう契約になるかは、分野を越えて共通しています。作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような制作系の案件像を見ると、成果物と報酬の関係が整理しやすい。

報酬の水準を判断する材料としては、職種別の収入データが役立ちます。文章や情報を扱う職種の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認でき、提示された金額が相場からどれくらい離れているかを見る基準になります。技術系の在宅案件と比較したい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場も参考になります。

自分から提案する

いちばん条件が良くなる経路です。心理関連の記事を出しているメディア、企業の健康経営のページ、人材サービスのコラム、研修会社。ここに直接提案を送ります。

返信率は高くありません。20件送って数件返ってくれば良いほうです。ただし、返ってきたときの条件は募集経由より良くなります。手数料が差し引かれないぶん、同じ予算でも手元に残る金額が変わるためです。

受けてはいけない案件

最初の1件を焦ると、判断が甘くなります。次の条件に当たるものは断ってください。

資格を持たない人に資格があるかのような表示をさせる案件。効果を保証する表現を求める案件。個別の相談者に対する診断的な判断を求める案件。秘密保持の取り決めがない案件。報酬の金額や支払時期が書面に書かれていない案件。

とくに、記事や広告で効果を断定させようとする依頼は、後から問題になります。心理の分野では効果の出方に個人差があることが前提であり、それを消す方向の依頼は受けるべきではありません。

報酬の支払いについては、発注者と受注者の取引に関する法律上の定めがあります。支払期日を定めることや、支払を不当に遅らせないことが求められています。制度の内容は公正取引委員会が公開している情報で確認できます。

契約書の読み方に不安がある場合、書類を専門に扱う資格の業務範囲を知っておくと相談先の見当が付きます。行政書士のページで、契約や許認可の書類を扱う資格の中身が整理されています。

最初の単価をどう決めるか

値付けで止まる人が多いので、考え方を書きます。

相場の幅を先に把握する

心理分野の記事執筆では、文字単価で提示されることが一般的です。一般的なWebライティングの相場は1文字1円前後から始まり、専門性が求められる分野では1文字3円から5円程度の案件も見られます。監修は1本あたりの定額で提示されることが多く、5,000円から3万円程度の幅があります。

この幅の中で自分がどこに位置するかは、実績の量ではなく、提供できる工程で決まります。執筆だけなら下側、構成から関われるなら中間、監修まで受けられるなら上側です。

時間で計算し直す

提示された単価は、必ず自分の側で時間に換算してください。調べる時間、書く時間、修正の時間を合計し、1件あたりの実働時間を出します。

心理分野は調べる時間が長くなりがちです。文字単価が高くても、参照する文献が多い案件は時間あたりで見ると割に合わないことがあります。逆に、監修や構成のように短時間で終わる仕事は、表示上の金額が地味でも効率が良い。この計算を持っている人は、値段の交渉で根拠を示せます。実務としては、案件ごとに実働時間を記録しておくのが確実です。数件分たまると、自分がどの型の仕事で効率が出るかが数字で見えるようになります。

初回で下げてよい範囲

最初の1件では、相場より低い金額を受け入れる判断もあり得ます。ただし、下げてよいのは金額だけです。業務の範囲、修正の回数、納期の条件まで一緒に緩めると、実質的な時間単価が大きく下がります。

「初回は金額を抑えますが、修正は2回までとさせてください」という形で、条件のどこかを固定しておいてください。全部を譲ると、次の交渉も同じ前提から始まります。

見積もりの出し方

金額を聞かれたとき、その場で答えられるように準備しておきます。用意するのは3つの数字です。記事1本あたりの金額、監修1本あたりの金額、そして1時間あたりの金額。

依頼の形が想定と違っても、この3つがあれば換算できます。逆に、何も決めずに「ご予算に合わせます」と答えると、相手が提示した金額で固定されます。最初の1件でこれをやると、その金額が自分の基準になってしまいます。

見積もりを出すときは、業務の範囲を併記してください。何を含み、何を含まないか。修正は何回までか。この2点が書いてあるだけで、後の食い違いがほとんど消えます。金額だけを伝えると、含まれる作業の認識が相手と揃いません。

応募が通らないときに見直す4点

数件送って反応がないとき、直すべき箇所はだいたい決まっています。

第一に、提案文が長すぎないか。経歴を詳しく書くほど良いと考えて、画面数枚分を送っている人がいます。読まれるのは冒頭の数行です。依頼内容への言及、提供できる工程、稼働できる量。この3つが先頭に来ているかを確認してください。

第二に、添える材料があるか。文章だけの提案と、サンプルや企画書が付いた提案では、判断のしやすさが違います。材料がないなら、応募を止めて先に作るほうが早い。

第三に、応募先の選び方が合っているか。資格不問の案件に有資格者が応募すると、単価の高さがそのまま不利になります。有資格者を条件に挙げている募集に絞ってください。

第四に、稼働の条件を書いているか。本業がある人にとって、受けられる量と時間帯は限られます。それを書かないまま応募すると、依頼側は使いにくさを想像します。先に書いてあるほうが、条件の合う依頼につながります。 第五に、返信の速さです。募集を出した側は、応募が集まった順に読んでいきます。掲載から時間が経つほど、先に来た提案で決まっている確率が上がります。良い募集を見つけたその日に送れる状態を作っておくことが、材料を先に用意しておく最大の理由です。

最初の1件から2件目へつなぐ

1件目が終わったあとの動きで、2件目が決まります。

納品時に、次に扱うと有効だと思うテーマを1つ添えてください。「この記事の内容だと、次に◯◯を扱うと読者の疑問が続けて解消されると思います」という一文で十分です。依頼側は次の企画を考えているので、材料があれば採用されます。

また、初回の単価は控えめでも構いませんが、2件目で見直しを申し出るタイミングを決めておいてください。3件納品した時点、あるいは3か月経った時点。基準を先に決めておくと、切り出しやすくなります。

そして、初回の案件で使った資料や構成は必ず保存しておきます。2件目以降の提案材料になり、同じテーマなら準備の時間が大幅に減ります。

運営者として見てきたこと

在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言うと、最初の1件で止まる人と進む人の差は、能力ではなく準備の順番にあります。

止まる人は、募集を探すところから始めます。良い募集が見つかってから提案を考えるので、締切に間に合わず、間に合っても内容が薄くなる。進む人は、提案の材料を先に作っています。だから募集を見つけた日に応募できる。この差だけで、応募できる件数が数倍変わります。

もうひとつ気づくのは、長く続く人ほど単発の作業ではなく関係づくりに時間を使っているということです。1件納品して終わりではなく、次に何があると役立つかを提案する。そのやり取りが積み重なると、依頼側は他の人を探さなくなります。この状態に入ると、単価の交渉をしなくても条件が良くなっていきます。

そして手取りの話です。仲介の会社を経由する形では、依頼者が出した予算のうち受け手に届く金額は目減りします。手数料が乗らない直接の取引なら、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手元に残る金額は厚くなる。手数料0%という条件は、金額の大小の話に見えて、実際には同じ稼働時間でいくら残るかという質の違いです。本業を持ちながら限られた時間で受ける以上、この差は年単位で効いてきます。

資格を持っているという事実は、それ自体では案件になりません。案件になるのは、その資格の裏側にある判断力を、依頼者が理解できる形に並べ替えたときです。並べ替える作業は、誰かに頼めるものではありません。ただ、一度やってしまえば、その後は使い回せます。

よくある質問

Q. 資格はありますが業務委託の経験がありません。不利になりますか?

臨床の経験と受注の実績は別のものです。埋めるべき差は経験ではなく手順で、契約書を読む、見積もりを出す、納期を守る、請求書を発行するという4つを一度経験すれば解消します。提案文では専門性より、対応できる範囲と稼働できる時間を具体的に書いてください。

Q. 実績がない状態で、提案に何を添えればよいですか?

自分で作った材料で足ります。執筆なら3,000字程度のサンプル記事と構成案1枚、講師なら目次と所要時間を書いた企画書1枚、相談業務なら提供する枠組みを書いた文書。半日で作れて、依頼者が判断できる状態になります。

Q. 資格不問の低単価案件から始めたほうがよいですか?

すでに資格を持っているなら、その必要はありません。資格不問の案件から始めると単価の基準がそこで固定されます。最初から有資格者を条件にしている募集を狙ってください。実績づくりは、自分で作ったサンプルと本業内での勉強会で代替できます。

Q. プロフィールに実績をどう書けばよいですか?

公認心理師法は秘密保持義務を定めており(第41条)、実務で知り得たケースの内容は書けません。実績は件数や領域といった枠組みで示してください。「成人の職域における相談を数年担当」という書き方で十分伝わります。資格名の表示は名称の使用に関する定め(第44条)を確認したうえで判断してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月20日最終更新:2026年8月27日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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