Excelでプロジェクト管理の表を作る方法|列の決め方と更新の続け方


この記事のポイント
- ✓エクセルでプロジェクト管理のテンプレートを探している人に向けて
- ✓テーブル・入力規則・条件付き書式を使った作り方
- ✓ガントチャートの作り方
エクセルでプロジェクト管理のテンプレートを探す人の多くは、「急に案件を任されたが、管理の型が社内に無い」「前任者の表が複雑すぎて、誰も更新していない」という状況にあります。テンプレートを1つダウンロードすれば解決しそうに見えますが、実際には、どの列を残すかを自分のチームで決めないまま使い始めると、数週間で更新が止まることが少なくありません。この記事では、Excelでプロジェクト管理の表を作るときの列の決め方、テーブルと入力規則と条件付き書式を使った作り方、ガントチャートの作り方、更新を続けるための運用の決まりまでを、Microsoftの公式ヘルプに沿って順に説明します。Excelの表で足りなくなったときの選択肢の1つとして、ボードでタスクを管理するPinatecaにも後半で触れます。
Excelでプロジェクトを管理する人が多い理由
プロジェクト管理の専用ツールは年々増えていますが、今も多くの職場では、最初の管理表をExcelで作っています。その理由は、新しいソフトを契約しなくても始められることと、表の操作をすでに知っている人が多いことの2つに集約されます。
追加の費用と教育の手間がかからない
Excelは、会社のパソコンに最初から入っていることが多いソフトです。新しいツールを入れるには、稟議を通し、アカウントを配り、使い方を説明する必要がありますが、Excelならその段階を飛ばせます。プロジェクト管理の現場を長く扱ってきたシステム会社のブログでも、この点が手軽さの理由として挙げられています。
エクセルは普段仕事で使っていますよね?新たにソフトを購入することもなく、手軽にプロジェクト管理のテンプレートが作成できます。また、エクセル利用者も多いので、メンバーへの教育の手間も省けます。まずやってみるにはハードルも低いのではないでしょうか? 出典: products.sint.co.jp
管理の型が決まっていない職場が多い
同じブログでは、会社として標準の管理手法やテンプレートが無く、プロジェクトマネージャーの経験によって案件ごとに管理の方法が違う現場が多いことにも触れています。テンプレートを探す人の悩みは、まさにここにあります。表の形が人によって違うと、担当が替わるたびに作り直しになり、過去の案件と比べることもできません。
小さな案件ほどExcelで足りる
メンバーが3〜5人ほどで、期間が数か月までの案件なら、Excelの表で十分に回せます。作業の数が50個前後に収まり、更新する人が1〜2人に限られているなら、専用ツールを入れるよりも、表を1つ整えるほうが早く始められます。逆に、メンバーが10人を超え、複数の案件を並行して動かす場合は、Excelの表だけでは見通しが悪くなります。どの規模まで表で回すかは、後半の「専用ツールに移る目安」で詳しく説明します。
テンプレートが無料で多く公開されている
Microsoftの公式テンプレートや、企業のブログで配っているテンプレートなど、Excelのプロジェクト管理の表は無料で数多く手に入ります。ただし、テンプレートは作った人の現場に合わせて作られているため、列が多すぎたり、自分のチームでは使わない項目が入っていたりします。テンプレートは「そのまま使うもの」ではなく、「列を選ぶ見本」と考えると失敗が減ります。
テンプレートを探す前に決めておく3つのこと
テンプレート選びで迷う原因の多くは、何を管理したいのかが決まっていないことです。ダウンロードを始める前に、次の3つを紙に書き出しておくと、選ぶ基準がはっきりします。
誰がこの表を見て、誰が更新するのか
表を見る人と更新する人を分けて考えます。たとえば、上司は週に1回だけ全体の遅れを見たい、担当者は毎日自分の作業だけを更新したい、という場合、上司向けには「遅れている作業がひと目で分かる形」、担当者向けには「自分の行がすぐに見つかる形」が必要です。更新する人が1人なのか複数なのかでも、共同編集の要否が変わります。
何を知るための表なのか
プロジェクト管理の表には、大きく分けて次の4つの役割があります。
- 作業の抜け漏れを防ぐ(やることの一覧)
- 期限と順番を見える形にする(スケジュール)
- 誰が何を持っているかを分かるようにする(担当の分担)
- 起きた問題と対応を記録する(課題の管理)
1つの表にすべてを詰め込むと、列が20を超えて誰も入力しなくなります。最初は、いちばん困っている役割を1つか2つに絞ります。期限に遅れが出て困っているならスケジュール、作業の抜けが多いならやることの一覧、という順番です。
どの単位で更新するのか
毎日更新するのか、週に1回の定例で更新するのかを決めます。毎日更新するなら、入力の手間が少ない形にする必要があります。週に1回の更新なら、進捗率やメモの列を設けても負担になりにくいです。更新の頻度を決めずに表を作ると、細かすぎる列が残り、続かなくなります。
プロジェクト管理の表に入れる列の決め方
ここからは、実際に表に入れる列を決めていきます。列は多ければよいわけではありません。入力する人が迷わず、1行を30秒ほどで更新できる数に抑えるのが続けるための条件です。
まず入れる基本の列
どの案件でも入れておきたい基本の列は次のとおりです。
| 列の名前 | 入れる内容 | 入力の形 |
|---|---|---|
| 番号 | 作業ごとの通し番号 | 数字 |
| 作業名 | 何をするかを動詞で書く | 文字 |
| 担当 | その作業を持つ人 | 一覧から選ぶ |
| 開始日 | 作業を始める日 | 日付 |
| 期限 | 作業を終える日 | 日付 |
| 状態 | 未着手・進行中・確認待ち・完了 | 一覧から選ぶ |
この6列だけでも、抜け漏れと期限の管理はできます。作業名は「デザイン」のような名詞ではなく、「トップページのデザイン案を作る」のように動詞まで書くと、終わったかどうかの判断がしやすくなります。
必要に応じて加える列
案件の性格によって、次の列を加えます。
- 進捗率:長い作業で、途中の進み具合を見たいとき
- 優先度:同時に多くの作業を抱え、順番を決めたいとき
- 前の作業:ある作業が終わらないと次が始められない関係があるとき
- 予定の工数:作業にかかる時間を見積もり、人の空きを見たいとき
- 成果物の保存先:作ったファイルの場所を共有したいとき
- メモ:遅れの理由や、決まったことを短く残したいとき
進捗率は便利に見えますが、人によって「半分終わった」の感覚が違うため、数字があいまいになりがちです。進捗率を使うなら、「0%・50%・100%の3段階だけ」のように選び方を決めておくと、数字のぶれが小さくなります。
入れないほうがよい列
テンプレートによくある列の中には、更新が止まる原因になるものもあります。たとえば、「実績の開始日」「実績の終了日」「予定との差」を作業ごとに入れる形は、厳密に管理したい現場には向いていますが、少人数のチームでは入力が追いつきません。最初は予定の日付と状態だけで回し、遅れが問題になってから実績の列を加えるほうが続きます。
列の順番の考え方
列は、左から「何を」「誰が」「いつまでに」「どうなっているか」の順に並べると読みやすくなります。日付の列を右端に寄せると、横にガントチャートを並べたときに、日付と横棒の位置が近くなり、見比べやすくなります。
Excelで管理表を作る手順
列が決まったら、Excelで表を作ります。ここでは、更新しやすく崩れにくい表にするために、テーブル、入力規則、条件付き書式の3つの機能を使います。
手順1:見出しの行を作ってテーブルにする
1行目に、決めた列の名前を入力します。2行目以降に作業を数行入力したら、表の中のセルを1つ選び、Windows版のExcelでは「ホーム」タブの「テーブルとして書式設定」を選びます。スタイルを選ぶと「テーブルの作成」の画面が開くので、範囲を確かめ、見出しがある場合はチェックボックスをオンにして「OK」を押します。手順の詳細は、Microsoftのテーブルを作成するのページで確かめられます。
テーブルにしておくと、行を加えたときに書式や数式が自動で引き継がれ、見出しの行に絞り込みのボタンが付きます。担当ごとや状態ごとに作業を絞り込めるので、「自分の作業だけを見る」「完了していない作業だけを見る」という使い方がすぐにできます。
手順2:担当と状態の列を一覧から選べるようにする
担当や状態を手で入力すると、「進行中」と「進行」、「田中」と「田中さん」のように表記がばらつき、絞り込みが効かなくなります。これを防ぐのが入力規則です。
- 状態の列のセルを選ぶ
- 「データ」タブの「データ ツール」グループで「データの入力規則」を選ぶ
- 「設定」タブの「入力値の種類」で「リスト」を選ぶ
- 「元の値」に「未着手,進行中,確認待ち,完了」のようにカンマで区切って入力する
- 「ドロップダウン リストから選択する」にチェックが入っていることを確かめて「OK」を押す
Microsoftのセルにデータの入力規則を適用するのページでは、設定したあとに正しい値と誤った値の両方を入力して、意図どおりに動くかを確かめるよう案内しています。担当の列も同じ手順で、メンバーの名前を一覧にしておきます。
手順3:期限が近い作業に色を付ける
条件付き書式を使うと、期限が過ぎた作業や、期限が近い作業に自動で色を付けられます。期限の列を選び、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を開き、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選んで数式を入力します。
- 期限を過ぎていて完了していない作業:
=AND($E2<TODAY(),$F2<>"完了") - 期限まで3日以内の作業:
=AND($E2-TODAY()<=3,$E2>=TODAY(),$F2<>"完了")
ここでは、E列が期限、F列が状態という前提です。TODAY関数は、ファイルを開いた日の日付を返すので、毎日開くたびに色が更新されます。色は2色までにしておくと、どの色が何を意味するかを覚えやすくなります。
手順4:残りの日数と件数を数式で出す
期限の横に「残りの日数」の列を設け、=[@期限]-TODAY() のように入力すると、テーブルの全行に同じ数式が入ります。表の上には、=COUNTIF(テーブル1[状態],"完了") のような数式で、完了した作業の数を出しておくと、全体の進み具合を1つの数字で確かめられます。数式を入れる列は増やしすぎず、見る人が毎回知りたい数字に絞ります。
表の横にガントチャートを作る方法
作業の一覧ができたら、期間を横棒で見せるガントチャートを表の右側に作ります。ガントチャートとは、作業ごとの期間を横に伸びる棒で並べた図のことで、どの作業が重なっているか、どこで遅れが出ているかを見つけやすくなります。
日付の見出しを横に並べる
表の右側の列の1行目に、プロジェクトの開始日を入力します。その右隣のセルに「左のセルに1を加える」数式を入れ、右方向にコピーすると、日付が1日ずつ並びます。期間が長い案件なら、1週間ごとに並べる形にしても構いません。列の幅を狭くし、日付を「日」だけの表示にすると、画面に多くの日数を並べられます。
期間に色を付けて横棒にする
日付の見出しの下のセル全体を選び、条件付き書式の「数式を使用して、書式設定するセルを決定」で、次のような数式を入れます。
=AND(J$1>=$D2,J$1<=$E2)
ここでは、J列から日付が始まり、D列が開始日、E列が期限という前提です。日付の見出しが作業の開始日から期限までの間に入るセルだけに色が付き、横棒として見えます。行の参照に「$」を付ける位置を間違えると、色がずれて付くので、作ったあとに1行ずつ確かめます。
今日の位置に線を引く
同じ範囲に、もう1つの条件付き書式を加えます。=J$1=TODAY() という数式で、今日の列だけに枠線や薄い色を付けると、今日の時点で終わっているべき作業がひと目で分かります。今日の線より左にあるのに完了していない作業が、遅れている作業です。
Excelのガントチャートの限界
Excelのガントチャートは、作業の期間を見せるには十分ですが、期間を変えるときは開始日と期限の数字を書き換える必要があります。横棒を直接動かして日付を変えることはできません。作業の数が100を超えたり、前後の関係が複雑になったりすると、表が縦にも横にも長くなり、全体を見渡すのが難しくなります。この限界を知ったうえで、どこまでExcelで回すかを決めておくことが大切です。
テンプレートの種類と選び方
Excelのプロジェクト管理のテンプレートには、いくつかの型があります。上位の解説記事でよく紹介されている型を、向いている場面ごとに整理します。
型ごとの特徴
| テンプレートの型 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| リスト型 | 作業の抜け漏れを防ぎたい | 期間の重なりは見えにくい |
| 週次型 | 毎週の予定と実績を確かめたい | 長い期間の見通しは立てにくい |
| ガントチャート型 | 期限と順番を見せたい | 作業が多いと表が長くなる |
| WBS型 | 大きな案件を作業に分解したい | 作るのに時間がかかる |
| 課題管理型 | 起きた問題と対応を記録したい | 作業の一覧とは別に作る |
WBSとは、Work Breakdown Structureの略で、プロジェクト全体を大きな作業から小さな作業へと段階的に分けた一覧のことです。作業を分けきってから期間を割り当てると、ガントチャートが作りやすくなります。
テンプレートを試すときの考え方
ガントチャートを一から作るのは手間がかかるため、まずは公開されているテンプレートを試してみる方法も紹介されています。
さて、このガントチャート、作り方はわかってもいざ一から作ると大変です。インターネットで調べて見ると、エクセルのテンプレートや無償・有償さまざまなツールが多数存在します。まずは、エクセルですぐに使用できるプロジェクト管理テンプレートをダウンロードして、試してみるのがいいかもしれません。 出典: products.sint.co.jp
テンプレートを試すときは、ダウンロードしたファイルの列を見て、「この列は自分のチームで毎週入力できるか」を1列ずつ確かめます。入力できない列は、最初から消しておきます。マクロが入ったテンプレートは、会社のパソコンで実行が止められていることがあるので、社内の決まりを確かめてから使います。
迷ったときの選び方
迷ったら、リスト型にガントチャートの部分を加えた形から始めるのが無難です。作業の一覧と期間の横棒が1枚のシートで見られるので、上司への報告にも、担当者の毎日の確認にも使えます。課題の記録が必要になったら、別のシートに課題管理の表を作り、作業の番号でつなげます。
Excelで管理するメリットとデメリット
Excelでのプロジェクト管理には、はっきりした強みと弱みがあります。両方を知ったうえで使うと、無理な運用を避けられます。
メリット
- 追加の費用がかからず、すぐに始められる
- 表の形を自分たちの現場に合わせて自由に変えられる
- 多くの人が操作を知っているので、教える手間が少ない
- 取引先にファイルで渡したり、印刷して会議で配ったりしやすい
- 数式で集計し、件数や残りの日数を自動で出せる
特に、取引先や社外のメンバーと進捗を共有する場面では、相手の環境を選ばないExcelのファイルが重宝されます。相手に新しいツールのアカウントを作ってもらう必要がないため、短い期間の案件では大きな利点です。
デメリット
- 複数の人が同時に更新すると、ファイルが分かれて最新版が分からなくなる
- 更新したことを他の人に知らせる仕組みが無い
- 作業ごとのやり取りを残す場所が無く、メールやチャットに散らばる
- 行が増えると、全体を見渡すのが難しくなる
- 列を勝手に加える人が出ると、表の形が崩れる
最も多い問題は、「最新版はどれか」が分からなくなることです。メールに添付して回すと、「最新」「最新2」「最新_修正」のような名前のファイルが増え、誰がどれを更新したのか分からなくなります。この問題は、次に説明する共同編集を使うと大きく減らせます。
向いている人と向いていない人
Excelの管理が向いているのは、メンバーが少なく、更新する人が決まっていて、案件の期間が短い場合です。向いていないのは、メンバーが多く、全員が自分の作業を毎日更新し、作業ごとの相談も同じ場所で済ませたい場合です。後者に当てはまるなら、早めに専用ツールを検討するほうが、結果として手間が少なく済みます。
更新を続けるための運用の決まり
表を作っただけでは、プロジェクト管理は回りません。最初の数週間はきれいに更新されていても、忙しくなると更新が止まるのがよくある流れです。続けるための決まりを、表を作った時点で決めておきます。
更新する日と時間を決める
「毎日の終業前に自分の行を更新する」「毎週月曜の朝の定例の前に全員が更新する」のように、更新する時を決めます。決まった時が無いと、更新は後回しになります。定例の会議では、表を画面に映して、状態が「進行中」のまま期限を過ぎた作業から順に確かめると、会議の時間も短くなります。
更新の責任者を1人決める
全員が更新する形でも、表全体の形を守る責任者を1人決めておきます。責任者は、列の追加や削除の相談を受け、表記のばらつきを直し、週に1回は全体を見直します。責任者がいないと、誰かが加えた列や色が増え続け、半年ほどで誰にも読めない表になります。
完了した作業の扱いを決める
完了した作業を表に残したままにすると、行が増えて見通しが悪くなります。テーブルの絞り込みで「完了」を表示しないようにするか、月に1回、完了した作業を別のシートに移すと決めておきます。完了した作業を削除すると、後から振り返るときに困るので、削除ではなく移す形にします。
版の管理の決まりを作る
共同編集を使わない場合は、ファイル名の付け方を決めます。たとえば「案件名_管理表_20261017」のように日付を入れ、更新した人が古いファイルを別のフォルダに移す、という決まりです。それでも複数の人が同時に開くと版が分かれるので、更新する人が多い場合は、次の共同編集の形に切り替えます。
更新が止まる表によくある3つの失敗
更新が止まった管理表を見直すと、似た失敗が繰り返されていることが分かります。
1つ目は、作業の粒度がばらばらなことです。「サイトを作る」のような大きな作業と、「画像を1枚差し替える」のような小さな作業が同じ表に並ぶと、どれが重要なのかが分からなくなります。作業は、数日から1週間ほどで終わる大きさにそろえます。
2つ目は、状態の選び方があいまいなことです。「進行中」と「確認待ち」の違いを決めていないと、人によって選び方が変わり、遅れの原因が見えなくなります。それぞれの状態がどんな意味かを、表の別のシートに1行ずつ書いておきます。
3つ目は、表を見る場が無いことです。どれだけ丁寧に更新しても、誰も見ないなら更新は続きません。定例の会議で必ず表を開く、遅れている作業は表を見ながら相談する、という形で、表を使う場を先に作っておくことが、更新を続ける近道です。
共同編集で同時に更新するときの条件と注意点
Excelには、複数の人が同じファイルを同時に編集できる共同編集の機能があります。共同編集とは、1つのファイルを複数の人が同時に開いて書き換え、変更が互いの画面にすぐ反映される使い方のことです。メールで回すよりも、最新版が分からなくなる問題を大きく減らせます。
共同編集に必要な条件
MicrosoftのExcel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業を行うのページによると、共同編集を使うには次の条件があります。
- Microsoft 365 のサブスクリプションがあり、最新版の Excel for Microsoft 365 を使ってサインインしている
- ファイルが OneDrive、OneDrive for Business、SharePoint Online のいずれかに保存されている
- ファイルの形式が .xlsx、.xlsm、.xlsb のいずれかである
同じページでは、Microsoft が提供していない自社の SharePoint のサイトでは共同編集に対応していないことも説明されています。社内の共有フォルダに保存したファイルでは同時の編集ができないので、保存場所を確かめてから運用を始めます。
他の人の作業が見える
共同編集では、他の人が選んでいるセルが青や紫などの色で表示され、自分の選んでいるセルは緑で表示されます。誰がどこを触っているかが分かるので、同じ行を同時に書き換えてしまう事故を避けやすくなります。色の表示を使うには、全員が自動保存をオンにしている必要があります。
共同編集で気を付けること
共同編集にしても、表の形を守る決まりは必要です。列の追加や並べ替えを、更新の多い時間帯に行うと、他の人の入力がずれることがあります。表の形を変えるときは、事前にチャットで知らせ、人の少ない時間に行います。また、見出しの行や数式の入った列を誤って消されないように、更新してよい範囲を最初に決めて全員に伝えておくと、表の形が崩れにくくなります。
具体例:5人で進めるWebサイト制作の管理表
ここまでの考え方を、小さな案件の例に当てはめてみます。依頼者1人、ディレクター1人、デザイナー1人、エンジニア1人、ライター1人の5人で、6週間かけて会社のWebサイトを作り直す案件を想定します。
作業を洗い出す
最初に、案件全体を大きな作業に分け、さらに1つずつ数日で終わる単位まで分けます。
- 要件の整理:現在のサイトの課題を聞き取る、ページの一覧を決める
- 設計:ページごとの構成案を作る、依頼者の確認をもらう
- デザイン:トップページの案を作る、下層ページの案を作る、修正する
- 原稿:各ページの文章を書く、依頼者の確認をもらう
- 実装:ページを組む、問い合わせフォームを作る、スマホでの表示を確かめる
- 公開:最終の確認をする、公開する、公開後の不具合を直す
このように分けると、作業はおよそ15〜20行になります。1つの作業が1週間を超える場合は、さらに細かく分けると、遅れに早く気づけます。
列と期限を決める
この案件では、基本の6列に「前の作業」と「メモ」の2列を加えた8列で十分です。デザインの確認が終わらないと実装に入れない、原稿が届かないとページを組めない、といった前後の関係が多いため、「前の作業」の列に作業の番号を書いておきます。前の作業が遅れたときに、どの作業に影響するかがすぐに分かります。
期限は、依頼者の確認にかかる日数を必ず含めて決めます。制作の案件で遅れが出やすいのは、作る作業よりも、確認を待つ時間です。確認の作業も1行として表に入れ、担当を依頼者にしておくと、誰の手で止まっているかが見える形になります。
週ごとの見直しの流れ
毎週月曜日の定例では、ディレクターが表を画面に映し、次の順番で確かめます。
- 今日の線より左にあり、完了していない作業を確かめる
- 今週に期限が来る作業の担当に、進み具合を聞く
- 確認待ちの作業がある場合、依頼者に確認の期日を決めてもらう
- 新しく出てきた作業を表の末尾に加え、担当と期限を決める
この4つの手順を15分ほどで終えられれば、表は無理なく回ります。定例のたびに表の形を議論し始めると時間が延びるので、列の追加や変更は、月に1回の見直しの場に回します。
Excelから専用ツールに移る目安
Excelの表で回してきたプロジェクトでも、規模が大きくなると、表を維持する手間が増えていきます。次のような状態が続くなら、専用ツールへの移行を考える時期です。
移行を考える5つの状態
- 表の更新に、週に1時間以上かかっている
- 作業についての相談が、メールとチャットに散らばって探せない
- 担当が自分の作業に気づかず、期限を過ぎてから分かることが続く
- 複数の案件を別々のファイルで管理し、全体の負荷が見えない
- 社外のメンバーが加わり、ファイルの共有の範囲を管理しきれない
この5つのうち2つ以上に当てはまるなら、専用ツールを試す価値があります。移行するときは、Excelの表の列をそのまま持ち込むのではなく、ツールの形に合わせて作業を登録し直すと、運用が整理されます。
専用ツールを選ぶときに見るところ
プロジェクト管理の専用ツールを選ぶときは、次の点を比べます。
- 作業を一覧・カンバン・ガントチャートのどの形で見られるか
- 作業ごとにコメントを残し、担当に通知が届くか
- 無料で使える人数と、作業の表の数の上限
- 社外のメンバーを招待したときの権限の分け方
- Excelや他のツールから作業を取り込めるか
カンバンとは、作業をカードにして「未着手」「進行中」「完了」のような列に並べ、進むごとにカードを右へ動かして管理する形のことです。Excelの「状態」の列を、目で見える形にしたものと考えると分かりやすいです。
ボードで作業を回すツールの選択肢
Excelの表から移るときの選択肢の1つが、Pinatecaです。公式サイトによると、Pinatecaにはカンバン、ガントチャート、カレンダー、リスト、ディスカッション、グリッド、時間割、リソースの8種類のボードがあり、Excelの「状態」の列にあたる進み具合をカンバンで、期限の重なりをガントチャートで見られます。ガントチャートでは、横棒をドラッグすると開始日と期限がその場で変わります。ワークスペースごとのチャットとカードごとのコメントがあり、作業についての相談をその作業の隣に残せます。見積もりの工数や優先度のような項目は、カスタムフィールドとしてカードに追加できます。料金は、5人までのチームならボード10個まで無料で、すべての種類のボードとチャットを使えます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円・税抜、年払いなら1人あたり月額400円)になります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
Excelの表を作り込んできたチームほど、移行に抵抗を感じるものです。最初は1つの案件だけを専用ツールで動かし、Excelの表と並行して使いながら、更新の手間と見通しの違いを比べると、無理なく判断できます。
在宅ワークの現場で見るプロジェクト管理の表
在宅ワークやフリーランスの仕事では、発注する側と受ける側が離れた場所で作業を進めるため、進み具合を共有する表の役割が、会社の中の案件よりも大きくなります。
運営者として見てきた傾向
20年にわたって在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、長く取引が続く受け手ほど、依頼者から言われる前に作業の一覧と期限を表にして渡しています。Excelの簡単な表でも、「今週はここまで終わり、来週はここを進める」と1行ずつ示されていると、依頼者は確認の連絡を減らせます。進み具合の確認に使う時間が減るほど、依頼者は同じ予算で頼める仕事の幅が広がり、受け手は作業そのものに時間を使えます。中間のマージンが乗らない直接の取引では、こうした段取りの良さが、そのまま双方の得になって返ってきます。
管理の表を作れる人が求められる仕事
プロジェクトの段取りを表にまとめ、更新を回せる力は、IT系の業務委託の仕事で特に重視されます。生成AIを業務に取り入れる支援では、導入の作業を分解して期限を決める場面が多く、AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、こうした仕事の中身と求められる力を紹介しています。開発の現場でも、作業の一覧とスケジュールを管理する力は欠かせません。アプリケーション開発のお仕事では、開発案件の種類と進め方を説明しています。
職種ごとの相場を確かめる
管理の表を回す役割は、デザインや研究の仕事にも広がっています。制作の進行を管理するデザイナーの単価の目安はデザイナーの年収・単価相場で、調査や分析の案件を進める人の相場は研究者の年収・単価相場で確かめられます。中小企業の業務の改善を体系的に学びたい人には、経営の診断と助言の国家資格である中小企業診断士の解説も参考になります。Excelの表で段取りを示せる力は、どの職種でも、依頼者から信頼される土台になります。
よくある質問
Q. Excelのプロジェクト管理のテンプレートは無料で使えますか?
Microsoftの公式テンプレートや企業のブログなどで、無料のテンプレートが数多く公開されています。ただし、作った人の現場に合わせた列が入っているため、そのまま使うと入力しない列が残りがちです。ダウンロードしたら、自分のチームで毎週入力できる列だけを残し、使わない列は最初に消してから運用を始めると続きやすくなります。
Q. プロジェクト管理の表には最低限どの列が必要ですか?
番号、作業名、担当、開始日、期限、状態の6列があれば、作業の抜け漏れと期限の管理ができます。進捗率や優先度、前の作業、メモの列は、案件の性格に合わせて後から加えます。最初から列を多くすると入力の手間が増え、更新が止まる原因になるため、少ない列から始めるのが無難です。
Q. 複数の人で同じExcelファイルを同時に更新できますか?
Microsoft 365のサブスクリプションがあり、ファイルをOneDriveやSharePoint Onlineに保存していれば、共同編集で同時に更新できます。社内の共有フォルダに保存したファイルでは同時の編集ができません。ファイルの形式も.xlsxなどに限られるため、保存場所と形式を確かめてから運用を始めてください。
Q. Excelから専用のプロジェクト管理ツールに移るのはどんなときですか?
表の更新に週1時間以上かかる、作業の相談がメールやチャットに散らばる、担当が期限に気づかないことが続く、といった状態が重なったときが目安です。いきなり全部を移すのではなく、1つの案件だけを専用ツールで動かし、Excelの表と比べてから判断すると、無理なく切り替えられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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