心理の国家資格|公認心理師の受験資格


この記事のポイント
- ✓心理の国家資格は公認心理師だけです
- ✓法律が定める受験資格の区分A・B・C
- ✓大学の25科目と大学院の10科目
心理の国家資格を調べている人の多くは、心理の仕事に就くにはどの資格が必要なのか、国家資格を取るには大学院まで行かなければならないのか、社会人からでも目指せるのかを知りたいはずです。心理学の資格は民間のものも含めると数が多く、どれが国の資格で、どれが団体の認定なのかが分かりにくくなっています。
結論から言うと、心理の分野の国家資格は公認心理師だけです。2015年に成立した公認心理師法にもとづく資格で、受験するには原則として、大学で決められた25科目を修めたうえで、大学院で10科目を修めるか、認定された施設で2年以上の実務経験を積む必要があります。この記事では、厚生労働省と一般財団法人公認心理師試験研修センターの公表資料、法律と省令の条文で確かめた内容をもとに、受験資格の区分、学ぶ科目、試験の日程と費用、合格した後の義務、ほかの心理の資格との違いを順番に整理します。
心理の国家資格は公認心理師だけ
公認心理師は、公認心理師法(平成27年法律第68号)にもとづく国家資格です。文部科学省と厚生労働省が共同で所管していて、試験と登録の事務は一般財団法人公認心理師試験研修センターが国の指定を受けて行っています。厚生労働省は、公認心理師を次のように説明しています。
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。 出典: mhlw.go.jp
ここでいう「次に掲げる行為」は4つあります。言いかえると、心の支援が必要な人の状態を観察して分析すること、その人の相談に乗って助言すること、家族や学校の先生など周りの人の相談に乗ること、心の健康について広く伝える教育や情報の提供をすることです。
公認心理師は名称独占の資格です。名称独占とは、資格を持たない人がその名前を名乗れないという意味で、法律は公認心理師でない人が「公認心理師」という名前や、名前の中に「心理師」という文字を使うことを禁じています。違反すると30万円以下の罰金の対象になります。一方で、心理の相談の仕事そのものを資格のない人がしてはいけないという決まり(業務独占)はありません。それでも、病院や学校、行政の相談の仕事では、公認心理師であることを採用の条件にするところが増えています。
心理の分野でよく名前を聞く臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間の資格です。精神保健福祉士は国家資格ですが、精神障害のある人の生活や社会復帰を支える福祉の資格で、心理の資格とは役割が違います。心理学の知識を活かす国家資格を探しているなら、目指す先は公認心理師になります。
数字で見る公認心理師。登録者と合格率
公認心理師試験研修センターが公表している数字で、資格の広がりと試験の様子を確かめておきます。
| 項目 | 数字 | 時点 |
|---|---|---|
| 登録者数 | 76,675人 | 2026年9月末 |
| 第9回試験の受験者 | 2,400人 | 令和8年3月1日実施 |
| 第9回試験の合格者 | 1,441人 | 同上 |
| 第9回試験の合格率 | 60.0% | 同上 |
| 第8回試験の合格率 | 66.9% | 令和7年3月2日実施(受験者2,174人、合格者1,454人) |
登録者は2019年3月末の24,056人から増え続け、2026年9月末には76,675人になりました。初めのころは、すでに心理の仕事をしていた人が経過措置で受験できたため、受験者も合格者も多く、そこから数年で登録者が大きく増えています。経過措置の区分が終わってからは、大学と大学院で学んだ人が受験の中心になり、1回の受験者は2,000人台に落ち着いています。
第9回試験の合格者を年齢で見ると、30歳以下が1,320人で全体の91.6%を占めます。大学と大学院を続けて修了した人が受ける区分Aが合格者の中心だからです。
受験の区分ごとの合格率を見ると、差がはっきりしています。
| 区分 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| A(大学と大学院) | 1,937人 | 1,311人 | 67.7% |
| B(大学と実務経験) | 29人 | 20人 | 69.0% |
| C(同等以上と認定) | 17人 | 7人 | 41.2% |
| D1(法施行前に大学院修了) | 155人 | 30人 | 19.4% |
| D2(法施行前に大学院入学、施行後に修了) | 41人 | 5人 | 12.2% |
| E(法施行前に大学入学、施行後に大学院修了) | 214人 | 66人 | 30.8% |
| F(法施行前に大学入学、認定施設で実務経験) | 7人 | 2人 | 28.6% |
大学と大学院で決められた科目を順に修めた区分Aと、大学の後に実務経験を積んだ区分Bは合格率が60%台後半です。一方、法律ができる前に学んだ人が受ける特例の区分は合格率が低めです。科目の読み替えで受験資格を得ても、試験の出題範囲は新しい科目の体系に沿っているため、学んだ内容との差を埋める勉強が必要になることが読み取れます。
受験資格は法律で決まっている。区分A・B・C
公認心理師の受験資格は、公認心理師法第7条に3つ書かれています。厚生労働省は受験のルートを7つに分けて図にしていますが、いまから目指す人に関係するのは、次の3つの区分です。
区分A:大学と大学院で科目を修める
大学で公認心理師に必要な科目を修めて卒業し、さらに大学院で必要な科目を修めて修了するルートです。法律の第7条第1号にあたります。受験する人のほとんどがこの区分で、4年間の大学と2年間の大学院の合わせて6年間が標準的な道のりです。
区分B:大学で科目を修め、認定施設で2年以上働く
大学で必要な科目を修めて卒業した後、大学院に進まずに、国が認めた施設で2年以上、心理の支援の仕事に従事するルートです。法律の第7条第2号にあたります。この施設は「プログラム施設」と呼ばれ、厚生労働省の公表では、少年鑑別所と刑事施設、裁判所職員総合研修所と家庭裁判所、病院やクリニック、福祉の法人など13施設が認定されています。施設ごとにプログラムの内容と応募の方法が違うので、各施設に問い合わせる必要があります。
区分C:同等以上と認定される
外国の大学や大学院で学んだ人や、大学で科目の一部が足りなかった人が、文部科学大臣と厚生労働大臣から区分AやBと同等以上の知識と技能があると認定されて受験するルートです。法律の第7条第3号にあたります。認定を受けるには申請が必要で、厚生労働省のページに取扱いの通知が公表されています。
どの区分でも、心理学部を出ただけでは受験できない点に注意が必要です。公認心理師に必要な科目を開講しているかどうかは大学ごとに違い、文部科学省と厚生労働省が確認した大学の一覧が厚生労働省のページに載っています。これから大学を選ぶ人は、この一覧に載っているかを必ず確かめます。
大学で学ぶ25科目
区分AとBの土台になる大学の科目は、公認心理師法施行規則の第1条の2で25科目が決められています。
| 分野 | 科目 |
|---|---|
| 基礎 | 公認心理師の職責、心理学概論、臨床心理学概論 |
| 研究の方法 | 心理学研究法、心理学統計法、心理学実験 |
| 心理学の領域 | 知覚・認知心理学、学習・言語心理学、感情・人格心理学、神経・生理心理学、社会・集団・家族心理学、発達心理学、障害者・障害児心理学 |
| 支援の方法 | 心理的アセスメント、心理学的支援法 |
| 分野ごとの心理学 | 健康・医療心理学、福祉心理学、教育・学校心理学、司法・犯罪心理学、産業・組織心理学 |
| 医学と制度 | 人体の構造と機能及び疾病、精神疾患とその治療、関係行政論 |
| 実践 | 心理演習、心理実習 |
心理実習は、実習の時間が80時間以上のものに限ると定められています。実習は、文部科学大臣と厚生労働大臣が定める施設のうち、実習に適したところを使って行うことになっています。
この一覧を見ると、公認心理師の勉強は心理学だけでないことが分かります。人体の構造と病気、精神疾患と治療、関係する法律と行政の仕組みまで含まれていて、医療や福祉、教育の現場で他の専門職と一緒に働くための知識が求められます。心理学統計法や心理学研究法のように、データを扱う科目もあります。
大学院で学ぶ10科目と450時間の実習
区分Aで大学院に進んだ人は、施行規則の第2条で決められた10科目を修めます。
- 保健医療分野に関する理論と支援の展開
- 福祉分野に関する理論と支援の展開
- 教育分野に関する理論と支援の展開
- 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
- 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
- 心理的アセスメントに関する理論と実践
- 心理支援に関する理論と実践
- 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践
- 心の健康教育に関する理論と実践
- 心理実践実習
最後の心理実践実習は、実習の時間が450時間以上のものに限ると定められています。大学院の2年間で、病院や学校、福祉施設などの現場に出て、指導を受けながら実際の支援に関わる時間です。施行規則は、実習を指導する人を、公認心理師として5年以上働いたうえで国の基準を満たす講習会を修了した人に限っていて、大学院の実習では学生5人につき1人以上の教員を置くことも決めています。
大学院の10科目は、保健医療・福祉・教育・司法・産業の5つの分野に分かれているのが特徴です。公認心理師はどれか1つの分野に限らず、どの分野でも働けることを前提にした資格なので、大学院でもすべての分野の理論と支援の進め方を学びます。
大学院を選ぶときは、公認心理師の科目を開講しているかに加えて、実習先がどの分野にあるか、自分が関心のある分野の実習ができるかを確かめておくと、修了後の進路を考えやすくなります。
大学と大学院を選ぶときに確かめること
公認心理師を目指して大学や大学院を選ぶときは、学校の名前や偏差値より先に、受験資格につながる条件がそろっているかを確かめます。確かめたい点を、順番に挙げます。
公認心理師の科目を開講しているか
いちばん大切なのは、文部科学省と厚生労働省が確認した科目を開講しているかです。厚生労働省のページには、公認心理師となるために必要な科目を開講している大学等の一覧が公表されていて、2026年4月1日時点の一覧が最新です。同じ大学でも、学部や学科によって開講していないことがあるので、学科の単位まで確かめます。
実習の受け入れ先と分野
大学の心理実習と大学院の心理実践実習は、外部の施設で行います。どの施設と提携しているかによって、学生が経験できる分野が変わります。病院での実習が多い大学院もあれば、学校や福祉施設での実習に力を入れている大学院もあります。将来働きたい分野が決まっている人は、その分野の実習ができるかを説明会や募集要項で確かめておくと、修了後の就職につなげやすくなります。
授業の時間帯と通い方
社会人が学ぶ場合は、授業が平日の昼間だけか、夜間や土曜日にもあるかで、働きながら通えるかが決まります。実習は施設の開いている時間に行うため、平日の昼間に時間を取れるかどうかも大きな条件です。入学してから続けられないと分かると、時間とお金の両方を失うことになるので、勤め先の理解を得られるかまで含めて考えます。
修了生の受験の様子
大学院によっては、修了生が公認心理師試験をどれくらい受験し、合格しているかを公表しているところがあります。数字の出し方は学校ごとに違うので、単純に比べることはできませんが、受験に向けた支援の手厚さを知る手がかりになります。
特例の区分D・E・Fと、終わった区分G
公認心理師法が施行された平成29年9月15日より前に学び始めていた人のために、法律の附則で特例の区分が設けられています。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| D1 | 施行日より前に大学院で決められた科目を修めて修了した人 |
| D2 | 施行日より前に大学院に入学し、施行日以後に科目を修めて修了した人 |
| E | 施行日より前に大学に入学して科目を修め、施行日以後に大学院で科目を修めて修了した人 |
| F | 施行日より前に大学に入学して科目を修め、認定施設で2年以上の実務経験を積んだ人 |
これらの区分では、昔の科目を新しい科目に読み替えることが認められています。前の節で見たとおり、特例の区分の合格率は区分Aより低い傾向があります。
もう1つ、区分Gという特例もありました。法律の施行の時点で心理の仕事を5年以上していた人が、講習を受けて受験できる経過措置です。厚生労働省の資料によると、区分Gでの受験は令和4年7月17日の第5回試験で終わりました。いまから実務経験だけで受験することはできず、大学で科目を修めることが前提になります。
社会人から公認心理師を目指す道筋
社会人になってから公認心理師を目指す人もいます。受験資格の仕組みから考えると、道筋はおおむね次のようになります。
- 自分が卒業した大学で、公認心理師の25科目を修めているかを確かめる
- 修めていなければ、科目を開講している大学に入学または編入して、25科目を修める
- 大学院に進んで10科目を修めるか(区分A)、プログラム施設で2年以上働く(区分B)
- 試験を受けて合格し、登録する
心理学部を卒業した人でも、平成29年9月15日より後に大学に入学した場合は、公認心理師の科目を開講している大学で25科目を修めている必要があります。卒業した大学に、公認心理師の科目の履修証明書を出してもらえるかを問い合わせるのが最初の一歩です。
心理実習と心理実践実習は、施設に出向いて行うものです。働きながら学ぶ場合は、実習の時期に仕事を休めるかが大きな壁になります。大学や大学院を選ぶときは、授業の形と実習の日程を早めに確かめ、勤め先とも相談しておく必要があります。
時間とお金がかかる道のりなので、公認心理師を目指すかを決める前に、心理の仕事の現場を知っておくことも大切です。公認心理師の資格がなくてもできる、心の健康に関わる仕事や、心理学の知識を活かす仕事から始めて、自分に合うかを確かめてから進む人もいます。
学ぶ期間と費用の見通し
区分Aで目指す場合、大学の4年間と大学院の2年間で、少なくとも6年間がかかります。大学院の修了の年度の試験を受けるのが最短で、大学院2年の冬から春に試験を受ける流れになります。第10回試験は2027年3月7日なので、2027年3月に大学院を修了する人がこの回の受験者の中心になります。
区分Bで目指す場合は、大学の4年間のあと、プログラム施設での2年以上の実務経験が必要です。認定施設は13施設と限られているので、大学の在学中から施設の募集の時期と条件を調べておく必要があります。
費用は、大学と大学院の学費が大部分を占め、学校によって大きく違います。試験と登録にかかる費用は、受験手数料28,700円、登録の手数料7,200円、登録免許税15,000円で、合わせて5万円を少し超えます。東京都か大阪府まで移動する交通費と、必要なら宿泊費もかかります。
働きながら大学院に通う人は、雇用保険の教育訓練給付金の対象になる講座があるかを確かめる価値があります。厚生労働省の案内では、専門実践教育訓練に指定された講座は、受講料の50%(年間上限40万円)が受講中に支給されます。どの大学院の課程が指定を受けているかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。給付には雇用保険に加入していた期間などの条件があるので、住所地のハローワークで自分が対象になるかを先に確かめます。
第10回試験の日程と費用
公認心理師試験研修センターが公表している第10回試験の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2027年3月7日(日曜日) |
| 試験地 | 東京都、大阪府 |
| 受験申込みの受付 | 2026年12月1日から12月25日まで(消印有効) |
| 受験手数料 | 28,700円(非課税) |
| 受験票の交付 | 2027年2月17日 |
| 合格発表 | 2027年3月31日 14時予定 |
試験地は東京都と大阪府の2か所だけです。ほかの地域に住んでいる人は、移動と宿泊の手配も早めに考えておく必要があります。受験票と試験結果の通知は郵送されず、センターのホームページの専用のシステムからダウンロードする形になっています。
大学院を修了する見込みで受験する人は、受験票に「見込」と書かれ、2027年4月16日までに必要な書類を出さなければ試験が無効になります。合否にかかわらず提出が必要なので、修了証明書の発行の時期を大学院に確かめておきます。
合格基準は官報に掲載されていて、試験研修センターによると「総得点の60%程度以上を基準とし、問題の難易度で補正するという考え方を基に決定する」とされています。
合格した後に登録するときは、登録の手数料7,200円のほかに、登録免許税15,000円が必要です。登録が終わって初めて公認心理師を名乗れます。試験に合格しただけでは名乗れない点に注意が必要です。
試験の形式と合格ライン
第9回試験の問題冊子と合格発表の資料から、試験の形を具体的に確かめておきます。試験は午前と午後に分かれ、どちらも問題の数は77問、解答時間は2時間です。1日で合わせて154問を解くことになり、集中力を保つことも大切な準備になります。
問題には一般問題と事例問題があり、配点は一般問題が1問1点、事例問題が1問3点です。事例問題は、相談に来た人の状況を読んで、支援の進め方として適切なものを選ぶ問題で、1問で3点が動くため、合否への影響が大きくなります。選択肢は4つか5つで、中には2つを選ぶ形式の問題もあります。
第9回試験の合格基準は、総得点230点のうち136点以上でした。230点のおよそ59%にあたり、「総得点の60%程度以上を基準に、問題の難易度で補正する」という考え方が、実際の線にもそのまま表れています。毎回の線は合格発表の資料で公表されるので、過去問題を解いたときは、その回の合格基準と比べて自分の位置を確かめると、残りの勉強でどこを伸ばすべきかが見えてきます。
配点の仕組みから言えるのは、事例問題を落とさないことが合格への近道だという点です。事例問題では、法律上の義務、他の職種との連携、危険があるときの対応の優先順位といった、現場で判断の土台になる知識が問われます。暗記した知識をそのまま答える一般問題とは違い、条文や制度を「この場面ではどう動くか」に結びつけて理解しておく必要があります。
試験の範囲も事例の題材も、保健医療・福祉・教育・司法・産業の5つの分野にまたがります。自分が大学院の実習で経験しなかった分野ほど事例の場面を想像しにくいので、過去問題の事例を分野ごとに分けて読み、場面ごとの動き方を書き出しておくと、本番で迷いにくくなります。
試験に向けた勉強の進め方
公認心理師試験の範囲は、試験研修センターが公表している出題基準とブループリントで示されています。ブループリントは、出題基準の大きな項目ごとに出題の割合を示した設計表です。勉強を始めるときは、まずこの2つに目を通し、どの分野からどれくらい出るのかをつかむことから始めます。
出題基準の説明には、出題はこの基準に書かれたことに限られず、法律や政令、厚生労働白書などに書かれていることからも出題されると明記されています。心理学の理論だけでなく、医療・福祉・教育・司法・産業の各分野の法律と制度も勉強の範囲に入ります。とくに、法律の名前と目的、どの機関が何をするのかは、現場の経験だけでは覚えにくいので、表にして整理すると覚えやすくなります。
進め方の一例を挙げます。
- 出題基準とブループリントで、出題の割合が高い分野を確かめる
- 大学と大学院の授業の資料を、出題基準の項目に合わせて並べ直す
- 試験研修センターが公開している過去の試験問題を解き、苦手な分野を見つける
- 苦手な分野を、教科書と関係する法律の条文に戻って確かめる
- 試験の数週間前からは、本番と同じ時間で過去問題を通して解く
事例の問題では、相談に来た人の状況から、公認心理師として最初に何をするべきかを問われます。主治の医師がいる場合の指示の受け方や、秘密を守る義務と、命に関わる危険があるときの対応の兼ね合いなど、次の節で見る法律上の義務を理解しているかが問われる問題もあります。
合格した後に守る義務
公認心理師になると、法律で決められた義務を守る必要があります。代表的なものが秘密を守る義務で、条文は次のように定めています。
公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。 出典: laws.e-gov.go.jp
この義務に違反すると、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になり(秘密を漏らされた人などの告訴が必要な罪とされています)、登録の取消しや名称の使用の停止を命じられることもあります。資格を持たなくなった後も義務が続くことが特徴です。
ほかにも、法律は次のような義務を定めています。
- 保健医療、福祉、教育などの関係者と連携を保つこと
- 支援する人に主治の医師がいるときは、その指示を受けること
- 業務の内容の変化に合わせて、知識と技能の向上に努めること
主治の医師の指示については、厚生労働省が運用の基準を通知しています。たとえば学校や職場で相談を受けた人が、病院に通って治療を受けていると分かった場合、公認心理師は主治の医師の指示を受けて支援を進めることになります。医療と心理の支援が別々の方向に進まないための決まりです。
登録した後も続く学び
公認心理師の法律には、業務の内容の変化に合わせて知識と技能の向上に努める責務が書かれています。登録したら終わりではなく、働きながら学び続けることが前提の資格です。
試験研修センターは、登録者向けに研修やセミナーを開いていて、認知療法や認知行動療法の研修会などの案内を公表しています。職能団体の研修や、勤め先の分野に合わせた専門の研修を受けて、自分が強みを持つ分野を広げていく人も多くいます。
登録した後の手続きにも気を配る必要があります。結婚などで名前が変わったときは、登録事項の変更の手続きが必要で、登録証の書換交付には手数料がかかります。住所が変わったときもセンターへの届出が必要です。手続きを怠ると、センターからの大切な連絡が届かなくなることがあるので、変更があったら早めに届け出ておきます。
また、登録の情報はマイナンバーとひも付けることで、マイナポータル上で確認できるようになり、デジタルの資格者証を表示することもできます。ひも付けをしなくても資格を失うことはありませんが、勤め先に資格を証明する場面で役に立つことがあります。
ほかの心理の資格との違い
心理学に関わる資格は、公認心理師のほかにも多くあります。違いを整理しておきます。
| 資格 | 種類 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 公認心理師 | 国家資格 | 法律にもとづく唯一の心理の国家資格。名称独占 |
| 臨床心理士 | 民間資格(日本臨床心理士資格認定協会) | 指定の大学院を修了して受験。公認心理師より前からある |
| 精神保健福祉士 | 国家資格 | 精神障害のある人の生活と社会復帰を支える福祉の資格 |
| 民間の心理カウンセラーの資格 | 民間資格 | 団体ごとに内容と難易度がさまざま |
臨床心理士と公認心理師の両方を持っている人も多く、病院や学校の求人では「公認心理師または臨床心理士」と書かれることがあります。これから目指す人にとっては、国家資格である公認心理師を軸に考え、必要に応じて臨床心理士も検討するのが一般的な考え方です。
民間の心理カウンセラーの資格は、短い期間の講座や通信講座で取れるものもあります。心理学の基礎を知る入口としては役に立ちますが、国家資格の代わりにはなりません。公認心理師でない人が名前に「心理師」という文字を使うことは法律で禁じられているので、民間の資格の名前を名乗るときも注意が必要です。
履歴書の資格欄の書き方
公認心理師は、登録をして初めて資格者になるので、履歴書には登録の年月を書きます。
| 状況 | 書き方の例 |
|---|---|
| 登録が済んでいる | 公認心理師 登録 |
| 試験に合格し、登録の手続き中 | 公認心理師試験 合格(登録申請中) |
| 臨床心理士も持っている | 臨床心理士 取得(資格認定協会の表記に合わせる) |
年月は、登録証に書かれた登録の日を書きます。試験の合格日と登録日は違うので、取り違えないようにします。面接では登録番号を聞かれることもあるので、登録証を手元に用意しておくと安心です。
職務経歴書では、資格の名前に加えて、どの分野でどんな支援をしてきたかを書きます。公認心理師は分野を問わない資格なので、医療・福祉・教育・司法・産業のどこで経験を積んだかが、採用する側にとって大事な情報になります。
運営者として見てきた、心理学の知識を活かす働き方
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた立場から見ると、心理学を学んだ人の働き方は、資格を使う仕事だけにとどまりません。心の健康に関する記事の執筆や監修、企業の研修資料の作成、調査のアンケートの設計と分析など、心理学の知識と研究の方法を活かせる仕事が、在宅でも受けられるようになっています。
心理学研究法や心理学統計法で学ぶデータの扱い方は、研究の仕事にもつながります。大学や研究機関で働く研究者の収入の目安は研究者の年収・単価相場でまとめています。文章の仕事を受けるときは、書いた記事の見本を用意して見せることが信頼につながり、その作り方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で解説しています。心の健康を扱う文章では、診断や治療のように読める書き方をしないことが前提です。
中間の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。公認心理師を目指して長く学ぶ間も、心理学の知識を少しずつ仕事に結びつけておくと、学び続けるための収入と経験の両方を得やすくなります。報告書や記録のように読み手に正確に伝える文章の力を伸ばしたい人は、ビジネス文書検定の内容も確かめてみてください。
よくある質問
Q. 心理の国家資格は公認心理師以外にありますか?
心理の分野の国家資格は公認心理師だけです。臨床心理士は公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間の資格で、精神保健福祉士は国家資格ですが、精神障害のある人の生活と社会復帰を支える福祉の資格です。民間の心理カウンセラーの資格は数多くありますが、国家資格の代わりにはなりません。
Q. 大学院に行かなくても公認心理師になれますか?
なれます。大学で決められた25科目を修めて卒業した後、国が認定したプログラム施設で2年以上働くと受験資格が得られます(区分B)。ただし認定施設は厚生労働省の公表で13施設と限られ、受験者も少数です。多くの人は大学と大学院で科目を修める区分Aで受験しています。
Q. 第10回公認心理師試験はいつで、受験料はいくらですか?
第10回試験は2027年3月7日に東京都と大阪府で行われ、受験手数料は28,700円です。申込みの受付は2026年12月1日から12月25日まで(消印有効)で、合格発表は2027年3月31日の予定です。最新の案内は公認心理師試験研修センターのホームページで確かめてください。
Q. 心理学部を卒業していれば受験できますか?
心理学部を卒業しただけでは受験できません。平成29年9月15日より後に大学に入学した人は、公認心理師の科目を開講している大学で25科目を修めている必要があり、さらに大学院の10科目か認定施設での2年以上の実務経験が必要です。卒業した大学に科目の履修証明書を出してもらえるか確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







