レンタルスペースの運営を副業にする|物件の選び方と許可の確かめ方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
レンタルスペースの運営を副業にする|物件の選び方と許可の確かめ方

この記事のポイント

  • ✓レンタルスペース副業を始める前に確かめることを
  • ✓旅館業法や消防法の線引き
  • ✓よくある失敗例の順に整理しました

レンタルスペースの運営を副業として考えている方から、最近よくご相談をいただきます。ただ、相談の内容が「どれくらい稼げますか」であることはほとんどなくて、実際に多いのは「この物件で本当にやっていいのか分からない」というものです。これ、順番としては正しい心配です。レンタルスペース副業でいちばん大きな損失が出るのは、集客に失敗したときではなく、契約や法令の確認を飛ばして始めてしまったときだからです。この記事では、物件の選び方、貸主からの承諾の取り方、許可や届出が必要になる線引き、費用の目安、そして実際に多い失敗例を順に見ていきます。

レンタルスペース副業が選ばれる理由と、収支の構造

レンタルスペースというのは、会議、撮影、教室、パーティー、作業など、時間単位で場所を貸すサービスです。自分が所有または賃借している部屋を、予約サイトに掲載して時間貸しする形が一般的です。

副業として選ばれる理由は3つあります。第一に、在庫を持たないこと。仕入れも配送もなく、貸す対象は場所そのものです。第二に、無人で運営できる形を作りやすいこと。スマートロックと予約システムを組み合わせれば、現地に行かずに回せます。第三に、作業時間が読めること。本業のある人でも、清掃と問い合わせ対応の時間を決めて運用できます。

収支の構造は単純です。売上は「稼働時間×時間単価」で、そこから家賃、光熱費、清掃費、備品の補充、予約サイトの手数料、運営代行を使うならその費用が引かれます。つまり、稼働率が低い月は固定費の家賃が丸ごと赤字になります。ここが他の副業といちばん違うところです。物販なら売れなければ在庫が残るだけですが、レンタルスペースは動かなくても家賃が出ていきます。

そして、手数料の重さを見落とす方が本当に多いんです。

【よくある失敗例】 副業では手間を減らしたいものですが、著名な予約ポータルサイトは手数料が高く、運営代行も使うと売り上げの約40%が差し引かれます。その結果、利益が圧迫され黒字化できない恐れがあります。 出典: itscom.co.jp

つまり、家賃を払える稼働率だけを計算していると足りません。手数料を引いた後の金額で家賃と経費が回るかを見る必要があります。始める前の計算では、売上の30〜40%が手数料と代行費で消える前提を置いて、それでも成り立つ物件かどうかを判断してください。

物件の選び方、先に確かめる5つの項目

物件選びは、レンタルスペース副業の成否の大半を決めます。おすすめの探し方という話の前に、確認項目を並べます。

1. 契約の種類と用途の記載

賃貸借契約書の「使用目的」の欄を見てください。「居住用」と書かれている部屋を事業に使うと、契約違反になります。事業用として貸してもらえるか、または「レンタルスペースとしての使用を認める」旨を特約に入れてもらえるかが、最初の分岐点です。

2. 駅からの距離と、人が集まる用途があるか

会議や撮影で使われる部屋は、駅から徒歩5〜7分あたりが境目になります。それを超えると、同じ時間単価では埋まりにくくなります。逆に、撮影や音楽練習のように「静かで人目につかない」ことが価値になる用途なら、駅から離れていても成り立ちます。どの用途を狙うかを決めてから、立地を判断してください。

3. 建物の用途地域

都市計画法にもとづく用途地域によって、その土地に建てられる建物と使える用途が決まっています。第一種低層住居専用地域のように、住居を守るために用途が厳しく制限されている地域では、人が集まる形での利用が難しい場合があります。物件の所在地の用途地域は、自治体の都市計画課の窓口や公開されている都市計画図で確認できます。

※この判断は建物の状況によって変わります。迷ったら、内見の段階で自治体の建築指導担当に物件の住所を伝えて確認してください。契約してからでは引き返せません。

4. 近隣との距離と、音が抜ける方向

トラブルの通報でいちばん多いのは騒音です。隣室が住居か事務所か、上下階に誰が住んでいるか、共用部を通る人の動線はどうか。これらは内見で必ず見てください。パーティー用途を考えている場合は、深夜の使用を最初から禁止する設計にしたほうが、後の解約リスクを下げられます。

5. 通信環境

会議や配信の用途では、回線の速さと安定が決定的です。建物に光回線が引き込まれているか、既存の設備が使えるかを契約前に確認してください。住環境での回線の選び方は在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方に上り下りの見方や集合住宅での注意点がまとまっているので、ホームルーターで足りるのか光回線が必要なのかの判断材料になります。

借りている部屋を貸すときに、必ず要る承諾

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。賃借している物件をレンタルスペースとして他人に使わせる行為は、法律上「転貸」にあたる可能性があります。

民法第612条は、賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡したり賃借物を転貸したりできないと定めています。そして、承諾を得ずに第三者に使用させたときは、賃貸人は契約を解除できるとされています。つまり、貸主に黙ってレンタルスペースを始めると、契約解除を求められる立場になります。

これ、知らない人が本当に多いんです。「自分が借りている部屋なのだから、どう使っても自由だろう」と考えてしまう。でも契約書には使用目的が書かれていて、そこから外れる使い方は債務不履行になり得ます。

実務でよく見るのは、こういう順番のこじれです。まず、貸主に確認せずに予約サイトへ掲載する。次に、利用者が出す音や共用部の出入りで近隣から管理会社へ連絡が入る。そして管理会社が現地を確認して、無断転貸として是正を求めてくる。このとき、すでに敷金と内装費と備品代を投じているので、損失が大きくなります。

回避方法は1つだけです。契約前に、貸主または管理会社へ書面で確認を取ること。口頭の「大丈夫だと思います」は根拠になりません。承諾書の形でもらう、または賃貸借契約の特約条項に「時間貸しの利用を認める」旨を入れてもらう。この一手間が、後の全部を守ります。

分譲マンションの一室を購入して運営する場合も、油断できません。区分所有建物の管理規約には「専有部分は専ら住宅として使用する」といった条項が置かれていることが多く、これに反する使い方は管理組合から使用差止めを求められる余地があります。購入前に管理規約と使用細則を取り寄せて、該当条項を読んでください。

※規約の解釈が微妙なケースは、管理組合に照会した記録を残しておくと後で強い材料になります。争いになりそうな段階では、弁護士にご相談ください。

許可と届出の線引きを確かめる

「レンタルスペースは許可がいらない」という説明を見かけますが、正確ではありません。何も要らないケースもありますし、許可が必要になるケースもあります。境目は、そこで何をさせるかです。

宿泊させると旅館業になる

利用者を泊まらせる形にすると、旅館業法の許可が必要になります。深夜から翌朝まで滞在させる、寝具を置く、シャワーを備えるといった要素が重なると、実質的に宿泊の提供と判断される可能性が高まります。レンタルスペースとして運営するなら、営業時間の上限を設けて宿泊させない設計にするのが基本です。

住宅を使って宿泊事業を行う場合は、住宅宿泊事業法にもとづく届出の道もありますが、こちらは1年間に人を宿泊させる日数が180日までという上限があります。つまり、宿泊をやるなら別の事業として設計し直すことになります。

飲食を提供するなら食品衛生法

キッチン付きのスペースを貸す場合、利用者が自分で調理して自分で食べる形なのか、運営者が料理を提供する形なのかで扱いが変わります。運営者が調理して提供するなら、食品衛生法上の営業許可が必要です。設備の基準も定められているので、キッチンを売りにするなら、保健所に図面を持って事前相談に行くのがいちばん早いです。

消防法と用途変更

収容する人数や建物の用途によって、消防設備の設置や防火管理者の選任が必要になる場合があります。また建築基準法では、建物の用途を変更するときに、一定の規模を超えると確認申請が必要です。現行では床面積の合計が200平方メートルを超える用途変更が対象とされています。小規模な部屋を1室貸す形なら該当しないことが多いのですが、フロア単位で使うなら確認が必要になります。

※所轄の消防署は、事前相談に行けば図面を見て教えてくれます。無料で確かめられるものを省略する理由はありません。

音楽や上映を伴うとき

カラオケ機器を置く、映画の上映会に使わせる、BGMを流すといった利用には、著作権の処理が関わります。利用者が持ち込んで行う場合と運営者が設備として提供する場合で立場が変わるので、設備として置くなら権利管理団体の手続きを確認してください。

用途ごとの向き不向きと、時間単価の決め方

どの用途で貸すかを決めると、必要な設備も時間単価も自動的に決まります。代表的な用途を、副業としての扱いやすさで並べてみます。

会議や打ち合わせの用途は、平日の昼が動きます。必要なのは机と椅子とモニターと安定した回線で、内装に凝る必要がありません。単価は抑えめになりますが、備品の破損が少なく、清掃も軽い。本業がある人にはいちばん扱いやすい部類です。

撮影の用途は、時間単価を高く設定できます。白い壁、大きな窓、天井の高さといった条件が価値になり、駅から離れていても成り立ちます。ただし、機材の持ち込みで壁や床に傷が付きやすく、原状回復の取り決めを細かく書く必要があります。

教室や講座の用途は、リピートが読めるのが利点です。同じ曜日の同じ時間に定期で入るので、稼働の予測が立ちます。反面、机と椅子の数を揃える初期費用がかかり、受講者の出入りで共用部の使い方が問題になりやすい。

少人数のパーティーやイベントの用途は、土日の夜に集中し、単価も上がります。ただし騒音とゴミのトラブルが最も起きやすい用途で、近隣からの通報につながる可能性が高い。集合住宅では避けたほうが無難です。

時間単価は、周辺の同じ用途のスペースを予約サイトで10件ほど並べて、真ん中あたりから始めるのが現実的です。最初から高くして埋まらないより、埋めて評価を積んでから上げるほうが早い。評価が付いていない段階の値上げは、ほぼ通りません。

単価を上げる方法は、値段を書き換えることではなく、提供する内容を増やすことです。モニターとスピーカーを置く、撮影用の照明を常設する、更衣できる仕切りを作る。用途に必要なものを1つ足すごとに、比較されたときに選ばれる理由が増えます。

開業までのステップと、費用の目安

ここまで確認できたら、手順に落とします。方法としては次の流れになります。

1つ目のステップは、狙う用途を1つ決めることです。会議、撮影、教室、少人数のパーティーのどれで埋めるかを決めると、必要な広さと設備が決まります。全部に対応しようとすると、備品が増えて費用が膨らみます。

2つ目は、物件の内見と、前節までの確認です。貸主の承諾、用途地域、消防、近隣。ここで1件でも詰まったら、その物件は見送ってください。

3つ目は、初期費用の見積もりです。目安として、敷金と礼金と仲介手数料で家賃の4〜6か月分、内装と家具で15万円から60万円程度、スマートロックと防犯カメラで3万円から8万円程度を置いて計算すると、実態に近くなります。もちろん広さと用途で大きく動きます。

4つ目は、予約と決済の仕組みを整えることです。複数の予約サイトに掲載する方法と、自分のサイトで直接予約を受ける方法があります。サイト経由は集客力がありますが手数料が乗ります。直接予約は手数料を抑えられますが、集客の手間が自分に来ます。両方を併用して、リピーターは直接予約へ案内する形が現実的です。

5つ目は、利用規約と料金表を書くことです。ここは手を抜かないでください。禁止事項、キャンセル料の発生時期、原状回復の範囲、延長料金、破損したときの負担。これらを先に書いておけば、揉めたときに読み合わせるだけで済みます。文書の型を学ぶ入口としてはビジネス文書検定の出題範囲が実務に近く、利用規約や請求の書面を自分で整えるときの基礎になります。

6つ目は、掲載用の写真と説明文です。写真は明るい時間に、部屋の全体が入る画角で撮ります。説明文には、駅からの経路、入館の方法、使える設備、禁止事項を具体的に書きます。ここが曖昧だと、着いてから「思っていたのと違う」という連絡が来ます。

よくある失敗例と、成功している運営の違い

相談を受けていて、失敗の型はかなり共通しています。

第一に、稼働率の見積もりが甘いこと。平日の昼は埋まりにくく、土日の午後に集中します。月の稼働を平均で置かず、曜日と時間帯ごとに分けて計算してください。

第二に、手数料と代行費を差し引く前の売上で判断してしまうこと。先に引用した通り、予約サイトの手数料と運営代行を重ねると、手元に残る割合はかなり下がります。

第三に、近隣対応を後回しにすること。1件のクレームで使用が止まることがあります。運営を始める前に、両隣と上下階へ挨拶をして連絡先を渡しておくだけで、いきなり管理会社に連絡が行く事態を減らせます。

第四に、規約が薄いこと。「原状回復してください」だけでは、どこまでやれば原状回復なのかが決まりません。ゴミの持ち帰り、家具の位置、使った備品の扱いを個別に書きます。

第五に、時間を取られすぎること。清掃を自分でやる前提にすると、土日が全部埋まります。副業として続けるなら、清掃の外注費を最初から固定費に入れて計算するほうが健全です。

反対に、続いている運営に共通するのは地味な点です。予約の返信が速い、写真と実物が一致している、利用後の連絡が丁寧。つまり、特別な工夫ではなく、約束を守ることの積み上げです。成功という言葉で語られるものの中身は、だいたいここにあります。

集客と運営の実務、そして無人化

集客は、予約サイトの掲載内容の精度で大きく変わります。用途の書き方を「多目的スペース」で止めず、「4人までの会議」「物撮り」「ヨガ教室」のように利用の場面で書くと、探している人に届きます。

運営の無人化は、3つの道具で成立します。スマートロックで入退室、予約システムで日程と決済、防犯カメラは共用部の入口だけに設置。室内にカメラを置くのはプライバシーの問題があるので避けてください。※撮影用途で貸す場合は特に慎重に。

集客の運用そのものを学びたい方は、広告や解析を扱う業務の中身を見ておくと役に立ちます。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、集客や運用の仕事でどんな作業が発注されているかがまとまっているので、自分で回す部分と外に頼む部分の切り分けに使えます。

トラブル対応は、起きる前に手順を決めておくのが基本です。忘れ物、時間の超過、設備の破損、騒音の通報。この4つについて、連絡の順番と請求の根拠条項を紙にしておきます。決めてあれば、その場で慌てません。法律はあなたの味方ですが、味方に働いてもらうには、根拠となる文書を先に用意しておく必要があります。

予約サイトと直接予約の使い分け

手数料の重さを踏まえると、掲載の戦略は自然に決まります。新規の利用者は予約サイトから来てもらい、二度目以降は自分の窓口に移ってもらう形です。

予約サイトの強みは、探している人がすでに集まっていることです。自分で広告を出さなくても、用途と地域で検索した人に見てもらえます。立ち上がりの数か月は、ここに頼るのが合理的です。掲載は1社に絞らず、複数に出したほうが埋まります。ただし、予約が重複しないようにカレンダーの同期は必ず設定してください。手作業で管理すると、二重予約の事故が起きます。

直接予約の強みは、手数料が乗らないことです。同じ時間を同じ単価で貸しても、手元に残る額が変わります。作り方は難しくありません。自分のページに料金表と空き状況と問い合わせ先を置き、利用後のお礼の連絡に案内を添えるだけです。値段を下げて誘導する必要はなく、「次回からは直接でも承ります」と伝えるだけで移ってくれる方がいます。

※予約サイトの規約で、利用者を自社の窓口へ誘導する行為が制限されている場合があります。規約を読んでから判断してください。禁止されている場合は、サイト経由での継続利用に感謝を示す運用に切り替えます。

数字の管理も分けておきます。サイト経由と直接予約で、それぞれの稼働時間と手取り額を月ごとに記録する。この2本を並べて見ていると、どの用途のどの時間帯が自分のスペースの主力なのかが、半年ほどで見えてきます。

保険と、万一が起きたときの備え

見落とされやすいのが、事故が起きたときの備えです。利用者が室内で転んで怪我をした、設備の故障で利用者の機材が壊れた、水漏れで階下に損害が出た。こうした場合、運営者が責任を問われる可能性があります。

備え方は2段構えです。1つは保険です。施設の管理に起因する事故を対象とする賠償責任保険があり、貸す施設の規模に応じた商品が扱われています。加入の前に、レンタルスペースとしての時間貸しが補償の対象に含まれるかを、必ず約款の文言で確認してください。用途が違うと支払われないことがあります。

もう1つは、利用規約での線引きです。利用者の持ち込み物の管理は利用者の責任であること、室内での行為から生じた第三者への損害は利用者が負うこと、運営者の責任の範囲がどこまでかを、あらかじめ書いておきます。※ただし、消費者に一方的に不利な条項は無効と判断される可能性があります。書き方に不安があれば、専門家に見てもらってください。

火災の備えも忘れないでください。火を使う用途を認めるなら、消火器の設置場所を明示し、使用可能な機器を限定します。禁止するなら、規約に「調理器具の持ち込み禁止」と明記して、室内にも掲示します。書いただけで貼っていないと、争いになったときに弱くなります。

撤退の判断と、やめるときの手順

始め方を書いた記事は多いのですが、やめ方を書いたものはほとんど見かけません。でも副業としては、こちらを先に決めておくべきです。

判断の基準は、期間と数字の2つで置きます。期間は、開業から6か月。立ち上がりに時間がかかる事業なので、3か月では判断材料が足りません。数字は、手数料と経費を引いた後の月の収支です。6か月目の時点で、直近3か月のうち2か月が赤字なら、値段か用途か立地のどれかが合っていません。

まずやることは、値段と説明文の見直しです。次に、用途を1つ足す、または絞る。それでも動かないなら、物件そのものが合っていない可能性が高いので、契約の更新時期を見て撤退を検討します。

撤退の手順は、逆から考えると楽です。賃貸借契約の解約予告期間は何か月前か、原状回復の範囲はどこまでか、造作したものを撤去する費用はいくらか。これを契約の段階で見積もっておくと、やめる決断の重さが下がります。つまり、始めるときに出口の費用を計算しておけば、続けるか否かを数字で判断できるようになります。

備品の処理も先に考えておきます。転売できるもの、譲れるもの、処分費がかかるもの。机や椅子は買い手が付きやすいのですが、造作した棚やパーテーションは処分費が出ます。凝った内装を入れるほど、撤退の費用が増えるという関係になります。

税の扱いと、副業としての時間の配分

税金の話も避けられません。給与を1か所から受けている会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。所得は売上ではなく、売上から必要経費を引いた残りです。家賃、光熱費、清掃費、備品、手数料は経費に入る余地があります。

ここで1つ注意があります。レンタルスペースの収入が税務上どの区分になるかは、運営の形態によって変わります。単に場所を貸すだけなのか、設備や役務の提供を伴うのかで判断が分かれるところなので、規模が大きくなる前に税務署か税理士に確認してください。判断を後回しにして数年分をまとめて直すのは、手間も負担も大きくなります。制度の要件は国税庁のサイトで確認できます。

副業としての時間配分についても触れておきます。レンタルスペースは無人化できる副業ですが、完全に手が離れることはありません。問い合わせの返信、清掃の手配、備品の補充、月次の数字の確認。この作業を本業の合間にどう挟むかを決めておかないと、休日が全部運営に吸われます。作業の区切り方については在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに在宅特有の中断要因への対処がまとまっているので、まとまった時間を確保する設計に応用できます。

もう1つの考え方として、レンタルスペースだけに寄せない選択もあります。家賃という固定費を抱える副業は、収入が止まっても支出が止まりません。これに対して、スキルを売る受託の仕事は固定費が発生しません。性質の違う2本を並べると、片方が落ちた月を吸収できます。在宅で仕事を取るときに効く資格を整理した在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるは、固定費のない副業の柱を探す段階で見ておくと参考になります。

最後に、在宅ワークの市場を長く運営してきた立場からの観察を書きます。20年この市場を見てきて感じるのは、長く続く人ほど、単発の取引を数多くこなすことではなく「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っているという点です。レンタルスペースでもまったく同じで、月に何度も使ってくれる利用者が数組いるだけで、稼働の読みが立ちます。新規を追うより、戻ってきてくれる人を大事にするほうが、結果として売上が安定します。

そして手取りの話です。同じ予算が動いても、間に何社入るかで受け手に残る額は変わります。予約サイトの手数料で手取りが削られる感覚を知っている方なら、これはすぐ分かるはずです。中間のマージンが乗らない直接の取引は、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側は手数料0%で手取りが厚くなります。運営者として見てきた限り、この差は1件では小さくても、年単位では働き方の選択肢そのものを変えます。レンタルスペースの直接予約を育てるのも、受託の仕事を直接取るのも、発想は同じところにあります。

よくある質問

Q. 賃貸物件をレンタルスペースにするとき、貸主の許可は必要ですか?

必要です。民法第612条により、賃借人は賃貸人の承諾なしに賃借物を転貸できず、無断で第三者に使用させた場合は契約を解除される可能性があります。契約前に貸主または管理会社から書面で承諾をもらう、または賃貸借契約の特約に時間貸しの利用を認める条項を入れてもらってください。口頭の了解は根拠になりません。

Q. レンタルスペースの運営に許可や届出は必要ですか?

そこで何をさせるかで変わります。宿泊させると旅館業法の許可が必要になり、運営者が調理して飲食を提供するなら食品衛生法の営業許可が必要です。収容人数や建物の用途によっては消防設備や防火管理者の選任、床面積200平方メートルを超える用途変更なら建築基準法の確認申請も関わります。所轄の消防署と保健所への事前相談が確実です。

Q. 初期費用はどのくらい見ておけばよいですか?

物件の広さと用途で大きく変わりますが、敷金と礼金と仲介手数料で家賃の4か月から6か月分、内装と家具で15万円から60万円程度、スマートロックと防犯カメラで3万円から8万円程度を目安に置くと実態に近くなります。加えて、稼働が立ち上がるまでの家賃を数か月分用意しておくと運営が安定します。

Q. 副業としてどのくらい手間がかかりますか?

スマートロックと予約システムで入退室と決済は無人化できますが、問い合わせの返信、清掃の手配、備品の補充、月次の数字の確認は残ります。清掃を自分でやる前提にすると休日が埋まるので、外注費を最初から固定費に入れて計算するほうが、本業と両立しやすくなります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月2日最終更新:2026年9月20日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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