Power Appsでガントチャートを作る方法|できることと手間のかかる点


この記事のポイント
- ✓Power Appsでガントチャートを作る方法を
- ✓ギャラリーと四角形で横棒を描く作り方
- ✓コードコンポーネントを使う方法
Power Appsでガントチャートを作りたいと考える人は、すでに Microsoft 365 を使っていて、タスクのデータを SharePoint のリストなどに持っている会社の担当者が多いはずです。Power Apps には、ガントチャートの部品が最初から用意されているわけではなく、ギャラリーと図形を組み合わせて自分で描くか、コードで作った部品を組み込む必要があります。作れることは作れますが、どこまで作り込むかによって手間が大きく変わります。この記事では、Power Appsでガントチャートを作る方法を手順と計算の式で説明し、ライセンス、手間のかかる点、ほかの道具との比べ方まで整理します。最初から工程表の画面がある道具で済ませたい場合に向くPinatecaのようなツールとの違いも紹介します。
Power Appsでガントチャートを作る前に知っておきたいこと
Power Apps は、マイクロソフトのローコードの開発ツールです。ローコードとは、プログラムをほとんど書かずに、画面の部品を並べて設定することでアプリを作る方法のことです。Power Apps で作るアプリには、画面を自由に配置するキャンバスアプリと、データの構造から画面を組み立てるモデル駆動型アプリの2種類があります。
ガントチャートとは、作業ごとに開始日と終了日を横棒で表し、日付の軸に沿って並べた工程表のことです。どの作業がいつからいつまでか、作業同士が重なっていないか、今日の時点で遅れている作業はどれかを、一目で確かめるのに使います。
Power Apps でガントチャートを作るときに最初に知っておきたいのは、標準の部品にガントチャートがないことです。Power Apps には、一覧を表示するギャラリー、文字を表示するラベル、図形の四角形などの部品がありますが、これらを組み合わせて横棒を描くのは自分の役目です。
作り方は、大きく分けて次の3つです。
| 作り方 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ギャラリーと図形で描く | 作業ごとの行に四角形を配置し、開始日と期間から位置と長さを計算する | Power Apps の基本を使える人 |
| コードコンポーネントを使う | Power Apps コンポーネント フレームワークで作られた部品を組み込む | 開発者、または開発者の支援を受けられる人 |
| 別の道具と組み合わせる | Power Apps はデータの入力に使い、工程表は別の道具で表示する | 作り込みの手間を減らしたい人 |
どの方法を選ぶかは、ガントチャートに何を求めるかで決まります。作業の期間を横棒で見られれば十分なのか、横棒をドラッグして日付を変えたいのか、作業同士の依存関係まで表したいのかによって、必要な手間がまったく違います。
データをSharePointのリストに持つ
Power Apps でガントチャートを作る場合、作業のデータをどこに持つかを最初に決めます。Microsoft 365 を使っている会社では、SharePoint のリストに持つ方法がよく使われます。SharePoint のリストとは、表の形でデータを保存できる Microsoft 365 の機能のことです。
ガントチャートに必要な最小限の列は、次のとおりです。
| 列の名前の例 | 種類 | 内容 |
|---|---|---|
| タイトル | 1行テキスト | 作業の名前 |
| 開始日 | 日付と時刻 | 作業を始める日 |
| 終了日 | 日付と時刻 | 作業を終える予定の日 |
| 担当者 | ユーザーまたはグループ | 作業の担当者 |
| 進み具合 | 数値 | 0から100の進み具合 |
| 順番 | 数値 | 表示の順番 |
列の名前は、日本語のままでも使えますが、Power Apps の式の中で扱いやすいように、作るときに英字の名前を付けておくと、後で式を書くときに迷いません。SharePoint のリストでは、列を作ったときの名前が内部の名前として残るため、最初に英字で作ってから表示の名前を日本語に変える方法がよく使われます。
作業の依存関係を表したい場合は、「先に終わっている必要がある作業」を表す列を加えます。ただし、依存関係を画面に線で描くのは、ギャラリーと図形の組み合わせでは手間が大きくなります。最初は、開始日と終了日の横棒だけを作り、必要になってから広げるほうが、完成までの道のりが短くなります。
データを Dataverse に持つ方法もあります。Dataverse とは、Power Apps で使うためのマイクロソフトのデータベースのことで、データの関係や権限を細かく管理できます。ただし、後で説明するように、Dataverse を使うとライセンスの扱いが変わるため、どちらにデータを持つかは、ライセンスと合わせて決めます。
ギャラリーと四角形で横棒を描く仕組み
ギャラリーと図形でガントチャートを描く仕組みは、考え方としては単純です。作業ごとに1行を用意し、その行の中に四角形を1つ配置します。四角形の左端の位置を開始日から、幅を作業の日数から計算すれば、横棒になります。
Power Apps のギャラリーは、データの各項目を、同じ形のテンプレートで繰り返し表示する部品です。マイクロソフトの説明によると、ギャラリーには、縦向きと横向きの表示があり、テンプレートの中に配置した部品が、データの項目ごとに表示されます。
テンプレートでこれらのコントロールを構成できます。 テンプレートは、ギャラリー内の最初の項目として表示されます。 出典: Microsoft Learn Power Apps のギャラリー コントロール
つまり、テンプレートの1行目に四角形を配置し、その位置と幅を式で決めておけば、すべての作業の行に横棒が描かれます。
計算に使うのは、日付の差を求める DateDiff 関数です。DateDiff は、2つの日付の間の差を、日や時間などの単位で返す関数です。表示の基準とする開始の日から、作業の開始日までの日数を求め、それに1日あたりの幅を掛けると、四角形の左端の位置が決まります。作業の開始日から終了日までの日数に1を足し、1日あたりの幅を掛けると、四角形の幅が決まります。日付の関数の詳細は、Microsoft Learn の DateAdd、DateDiff、TimeZoneOffset 関数のページで確かめられます。
作り方の手順
ギャラリーと四角形で、簡単なガントチャートを作る手順を順番に整理します。ここでは、SharePoint のリストに Tasks という名前で作業のデータがあり、StartDate(開始日)と EndDate(終了日)の列があるものとします。
- キャンバスアプリを作り、データの接続に SharePoint の Tasks のリストを追加する
- 画面の OnVisible(画面を開いたとき)に、表示の基準の日と、1日あたりの幅を変数として決める
- 縦向きの空のギャラリーを配置し、Items に作業のデータを開始日の順に並べる式を入れる
- ギャラリーのテンプレートに、作業の名前を表示するラベルを左側に配置する
- ラベルの右側に四角形を配置し、X(左端の位置)と Width(幅)に計算の式を入れる
- 画面の上部に、日付の目盛りを表示する横向きのギャラリーを配置する
- 今日の日付の位置に、縦の線を表す細い四角形を配置する
2番目の変数は、たとえば次のように決めます。
Set(varStart, DateAdd(Today(), -7, TimeUnit.Days));
Set(varDayWidth, 24)
これで、今日の7日前を表示の基準の日とし、1日を24ピクセルの幅で表すことになります。
3番目のギャラリーの Items には、次のように開始日の順に並べる式を入れます。
SortByColumns(Tasks, "StartDate", SortOrder.Ascending)
5番目の四角形の X と Width には、次のような式を入れます。ラベルの幅を200ピクセルとした場合の例です。
X: 200 + DateDiff(varStart, ThisItem.StartDate, TimeUnit.Days) * varDayWidth
Width: (DateDiff(ThisItem.StartDate, ThisItem.EndDate, TimeUnit.Days) + 1) * varDayWidth
6番目の日付の目盛りは、横向きのギャラリーの Items に、表示したい日数の数だけ連続した数を作る Sequence 関数を使い、各項目に DateAdd 関数で日付を計算して表示します。
この手順で、作業の期間が横棒で並ぶ、基本のガントチャートができます。ここまでは、Power Apps の基本の操作を覚えた人なら、比較的短い時間で形にできる範囲です。
見やすくするための工夫
基本のガントチャートができたら、使う人が見やすいように工夫を加えます。よく加えられる工夫を整理します。
- 担当者ごとに横棒の色を変える
- 終了日を過ぎても進み具合が100でない作業を、目立つ色にする
- 進み具合を、横棒の中に別の色の四角形で重ねて表す
- 担当者や期間で絞り込むためのドロップダウンを配置する
- 表示の基準の日を、ボタンで1週間ずつ前後に動かせるようにする
- 週末の列を、薄い色で塗り分ける
色を変える工夫は、四角形の Fill(塗りつぶしの色)に、条件で色を切り替える式を入れて実現します。たとえば、終了日が今日より前で、進み具合が100未満なら赤、それ以外は青、といった条件です。
進み具合を重ねて表す工夫は、もう1つ四角形を配置し、幅を「作業の幅 × 進み具合 ÷ 100」で計算します。遅れている作業がひと目でわかるようになり、会議で工程を確かめるときに役立ちます。
表示の期間を動かす工夫は、ボタンの OnSelect(押したとき)に、表示の基準の日を7日ずらす式を入れて実現します。期間が長いプロジェクトでは、すべての日付を1画面に収めるのは難しいため、表示の期間を動かせるようにしておくと便利です。
こうした工夫を加えるほど、ガントチャートは使いやすくなりますが、その分だけ式が増え、後から直す人が理解しにくくなります。式には、何をしているかが分かる名前の変数を使い、作った人以外でも読めるようにしておくことが大切です。
横棒をドラッグして日付を変えるのは難しい
ガントチャートを使う人がよく求めるのが、横棒をマウスでドラッグして、開始日や終了日を変える操作です。専用のプロジェクト管理ツールでは当たり前の操作ですが、ギャラリーと図形で作ったガントチャートでは、この操作の実現が難しくなります。
キャンバスアプリの図形には、ドラッグして位置を変える仕組みが標準では用意されていません。そのため、日付を変えたいときは、横棒を選んで編集の画面を開き、日付の入力欄で変える形にするのが現実的です。
- 横棒の四角形の OnSelect に、選んだ作業を変数に入れ、編集の画面に移る式を入れる
- 編集の画面に、開始日と終了日の日付の選択の部品を配置する
- 保存のボタンで、SharePoint のリストの作業を更新する
- ガントチャートの画面に戻り、横棒の位置が変わったことを確かめる
この形でも、日付の変更はできますが、ドラッグの操作に慣れた人には手間に感じられます。ドラッグで日付を変える操作がどうしても必要な場合は、次に説明するコードコンポーネントを使うか、ガントチャートの機能を持つ別の道具を使うことを考えます。
コードコンポーネントを使う方法
Power Apps には、標準の部品にない画面を作るための仕組みとして、Power Apps コンポーネント フレームワークがあります。マイクロソフトの説明によると、この仕組みを使うと、開発者やアプリの作成者は、モデル駆動型アプリとキャンバスアプリのためのコードコンポーネントを作れます。コードコンポーネントとは、HTML、CSS、TypeScript という Web の技術で作った、独自の画面の部品のことです。
コードコンポーネントでガントチャートを作れば、横棒のドラッグや、作業の依存関係の線など、ギャラリーと図形では難しい表現ができます。マイクロソフトの説明では、リストを、カレンダーや地図のようなまったく違う見た目に変えられる例が挙げられていて、ガントチャートもこの考え方で作れます。
ただし、コードコンポーネントには次のような注意点があります。
- 作るには、Web の技術とプログラミングの知識が必要
- 会社の Power Platform の管理者が、コードコンポーネントの利用を許可している必要がある
- 外部のサービスに直接つなぐコードコンポーネントは、プレミアムの扱いになる
- オンプレミスの環境では使えない
- 部品の作り手が更新をやめると、自分たちで直す必要が出てくる
マイクロソフトの説明によると、外部のサービスやデータに直接つなぐコードコンポーネントを使うと、アプリはプレミアムになり、使う人には Power Apps のライセンスが必要になります。外部につながないコードコンポーネントなら、標準の機能だけを使うアプリは標準のままで、使う人には少なくとも Office 365 のライセンスが必要とされています。
インターネット上には、ほかの人が作ったガントチャートのコードコンポーネントが公開されていることもあります。使う場合は、作り手が信頼できるか、更新が続いているか、会社の決まりで使ってよいかを確かめてから取り入れます。
作ったアプリを共有して使ってもらう
ガントチャートのアプリができたら、チームの人に使ってもらうための準備をします。作った人の画面で動いていても、ほかの人が開けるようにするには、いくつかの設定が必要です。
共有の流れは、おおむね次のとおりです。
- アプリを保存して公開し、最新の版をほかの人が使える状態にする
- アプリの共有の設定で、使ってもらう人やグループを追加する
- データを持っている SharePoint のリストに、使う人が読み書きできる権限があるかを確かめる
- 使う人に、アプリを開くためのリンクを知らせる
- 必要なら、Teams のチャネルなど、普段使う場所からアプリを開けるようにする
見落としやすいのは、3番目のデータの権限です。アプリを共有しても、データの元になっている SharePoint のリストに権限がなければ、使う人の画面には作業が表示されません。反対に、リストに権限を与えすぎると、アプリを通さずにリストを直接書き換えられてしまいます。誰がどの作業を編集してよいかを決め、リストの権限とアプリの画面の両方で整えておきます。
使い始めの時期には、使う人から「横棒が表示されない」「日付が1日ずれる」といった問い合わせが来ることがあります。日付のずれは、時刻の扱いやタイムゾーンの違いで起きることがあるため、開始日と終了日の列の設定と、式の中の日付の扱いを確かめます。
つまずきやすい点と確かめ方
Power Apps でガントチャートを作るときに、多くの人がつまずく点と、その確かめ方を整理します。
1つ目は、横棒の位置がずれることです。四角形の X の式で、ラベルの幅を足し忘れていたり、表示の基準の日の変数が設定されていなかったりすると、横棒が左端に寄ったり、画面の外に出たりします。変数の値を画面のラベルに一時的に表示して、計算の元になる値が正しいかを確かめます。
2つ目は、横棒の長さが1日短いことです。開始日と終了日が同じ日の作業は、DateDiff の結果が0になるため、そのままでは幅が0になります。日数に1を足して、終了日の当日までを含めるようにします。
3つ目は、作業が多いと表示が遅くなることです。表示する期間や担当者で先にデータを絞り込み、画面に表示する作業の数を減らすと、表示が速くなります。
4つ目は、日付の目盛りと横棒の位置が合わないことです。目盛りのギャラリーと作業のギャラリーで、1日あたりの幅や左端の位置が違っていると、目盛りと横棒がずれて見えます。同じ変数を両方の式で使うようにしておくと、ずれを防げます。
ライセンスと料金
Power Apps でガントチャートを作るときは、ライセンスの扱いを最初に確かめておく必要があります。どのデータにつなぎ、どの部品を使うかで、使う人に必要なライセンスが変わるためです。
マイクロソフトの Power Apps の料金のページでは、主なプランが次のように示されています。
| プラン | 料金 | 主な内容 |
|---|---|---|
| Power Apps の開発者向けプラン | 無料 | 開発とテストのための環境。3つの開発者環境、2GB の Dataverse のデータベース |
| Power Apps Premium | 1ユーザーあたり月額2,998円相当(年払い、税抜) | ライセンスを持つ人がアプリを無制限に作り、使える |
| Power Apps Premium(2,000シート以上) | 1ユーザーあたり月額1,799円相当(年払い、税抜) | 2,000以上のライセンスを買う企業向け |
開発者向けプランは、無料で Power Apps と Power Automate、Dataverse を使って、アプリを作り、試すための環境です。Microsoft Learn の説明では、職場または学校のメールアドレスを持っている人が申し込めるとされています。ただし、開発とテストのためのもので、社員に日常の業務で使ってもらうためのものではありません。
SharePoint のリストのような標準のコネクタだけを使うキャンバスアプリなら、Microsoft 365 のライセンスに含まれる範囲で使える場合があります。一方、Dataverse にデータを持つ場合や、プレミアムのコネクタやコードコンポーネントを使う場合は、使う人それぞれに Power Apps のライセンスが必要になります。ライセンスの全体像は、Microsoft Power Platform のライセンスの概要で確かめられます。料金は改定されることがあるので、導入の前に公式の料金のページで今日時点の金額を確かめます。
実際の作例に学ぶ
Power Apps でガントチャートを作った例は、企業の技術者のブログなどでも紹介されています。たとえば、IIJ の技術者のブログでは、Power Apps、Power Automate、SharePoint を組み合わせて、テンプレートからガントチャートを作るアプリを作った例が紹介されています。
あらかじめプリセットされたテンプレートを用意し、利用したいテンプレートを直感的に選択するだけで、自動的にガントチャートが作成されます。 利用者は、必要な情報(期日など)を入力するだけで、プロジェクトに合わせたガントチャートが完成します。 出典: IIJ Engineers Blog Power Appsでガントチャートアプリ作ってみた
この例が参考になるのは、ガントチャートを一から描くことよりも、「よく使う作業の並びをテンプレートにして、日付を入れるだけで工程表ができる」という使い方に焦点を当てている点です。同じ種類の案件を繰り返し進める会社では、作業の項目や順番はほぼ決まっていて、変わるのは日付と担当者だけ、ということがよくあります。そうした会社では、テンプレートから作業を作る仕組みのほうが、横棒の見た目を作り込むより効果が大きくなります。
Power Automate とは、マイクロソフトの業務の自動化のツールで、決まった手順の処理を自動で実行できます。Power Apps で入力を受け付け、Power Automate で SharePoint にデータを作る、という組み合わせは、Microsoft 365 を使う会社でよく見られる形です。
手間のかかる点
Power Apps でガントチャートを作ることはできますが、実際に作って使い続けるには、いくつかの手間がかかります。導入を決める前に、手間のかかる点を整理しておきます。
1つ目は、作る手間です。基本の横棒を描くところまでは短い時間でできても、色分け、絞り込み、表示の期間の切り替え、編集の画面、今日の線などを加えていくと、作り込みに時間がかかります。
2つ目は、表示の速さです。作業の数が多くなると、ギャラリーの中の部品の数が増え、画面の表示が遅くなることがあります。SharePoint のリストから大量のデータを読み込む場合は、データの絞り込みの書き方にも注意が必要です。
3つ目は、直し続ける手間です。業務の流れが変わったり、新しい列が必要になったりするたびに、アプリを直す必要があります。作った人が異動や退職でいなくなると、誰も直せないアプリが残ることがあります。
4つ目は、ライセンスの管理です。使う人が増えたり、Dataverse やプレミアムのコネクタを使うようになったりすると、ライセンスの費用が変わります。
5つ目は、ガントチャートに求められる機能の多さです。依存関係の線、クリティカルパスの表示、マイルストーン、ドラッグでの日付の変更、印刷や画像での書き出しなど、使う人の要望は広がりがちです。すべてを自分で作ろうとすると、専用のツールを買うより費用と時間がかかることがあります。
Microsoft 365 の中のほかの選択肢
Microsoft 365 を使っている会社でガントチャートが必要な場合、Power Apps で作る以外の選択肢もあります。マイクロソフト自身のタスク管理の製品である Planner には、ガントチャートを表示できるプランがあります。
マイクロソフトの Planner のプランと料金のページによると、Planner Plan 1 には、カレンダー、タイムライン(ガント)、People のビューや、タスクの依存関係、マイルストーン、カスタムのタスクのフィールドが含まれていて、料金は1ユーザーあたり月額1,499円相当(年払い、税抜)と示されています。さらに上位のプランには、ベースラインとクリティカルパス、リードとラグによる高度な依存関係が含まれています。
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| Power Apps で作る | 自社の業務に合わせた入力や表示が必要な場合 | 作る手間と直し続ける手間がかかる |
| Planner の上位のプラン | Microsoft 365 の中で標準的な工程表を使いたい場合 | 使う人ごとにプランの費用がかかる |
| 別のプロジェクト管理ツール | 社外の人とも工程を共有したい場合や、すぐに使い始めたい場合 | Microsoft 365 との連携の範囲を確かめる |
自社の業務に特有の入力の画面や、ほかの業務のデータと組み合わせた表示が必要なら、Power Apps で作る意味があります。反対に、一般的な工程表が使えれば十分なら、最初からガントチャートの画面を持つ製品を使ったほうが、作る手間も直し続ける手間もかかりません。
最初からガントの画面がある道具という選択肢
Power Apps でガントチャートを作る手間を考えると、「工程表の画面が最初からある道具を使い、Power Apps はほかの業務のアプリづくりに使う」という分け方も現実的です。特に、少人数のチームや、社外のメンバーと一緒に工程を確かめたい場合は、作り込みの手間をかけずに使える道具が向いています。
こうした場面の候補の1つが、ボード型のプロジェクト管理ツールの Pinateca です。公式サイトによると、カンバン、ガント、カレンダー、リスト、時間割、リソースなど8種類のボードが、無料プランから使えます。ガントのボードでは、カードの期間がそのまま横棒で並び、バーをドラッグすると開始日も締め切りもその場で変わります。今日の線で遅れている作業がひと目で分かり、担当者別、ラベル別に絞り込めることも紹介されています。Power Apps で作り込むと手間のかかるドラッグの操作や今日の線が、最初から用意されているということです。
カードには、見積もりの工数や優先度、顧客名などの項目を自由に加えられ、カードごとのコメントやワークスペースごとのチャットで、作業の話し合いもできます。社外のゲストを招待できる権限の仕組みもあると書かれています。料金のページによると、5人まで、ボード10個までのフリープランがあり、クレジットカードの登録は不要です。6人目、または11個目のボードからは、1人あたり月額500円(税抜)のスタンダードプランになると案内されています。
使い分けの例としては、社内の申請や記録のように自社に特有の業務は Power Apps のアプリで回し、プロジェクトの工程と担当の管理は Pinateca のガントやカンバンで行う、という形が考えられます。機能と料金の詳細はPinatecaの紹介ページで確かめられます。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
作るか、使うかを決める考え方
Power Apps でガントチャートを作るか、既存の道具を使うかは、次の問いに答えていくと決めやすくなります。
- ガントチャートで、自社に特有の入力や表示が必要か
- 作ったアプリを直し続けられる人が社内にいるか
- 使う人の数と、必要なライセンスの費用はどのくらいか
- 社外の人と工程を共有する必要があるか
- ドラッグでの日付の変更や依存関係の表示が必要か
1と2の答えが「はい」なら、Power Apps で作る意味があります。自社の業務の流れに合わせた画面を作れることは、Power Apps の大きな強みです。反対に、2の答えが「いいえ」なら、作った人がいなくなった後に困ることを考えて、既存の道具を選ぶほうが安全です。
4と5の答えが「はい」の場合は、専用の機能を持つ道具のほうが、短い時間で求める画面にたどり着けます。
どちらを選ぶにしても、最初は小さく試すことが大切です。Power Apps なら開発者向けプランで、既存の道具なら無料のプランや試用で、実際の作業のデータを少し入れてみて、使う人の反応を確かめてから決めると、導入の後の後悔を減らせます。
業務のアプリづくりを仕事にする
Power Apps のようなローコードのツールが広がるにつれて、会社の業務に合わせたアプリを作り、使い方を定着させる仕事の需要が高まっています。ガントチャートのように、標準の部品にない画面を工夫して作れる人は、会社の中でも外でも頼りにされます。
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、業務のアプリづくりの仕事を長く任される人は、作る技術だけでなく、「この業務には本当にアプリが必要か、既存の道具で足りないか」を相手と一緒に考えられる人です。作り込む前に、何を作らないかを決められる人のほうが、結果として相手の手間と費用を減らし、次の仕事にもつながっています。
Power Apps とほかのローコードのツールを比べたい人は、中小企業のノーコード活用2026|kintone vs Power Apps vs Bubbleで、それぞれの得意なことと選び方を確かめられます。業務のアプリの開発の仕事の中身は、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。会社の業務に道具を導入し、使い方を定着させる支援の仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で確かめられます。
よくある質問
Q. Power Appsにガントチャートの部品はありますか?
Power Apps の標準の部品には、ガントチャートはありません。ギャラリーと四角形を組み合わせ、DateDiff 関数で開始日と期間から横棒の位置と幅を計算して描くのが一般的な方法です。横棒のドラッグなどが必要な場合は、Power Apps コンポーネント フレームワークで作ったコードコンポーネントを使う方法があります。
Q. Power Appsでガントチャートを作るのに有料のライセンスは必要ですか?
使うデータと部品によって変わります。SharePoint のリストのような標準のコネクタだけを使うアプリなら、Microsoft 365 のライセンスの範囲で使える場合があります。Dataverse やプレミアムのコネクタ、外部につなぐコードコンポーネントを使うと、使う人に Power Apps のライセンスが必要です。
Q. Power Appsのガントチャートで横棒をドラッグして日付を変えられますか?
ギャラリーと図形で作ったガントチャートでは、図形をドラッグして位置を変える仕組みが標準で用意されていないため、難しい操作です。横棒を選んで編集の画面を開き、日付の入力欄で変える形にするのが現実的です。ドラッグの操作が必要なら、コードコンポーネントや専用のツールを考えます。
Q. Microsoft 365の中でガントチャートを使う方法はほかにありますか?
マイクロソフトの Planner には、タイムライン(ガント)のビューを含むプランがあります。料金のページでは、Planner Plan 1 にタイムライン(ガント)やタスクの依存関係、マイルストーンが含まれると示されています。自社に特有の画面が不要なら、こうした製品を使うほうが作る手間はかかりません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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