時短勤務の正式名称と法律上の位置づけ、育児と介護で申し出られる条件 2026


この記事のポイント
- ✓育児・介護休業法では「育児のための所定労働時間の短縮措置」
- ✓介護では「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」です
- ✓厚生労働省は短時間勤務制度とも呼びます
会社に時短勤務の申出書を出そうとしたとき、あるいは履歴書や社内の書類に書こうとしたとき、「時短勤務」という言葉で正しいのか迷うことがあります。時短勤務は通称で、法律にはそのままの言葉では出てきません。
結論から書くと、時短勤務の正式な名前は、育児・介護休業法では「育児のための所定労働時間の短縮措置」です。介護のためのものは「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」と呼ばれます。厚生労働省の案内では、育児のものを「短時間勤務制度」とも呼んでいます。会社の就業規則では「育児短時間勤務」「短時間勤務制度」といった名前で書かれていることが多いです。
これ、知らない人が本当に多いんです。正式名称を知っておくと、就業規則のどこを読めばよいか、会社や労働局にどう伝えればよいかがはっきりします。この記事では、時短勤務の正式名称と法律上の位置づけ、育児と介護それぞれで申し出られる条件、公務員の場合の違い、申出書に書く名前までを順に説明します。
時短勤務の正式名称は何か
時短勤務を指す言葉は、使われる場面によっていくつかあります。まず全体を表で整理します。
| 場面 | 呼び方 | 中身 |
|---|---|---|
| 育児・介護休業法(育児) | 育児のための所定労働時間の短縮措置 | 3歳未満の子を育てる人の時短 |
| 育児・介護休業法(介護) | 介護のための所定労働時間の短縮等の措置 | 要介護状態の家族を介護する人の時短など |
| 厚生労働省の案内 | 短時間勤務制度、短時間勤務等の措置 | 上の育児の措置をわかりやすく言い換えたもの |
| 会社の就業規則 | 育児短時間勤務、介護短時間勤務、短時間勤務制度など | 会社ごとに名前をつけたもの |
| 雇用保険の給付 | 育児時短就業(育児時短就業給付金) | 2歳未満の子を育てるための時短で賃金が下がった人への給付 |
| 国家公務員・地方公務員 | 育児短時間勤務 | 公務員向けの別の法律による制度 |
一般の会社員にとっての「正式名称」は、法律の言葉である「育児のための所定労働時間の短縮措置」です。所定労働時間とは、就業規則や雇用契約で決められた、働く予定の時間のことです。つまり「働く予定の時間を短くする措置」というのが、時短勤務の法律上の意味になります。
ただし、日常の会話や社内のやり取りで、この長い名前を使う必要はありません。「短時間勤務制度」と言えば、厚生労働省の案内とも就業規則とも通じます。書類や相談の場面で正確に伝えたいときに、正式名称を添える、という使い方がよいでしょう。
法律のどこに書かれているか
育児のための時短勤務は、育児・介護休業法の第23条第1項に書かれています。条文は次のとおりです。
事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十三条の三第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。 出典: e-Gov法令検索(育児・介護休業法 第23条)
長い条文ですが、言い換えると「会社は、3歳未満の子どもを育てていて育児休業をしていない労働者のために、本人の申し出によって働く時間を短くし、仕事と子育てを両立しやすくする措置を設けなければならない」という意味です。条文の最後のかっこ書きで、この措置を「育児のための所定労働時間の短縮措置」と呼ぶと定めています。これが正式名称の出どころです。
この措置の中身は、厚生労働省令である育児・介護休業法施行規則の第73条で決められています。そこでは、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものにしなければならない、とされています。時短勤務といえば6時間、と言われるのはこのためです。厚生労働省の通達では、「原則として6時間」とは1日5時間45分から6時間までを認める趣旨だと説明されています。
介護のための時短は、同じ第23条の第3項です。こちらは「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」と呼ばれ、「等」が入っているのがポイントです。時短だけでなく、フレックスタイム制や時差出勤、介護サービスの費用の助成なども含む、という意味になっています。
法律上の位置づけは「会社の義務」
時短勤務を法律の上でどう位置づけるかは、正式名称の「措置」という言葉に表れています。条文の書き方は「事業主は、(中略)措置を講じなければならない」です。つまり、主語は会社で、会社に制度を設ける義務を課す形になっています。
この点で、時短勤務は子の看護等休暇とは書き方が違います。子の看護等休暇は「労働者は、(中略)休暇を取得することができる」と、労働者を主語にして権利を直接定めています。時短勤務は、会社に措置を設けさせ、その措置を労働者が使う、という二段階の形です。
厚生労働省の通達(法律の運用の仕方を示した行政の文書)は、この違いを次のように説明しています。
本項に関する労働者の権利は、事業主が育児のための所定労働時間の短縮措置を講じ、当該措置が労働契約の内容となってはじめて発生するものであり、本項から直接発生するものでないこと。 出典: 厚生労働省(育児・介護休業法の施行について 令和7年10月1日)
少し分かりにくいので、具体的に言い換えます。会社が就業規則に時短勤務の制度を設けていれば、労働者はそれに従って時短勤務を申し出られます。会社が制度を設けていない場合、労働者が法律の条文だけを根拠に「明日から6時間で帰ります」と一方的に決めることはできません。
では、制度を設けていない会社では時短勤務をあきらめるしかないのかというと、そうではありません。会社には措置を設ける義務があるので、制度がないこと自体が法律違反の状態です。労働者は会社に制度を設けるよう求められますし、都道府県労働局は会社に助言、指導、勧告をすることができます。勧告に従わない会社は、名前を公表されることもあります。実際には、会社が制度を知らなかっただけで、指摘を受ければすぐに整えるケースがほとんどです。
正式名称を知っておくと役立つ5つの場面
正式名称は、普段の会話では使わなくても、次のような場面で役に立ちます。
場面1。就業規則を読むとき。 就業規則の本体には時短勤務のことが書かれておらず、「育児・介護休業規程」などの別の規程にまとめられていることがよくあります。目次や条文を探すときは、「短時間勤務」「所定労働時間の短縮」という言葉で探すと見つかりやすくなります。
場面2。会社に制度がないと言われたとき。 「時短勤務の制度はありません」と言われたら、「育児・介護休業法第23条で、育児のための所定労働時間の短縮措置を設けることが会社の義務になっているはずです」と伝えられます。通称ではなく法律の名前で伝えると、担当者も調べやすくなります。
場面3。労働局に相談するとき。 相談の窓口では、どの制度の話かを最初に伝える必要があります。正式名称と条文の番号を伝えれば、話がすぐに本題に入ります。
場面4。社会保険や雇用保険の手続きを頼むとき。 年金や給付金の手続きには、それぞれ正式な名前の届け出があります。正しい名前で頼めば、担当者が迷わずに済みます。
場面5。転職の面接や書類で説明するとき。 前の職場でどんな制度を使っていたかを説明するとき、「育児短時間勤務制度を利用して1日6時間勤務」と書けば、読む人に制度の中身まで伝わります。
就業規則で時短勤務の条文を探すコツ
時短勤務の条文が見つからないとき、まず確かめたいのは、就業規則とは別に育児や介護の規程がないかです。厚生労働省は、会社向けに「育児・介護休業等に関する規則の規定例」を公開しており、多くの会社がこれをもとに別の規程を作っています。この規定例をもとにしている会社なら、育児短時間勤務、介護短時間勤務といった見出しの条文があるはずです。
条文を見つけたら、次の点を確かめます。
- 対象になる子どもの年齢(3歳未満か、それより長いか)
- 選べる勤務時間(6時間だけか、5時間や7時間もあるか)
- 申し出の期限と書式
- 1回あたりの利用期間と、延長の方法
- 労使協定で対象外になっている人がいるか
- 給与の計算方法
2025年の改正が反映されているかも見ておきます。3歳未満の子どもについて時短勤務が難しい業務の代わりの措置にテレワーク等が入っているか、3歳から小学校入学までの柔軟な働き方の措置が書かれているか、の2点です。反映されていない場合は、人事や総務に確かめてください。
会社に制度がないときの話し合いの進め方
従業員の少ない会社では、時短勤務の制度がそもそも作られていないことがあります。その場合は、次の順で話し合うと進めやすくなります。
1. 希望を具体的にまとめる。 いつから、何時から何時まで、どのくらいの期間働きたいかを決めます。保育園の送り迎えの時間から逆算すると、根拠のある希望になります。
2. 法律の義務であることを伝える。 育児・介護休業法第23条で、会社に時短勤務の措置を設ける義務があることを伝えます。厚生労働省の育児休業制度の特設サイトにある短時間勤務のページを印刷して渡すと、口で説明するより伝わります。
3. 仕事の分担を一緒に考える。 時短にすると、担当している仕事の一部を誰かに引き継ぐ必要が出てきます。自分から引き継ぎの案を出すと、会社も受け入れやすくなります。
4. 就業規則に書いてもらう。 話し合いで決まった内容は、就業規則や規程に書いてもらうのが理想です。少なくとも、勤務時間と給与の扱いを書面でもらっておきます。
会社の経営者が制度を知らないだけ、というケースでは、法律の義務であると分かった時点で、すんなり受け入れてもらえることが多いです。
派遣社員や有期契約の人の場合
派遣社員の場合、時短勤務を申し出る相手は、派遣先ではなく派遣元の会社です。育児・介護休業法の「事業主」は、雇用契約を結んでいる派遣元にあたるからです。派遣先での勤務時間を短くするには、派遣元が派遣先と調整することになります。
契約期間に定めのある有期契約の人も、時短勤務の条件を満たしていれば対象です。育児のための所定労働時間の短縮措置には、有期契約であることを理由に対象から外す決まりはありません。労使協定で外せるのは、勤続1年未満の人、週の所定労働日数が2日以下の人、時短が難しい業務に就く人です。
契約の更新の時期と時短勤務の期間が重なる場合は、更新後も時短勤務を続けたいことを、更新の話し合いのときに伝えておきましょう。時短勤務を使ったことを理由に契約を更新しないことは、不利益な扱いとして禁じられています。
育児の時短勤務を申し出られる条件
育児のための所定労働時間の短縮措置を使えるのは、3歳未満の子どもを育てている労働者のうち、次の条件をすべて満たす人です。
- 日々雇用される人ではないこと
- 1日の所定労働時間が6時間以下ではないこと
- 時短勤務を使う期間に、育児休業(産後パパ育休を含む)をしていないこと
正社員だけでなく、パートや契約社員でも、1日の所定労働時間が6時間を超えていれば対象です。父親も母親も使えます。
会社と、労働者の過半数で作る労働組合(なければ労働者の過半数の代表者)が結ぶ書面の取り決め(労使協定)がある場合は、次の人を対象外にできます。
- 同じ会社に続けて雇われている期間が1年未満の人
- 1週間の所定労働日数が2日以下の人
- 業務の性質や実施体制から、時短勤務が難しいと認められる業務に就いている人
3つ目の理由で対象外にする場合、会社は代わりの措置を設けなければなりません。代わりの措置は、育児休業に準ずる措置、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰り上げや繰り下げ、保育施設の設置運営など、そして2025年4月に加わったテレワーク等のいずれかです。
申し出の時期や方法は、法律では細かく決められていません。会社の就業規則で、いつまでに、どの書式で申し出るかを確かめてください。
介護の時短勤務を申し出られる条件
介護のための所定労働時間の短縮等の措置を使えるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者で、介護休業をしていない人です。要介護状態とは、けがや病気、障害によって2週間以上にわたって常に介護が必要な状態のことで、介護保険の要介護認定を受けていなくても当てはまる場合があります。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
会社は、次のいずれかの方法で措置を設けます。
- 所定労働時間を短くする制度
- フレックスタイム制
- 始業・終業時刻の繰り上げや繰り下げ
- 介護サービスの費用を助成する制度など
利用を始めた日から3年以上の期間に、2回以上使える形にしなければなりません(費用の助成の方法をとる場合は、2回以上の条件はありません)。
育児の場合と違い、介護の時短には「原則6時間」という決まりはありません。厚生労働省の通達は、通常の所定労働時間が8時間なら2時間以上、7時間なら1時間以上短くなる制度にすることが望ましいとしています。
労使協定で対象外にできるのは、勤続1年未満の人と、週の所定労働日数が2日以下の人です。
3歳から小学校入学までの「柔軟な働き方を実現するための措置」
2025年10月から、もう1つ新しい名前の制度が加わりました。3歳から小学校に入る前の子どもを育てる労働者のための「柔軟な働き方を実現するための措置」です。法律の上では、育児・介護休業法の第23条の3に書かれています。
会社は、次の5つの中から2つ以上を選んで設けなければなりません。
- 始業時刻などの変更(フレックスタイム制や時差出勤)
- テレワークなど(月10日以上)
- 保育施設の設置運営など
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの)
5つ目の短時間勤務制度は、法律の上では、3歳未満向けと同じ「育児のための所定労働時間の短縮措置」です。会社がこれを選んでいれば、子どもが3歳を過ぎても、同じ名前の制度を小学校に入るまで使い続けられます。会社が別の2つを選んでいれば、3歳以降の時短は会社の任意の制度になります。
会社は、子どもが3歳になる前の決められた時期に、選んだ措置について個別に説明し、利用の意向を確かめなければなりません。この面談のときに、3歳以降の働き方を相談しておくとよいでしょう。
公務員の場合は名前も制度も違う
国家公務員や地方公務員の時短は、育児・介護休業法ではなく、それぞれ別の法律で定められています。名前も中身も違うので、注意が必要です。
国家公務員の育児休業等に関する法律と、地方公務員の育児休業等に関する法律には、「育児短時間勤務」という制度があります。小学校に入る前の子どもを育てる職員が、任命権者(職員の任命や身分を管理する立場の人)の承認を受けて、常勤の職のまま短い時間で働く制度です。勤務の形は法律で決まっていて、たとえば国家公務員なら、1日3時間55分の勤務を週5日、1日4時間55分の勤務を週5日、1日7時間45分の勤務を週3日、などの形があります。
これとは別に、1日の勤務時間の一部を休む制度もあります。国家公務員では「育児時間」、地方公務員では「部分休業」と呼ばれ、小学校に入る前の子どもを育てる職員が、1日2時間を超えない範囲などで勤務しない時間を取れます。勤務しなかった時間の分の給与は減額されます。
公務員の制度は、会社員の時短勤務よりも対象になる子どもの年齢が長く、勤務の形の選択肢も多いのが特徴です。一方で、細かい条件は人事院規則や自治体の条例で決まるため、所属する役所の人事担当に確かめる必要があります。
なお、同じ役所で働いていても、非常勤の職員や臨時的に任用された職員は、育児短時間勤務の対象から外れる場合があります。会計年度任用職員として働いている人は、自分にどの制度が当てはまるのかを、任用の通知書や条例とあわせて人事担当に確かめてください。公務員の家族が民間の会社に勤めている場合、夫婦で名前の違う制度を使うことになるので、それぞれの制度の対象年齢や勤務の形を並べて、送り迎えの分担を考えると混乱しません。
似た名前の制度と混同しないために
時短勤務の周りには、名前の似た制度がいくつもあります。混同すると、申し出る制度を間違えてしまいます。
| 制度の名前 | 根拠 | 中身 |
|---|---|---|
| 育児時間 | 労働基準法 第67条 | 1歳未満の子を育てる女性が、休憩とは別に1日2回、各30分以上の育児の時間を請求できる |
| 所定外労働の制限 | 育児・介護休業法 | 小学校入学前の子を育てる人が請求すると、所定労働時間を超える残業が免除される |
| 時間外労働の制限 | 育児・介護休業法 | 小学校入学前の子を育てる人が請求すると、残業が1か月24時間、1年150時間までになる |
| 深夜業の制限 | 育児・介護休業法 | 小学校入学前の子を育てる人が請求すると、午後10時から午前5時の勤務が免除される |
| 短時間正社員 | 会社の任意の制度 | 理由を問わず、正社員のまま短い時間で働く制度 |
特に間違えやすいのが、労働基準法の「育児時間」です。名前に「時間」が入っていますが、1日2回、各30分以上の授乳などのための時間で、育児・介護休業法の時短勤務とは別の制度です。対象は1歳未満の子どもを育てる女性です。時短勤務と組み合わせて使うこともできます。
残業の免除にあたる「所定外労働の制限」は、時短勤務とは別に請求が必要です。時短勤務を申し出ただけでは、残業が自動的になくなるわけではありません。6時間で必ず帰りたい場合は、両方を申し出ておきます。
「短時間正社員」は、育児や介護に限らず、正社員のまま短い時間で働けるように会社が独自に設ける制度です。法律で義務づけられたものではありません。
申出書や社内の書類に書くときの名前
時短勤務の申出書を書くときは、まず会社の就業規則での名前を使うのが基本です。会社の書式があれば、その書式の名前に合わせます。
就業規則がない、または書式がない場合は、次のように書くと、法律の制度を使う申し出であることがはっきり伝わります。
「育児短時間勤務申出書(育児・介護休業法第23条第1項の育児のための所定労働時間の短縮措置)」
申出書に書く内容の例は、次のとおりです。
- 申出日と、申し出る人の氏名、所属
- 子どもの氏名と生年月日、本人との続柄
- 時短勤務を始める日と終わる日
- 短縮後の1日の勤務時間と、始業・終業の時刻
- 休憩時間の取り方
介護の場合は「介護短時間勤務申出書(育児・介護休業法第23条第3項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置)」とし、対象家族の氏名、本人との続柄、介護が必要な状況をあわせて書きます。
履歴書や職務経歴書に時短勤務の期間を書く場合は、「育児短時間勤務制度を利用(1日6時間勤務)」のように、制度の名前と勤務時間を添えると、読む人に伝わりやすくなります。
時短勤務中の給与、社会保険、給付金の名前も確かめる
時短勤務を始めると、給与や社会保険、雇用保険の手続きも動きます。それぞれ正式な名前があるので、会社に頼むときに正しく伝えられるよう整理しておきます。
給与の扱い。 時短で働かなかった時間の給料は、減らすのが一般的です。厚生労働省の指針では、短くした時間を超えて働かなかったものとして給料や賞与を減らすことは、不利益な算定に当たるとされています。
育児休業等終了時報酬月額変更届。 育児休業から復帰したあと、時短で給料が下がった場合に、健康保険や厚生年金の保険料のもとになる標準報酬月額を早めに下げるための届け出です。復帰後3か月の給料の平均で、4か月目から改定できます。
厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書。 子どもが3歳になるまでの間に時短などで標準報酬月額が下がっても、将来の厚生年金の額は子どもが生まれる前の標準報酬月額で計算されるようにする申し出です。
育児時短就業給付金。 2025年4月に始まった雇用保険の給付で、2歳未満の子どもを育てるために時短で働き、賃金が下がった人に、時短中の賃金の10%相当額が支給されます。厚生労働省の育児休業制度の特設サイトでは、給付額と賃金の合計が時短を始める前の賃金を超えないよう給付率を調整すると説明しています。
これらはどれも、会社を通して手続きするものです。時短勤務を申し出るときに、「育児休業等終了時報酬月額変更届と、養育期間標準報酬月額特例申出書、育児時短就業給付金の手続きもお願いします」と正式名称で伝えると、担当者もすぐに分かります。
6時間の時短で家計がどう変わるかのイメージ
制度の名前が分かったところで、実際に6時間の時短にしたときのお金の動きを、仮の数字で確かめておきます。所定労働時間が1日8時間、月給24万円の人が、復帰と同時に6時間の時短を始める例です。
給与。 時間に比例して計算する会社なら、働く時間が4分の3になるので、月給は18万円になります。手当のうち通勤手当など、時間と関係のないものは減らさない会社も多いです。
育児時短就業給付金。 子どもが2歳未満で条件を満たしていれば、時短中の賃金の10%、つまり1か月あたり1万8,000円ほどが雇用保険から支給されます。給料と合わせて19万8,000円で、時短前の24万円を超えないので、10%がそのまま支給されます。
社会保険料。 育児休業等終了時報酬月額変更届を出せば、復帰から4か月目に標準報酬月額が下がり、健康保険と厚生年金の保険料も下がります。出さなければ、通常の随時改定の条件を満たすまで、高い保険料のままになることがあります。
将来の年金。 養育期間標準報酬月額特例を申し出ておけば、子どもが3歳になるまでの間、厚生年金の額は子どもが生まれる前の標準報酬月額で計算されます。
このように、時短で給料は下がっても、給付金と保険料の手続きを組み合わせれば、手取りの落ち込みと将来の年金への影響を小さくできます。どれも正式名称で会社に頼めば、手続きが漏れにくくなります。
介護の時短で組み合わせやすい制度
介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、ほかの介護の制度と組み合わせて使うことで、仕事を続けやすくなります。正式名称とあわせて整理しておきます。
- 介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる休業です。介護の体制を整える期間に使います
- 介護休暇:1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)、時間単位でも取れる休暇です。通院の付き添いなどに使います
- 所定外労働の制限:介護をする人が請求すると、残業が免除されます
時短は毎日の勤務時間を短くする制度、介護休暇はスポットで休む制度、介護休業はまとまった期間休む制度、と役割が分かれています。2025年4月からは、会社は介護に直面したと申し出た労働者に、これらの制度を個別に知らせ、利用の意向を確かめることが義務になりました。会社から説明がない場合は、こちらから正式名称を挙げて聞いてみてください。
断られたとき、不利な扱いを受けたときの相談先
会社は、時短勤務を申し出たことや使ったことを理由に、解雇やその他の不利益な扱いをしてはなりません。これは育児・介護休業法の第23条の2に定められています。降格、契約を更新しないこと、正社員からパートへの身分の変更を強いること、不利な配置転換などが、不利益な扱いの例です。
会社に時短勤務の制度がない、申し出を断られた、時短を理由に不利な扱いを受けた、という場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。相談は無料です。労働局長は、会社と労働者の争いについて、助言、指導、勧告ができ、専門家による調停の手続きもあります。
相談するときは、「育児・介護休業法第23条の育児のための所定労働時間の短縮措置について」と正式名称で伝えると、窓口でも話が早く進みます。申し出た日、相手、言われた内容のメモと、就業規則の該当部分の写しを持っていくと、具体的な助言を受けやすくなります。
※解雇や大幅な減給など、生活に大きな影響がある場合は、弁護士に相談することも考えてください。
運営者の目で見た、制度の名前を知っている人の強さ
フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、会社員から業務委託に移る人の中には、「時短勤務の制度がないと言われたから」という理由で辞めてしまった人もいます。制度の正式名称と根拠の条文を知っていれば、会社と話し合う余地があったケースも少なくありません。働き方を変える前に、いまの職場で使える制度を確かめる価値はあります。
それでも在宅で業務委託の仕事に移る場合は、取引の形が手取りを左右します。中間に何社も入る取引では、同じ作業でも受け取る額が薄くなります。発注者と直接やり取りできる関係では、中間のマージンが乗らない分、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。子育てや介護で使える時間が限られる時期ほど、この差が効いてきます。
在宅で受けやすい仕事を知りたい人は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、公的な統計をもとにした年収と単価の目安を確認できます。申出書や社内文書を正確に書く力を身につけたい人には、ビジネス文書検定の内容と試験の概要が参考になります。業務委託に移ったあとに契約の条件を書面に残すポイントは、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで整理しています。
時短勤務の正式名称は「育児のための所定労働時間の短縮措置」。名前を知ることは、自分の権利の場所を知ることです。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 時短勤務の正式名称は何ですか?
育児・介護休業法では、育児のためのものが「育児のための所定労働時間の短縮措置」、介護のためのものが「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」です。厚生労働省の案内では「短時間勤務制度」とも呼ばれます。会社の就業規則では「育児短時間勤務」などの名前が使われることが多いので、申出書は会社の書式の名前に合わせ、必要に応じて法律の名前を添えます。
Q. 時短勤務は法律で労働者に認められた権利ですか?
法律は会社に時短勤務の措置を設ける義務を課しています。厚生労働省の通達では、労働者の権利は会社が措置を設けて労働契約の内容になったときに生まれると説明されています。会社に制度がない場合は、制度を設けるよう求めることができ、都道府県労働局は会社に助言、指導、勧告ができます。
Q. 公務員の育児短時間勤務は、会社員の時短勤務と同じ制度ですか?
別の制度です。公務員の育児短時間勤務は、国家公務員や地方公務員の育児休業等に関する法律に基づき、小学校に入る前の子を育てる職員が承認を受けて短い時間で働く制度です。会社員の時短勤務は育児・介護休業法に基づき、会社に義務があるのは3歳未満の子を育てる人向けの措置です。条件は所属の人事担当に確かめてください。
Q. 労働基準法の育児時間と時短勤務は違うものですか?
違う制度です。労働基準法の育児時間は、1歳未満の子を育てる女性が、休憩とは別に1日2回、各30分以上の育児のための時間を請求できる制度です。時短勤務は育児・介護休業法に基づき、3歳未満の子を育てる人の1日の所定労働時間を原則6時間にする措置です。両方を組み合わせて使うこともできます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
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@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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