事務職への転職に役立つ資格|未経験からの選び方


この記事のポイント
- ✓事務職への転職に役立つ資格を
- ✓営業事務などの仕事別に整理
- ✓ビジネス文書検定などの中身と選び方
事務職への転職を考えたとき、資格を取っておくべきか、取るならどれがよいのかは、多くの人が最初に悩む点です。事務職は特別な資格がなくても応募できる求人が多い一方で、未経験の人にとっては「パソコンが使える」「数字に強い」ことを客観的に示す手段が少なく、資格がその役目を果たします。この記事では、一般事務、経理事務、営業事務など仕事の種類ごとに役立つ資格を整理し、未経験から資格を転職につなげる進め方を、試験を実施する団体の公式の情報をもとに説明します。
事務職の転職で資格が持つ意味
事務職の求人の多くは、応募の条件に資格を必須としていません。それでも資格が転職で役立つのは、採用する側が知りたい「入社してすぐに任せられる仕事の範囲」を、短い書類で伝えられるからです。
事務の仕事では、文書の作成、表計算ソフトでのデータの集計、電話やメールの応対、書類の整理、請求書の発行など、毎日の業務が多岐にわたります。経験者なら職務経歴書に具体的な業務を書けますが、未経験の人は書ける実績がありません。そこで、パソコンの操作や簿記の知識を問う資格を持っていると、「基本の操作はすでに身についている」と判断してもらいやすくなります。
資格だけで採用が決まるわけではない
一方で、資格を持っていれば必ず採用されるわけではありません。採用の判断では、資格よりも、前の職場で何をしてきたか、どんな姿勢で仕事に取り組むか、職場の人と協力できるかが重く見られます。資格は、こうした人柄や経験を伝える書類の説得力を補うものと考えておきましょう。
とくに、前の仕事で接客や営業をしてきた人は、電話応対や顧客とのやり取りの経験を事務の仕事に活かせます。資格で操作のスキルを示し、これまでの経験で対人の力を示すという組み合わせが、未経験からの転職では効果的です。
事務職の種類と求められる力
事務職と一口に言っても、仕事の種類で求められる力は違います。転職先として考えている事務職に合わせて資格を選ぶと、学んだことがそのまま仕事に活きます。
| 事務職の種類 | 主な仕事 | 特に求められる力 |
|---|---|---|
| 一般事務 | 書類の作成、データの入力、電話やメールの応対、備品の管理 | 文書作成と表計算の操作、ビジネスマナー |
| 経理事務 | 伝票の処理、請求書の発行、経費の精算、決算の補助 | 簿記の知識、表計算の操作 |
| 営業事務 | 見積書や受注の処理、在庫の確認、顧客とのやり取り | 表計算の操作、電話応対、段取りの力 |
| 人事・総務の事務 | 勤怠の管理、入社と退社の手続き、社内の規程の管理 | 労働や社会保険の基礎知識、正確な文書作成 |
| 医療事務 | 受付、会計、診療報酬の請求 | 医療保険の制度と請求の知識 |
多くの事務職に共通して求められるのは、WordとExcelなどのパソコンの操作と、正確で読みやすい文書を書く力です。その上に、経理なら簿記、人事なら労働の知識というように、仕事ごとの専門の知識が加わります。事務職の種類によって、忙しくなる時期も違います。経理事務は月末の締めと決算の時期、人事の事務は入社と退社が重なる春、営業事務は取引先の繁忙期に仕事が集中しやすくなります。どの事務職が自分の生活のリズムに合うかも、資格を選ぶ前に考えておくと、転職後の働き方を思い描きやすくなります。次の節から、資格ごとの中身を見ていきます。
パソコンの操作を証明する資格
事務職の転職で最もよく挙げられるのが、パソコンの操作を証明する資格です。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOSは、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどのマイクロソフトのソフトを使う力を証明する資格です。運営はオデッセイ コミュニケーションズで、科目ごとに試験を受けます。科目には一般レベルと上級レベル(エキスパート)があり、事務職の転職では、まずWordとExcelの一般レベルを取る人が多くいます。
試験はパソコンで実際にソフトを操作して解く形式です。全国の試験会場で行われ、多くの会場では日程を選んで受けられる随時試験が行われています。受験料は科目とレベルで違い、たとえばWordの一般レベルは一般価格12,980円(税込)です。対応するバージョンは365と2019があり、これから受けるなら、職場で使われることが多い365を選ぶのが一般的です。詳しくはMOSの公式サイトで確かめられます。
MOSの強みは、資格の名前が広く知られていて、採用の担当者に伝わりやすいことです。Excelでは、関数や表の作成、グラフ、データの並べ替えと抽出など、事務の仕事でよく使う操作が出題されるので、学んだことがそのまま実務に役立ちます。
日商PC検定
日商PC検定は、日本商工会議所が実施する検定で、文書作成、データ活用、プレゼン資料作成の3つの分野があります。それぞれ1級から3級までの級があり(3級より下の基礎の級もある)、ソフトの操作だけでなく、ビジネスの場面に合わせて適切な文書や資料をつくれるかが問われるのが特徴です。
試験はネット試験と呼ばれる、パソコンで受ける形式で行われます。商工会議所が認定した試験会場で受験し、日程は会場ごとに決まります。データ活用の分野では、Excelを使って売上の集計や分析をする力が問われるので、経理や営業の事務を目指す人にも向いています。詳しくは日本商工会議所の日商PC検定のページで確かめられます。
MOSと日商PC検定の選び方
2つの資格はどちらもパソコンの操作を証明しますが、性格が少し違います。MOSはソフトの機能をどれだけ使いこなせるかを、日商PC検定はその機能を使ってビジネスの文書や資料をどうつくるかを重く見ています。初めてパソコンの資格を取るなら、知名度が高く、科目ごとに短い期間で取れるMOSから始め、文書の書き方まで身につけたくなったら日商PC検定に進む、という順番が無理なく続きます。
経理事務に役立つ日商簿記
経理事務を目指すなら、日商簿記検定が定番の資格です。簿記とは、会社のお金の出入りを決まった方法で記録し、決算書をつくるための技術のことです。主催は日本商工会議所で、1級、2級、3級などの級があります。
3級と2級の違い
日本商工会議所は、3級を「業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき必須の基本知識」と位置づけています。小さな会社の取引を記録し、経理の書類を正しく処理できるレベルです。2級は、商業簿記に加えて、製品をつくる会社の原価の計算などを扱う工業簿記が出題され、経理の実務により近い内容になります。
| 級 | 試験科目 | 試験時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 3級 | 商業簿記 | 60分 | 70%以上 |
| 2級 | 商業簿記、工業簿記(原価計算を含む) | 90分 | 70%以上 |
試験は、年3回の統一試験(例年6月、11月、2月)と、パソコンで随時受けられるネット試験があります。2026年度は、第174回の統一試験が11月15日に行われます。申し込みの方法と受付の期間は、受験する地域の商工会議所によって違います。最新の案内は日本商工会議所の簿記検定のページで確かめてください。
経理未経験なら3級から2級へ
経理事務の求人では、「簿記2級以上」を歓迎の条件にしているものがよく見られます。未経験から経理を目指すなら、まず3級で仕訳と帳簿の基本を身につけ、続けて2級に挑戦するのが一般的な流れです。3級だけでも、経理の基本の用語が分かることを示せるので、一般事務や営業事務の応募でも評価されることがあります。
また、簿記の知識は、経理の仕事だけでなく、請求書の処理や経費の精算、売上の管理など、多くの事務の仕事で役立ちます。会社のお金の流れが分かると、上司や取引先との話の理解も早くなります。
ITの基礎を証明するITパスポート
ITパスポート試験は、情報処理の促進に関する法律にもとづく国家試験で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しています。IPAは対象者を、ITに関する共通の基礎知識を持ち、担当する業務にITを活用していこうとする人と説明しています。
試験では、コンピュータやネットワーク、情報セキュリティの基本に加えて、会社の経営や法律、プロジェクトの進め方など、幅広い知識が問われます。試験時間は120分で、4つの選択肢から選ぶ問題が100問出題されます。全国の試験会場のパソコンで受けるCBT方式で、日程を選んで受けられます。受験手数料は7,500円(税込)です。詳しくはIPAのITパスポート試験のページで確かめられます。
事務の仕事でも、社内のシステムの操作、取引先とのデータのやり取り、個人情報の管理など、ITの知識が必要な場面が増えています。とくに、情報セキュリティの基本を学べるのは、顧客の情報を扱う事務職にとって大きな利点です。国家試験なので履歴書に書いたときの信頼性も高く、IT企業の事務や、システムの導入を進める会社への転職を考える人に向いています。
IPAは、ITパスポートの合格者に期待する知識の水準を次のように説明しています。
利用する情報機器及びシステムを把握するために、コンピュータシステム、データベース、ネットワーク、情報セキュリティ、情報デザイン、情報メディアに関する知識をもち、オフィスツールを活用できる。 安全に情報を収集し、効果的に活用するために、関連法規、情報セキュリティに関する各種規程、情報倫理に従って活動できる。 出典: ipa.go.jp
オフィスツールの活用や、情報を安全に扱うための決まりの理解は、まさに事務の仕事の土台になる力です。学習にかかる時間は、今のパソコンの使い方や知識によって大きく変わるので、IPAが公開している過去の問題を一度解いてみて、どこから学べばよいかを確かめてから計画を立てましょう。
文書の力とビジネスマナーを証明する資格
事務の仕事では、社内外に出す文書を正確に、読みやすく書く力が欠かせません。パソコンの操作とは別に、文書の書き方やビジネスマナーを証明する資格も役立ちます。
ビジネス文書検定
ビジネス文書検定は、ビジネス文書の書き方、表記のきまり、文書の種類ごとの形式などを問う検定です。社外に出す案内状や依頼状、社内の報告書や議事録など、事務の仕事でつくる文書の基本を体系的に学べます。ビジネス文書検定のページでは、検定の内容と、仕事での活かし方を紹介しています。
文書の力は、パソコンの資格だけでは示しにくい部分です。誤字のない文書、相手に失礼のない言い回し、要点が伝わる構成は、事務の仕事の評価に直結します。MOSなどで操作のスキルを示し、ビジネス文書検定で書く力を示すと、事務の仕事に必要な力をバランスよく伝えられます。
秘書検定
秘書検定は、ビジネスマナー、言葉づかい、来客や電話の応対、仕事の段取りなどを問う検定で、秘書の仕事に限らず、事務職全般で役立つ内容です。級は3級から1級まであり、3級と2級は筆記試験だけで受けられます。社会人としての基本のマナーに自信がない人や、新卒から間もない人が、事務職への転職に向けて受けることが多い検定です。
人事・総務や医療の事務を目指す人の資格
一般事務や経理事務のほかにも、専門の知識が求められる事務職があります。
人事・総務の事務
人事や総務の事務では、社員の入社と退社の手続き、社会保険や雇用保険の手続き、給与の計算などを担当します。これらの仕事に関わる国家資格として社会保険労務士がありますが、受験には一定の学歴や実務経験などの条件があり、難しい試験です。未経験から人事・総務を目指すなら、まず日商簿記で給与の計算の基礎となるお金の流れを学び、社会保険や労働の基礎知識を問う民間の検定で知識を固める道が現実的です。
医療事務
病院やクリニックの医療事務では、受付と会計、診療報酬の請求の仕事が中心です。診療報酬とは、病院が行った診療の対価として、健康保険から病院に支払われるお金のことです。医療事務の資格は民間の団体が実施するものが複数あり、国家資格はありません。医療事務を目指す人は、求人で求められている資格の名前を確かめ、その資格の試験を実施する団体の公式の案内で、試験の方法と受験の条件を確かめましょう。
主な資格を一覧で比べる
ここまで紹介した資格を、主催する団体、試験の受け方、向いている事務職で並べると次のようになります。
| 資格 | 主催 | 試験の受け方 | 向いている事務職 |
|---|---|---|---|
| MOS | オデッセイ コミュニケーションズ | 試験会場のパソコンで操作する。随時試験が中心 | 一般事務、営業事務など事務職全般 |
| 日商PC検定 | 日本商工会議所 | 商工会議所のネット試験 | 一般事務、営業事務 |
| 日商簿記検定 | 日本商工会議所 | 年3回の統一試験と、随時のネット試験 | 経理事務、一般事務 |
| ITパスポート | 情報処理推進機構(IPA) | 試験会場のパソコンで受けるCBT方式 | IT企業の事務、情報を扱う事務全般 |
| ビジネス文書検定 | 実務技能検定協会 | 筆記試験 | 文書を多く扱う事務職全般 |
| 秘書検定 | 実務技能検定協会 | 筆記試験(上位の級は面接もある) | 受付、秘書、一般事務 |
受験料は資格や級、科目によって違い、改定されることもあります。申し込みの前に、それぞれの公式の案内で最新の金額を確かめてください。
状況別の資格の選び方
同じ事務職への転職でも、今の状況によって優先すべき資格は変わります。よくある状況ごとに、選び方の考え方を紹介します。
20代で初めて事務職に挑戦する人
20代の未経験者は、資格よりも意欲と伸びしろを評価されることが多い年代です。まずはMOSのWordとExcelで基本の操作を固め、余裕があれば日商簿記3級に進むと、事務職全般の応募で通用する組み合わせになります。社会人経験が短い人は、秘書検定でビジネスマナーの基本を学んでおくと、面接での受け答えにも自信がつきます。
30代以上で異業種から移る人
30代以上で異業種から事務職に移る人は、これまでの経験と資格を結びつけて伝えることが大切です。営業の経験がある人なら営業事務、販売や店舗の管理の経験がある人なら在庫や売上の管理に関わる事務というように、前の仕事に近い事務職を選ぶと、経験そのものが強みになります。資格は、その事務職で特に必要な操作や知識を示すものを選びましょう。
子育てなどでブランクがある人
子育てや介護などで仕事から離れていた人は、パソコンのソフトの変化に追いつくことが最初の課題になります。以前に使っていたソフトから、今の職場で使われることが多いバージョンに慣れ直す意味でも、MOSの365の試験は学び直しの目標にしやすい資格です。短い時間の勤務から始められる事務の求人も多いので、資格の勉強と並行して、働き方の条件に合う求人を探してみましょう。
経理の専門職を目指す人
将来、経理の専門職として長く働きたい人は、日商簿記2級を早めに目標にしましょう。2級を取ったあとは、会計ソフトの操作に慣れる、決算の流れを学ぶなど、実務に近い知識を積み重ねていくことで、経理の求人の中でも選べる幅が広がります。
未経験から資格を転職につなげる進め方
資格を取ることそのものが目的にならないように、転職までの流れの中で資格をどう使うかを考えておくことが大切です。
ステップ1:目指す事務職を決める
まず、どの事務職を目指すのかを決めます。求人サイトで「事務」と検索し、興味のある求人をいくつか選んで、仕事の内容と応募の条件を書き出してみましょう。「Excelで関数を使った集計ができる方」「簿記2級以上歓迎」のように、求人に書かれている条件から、必要な資格が見えてきます。
ステップ2:優先順位をつけて資格を選ぶ
次に、条件に合う資格に優先順位をつけます。多くの事務職に共通するパソコンの資格を先に取り、そのあとで目指す事務職に特有の資格に進むのが効率的です。経理を目指すなら簿記3級、IT企業を目指すならITパスポートというように、目的に直結するものを2番目に置きます。
一度に多くの資格を取ろうとすると、どれも中途半端になりがちです。1つ取ったら履歴書に書き、応募を始めながら次の資格の勉強を進めるくらいの進め方が、転職の活動と両立しやすくなります。
ステップ3:履歴書と職務経歴書に正しく書く
資格を取ったら、履歴書の資格欄に正式な名前で書きます。たとえばMOSは「Microsoft Office Specialist Excel 365 合格」、簿記は「日本商工会議所簿記検定試験2級 合格」のように、主催団体と科目、級が分かるように書きましょう。勉強中の資格がある場合は、「日本商工会議所簿記検定試験2級 取得に向けて勉強中」と書き添えることもできます。
職務経歴書には、資格で学んだことを前の仕事でどう使ったかを書くと、説得力が増します。「Excelで売上の集計表をつくり、毎月の報告にかかる時間を短くした」のように、具体的な場面を書くのが効果的です。
ステップ4:面接では学んだ理由を話せるようにする
面接では、なぜその資格を取ったのか、事務の仕事にどう活かしたいのかを聞かれることがよくあります。資格の名前を伝えるだけでなく、学んだ内容と、入社後にどんな仕事で使いたいかを、自分の言葉で話せるように準備しておきましょう。
たとえば、MOSのExcelを取った人なら、次のような話し方ができます。
「前職の販売の仕事で、売上を手作業で集計するのに時間がかかっていたことから、Excelを体系的に学びたいと考えてMOSを取りました。関数を使った集計や、グラフでの見える化ができるようになったので、御社でも毎月の数字の取りまとめを正確に、早く仕上げることで貢献したいと考えています。」
このように、資格を取ったきっかけ、学んで身についたこと、入社後に活かしたい場面の3つを順に話すと、資格が単なる肩書きではなく、仕事に使える力として伝わります。
独学と講座のどちらで学ぶか
資格の勉強の方法は、独学と、通信講座や通学の講座に分かれます。どちらが合うかは、資格の種類と、自分の学び方で決めましょう。
独学が向いている場合
MOSやITパスポートは、市販の対策テキストと模擬試験のソフトがそろっていて、独学で合格を目指す人が多い資格です。とくにMOSは、実際にソフトを操作しながら学ぶことが何より大切なので、テキストの手順をなぞりながら、自分のパソコンで同じ操作を繰り返すのが効果的です。ITパスポートは、IPAが過去の問題を公開しているので、繰り返し解いて出題の傾向をつかめます。
講座が向いている場合
日商簿記2級のように範囲が広く、仕訳の考え方を理解するのに時間がかかる資格は、講座を使うと効率よく学べることがあります。講師の解説を聞くことで、自分ではつまずきやすい部分を早く乗り越えられます。また、1人では勉強が続かないという人にとっても、講座の日程や課題が学習のペースをつくってくれます。
講座を選ぶときは、受講料だけでなく、教材が今の試験の範囲に対応しているか、質問できる仕組みがあるか、受講の期限はいつまでかを確かめましょう。教育訓練給付金の対象の講座かどうかも、費用を考えるうえで大切な点です。
毎日の勉強の続け方
働きながら資格を目指す人は、毎日決まった時間を勉強にあてることが合格への近道です。朝の30分、昼休みの15分、夜の1時間というように、生活の中で使える時間を先に決めておくと、忙しい日でも勉強が途切れにくくなります。試験の日を先に決めて予約してしまうのも、勉強を続けるための有効な方法です。
事務職の求人票の読み方
資格を選ぶときにも、応募先を選ぶときにも役立つのが、求人票を正しく読む力です。事務職の求人票で特に見ておきたい項目を紹介します。
「必須」と「歓迎」を分けて読む
求人票の応募の条件には、「必須」と「歓迎」の2つが書かれていることがよくあります。必須は満たしていないと応募できない条件、歓迎は満たしていれば評価が上がる条件です。「Excelの基本操作(必須)」「簿記2級(歓迎)」のように書かれていれば、Excelの操作は必ず身につけておき、簿記は取れていれば有利になる、という意味になります。歓迎の条件をすべて満たしていなくても、必須の条件を満たしていれば応募してみる価値があります。
仕事の内容を具体的に確かめる
「一般事務」と書かれていても、実際の仕事の中身は会社によって大きく違います。電話応対が中心なのか、データの入力が中心なのか、来客の対応があるのか、経理の補助も含まれるのかを、求人票の仕事の内容の欄で確かめましょう。書かれていない場合は、面接で「1日の仕事の流れを教えてください」と聞くと、入社後の働き方を具体的に思い描けます。
使うソフトと勤務の条件を確かめる
求人票に、使っているソフトや会計システムの名前が書かれていることがあります。分かっている場合は、そのソフトの操作に事前に慣れておくと、面接でも意欲を伝えられます。あわせて、勤務時間、残業の目安、在宅勤務の有無、試用期間の条件も確かめておきましょう。
資格の勉強の費用を抑える制度
資格の勉強には、教材や講座の費用がかかります。働きながら、または離職中に勉強する人が使える国の制度があります。
教育訓練給付金
教育訓練給付金は、国が指定した講座を修了したときに、受講料の一部が雇用保険から支給される制度です。厚生労働省によると、一般教育訓練の対象の講座なら、受講料の20%(上限10万円)が修了後に支給されます。パソコンの資格や簿記の講座の中にも対象になっているものがあります。受給には、雇用保険に入っていた期間などの条件があるので、対象の講座と条件は厚生労働省の教育訓練給付制度のページとハローワークで確かめてください。
ハロートレーニング
仕事を探している人は、ハロートレーニングと呼ばれる公的な職業訓練を受けられることがあります。ハロートレーニングとは、国や都道府県が実施する公共職業訓練と、求職者支援訓練をまとめた呼び方です。事務の仕事に向けたパソコンや簿記のコースも多く開かれていて、受講料は原則としてかかりません(テキスト代などは自分で払います)。受講にはハローワークでの相談と申し込みが必要なので、離職中の人はまず住んでいる地域のハローワークに相談しましょう。
資格とあわせて身につけたいスキル
事務職の現場では、資格の試験には出てこないけれど、毎日の仕事の速さと正確さを左右するスキルがあります。転職の前に身につけておくと、入社してからの立ち上がりが早くなります。
- タイピングの速さと正確さ。画面を見ながら、手元を見ずに打てると入力の仕事が速くなる
- ショートカットキー。コピー、貼り付け、元に戻す、保存などを、マウスを使わずに操作できる
- Excelのよく使う関数。合計、平均、条件に合うデータの集計、別の表からのデータの参照など
- メールとチャットの書き方。用件を最初に書き、相手が返事をしやすい文章にする
- クラウドのサービスの使い方。共有のフォルダや、オンラインで同時に編集する文書など
特に、最近の職場では、メールに加えてチャットでのやり取りが増えています。短い文章でも、誰に何をお願いしているのか、いつまでに必要なのかが伝わる書き方を心がけると、事務の仕事の評価が上がります。資格の勉強とあわせて、毎日のパソコンの使い方の中で、こうしたスキルを意識して練習しておきましょう。
転職の前に確かめておきたいこと
事務職への転職では、資格の準備とあわせて、働き方の条件も確かめておくことが大切です。
- 正社員、契約社員、派遣社員のどの形で働くか。派遣では、派遣会社の研修でパソコンのスキルを学べることもある
- 勤務時間と残業の見込み。月末や決算の時期に忙しくなる事務職も多い
- 在宅勤務ができるか。会社によっては、書類の電子化が進み、事務の仕事を在宅で行える場合がある
- 使っているソフトや会計システム。入社前に分かれば、事前に操作に慣れておける
事務職は人気が高く、とくに未経験で応募できる正社員の求人は競争が激しい傾向があります。最初は派遣社員や契約社員として事務の経験を積み、そのあとで正社員の求人に応募する道を選ぶ人もいます。経験を積みながら資格を増やしていけば、応募できる求人の幅が広がります。
事務のスキルを活かせる在宅の仕事の広がり
事務のスキルは、会社に勤める形だけでなく、在宅の仕事でも求められています。データの入力や整理、資料の作成、経理の補助、メールの対応の代行など、事務の仕事の一部を外部に依頼する会社や個人事業主は少なくありません。
フリーランスと在宅ワークの仲介を長く続けてきた運営者の立場から見ると、在宅の事務の仕事で長く依頼が続くのは、操作のスキルだけでなく、連絡が早く、確認の手間を減らしてくれる人です。依頼する側にとっては、指示を少なくしても正確に仕上げてくれることが最大の価値になります。MOSや簿記の資格は、仕事を始めるときの信頼の目安になり、そこから先は丁寧なやり取りの積み重ねが次の依頼につながります。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りなら、同じ予算で依頼する側はより多くを任せられ、受ける側の手取りも厚くなります。
事務の仕事の中でも、資料やデザインの作成まで手がけられると、依頼の幅が広がります。PowerPointでの資料づくりや、簡単な図の作成ができる人は、デザインの周辺の仕事を受けることもあります。デザイナーの年収・単価相場では、資料やデザインの仕事の単価の目安を紹介しているので、事務のスキルに加えて表現の力を伸ばしたい人は参考にしてください。
よくある質問
Q. 事務職に転職するなら最初に取るべき資格は何ですか?
多くの事務職に共通して役立つのは、WordとExcelの操作を証明するMOSです。科目ごとに受けられ、日程も選びやすいので、最初の資格として取り組みやすい資格です。経理事務を目指すなら日商簿記3級、IT企業の事務ならITパスポートを、次の資格として組み合わせると効果的です。
Q. 資格がなくても事務職に転職できますか?
事務職の求人の多くは資格を必須にしていないので、資格がなくても応募できます。ただし、未経験の人は操作のスキルを示す手段が少ないため、資格があると書類選考で有利になりやすくなります。前の仕事での電話応対や顧客とのやり取りの経験も、事務の仕事に活かせる強みとして伝えましょう。
Q. 簿記は何級から履歴書に書けますか?
3級から書いて問題ありません。日本商工会議所は3級を、業種や職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき基本の知識と位置づけています。経理事務の求人では2級以上を歓迎の条件にしているものも多いので、経理を目指す人は3級を取ったあとに2級に挑戦しましょう。
Q. 資格の勉強に使える給付金はありますか?
雇用保険の教育訓練給付金があります。国が指定した講座を修了すると、一般教育訓練の場合で受講料の20%(上限10万円)が支給されます。仕事を探している人は、受講料が原則かからないハロートレーニングを受けられる場合もあります。条件があるので、ハローワークで確かめましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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