副業禁止の会社でバイトをしたいときに確かめる手順

前田 壮一
前田 壮一
副業禁止の会社でバイトをしたいときに確かめる手順

この記事のポイント

  • ✓副業禁止の会社でバイトをしたいときに確かめる手順を
  • ✓厚生労働省のモデル就業規則第70条とガイドライン
  • ✓住民税と社会保険の条文から整理しました

まず、落ち着いて整理しましょう。就業規則に副業禁止と書かれていても、勤務時間外の時間をどう使うかは基本的に働く人の自由だという考え方が、裁判例を踏まえて示されています。国が示しているモデル就業規則も、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できることを本文に書いたうえで、会社が禁止または制限できる場合を4つに限って並べる形になっています。つまり「禁止」の一言で全部が閉じるわけではありません。ただし、アルバイトのように雇われる形を選ぶと、労働時間の通算、社会保険、住民税の3か所で会社に情報が届く道が開きます。この記事では、規定がどこまで効くのか、どの手続きで何が伝わるのか、そして確かめる順番を具体的に並べます。

「副業禁止」の規定が、どこまで効くのか

厚生労働省が示しているモデル就業規則の副業に関する条文は、令和7年12月版で第70条に置かれています。中身はこうなっています。

労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。 出典: mhlw.go.jp

書き方の順番に注目してください。原則として従事できることを先に置き、そのあとで会社が禁止または制限できる場合を並べています。モデル就業規則の解説には、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であることが裁判例で示されていると書かれています。だから第1項で、副業ができることを明示している、という組み立てです。

ここで大事なのは、モデル就業規則はあくまで例であり、皆さんの会社の就業規則がこのとおりとは限らないという点です。会社ごとの就業規則が実際のルールになります。それでも、国が示す型がこの形になっていることは、会社と話すときの材料になります。全面的に禁じる規定が、そのまま無条件に有効とは言えないからです。

もう1つ、解説に書かれていて見落とされやすい記述があります。副業に関する相談や自己申告を行ったことを理由に、不利益な取扱いをすることはできないという部分です。届け出たことそのものを理由に不当な扱いを受けるのは、想定されていません。ここは、申告をためらう人にとって支えになる記述です。

なお、この条文が想定している副業の範囲は広く、他の会社に雇われる形のほか、自分が事業主となって行うもの、請負や委託や準委任の契約で行うものも含まれるとされています。アルバイトだけの話ではありません。

会社が禁止または制限できる4つの事由に、自分の副業を当てはめる

モデル就業規則が並べている4つの事由は次のとおりです。労務の提供に支障がある場合。企業の秘密が漏れる場合。会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合。競業により企業の利益を害する場合。

自分がやりたいアルバイトを、この4つに当てはめてみてください。1つ目の労務提供上の支障は、深夜の勤務が続いて本業の日中に支障が出る、休日に働き続けて疲労が抜けない、といった場面です。ここは働く時間帯と量で決まるため、自分で設計できます。週の何曜日に何時間までにするかを先に決めておくと、説明ができます。

2つ目の企業秘密は、同じ業界で似た業務をする場合に問題になります。扱う情報が重なるなら、避けたほうが早いです。3つ目の名誉や信用は、業種によって判断が分かれます。4つ目の競業は、同業他社での勤務が典型です。

逆に言えば、本業と業種が重ならず、勤務が本業の始業前や終業後に十分な休息を取れる範囲に収まっていて、扱う情報が本業と無関係なら、4つの事由のどれにも当てはまりません。当てはまらない副業を、会社が包括的な禁止規定だけを根拠に止められるかは、簡単には言えません。個々の事案では就業規則の文言や業務の内容によって判断が変わるため、断定せず、会社の窓口に確認するのが順番です。

ここで、やってはいけないことを1つ書きます。同業のアルバイトを選ぶことです。4つの事由のうち2つに同時に当たる可能性があり、争いになったときに最も不利になります。収入のために選ぶなら、本業と離れた分野のほうが安全です。

就業規則のどこを読むかを、順番に決める

就業規則を読むときに、副業の条文だけを見ても足りません。見る場所は3つあります。

1つ目は、副業や兼業の条文そのものです。「禁止する」と書いてあるか、「会社の許可を得る」と書いてあるか、「届け出る」と書いてあるかで、必要な手続きが変わります。許可制なら申請して判断を待つ形、届出制なら知らせれば足りる形です。この違いは大きいので、文言を正確に読んでください。

2つ目は、服務規律の条文です。会社の信用を害する行為の禁止、競業の禁止、秘密保持の義務などが並んでいます。副業の条文に触れていなくても、ここに引っかかる場合があります。

3つ目は、懲戒の条文です。違反したときに何が起きるかが書かれています。多くの場合、いきなり解雇ではなく、注意や指導から始まる段階が設けられています。ただし、書かれ方は会社ごとに違います。

読んだ結果を1枚に書き出しておくと、あとで会社と話すときに役に立ちます。書く項目は4つです。副業の扱いは禁止か許可制か届出制か。届け出る先はどこか。禁止される具体的な事由は何か。違反した場合の扱いはどう書かれているか。この4つが分かれば、次に何をすればよいかが決まります。

もう1つ、就業規則と一緒に確かめておきたい書類があります。入社時に交わした労働条件通知書と、秘密保持に関する誓約書です。就業規則に副業の定めがなくても、誓約書のほうに競業を避ける約束が書かれている場合があります。入社から年数が経っていると、自分が何に署名したかを覚えていないことが普通です。手元に控えがなければ、会社に写しを求めてください。

それから、就業規則が改定されている可能性も見ておきます。副業に関する条文は、ここ数年で見直しが進んでいる部分です。社内で共有されている版が古いままで、最新の版では届出制に変わっている、という例もあります。日付を確かめて、最新の版を読んでください。

就業規則が手元にない場合は、会社に備え付けられているものを見せてもらえます。労働基準法は、就業規則を労働者に周知することを使用者の義務としています。見せてもらえないという状況そのものが、別の問題になります。

アルバイトを選ぶと、労働時間が通算される

雇われる形を選んだときに、業務委託との一番大きな違いが出るのがここです。労働基準法38条1項は、労働時間は事業場を異にする場合においても労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。そして、この「事業場を異にする場合」は事業主を異にする場合も含むと、通達で示されています。

つまり、本業で8時間働いた日に、アルバイトで3時間働くと、その日の労働時間は11時間として扱われます。法定労働時間を超える部分は時間外労働になります。国が出している副業と兼業のガイドラインには、通算して適用される規定と、通算されない規定が並べられています。

通算されるのは、法定労働時間と、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月の平均で80時間以内という要件です。通算されないのは、36協定で延長できる限度時間、特別条項を設ける場合の1年の上限、そして休憩、休日、年次有給休暇です。休憩と休日と年次有給休暇は労働時間に関する規定ではないため、通算されないという整理です。

もう1つ、通算そのものが行われない場合があります。労働基準法が適用されない働き方です。ガイドラインは、その例としてフリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事を挙げています。つまり業務委託で受ける形なら、労働時間の通算は起きません。ここが、アルバイトを選ぶか業務委託を選ぶかの実務上の分かれ目になります。

なお、通算されない場合でも、過労によって業務に支障が出ないよう、申告などを通じて就業時間を把握し、長時間にならないよう配慮することが望ましいとされています。配慮の対象からは外れないということです。

割増賃金の負担が、雇う側の判断を左右する

通算の話には続きがあります。通算して法定労働時間を超える部分について、割増賃金を払う義務が生じます。ガイドラインは、所定労働時間を通算したうえで、それぞれの事業場の所定外労働時間を、その所定外労働が行われる順に通算して、法定労働時間を超える部分を時間外労働とする、と整理しています。

これが何を意味するか。あとから雇う側、つまりアルバイト先が、割増賃金を負担する場面が出てきます。副業の受け入れに慎重な会社があるのは、この負担が理由のひとつです。応募の段階で「本業がある」と伝えると断られることがあるのは、意地悪ではなく計算の結果です。

それから、実際の労働時間の把握は本人の申告によって行われます。ガイドラインは、必ずしも日々把握する必要はなく、必要な頻度で足りるとしています。一週間分をまとめて申告する、所定労働時間どおりだった場合は申告を求めない、といった運用の例も示されています。つまり、申告する義務が皆さんの側に生じます。黙って働き続ける形は、この仕組みと噛み合いません。

3つ以上の事業場で働く場合も、同じ考え方で確認と通算を行うとされています。掛け持ちを増やすほど、管理の手間が増えるということです。収入を増やしたいときに勤務先の数を増やす発想になりがちですが、1件あたりの単価を上げるほうが、手続きの負担は軽くなります。

社会保険の手続きで、会社に通知が届く仕組み

ここが、隠して始めようとする人が一番見落とす部分です。2か所で社会保険に加入する条件を満たすと、本人が届出を出す義務が生じ、その結果が両方の会社に通知されます。

条件を確かめましょう。パートやアルバイトで社会保険の対象になるのは、勤め先の従業員数が51人以上(2027年10月以降は36人以上)で、週の所定労働時間が20時間以上、学生でない、そして2か月を超えて雇用される見込みがある場合です。所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金の要件は、2026年10月に撤廃されたことが国の説明に書かれています。企業規模の段階的な拡大は、従業員数36人から50人の企業が2027年10月、21人から35人が2029年10月、11人から20人が2032年10月、10人以下が2035年10月と定められています。

両方で加入の条件を満たすと、本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。提出の期限は、事実の発生から10日以内です。保険料は、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づいて按分して決まります。そして決まった標準報酬月額と保険料額は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターから、それぞれの事業所へ通知されます。つまり、両方の勤務先に知らされます。手続きの流れは日本年金機構の二以上の事業所に勤務するようになったときのページに書かれています。

逆に言うと、アルバイト先での勤務が週20時間未満である場合は、この手続きは発生しません。賃金の要件は撤廃されたため、知られるかどうかを気にするなら、働く時間が分岐点になります。ただし、要件は今後変わる予定があるため、その時点の要件を確かめてください。

雇用保険は、原則どちらか一方だけになる

雇用保険にも、2か所で働く場合の扱いがあります。原則として、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている勤務先で1つだけ加入します。両方で加入する形にはなりません。

例外として、65歳以上の人を対象にした仕組みがあります。2つの事業所それぞれで週の所定労働時間が5時間以上20時間未満で、合計して20時間以上になり、それぞれの雇用見込みが31日以上ある場合に、本人の申し出によって加入できます。加入できるのは2社までです。制度の内容は厚生労働省の雇用保険マルチジョブホルダー制度のページにまとまっています。

64歳以下でアルバイトを始める場合は、本業で雇用保険に入っているなら、アルバイト先で新たに加入する手続きは通常発生しません。この点は、社会保険とは扱いが違います。ここを混同して「雇用保険の手続きで必ず知られる」と説明している情報を見かけますが、原則は1つだけです。

ただし、本業を辞めてアルバイトだけになる場合や、本業の勤務時間が短くなって主たる賃金の判定が変わる場合は、扱いが変わります。判定は個別の事情によるため、確かめるならハローワークに具体的な勤務条件を示して聞くのが確実です。

住民税で知られる道と、知られない道

住民税の仕組みは、副業を隠したい人にとって一番の関門です。ここは条文の文言が細かく効いてくるので、正確に押さえてください。

給与を受けている人の住民税は、給与から特別徴収されます。東京都の説明では、給与所得者は6月から翌年5月までの毎月の給料から特別徴収され、その他の方は納税通知書によって年4回に分けて納める普通徴収になるとされています。徴収の方法の説明は個人住民税のページにあります。

そして、地方税法321条の3の第2項に、給与所得以外の所得がある場合の扱いが書かれています。市町村は、その給与所得以外の所得に係る所得割額を、給与から特別徴収する額に加算して徴収することができます。ただし、申告書に「給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によって徴収されたい」旨の記載があるときは、この限りでないと定められています。

ここが分岐点です。普通徴収を選べるのは、給与所得以外の所得だけです。副業がアルバイト、つまり給与である場合、この選択はできません。アルバイト先が提出する給与支払報告書によって、市区町村が両方の給与を把握し、合算した住民税が本業の給与から特別徴収されます。結果として、本業の会社に届く通知の金額が、給与の額と釣り合わなくなります。

言い換えると、副業が業務委託や不動産などの給与以外の所得であれば普通徴収を選ぶ道があり、アルバイトならその道はありません。「住民税を普通徴収にすれば会社に知られない」という説明が広く出回っていますが、アルバイトには当てはまりません。ここを取り違えて始めると、あとで説明に困ります。

所得税の20万円の線と、住民税の申告義務は別の話

もう1つ、よく混ざる論点を分けておきます。「副業の所得が20万円以下なら申告しなくてよい」という話は、所得税の確定申告に関する扱いです。住民税には、この線はありません。

地方税法317条の2は、3月15日までに、賦課期日現在の住所地の市町村長に申告書を提出しなければならないと定めています。給与の支払を受けていて、給与所得以外の所得がなかった人などは、給与支払報告書が提出されることで申告を省けます。逆に言えば、給与以外の所得があるなら、金額が少なくても住民税の申告は必要になります。

アルバイトの場合は給与ですから、アルバイト先が給与支払報告書を提出します。両方の給与が市区町村に集まるため、自分で申告しなくても把握されます。申告の手間はない代わりに、把握を避ける道もない、という関係です。

税額の計算そのものも押さえておきましょう。住民税の所得割は前年の所得金額に応じて課税され、税率は都道府県民税が4%、市区町村民税が6%です。均等割は定額で、東京都の場合は都民税が1,000円、区市町村民税が3,000円で、これに森林環境税が1人あたり年額1,000円加わります。副業で所得が増えれば、翌年度の住民税が増えます。手取りの計算をするときは、この翌年度の増加分を先に見込んでおいてください。個別の税額や申告の要否は状況で変わるため、住んでいる市区町村の窓口か税務署で確かめるのが確実です。

確かめる手順を、上から順に踏む

ここまでの内容を、やる順番に並べます。

1つ目、就業規則を読み、副業の扱いが禁止か許可制か届出制かを確かめます。同時に、服務規律と懲戒の条文も読みます。

2つ目、やりたいアルバイトが4つの事由に当たらないかを自分で当てはめます。当たりそうなら、別の分野を探すほうが早いです。

3つ目、勤務の条件を先に決めます。曜日、時間帯、1週間あたりの時間、期間です。ここを決めておくと、会社に説明するときも、アルバイト先と条件を詰めるときも話が早く進みます。

4つ目、会社に確認します。相談する先は直属の上司ではなく、就業規則に書かれている窓口、多くは人事や総務です。上司に先に話すと、判断の権限がない人のところで話が止まったり、意図せず広まったりします。

5つ目、届出や許可申請の書面を出します。出した記録を残してください。日付と提出先が分かる形にしておけば、あとで扱いが変わったときの材料になります。

6つ目、始めたあとは労働時間の記録を残します。前に書いたとおり、通算のための実労働時間の把握は本人の申告で行われます。記録がなければ申告もできません。

6つのうち、飛ばしてはいけないのは4つ目です。隠して始めた場合、社会保険と住民税の2つの経路で情報が届く可能性があり、あとから説明するほうが立場が悪くなります。先に確認しておけば、断られたとしても別の形を選ぶ時間が残ります。

会社に断られたときに取れる次の手

申請して断られることもあります。そのときに取れる手を、順番に並べます。

最初にやるのは、断られた理由を具体的に聞くことです。4つの事由のどれに当たると判断されたのかを確かめます。理由が「規定で禁止しているから」だけなら、どの事由に当たるのかを重ねて聞きます。理由が特定できれば、そこを外した形を作れます。労務の提供に支障があるという理由なら、勤務時間を短くする、深夜を避ける、といった変更で解決する余地があります。競業が理由なら、業種を変えるしかありません。

次に、条件を変えた案を作って出し直します。最初の申請を通すことにこだわらず、2案目を出すほうが早く進みます。週に何時間まで、どの曜日、どの時間帯、期間はいつまで、という具体的な数字を書いて出します。会社の側も、抽象的な「副業をしたい」より、数字が入った案のほうが判断しやすくなります。

それでも認められない場合は、雇われない形に切り替える道があります。前後の節で書いたとおり、業務委託は労働時間の通算が起きず、社会保険の手続きも発生しません。会社が懸念しているのが労務管理の負担なら、この形のほうが受け入れられる場合があります。

最後に、記録を残しておいてください。申請した日、断られた日、示された理由。この3つがそろっていれば、あとで扱いが変わったときに経緯を示せます。副業に関する相談や自己申告を行ったことを理由に不利益な取扱いをすることはできないと、モデル就業規則の解説に書かれています。記録は、その材料になります。

会社と争う道を最初から選ぶことは勧めません。争いに勝っても、働き続ける場所としては居心地が悪くなります。条件を変えて通す、形を変えて通す、この2つを先に試すほうが現実的です。

掛け持ちで働くときの時間と体の設計

制度の話に目が行きがちですが、続けられるかどうかは時間の組み方で決まります。ここを軽く見て始めると、数か月で崩れます。

まず、1週間の合計で考えてください。本業が週40時間なら、副業に10時間を足すと週50時間です。通勤の時間を入れると、自由に使える時間はほとんど残りません。最初は週5時間から始めて、2か月続けてから増やすかどうかを決める、という進め方が安全です。いきなり上限まで入れると、体調を崩したときに両方に迷惑がかかります。

次に、曜日の置き方です。平日の終業後に毎日少しずつ入れる形と、休日に1日まとめる形では、負荷の性質が違います。毎日少しずつは移動と切り替えの回数が増え、休日にまとめる形は休息が取れなくなります。どちらが合うかは人によりますが、最初は平日を2日と休日を半日、といった組み合わせから試すのが無理がありません。

それから、本業の繁忙期を先に押さえてください。決算、年度末、繁忙の季節が分かっているなら、その時期は副業を止める前提で契約します。アルバイトなら、期間を区切った雇用で入る、あるいはシフトを減らせる職場を選ぶ。業務委託なら、受ける件数の上限を書面に入れておきます。

最後に、収入の使い方を決めておきます。副業で得た分を生活費に組み込むと、止めたときに家計が崩れます。最初の半年は、貯蓄や特定の支出に充てる形にしておくと、いつでも止められる状態を保てます。止められる状態を保っておくことが、本業と副業の両方を守ります。

雇われない形を選ぶ場合の整理

会社が雇用される形の副業に難色を示す場合、業務委託で受ける形が選択肢になります。違いを整理します。

労働時間の通算は起きません。ガイドラインが通算されない例として挙げている働き方に当たるためです。社会保険の二以上事業所勤務届も、雇用ではないので発生しません。住民税は、給与以外の所得になるため、申告書で普通徴収を選ぶ道があります。つまり、会社に情報が届く経路は、アルバイトより少なくなります。

そのかわり、失うものもあります。最低賃金の保護がなく、労働時間の上限規制も及びません。仕事が途切れれば収入がゼロになり、雇用保険の給付も受けられません。報酬の未払いが起きたときは、自分で回収に動く必要があります。どちらが有利かは、収入の必要額と、自分で仕事を取れるかどうかで変わります。

始めるなら、契約書の項目を先に固めてください。仕事の内容と成果物の範囲、納期、報酬の額と計算方法、支払期日、修正の回数、途中で終える場合の精算の6つです。書面に何を書くべきかはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに一覧として整理されています。報酬が支払われないまま時間が経ってしまった場合の手順と費用の目安は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】にまとまっています。

業種によって、副業の可否が資格や登録と絡む場合もあります。専門職の兼業がどう扱われるかを知りたい場合は、会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が、資格を持つ人が兼業を進めるときの確認事項の例として読めます。

公務員の場合は枠組みが違う

会社員向けの話とは別に、公務員の扱いを1段落だけ書いておきます。公務員には、国家公務員法や地方公務員法によって、営利企業への従事などを制限する定めがあります。就業規則の話ではなく法律の話なので、判断の基準が違います。

人事院は令和8年4月から自営の兼業の制度を見直しており、承認の対象に知識や技能を活かした事業と、社会貢献に資する事業が加えられました。不動産の賃貸料収入について承認が必要になる基準は年額500万円以上から1,000万円以上へ、太陽光発電は10キロワット以上から50キロワット以上へと緩められています。兼業に充てられる時間は、原則として1週間あたり8時間以下、1か月あたり30時間以下、平日は3時間以下という目安が示されています。制度の運用は所属によって異なるため、勤務先の人事の窓口で確かめてください。

公務員でない皆さんにとっても、この見直しの方向は参考になります。国が、副業そのものを抑える方向ではなく、条件を整えて認める方向に動いているということです。会社と話すときに、社会の流れとして示せる材料になります。

相場の確かめ方と、20年この市場を見てきた立場からの観察

最後に、収入の見通しの話です。時間を売るアルバイトと、成果を売る業務委託では、収入の増え方が違います。アルバイトは時間あたりの単価が決まっているため、増やすには時間を増やすしかありません。業務委託は、同じ作業時間でも単価を上げられます。

相場は公開されています。文章や編集の系統なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場に、開発の系統ならソフトウェア作成者の年収・単価相場に、収入の幅と経験年数の関係がまとまっています。業務の中身から考えたい場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事やAIコンサル・業務活用支援のお仕事の記述が、求められる役割の目安になります。

20年この市場を運営してきた立場から言えば、副業を続けられている人は、時間を増やす方向ではなく単価を上げる方向に動いています。理由は単純で、本業がある人の使える時間には上限があるからです。上限にぶつかったあと、時間で稼ぐ形では伸びません。同じ1時間で得られる額を上げる方向にしか、余地が残らないということです。

もうひとつ、額面と手取りの話をします。仲介が何段か入る取引では、依頼者が出した予算のうち手を動かす人に届く金額が目減りします。仲介手数料が15%から20%かかる形が一般的で、その分は交渉の余地がありません。手数料0%で直接取引ができる場を選べば、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、この差が効くのは金額そのものより、使う時間の少なさです。手取りが厚ければ、同じ収入を短い時間で作れます。本業を持つ人にとって、これは収入の額より大切な条件になります。

まずは、どんな募集がどんな条件で出ているかを見比べてください。基礎的な文書作成の力を体系で整えたい場合は、ビジネス文書検定の出題範囲が学習の順番の手がかりになります。条件の比べ方が分かれば、会社に相談するときの説明も具体的になります。

よくある質問

Q. 就業規則に副業禁止と書かれていたら、絶対にできませんか?

勤務時間外の時間の使い方は基本的に働く人の自由だという考え方が、裁判例を踏まえて示されています。国のモデル就業規則も、原則として従事できることを本文に書き、禁止または制限できる場合を4つに限っています。ただし実際の判断は会社の規定と業務の内容によって変わるため、人事の窓口で確認してください。

Q. 会社に知られる経路はどこですか?

アルバイトのように雇われる形では、2つあります。1つは社会保険で、両方で加入の条件を満たすと本人が届出を出し、決定内容が両方の勤務先に通知されます。もう1つは住民税で、給与は合算されて本業の給与から特別徴収されます。給与所得については普通徴収を選ぶことはできません。

Q. 住民税を普通徴収にすれば知られないと聞きました。本当ですか?

副業が給与以外の所得の場合に限った話です。地方税法の規定で普通徴収を選べるのは給与所得以外の所得に係る部分だけなので、副業がアルバイト(給与)なら選べません。業務委託で受ける形であれば、申告書で普通徴収を選ぶ道があります。

Q. 副業の所得が20万円以下なら何もしなくてよいのですか?

20万円の線は所得税の確定申告に関する扱いで、住民税には当てはまりません。住民税は3月15日までに住所地の市区町村へ申告する定めがあり、給与以外の所得があれば金額が少なくても申告が必要です。アルバイトの場合は勤務先が給与支払報告書を提出するため、自分で申告しなくても把握されます。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月10日最終更新:2026年10月2日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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