工程表テンプレートの列の決め方と、更新しやすい工程表の作り方


この記事のポイント
- ✓工程表テンプレートを選ぶ前に決めておきたい列の構成と
- ✓更新が止まらない工程表の作り方を手順で解説します
- ✓バーチャートやガントの違い
工程表テンプレートを探していると、無料で配られているファイルの数の多さに驚きます。週間、月間、半年、工事用、製造用。どれも見た目は整っているのに、いざ自分の仕事に当てはめると、列が足りなかったり余ったりして、結局2週間ほどで誰も開かなくなる。そんな経験をした人は少なくないはずです。
この記事では、工程表テンプレートを選ぶ前に決めておくべき「列」の考え方と、更新が止まらない工程表を作る手順を順番に整理します。テンプレートの良し悪しは見た目ではなく、毎週の更新にかかる手間で決まります。後半では、表で回すのが苦しくなったときの選択肢として、ガントやカンバンのボードを無料から使えるPinatecaにも触れます。
工程表テンプレートで困る人が増えている背景
工程表は、建設や製造の現場だけの書類ではなくなりました。小さな事務所の移転、Webサイトの制作、補助金の申請、イベントの準備。複数の人が関わり、期限があり、作業に順番がある仕事なら、どれも工程表があると進めやすくなります。在宅で働く人が増え、同じ部屋にいない相手と作業を分け合う場面が当たり前になったことで、「誰が、いつまでに、何をするか」を1枚で共有する必要は以前より高まっています。
一方で、工程表を作る道具は今もExcelが中心です。Excelには工程表専用のグラフが用意されていないため、多くの人は配布されているテンプレートを探すところから始めます。Microsoftの公式ヘルプも、Excelでガントチャートを作る方法として、積み上げ横棒グラフを書式設定する方法と、用意されたテンプレートを使う方法の2つを案内しています(Excel でデータをガント チャートで表示する)。
テンプレートを探す人が困っているのは、作り方そのものよりも、次の3つです。
・配布されているファイルの列が、自分の仕事に合っているかどうか判断できない
・最初はきれいに作れても、予定が変わるたびに書き直すのが面倒で更新が止まる
・複数人で使うと、誰がどこを書き換えたのか分からなくなる
どれもテンプレートの見た目では解決しません。列をどう決め、誰がいつ更新するかを先に決めておくことで、ようやく解決します。
農業の現場で補助金の申請やセンサーの導入を手伝っていると、工程表がうまく回らない理由はたいてい同じです。作業の一覧は立派なのに、「誰が更新するか」が決まっていない。農家さんの言葉を借りれば「田んぼの段取りは頭に入っているが、紙に書くと途端に分からなくなる」。頭の中の段取りを、更新し続けられる形にするのが工程表の役目です。
工程表の種類と、テンプレートを選ぶ前に決めること
テンプレートを選ぶ前に、まず自分に必要な工程表の種類を決めます。よく使われるのは次の5種類です。
| 種類 | 形 | 向いている仕事 |
|---|---|---|
| バーチャート | 作業ごとに日付の欄を横棒で塗る | 工事・リフォーム、作業が並行する現場 |
| ガントチャート | バーチャートに進み具合や担当、依存関係を加える | 複数人のプロジェクト、制作 |
| カレンダー式 | 月のカレンダーに作業を書き込む | 日ごとの予定が中心の仕事、個人の段取り |
| ネットワーク式 | 作業を矢印でつなぎ、前後関係を示す | 作業の順番が複雑な大きな工事 |
| 曲線式(出来高) | 進み具合を累計の曲線で示す | 全体の進捗を数字で報告する場面 |
工程表のテンプレートを配っているサイトでも、種類ごとにファイルを分けて提供しているのが一般的です。
上記の工程表テンプレートを提供しているサイトは、建設業に特化した簡単に使える工程表や曲線型・ネットワーク式のテンプレートなど、便利な工程表が多数揃っています。さらに工程表だけでなく、見積書や発注書などどの業種でも使えるテンプレートをはじめ、建築業で必要な工事台帳、工事完了報告書、工事挨拶書などのテンプレートもあるため、業務効率化に効果的なサイトです。 出典: aippearcloud.com
種類を選ぶときの基準は単純です。関わる人が1〜3人で、作業が10〜20個程度なら、バーチャートかカレンダー式で十分です。関わる人が5人を超え、作業の前後関係が大事になってくると、担当と進み具合を見られるガントチャートが向いています。ネットワーク式や曲線式は、作るのにも読むのにも慣れが要るので、発注者から提出を求められた場合や、工期の長い工事に限って使うのが現実的です。
テンプレートを選ぶ前に決めておくことは、種類のほかに3つあります。
1つ目は、日付の単位です。1日単位で塗るのか、週単位で塗るのか。半年を超える工程を1日単位で作ると、横に長くなりすぎて画面に収まりません。逆に、1週間で終わる作業を週単位で塗ると、遅れに気づけません。
2つ目は、誰が見るかです。自分だけが見るのか、チームで共有するのか、発注者や施主に提出するのか。提出用なら見た目を整える必要がありますが、社内の管理用なら更新のしやすさを優先します。
3つ目は、誰が更新するかです。ここが決まっていない工程表は、作った人が忙しくなった時点で止まります。
列の決め方:最低限そろえる7つの列
工程表テンプレートの使いやすさは、左側の「列」で決まります。右側の日付の欄は、列が決まれば自動で塗れるからです。どの業種でも最低限そろえておきたいのは、次の7つの列です。
- 番号
- 作業名
- 担当
- 開始予定日
- 終了予定日
- 状態
- 備考
番号は、作業を並べ替えても元の順番に戻せるようにするための列です。会議で「12番の作業ですが」と言えば、全員が同じ行を見られます。
作業名は、動詞で終わる短い言葉にします。「外壁」ではなく「外壁の下地を補修する」、「申請書」ではなく「申請書の事業計画欄を書く」。名詞だけだと、何をすれば終わりなのかが人によって違って受け取られます。
担当は、1行に1人を書きます。「田中・佐藤」のように2人書くと、どちらも「相手がやるだろう」と思って作業が止まります。複数人で進める作業は、主に責任を持つ1人を担当に書き、手伝う人は備考に回します。
開始予定日と終了予定日は、日付の形式で入力します。「10月中旬」のような文字で書くと、右側の棒を自動で塗れません。日付が決まっていない作業は空欄にしておき、決まった時点で入力します。
状態は、「未着手」「進行中」「確認待ち」「完了」のように、選択肢から選ぶ形にします。自由に書ける欄にすると、「ほぼ終わり」「8割」「もう少し」と表現がばらばらになり、全体の進み具合が読めなくなります。Excelでは、データの入力規則でドロップダウンリストを作れば、決まった言葉からしか選べなくなります(ドロップダウン リストを作成する)。
備考は、遅れている理由や、確認待ちの相手を書く欄です。状態が「確認待ち」なら、誰の確認を待っているのかを必ず書きます。工程表を見た人が、次に誰へ連絡すればよいかが分かるからです。
この7つの列があれば、どの種類のテンプレートを選んでも、最低限の管理はできます。配布されているテンプレートを開いたら、まずこの7つがそろっているかを確かめ、足りない列があれば加えます。
加えると効く列と、加えすぎると止まる列
7つの列で足りない場合に、加えると効果が大きい列が3つあります。
1つ目は「実績終了日」です。予定と実績を並べておくと、どの作業が何日遅れたのかが後から分かります。次に似た仕事をするとき、見積もりの精度が上がります。
2つ目は「前提の作業」です。「3番が終わらないと始められない」という関係を番号で書いておく列です。前提の作業が遅れたとき、後ろの作業にどこまで影響するかを追えます。工事や申請のように順番が決まっている仕事では特に効きます。
3つ目は「進捗率」です。0%、25%、50%、75%、100%のように段階を決めて入力すると、全体の進み具合を数字で示せます。ただし、細かく1%単位で入力させると、担当者が数字を考えるのに時間を使ってしまいます。段階は5つ程度で十分です。
反対に、加えすぎると更新が止まる列もあります。よくあるのは、「工数(予定)」「工数(実績)」「費用」「優先度」「カテゴリ」「関連資料のリンク」を全部並べた工程表です。列が15個を超えると、1行を更新するたびに横へスクロールする必要が出てきて、担当者は状態の列しか触らなくなります。そうなると、ほかの列は最初に入れた値のまま古くなり、表全体が信用されなくなります。
列を加えるかどうかの判断基準は、「その列を誰が、いつ、何のために見るか」に答えられるかどうかです。答えられない列は、加えないか、別のシートに分けます。費用は経理の表へ、関連資料のリンクは共有フォルダの一覧へ。工程表には、進み具合を判断するのに必要な情報だけを残します。
更新しやすい工程表の作り方
ここからは、Excelやスプレッドシートで、更新しやすい工程表を作る手順を順番に説明します。
手順1:作業を洗い出して、粒度をそろえる
最初に、終わらせるべき作業をすべて書き出します。このとき、1つの作業の長さを、おおむね1日から2週間の間にそろえます。「サイトを作る」のように1か月以上かかる作業は分け、「メールを1通送る」のような数分の作業はまとめます。粒度がそろっていないと、長い作業の遅れに気づけず、短い作業ばかりが並んで表が読みにくくなります。
手順2:左側の列を作り、入力の形を決める
「列の決め方」の節で決めた7つの列を作ります。開始予定日と終了予定日のセルは日付の形式に、状態の列はドロップダウンリストにします。担当の列もドロップダウンにしておくと、名前の書き方の揺れがなくなります。
手順3:右側に日付の欄を作る
右側の列の見出しに、日付を1日ずつ(または1週間ずつ)並べます。最初の日付だけを入力し、隣のセルには「前のセルに1を加える」式を入れておくと、開始日を変えるだけで全体の日付がずれます。土日を除きたい場合は、ExcelのWORKDAY関数を使えば、営業日だけを並べられます。
手順4:条件付き書式で、棒を自動で塗る
日付の欄に、「その日付が開始予定日以上で、終了予定日以下なら色を付ける」という条件付き書式を設定します。Excelでは、ホームタブの条件付き書式から新しいルールを選び、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選んで、=AND(H$2>=$D3,$E3>=H$2) のような式を入れます(日付の見出しが2行目のH列から、開始日がD列、終了日がE列の場合)。これで、開始日と終了日を入力するだけで、棒が自動で伸び縮みします。手で色を塗る工程表は、予定が変わるたびに塗り直す必要があり、更新が止まる一番の原因になります。
手順5:今日の列と、遅れを目立たせる
今日の日付の列に色を付ける条件付き書式(=H$2=TODAY())を加えると、表を開いた瞬間に「今どこにいるか」が分かります。さらに、「終了予定日を過ぎているのに状態が完了でない行」の作業名を赤くする条件を加えると、遅れている作業が自然に目に入ります。
手順6:更新のルールを表の上に書く
最後に、表の一番上に「毎週月曜の午前中に、担当者が自分の行の状態を更新する」のような更新のルールを1行で書きます。ルールを書いておくことで、新しく加わった人も迷わず更新できます。
更新が止まる工程表の共通点と直し方
工程表の更新が止まる原因は、作り方よりも運用にあります。よく見かける共通点と、その直し方を整理します。
1つ目は、更新する人が1人に集中していることです。担当者から口頭やチャットで状況を聞き、それを1人がまとめて工程表に反映している形です。反映する人が忙しくなると、表は1週間前の状態のまま止まります。直し方は、各担当者が自分の行だけを更新する形に変えることです。そのためには、ファイルを全員が開ける場所に保存し、自分の行を見つけやすいように担当の列で絞り込めるようにしておきます。
2つ目は、ファイルが複数できてしまうことです。メールに添付して送り合っていると、「工程表_最新」「工程表_最新_修正」「工程表_1012版」と、どれが正しいのか分からなくなります。直し方は、ファイルを共有フォルダやクラウドに1つだけ保存し、リンクで共有することです。Googleスプレッドシートや、OneDriveに保存したExcelなら、同じファイルを複数人で同時に開いて編集できます。
3つ目は、予定が変わったときに、元の予定を上書きしてしまうことです。上書きすると、当初の予定からどれだけ遅れたのかが分からなくなります。直し方は、「加えると効く列」の節で触れた「実績終了日」の列を加え、予定の列は原則として変えないことです。どうしても予定を引き直す必要がある場合は、変えた日と理由を備考に残します。
4つ目は、会議で工程表を開かないことです。週に1回の打ち合わせでも、工程表を画面に映して上から順に確認するだけで、更新は格段に進みます。「会議の前に自分の行を更新しておく」という流れができるからです。
補助金の申請を手伝ったある案件では、申請の締め切りから逆算して作った工程表が、最初の3週間ほどは順調に更新されていました。ところが、農繁期に入ると誰も開かなくなり、気づいたときには事業計画書の下書きが10日遅れていました。原因は、更新を農家さん本人に任せていたことです。以後は、週に1回の電話で状況を聞き、その場で一緒に画面を見ながら更新する形に変えました。工程表は、作業の現場から遠い人ほど更新を忘れます。誰が更新するかは、仕事の繁閑まで考えて決める必要があります。
用途別:現場・事務所・個人の工程表の違い
同じ工程表テンプレートでも、使う場面によって重視する点が変わります。代表的な3つの場面を比べます。
工事・リフォームの現場
工事の工程表は、職人や業者の段取りをそろえるための書類です。大工、電気、設備、内装と、複数の業者が順番に入るため、前提の作業の列が欠かせません。日付の単位は1日で、天候による順延を見込んで予備日を作っておくのが一般的です。施主に提出する工程表と、現場で使う工程表を分けている会社も多くあります。提出用は全体の流れが分かる粗いもの、現場用は日ごとの段取りが分かる細かいものです。工事の工程表に関わる法令上の決まりや提出の要否は、工事の種類や発注者との契約で変わるので、元請けや発注者に確認してから作ります。
事務所のプロジェクト
Webサイトの制作、新しいシステムの導入、事務所の移転など、事務所で進めるプロジェクトの工程表は、担当と確認待ちの相手を明確にすることが大切です。作業が止まる原因の多くは、誰かの確認や承認を待っている時間だからです。状態の列に「確認待ち」を用意し、備考に確認する人の名前を書く運用にすると、止まっている場所がすぐに分かります。日付の単位は、期間が3か月以内なら1日、それ以上なら週単位が見やすくなります。
個人の仕事の段取り
フリーランスや副業で複数の案件を抱えている人は、案件ごとに工程表を作るより、すべての案件を1枚にまとめたほうが使いやすくなります。案件名の列を加え、締め切りの近い順に並べれば、今週どの案件に時間を割くべきかが分かります。1人で使う工程表は、列を減らしてでも、毎日開く習慣を作ることを優先します。カレンダー式のテンプレートも向いています。
補助金や助成金の申請
補助金や助成金の申請は、締め切りが動かない仕事の典型です。公募の締め切りから逆算し、事業計画書の下書き、見積書の取り寄せ、社内や家族の確認、電子申請の準備といった作業を並べます。見積書のように相手から届くのを待つ作業は、自分では早められないので、開始予定日を早めに設定しておくのがこつです。電子申請に使うアカウントの取得には日数がかかる場合があるため、最初の週に入れておきます。申請の後も、採択の通知、交付申請、事業の実施、実績報告と工程が続くので、申請までで工程表を終わらせず、報告の期限まで1枚に並べておくと、後半の書類の準備で慌てずに済みます。公募の要領は回ごとに変わるので、締め切りや必要書類は必ずその回の公募要領で確かめてから工程表に入れます。
配布テンプレートを自分の仕事に合わせて直す例
ここでは、小さな事務所の移転を例に、配布されている月間の工程表テンプレートを自分の仕事に合わせて直す流れを示します。
最初に開いたテンプレートには、「工種」「作業内容」「数量」「単位」「開始」「終了」の6列と、1か月分の日付の欄が並んでいたとします。工事用に作られたテンプレートによくある形です。
まず、事務所の移転には「工種」「数量」「単位」が要らないので、この3列を削除します。代わりに「担当」「状態」「備考」を加え、「作業内容」を「作業名」に改め、先頭に「番号」の列を加えます。これで「列の決め方」の節で挙げた7つの列がそろいます。
次に、作業を洗い出します。「新しい物件の契約をする」「インターネット回線を申し込む」「引っ越し業者を決める」「取引先へ移転の案内を送る」「郵便の転送を届け出る」「登記の変更を確認する」「家具の配置を決める」「荷造りをする」「搬出と搬入」「回線の開通を確かめる」「旧事務所を明け渡す」「名刺とWebサイトの住所を直す」。12個の作業になりました。
ここで前提の作業を確かめます。回線の申し込みは契約の後でないとできず、開通までに数週間かかることがあります。取引先への案内は、新しい住所と移転日が決まってからでないと送れません。この関係を見ると、契約と回線の申し込みを最初に済ませる必要があると分かります。工程表を作る意味は、こうした順番の制約を、作業を並べる段階で見つけられることにあります。
最後に、日付の欄が1か月しかないので、移転の準備期間に合わせて2か月に延ばします。日付は最初のセルだけを入力し、残りは式で並べてあるので、列を右にコピーするだけで延ばせます。もし配布されたテンプレートの日付が1つずつ手で入力されていたら、この機会に式に置き換えておくと、次に使うときの手間が減ります。
このように、テンプレートは「そのまま使う物」ではなく「直して使う下書き」と考えると、選ぶときに迷わなくなります。列の数や名前が多少違っていても、日付と棒の仕組みが入っていれば十分です。
Excel・スプレッドシート・専用ツールの比べ方
工程表を作る道具は、大きく分けてExcel、Googleスプレッドシート、プロジェクト管理の専用ツールの3つです。それぞれのメリットとデメリットを比べます。
| 道具 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| Excel | 多くの人が使い慣れている。配布されているテンプレートが多い。印刷しやすい | ファイルを送り合うと版が分かれる。スマートフォンでの更新はしにくい |
| Googleスプレッドシート | 無料で使える。同じファイルを同時に編集できる。変更履歴が残る | 行が多くなると動作が重くなる。印刷の体裁を整えるのに手間がかかる |
| 専用ツール | 棒の伸び縮みや依存関係を画面上で操作できる。通知や担当の割り当てがある | 使い方を覚える時間が要る。人数によって料金がかかる |
選び方の目安は、関わる人数と、更新の頻度です。1〜3人で、週に1回程度の更新ならExcelで十分です。5人前後で、毎日のように状況が変わるなら、同時に編集できるスプレッドシートが向いています。10人を超える、あるいは作業の数が100を超える規模になると、表の操作そのものが負担になり、専用ツールのほうが手間が少なくなります。
Googleスプレッドシートでも、条件付き書式のカスタム数式を使えば、Excelと同じように棒を自動で塗れます。表示形式のメニューから条件付き書式を開き、条件の一覧からカスタム数式を選んで式を入力します(Google スプレッドシートで条件付き書式ルールを使用する)。
どの道具を選ぶにしても、前の節までで整理した列の決め方と更新のルールは共通です。道具を変えても、列が多すぎたり、更新する人が決まっていなかったりすれば、同じように止まります。
テンプレートに組み込んでおくと便利な式
配布されているテンプレートには、棒を塗る仕組みしか入っていないものが多くあります。次の式を加えておくと、表を開いたときに読み取れる情報が増え、会議での確認も短く済みます。
残りの日数を出す
終了予定日から今日の日付を引くと、締め切りまでの残りの日数が出ます。=E3-TODAY() のような式です。土日を除いた営業日で数えたい場合は、NETWORKDAYS関数を使います。残りの日数がマイナスになった行は、締め切りを過ぎているということです。この列に条件付き書式を設定し、0以下なら赤、3以下なら黄色にしておくと、危ない作業がひと目で分かります。
状態ごとの件数を数える
表の上のほうに、状態ごとの件数を数える欄を作ります。=COUNTIF(F:F,"完了") のように、状態の列から「完了」の数を数え、全体の作業の数で割れば、件数で見た進み具合が出ます。「未着手」「進行中」「確認待ち」も同じように数えておくと、確認待ちが多い週は誰かの判断で止まっている、といった傾向が読めるようになります。
担当ごとの残り作業を数える
担当の列と状態の列を組み合わせて、担当ごとの未完了の件数を数えます。COUNTIFS関数を使えば、「担当が田中で、状態が完了でない行」を数えられます。特定の人に作業が集中していないかを確かめるのに役立ちます。作業が偏っていると、その人が休んだだけで全体が止まるからです。
式を入れるときの注意
式を入れた列は、担当者が誤って上書きしないように、色を変えて「入力しない列」だと分かるようにします。Excelではシートの保護を使って、式の入ったセルだけを編集できないようにする方法もあります。ただし、保護をかけすぎると、行を加えたいときにいちいち解除が必要になります。最初は色分けだけにして、上書きの事故が続くようなら保護を検討する、という順番が現実的です。
工程表を見せる相手に合わせた整え方
工程表は、管理に使うだけでなく、発注者や施主、上司に見せる書類でもあります。見せる相手によって、整え方を変えると伝わりやすくなります。
発注者や施主に見せる場合は、細かい作業を省き、大きな区切りだけを残した要約版を作ります。工事なら「解体」「基礎」「内装」「引き渡し」、制作なら「設計」「制作」「確認」「公開」といった段階です。作業を20行以上並べると、相手はどこが大事なのかを読み取れません。要約版は、管理用の工程表とは別のシートに作り、段階ごとの開始日と終了日を、管理用の表から参照する式で引いてくると、二重に入力する手間が省けます。
上司や社内の会議で見せる場合は、遅れている作業と、判断が必要な作業だけを抜き出して示すのが効果的です。フィルターで「状態が完了でない」「残りの日数が3日以下」の行だけを表示すれば、会議で話し合うべき作業が絞り込めます。
印刷して渡す場合は、ページ設定で横向きにし、1ページに収まるように縮小します。日付の欄が長すぎて収まらない場合は、印刷する期間を1か月や2週間に区切ります。印刷した紙は、渡した瞬間から古くなっていくので、表の上に「何月何日時点」と必ず書き添えます。
どの相手に見せる場合でも、元になる管理用の工程表は1つだけにしておくことが大切です。見せる相手ごとに別のファイルを作って手で書き写すと、どこかで数字が食い違い、説明の場で信用を失います。
表で回すのが苦しくなったときの選択肢
Excelやスプレッドシートの工程表は、ある規模までは十分に役立ちます。ただし、次のような状況になると、表で回すこと自体が負担になってきます。
・複数の人が同時に更新し、誰がどこを変えたのかを毎回確かめている
・遅れた作業の担当者に、毎回チャットで催促を送っている
・作業ごとのやり取りが、工程表とは別のメールやチャットに散らばっている
・同じ作業を、工程表とカレンダーとタスクの一覧に二重三重に書いている
こうした状況では、工程表の棒と、作業ごとのやり取りを同じ場所で扱えるプロジェクト管理のツールを試す価値があります。
その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードとチャットが使え、5人までのチームなら無料プランで期限なく使えます。ガントのボードで工程表の棒を作り、同じ作業をカンバンで「未着手」「進行中」「完了」の列に並べて見ることもできます。作業ごとのカードにはコメントを残せるので、「この作業は施主の確認待ち」といったやり取りを工程と同じ場所にまとめられます。Trelloからの移行や、ChatGPTやClaudeから操作する機能にも対応しています。6人目、または11個目のボードからは有料のスタンダードプラン(1人あたり月額500円、税抜)が必要になります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
Excelの工程表からいきなり全面的に移る必要はありません。まずは1つの案件だけをボードで管理してみて、更新の手間が減るかどうかを確かめてから広げるのが安全です。
工程表テンプレートを使うときの注意点
配布されている工程表テンプレートを使うときに、気をつけたい点を整理します。
1つ目は、テンプレートの作りを理解してから使うことです。配布されているファイルには、条件付き書式や関数があらかじめ組み込まれていることがあります。仕組みを知らないまま行を加えたり列を入れ替えたりすると、棒が塗られなくなったり、日付がずれたりします。使い始める前に、条件付き書式のルールの管理画面を開き、どの範囲にどんな式が設定されているかを確かめます。
2つ目は、マクロが入っているファイルに注意することです。拡張子が「.xlsm」のファイルにはマクロが含まれている場合があります。提供元が信頼できるかを確かめ、必要がなければマクロを有効にせずに使います。
3つ目は、提出先の決まった様式がある場合は、そちらを優先することです。公共の工事や補助金の申請では、提出する工程表の様式が指定されていることがあります。指定がある場合は、配布されているテンプレートを使うのではなく、指定の様式に合わせます。
4つ目は、作業を事前にマニュアル化しておくことです。工程表を作る人が替わったときに、作り方や更新の仕方が分からなくなるのを防げます。
こうした事態を防ぐためにも、事前に工程表テンプレートの作成方法や管理方法をマニュアル化しておくと良いでしょう。 出典: aippearcloud.com
マニュアルといっても、長い文書は要りません。列の意味、更新のルール、条件付き書式の式の3点を、工程表の別のシートに書いておくだけで十分です。
工程表を作れる人が求められる場面
工程表の作り方を身につけると、自分の仕事の段取りが楽になるだけでなく、仕事の幅も広がります。業務委託の仕事を見ていると、「作業の進め方を整理してほしい」「プロジェクトの管理を手伝ってほしい」という依頼は、IT系の案件に限らず増えています。
例えば、中小企業にAIや新しいツールの使い方を教える仕事では、導入の段取りを工程表にして示すところから始まることが多くあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、こうした導入支援の仕事の内容と、求められる準備をまとめています。アプリやシステムの開発の仕事でも、発注者に進み具合を報告する場面で工程表が欠かせません。開発の仕事の種類と進め方は、アプリケーション開発のお仕事で詳しく紹介しています。
業務の改善を仕事にしたい人には、経営の診断と助言の専門家である中小企業診断士という道もあります。資格の内容と試験の概要は中小企業診断士のページで確かめられます。また、資料や工程表を見やすく整える力は、デザインの仕事とも重なります。デザインの仕事の単価の目安は、デザイナーの年収・単価相場で確認できます。
在宅で仕事を受ける人が工程表を整えておくと、発注者とのやり取りも楽になります。在宅勤務の環境を整える会社向けの支援制度については、テレワーク 助成金 2026で整理しています。介護や福祉の事業所でも、記録の電子化を進める際に導入の段取りを工程表で管理する場面が増えており、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化では、そうした導入の流れと補助金の使い方を紹介しています。
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、作業そのものの腕前に加えて「この人に任せると進み具合が見える」という安心感を発注者に与えています。工程表はその安心感を形にする道具です。仲介の手数料がかからない直接取引なら、発注者は同じ予算でより多くを任せられ、受ける側は手取りが厚くなります。その関係を長く続ける土台になるのが、毎週きちんと更新される1枚の工程表です。
よくある質問
Q. 工程表テンプレートは無料のものでも十分に使えますか?
多くの場合、無料のテンプレートでも十分に使えます。大切なのは見た目ではなく、番号、作業名、担当、開始予定日、終了予定日、状態、備考の7つの列がそろっているかどうかです。足りない列があれば加え、日付を入力すると棒が自動で塗られる作りになっているかを確かめてから使い始めると、更新の手間が少なくなります。
Q. 工程表とガントチャートは何が違いますか?
工程表は作業の予定を示す表の総称で、ガントチャートはその1つの形です。ガントチャートは、作業ごとの期間を横棒で示すバーチャートに、担当や進み具合、作業同士の前後関係を加えたものを指すことが多く、複数人で進めるプロジェクトの管理に向いています。
Q. 工程表の更新はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
期間が1〜3か月程度の仕事なら、週に1回の更新が目安です。曜日と時間帯を決め、各担当者が自分の行の状態を更新する形にすると止まりにくくなります。日ごとに状況が大きく変わる工事の現場などでは、毎日の終わりに更新する運用も一般的です。
Q. Excelの工程表を複数人で同時に編集するにはどうすればよいですか?
ファイルをメールで送り合うのではなく、OneDriveやSharePointなどのクラウドに1つだけ保存し、リンクで共有します。Googleスプレッドシートを使う方法もあります。どちらの場合も、担当者が自分の行だけを更新するルールにしておくと、書き換えの衝突を防げます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







