精神保健福祉士の講師・講座の仕事


この記事のポイント
- ✓精神保健福祉士 講師 副業を考えている人に向けて
- ✓受験対策講座・法定研修・企業研修・オンライン講座の4つの入口と
- ✓時給型と請負型それぞれの値付けの考え方
精神保健福祉士 講師 副業という検索が伸びている背景には、はっきりした事情があります。結論から書くと、この資格を持っている人が教える側に回る入口は、受験対策講座、法定研修や任意研修、企業のメンタルヘルス研修、そして個人向けのオンライン講座の4つです。そして最初の1コマを取る難易度は、この順番で下がっていきます。教える内容を自分で決められる講座ほど、外部からの依頼を待たずに始められるからです。
この記事は、これから資格を取る人ではなく、すでに精神保健福祉士の登録を済ませていて、現場での経験が数年ある人を読者に想定しています。試験の勉強法や合格率の話は扱いません。持っている資格と現場の経験を、どう「教える仕事」に換えるかだけを書きます。
教える仕事の需要がどこから来ているか
精神保健福祉士に講師の依頼が来る経路は、大きく3つに分かれます。ひとつ目は資格スクールと通信教育です。国家試験の受験者は毎年一定数おり、その受験対策講座には講義担当と教材制作の両方の枠があります。ふたつ目は法定研修と事業所内研修です。障害福祉サービスの分野には、修了が要件になっている研修が複数あり、そこには指定カリキュラムに沿って話せる有資格者が必要になります。3つ目が企業側の需要で、これは福祉の外側から来ます。
3つ目が近年もっとも増えている領域です。労働安全衛生法にもとづくストレスチェック制度が定着し、従業員のメンタル不調への対応を「担当者の善意」ではなく仕組みとして持たなければならない企業が増えました。管理職向けのラインケア研修、新入社員向けのセルフケア研修、相談窓口の担当者向けの傾聴研修といった枠が生まれ、そこに精神保健福祉士が呼ばれるようになっています。福祉の現場では当たり前の知識が、企業の中では希少な知識として値段が付く。この非対称性が、副業として成立する理由です。
資格スクール側の募集条件は、比較的はっきり公開されています。
社会福祉士・精神保健福祉士試験対策講座の講師・教材制作スタッフを募集します。受験生のためにあなたの経験を活かし、講義や教材制作に携わっていただきます。講義は関東LEC各本校および中野本社での通信用収録があり、一部科目のみの担当も相談可能です。講師経験や実務経験を考慮し、概ね時給4,000円~5,000円で、教材制作は別途請負単価が定められています。指導経験者や受験生の立場に立った親身な指導ができる方を歓迎します。弊社の受験指導ノウハウ取得のための講師研修制度もございます。 出典: 求人ボックス
ここで注目したいのは、時給の水準そのものより「一部科目のみの担当も相談可能」という一文です。在職中の人が全科目を抱えるのは現実的ではありません。募集側もそれを分かっていて、科目単位で切り出す運用をしている。副業として入る余地は、この切り出しの中にあります。
資格が効く講師案件と、効かない講師案件
講師の仕事をひとまとめに見ると値付けを間違えます。精神保健福祉士という資格が報酬に乗る案件と、乗らない案件があるからです。見分け方は単純で、募集要項に資格名が要件として書かれているかどうかを見ます。
資格名が「必須」として書かれている案件では、資格が単価の根拠になっています。指定の研修カリキュラムを担当できる人が限られているため、代替がききません。一方、資格名が「歓迎」「尚可」となっている案件は、実質的には話し方や資料作成の力で選ばれています。この場合、報酬は講師業の相場に引きずられ、資格の有無で大きくは変わりません。
さらに、資格名がまったく登場しない案件もあります。たとえばeラーニング教材のシナリオ執筆、研修動画のナレーション原稿、心理系メディアの記事監修などです。これらは在宅で完結しやすく、時間の融通も利きますが、報酬は文字数や本数で決まります。ここで「自分は国家資格を持っているから高いはずだ」と考えると、話がかみ合いません。資格が効くのは、資格がないと担当できない枠に入ったときだけです。
在職中の人にとって現実的なのは、この3種類を混ぜて持つことです。資格必須の研修は単価が高いが不定期、教材制作は単価が中くらいで在宅、記事や監修は単価が低いが継続しやすい。組み合わせておくと、月ごとの振れ幅を抑えられます。
入口ごとの中身と、始めるときの注意点
受験対策講座の講師と教材制作
もっとも資格との相性が良い入口です。自分が通ってきた道をそのまま教材にできるため、準備の負担が比較的軽い。講義そのものは会場やスタジオでの収録になることが多い一方、教材制作は在宅で進められます。過去問の解説執筆、模擬問題の作成、レジュメの改訂といった作業は、1問あたりや1本あたりの請負単価が設定されているのが一般的です。
注意点は、著作権と流用の扱いです。制作した教材の権利がどちらに帰属するのか、他社の講座で同じ内容を使ってよいのかは、契約書で必ず確認します。ここを曖昧にしたまま複数のスクールで仕事を受けると、後から競業の問題が持ち上がります。
法定研修や事業所内研修の講師
障害福祉の分野には、指定カリキュラムに沿って実施される研修が複数あります。募集の実例を見ると、対象となる資格や経験の幅は思ったより広く取られています。
行動援護従業者養成研修の研修講師を募集しています。指定カリキュラムに沿った講義に加え、講師自身の経験や知識を活かした指導をお願いします。介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、各種研修修了者、看護師・保健師、大学教員、強度行動障害支援者養成研修指導者・修了者、養護学校教員などが対象となります。また、サービス管理責任者やサービス提供責任者の経験者、直接支援業務経験者も応募可能です。新しい人材育成に貢献できる、やりがいのあるお仕事です。勤務時間は9:00~19:30の間で4.5時間程度です。 出典: 求人ボックス
拘束時間が4.5時間程度で、実施日が限られているのが特徴です。平日に休みを取れる働き方をしている人なら、年に数回の単位で引き受けられます。
この種の研修で気をつけたいのは、講義内容の裁量がほとんどないことです。カリキュラムと時間配分が決まっているため、自分の言いたいことを話す場ではありません。逆に言えば、資料をゼロから作る負担は小さく、初めて人前で話す人にとっては入りやすい枠でもあります。
企業向けのメンタルヘルス研修
単価がもっとも動く領域です。企業研修の講師料は、半日で数万円から十数万円まで幅があり、実績と紹介経路で決まります。相場を一つの数字で言い切ることはできませんが、90分の管理職研修で3万円から10万円程度の提示を見ることが多い領域です。研修会社を経由すると講師料からマージンが引かれ、直接契約なら全額が手元に残ります。
ただし、直接契約は営業と請求と契約書の作成を自分で持つということでもあります。この負担を軽く見ないほうがいい。正直なところ、最初の数本は研修会社経由で場数を踏み、資料と進行が固まってから直接の依頼を受ける順番のほうが安全です。キャリア相談や社会人向けの学びを扱う分野の案件がどう動いているかは、キャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっています。研修と相談は依頼者の課題が近いので、募集文の言葉遣いを見ておくと自分の提案文にそのまま使えます。
オンライン講座と個人向けの少人数講座
自分で企画して自分で集める形です。依頼を待たなくていいので、今日からでも始められます。題材は、支援職向けのケース記録の書き方、家族向けの制度の使い方、当事者向けの就労支援の流れといったところに需要があります。
値付けは、録画配信の買い切りなら3,000円から1万円、少人数のライブ講座なら1回2,000円から5,000円あたりが動きやすい価格帯です。ここで大事なのは、安くすれば集まるわけではないという点です。無料や極端に安い講座は、申込みは増えますが当日の参加率が落ちます。値段は集客の道具ではなく、来る人を選ぶ道具だと考えたほうが結果は良くなります。
値付けの4つの型と、時間単価の考え方
講師の報酬は、次の4つの型のどれかに収まります。型ごとに、注意すべき点が違います。
時給型は、資格スクールの講義や研修講師で使われます。計算しやすい代わりに、準備時間が報酬に入っていないことがほとんどです。時給4,000円の講義でも、初回の準備に10時間かければ実質の時間単価は大きく下がります。この型は、2回目以降に同じ資料を使い回せるかどうかで評価が変わります。
コマ型は、1コマいくらで決まる形です。移動時間と準備時間を合わせた総拘束時間で割り戻して、自分の中の下限を決めておきます。1コマ4,000円でも移動込みで4時間かかるなら、実質は時給1,000円です。近隣か、オンラインで完結するかが効いてきます。
請負型は、教材や原稿など成果物に対して払われます。修正が何回まで無償かを決めておかないと、際限なく時間を取られます。回数を契約書に書くのが難しければ、見積書の備考に「修正は2回まで」と書いておくだけでも防波堤になります。
主催型は、自分で集めて自分で受け取る形です。収入は参加人数に比例し、告知と決済の手間が乗ります。売上は読めませんが、単価と内容を自分で決められるのが最大の利点です。
名称と業務範囲について、断定しないほうがいい部分
精神保健福祉士は精神保健福祉士法にもとづく国家資格で、名称の使用について定めがあります。同法には信用失墜行為の禁止と秘密保持義務の規定があり、資格を持たない者が精神保健福祉士という名称を使うことは制限されています。ここまでは条文にはっきり書かれています。
一方で、「この資格があるから、この講義は自分だけができる」と言い切れる場面は限られます。研修講師の要件は、実施主体である自治体や指定を受けた事業者が定めた実施要綱で決まっており、資格だけで決まるわけではありません。企業研修に至っては資格要件そのものがない場合が大半です。募集要項に書かれている要件と、根拠になっている要綱を毎回確認するのが確実です。
もう一点、講義の中で個別の相談に踏み込む場合は線引きが必要になります。診断や治療にあたる助言、法律事務にあたる助言は、それぞれ医師法や弁護士法の範囲に触れる可能性があります。研修の場で受講者から個別ケースの相談を受けたときに、どこまでを答え、どこから「主治医に確認してください」「専門職につないでください」と返すか。この線を自分の中で決めておくことは、講師として仕事を続けるうえで欠かせません。関連する法制度の枠組みを扱う職種として行政書士の資格ガイドも参考になります。どの資格がどの範囲を担当するかを知っておくと、受講者を適切な相手につなげるようになります。
秘密保持については、より実務的な注意があります。研修や講座で事例を話すときに、本業で担当したケースをそのまま使わないこと。年齢や地域や疾患名の組み合わせで人が特定されることがあります。複数の事例を混ぜて作り直すか、公表されている事例を使うのが安全です。
最初の1コマを取るまでの動線
教える仕事は、実績がないと呼ばれず、呼ばれないと実績ができないという構造を持っています。これを崩す順番は、おおむね決まっています。
最初にやるのは、自分が話せる内容を1枚にまとめることです。テーマ、対象者、時間、狙い、当日の流れ。この5項目だけでいい。研修の依頼者が知りたいのは講師の経歴ではなく、その時間で受講者が何を持ち帰るかです。経歴を長々書いた自己紹介より、内容が具体的な1枚のほうが通ります。
次に、実際に話した記録を作ります。所属先の内部研修、地域の家族会、職能団体の勉強会など、報酬が出ない場でも構いません。日付とテーマと人数を残しておくと、それが最初の実績になります。オンラインで少人数の講座を1回開き、その録画を持っておくのも有効です。依頼者にとって、話している映像は経歴書より確実な判断材料になります。
3つ目が、募集に応募する段階です。資格スクールの講師募集、研修講師の公募、企業研修の案件はそれぞれ別の場所に出ています。応募文には、担当できる科目やテーマを具体的に書き、時間の制約も正直に書きます。「平日夜と土曜であれば対応可能」と最初に書いてあるほうが、募集側は組みやすい。
在宅で完結する仕事から入る道もあります。教材の執筆や記事の監修は、話す場を用意しなくても始められ、実績として残ります。書く仕事の単価感を知るには著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安になります。講師料と原稿料は根拠が違うので、両方の相場を知っておくと、依頼が来たときに即答できます。オンライン講座の設計や、AIツールを使った教材づくりを含む依頼が増えている点も見逃せません。この周辺の案件動向はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事から傾向がつかめます。
90分の講座を組み立てる手順
依頼が来てから資料を作り始めると間に合いません。先に型を持っておくと、テーマが変わっても差し替えで対応できます。ここでは、もっとも依頼の多い90分の研修を例に、組み立ての手順を書きます。
対象者を1人に絞る
最初にやるのは、受講者の中の誰に向けて話すかを1人に決めることです。「管理職向け」では広すぎます。「部下からメンタル不調を打ち明けられて、どう返せばいいか分からず固まった経験のある課長」まで絞ると、話す内容が自動的に決まります。絞ると他の受講者に刺さらないのではないかと心配になりますが、実際は逆です。具体的な場面を描いたほうが、周辺にいる人にも自分ごととして届きます。
福祉の現場で働いてきた人は、この絞り込みが得意なはずです。ケース記録を書くときに、その人の生活歴と困りごとを具体的に書いてきた経験がそのまま使えます。受講者を「対象者」として捉える視点は、支援職の強みです。
時間配分を先に決める
90分なら、導入10分、本題を3ブロックで60分、演習15分、質疑5分という配分が扱いやすい形です。本題を3つに割るのは、聞く側が覚えていられる数がそのあたりだからです。伝えたいことが5つあるなら、3つに減らすか、2回に分けます。
初めて講師をする人がやりがちなのは、資料を作り込みすぎて時間が足りなくなることです。準備した内容の7割しか話せないのが普通だと思っておくと、当日あわてません。使わなかったスライドは、配布資料の巻末に付録として回せば無駄になりません。
演習を必ず1つ入れる
聞くだけの90分は、受講者の記憶にほとんど残りません。ロールプレイ、事例の読み合わせ、2人組での言い換え練習など、手を動かす時間を必ず作ります。オンラインの場合はブレイクアウトルームを使うか、チャットに一斉に書き込んでもらう形で代替できます。
演習を入れると、依頼者の評価も変わります。研修の担当者は上司や経営層に効果を報告する必要があり、「受講者が実際に手を動かした」という事実は報告しやすい材料になります。講師料の根拠を作るのは、話の内容より受講者の変化です。
オンラインで教えるときの実務
在宅で講師業を組み立てるなら、オンラインが主戦場になります。移動時間がなくなる分、引き受けられる本数が増え、遠方の依頼も取れるようになります。一方で、対面とは別の準備が要ります。
音声の質は、映像の質より優先されます。パソコン内蔵のマイクは環境音を拾いやすく、90分聞き続けると受講者が疲れます。有線のヘッドセットか、外付けのマイクを用意しておくだけで印象が変わります。金額としては5,000円から2万円程度の投資で、依頼者からの評価が安定します。
接続の確認は、当日ではなく前日までに済ませます。使用するツール、画面共有の可否、録画の可否、受講者のカメラをオンにするかどうか。この4点を事前に依頼者と確認しておくと、当日の想定外がほぼなくなります。録画の可否は特に重要で、録画された研修が社内で二次利用される場合、その範囲を先に決めておかないと後で揉めます。
配布資料は、当日ではなく数日前に送ります。依頼者側で印刷や事前配布の手配が必要なことが多く、直前に送ると担当者の負担になります。この一手間が、次の依頼につながるかどうかを分けます。
始めてから起きやすいつまずき
講師を始めた人が最初の1年でぶつかる問題は、だいたい決まっています。先に知っておけば避けられるものばかりです。
ひとつは、単価を下げてしまうことです。実績がないうちは自信が持てず、提示された金額をそのまま受けるか、自分から安く申し出てしまう。ところが一度決めた単価は、同じ依頼者に対して上げにくい。最初の1本は無償や低単価でもかまいませんが、そのときに「今回は初回のため特別価格です」と伝えておくと、次から通常価格に戻せます。
ふたつめは、断れなくなることです。副業として受けている以上、本業と家庭の予定が優先されます。にもかかわらず、依頼を断ると次が来ないのではないかと考えて無理に受け、体調を崩す人がいます。受けられる本数の上限を先に決めておくのが対策です。月に何本までと決めて、それを超える依頼は日程をずらして提案します。
3つめは、内容が更新されないことです。制度は変わります。障害福祉サービスの報酬改定、関連する法令の改正、統計の更新。1年前の資料をそのまま使い続けると、受講者の中にいる詳しい人に気づかれます。年に1回は資料を見直す日を決めておきます。厚生労働省の公表資料は制度改正のたびに更新されるため、担当分野のページを確認する習慣をつけておくと安全です。
4つめは、確定申告の準備を後回しにすることです。給与として支払われる場合と、報酬として源泉徴収される場合で扱いが違います。年間の所得額によっては申告が必要になり、経費として計上できるものも変わります。案件ごとに支払調書と振込明細を残しておくだけで、翌年の作業が大きく楽になります。
依頼を受けるときに確認する5項目
依頼のメールが来た時点で、この5つを聞き返します。ここが決まらないまま準備を始めると、後から条件が動いて手戻りになります。
1つ目は、受講者の人数と属性です。20人と100人では演習の設計が変わります。属性は職種と経験年数まで聞いておくと、話の高さを合わせられます。
2つ目は、研修の目的です。担当者が上司から何を言われてこの研修を企画したのかを聞きます。「離職が続いているので何とかしたい」なのか「制度上やらなければならない」なのかで、講師に求められるものが違います。前者なら中身を作り込む価値があり、後者ならカリキュラムに忠実に進めるのが正解です。
3つ目は、報酬の形と支払時期です。給与扱いか報酬扱いか、源泉徴収の有無、交通費の扱い、支払いが何日締めの何日払いか。ここを最初に確認しておかないと、実施から入金まで2か月以上空くことがあります。
4つ目は、資料の権利と再利用の範囲です。録画を社内のeラーニングに載せるのか、資料を他部署に配るのか。追加の対価が発生する使い方なら、その場で条件を伝えます。
5つ目は、当日の連絡先です。会場やオンラインでトラブルが起きたときに直接つながる相手を、事前に把握しておきます。
この5項目を確認するメールを定型文として持っておくと、依頼が来るたびに書く手間がなくなります。返信が早い講師は、それだけで信頼されます。
運営者として見てきた、教える仕事の伸び方
在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言うと、講師として長く続く人には共通点があります。話がうまい人ではなく、依頼者の手間を減らす人です。
具体的には、資料を早めに出す、当日の機材や進行の確認を自分から投げる、終了後に受講者の反応を短く報告する。この3つをやる講師は、次の期にもう一度呼ばれます。研修の担当者は、たいてい研修が本業ではありません。総務や人事の担当者が他の業務と並行して回している。だから「この人に頼むと自分の仕事が減る」という感覚が、講師料の多寡より強く効きます。
もう一つ、報酬の受け取り方について。研修会社や仲介を経由すると、講師料からマージンが引かれます。同じ10万円の予算でも、間に何社入るかで手元に残る額は変わります。近年は在宅ワーク仲介サイトの側でも手数料0%で直接やり取りできる仕組みが出てきており、依頼者は同じ予算でより多く頼め、受け手は手取りが厚くなる形が広がっています。額面が同じでも手取りが違うという事実は、講師業のように単価が高く本数が少ない仕事ほど効いてきます。
最後に、教える仕事が本業に返ってくる話をしておきます。研修で話すには、自分がやっていることを言葉にしなければなりません。現場では感覚でやっていた判断を、根拠のある手順として説明し直す作業になります。この作業を通ると、本業の面談やケース記録の質が上がります。副業として始めた人が、結果として本業の評価を上げているケースを何度も見てきました。教える仕事の見返りは、報酬だけではありません。
ITやオンラインの分野で人に教える仕事がどう発注されているかを知りたい場合は、ITコンサルティング・講師のお仕事の募集文が参考になります。分野は違っても、依頼者が講師に何を求めているかの書きぶりは共通しており、自分の提案文を作るときの手本になります。
よくある質問
Q. 精神保健福祉士の資格だけで講師の仕事は取れますか?
資格が要件になっている研修では有利に働きますが、企業研修やオンライン講座では資格より「何を教えられるか」で選ばれます。テーマ、対象者、時間、当日の流れを1枚にまとめた企画書を先に作るのが近道です。資格は信頼の裏付けとして効き、単価の根拠になるのは資格必須の枠に入ったときだけです。
Q. 講師の報酬はどのくらいが相場ですか?
資格スクールの講義は時給4,000円から5,000円程度、法定研修は1回あたりの拘束時間で決まる形が多く、企業の管理職研修は90分で3万円から10万円程度の提示が目立ちます。研修会社を経由するとマージンが引かれるため、同じ予算でも手元に残る額は経路で変わります。
Q. 在職中でも講師の副業はできますか?
勤務先の就業規則で副業の可否と届出の要否を先に確認してください。実施日が限られる研修講師や、在宅で進められる教材制作は、平日夜と土日で回しやすい形です。資格スクールの募集では一部科目のみの担当を相談できる例もあり、時間の制約は最初に伝えたほうが調整が進みます。
Q. 講義で本業の事例を紹介してもよいですか?
精神保健福祉士法に秘密保持義務の規定があるため、担当したケースをそのまま話すのは避けてください。年齢や地域や疾患名の組み合わせで個人が特定されることがあります。複数の事例を混ぜて再構成するか、公表されている事例を使う形が安全です。判断に迷う場合は所属先に確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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