介護休業の対象になる要介護状態とは|判断の基準と会社への申し出方 2026


この記事のポイント
- ✓介護休業の対象になる要介護状態とは何かを
- ✓育児・介護休業法の定義と厚生労働省の判断基準(12項目の表と要介護2以上)で確かめ
- ✓要介護認定がなくても取れる場合
親が急に倒れて入院した、退院後の生活をどうするか決めなければならない。そんなときに「介護休業を取りたいけれど、うちの親は要介護状態にあたるのだろうか」と迷う人は多いものです。要介護認定をまだ受けていない、認定は受けたけれど要介護1だった、という場合に、会社に申し出てよいのか分からず、休みを取らないまま無理を重ねてしまうこともあります。
結論から言うと、介護休業の対象になる「要介護状態」とは、病気やけが、心身の障害によって2週間以上にわたり常に介護が必要な状態のことで、要介護認定を受けていることは必ずしも条件ではありません。厚生労働省が定めた判断基準の表にあてはまれば、要介護認定がなくても、要介護1でも、介護休業の対象になり得ます。
この記事では、育児・介護休業法の定義と厚生労働省の判断基準を確かめたうえで、判断基準の読み方、会社への申し出方と証明書類、休業の日数と回数、休業中のお金、令和7年4月からの改正点までを順に整理します。読み終えたときに、自分の家族が対象になるかを判断でき、会社に何をどう伝えればよいかが分かる状態を目指します。
介護休業と要介護状態の定義
まず言葉を整理します。介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために、労働者が会社に申し出て取る休業のことです。育児・介護休業法という法律で定められた労働者の権利で、会社は条件を満たす労働者からの申し出を拒めません。
その「要介護状態」について、育児・介護休業法第2条第3号は「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定めています。そして厚生労働省令である施行規則第2条が、その期間を「二週間以上の期間」と定めています。
つまり、要介護状態の条件は次の2つに分けて考えられます。
・原因が、けが、病気、身体や精神の障害であること
・2週間以上にわたって、常に介護が必要な状態であること
ここでいう「介護」とは、歩く、トイレに行く、食事をする、入浴するといった日常生活に必要な手助けをすることです。家事の手伝いや通院の付き添いだけでなく、見守りや声かけが必要な状態も含めて考えます。
厚生労働省の事業主向けの案内では、要介護状態について次のように説明されています。
育児・介護休業法に定める「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと(障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む。ただし、乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まない。)をいい、要介護認定を受けていることが必ずしも要件ではありません。 常時介護を必要とする状態については、判断基準が定められており、この基準を参照しつつ判断することとなります。 出典: mhlw.go.jp
ポイントは、要介護認定を受けていることが条件ではない、と明記されている点です。これ、知らない人が本当に多いんです。介護保険の要介護認定は申請から結果が出るまでに時間がかかるので、認定を待っていると介護休業を取るタイミングを逃してしまいます。認定がまだでも、状態が判断基準にあてはまれば申し出られます。
また、障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもを介護・支援する場合も含まれることが明記されています。一方で、乳幼児の通常の成長の過程で必要な世話は含まれません。年齢による通常の育児は育児休業の制度で対応し、障害や病気による常時の介護が必要な場合は介護休業の対象になる、という区分です。
対象になる家族の範囲
介護休業を取れるのは、「対象家族」を介護する場合です。育児・介護休業法第2条第4号と施行規則第3条によると、対象家族は次のとおりです。
| 区分 | 対象家族 |
|---|---|
| 配偶者 | 夫または妻(事実婚を含む) |
| 本人の家族 | 父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
| 配偶者の家族 | 配偶者の父母 |
厚生労働省の判断基準の注記では、対象家族について「同居の有無は問わない」とされています。離れて暮らす親の介護のために介護休業を取ることもできます。遠方に住む親が倒れ、地元で介護の体制を整えるために休業する、という使い方も想定されています。
配偶者の祖父母や兄弟姉妹は、対象家族には含まれません。配偶者の家族で対象になるのは、配偶者の父母だけです。この線引きは雇用保険の介護休業給付金の対象家族とも同じなので、休業とお金の両方で同じ範囲だと覚えておけば迷いません。
厚生労働省の判断基準の読み方
「常に介護が必要な状態」かどうかは、厚生労働省が定めた「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」を参考に判断します。この基準は令和7年4月に見直され、障害のある人や医療的ケアが必要な人の介護にもあてはめやすい表現に改められました。
判断基準では、次の【1】か【2】のどちらかにあてはまれば、常時介護を必要とする状態とされます。
・【1】12の項目のうち、状態「2」が2つ以上、または状態「3」が1つ以上あてはまり、その状態が続くと認められること
・【2】介護保険制度の要介護状態区分で要介護2以上であること
つまり、要介護2以上の認定を受けていれば【2】だけで対象になります。要介護1の人や、認定をまだ受けていない人、介護保険の対象年齢でない人は、【1】の12項目で判断します。
12の項目と状態は次のとおりです。
| 項目 | 状態1 | 状態2 | 状態3 |
|---|---|---|---|
| 座位保持(10分間一人で座っていられる) | 自分で可 | 支えてもらえればできる | できない |
| 歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩ける) | つかまらないでできる | 何かにつかまればできる | できない |
| 移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移る) | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| 水分・食事摂取 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| 排泄 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| 衣類の着脱 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| 意思の伝達 | できる | ときどきできない | できない |
| 外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある | ない | ときどきある | ほとんど毎回ある |
| 物を壊したり衣類を破くことがある | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| 周囲が対応しなければならないほどの物忘れなど、認知・行動上の課題がある | ない | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| 医薬品または医療機器の使用・管理 | 自分で可 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| 日常の意思決定 | できる | 本人に関する重要な意思決定はできない | ほとんどできない |
表を読むときの注意点
判断基準には、表の言葉の意味を説明する注記がついています。主なものを押さえておくと、自分の家族にあてはめやすくなります。
・「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えたりして自分でできる場合も含む
・「見守り等」とは、常に付き添う必要がある見守りや、認知症の高齢者や障害のある人に必要な確認、指示、声かけなどのこと
・座位保持の「支えてもらえればできる」には、背もたれがあれば一人で座っていられる場合も含む
・水分・食事摂取の「見守り等」には、動作の見守りや、食べる量が少なすぎたり多すぎたりしないよう判断を支える声かけも含む
・日常の意思決定の状態2は、見たいテレビ番組やその日の献立は決められるが、ケアプランづくりや治療方針への同意など本人に関する重要な決定には支援が必要な状態
たとえば、脳梗塞で入院した親が、退院後に「何かにつかまれば歩ける(歩行の状態2)」「トイレの動作に一部手助けが必要(排泄の状態2)」という状態なら、状態2が2つで【1】にあてはまります。要介護認定の結果を待たなくても、この時点で対象になり得るわけです。
また、認知症の初期で、体はほぼ自分で動かせるものの「外出すると戻れないことがときどきある」「物忘れで周囲が対応しなければならないことがときどきある」という場合も、状態2が2つです。体の介助がほとんど要らなくても、見守りや声かけが常に必要なら対象になる点は見落とされがちです。
柔軟に運用することが求められている
厚生労働省は、この判断基準について、基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されないよう、個々の事情に合わせて、なるべく仕事と介護を両立できるように事業主が柔軟に運用することが望まれる、と説明しています。表にぴったりあてはまらないからといって、ただちに対象外になるわけではありません。
判断基準にあてはめた具体例
判断基準の表は項目が多く、実際の家族にあてはめるときに迷いやすいものです。よくある場面ごとに、あてはめ方の例を示します。あくまで考え方の例で、最終的には家族の実際の状態と会社の判断で決まります。
がんの治療で体力が落ちた父親
抗がん剤の治療で体力が落ち、自宅では手すりにつかまればトイレまで歩けるものの、着替えには手助けが必要、食事は量の判断に声かけが必要、という状態だとします。歩行が状態2、衣類の着脱が状態2、水分・食事摂取が状態2で、状態2が3つです。治療が数か月続く見込みなら、2週間以上続くという条件も満たすので、判断基準の【1】にあてはまります。
認知症の診断を受けた母親
体はほぼ自分で動かせるものの、薬の飲み忘れや飲みすぎがあり管理に手助けが必要で、ガスの消し忘れなど周囲が対応しなければならない物忘れがほとんど毎日ある、という状態だとします。医薬品の使用・管理が状態2、認知・行動上の課題が状態3です。状態3が1つあるだけで【1】にあてはまります。体の介助が少なくても、見守りや確認が欠かせない状態なら対象になる例です。
医療的ケアが必要な子ども
たん吸引などの医療的ケアが必要な子どもで、医療機器の管理を全面的に親が担っている場合、医療機器の使用・管理が状態3にあたります。厚生労働省の定義でも、医療的ケア児・者を介護・支援する場合が含まれると明記されています。乳幼児の通常の成長に伴う世話とは区別され、障害や病気による常時の介護が必要なら、子どもであっても介護休業の対象になり得ます。
入院中の家族のための介護休業
「親が入院しているなら病院が介護してくれるので、介護休業はいらないのでは」と会社に言われることがあります。厚生労働省の事業主向けの案内は、この点について、対象家族が入院していても、労働者本人が歩行、排泄、食事、入浴などの日常生活に必要な手助けをする必要があるかどうかを見て判断すべきだと説明しています。
さらに同じ案内では、介護休業は「要介護状態にある対象家族の介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するもの」と位置づけられ、「介護に専念するためのもの」ではないとされています。つまり介護休業は、自分が付きっきりで介護するための休みというより、退院後の生活に向けて介護サービスを手配し、家族の役割分担を決め、仕事を続けられる体制を整えるための休みなのです。
入院中は、ケアマネジャー(介護サービスの計画を立てる専門職)との面談、介護保険の申請、退院後の住まいの改修や施設探しなど、平日の日中にしかできない用事が集中します。介護休業はまさにこの時期に使う制度だと考えると分かりやすいでしょう。
会社への申し出方と証明書類
介護休業は、会社に申し出ることで取れます。育児・介護休業法施行規則第23条では、申し出るときに次のことを会社に伝える必要があるとされています。
・申し出の年月日
・申し出る労働者の氏名
・対象家族の氏名と、本人との続柄
・対象家族が要介護状態にある事実
・休業を始める日と終える日
・その家族についてこれまでに取った介護休業の日数
多くの会社では、この内容を書き込める介護休業申出書の様式を用意しています。まずは就業規則や社内の手続きを確かめ、人事や総務の担当者に様式をもらいましょう。
いつまでに申し出ればよいか
育児・介護休業法第12条第3項によると、休業を始める日が申し出の翌日から数えて2週間を過ぎる日より前の場合、会社は、休業開始日を2週間を過ぎる日までの間で指定し直すことができます。つまり、会社の都合で開始日をずらされないためには、休業を始めたい日の2週間前までに申し出ておくのが確実です。
急に親が倒れた場合など、2週間前に申し出られないこともあります。その場合でも申し出自体はできますが、開始日が会社の指定で後ろにずれる可能性があります。そのあいだは年次有給休暇や介護休暇(年5日まで、1日単位や時間単位で取れる短い休み)を組み合わせてしのぐのが現実的です。
証明書類は医師の診断書に限られない
施行規則第23条第3項では、会社は、対象家族との続柄や要介護状態にある事実を証明する書類の提出を求めることができるとされています。ただし、厚生労働省の事業主向けの案内では、証明書類は医師の診断書などに限定されておらず、要介護状態にある事実を証明できるもので労働者が提出できるものとすべきだとしています。
さらに同じ案内では、就業規則で介護休業の申し出に医師の診断書の添付を義務づけることはできず、証明書類が提出されないことを理由に休業させないということはできない、とまで書かれています。家族の状態を説明するメモ、ケアマネジャーとの面談記録、介護保険の認定通知(あれば)など、手元で用意できるもので足ります。診断書を取るには費用と時間がかかるので、会社から診断書を求められたら、この厚生労働省の説明を伝えて、ほかの書類で足りないかを相談してください。
取れる日数と回数、取れる人の条件
育児・介護休業法第11条によると、介護休業は対象家族1人につき、通算93日まで、3回まで分けて取れます。たとえば最初の入院時に30日、退院後の在宅介護の立ち上げに30日、施設への入所時に33日、という使い方ができます。
93日と3回は、対象家族ごとに数えます。父の介護で93日を使い切っても、母の介護が必要になれば、母について別に93日を取れます。
厚生労働省の案内によると、別の会社で同じ家族について介護休業を取ったことがあっても、その日数は今の会社での取得日数には含まれません。転職した場合は、今の会社で改めて93日を取れることになります。
有期雇用の人も取れる
契約社員やパートなど、期間を定めて雇われている人も介護休業を取れます。条件は、休業開始予定日から数えて93日を過ぎる日から6か月を過ぎる日までに、労働契約が満了することが明らかでないことです。契約の更新があり得る人なら、多くの場合はこの条件を満たします。
労使協定で対象外にできる人
会社が労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数を代表する人)と書面で協定を結んでいる場合、次の人は介護休業の対象外にできます。
・その会社に引き続き雇われた期間が1年未満の人
・申し出の日から93日以内に雇用関係が終わることが明らかな人
・1週間の所定労働日数が2日以下の人
この協定がない会社では、これらの人も介護休業を取れます。協定があるかどうかは就業規則や育児・介護休業規程に書かれていることが多いので、まずそこを確かめましょう。自分が対象外にあたりそうなときは、会社に協定があるかどうかを確かめてください。
休業中のお金と介護休業給付金
介護休業の間、会社に給与を支払う義務はありません。給与の扱いは会社ごとの就業規則で決まります。その代わりに、雇用保険から介護休業給付金が出ます。
ハローワークの案内では、介護休業給付金の額は、原則として休業開始時の賃金日額×支給日数×67%です。賃金日額は原則として休業開始前6か月の賃金を180で割った額で、上限額と下限額があり、毎年8月1日に変わります。同じ家族について93日を限度に、3回まで支給されます。
給付金を受け取るには、雇用保険の被保険者で、休業開始日前の2年間に、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月(または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月)が12か月以上あることなどが条件です。休業中に休業前の賃金の8割以上が支払われている月や、就業した日数が10日を超える月は支給の対象になりません。
申請は原則として会社を通じて、事業所を管轄するハローワークに行います。申請の期限は、介護休業を終えた日(3か月を過ぎたときは開始から3か月を過ぎた日)の翌日から数えて2か月を過ぎる日が属する月の末日までです。本人が自分で申請することもできます。詳しくはハローワークインターネットサービスの雇用継続給付のページで確かめられます。
休業中も社会保険料はかかる
見落としやすいのが、休業中の社会保険料です。育児休業には、健康保険法第159条などにもとづいて休業中の健康保険料や厚生年金保険料が免除される仕組みがありますが、この免除の対象は「育児休業等」で、介護休業は含まれていません。介護休業の間も、健康保険料と厚生年金保険料は通常どおりかかります。
給与が支払われない月は、本人負担分の社会保険料を給与から差し引けないため、会社に振り込むなどの方法で納めることになります。住民税も、前年の所得にもとづいて決まっているので、休業中も納める必要があります。介護休業給付金は休業前の賃金の67%が目安なので、休業中の家計は、給付金から社会保険料と住民税を払うことを前提に見積もっておきましょう。納め方は会社によって違うので、休業前に人事や総務の担当者に確かめておくと安心です。
介護休業以外に使える両立の制度
介護休業だけで家族の介護をすべて乗り切るのは難しいものです。厚生労働省の事業主向けの案内では、育児・介護休業法には、介護休業のほかに、介護休暇、所定外労働の制限(残業の免除)、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮などの措置が定められており、労働者は自分の仕事や家族の介護の必要度、使う介護サービスなどを考えて、自分に合った制度を使えると説明されています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 介護休暇 | 対象家族1人なら1年度に5日、2人以上なら10日まで。1日単位か時間単位で取れる |
| 所定外労働の制限 | 申し出れば残業をしなくてよい |
| 時間外労働の制限 | 残業を1か月24時間、1年150時間までに制限できる |
| 深夜業の制限 | 午後10時から午前5時までの勤務を免除できる |
| 所定労働時間の短縮等の措置 | 短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤などのうち会社が用意したもの |
介護休業で体制を整えたあとは、介護休暇で通院の付き添いをし、短時間勤務で毎日の送り迎えに対応する、という組み合わせが現実的です。厚生労働省の同じ案内では、これらの制度の利用を申し出たり利用したりしたことを理由に、正社員からパートタイマーになるよう強要したり、解雇や退職を強要したりすることは法律で禁止されているとされています。
介護休業と介護休暇の使い分け
名前が似ている介護休業と介護休暇は、使う場面が違います。介護休業は、通算93日までの長めの休みで、介護の体制を整えるために使います。介護休暇は、1年度に5日(対象家族が2人以上なら10日)までの短い休みで、通院の付き添いやケアマネジャーとの面談、介護サービスの事業所との打ち合わせなど、数時間から1日で済む用事に使います。
介護休暇は時間単位でも取れます。育児・介護休業法施行規則第40条では、時間単位で取る場合は、始業の時刻から続けて、または終業の時刻まで続けて取る形が原則とされています。朝に病院へ付き添ってから出勤する、夕方に早退して施設の面談に行く、という使い方です。どちらも対象になる家族の範囲と要介護状態の考え方は同じなので、要介護状態にあたるかどうかを一度確かめておけば、両方の制度に使えます。
令和7年4月からの改正で変わったこと
育児・介護休業法は令和6年に改正され、令和7年4月1日から介護に関する部分が施行されました。厚生労働省のリーフレット「育児・介護休業法改正のポイント」によると、主な変更は次のとおりです。
・介護に直面したと申し出た労働者に、会社が介護休業などの制度、申し出先、介護休業給付金について個別に知らせ、利用の意向を確かめることが義務になった
・労働者が40歳に達する年度などの早い時期に、会社が介護休業などの制度について情報を提供することが義務になった
・研修、相談窓口の設置、利用事例の紹介、方針の周知のいずれかによる雇用環境の整備が義務になった
・要介護状態の家族を介護する労働者がテレワークを選べるようにすることが、会社の努力義務になった
・介護休暇を労使協定で対象外にできる人から、継続雇用期間6か月未満の人が外れた
つまり、会社に「親の介護が始まりそうだ」と伝えれば、会社の側から使える制度を説明してもらえるようになりました。個別に知らせる方法は、面談(オンラインも可)、書面の交付、FAX、電子メールなどのいずれかです。介護が始まったら、まず会社に伝えることが、制度を使う第一歩になります。
相談の現場でよくあるつまずき
労務や手続きの相談の場では、介護休業の要介護状態をめぐって似たつまずきがくり返し起きます。匿名化して典型的な例を紹介します。
1つ目は、要介護認定がないことを理由に申し出をあきらめた例です。母親が骨折で入院し、退院後の生活の準備で休みが必要だったものの、「要介護認定がないと介護休業は取れない」と思い込み、年次有給休暇を使い切ってしまった、というものです。実際には、歩行や排泄に一部手助けが必要な状態が2週間以上続く見込みなら、判断基準の【1】にあてはまる可能性がありました。
2つ目は、会社から診断書の提出を求められ、取得に時間がかかって休業の開始が遅れた例です。先に見たとおり、証明書類は診断書に限られません。手元で用意できる書類で足りないか、早めに会社と相談するべきでした。
3つ目は、93日を一度に使い切ってしまった例です。父親の入院時にまとめて93日を取ったところ、半年後に施設への入所の手続きでまた休みが必要になったものの、介護休業はもう残っていなかった、というものです。介護は長く続くことが多いので、最初から3回に分けて使う計画を立てておくと安心です。
※会社が申し出を受け付けない、休業を理由に不利益な扱いを受けたといった場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。個別の紛争が深刻な場合は、弁護士や社会保険労務士への相談も検討してください。
申し出までの準備の手順
最後に、家族の介護が必要になってから介護休業を申し出るまでの流れを、順番に並べておきます。
- 家族の状態を判断基準の12項目にあてはめ、状態2が2つ以上か、状態3が1つ以上あるかを確かめる。要介護認定がすでにあり要介護2以上なら、それだけで対象
- その状態が2週間以上続く見込みかを、主治医や病院の相談員に確かめる
- 介護保険の申請がまだなら、市区町村の窓口か地域包括支援センターで申請する
- 会社の就業規則で介護休業の手続きと様式を確かめ、人事や総務に介護が始まったことを伝える
- 休業を始めたい日の2週間前までに、介護休業申出書を出す。証明書類は手元で用意できるもので相談する
- 介護休業給付金の申請について、会社の担当者と段取りを決める
- 休業中に、介護サービスの手配、家族の役割分担、復帰後の働き方(介護休暇や短時間勤務の利用)を決める
この流れのなかで一番時間がかかるのは、介護保険の申請から認定までの期間です。認定を待たずに介護休業を申し出られることを覚えておけば、1と4を先に進めながら3の結果を待つことができます。家族の状態をメモに残しておくと、会社への説明にも、ケアマネジャーとの面談にも使えるので、手間が一度で済みます。
会社員以外の働き方で介護と仕事を両立するとき
介護休業は雇われて働く人の制度で、業務委託で働くフリーランスには使えません。介護をきっかけに、在宅で時間を調整しやすい働き方へ移る人もいますが、その場合は休業の制度がない分、仕事の量を自分で調整する必要があります。
在宅で受けやすい仕事の例として、文章の作成や編集があり、その単価の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確かめられます。会社で文書を作る仕事をしてきた人なら、ビジネス文書検定のように文書作成の力を示す資格が、仕事を受ける際の説明材料になることもあります。
業務委託で仕事を受けるときは、納期や報酬の支払期日を契約で確かめておくことが、介護との両立には欠かせません。発注書や契約書で確かめる項目はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストで整理されています。
運営者として見てきたこと
フリーランスや在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言えば、家族の介護をきっかけに働き方を見直す人は少なくありません。そのなかで長く仕事を続けられている人は、介護の状況を取引先に早めに共有し、納期に余裕のある仕事や、作業の時間帯を自分で決められる仕事を選んでいます。介護は予定どおりに進まないことが多いからです。
また、中間の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、依頼する側も同じ予算で多く頼めます。手数料0%の取引で手取りが厚くなれば、介護のために仕事量を減らしても、収入の落ち込みをいくらか和らげられます。会社員なら介護休業と両立の制度を、フリーランスなら手取りの厚い取引を、それぞれ使える手段として知っておくことが、介護と仕事を両立させる土台になります。
まずは家族の状態を判断基準の表にあてはめ、対象になりそうなら会社に介護が始まったことを伝えてください。要介護認定を待つ必要はありません。在宅や業務委託でどんな仕事が募集されているかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のような職種別のガイドで具体的に確かめられます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 要介護認定を受けていなくても介護休業は取れますか?
取れる場合があります。厚生労働省は、要介護認定を受けていることは必ずしも要件ではないと説明しています。判断基準の12項目のうち状態2が2つ以上、または状態3が1つ以上あてはまり、その状態が2週間以上続く見込みなら対象になり得ます。要介護2以上の認定があれば、それだけで対象です。
Q. 要介護1の親の介護でも介護休業は取れますか?
取れる可能性があります。要介護2以上なら判断基準の【2】で対象になりますが、要介護1の場合は【1】の12項目で判断します。歩行や排泄に一部手助けが必要、物忘れで周囲の対応がときどき必要など、状態2が2つ以上あれば対象になり得ます。会社には家族の具体的な状態を伝えて相談してください。
Q. 会社から医師の診断書を出すよう言われたら出さなければいけませんか?
会社は要介護状態を証明する書類の提出を求めることができますが、厚生労働省は、証明書類は医師の診断書などに限定されず、労働者が提出できるものとすべきだと説明しています。就業規則で診断書の添付を義務づけることはできず、書類が出せないことを理由に休業させないこともできないとされています。
Q. 介護休業は何日、何回まで取れますか?
対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。日数と回数は家族ごとに数えるので、父と母それぞれについて93日を取れます。別の会社で取った日数は今の会社の日数に含まれません。休業中は条件を満たせば雇用保険から賃金の67%を目安とする介護休業給付金が出ます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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