失業したときの国民年金の特例免除|対象になる人と申請に要る書類 2026


この記事のポイント
- ✓国民年金の保険料を前年の所得にかかわらず免除・猶予できる特例があります
- ✓日本年金機構と自治体の公式情報をもとに
- ✓配偶者や世帯主の所得の扱い
会社を辞めて次の仕事が決まるまでの間、収入が途絶えるのに、国民年金の保険料の納付書は毎月届きます。令和8年度の保険料は1か月あたり17,920円。失業給付だけで暮らしている時期に、この金額を払い続けるのは楽ではありません。「失業したら年金の保険料はどうなるのか」「免除や控除の仕組みはあるのか」と調べる人が多いんです。
結論から言うと、失業したときは「失業等による特例免除」を申請すれば、前年の所得にかかわらず、国民年金の保険料の免除や納付猶予を受けられる可能性があります。前年に会社員としてしっかり給与をもらっていた人でも、失業した本人の所得を0円とみなして審査してもらえる仕組みです。ただし、配偶者や世帯主の所得は審査されるので、同居する家族の状況によっては承認されないこともあります。これ、知らない人が本当に多いんです。
この記事では、日本年金機構と自治体の公式ページの記載(2026年10月3日に確認)をもとに、退職したときの年金の切り替え、特例免除の対象と書類、適用される期間、年金額への影響、払った保険料の社会保険料控除と追納の関係までを順番に整理します。
退職したら国民年金への切り替えが必要
最初に、退職すると年金がどう変わるのかを確認しておきます。特例免除の話は、この切り替えが前提になるからです。
会社員の間は厚生年金に入っていて、国民年金では「第2号被保険者」として扱われています。保険料は給与から差し引かれていました。退職して次の勤め先が決まっていない人は、国民年金の「第1号被保険者」に切り替わります。第1号被保険者とは、自営業やフリーランス、学生、無職の人など、自分で国民年金の保険料を払う人のことです。
この切り替えは、自分で届け出る必要があります。国民年金法施行規則では、種別が変わった日から14日以内に、住んでいる市区町村に届け出ることになっています。会社員の配偶者の扶養に入っていた人(第3号被保険者)も、配偶者が退職すれば同じように第1号被保険者への切り替えが必要です。
届け出には、年金手帳か基礎年金番号通知書、退職した日が分かる書類(離職票や健康保険の資格喪失証明書など)、本人確認の書類が必要になるのが一般的です。特例免除の申請は、この切り替えの手続きと同じ窓口で、同時に行うことができます。
一方、退職してすぐに次の会社に入り、厚生年金に入り続ける人は、切り替えの必要はありません。会社と会社の間に1日でも空白があると、その月によっては国民年金の保険料が必要になることがあるので、心配な人は年金事務所で確かめておきます。
失業等による特例免除とはどんな制度か
国民年金には、保険料を払うのが経済的に難しい人のために、免除と納付猶予の制度があります。通常は、前年の所得をもとに、免除や猶予を受けられるかが審査されます。
ここで困るのが、退職した直後の人です。前年は会社員として給与をもらっていたので、前年の所得で審査されると、基準を超えてしまうことが多いんです。今は収入がないのに、去年の収入のせいで免除を受けられない。この不公平を解消するのが、失業等による特例免除です。
日本年金機構の「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」のページでは、この特例について次のように説明されています。
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。 出典: 日本年金機構
東京都三鷹市のホームページでは、この特例の中身がさらに具体的に書かれています。
本人や配偶者、世帯主が失業した場合、以下の書類の写しを添付することで、失業されたかたの前年所得を0円とみなして審査することができる特例制度です。 出典: 三鷹市
つまり、失業した人の前年の所得を0円として扱い、そのうえで免除や猶予を受けられるかを審査する仕組みです。会社員だったときの給与がいくら高くても、失業した本人の分は審査で問われなくなります。
対象になる人と、配偶者や世帯主の所得の扱い
特例の対象になるのは、失業や倒産、事業の廃止などの事実を書類で確かめられる人です。会社を辞めた人だけでなく、自営業やフリーランスで事業をやめた人も対象になります。
ここで注意が必要なのが、配偶者と世帯主の所得です。国民年金の免除の審査では、本人だけでなく、配偶者と世帯主の前年の所得も審査されます。特例で0円とみなされるのは、失業した人の所得だけです。配偶者や世帯主に十分な所得があれば、特例を使っても免除が承認されないことがあります。三鷹市のページでも、失業の特例を使っても、世帯の状況などによっては免除とならない場合があると書かれています。
具体的に考えてみます。一人暮らしの単身の人が失業した場合は、本人の所得が0円とみなされ、配偶者も世帯主(自分自身)もほかにいないので、全額免除が承認される可能性が高くなります。一方、実家に戻って親と同じ世帯になり、親が世帯主として所得がある場合は、親の所得が審査の対象になり、承認されないことがあります。結婚していて配偶者に所得がある場合も同じです。
配偶者や世帯主が失業した場合も、その人の所得を0円とみなせます。たとえば、夫婦がそろって退職した場合は、両方の失業を書類で示すことで、2人とも所得を0円として審査してもらえます。
承認されなかった場合でも、50歳未満の人なら、本人と配偶者の所得で判断される納付猶予の制度があり、世帯主の所得は問われません。親と同居している若い世代の人は、こちらで承認されることがあります。
申請に要る書類
特例免除を申請するには、失業などの事実を確かめられる書類の写しが必要です。日本年金機構と三鷹市のページで案内されている書類を整理します。
会社を辞めて雇用保険に入っていた人は、次のいずれかの写しを用意します。
- 雇用保険被保険者離職票
- 雇用保険受給資格者証
- 雇用保険受給資格通知
- 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書
離職票は、退職した会社から交付される書類です。受給資格者証や受給資格通知は、ハローワークで失業給付の手続きをしたときに交付されます。手元にない場合は、ハローワークで発行してもらえることがあります。
公務員だった人は退職辞令、雇用保険に入っていなかった人は年金事務所の様式の離職証明書を使います。
自営業やフリーランスで事業をやめた人は、税務署に出した個人事業の開業・廃業等届出書や事業廃止届出書の写し(受付印のあるもの)、法人の場合は履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書、保健所への廃止届出書の控えなどを使います。こうした書類を用意できない場合は、別に失業の状態にあることを申し立てる書式が必要になることがあります。
このほか、申請書と、基礎年金番号通知書などの基礎年金番号が分かる書類、またはマイナンバーカードが必要です。マイナンバーで手続きしてマイナンバーカードがない場合は、マイナンバーが分かる書類と、運転免許証などの身元を確かめる書類を用意します。過去に同じ失業の理由で申請して書類を出したことがある場合は、改めて付ける必要はありません。
申請先と申請のしかた
申請先は、住民登録をしている市区町村の役所の国民年金担当窓口か、近くの年金事務所です。申請書は郵送で出すこともできます。電子申請(マイナポータル)にも対応しています。
申請書は、日本年金機構のホームページの「ケース11:国民年金保険料の免除を受けるとき」からダウンロードできます。ねんきんネットのIDがあれば、画面上で申請書を作ることもできます。申請書の「申請理由」の欄で、失業等による申請であることを選びます。
日本年金機構は、申請書の記入内容を確かめるための「セルフチェックシート(国民年金保険料 免除・納付猶予申請用)」も用意しています。郵送する場合は、書類の不足で戻されると時間がかかるので、提出前に一度目を通しておきます。
申請してから結果が出るまでには時間がかかります。三鷹市のページでは、審査のあと、承認通知書または却下通知書が約2、3か月後に届くと案内されています。その間に保険料の納付書が届くこともありますが、承認されれば払う必要はありません。
特例が適用される期間
特例が適用される期間にも決まりがあります。三鷹市のページでは、特例の適用期間は、失業日(退職日の翌日)が属する月の前月から、翌々年の6月までと案内されています。
たとえば、2026年9月30日に退職した場合、失業日は10月1日です。その前月の9月分から、翌々年である2028年6月分までが、特例の対象になり得る期間です。最大で2年近くにわたって、特例を使った審査を受けられることになります。
ただし、国民年金の免除は年度ごとに審査されます。免除の年度は7月から翌年6月までです。上の例なら、2026年9月から2027年6月までの分と、2027年7月から2028年6月までの分の、2つの年度に分けて申請することになります。日本年金機構のページには、失業等による特例免除の承認を受けた人は、翌年度も申請が必要だと書かれています。全額免除や納付猶予の承認を受けた人が翌年度も続けて審査してもらえる「継続審査」の仕組みもありますが、同じページで、失業等による特例免除の承認を受けた人は翌年度も申請が必要だと明記されています。年度が変わったら忘れずに申請します。
また、免除はさかのぼって申請することもできます。保険料の納付期限から2年を過ぎていない期間(申請時点から2年1か月前までの期間)であれば、あとからでも申請できます。退職してから申請を忘れていた人も、まずは窓口で相談してみる価値があります。
免除を受けると年金額はどうなるか
免除を受けた期間は、保険料を払っていなくても、年金の計算に一部が入ります。年金の財源の半分は国庫(税金)でまかなわれているからです。日本年金機構のページでは、免除を受けた期間の年金額を次のように案内しています。
- 全額免除: 保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1
- 4分の3免除: 同じく8分の5(令和8年度に納める保険料は1か月あたり4,480円)
- 半額免除: 同じく8分の6(同8,960円)
- 4分の1免除: 同じく8分の7(同13,440円)
- 納付猶予: 年金額には反映されない
令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で年847,300円です。40年すべてを全額免除で過ごした場合の目安は、その半分の423,650円と案内されています。
一部免除を受けた場合は、残りの保険料を払わなければ、その期間は未納の扱いになってしまいます。たとえば半額免除が承認されたら、1か月あたり8,960円は払う必要があります。払えない場合は、全額免除の審査を受けられるか、窓口で相談します。
未納のままにすると何が困るのか
払えないからといって、免除の申請をしないで未納のままにすると、大きな不利益があります。
1つ目は、障害基礎年金と遺族基礎年金です。障害基礎年金とは、病気やけがで一定の障害が残ったときに受け取れる年金のことです。受け取るには、初診日(その病気やけがで初めて医師にかかった日)の月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除の期間が3分の2以上あること、または直前の1年間に未納がないことが必要です。免除を受けた期間はこの要件で納めた期間と同じように数えられますが、未納の期間は数えられません。日本年金機構は、事故や病気が起きてからさかのぼって申請しても、障害基礎年金の要件には算入されないと注意を呼びかけています。
2つ目は、老齢基礎年金の受給資格です。老齢基礎年金を受け取るには、保険料を納めた期間と免除の期間などを合わせて10年以上必要です。免除の期間は数えられますが、未納の期間は数えられません。
3つ目は、督促と延滞金です。未納が続くと督促状が届き、延滞金がかかったり、財産の差し押さえの手続きに進んだりすることもあります。
失業している時期は、心身ともに余裕がなくなりがちです。それでも、免除の申請だけは早めに済ませておくことが、自分と家族を守ることにつながります。
失業給付と免除の関係
失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取っていると、収入があるとみなされて免除を受けられないのでは、と心配する人がいます。
雇用保険法第12条には、租税その他の公課は、失業等給付として受け取ったお金を基準にしてかけることはできない、という定めがあります。つまり、失業給付には所得税や住民税がかからず、税金の計算上の所得にも入りません。国民年金の免除の審査は前年の所得で行われるので、失業給付を受け取っていることだけで免除が受けられなくなるわけではありません。
ただし、失業給付を受け取っている間は、配偶者の健康保険の扶養に入れないことがあるなど、ほかの制度では扱いが違うことがあります。健康保険の扶養については、配偶者の勤め先の健康保険に確かめます。
失業給付の手続きと国民年金の特例免除の申請は、同じ時期に進めると効率的です。ハローワークで受給資格者証や受給資格通知を受け取ったら、その写しを特例免除の申請に使えます。離職票の写しでも申請できるので、ハローワークの手続きを待たずに先に申請することもできます。
払った保険料と社会保険料控除
ここで、払った国民年金の保険料と税金の関係を整理しておきます。失業した年は、会社で年末調整を受けられないことが多いので、自分で確定申告をする場面が出てきます。
国税庁のタックスアンサー「No.1130 社会保険料控除」では、自分や、生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合は、その支払った金額について所得控除を受けられると説明されています。社会保険料控除とは、払った社会保険料の額をその年の所得から差し引いて、所得税や住民税を軽くする仕組みのことです。国民年金の保険料も、国民健康保険の保険料も、対象になります。
退職した年に、会社員の間に給与から差し引かれた厚生年金や健康保険の保険料と、退職後に自分で払った国民年金や国民健康保険の保険料を合わせて申告すれば、払いすぎた所得税が戻ってくることがあります。年の途中で退職して、その年のうちに再就職しなかった人は、確定申告をすると税金が還付されることが多いんです。国民年金の保険料については、日本年金機構から「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が送られてくるので、確定申告のときに使います。
一方、免除を受けて払っていない期間の保険料は、当然ながら控除の対象になりません。ただし、あとで追納した場合は、追納した年の社会保険料控除の対象になります。
再就職したあとの追納
免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば、あとから納めること(追納)ができます。日本年金機構の追納制度のページでは、免除や猶予を受けた人が、その後に経済的に余裕ができたときに、本人の申し出で追納して、将来の年金額を満額に近づけられると案内されています。
追納すると、どのくらい年金が増えるのかも示されています。1年分を追納すると、全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円、納付猶予の期間であれば年間で約2万円増えます。免除の期間は、もともと年金額の半分が反映されているので、追納で増える額は納付猶予より小さくなります。
追納するときに気をつけたいのは、加算額です。免除や猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料の額に、経過した期間に応じた加算額が上乗せされます。再就職して余裕ができたら、早めに追納した方が負担は少なくて済みます。
追納した保険料は、全額が社会保険料控除の対象になります。再就職して所得が増えた年に追納すると、税金の面での効果も大きくなります。会社員なら、日本年金機構から届く控除証明書を勤め先に出せば、年末調整で控除を受けられます。
扶養していた配偶者の年金も切り替えが必要
会社員だった人が退職すると、その人の扶養に入っていた配偶者の年金も変わります。ここは見落とされやすい点です。
会社員の配偶者で、扶養に入っていた20歳以上60歳未満の人は、国民年金の「第3号被保険者」です。第3号被保険者は、自分で保険料を払わなくても、保険料を納めた期間として扱われます。ところが、会社員だった本人が退職すると、配偶者は第3号被保険者ではなくなり、第1号被保険者に切り替わります。つまり、配偶者も自分で国民年金の保険料を払う立場になる、ということです。
この切り替えも、14日以内に市区町村に届け出ます。退職した本人の手続きと一緒に行うと、手間が少なく済みます。
配偶者の分の保険料も、払うのが難しければ免除を申請できます。この場合、退職した本人は、配偶者から見て「配偶者」や「世帯主」に当たります。三鷹市のページにあるとおり、配偶者や世帯主が失業した場合も、失業した人の所得を0円とみなせるので、夫婦の両方について、特例を使った審査を受けられます。配偶者本人に所得がなければ、夫婦そろって全額免除が承認される可能性があります。
健康保険の切り替えと保険料の軽減も確かめる
失業したときは、年金と同じ時期に健康保険の切り替えも必要です。年金の特例免除と合わせて、健康保険の保険料を抑える仕組みも確かめておきます。
退職後の健康保険は、会社の健康保険を続ける任意継続、市区町村の国民健康保険、家族の健康保険の扶養の3つから選びます。任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民健康保険は資格を取得した日から14日以内に手続きします。
国民健康保険には、会社の倒産や解雇、雇い止めなどで仕事を失った人の保険料を軽くする「非自発的失業者の軽減」があります。東京都足立区のホームページでは、前年の給与所得を100分の30とみなして保険料を計算すると案内されています。対象は、離職した日に65歳未満で、雇用保険の特定受給資格者か特定理由離職者に当たる人です。ハローワークで受け取る受給資格者証などの離職理由のコードで判断されます。
この軽減も、国民年金の特例免除と同じく、申請しなければ受けられません。ハローワークの手続きを終えたら、受給資格者証などを持って市区町村の窓口に行き、国民年金と国民健康保険の手続きを一度に済ませると効率的です。
窓口に行く前に確かめておきたいこと
市区町村の窓口や年金事務所で手続きをするときは、事前に次の点を確かめておくと、1回の来訪で済みやすくなります。
1つ目は、退職した日と、失業の事実を示す書類の種類です。離職票がまだ届いていない場合は、健康保険の資格喪失証明書など、手元にある書類で何ができるかを電話で確かめておきます。
2つ目は、世帯の状況です。住民票上の世帯主は誰か、配偶者に所得があるかを整理しておきます。審査の結果を左右するので、窓口でも必ず聞かれます。
3つ目は、前年の所得の申告の状況です。前年に会社員だった人は、会社が年末調整をしているので、所得の情報は市区町村に届いています。前年に副業の収入があったのに確定申告をしていない場合は、先に申告が必要になることがあります。
4つ目は、健康保険をどうするかです。年金と健康保険の手続きを同じ日にまとめると、役所に何度も足を運ばずに済みます。任意継続を選ぶ場合は協会けんぽの支部や健康保険組合での手続きになるので、市区町村の窓口とは別に期限を管理しておきます。
失業したときの手続きの順番
ここまでの内容を、退職してから行う手続きの順番として整理します。
- 退職した会社から離職票を受け取る(退職後、会社がハローワークで手続きしたあとに届く)
- ハローワークで失業給付の手続きをし、受給資格者証などを受け取る
- 市区町村の窓口で、国民年金の第1号被保険者への切り替え(14日以内)と、特例免除の申請を同時に行う
- 健康保険の切り替え(任意継続か国民健康保険か)も同じ時期に済ませる
- 年度が変わる7月以降に、翌年度分の特例免除を改めて申請する
- 年明けの確定申告で、払った社会保険料を申告する
- 再就職して余裕ができたら、追納を検討する
離職票が届くまでに時間がかかる場合は、健康保険の資格喪失証明書などで先に国民年金の切り替えを済ませ、特例免除は離職票が届いてから申請する、という進め方もできます。窓口で相談すれば、手元の書類でできることから進めてもらえます。
よくある思い違いを整理する
失業と国民年金について、相談の現場でよく見かける思い違いを4つ挙げておきます。
1つ目は「失業したら自動的に保険料が免除される」という思い違いです。特例免除は、申請しなければ受けられません。何もしなければ、保険料は未納として扱われます。
2つ目は「会社都合でなければ特例は使えない」という思い違いです。国民年金の特例免除は、離職の理由が自己都合か会社都合かを問わず、失業の事実を書類で確かめられれば対象になります。国民健康保険の非自発的失業者の軽減とは、対象の決め方が違うので注意が必要です。
3つ目は「特例を使えば必ず全額免除になる」という思い違いです。特例で0円とみなされるのは失業した人の所得だけで、配偶者や世帯主の所得は審査されます。世帯の状況によっては、一部免除や却下になることもあります。
4つ目は「一度申請すれば再就職まで続く」という思い違いです。特例免除の承認を受けた人は、年度が変わる7月以降に、翌年度分を改めて申請する必要があります。
3つのケースで考え方を確かめる
特例免除の結果は、世帯の状況で大きく変わります。典型的な3つのケースに当てはめてみます。
1つ目は、一人暮らしの30代の人が、会社の業績悪化で退職したケースです。前年の給与が高くても、特例で本人の所得は0円とみなされ、配偶者も別の世帯主もいないので、全額免除が承認される可能性が高くなります。
2つ目は、退職を機に実家に戻り、父親が世帯主になった20代の人のケースです。父親に十分な所得があると、特例を使っても免除は承認されないことがあります。この場合は、50歳未満であれば、本人と配偶者の所得だけで判断される納付猶予の制度を検討します。住民票の世帯をどう分けるかで結果が変わることもあるので、窓口で相談します。
3つ目は、夫婦2人とも会社員で、夫だけが退職したケースです。妻に所得があるので、夫の所得を0円とみなしても、妻の所得の水準によっては免除が承認されません。妻の所得で家計が回るなら、保険料を払い続けるのが基本です。払った保険料は、社会保険料控除の対象になります。
承認されなかったときにできること
特例免除を申請しても、配偶者や世帯主の所得のために承認されないことがあります。却下の通知が届いたときに、あわてずに次の手を考えられるよう整理しておきます。
まず、却下された理由を確かめます。通知書の内容が分からないときは、年金事務所に問い合わせれば、どの所得が審査で基準を超えたのかを教えてもらえることがあります。所得の申告が漏れていて、実際より高い所得で審査されていた、という例もあります。
50歳未満の人は、納付猶予の制度を検討します。納付猶予は本人と配偶者の所得だけで判断されるので、世帯主である親の所得が原因で免除が却下された人は、承認される可能性があります。
それでも承認されない場合は、保険料を払うことになります。一度に払うのが難しいときは、年金事務所に納付の相談をします。払った保険料は社会保険料控除の対象になり、確定申告や年末調整で税金を軽くできます。払えないまま放っておくことだけは避け、窓口で相談しながら進めることが大切です。
失業期間のあとの働き方と年金
最後に、失業の期間を経て、会社に戻らずに在宅やフリーランスで働き始める人に向けて、年金との関係で知っておきたい点を整理します。
業務委託の仕事で収入を得る人は、国民年金の第1号被保険者のままです。保険料は自分で払い続けることになり、厚生年金に入っていた会社員の時期に比べて、将来の年金は少なくなります。収入が安定してきたら、国民年金基金や付加保険料(1か月あたり400円)など、年金を上乗せする仕組みも検討できます。払った掛金は、社会保険料控除や所得控除の対象になるものがあります。
独立後の収入の見通しを立てるには、職種ごとの相場を知っておくと役に立ちます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、システムやアプリを作る仕事の年収と業務委託の単価の目安を、公的な統計をもとに整理しています。生成AIを使った業務改善の支援に関心があるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、仕事の内容と求められる知識を確かめられます。業務委託の契約で報酬が支払われないといったトラブルに備えるには、フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで、契約書に入れておくべき項目を確かめておくと安心です。
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、失業の時期を経て独立した人ほど、収入が不安定な時期の保険料や税金の扱いを最初に整理しておくと、そのあとの仕事に集中できています。仲介の手数料が乗らない直接の取引ができれば、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなります。その手取りから年金の保険料や追納の分を計画的に取り分けておくことが、長く働き続けるための土台になります。
失業したときの国民年金は、払えないなら特例免除を申請する。払えるなら払って社会保険料控除を受ける。この2つのどちらかを選び、未納にしないことが何より大切です。分からないことは、市区町村の国民年金担当窓口か年金事務所に相談できます。制度は、知って使う人の味方です。
よくある質問
Q. 失業したら国民年金の保険料は免除されますか?
失業等による特例免除を申請すれば、失業した本人の前年所得を0円とみなして免除・納付猶予の審査を受けられます。ただし、配偶者や世帯主の所得も審査されるため、同居する家族に十分な所得があると承認されないことがあります。申請先は市区町村の国民年金担当窓口か年金事務所で、郵送や電子申請もできます。
Q. 特例免除の申請にはどんな書類が必要ですか?
雇用保険被保険者離職票、雇用保険受給資格者証、受給資格通知などの写しのいずれかと、申請書、基礎年金番号が分かる書類またはマイナンバーカードが必要です。事業をやめた人は、税務署に出した廃業等届出書の写しなどを使います。過去に同じ失業の理由で書類を出したことがある場合は、改めて付ける必要はありません。
Q. 失業の特例はいつからいつまで使えますか?
自治体の案内では、失業日(退職日の翌日)が属する月の前月から翌々年の6月までが適用期間です。免除は7月から翌年6月までの年度ごとに審査されるため、年度が変わったら改めて申請が必要です。納付期限から2年を過ぎていない期間であれば、さかのぼって申請することもできます。
Q. 失業中に払った国民年金保険料は控除の対象になりますか?
なります。払った国民年金保険料は社会保険料控除の対象で、年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、確定申告で申告すると所得税が還付されることがあります。日本年金機構から届く控除証明書を使います。免除を受けた期間の保険料は控除の対象になりませんが、あとで追納すれば追納した年の控除の対象になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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