ガントチャートの作り方|作業の洗い出しから日程の引き方まで


この記事のポイント
- ✓ガントチャートの作り方を
- ✓進み具合の更新まで順に解説します
- ✓専用の道具を選ぶときの比べ方も整理します
ガントチャートを作るように言われたものの、何から手を付ければよいか分からない。表計算ソフトを開いたところで手が止まってしまった。そんな人に向けて、この記事ではガントチャートの作り方を、最初の作業の洗い出しから、日程の引き方、日々の更新まで順番に説明します。先に結論を言うと、ガントチャートづくりで一番時間をかけるべきなのは、横棒を描く作業ではなく、その前の「やることを漏れなく書き出し、順番と期間を決める」作業です。ここが固まれば、ExcelでもGoogleスプレッドシートでも専用の道具でも、ガントチャートそのものは短い時間で作れます。
ガントチャートとは:作業と日程を1枚で見渡す表
ガントチャートとは、縦にやることを並べ、横に日付を並べて、それぞれの作業をいつからいつまで行うかを横棒で示した表のことです。100年以上前に考案された方法で、今も工事、製造、システム開発、イベントの準備など、さまざまな現場で使われています。
ガントチャートを見ると、次のことが1枚で分かります。
- 全体でどんな作業があるか
- それぞれの作業がいつ始まり、いつ終わる予定か
- どの作業とどの作業が同じ時期に重なっているか
- 今日の時点で、予定より遅れている作業はどれか
文章で書かれた計画書では、作業の重なりや遅れがひと目では分かりません。ガントチャートは、時間の流れを横棒の長さと位置で表すので、関わる人全員が同じ絵を見ながら話せる点が大きな利点です。
医療や介護の現場にも、似た考え方の表があります。入院から退院までの検査や処置、指導の予定を日ごとに並べたクリニカルパスは、その代表です。だれが見ても「今日は何をする日か」が分かるように作られていて、ガントチャートと同じく、作業と日程を1枚で共有するための道具と言えます。
ガントチャートとWBSの違い
ガントチャートとよく一緒に出てくる言葉に、WBSがあります。WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトでやることを大きな単位から小さな単位へ、木の枝のように分けて書き出した一覧のことです。日本語では「作業分解構成図」と呼ばれます。
2つの違いは、扱う軸にあります。
| 項目 | WBS | ガントチャート |
|---|---|---|
| 主に表すもの | やることの中身と分け方 | やることの日程と重なり |
| 時間の軸 | 持たない(一覧や階層) | 持つ(横に日付が並ぶ) |
| 作る順番 | 先に作る | WBSをもとに作る |
つまり、WBSは「何をするか」、ガントチャートは「いつするか」を表します。WBSでやることを漏れなく洗い出し、その一覧に期間と順番を加えて横棒にしたものがガントチャートだと考えると分かりやすいでしょう。
小さなプロジェクトでは、WBSを別に作らず、ガントチャートの左側の作業の一覧をそのままWBSとして使うことも多くあります。ただし、作業の数が50を超えるような大きなプロジェクトでは、先にWBSで全体を整理しておくと、ガントチャートの作業の漏れが減ります。
作り方の全体像:5つのステップ
ガントチャートの作り方は、どの道具を使っても次の5つのステップに分けられます。
- ゴールと期限を決める
- やることを洗い出す
- 作業の順番と、前後のつながりを決める
- それぞれの作業にかかる期間と担当を決める
- 日付の上に横棒を引き、進み具合を更新していく
このうち、1から4までは表計算ソフトを開く前にできる作業です。紙やホワイトボードに書き出すほうが、かえって早く進むこともあります。ここからは、それぞれのステップを詳しく見ていきます。
ステップ1:ゴールと期限を決める
最初に決めるのは、このプロジェクトが何をもって終わりとするか、そしてそれはいつまでか、です。
ゴールがあいまいなままだと、やることの洗い出しで迷います。たとえば「新しい問い合わせ窓口を作る」というプロジェクトなら、「窓口のWebフォームを公開し、担当者が対応を始められる状態にする」のように、終わった状態を具体的に書きます。
期限は、外から決まっている日付(イベントの開催日、制度の開始日、お客様との約束の日など)があれば、それを最初に書き込みます。外から決まった期限がないプロジェクトでも、仮の期限を決めておかないと、ガントチャートの右端が決まりません。
この段階で、プロジェクトに関わる人と、最終的に判断する人もはっきりさせておきます。後で「この作業はだれが決めるのか」と止まるのを防げます。
ステップ2:やることを洗い出す
ガントチャートづくりで最も大切で、最も時間がかかるのがこのステップです。プロジェクト管理の道具を提供するヌーラボのブログでも、次のように書かれています。
ガントチャート作成で最も手間がかかるのは、実はバーを描く作業ではなく、タスクを漏れなく洗い出し、1件ずつ登録していく作業です。 出典: backlog.com
洗い出しは、次の順で進めると漏れが減ります。
大きな区切りから書く
いきなり細かい作業を書き始めると、全体の抜けに気づけません。まず「準備」「作る」「確かめる」「公開する」のような大きな区切りを3つから6つほど書き、その下に具体的な作業を書いていきます。これが先ほどのWBSの考え方です。
1つの作業は「だれが、何をしたら終わりか」が分かる大きさにする
「資料を作る」では大きすぎて、どこまで進んだのかが分かりません。「料金表の下書きを作る」「上長の確認をもらう」「確認を受けて直す」のように、終わったかどうかをはっきり判断できる単位に分けます。目安として、1つの作業が1日から5日ほどで終わる大きさにすると、進み具合を追いやすくなります。
確認や待ち時間も作業として書く
見落としやすいのが、だれかの確認を待つ時間、外部への申請の結果を待つ時間、物が届くのを待つ時間です。自分の手は動かなくても日数はかかるので、作業として書き出しておかないと、日程が必ずずれます。
関わる人と一緒に見直す
1人で洗い出すと、自分の担当外の作業が抜けがちです。書き出した一覧を関わる人に見てもらい、「この作業が抜けている」「この作業はもっと分けたほうがいい」と意見をもらいましょう。最近は、作業の洗い出しの下書きをAIに任せる方法も広がっています。AIに出してもらった一覧を叩き台にして、人が抜けや重複を直すと、ゼロから書くより早く進みます。
ステップ3:作業の順番とつながりを決める
作業の一覧ができたら、次はそれぞれの作業の順番を決めます。ここで大事なのは、作業同士のつながりです。
作業のつながりには、主に次の形があります。
- ある作業が終わらないと、次の作業を始められない(下書きが終わらないと確認を頼めない)
- 2つの作業を同時に進められる(デザインを作りながら、文章を書く)
- ある作業が始まったら、別の作業も始められる
最も多いのは1つ目の「前の作業が終わってから次を始める」形です。作業の一覧の横に「前に終わっている必要がある作業」の欄を作り、作業ごとに書き込んでいくと整理しやすくなります。
順番を決めると、プロジェクトの中で「この作業が1日遅れると、全体の終わりも1日遅れる」という作業の連なりが見えてきます。これをクリティカルパスと呼びます。クリティカルパスとは、プロジェクトの最初から最後までをつなぐ作業の連なりのうち、最も時間がかかる道筋のことです。この道筋の上にある作業は、遅れがそのまま全体の遅れになるので、特に注意して見守ります。
ステップ4:期間と担当を決める
それぞれの作業に、かかる日数と担当者を割り当てます。
期間は「実際に作業できる日」で見積もる
期間を見積もるときは、その人が1日中その作業だけに集中できるとは限らない点に気をつけます。ほかの仕事と並行するなら、1日に使える時間は半分以下かもしれません。過去に似た作業をしたときにかかった日数を思い出し、それをもとに見積もると、大きく外れにくくなります。
余裕は全体の最後にまとめて持つ
作業ごとに少しずつ余裕を足していくと、全体がどんどん長くなります。一方で、余裕をまったく持たないと、1つの遅れで全体が崩れます。作業ごとの期間は現実的な日数で見積もり、全体の最後や大事な節目の前に、まとめて予備の日数を取っておくのが扱いやすい方法です。
1人に作業が集中していないか確かめる
担当を割り当てたら、同じ時期に1人の担当者に作業が重なっていないかを確かめます。ガントチャートで担当者ごとに色を変えておくと、重なりが見つけやすくなります。
医療の現場でも、勤務表を作るときに同じ人に夜勤が続いていないかを確かめるのと同じ考え方です。看護師の勤務表を作った経験のある人なら、ガントチャートの担当の割り当ては、勤務表づくりと似た感覚で進められるはずです。
ステップ5:日付の上に横棒を引く
ここまで決まれば、いよいよガントチャートの形にします。左側に作業の一覧、上に日付を並べ、それぞれの作業の開始日から終了日までのマスに色を付けていきます。
横棒を引くときは、次の点を意識すると見やすくなります。
- 大きな区切りの行は太字にして、その下の作業と見分けやすくする
- 土日や休みの日の列は灰色にして、作業できない日がひと目で分かるようにする
- 今日の日付の列に色を付け、予定と現在の位置を比べやすくする
- 大事な節目(確認の日、公開の日など)には、横棒ではなく印を付ける
完成したら、関わる人全員に共有します。共有した後で日程を変えるときは、変えた理由と日付を記録しておくと、後で振り返るときに役立ちます。
例で見る:社内勉強会の準備をガントチャートにする
ここまでの5つのステップを、具体的な例で通してみます。職場で、外部の講師を招いた勉強会を6週間後に開く、という場面を考えます。
ゴールと期限
ゴールは「6週間後の金曜日に、30人が参加する勉強会を開き、終わった後に参加者のアンケートを集め終える」です。期限は開催日と、その翌週のアンケートの締め切りの2つです。
洗い出した作業と期間
大きな区切りを「企画」「講師」「会場と案内」「当日」「振り返り」の5つにし、その下に作業を書き出します。
| 区切り | 作業 | 期間の目安 | 前に終わっている必要がある作業 |
|---|---|---|---|
| 企画 | テーマと対象者を決める | 2日 | なし |
| 企画 | 上長の承認をもらう | 3日 | テーマと対象者を決める |
| 講師 | 講師の候補に依頼する | 5日 | 上長の承認 |
| 講師 | 講師と内容を打ち合わせる | 3日 | 講師に依頼する |
| 会場と案内 | 会場を予約する | 2日 | 上長の承認 |
| 会場と案内 | 案内文を作り、参加を募る | 10日 | 講師との打ち合わせ、会場の予約 |
| 当日 | 資料を受け取り、印刷する | 3日 | 講師との打ち合わせ |
| 当日 | 会場の準備と受付 | 1日 | 参加の募集 |
| 振り返り | アンケートを集めて報告する | 5日 | 当日 |
つながりから見える大事な道筋
この表を見ると、「テーマを決める」から「承認」「講師への依頼」「打ち合わせ」「参加の募集」「当日」へとつながる道筋が、最も長いことが分かります。これがクリティカルパスです。講師の返事が遅れると、案内を出すのが遅れ、参加者が集まりにくくなる、という連鎖が見えます。だからこそ、講師への依頼はなるべく早く出し、返事を待つ間に会場の予約を並行して進める、という段取りが立てられます。
横棒にしてみる
この一覧をもとに、日付の上に横棒を引けば、6週間の中でどの週に何が重なるかがひと目で分かります。たとえば、案内文を作る時期と資料を受け取る時期が重なるなら、担当を分けておく必要があると気づけます。小さな勉強会でも、一度ガントチャートにしてみると、頭の中だけで段取りしていたときには見えなかった重なりや待ち時間が見えてきます。
紙やホワイトボードで作る方法も侮れない
ガントチャートは、パソコンがなくても作れます。むしろ、最初の洗い出しや順番を決める段階では、紙やホワイトボードのほうが早く進むことも多くあります。
おすすめは、付箋を使う方法です。1枚の付箋に1つの作業を書き、ホワイトボードや大きな紙に貼っていきます。横に日付の目盛りを書いておき、作業の付箋を開始日の位置に貼れば、それだけで簡単なガントチャートになります。付箋の横幅を期間の長さに合わせて切ると、さらに分かりやすくなります。
付箋の良いところは、何度でも貼り直せることです。関わる人が集まって「この作業はこっちが先」「この作業は同時に進められる」と話しながら動かしていくと、全員が納得した順番が短い時間で決まります。看護の現場で、ナースステーションのホワイトボードに患者さんごとの予定を書いて共有しているのと同じように、目の前で全員が同じものを見ながら決めると、認識のずれが起きにくくなります。
付箋で順番と期間が固まったら、その内容を表計算ソフトや専用の道具に写します。最初から画面の上で作ろうとすると、操作に気を取られて考えが止まりがちです。考える段階は紙で、共有と更新の段階は画面で、と分けるのが効率のよい進め方です。
Excelでガントチャートを作る方法
多くの職場で最初に使われるのが、Excelです。マイクロソフトのサポートページでは、次のように案内されています。
Excel には事前定義されたガント チャートの種類はありませんが、これらの無料のガント チャート テンプレートを使用して作成できます。 出典: support.microsoft.com
つまり、Excelにはガントチャート専用のグラフはなく、テンプレートを使うか、自分で表を工夫して作ることになります。自分で作る場合によく使われるのは、セルに色を塗る方法です。
セルに色を塗って作る手順
- A列に作業名、B列に担当者、C列に開始日、D列に終了日を入力する
- E列から右に、1日ずつ日付を並べる(1行目か2行目を日付の行にする)
- 日付のマスの範囲を選び、「ホーム」タブの「条件付き書式」から新しいルールを作る
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選び、日付がその行の開始日以上で終了日以下のときに色を付ける数式を入れる
- 色を選んで保存すると、開始日から終了日までのマスに色が付く
数式は、日付が2行目、作業が3行目から始まる表なら、たとえば「=AND(E$2>=$C3,$D3>=E$2)」のような形になります。行と列の固定の記号($)の位置を間違えると色がずれるので、最初は数行で試してから全体に広げましょう。
この方法の利点は、開始日と終了日を書き換えるだけで、横棒の位置が自動で変わることです。手でマスを塗る方法に比べて、日程の変更に強くなります。
Excelで作るときの向き不向き
Excelで作るガントチャートは、追加の費用がかからず、多くの人が操作に慣れている点が強みです。一方で、作業の数が増えると表が横にも縦にも長くなり、見通しが悪くなります。複数の人が同時に書き換えると、どれが最新か分からなくなることもあります。作業が数十件まで、関わる人が数人までなら、Excelで十分に回せます。ファイルを共有するときは、ファイル名に更新した日付を入れるか、共有のフォルダに1つだけ保存して全員がそれを開く決まりにすると、古い版を見てしまう事故を防げます。
Googleスプレッドシートで作るときの考え方
複数の人で同じ表を見ながら更新したいなら、Googleスプレッドシートのように、ブラウザで同時に編集できる表計算ソフトが向いています。作り方の考え方はExcelと同じで、作業名、担当者、開始日、終了日の列を作り、日付のマスに条件付き書式で色を付けます。
同時に編集できる表計算ソフトを使うときは、次の決まりを最初に作っておくと混乱が減ります。
- 開始日と終了日を書き換えてよい人を決める
- 進み具合を書き込む列を作り、担当者が自分で更新する
- 週に1回、全員で表を見ながら遅れを確かめる時間を取る
表計算ソフトでのガントチャートは、作る人の工夫次第でかなりのところまで使えます。ただし、作業同士のつながりを自動で反映したり、遅れを自動で知らせたりする機能はないので、そこは人が補う必要があります。
作った後の更新が、ガントチャートの本番
ガントチャートは、作って配った時点では計画にすぎません。役に立つのは、日々の進み具合を反映して、予定と現実の差を見えるようにしてからです。
進み具合の書き方を決める
作業ごとに「未着手」「進行中」「完了」の状態を書くか、進み具合を割合で書くかを決めます。割合で書くと細かく見えますが、「80%のまま1週間止まっている」ということがよく起きます。終わったかどうかをはっきり判断できる大きさに作業を分けておけば、状態だけで十分に追えます。
遅れに気づいたら、すぐに日程を引き直す
遅れている作業を見つけたら、その作業の後ろにつながる作業の日程も合わせて見直します。特に、クリティカルパスの上にある作業の遅れは、全体の終わりの日に直結します。遅れを隠したまま元の日程を守ろうとすると、後の作業にしわ寄せがいき、最後に大きく崩れます。
定期的に関わる人と見る
週に1回など、決まった間隔で関わる人とガントチャートを見る時間を取ります。予定と現実の差を全員で確かめ、必要なら作業の分担や順番を変えます。ガントチャートは、こうした話し合いのための共通の地図として使うと、最も力を発揮します。
日程を変えた記録を残す
日程を引き直したときは、いつ、どの作業の日程を、なぜ変えたのかを、ガントチャートの横の欄や別のメモに残しておきます。「講師の返事が3日遅れたため、案内の開始を3日後ろにずらした」のように一行で十分です。プロジェクトが終わった後に記録を読み返すと、どの種類の作業で見積もりが外れやすいかが分かり、次のプロジェクトの見積もりの精度が上がります。
ガントチャートの見せ方を工夫する
同じ内容のガントチャートでも、見せ方によって伝わりやすさが変わります。よく使われる工夫を紹介します。
予定と実績を2本の棒で並べる
1つの作業に、予定の横棒と、実際にかかった期間の横棒を上下に並べる方法です。予定より長くかかった作業や、遅れて始まった作業がひと目で分かります。プロジェクトが終わった後の振り返りでも、どこで見積もりが外れたかを確かめるのに役立ちます。
節目に印を付ける
承認の日、公開の日、納品の日のように、期間ではなく1日だけの大事な節目には、横棒ではなく印を付けます。こうした節目はマイルストーンと呼ばれます。マイルストーンとは、プロジェクトの途中で必ず通過しなければならない大事な地点のことです。印があると、関わる人が「この日までにここまで終わっていればよい」と目標を持ちやすくなります。
担当者ごとに色を分ける
担当者ごとに横棒の色を変えると、だれの作業がいつ集中しているかが見えます。逆に、作業の種類ごとに色を分ける方法もあります。何を一番伝えたいかで、色の分け方を選びましょう。
表示する期間を切り替える
半年や1年のような長いプロジェクトでは、日単位の表示では横に長くなりすぎます。全体を見るときは週や月の単位で表示し、今週の作業を見るときは日の単位で表示する、と切り替えると見やすくなります。
ガントチャートが向かない仕事もある
ガントチャートは万能ではありません。向いているのは、始まりと終わりがはっきりしていて、作業の順番がある程度決まっているプロジェクトです。
一方で、毎日のように新しい依頼が届き、届いた順に片付けていく仕事には向きません。問い合わせ対応、日々の事務作業、記事の執筆の依頼の管理などがその例です。こうした仕事では、作業を「未着手」「進行中」「完了」の列に分けたカードで管理するカンバンという方法のほうが扱いやすくなります。カンバンとは、作業を書いたカードを状態ごとの列に並べ、進み具合に合わせてカードを右へ動かしていく管理の方法のことです。
実際の仕事では、両方を使い分けることがよくあります。全体の大きな日程はガントチャートで見て、日々の細かな作業はカンバンで回す、という組み合わせです。最初からすべてをガントチャートに詰め込もうとせず、仕事の性質に合わせて道具を選ぶと、管理の手間が減ります。
ガントチャートづくりで失敗しやすい点
ガントチャートを初めて作るときに起きやすい失敗と、その避け方をまとめます。
作業を細かくしすぎる
細かくすればするほど正確になる、と考えがちですが、作業が数百件になると、更新するだけで手間がかかり、だれも更新しなくなります。1つの作業が1日から5日で終わる大きさを目安にし、それより細かい作業は担当者の手元のメモで管理しましょう。
待ち時間を書き忘れる
先ほど触れたとおり、確認待ちや外部の手続きの待ち時間を書き忘れると、日程が必ずずれます。特に、役所への申請や外部の審査のように、自分たちでは早められない待ち時間は、余裕を持って見積もります。
作ったまま更新しない
最も多い失敗がこれです。最初に時間をかけて作ったのに、日々の更新が続かず、1か月後には現実とかけ離れた表になっている。更新の担当と頻度を最初に決めておくことが、何よりの対策です。
全員が見られる場所にない
ガントチャートが作った人のパソコンの中にしかないと、ほかの人は最新の日程を知りようがありません。共有のフォルダや、ブラウザで見られる場所に保存し、関わる人がいつでも開けるようにしておきます。
専用の道具を選ぶときの比べ方
作業の数や関わる人が増えてきたら、ガントチャートを作れるプロジェクト管理の道具を検討する時期です。選ぶときは、次の点を比べます。
- 無料で使える範囲(人数、プロジェクトの数、ボードの数)
- ガントチャートが無料のプランから使えるか
- 横棒をドラッグして日程を変えられるか
- 作業ごとのコメントやファイルのやり取りが同じ場所でできるか
- 料金が人数で決まるのか、組織で決まるのか
料金や上限は改定されることがあるので、契約前には必ず各社の公式の料金ページで最新の内容を確かめてください。たとえば、プロジェクト管理の道具として知られるBacklogは、2027年1月1日からプランを改定すると公式ブログで告知しています。現行のプランの新規契約は2026年12月31日までで、新しいプランはエコノミー、ビジネス、プロフェッショナルの3つになり、フリープランのユーザーの上限は10名から5名に変わります。新しいエコノミーの月払いの料金は月額21,000円(税抜)です。こうした改定の予定も、道具を選ぶときの大事な判断材料になります。
無料から試せるガントチャートの道具
少人数のチームで、ガントチャートとほかの見え方を切り替えながら使いたい場合の候補の1つに、Pinateca(ピナテカ)があります。公式サイトでは、カンバン、ガント、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが、無料のプランから使えるプロジェクト管理の道具として紹介されています。
ガントのボードでは、カードの期間がそのまま横棒で並び、バーをドラッグすると開始日も締切もその場で変わると説明されています。今日の位置を示す線で遅れている作業が分かり、担当者別やラベル別に絞り込めます。作業ごとのコメントやチャットも同じ画面にあるので、日程の相談と作業の記録を一か所にまとめられます。
公式の料金ページによると、フリープランは5人まで、ボード10個まで、ファイル容量1GBで、期限なく無料です。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランになり、料金は1人あたり月額500円(税抜、年払いなら1人あたり月額400円)で、人数とボードの上限がなくなります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
ただ、どの道具を選ぶにしても、作業の洗い出しと順番の整理という前半のステップは、人が考えるしかありません。道具は、その結果を見やすく保ち、更新しやすくするためのものです。まずは小さなプロジェクトで、Excelや無料の道具を使って一度作ってみると、自分たちに必要な機能がはっきりします。
段取りを図にする力は、仕事として求められる
ガントチャートを作れる力は、プロジェクトを任される立場の人だけでなく、在宅で業務委託を受ける人にも役立ちます。複数の依頼主から仕事を受けていると、締切の重なりを自分で管理する必要があるからです。依頼主に作業の予定をガントチャートで示せば、「この人は段取りがしっかりしている」と信頼されやすくなります。
業務の進め方を整える仕事そのものも、外部に頼まれることが増えています。AIを業務に取り入れる手伝いをする仕事の範囲は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。業務の改善を経営の側から支える専門家としては、中小企業診断士の資格があり、資格の内容と試験の概要をまとめています。
医療や介護の現場で事務や段取りを担ってきた人は、その経験をそのまま生かせます。医療機関の受付や会計の仕事に関わる資格として、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)の内容も確かめておくとよいでしょう。
運営者の視点から見た、段取りを見せられる人の強さ
在宅ワークと業務委託の市場を長く見てきた立場から言えば、長く依頼が続く人に共通しているのは、作業の質だけでなく、段取りを相手に見せられることです。「いつまでに何をするか」を最初に示し、遅れそうなときは早めに伝える。ガントチャートは、その姿勢を形にする道具の1つです。
もう1つ、現場で繰り返し見てきたのは、間に入る仲介の費用が少ないほど、依頼する側も受ける側も得をするという構造です。中間の手数料が乗らない直接の取引なら、同じ予算で依頼する側は作業を少し多く頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%で直接取引できる場は、段取りを見せて信頼を積み重ねる働き方と相性が良いと感じています。プロジェクトの進め方を整える力を仕事に生かしたい人は、アプリケーション開発のお仕事のように、工程の管理が欠かせない分野の案件の内容も確かめてみてください。
よくある質問
Q. ガントチャートとWBSはどちらを先に作りますか?
WBSを先に作るのが基本です。WBSでプロジェクトのやることを大きな単位から小さな単位へ分けて書き出し、その一覧に期間と順番を加えて横棒にしたものがガントチャートです。作業の数が少ない場合は、ガントチャートの左側の作業の一覧をWBSとして兼ねることもあります。
Q. Excelにガントチャートのグラフはありますか?
マイクロソフトのサポートページによると、Excelには事前定義されたガントチャートの種類はありません。無料のテンプレートを使うか、作業名、開始日、終了日の列と日付のマスを作り、条件付き書式で開始日から終了日までのマスに色を付ける方法で作るのが一般的です。
Q. 1つの作業はどのくらいの大きさに分ければよいですか?
終わったかどうかをはっきり判断できる大きさにするのが基本で、目安は1日から5日ほどで終わる単位です。細かくしすぎると更新の手間が増えて続かなくなり、大きすぎると進み具合が分かりません。それより細かい作業は、担当者の手元のメモで管理すると扱いやすくなります。
Q. ガントチャートの日程が遅れたときはどうすればよいですか?
遅れている作業の後ろにつながる作業の日程を、すぐに引き直します。特に、最初から最後までをつなぐ最も時間がかかる道筋の上にある作業の遅れは、全体の終わりの日に直結します。関わる人と遅れを共有し、作業の分担や順番を変えられないかを話し合いましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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