副業禁止の会社で働くときに気をつけること|規則と税の確認


この記事のポイント
- ✓副業禁止バレないで検索した人に向けて
- ✓法律上どこまで制限できるのか
- ✓厚生労働省のモデル就業規則が変わった経緯
まず、落ち着いてください。副業禁止バレないで調べている段階の皆さんに、最初に伝えたいことが1つあります。隠し通す方法を探すより、就業規則を読んで、必要なら申し出るほうが、結果的に早くて安全です。
理由は単純で、隠す側の労力が毎年かかり続けるからです。収入が増えるほど税の手続きが増え、手続きが増えるほど会社に情報が渡る経路も増えます。そして万一分かったとき、問題になるのは副業そのものではなく、届け出なかったという一点になります。ここで信用を失うのが、いちばん割に合いません。
この記事では、就業規則の読み方、法律上どこまで制限できるのか、国の方針がどう変わったのか、税の手続きで何が起きるのか、社会保険や労働時間はどうなるのかを順に整理します。そのうえで、角が立ちにくい仕事の選び方まで書きます。なお、税や社会保険の個別の扱いは事情によって変わるので、最後は勤務先と、税務署や市区町村の窓口で確認してください。
最初にやることは、就業規則を1行ずつ読むこと
「うちは副業禁止だから」と言う人の多くが、実は条文を読んでいません。読むと、3つのうちどれかに当たります。
1つ目が、全面的に禁止している書き方です。「他社の業務に従事してはならない」とだけ書いてあるものです。
2つ目が、許可制です。「会社の許可を得た場合を除き」という条件が付いています。この場合、禁止されているのは無許可での副業であって、副業そのものではありません。ここを読み違えている人が非常に多いところです。
3つ目が、届出制です。事前に届け出れば足り、会社が止められるのは一定の場合に限られる、という書き方になっています。
そして、書いてある場所も確認してください。就業規則の本体ではなく、服務規律や誓約書の中に入っていることがあります。入社時に署名した書類の束の中にあることも珍しくありません。
読んだうえで判断が分かれるようなら、人事に「一般論として、どういう場合なら認められるか」を聞くのが確実です。具体的な案件名を出す前に、制度の話として聞けば角は立ちません。
法律の原則と、会社が制限できる範囲
前提として、勤務時間の外をどう使うかは本来、働く人の自由に属する部分です。会社が全面的に支配できる時間ではありません。
ただし、無制限でもありません。裁判で争われてきた事例を通じて、会社が制限してよいとされる場面はいくつかに整理されています。本業の仕事に支障が出る場合、会社の秘密が漏れるおそれがある場合、会社と競合して利益を害する場合、会社の名誉や信用を損なう場合です。
つまり、争点になるのは「副業をしたかどうか」ではなく「本業に実害が出たかどうか」です。ここを分かっていると、自分の副業が危ない側か安全側かの見当がつきます。深夜に働いて翌日の勤務に影響が出る形は危ない側です。休日に本業と関係のない分野で働く形は、実害が説明しにくい側です。
もう1つ大事な点があります。就業規則に書いてあることが、そのまま全部有効になるわけではないということです。合理的な理由のない制限は、争えば効力が否定されることがあります。とはいえ、争うのは相当な労力です。実務としては、争える可能性があることを知ったうえで、争わずに済む形を選ぶのが現実的です。
国は「禁止」から「認める方向」へ舵を切っている
ここは知らない人が多いので、丁寧に書きます。
厚生労働省は、企業が就業規則を作るときの手本として「モデル就業規則」を公開しています。かつてここには、労働者が守るべきこととして「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が入っていました。
これが平成30年1月に改定されました。その規定が削除され、代わりに副業・兼業についての規定が新しく設けられています。厚生労働省自身が、経緯をこう説明しています。
平成30年1月、モデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設しました。 出典: mhlw.go.jp
あわせて「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も作られ、その後に何度か改定されています。企業向けと働く人向けのリーフレット、届出の様式例、労使で取り交わす合意書の様式例まで公開されています。国が様式を用意しているという事実が、方針を何より分かりやすく示しています。
この流れを知っておくと、会社への聞き方が変わります。「認めてほしい」ではなく「国が様式まで出している制度について、自社ではどう運用しているか」という聞き方ができるからです。
隠すより届け出たほうが速い、具体的な理由
それでも申し出るのは気が重い、という気持ちは分かります。ただ、隠す運用には3つの持続的な負担があります。
1つ目が、税の手続きです。後で詳しく書きますが、副業の収入が一定を超えると確定申告が必要になり、住民税の計算にも反映されます。ここを毎年、会社に伝わらない形で処理し続ける必要が出ます。
2つ目が、人間関係です。取引先が本業と近い業界だと、どこかで名前が出ます。実名で仕事を受けるなら、隠し続けられる前提のほうが無理があります。
3つ目が、トラブルが起きたときに相談できないことです。報酬が支払われない、契約でもめる。こうしたときに会社に知られずに動く必要が出て、選択肢が狭まります。
一方、届け出た場合の負担は、最初の1回の説明だけです。しかも、届け出て認められていれば、本業に支障が出ない限り、後から問題にされる根拠は小さくなります。時間の使い方として、どちらが得かははっきりしています。
申し出るときに、何をどう書くか
いざ申し出るとなると、書き方で迷います。押さえる項目は5つです。
1つ目が、仕事の内容です。具体的に書きます。「Webの仕事」では通りません。「中小企業向けの業務マニュアルを作る仕事」のように、何を作るかまで書きます。
2つ目が、働く時間帯と1か月あたりの想定時間です。ここがいちばん見られます。本業の勤務時間と重ならないこと、深夜に偏らないことが伝われば、支障の懸念はかなり下がります。
3つ目が、取引先です。本業と競合しないことを示します。業種が近い場合は、この段階で正直に書いたほうがよい結果になります。後で出てくるほうが問題は大きくなります。
4つ目が、情報の扱いです。本業で知り得た情報を使わないこと、本業の設備や端末を使わないことを明記します。ここが会社にとっての最大の関心事です。
5つ目が、変更があったときの連絡です。内容が変わったら再度届け出る、と書いておくと、運用として安心してもらえます。
厚生労働省は届出の様式例も公開しているので、自社に決まった書式がなければ、それを下敷きにするのが早道です。項目の型をきちんと押さえた文書を作れることは、そのまま実務の評価にもつながります。報告や依頼の文書の型を体系的に押さえたいならビジネス文書検定が扱う範囲が近くなります。
住民税の仕組みを、正しく理解しておく
ここが、いわゆる「会社に分かる経路」として語られる部分です。まず仕組みを正確に押さえます。
住民税の納め方には2つあります。総務省の説明では、給与からの天引きが特別徴収、市区町村から届く納付書で自分が払うのが普通徴収です。会社員は原則として前者になります。
そして重要なのが、給与を支払う側の義務です。所得税の源泉徴収をする義務がある給与の支払者は、原則として住民税を特別徴収して納める義務を負うと定められています。つまり会社は、選択して天引きしているのではなく、義務として行っています。
この仕組み上、本業の給与にかかる住民税の額は会社を通ります。副業の所得が加われば、その分は税額の計算に反映されます。
では副業分だけを普通徴収にできるのか。ここは断定できません。所得の種類によって扱いが違い、市区町村ごとの運用にも差があるためです。確定申告書には住民税の徴収方法を選ぶ欄がありますが、希望どおりになるとは限りません。実務としては、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口に、自分の所得の種類を伝えて確認するのが唯一の確実な方法です。
ここを「必ずこうすれば大丈夫」と書いている情報は疑ってください。自治体で扱いが違うものを、全国一律の裏技のように語るのは無理があります。
確定申告が必要になる線はどこか
税の話を続けます。国税庁のタックスアンサーに、給与所得者で確定申告が必要な人の条件が示されています。
2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人 出典: nta.go.jp
ここで気をつける点が3つあります。
1つ目が、20万円という数字が「収入」ではなく「所得」だということです。所得とは、収入から必要経費を引いた残りを指します。売上が25万円でも、経費が7万円あれば所得は18万円です。
2つ目が、給与を2か所以上から受けている場合は条件が変わることです。アルバイトとして雇われる形の副業は、ここに当たります。年末調整されなかった給与の収入金額と、他の所得の合計が20万円を超えるかどうかで判断します。
3つ目が、これは所得税の話だということです。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の取り扱いは別で、市区町村への申告が必要になることがあります。ここも自治体に確認してください。
なお、どういう副収入がどの区分になるかについても国税庁が例を示しています。フリーマーケットアプリを使った個人取引、自家用車などの貸付け、ベビーシッターや家庭教師といった役務の提供は、一般的に雑所得に当たるとされています。区分によって経費の考え方が変わるので、自分の仕事がどこに入るかは早めに確認しておく価値があります。
社会保険と労働時間には、別の論点がある
税とは別に、2つの論点があります。
1つ目が社会保険です。雇われる形で副業をする場合、勤務時間や日数が一定の条件を満たすと、その勤務先でも社会保険の加入対象になることがあります。両方で加入対象になると、どちらの保険者を主とするかを届け出る手続きが必要になり、保険料は両方の報酬を合算して決められた額を按分する形になります。この手続きを通じて、両方の勤務先に状況が伝わります。
業務委託として仕事を受ける形、つまり雇われない形では、この論点は出てきません。副業の形式によって扱いが変わる、と覚えておいてください。
2つ目が労働時間の通算です。労働基準法には、事業場が異なる場合でも労働時間を通算するという定めがあります。厚生労働省は、この考え方についての解説資料や、労使双方の負担を軽くするための管理モデルの資料を公開しています。
これが効いてくるのは、雇われる形で副業をする場合です。本業と副業の時間を合わせて法定の労働時間を超えると、割増賃金の問題が出てきます。会社が副業に慎重になる理由の1つがここにあり、「雇われない形なら認める」という運用をしている会社があるのは、この論点を避けられるからです。
形ごとに、発生する手続きが違う
ここまでの論点を、副業の形ごとに並べ直します。自分がどの列に当たるかで、必要な手続きが変わります。
| 論点 | パート勤務など雇われる形 | 業務委託で受ける形 |
|---|---|---|
| 労働時間の通算 | 対象になる | 対象にならない |
| 社会保険の加入判定 | 条件を満たすと対象 | 対象にならない |
| 副業先での年末調整 | 主たる勤務先以外では行われない | 該当しない |
| 所得の区分 | 給与所得 | 事業所得または雑所得 |
| 経費を引けるか | 原則として引けない | 引ける |
| 会社が把握する経路 | 社会保険の手続きなど | 主に住民税の計算 |
この表から見えてくることが1つあります。業務委託の形のほうが、会社側の手続きが発生しないぶん、認められやすいということです。そして経費を引けるので、同じ売上でも課税される所得は小さくなります。
一方で、業務委託には保護が薄いという面もあります。最低賃金の考え方が適用されず、仕事がなくなっても雇用保険のような仕組みがありません。どちらが有利かは一概には言えないので、自分が何を重く見るかで選んでください。
開業届と確定申告の準備をどう考えるか
業務委託で受ける形を選んだ場合、税務署に開業届を出すかどうかで迷う人がいます。
判断の目安は、継続して仕事を受ける意思があるかどうかです。単発で年に数回という規模なら、雑所得として申告する形で十分な場合があります。継続的に受けていくつもりなら、開業届を出して事業としての申告を検討する余地が出ます。ただし、所得の区分がどちらになるかは規模や実態で判断されるため、ここは税務署や税理士に確認してください。
実務として準備しておくとよいのは3つです。1つ目が、仕事専用の口座を分けることです。生活費と混ざると、経費の集計に何倍も時間がかかります。
2つ目が、領収書と請求書を月ごとにまとめておくことです。年明けにまとめてやろうとすると、必ず終わりません。
3つ目が、売上と経費を毎月1回だけ記録することです。会計ソフトを使えば、口座の取引を自動で取り込めます。完璧を目指さず、月に1回30分と決めてしまうと続きます。
この準備は、申告そのものより後の交渉で効いてきます。自分の時間あたりの実入りが数字で見えると、安い仕事を断る判断ができるようになるからです。
会社が副業を認める方向へ動いている理由
申し出るかどうかを迷っている人に、背景を1つ伝えておきます。会社側の空気も変わってきています。
厚生労働省は、副業や兼業に取り組む企業へのヒアリング結果や、企業と働く人の事例集を公開しています。国が事例を集めて公開するのは、広げたい対象だからです。
企業側の事情もあります。人手が足りない中で、外部の経験を持つ人を受け入れたい。社員が外で得た知見を持ち帰ってほしい。引き止めるために、辞めずに別の経験ができる道を用意したい。こうした動機で制度を整える会社が増えています。
だから、申し出たときの反応は、想像よりも穏やかなことが多くあります。反対されるとしても、その理由はたいてい「情報が漏れないか」と「本業に支障が出ないか」の2点です。申請書の段階でこの2つに答えておけば、話は早く進みます。
逆に、会社にまだ制度がない場合は、担当者も判断の根拠を持っていません。そのときに、国がガイドラインと様式を公開しているという事実は、相手にとっても助けになります。制度を作る側の資料として案内すれば、押しつけにならずに話が進みます。
公務員は、そもそも別の枠組み
念のため書いておきます。国家公務員と地方公務員は、法律そのもので営利企業への従事などが制限されています。民間企業の就業規則とは根拠が違うので、この記事の前半の議論はそのまま当てはまりません。
許可が要る範囲、許可が下りる範囲は、所属する機関の規程で決まっています。判断は必ず所属先の人事の窓口で確認してください。
一方で、公務員についても副業に関する運用は少しずつ動いており、地域貢献にあたる活動などを届出制で認める自治体が出てきています。自分の所属がどういう運用をしているかは、一般論ではなく自分の職場の規程を読むしかありません。
経費として認められるかの考え方
業務委託で受ける場合、経費の扱いで迷う人が多いので、考え方の軸だけ書いておきます。
基本は、その支出が収入を得るために直接必要だったかどうかです。仕事にしか使わないものは、全額を経費にできます。仕事と生活の両方に使うものは、使った割合に応じて分けます。この割合の分け方を家事按分といいます。
判断に迷いやすいのが3つあります。1つ目が通信費です。自宅の回線を仕事にも使っているなら、使用時間などの合理的な基準で割合を出します。適当な数字を置くのではなく、根拠を説明できる形にしておくことが大事です。
2つ目が家賃です。仕事に使っている部屋の面積の割合で分ける考え方が一般的です。ただし、居住用として借りている物件では契約上の制約がある場合があるので、そこも確認してください。
3つ目が、パソコンなどの備品です。一定の金額を超えるものは、買った年に全額を経費にするのではなく、数年に分けて計上する扱いになります。金額の基準や年数は決まりがあるので、購入前に確認しておくと計画が立てやすくなります。
いずれも、金額や事情によって扱いが変わります。判断に迷うものは、自分で決めずに税務署の相談窓口か税理士に確認してください。あとから指摘されて直すほうが、手間も心理的な負担も大きくなります。
実際にもめるのは、副業そのものではない
長く相談を見ていると、問題になる形は3つに集約されます。
1つ目が、本業の情報を使った場合です。顧客名簿、価格表、設計資料。これらを副業で使うと、就業規則の問題を超えて、法的な責任の話になります。ここは弁解の余地が小さい領域です。
2つ目が、競合する仕事を受けた場合です。同じ業界の、同じ顧客層に向けたサービスを個人で受けると、会社の利益を直接害したと見られます。業種が近い仕事ほど単価が高く受けやすいので、ここに引き寄せられる人が多いのですが、危険の大きさも比例します。
3つ目が、勤務に支障が出た場合です。遅刻が増える、居眠りが増える、期限に間に合わなくなる。これは説明のしようがありません。副業の是非より前に、本業の評価が下がります。
逆に言えば、この3つを避けていれば、争点はかなり小さくなります。本業と無関係な分野で、休日の時間を使い、会社の資産を一切使わない。この形なら、実害の説明が難しくなります。
申し出が通らなかったときに、できること
現実には、断られる場合もあります。そのときの選択肢を3つ挙げます。
1つ目が、条件を変えて再度出すことです。断られた理由が「時間の支障」なら、月の上限時間を決めて出し直す。「情報の懸念」なら、取引先の業種を限定して出し直す。理由が具体的なら、対応も具体的に作れます。
2つ目が、収入を伴わない形から始めることです。無償で地域の活動を手伝う、勉強会で発表する、成果物を自分の実績として公開する。報酬が発生しないなら論点の多くが消え、経験と実績だけが残ります。半年後に申し出るときの材料にもなります。
3つ目が、時期を待つことです。制度がない会社では、前例が1つできると流れが変わります。他に希望している人がいるなら、一緒に話を持っていくほうが通りやすくなります。
避けたいのは、断られたあとに黙って始めることです。一度聞いている以上、後から分かったときの説明がききません。聞かずに始めるより状況が悪くなります。断られたら、いったん止めて条件を練り直す。遠回りに見えて、これがいちばん早い道です。
始める前の準備を、時間の順に並べる
やることが多く見えるので、順番に並べ直します。
| 時期 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1週目 | 就業規則と誓約書の該当箇所を読む | 20分 |
| 1週目 | 許可制か届出制か全面禁止かを判定する | 10分 |
| 2週目 | やりたい仕事の内容と時間帯を具体化する | 30分 |
| 2週目 | 相場を調べて、受ける金額の下限を決める | 30分 |
| 3週目 | 届出の書面を作る。内容、時間、取引先、情報の扱い | 60分 |
| 3週目 | 人事に制度の運用を確認し、書面を出す | 30分 |
| 4週目 | 仕事用の口座を分ける | 30分 |
| 4週目 | 記録のしかたを決める。月1回30分と決める | 20分 |
4週間かけて、合計でおよそ4時間です。焦って始めて後から整えるより、この順番で進めたほうが、結局は早く安定します。
特に2週目の「受ける金額の下限を決める」を飛ばさないでください。ここを決めずに始めると、最初に来た話の金額が自分の基準になってしまいます。一度その水準で受けると、上げるのに何倍も時間がかかります。
角が立ちにくい仕事の選び方
1つ目が、雇われない形であることです。業務委託で成果物を納める形なら、社会保険と労働時間の通算という2つの論点を避けられます。会社にとっての懸念が減るぶん、許可も出やすくなります。
2つ目が、本業と業界が離れていることです。情報も顧客も重ならないので、競業の説明が要りません。
3つ目が、時間の融通が利くことです。納期が決まっていて、いつ作業するかは自由という形が理想です。本業の勤務時間と物理的に重ならないので、支障の懸念が消えます。
4つ目が、実績が積み上がることです。同じ時間を使うなら、次の仕事につながる形を選んだほうが得です。
この4つを満たす仕事は、文章を書く、資料を作る、データを整理する、仕組みを作るといった領域に多く集まっています。
家族への説明も、先にしておいたほうがよい
制度の話から少し離れますが、実務で効くところなので書いておきます。
副業を始めると、家にいる時間の使い方が変わります。休日の午後が作業に消え、夜に机に向かう日が増えます。ここを説明しないまま始めると、家庭の側で不満がたまります。本業と副業の両立より、家庭との両立でつまずく人のほうが実は多くいます。
伝えることは3つで足ります。何のためにやるのか、週に何時間を使うのか、いつ見直すのか。特に3つ目が大事です。「3か月やってみて、割に合わなければやめる」と最初に言っておくと、家族の側も見通しが立ちます。
もう1つ、お金の扱いも決めておいてください。副業の収入を生活費に入れるのか、別に貯めるのか。ここを曖昧にすると、後で必ず話題になります。仕事用の口座を分けることは、税の処理だけでなく、この点でも役に立ちます。
会社への届出と同じで、先に話しておけば、後から説明する必要がなくなります。順番の問題です。
収入の見通しは、感覚ではなく数字で立てる
運営者として在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から言うと、副業で失速する人の多くは、規則ではなく単価の設定でつまずいています。相場を知らないまま安く受け、時間だけが消えて、続かなくなる形です。
そして、続いた人には共通点があります。単発の作業を積むのではなく、「この人に任せると楽だ」という関係を1つか2つ作っていることです。関係ができると、単価の交渉も、納期の相談も通りやすくなります。時間あたりの実入りは、腕より関係で決まっている場面が実際に多くあります。
もう1つ。中間に人が入らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%という仕組みの効き方は、金額の大きさより、同じ働きで残る額の違いとして表れます。本業がある人ほど使える時間が限られるので、1時間あたりに残る額の差は大きく効きます。
相場は統計で確かめられます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場は職種ごとの年収と単価の水準を公的な統計から整理したページで、技術寄りの仕事を受けるときの目安になります。書く仕事や編集が中心なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場のほうが実態に近い数字が並びます。この2つを先に見てから金額を決めると、安く受けすぎる事故が減ります。
どんな仕事が外に出されているかも、先に知っておくと選びやすくなります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、企業が外部に出したい仕事の中身を領域ごとに整理したページです。業務の中にAIをどう組み込むかを支援する形ならAIコンサル・業務活用支援のお仕事が近く、継続契約になりやすい分野になります。開発まで踏み込むならアプリケーション開発のお仕事が工程ごとの関わり方をまとめています。技術の土台を作り直したい場合はCCNA(シスコ技術者認定)が体系的な入口になります。
最後に、今日やることを1つだけ選ぶなら、就業規則の該当箇所を探して読むことです。所要はおよそ20分で、これをやらずに始めた人と、やってから始めた人とでは、半年後の落ち着き方がまるで違います。
よくある質問
Q. 就業規則に副業禁止と書いてあったら、絶対にできませんか?
条文をよく読んでください。「会社の許可を得た場合を除き」という条件が付いていることが多く、その場合に禁じられているのは無許可の副業です。また、勤務時間外の使い方は本来自由に属する部分で、合理的な理由のない制限は争えば効力が否定されることもあります。まずは許可の道があるかを確認してください。
Q. 副業の所得が20万円以下なら何もしなくてよいですか?
所得税については、給与1か所で他の所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要とされています。ただしこれは収入ではなく経費を引いたあとの所得です。さらに住民税の取り扱いは別で、市区町村への申告が必要になることがあります。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
Q. 住民税を普通徴収にすれば会社に分かりませんか?
断定できません。所得の種類によって扱いが違い、市区町村ごとの運用にも差があるためです。会社は法律上、給与にかかる住民税を特別徴収する義務を負っています。確定申告書に徴収方法を選ぶ欄はありますが、希望どおりになるとは限らないので、市区町村の担当窓口で自分の所得の種類を伝えて確認してください。
Q. どんな形の副業なら会社の許可が出やすいですか?
雇われない業務委託の形、本業と業界が離れていること、作業時間を自分で決められること、この3つが揃っていると懸念が小さくなります。雇用の形だと社会保険の加入や労働時間の通算といった論点が出て、会社側の手続きが増えるためです。届け出には仕事の内容、時間帯、取引先、情報の扱いを具体的に書いてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
前田 壮一@SOHO編集部
元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身
大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。
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