老齢年金が減額されるのはどんなときか|働きながら受け取る条件 2026

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老齢年金が減額されるのはどんなときか|働きながら受け取る条件 2026

この記事のポイント

  • ✓老齢年金が減額される条件を
  • ✓在職老齢年金と繰上げ受給の2つの経路に分けて整理しました
  • ✓令和8年4月から基準額が月65万円に上がった点

老齢年金が減額されるのはどんなときか。結論から書くと、経路は大きく2つです。ひとつは働きながら受け取ることによる支給停止、いわゆる在職老齢年金です。もうひとつは、65歳より前に受け取り始めることによる減額、繰上げ受給です。この2つは仕組みがまったく違い、前者は条件が変われば元に戻りますが、後者は一生変わりません。しかも在職老齢年金については、令和8年4月から基準となる金額が大きく上がっています。古い数字のまま「働くと年金が減る」と考えている人が多いところなので、現在の条件を順番に確認していきます。

減額される経路を先に分けて理解する

老齢年金が満額より少なくなる場面は、性質の違う3つに整理できます。混ざると判断を誤るので、最初に分けておきます。

第一が、在職老齢年金による支給停止です。厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取っている場合、賃金と年金の合計が一定額を超えると、超えた分に応じて年金の一部または全部が止まります。これは一時的な停止で、賃金が下がったり退職したりすれば元に戻ります。

第二が、繰上げ受給による減額です。65歳より前に受け取り始めると、受け取り始めた時期に応じて年金額そのものが減ります。この減額率は生涯変わらず、後から取り消すこともできません。

第三が、他の給付との調整です。65歳になるまでの間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付を受ける場合、老齢厚生年金の一部または全部が止まります。遺族年金など他の年金との関係で選択が必要になる場面もあります。

この3つのうち、相談として圧倒的に多いのが第一の在職老齢年金です。そして誤解が多いのも、ここです。正直なところ、「年金が減るから働く時間を抑えている」という判断の多くは、令和8年4月より前の基準額をもとにした計算になっています。

在職老齢年金の基準額は月65万円に上がった

まず現在の基準を確認します。日本年金機構は改正の内容を次のように公表しています。

令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、令和8年4月から、年金が減額になる基準額(賃金と老齢厚生年金の合計)が月51万円から65万円に引き上げられました。平均寿命・健康寿命が延びる中で、働き続けることを希望する高齢者の方の活躍を後押しし、より働きやすい仕組みとすることが、今回の見直しの趣旨です。 出典: 日本年金機構

引き上げ幅は14万円です。この差は小さくありません。賃金と年金の合計が月に60万円程度の人は、令和8年3月までは支給停止の対象でしたが、令和8年4月以降は全額を受け取れます。

計算の式は次のとおりです。基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下であれば全額支給されます。65万円を超える場合は、基本月額から、合計額が65万円を超えた部分の半分を差し引いた額が支給されます。超えた分の全額ではなく半分である点が重要です。

なお、この65万円は令和8年度の基準額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。つまり来年度以降は数字が変わる可能性があります。記事や書籍で金額を見たときは、いつの時点の数字かを必ず確認してください。

また、60歳以上65歳未満の人についても、令和4年4月以降は65歳以上と同じ計算方法が適用されています。「60代前半は別の厳しい基準がある」という説明は、令和4年3月以前の話です。

計算の手順を具体例でたどる

言葉だけでは分かりにくいので、日本年金機構が示している例を見ます。

例:基本月額(老齢厚生年金額)が10万円、総報酬月額相当額(賃金)が46万円(標準報酬月額36万円、標準賞与額120万円[月額10万円]) 出典: 日本年金機構

この例では、基本月額10万円と総報酬月額相当額46万円の合計が56万円になります。改正前の基準である51万円を5万円超えていたため、その半分の2万5千円が支給停止となり、受け取れる年金は7万5千円でした。

改正後は、合計の56万円が基準の65万円を下回るため、支給停止は発生せず、10万円が全額支給されます。年額に換算すると30万円の差になります。

もう少し賃金が高い場合も見てみます。基本月額が12万円、総報酬月額相当額が60万円だとすると、合計は72万円です。65万円を7万円超えているため、その半分の3万5千円が停止され、支給されるのは8万5千円になります。

もうひとつ、賞与の影響が大きい例も見ておきます。月給に対応する標準報酬月額が44万円で、年に2回の賞与が合計240万円ある人の場合、賞与を12で割った20万円が加わるため、総報酬月額相当額は64万円になります。ここに基本月額10万円を足すと合計74万円で、基準額の65万円を9万円超えるため、その半分の4万5千円が停止されます。月給だけを見ていると基準内に見えるのに、賞与を含めると停止される典型です。

計算の結果が0を下回る場合は、老齢厚生年金が全額支給停止になります。このとき加給年金額も含めて止まりますが、老齢基礎年金と経過的加算額は全額が支給されます。この違いは次の節で詳しく見ます。

「賃金」に何が入るのかを正確に押さえる

計算に使う総報酬月額相当額は、月給だけの金額ではありません。定義を確認します。

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を加えたものです。つまり賞与も含まれます。年に2回の賞与が合計で120万円ある人は、月額に換算した10万円が毎月の計算に上乗せされます。

ここが見落とされやすい点です。月給だけで計算して基準額に収まっていると思っていても、賞与を足すと超える場合があります。逆に言えば、賞与の支給方法が変わると支給停止額も変わります。

基本月額のほうは、加給年金額を除いた老齢厚生年金、つまり報酬比例部分の月額です。老齢基礎年金は含まれません。共済組合などからも老齢厚生年金を受け取っている場合は、すべてを合わせた年金額を12で割った額になります。

70歳以上の人は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、厚生年金の適用事業所に勤務している場合は在職による支給停止が行われます。この場合、標準報酬月額と標準賞与額は「相当する額」として計算されます。年齢で自動的に対象外になるわけではない点に注意してください。

一方で、厚生年金保険の被保険者ではない働き方、たとえば業務委託として仕事を受ける形や、自分で事業を営む形の収入は、この計算に入りません。在職老齢年金の調整は、あくまで厚生年金保険の被保険者であること、または70歳以上で適用事業所に勤務していることを前提にした仕組みです。ここが、働き方を組み替えるときの分かれ目になります。

調整の対象にならない年金がある

減額の話をするときに、対象になる年金とならない年金を分けておくと、判断がはっきりします。

在職老齢年金の調整を受けるのは、老齢厚生年金のうち報酬比例部分です。老齢基礎年金は調整の対象になりません。仮に老齢厚生年金が全額支給停止になっても、老齢基礎年金は全額が支給されます。経過的加算額も同様です。

加給年金額の扱いは少し複雑です。老齢厚生年金が一部だけ停止される場合は、加給年金額は支給されます。しかし全額支給停止になる場合は、加給年金額も含めて止まります。

加給年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳に達した時点で生計を維持している配偶者または子がいるときに加算される仕組みです。金額は日本年金機構が公表しています。

加給年金の額は、以下の表のように、配偶者と1人目・2人目の子については各243,800円で、3人目以降の子は各81,300円と決められています。また、配偶者の加給年金の額には、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、36,000円から179,900円が特別加算されます。 出典: 日本年金機構

配偶者の加給年金額に特別加算が付くと、合計は最大で40万円を超えます。全額支給停止になるとこれも止まるため、支給停止の計算がぎりぎりの水準にある人は、加給年金額の有無まで含めて影響額を見てください。なお加給年金額の加算には届出が必要です。条件を満たしていても届出をしなければ加算されません。

繰上げ受給による減額は一生変わらない

もうひとつの経路が繰上げ受給です。老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則として65歳から受け取りますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れます。その代わり年金額が減ります。

減額率は、昭和37年4月2日以降に生まれた人の場合、1か月あたり0.4%です。60歳から受け取り始めると、65歳までの60か月が減額の対象になるため、減額率は最大で24%になります。昭和37年4月1日以前に生まれた人は1か月あたり0.5%で、最大30%です。

この減額率は一生変わりません。そして繰上げ請求は、後から取り消すことができません。日本年金機構の案内でも、請求した後の取消しはできないと明記されています。

判断の分かれ目になるのは、どのくらいの期間受け取るかです。減額された年金を長く受け取るのと、減額されない年金を遅く受け取り始めるのでは、累計額が入れ替わる時点があります。ただしこの計算だけで決めるのは危険です。繰上げには、金額以外の不利益がいくつも付いてくるためです。

繰上げで見落とされやすい影響

繰上げ受給の説明で金額の話だけを読んでいると、次の点を見落とします。

まず、事後重症などによる障害基礎年金や障害厚生年金を請求できなくなります。治療中の病気や持病がある人にとっては、これが最も重い影響です。

次に、国民年金の寡婦年金が支給されなくなります。すでに寡婦年金を受け取っている人は、その権利がなくなります。

3つ目に、国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなります。加入期間が足りていない人が後から埋める道が閉じます。

4つ目に、65歳になるまでの間、遺族厚生年金などの他の年金と併せて受け取ることができず、どちらかを選ぶことになります。

5つ目に、厚生年金保険の長期加入者や障害者の特例措置を受けられなくなります。

そして繰上げ受給をした後に働いた場合でも、在職老齢年金の調整は適用されます。減額された年金が、さらに支給停止される可能性があるということです。繰り上げた老齢基礎年金は支給停止されませんが、老齢厚生年金は対象になります。

繰上げを選ぶ判断そのものを否定しているわけではありません。健康上の不安がある人、生活費が足りていない人、すでに就労を終えている人にとっては、早く受け取り始めることに合理性があります。問題は、減額率の計算だけを見て判断してしまうことです。上に挙げた5つの影響は金額に換算しにくいため、比較の表に載りません。だからこそ、請求する前に自分に当てはまるかを確認する必要があります。

繰上げを検討する場合は、金額の損得だけでなく、この5つの影響が自分に当てはまるかどうかを先に確認してください。個別の事情によって結論が変わるため、年金事務所で試算と説明を受けてから決めることをおすすめします。

繰下げ受給を選んだ場合はどうなるか

減額の反対側にあるのが繰下げ受給です。減額を避ける方法を考えるうえで、この選択肢も知っておいてください。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げると、繰り下げた期間に応じて年金額が増えます。増額率は1か月あたり0.7%で、75歳まで繰り下げた場合は最大84%になります。この増額率も一生変わりません。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることができます。

ただし、繰下げにも注意点があります。加給年金額や振替加算額は増額の対象になりません。さらに、年金を受け取っていない待機の期間中は、加給年金額や振替加算を受け取ることもできません。配偶者の加給年金額が加算される人は、繰り下げている間にその分を受け取れないため、増額分と受け取れない分を比べる必要があります。

65歳の時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月を過ぎて請求しても増額率は増えません。また、66歳に達した日以後の待機の期間中に、配偶者が亡くなって遺族年金の権利が発生するなど他の公的年金の受給権を得た場合は、その時点で増額率が固定されます。

老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳まで※の間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げすることができます。 出典: 日本年金機構

在職老齢年金で支給停止されている部分は、繰下げによる増額の対象になりません。つまり働き続けて支給停止を受けている人が繰下げを選んでも、停止されていた部分は増えません。この点を知らずに繰下げを選ぶと、想定した増額が得られないことになります。働きながら繰下げを検討する場合は、年金事務所で試算を依頼してください。

60歳から65歳までの特別支給の老齢厚生年金

制度の説明でもうひとつ押さえておきたいのが、65歳より前に受け取れる老齢厚生年金です。

厚生年金保険には、生年月日と性別に応じて、65歳より前から受け取れる特別支給の老齢厚生年金という仕組みがあります。支給開始年齢は段階的に引き上げられており、生年月日によって60歳から64歳の間で分かれます。現在この対象になっているのは、限られた生年月日の人です。

この年金も在職老齢年金の調整の対象です。60歳以上65歳未満の人についても、令和4年4月以降は65歳以上と同じ計算方法が適用されているため、賃金と年金の合計が基準額を超えるかどうかで判断します。

特別支給の老齢厚生年金には繰下げの制度がありません。受給開始年齢に達したときは、速やかに請求してください。請求しないまま放置しても増額されず、時効によって受け取れなくなる部分が出てきます。

自分が対象かどうかは、日本年金機構から届く通知か、ねんきんネットで確認できます。通知が届いているのに手続きをしていない人が一定数いるため、60歳を過ぎている人は一度確認しておいてください。

よくある誤解を制度と突き合わせる

最後に、相談の場で繰り返し聞く誤解を並べておきます。どれも実際の制度とずれています。

「働くと年金が半分になる」。これは誤りです。停止されるのは、基準額を超えた部分の半分だけです。年金額そのものが半分になるわけではありません。

「厚生年金に加入しないよう時間を抑えれば得になる」。これも単純ではありません。加入期間が伸びれば将来の年金額も伸びます。在職定時改定によって、毎年10月分から加入期間が反映される仕組みもあります。短期の支給停止を避けて長期の年金額を下げる選択になりかねません。

「70歳を過ぎれば支給停止はなくなる」。これも誤りです。70歳以上でも厚生年金の適用事業所に勤務している場合は、在職による支給停止が行われます。保険料の負担はなくなりますが、調整そのものは続きます。

「繰上げ受給は後で戻せる」。戻せません。繰上げ請求は取り消すことができず、減額率は生涯変わりません。

「老齢基礎年金も減額される」。在職老齢年金の調整では減額されません。調整の対象は老齢厚生年金の報酬比例部分です。ただし繰上げ受給をした場合は、老齢基礎年金も減額の対象になります。この2つの仕組みを混同している人が多くいます。

なお、老齢基礎年金の満額は毎年度改定されます。令和8年4月分からの満額は、昭和31年4月2日以後に生まれた人が年額847,300円、それ以前に生まれた人が年額844,900円です。40年間すべて保険料を納めた場合の金額なので、未納や免除の期間があれば減ります。自分の見込み額は、ねんきんネットか年金事務所で確認してください。

65歳になるまでは雇用保険との調整がある

働きながら年金を受け取る場合、もうひとつ注意が必要な組み合わせがあります。

65歳になるまでの間に雇用保険の基本手当を受ける場合、老齢厚生年金は支給停止されます。失業給付と年金の両方を同時に受け取ることはできません。退職して求職活動をする人が、基本手当を受けながら年金も受け取れると考えていると、想定と大きく違う結果になります。

高年齢雇用継続給付を受ける場合も、老齢厚生年金の一部が支給停止されます。60歳以降に賃金が下がった状態で働き続ける人に支給される給付ですが、年金との調整が入ります。

どちらの場合も、繰り上げた老齢基礎年金は支給停止されません。停止されるのは老齢厚生年金です。

この調整があるため、60代前半に退職して求職活動をするか、働き続けるかという判断は、年金、雇用保険、賃金の3つをまとめて見る必要があります。どの組み合わせが手元に残る金額として有利かは、賃金の水準と年金額によって変わります。年金事務所とハローワークの両方で確認してください。片方だけで聞くと、もう一方の制度の影響が抜けた説明になります。

支給停止の額が変わるタイミング

在職老齢年金の支給停止額は、固定ではありません。変わるタイミングが決まっています。

まず、総報酬月額相当額が変わった月です。標準報酬月額が改定されたり、賞与の支給状況が変わったりすると、支給停止額も計算し直されます。

次に、退職日の翌月です。退職して1か月を経過すると、退職した翌月分の年金額から見直され、支給停止がなくなって全額が支給されます。これを退職改定といいます。ただし退職して1か月以内に再就職して厚生年金保険に加入した場合は、年金額の再計算は行われません。

3つ目に、70歳に到達した月の翌月です。70歳になると厚生年金保険の被保険者ではなくなるため、年金額が再計算されます。ただし適用事業所に勤務している場合は、在職による支給停止そのものは続きます。

4つ目に、在職定時改定です。厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の人が、基準日である9月1日に被保険者であるときは、翌月の10月分の年金額から見直されます。年金額に反映されていなかった前年9月から当年8月までの加入期間が追加され、年金額が再計算されます。この結果として支給停止額が変わることもあります。

つまり働き続けている人の年金額は、毎年10月に見直される仕組みになっています。加入期間が伸びるぶん年金額は上がりますが、それによって基本月額が上がり、支給停止額も変わる場合があります。通知が届いたら、金額の内訳を確認してください。

減額を避けたい場合の働き方の組み立て

制度を踏まえると、調整の影響を小さくする方向はいくつかあります。ただしどれも、収入全体への影響を含めて判断すべきものです。

ひとつは、賃金の受け取り方です。総報酬月額相当額には賞与が月額に換算して含まれるため、賞与の比率が高い人は基準額を超えやすくなります。賃金の構成を変えられる立場なら、勤務先と相談する余地があります。

ふたつ目は、厚生年金保険の被保険者にならない働き方を組み合わせることです。業務委託として仕事を受ける形や自分で事業を営む形の収入は、在職老齢年金の計算に入りません。ただし雇用されている場合の保障はなくなり、収入の安定性も変わります。どちらが有利かは金額だけでは決まりません。

3つ目は、勤務時間を調整して厚生年金保険の適用から外れる方向です。ただしこの場合、将来受け取る年金額を伸ばす機会も失われます。短期的な支給停止を避けるために、生涯の年金額を下げてしまう選択になりかねません。

正直なところ、支給停止を避けることだけを目的に働き方を決めるのは合理的ではありません。基準額が月65万円に上がった現在、賃金と年金の合計がこの水準を超える人は多くありません。まず自分の総報酬月額相当額と基本月額を計算し、実際に停止が発生するのかを確認してから考えるべきです。

業務委託の形で働く場合の収入の見通しを知っておくと、選択肢の比較がしやすくなります。職種ごとの単価や収入の分布はソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認でき、雇用されて働く場合との比較の材料になります。

支給停止の通知が届いたときの確認手順

在職老齢年金の調整が始まると、日本年金機構から通知が届きます。内容を確認せずに放置している人が多いところなので、見るべき点を挙げておきます。

第一に、支給停止額の計算に使われた総報酬月額相当額を確認します。標準報酬月額と標準賞与額のどちらも記載されているはずです。ここに実際と異なる数字が入っていれば、勤務先から届いている届出の内容に誤りがある可能性があります。

第二に、基本月額を確認します。加給年金額を除いた報酬比例部分の月額です。共済組合などからも年金を受け取っている場合は、合算されているかを確認してください。

第三に、停止されている期間を確認します。支給停止は、合計額が基準額を超えている期間に限られます。賃金が下がった月以降も停止が続いているようであれば、届出が反映されていない可能性があります。

第四に、加給年金額が支給されているかを確認します。一部停止であれば支給されますが、全額停止であれば止まります。

誤りの心当たりがある場合は、勤務先の担当者と年金事務所の両方に確認してください。標準報酬月額の届出は勤務先が行うため、修正が必要な場合は勤務先からの手続きが必要になります。本人が年金事務所に申し出ても、届出の内容が変わらなければ計算は変わりません。

手取りで考えるときに関わる税と保険料

年金の金額を考えるとき、支給額だけを見ていると実際に手元に残る金額を見誤ります。

老齢年金は、所得税と住民税の課税の対象です。公的年金等控除という仕組みがあり、年齢と年金の額に応じて一定額が差し引かれますが、控除を超える部分には課税されます。控除額は制度改正で変わるため、金額は国税庁の資料で確認してください。

社会保険料も差し引かれます。国民健康保険料または後期高齢者医療制度の保険料、介護保険料が年金から差し引かれる仕組みがあり、これらの保険料は前年の所得に応じて決まります。つまり働いて収入が上がった年の翌年に、保険料が上がる形になります。

給与と年金の両方を受け取っている場合、所得税の計算では両方が合算されます。給与では年末調整が行われ、年金からは別に源泉徴収が行われるため、両方を受け取っている人は確定申告で精算するのが原則です。公的年金等の収入金額が一定額以下で、他の所得も少ない場合は申告が不要になる仕組みもありますが、医療費控除などを受ける場合は申告したほうが有利になることがあります。

この時間差が、手取りの見通しを狂わせる原因になります。年金の支給停止が解消されて受け取る金額が多くなっても、翌年の保険料と税が上がることで、手元に残る金額の伸びは支給額の伸びより小さくなります。

個別の税額や保険料額は、家族構成、他の所得、住んでいる自治体によって変わります。断定的な金額は出せないため、年金事務所、税務署、市区町村の窓口で自分の場合の見込みを確認してください。

確認の順番と、相談する窓口

最後に、自分の年金が減額されるのかを確かめる順番を整理します。

第一に、ねんきんネットまたは年金事務所で、自分の老齢厚生年金の見込み額を確認します。ここで分かるのが基本月額の元になる数字です。

第二に、勤務先から標準報酬月額と直近1年間の標準賞与額を確認します。この2つから総報酬月額相当額を計算します。

第三に、2つを合計して65万円と比べます。下回っていれば支給停止は発生しません。上回っている場合は、超えた分の半分が停止される計算になります。

第四に、加給年金額の対象かどうかを確認します。全額支給停止になる水準の人は、加給年金額も止まるため影響が大きくなります。

第五に、雇用保険の給付を受ける予定があるかを確認します。65歳になるまでの間は調整があるため、受け取る順番によって有利不利が変わります。

第六に、届出が必要な手続きが残っていないかを確認します。加給年金額の加算、繰下げ請求、受給権が発生した年金の請求。いずれも本人からの届出がなければ処理されません。条件を満たしているのに手続きをしていないという理由で受け取れていない人が、実際に一定数います。

繰上げ受給を考えている場合は、この確認を済ませたうえで年金事務所で試算を依頼してください。取り消せない選択なので、説明を受けてから決めるべきです。税務や社会保険の個別の判断も、金額と事情によって扱いが変わります。一般的な説明を読んで自己判断するのではなく、必ず窓口で自分の場合を確認してください。

働き方を組み替える選択肢を考えるなら、どの分野でどんな仕事が業務委託の形で動いているかを知っておくと判断が具体的になります。分野ごとの仕事内容と求められる技術はAIコンサル・業務活用支援のお仕事に整理されており、年金の支給停止の計算に入らない働き方として検討する材料になります。副業や兼業を始めるときの税と契約の整理については会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】も参考になります。

20年にわたってフリーランスと在宅ワークの市場を見てきた立場から言えば、60代で働き続けている人のうち、年金の支給停止を気にしすぎて収入を抑えてしまうケースは少なくありません。基準額が月65万円に上がった現在、その心配が当てはまる人は限られます。数字を確認せずに働き方を狭めるのは、もっとも損の大きい判断です。まず計算し、それから決めてください。

よくある質問

Q. 働くと年金は必ず減りますか?

必ず減るわけではありません。厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受け取っている場合に、賃金と年金の合計が基準額を超えたときだけ調整されます。基準額は令和8年4月から月51万円から65万円に引き上げられました。合計が65万円以下であれば全額支給されます。

Q. 支給停止額はどう計算しますか?

基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円を超える場合、超えた額の半分が停止されます。基本月額は加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額、総報酬月額相当額はその月の標準報酬月額に直近1年間の標準賞与額を12で割った額を加えたものです。賞与も計算に含まれる点に注意してください。

Q. 老齢基礎年金も減らされますか?

減りません。在職老齢年金の調整を受けるのは老齢厚生年金の報酬比例部分だけで、老齢基礎年金と経過的加算額は調整の対象外です。ただし老齢厚生年金が全額支給停止になる場合は、加給年金額も含めて止まります。

Q. 繰上げ受給の減額は後から戻せますか?

戻せません。繰上げ請求は取り消すことができず、減額率は生涯変わりません。減額率は昭和37年4月2日以降生まれの人で1か月あたり0.4%、60歳から受け取ると最大24%です。障害年金を請求できなくなるなど金額以外の影響もあるため、年金事務所で試算と説明を受けてから判断してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月15日最終更新:2026年9月27日
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