事務職のキャリアアップの資格|次に取るもの


この記事のポイント
- ✓事務職のキャリアアップに役立つ資格を
- ✓今の段階と次に目指す方向から選べるように解説します
- ✓MOS・秘書検定・日商簿記2級・ビジネス実務法務検定・社会保険労務士・ITパスポートの試験形式と受験料を公式の案内で確かめ
事務職として何年か働くと、「このままの仕事を続けてよいのか」「次にどんな資格を取れば、仕事の幅や評価が上がるのか」と考える時期が来ます。事務職のキャリアアップの資格を選ぶときの結論は、資格の人気や難しさではなく、「今の自分の段階」と「次に目指す方向」の2つから決めることです。パソコンの操作やビジネスマナーの基礎を固める段階なのか、経理や総務、人事といった専門の事務に進む段階なのか、それとも業務の効率化や管理の役割に広げる段階なのかで、次に取るべき資格は変わります。この記事では、事務職のキャリアアップを3つの方向に分けて考え、それぞれに合う資格の試験の形式と受験料を公式の案内で確かめて紹介します。資格を社内の評価や転職につなげる方法もあわせて説明します。
事務職のキャリアアップには3つの方向がある
事務職のキャリアアップと一口に言っても、進む方向は人によって違います。大きく分けると、次の3つです。
1つ目は、専門性を深める方向です。一般事務から経理事務、総務、人事労務、法務といった専門の事務に進み、その分野の知識で頼られる存在になる道です。専門の事務は、決算や給与、契約といった会社の重要な仕事に関わるため、知識のある人が求められ続けます。
2つ目は、仕事の範囲を広げる方向です。表計算ソフトでの集計の自動化や、クラウドのサービスの導入、生成AIを使った効率化など、事務の進め方そのものを改善する役割を担う道です。事務の仕事がシステムで置き換わる部分が増えるほど、その仕組みを理解して使いこなせる人の価値は上がります。
3つ目は、管理の役割に進む方向です。事務のチームのリーダーとして、仕事の割り振りや手順の整備、後輩の指導を担う道です。この方向では、資格そのものより、仕事の流れを整理して人に伝える力が問われます。
どの方向を選ぶかで、次に取るべき資格は大きく変わります。たとえば、経理に進みたい人が秘書検定の上の級を目指しても、キャリアアップの効果は限られます。反対に、役員の補佐や来客の対応を担う秘書の仕事を目指す人には、簿記より秘書検定のほうが役立ちます。資格を選ぶ前に、自分がどの方向に進みたいかを決めておくことが大切です。
事務職の仕事が変わってきている背景
事務職のキャリアアップを考えるうえで、事務の仕事そのものが変わってきていることを知っておくと、資格の選び方に迷いにくくなります。
かつての事務職の仕事は、紙の書類を作る、伝票を手で書き写す、電話を取り次ぐ、といった作業が中心でした。今は、会計ソフトやクラウドのサービス、チャットの道具が広く使われるようになり、同じ情報を何度も書き写す作業は大きく減っています。請求書の発行や経費の精算も、システムで自動化されている会社が増えました。
この変化によって、事務職に求められる力も変わっています。単純な入力の作業は減る一方で、システムに入った情報が正しいかを確かめる力、例外的な処理に対応する力、仕事の流れ全体を見て改善を考える力が求められるようになりました。たとえば、会計ソフトが自動で仕訳をしても、その仕訳が正しいかを判断するには簿記の知識が必要です。チャットで問い合わせを受ける仕事でも、相手に伝わる文章を書く力が欠かせません。
つまり、事務職のキャリアアップの資格は、「作業を速くこなすための資格」から「判断と改善の根拠になる資格」へと重みが移っていると言えます。この視点で見ると、簿記や法務、ITの知識のように、判断の根拠を与えてくれる資格の価値が分かりやすくなります。
方向がまだ決まらない人は、今の仕事の中で「頼まれると嬉しい作業」と「苦手で時間がかかる作業」を書き出してみてください。数字の集計が好きなら経理や分析、人とのやり取りが得意なら秘書や総務、仕組みを考えるのが好きなら業務の改善、というように、自分の向きが見えてきます。
今の自分の段階を確かめる
方向と並んで大切なのが、今の自分の段階です。事務職のキャリアは、おおむね次の3つの段階で考えると整理しやすくなります。
- 基礎の段階:パソコンの操作やビジネスマナー、文書の書き方など、どの事務にも共通する力を固める段階です。事務職の経験が浅い人や、未経験から事務職に移った人が当てはまります。
- 専門の段階:経理、総務、人事労務、法務など、特定の分野の知識を身に付けて任される範囲を広げる段階です。数年の経験があり、日常の作業は一通りこなせる人が当てはまります。
- 改善と管理の段階:仕事の進め方を見直したり、チームをまとめたりする段階です。専門の知識に加えて、仕組みを作る力が求められます。
基礎の段階の人が、いきなり難しい国家資格を目指すと、勉強の負担が大きいうえに、今の仕事との結び付きが弱く、途中で続かなくなりがちです。反対に、専門の段階の人が基礎の資格を重ねても、評価はあまり変わりません。自分の段階に合った資格を1つずつ積み重ねるのが、遠回りに見えて最も確実な進み方です。
基礎の段階で取りたい資格
事務職の基礎を固める段階では、毎日の作業に直結する資格が向いています。
パソコンの操作を示すMOS
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)は、Word、Excel、PowerPointなどの利用スキルを証明する資格で、株式会社オデッセイコミュニケーションズが運営しています。事務職の仕事の多くはこれらのソフトで行われるため、操作の力を客観的に示せる資格として広く知られています。
受け方には、全国にある試験会場でほぼ毎日実施される随時試験と、毎月開催の全国一斉試験があります。ただし、公式サイトでは、全国一斉試験を2026年12月で終了すると案内されています。それ以降は随時試験で受けることになります。受験料、試験の内容、合格証はどちらも同じとされています。
キャリアアップの視点では、一般的なレベルの資格を取ったあと、上位のレベルに進むことで、集計や分析の作業を任される材料になります。とくにExcelは、関数やピボットテーブル(大量のデータを項目ごとに集計する機能)を使いこなせると、事務の作業時間を大きく縮められます。
ビジネスマナーを示す秘書検定
秘書検定は、公益財団法人実務技能検定協会が実施する検定です。受験資格に制限はなく、3級、2級、準1級、1級があります。第140回の受験要項では、受験料は3級が3,800円、2級が5,200円、準1級が6,500円、1級が7,800円です。合格の基準は公式サイトに次のように書かれています。
筆記試験は、全級とも「理論」と「実技」に領域区分されており、それぞれの得点が60%以上のとき合格になります。 出典: 実務技能検定協会
準1級と1級には面接試験もあり、上の級ほど、上司の補佐として状況を判断して動く力が問われます。いつでも受けられるCBT試験も用意されています。秘書検定は秘書を目指す人だけの資格ではなく、来客や電話の対応、上司とのやり取りの作法を体系的に学べるため、どの事務職にも役立ちます。キャリアアップを考えるなら、2級を基礎とし、上司の補佐や役員の対応を担いたい人は準1級を目指すとよいでしょう。
文書の力を示すビジネス文書検定
同じ実務技能検定協会が実施するビジネス文書検定は、社内外の文書を正しく書く力を測る検定です。事務職は、社内の通知や取引先への案内状、報告書など、文書を作る機会が多い仕事です。文書の正確さは会社の信用に直結するため、書く力を磨くことはキャリアアップの土台になります。検定の内容はビジネス文書検定の解説で紹介しています。級ごとのレベルを確かめると、自分の文書の力がどの程度かを判断する目安になります。
専門の段階で取りたい資格
基礎が固まったら、進みたい分野の専門の資格に移ります。専門の資格は、任される仕事の範囲を広げ、社内での役割を変えるきっかけになります。
経理に進むなら日商簿記検定の2級
経理事務に進みたい人の代表的な目標が、日本商工会議所などが実施する日商簿記検定です。公式サイトでは、2級は「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ」と説明され、財務諸表の数字から経営の内容を把握できるなど、会計の実務を踏まえて適切に処理や分析を行うレベルとされています。
2級と3級は、パソコンで受けるネット試験でも受けられます。ネット試験の受験料(税込)は2級が5,500円、3級が3,300円で、試験時間は2級が90分、3級が60分です。ネット試験の扱いについて、公式サイトには次のように書かれています。
ネット試験の合格と統一試験であるペーパー試験の合格は同じ扱いとなりますので、履歴書等には「日商簿記検定試験(●級)取得」と記載していただけます。 出典: 商工会議所の検定試験
一般事務の人が経理に移るときは、まず3級で仕訳の考え方を身に付け、そのうえで2級に進むのが一般的な順番です。2級では、製品の原価を計算する工業簿記も学ぶため、製造業の経理にも対応できるようになります。
総務や法務に進むならビジネス実務法務検定
総務や法務の事務に進みたい人には、東京商工会議所が実施するビジネス実務法務検定試験が向いています。契約や取引、労働、知的財産など、会社の仕事に関わる法律の基本を学ぶ検定です。公式サイトでは、2級と3級はインターネットで受けるIBT方式や、テストセンターで受けるCBT方式で実施されていると案内されています。
総務の事務では、契約書の管理や社内の規程の整備、取引先との書類のやり取りなど、法律の知識が関わる場面が多くあります。法律の専門家になるための資格ではありませんが、どこに注意すべきかが分かるようになると、問題が大きくなる前に上司や専門家に相談できるようになります。
人事労務を極めるなら社会保険労務士
人事労務の事務を続けてきた人が、さらに上を目指すときの国家資格が社会保険労務士です。社会保険労務士は、労働や社会保険の法令にもとづく書類の作成や手続き、労務管理の相談を専門とする資格です。試験を実施する社会保険労務士試験センターの公式サイトによると、第58回(令和8年度)の試験は8月23日に行われ、合格発表は10月1日でした。試験は年に1回です。
社会保険労務士は、事務職の資格の中でも勉強の量が多い資格で、仕事と並行して長い期間をかけて準備する人が多くいます。いきなり目指すより、人事労務の実務を数年経験し、給与計算や社会保険の手続きの流れを理解してから挑戦すると、勉強した内容が実務と結び付きやすくなります。
改善と管理の段階で役立つ資格
仕事の進め方を見直す役割や、チームをまとめる役割に進む段階では、ITの知識が大きな武器になります。
ITの基礎を示すITパスポート
ITパスポート試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。公式サイトでは、CBT方式により随時実施され、試験時間は120分、出題数は100問と案内されています。対象者の像として、担当業務の問題を把握し、データを利活用して解決を図ることなどが挙げられています。
事務の仕事では、クラウドのサービスの導入や、データの管理、情報セキュリティの対策など、ITの判断が求められる場面が増えています。ITパスポートで学ぶ内容は、システムの担当者と話すときの共通の言葉にもなります。業務の改善を提案する立場に進みたい人にとって、取りやすく効果の大きい資格です。
生成AIを業務に取り入れる力
最近は、生成AIを使って文書の下書きやデータの整理、問い合わせへの回答案の作成を効率化する会社が増えています。こうした変化の中で、事務職の価値は「作業をこなすこと」から「仕組みを使って作業を減らすこと」へと移りつつあります。AIを業務に取り入れる支援の仕事は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。事務の現場でAIをどう使えるかを知っておくと、改善の提案の幅が広がります。
ただし、AIに会社の情報や顧客の情報を入力するときは、社内の決まりを必ず確かめてください。情報の扱いを誤ると、効率化どころか大きな問題につながります。
チームをまとめる役割に進むときに身に付けたい力
事務のチームのリーダーを目指す場合は、資格の勉強と並んで、仕事の手順を整える力を身に付けることが大切です。リーダーには、誰が何を担当しているかを把握し、作業が偏らないように割り振る役割があります。そのためには、仕事の手順を文書にまとめ、誰が担当しても同じ品質で仕上がるようにする工夫が欠かせません。
手順書を作るときは、作業の目的、使うソフトや資料、手順、確認すべき点、困ったときの相談先を順番に書きます。文書を正確に書く力は、ここでも役に立ちます。手順書が整っていると、新しく入った人の教育の時間も短くなり、チーム全体の仕事が安定します。
主な資格の比較
紹介した資格を、段階と受け方で並べると次のとおりです。受験料と形式は、2026年11月2日時点で各主催団体の公式サイトに掲載されているものです。
| 資格 | 段階 | 実施団体 | 受け方 | 受験料(税込) |
|---|---|---|---|---|
| MOS | 基礎 | オデッセイコミュニケーションズ | 随時試験(全国一斉試験は2026年12月で終了) | 公式サイトで確認 |
| 秘書検定 | 基礎 | 実務技能検定協会 | 年に数回の試験とCBT | 3級3,800円、2級5,200円 |
| ビジネス文書検定 | 基礎 | 実務技能検定協会 | 公式サイトで確認 | 公式サイトで確認 |
| 日商簿記検定 | 専門(経理) | 日本商工会議所など | 2級と3級はネット試験あり | 2級5,500円、3級3,300円(ネット試験) |
| ビジネス実務法務検定 | 専門(総務・法務) | 東京商工会議所 | 2級と3級はIBTとCBT | 公式サイトで確認 |
| 社会保険労務士 | 専門(人事労務) | 社会保険労務士試験センター | 年に1回 | 公式サイトで確認 |
| ITパスポート | 改善と管理 | IPA | CBTで随時 | 公式サイトで確認 |
表のとおり、基礎の段階の資格は比較的受けやすく、専門の段階に進むほど準備の期間が長くなります。今の段階に合った資格を選び、1つずつ積み重ねてください。
資格を取る順番の組み立て方
キャリアアップの資格は、1つ取って終わりではなく、順番に積み重ねることで効果が大きくなります。順番の組み立て方の例を、進みたい方向ごとに示します。
経理の方向に進む場合は、日商簿記3級で仕訳の基本を固め、次に2級で決算と原価の計算に進みます。並行してMOSのExcelで集計の力を示すと、経理の現場で数字を扱う作業を任されやすくなります。さらに上を目指すなら、経理の実務を積んでから、税金や会計の上位の資格を検討します。
総務や法務の方向に進む場合は、ビジネス文書検定で社内外の文書の書き方を固め、ビジネス実務法務検定の3級で法律の基本を学びます。そのうえで2級に進むと、契約や取引の注意点をより深く理解できます。
人事労務の方向に進む場合は、まず給与計算や社会保険の手続きの実務を経験し、仕事の流れを理解します。その間に日商簿記3級で数字の扱いに慣れておくと、給与の計算の理解が深まります。実務を数年積んだら、社会保険労務士の勉強を始めます。
業務の改善の方向に進む場合は、MOSでソフトの操作を固め、ITパスポートでシステムと情報セキュリティの基本を学びます。そのうえで、自分の職場の作業を1つ選んで効率化を試し、その結果を上司に報告します。
どの順番でも、1つの資格を取ったら、その知識を仕事で使う期間を設けることが大切です。次の資格に進む前に、学んだことが仕事でどう役立ったかを振り返ると、次に何を学ぶべきかがはっきりします。
派遣や契約社員から次の働き方を目指す場合
派遣社員や契約社員として事務の仕事をしている人にとっても、資格はキャリアアップの材料になります。派遣の仕事では、紹介される仕事の条件に、使えるソフトや経験のある業務が書かれていることが多く、資格はそれを客観的に示す手段になります。
たとえば、MOSでExcelの操作の力を示せると、集計や分析の作業を含む仕事を紹介してもらいやすくなります。日商簿記を持っていれば、経理の補助の仕事に応募できる範囲が広がります。派遣会社の担当者に、取った資格と今後進みたい方向を伝えておくと、条件に合った仕事を探してもらいやすくなります。
契約社員から正社員を目指す場合は、今の職場での評価が大きな意味を持ちます。資格を取ったことを上司に伝え、学んだことで仕事の質を上げていることを見せると、登用の判断の材料になります。正社員への登用の制度があるかどうかは会社ごとに違うため、就業規則や人事の担当者に確かめてください。
職種別のキャリアアップの進み方
ここでは、よくある4つの事務職ごとに、資格の進み方の例を示します。
一般事務から経理事務へ
一般事務で請求書や経費の処理に関わっている人は、日商簿記3級から始めるのが自然です。3級で仕訳の考え方を身に付けると、伝票の処理の意味が分かるようになり、経理の担当者とのやり取りもスムーズになります。そのうえで2級に進むと、決算の補助や原価の計算など、経理の中心の仕事に関われるようになります。
営業事務から営業の企画や分析へ
営業事務では、受注や出荷の管理、売上のデータの集計が中心になります。MOSのExcelの上位のレベルで集計や分析の力を示し、売上の傾向をまとめて営業の担当者に提案できるようになると、営業の企画や分析の仕事に近づきます。
一般事務から総務へ
総務の仕事は、会社の備品や施設の管理、社内の規程、契約書の管理など幅広い分野にわたります。ビジネス実務法務検定の3級で法律の基本を学び、契約や取引の注意点を理解しておくと、総務の中で任される範囲が広がります。
人事労務の事務から専門職へ
給与計算や社会保険の手続きに関わっている人は、実務を積みながら社会保険労務士を目指す道があります。長い準備の期間が必要ですが、合格すると人事労務の専門家としての道が開け、会社の中での役割も大きく変わります。
受付や一般事務から秘書や役員の補佐へ
来客や電話の対応を担っている人は、秘書検定で応対の作法を体系的に学ぶと、秘書や役員の補佐の仕事に近づけます。秘書の仕事では、上司の予定の管理や、取引先との連絡、会議の準備など、相手の立場を考えて先回りする力が求められます。2級で基本を固め、準1級や1級に進むと、面接試験を通じて状況に応じた対応の力も確かめられます。あわせて、ビジネス文書検定で文書の書き方を学んでおくと、上司の名前で出す文書を任されたときにも落ち着いて対応できます。
資格を社内の評価につなげる方法
資格を取っても、会社の中での評価が自動的に上がるとは限りません。資格を評価につなげるには、次の3つを意識すると効果的です。
1つ目は、資格を取る前に上司に伝えることです。「経理の仕事に関わりたいので、簿記2級を受けます」と伝えておくと、合格したあとに新しい仕事を任せてもらいやすくなります。目標面談の場を使うのもよい方法です。
2つ目は、学んだ内容を今の仕事で使って見せることです。たとえば、Excelの関数を学んだら、毎月の集計の作業を自動化して作業時間を減らす。簿記を学んだら、経費の仕訳の誤りに気付いて報告する。こうした小さな改善の積み重ねが、資格の価値を目に見える形にします。
3つ目は、会社の制度を確かめることです。会社によっては、資格の取得を支援する制度や、資格手当の制度を設けているところがあります。制度の有無や対象の資格は会社ごとに違うため、人事の担当者や就業規則で確かめてください。
費用を抑えて学ぶ方法
講座を使って学ぶ場合は、国の教育訓練給付金を使えるかを確かめてみてください。教育訓練給付金とは、雇用保険に一定期間加入している人などが、厚生労働大臣が指定した講座を修了したときに、費用の一部が支給される制度のことです。
厚生労働省の教育訓練給付金のページによると、一般教育訓練は経費の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)が修了後に支給され、専門実践教育訓練は経費の50%(年間上限40万円)から、条件を満たすと最大80%まで支給されます。社会保険労務士の講座のように準備の期間が長い資格ほど講座の費用も大きくなりやすいため、対象かどうかを先に確かめる価値があります。対象の講座は教育訓練講座検索システムで探せます。自分が要件を満たすかは、受講を始める前に住所を管轄するハローワークで確かめてください。
働きながら勉強を続ける工夫
事務職のキャリアアップの資格は、ほとんどの人が仕事と並行して勉強します。忙しい中で勉強を続けるための工夫を紹介します。
まず、受験の日を先に決めます。日商簿記のネット試験、MOSの随時試験、ITパスポートのCBTのように、自分で日程を選べる試験は受けやすい反面、いつでも受けられると思うと先延ばしになりがちです。申込みを先に済ませて、試験日から逆算して計画を立てると続けやすくなります。
次に、勉強の時間を毎日の決まった時間に組み込みます。通勤の時間や昼休みの一部、家事が終わったあとの時間など、毎日同じ時間に少しずつ進めると、習慣になって続きやすくなります。
そして、学んだことを仕事で使ってみます。簿記を学んだら、普段処理している伝票の仕訳の意味を考えてみる。Excelの関数を学んだら、毎月の集計の表で試してみる。仕事の中で使うと、記憶が定着しやすく、試験の勉強と仕事の改善が同時に進みます。
最後に、うまく進まないときは目標を小さくします。上の級が難しければ、まず下の級で合格の経験を積み、自信を付けてから進むほうが、結果的に早く目標にたどり着けることもあります。
副業や在宅で事務の経験を広げる道
会社の中での異動が難しい場合でも、事務の経験を広げる方法はあります。副業が認められている会社なら、在宅で受けられる事務の仕事を通じて、普段の仕事では経験できない業務に触れることができます。たとえば、小さな会社の請求書の管理や、データの集計、資料の作成などは、在宅の仕事として募集が出ることがあります。
副業を始めるときは、まず勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめてください。そのうえで、取った資格と経験を、相手に伝わる形で整理しておくと、仕事を得やすくなります。自分の実績の見せ方は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】が参考になります。どんな作業を、どれだけの量、どの程度の正確さでこなせるかを一目で分かる形にまとめる考え方は、事務の仕事にも通じます。
転職でキャリアアップするときの資格の見せ方
社内での異動が難しい場合は、転職でキャリアアップを目指す道もあります。そのときは、資格を職務経歴書でどう見せるかが大切です。
資格の欄には、正式な名称と級、取得した年月を書きます。日商簿記のネット試験で合格した場合も、公式サイトの案内どおり「日商簿記検定試験(2級)取得」と書けます。勉強中の資格は、受験の予定の時期とあわせて書くと、学ぶ姿勢が伝わります。
職務経歴書の本文では、資格を使ってどんな仕事をしたかを具体的に書きます。「Excelの関数で月次の集計を自動化し、作業時間を短縮した」「簿記の知識を生かして経費の処理の誤りを減らした」のように、行動と結果を書くと、採用する側に仕事の力が伝わります。
在宅ワークや業務委託の仲介を長く見てきた運営者の立場から言えば、事務の仕事で長く頼られる人は、資格の数が多い人より、仕事の流れを理解して先回りできる人です。「この作業は毎月この時期に発生するので、先に資料を集めておきます」と動ける人は、雇用でも業務委託でも任される範囲が広がっていきます。資格は、その先回りを支える知識を体系的に学ぶ手段だと考えると、次に取るべきものが見えやすくなります。
資格選びで避けたい失敗
最後に、事務職の資格選びでよくある失敗を挙げておきます。
1つ目は、人気の順位だけで選ぶことです。多くの人が取っている資格でも、自分の進みたい方向と合っていなければ、キャリアアップの効果は限られます。
2つ目は、一度に複数の資格に手を広げることです。勉強の時間が分散し、どれも中途半端になりがちです。1つを取り切ってから次に進むほうが、結果的に早く目標に近づけます。
3つ目は、取ったあとに使わないことです。資格は、仕事で使って初めて評価につながります。合格したら、その知識を使える仕事を自分から探し、上司に提案してみてください。
4つ目は、受験の条件や日程を古い情報で判断することです。試験の方式や受験料は変わることがあり、MOSの全国一斉試験のように実施の形が変わる例もあります。申し込む前に、必ず主催団体の公式サイトで最新の案内を確かめてください。
資格選びの手順を整理する
最後に、事務職のキャリアアップの資格を選ぶ手順を整理します。
- 専門性を深める、範囲を広げる、管理に進む、の3つのうち、どの方向に進みたいかを決める
- 自分が基礎、専門、改善と管理のどの段階にいるかを確かめる
- 方向と段階が重なるところにある資格を1つ選ぶ
- 取る前に上司に伝え、取ったあとは今の仕事で使って見せる
- 講座を使うなら、教育訓練給付金の対象かを先に確かめる
迷ったときは、今の仕事で最も時間を使っている作業に関わる資格から始めると、学んだことをすぐに使えて成果が見えやすくなります。
資格は、次の仕事に進むための入口です。今の段階に合ったものを選び、学んだことを毎日の仕事で使うことで、事務職としての価値は着実に上がっていきます。文書の力から固めたい人は、ビジネス文書検定の内容を確かめて、最初の一歩を決めてください。
よくある質問
Q. 事務職のキャリアアップに最初に取るべき資格は何ですか?
今の段階によって変わります。事務職の経験が浅い人は、MOSや秘書検定、ビジネス文書検定で基礎を固めるのが近道です。数年の経験がある人は、経理なら日商簿記2級、総務や法務ならビジネス実務法務検定のように、進みたい分野の専門の資格を選ぶと、任される仕事の範囲が広がりやすくなります。
Q. 日商簿記のネット試験で取った資格は履歴書に書けますか?
書けます。日本商工会議所の公式サイトでは、ネット試験の合格と統一試験のペーパー試験の合格は同じ扱いになり、履歴書には「日商簿記検定試験(級)取得」と記載できると案内されています。2級と3級はネット試験で受けられ、受験料は2級が5,500円、3級が3,300円(税込)です。
Q. 社会保険労務士は事務職のキャリアアップに向いていますか?
人事労務の事務を続けたい人には大きな武器になる国家資格です。ただし勉強の量が多く、試験は年に1回のため、長い期間をかけて準備する必要があります。給与計算や社会保険の手続きの実務を数年経験してから挑戦すると、学ぶ内容が実務と結び付きやすくなります。講座を使う場合は教育訓練給付金の対象かも確かめてください。
Q. 資格を取っても社内で評価されない場合はどうすればよいですか?
資格を取る前に上司に目的を伝え、取ったあとは学んだ内容を今の仕事で使って見せることが大切です。作業の自動化や誤りの削減など、目に見える改善につなげると評価されやすくなります。資格の取得を支援する制度や資格手当の有無は会社ごとに違うため、就業規則や人事の担当者に確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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