業務委託で働くと失業保険はもらえるのか|受給の条件と届け出 2026

@SOHO編集部
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業務委託で働くと失業保険はもらえるのか|受給の条件と届け出 2026

この記事のポイント

  • ✓業務委託で失業保険はもらえるのかという疑問に
  • ✓受給の条件と手続きから答えます
  • ✓受給中に仕事を受けたときの申告

結論から書きます。業務委託で働いている期間そのものに対して失業保険が出ることはありません。失業保険は雇用保険の制度で、雇用保険に加入していた人が離職したときに支給されるものだからです。業務委託は雇用契約ではないので、その働き方では雇用保険の被保険者になれません。

ただし「もらえない」で話が終わるわけではありません。会社を辞めた人が、その後に業務委託で働く準備をしている段階なら受給できる場合があります。受給しながら業務委託の仕事を少しだけ受けることも、申告すれば可能です。さらに、退職後に事業を始める人のために、受給できる期間を最大3年間先送りにする特例まで用意されています。

この記事では、業務委託と失業保険の関係を3つの場面に分けて整理します。制度の数字は厚生労働省とハローワークインターネットサービス、そして雇用保険法の条文で確かめたものを使っています。給付制限の日数は令和7年4月に変わっているので、古い説明が残っている情報には注意してください。

まず、3つの場面のどれに当たるかを見分ける

「業務委託で失業保険はもらえるのか」という問いは、実際には3つの別の問いが混ざっています。自分がどれに当たるかを先に見分けてください。

1つ目は、会社を辞めたあと、これから業務委託で働こうと考えている場面です。この場合、離職の理由と被保険者であった期間が要件を満たせば、基本手当を受給できます。ただし受給中は「働く意思と能力があるのに職業に就けない状態」であることが前提なので、すでに業務委託で本格的に稼働しているなら、その日は失業の状態ではないと扱われます。

2つ目は、受給している最中に業務委託の仕事を受ける場面です。これは可能ですが、失業認定申告書にその事実を必ず書く必要があります。書かなければ不正受給です。働いた日の扱いは「就職または就労」か「内職または手伝い」に分かれ、前者はその日の基本手当が支給されず先送りになり、後者は収入額によって減額される仕組みになっています。

3つ目は、もともと業務委託だけで働いていて、取引が切れた場面です。こちらは雇用保険に加入していないので、基本手当の対象になりません。使える制度は、求職者支援制度による職業訓練と訓練期間中の給付金、自治体の生活相談、国民年金保険料の免除などに移ります。

この記事は主に1つ目と2つ目を扱います。3つ目に当たる人は、ハローワークの窓口で求職者支援制度の対象になるかを確かめるのが最短の道です。

失業保険の正体と、受給できる条件

「失業保険」は通称で、正式には雇用保険の求職者給付のうち基本手当を指します。雇用保険法第4条第3項は、この制度の「失業」をこう定義しています。

この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。 出典: laws.e-gov.go.jp

条文には3つの条件が並んでいます。被保険者が離職したこと。働く意思と能力があること。それでも職業に就けていないこと。この3つが揃った状態が失業です。業務委託で継続して稼働している状態は、3つ目を満たしません。

手続きの面では、ハローワークインターネットサービスが受給要件を2つ示しています。1つ目は、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就けない失業の状態にあること。2つ目は、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることです。倒産や解雇で離職した特定受給資格者、および期間の定めのある労働契約が更新されなかった特定理由離職者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合でも受給できます。

ここでいう被保険者期間の数え方には決まりがあります。離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月として計算します。短時間の勤務が続いていた人は、在籍していた月数がそのまま被保険者期間にならない場合があるので、離職票の内容を窓口で確かめてください。

すぐには就職できない状態の例も示されています。病気やけがのためすぐに就職できないとき、妊娠や出産や育児のためすぐに就職できないとき、定年などで退職してしばらく休養しようと思っているとき、結婚などにより家事に専念してすぐに就職できないとき。これらは失業の状態に当たらないので、基本手当は受けられません。病気やけが、妊娠や出産や育児で30日以上働けなくなった場合は、受給期間を延長する手続きがあります。

業務委託では雇用保険に加入できない

雇用保険法第4条第1項は、被保険者を「適用事業に雇用される労働者」と定めています。雇用される労働者という言葉が入っているので、業務委託や請負で仕事を受ける立場は、この定義から外れます。

被保険者になる条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあることです。この「31日以上」は同一の事業主のもとでの見込みを指します。業務委託の契約が半年続く予定であっても、雇用契約ではないので加入の対象になりません。

例外として、65歳以上の人には2つの事業所の労働時間を合計して加入できるマルチジョブホルダー制度があります。ただしこれも両方が雇用契約である必要があり、加入は2社までです。それぞれの事業所で週5時間以上20時間未満、雇用見込み31日以上という条件が付きます。

業務委託で働く人が離職に備える方法は、雇用保険の外にあります。仕事が途切れたときの備えとして実際に機能しているのは、生活費の積み立て、取引先を複数に分ける、そして小規模企業共済や所得補償の保険といった民間の仕組みです。雇用保険と同じ形の給付を期待するのではなく、別の設計で備える発想に切り替える必要があります。

会社員のうちに業務委託の準備を始める人が多いのは、この差を知っているからです。在籍中に少しずつ取引を作っておけば、離職後に基本手当を受けながら稼働を広げる道も選べます。

待期7日と給付制限の日数は、今こうなっている

受給の手続きをしても、すぐにお金が出るわけではありません。2段階の待ち時間があります。

1段階目が待期です。雇用保険法第21条は、離職後最初に求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して7日に満たない間は基本手当を支給しないと定めています。この7日間は、離職の理由にかかわらず全員に適用されます。待期の期間中に仕事をして失業の状態でなかった日は、待期に含まれません。

2段階目が給付制限です。自己の都合で退職した場合、待期の後にさらに待つ期間があります。法律の条文は幅で書かれていて、雇用保険法第33条は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」は基本手当を支給しないとしています。この幅の中で実際に何日になるかは通達で決まっており、令和7年4月1日から原則1か月に短縮されました。

正当な理由のない自己都合によって離職された方の給付制限期間は、離職日が令和7年4月1日以降である場合は原則1か月、同年3月31日以前である場合は原則2か月となります。ただし、離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合または自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された(いわゆる重責解雇)場合の給付制限期間は3ヵ月となります。 出典: hellowork.mhlw.go.jp

整理すると次のとおりです。令和7年4月1日以降の自己都合離職なら、待期7日の後に原則1か月。離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合で離職して受給資格の決定を受けている場合は3か月。自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合も3か月。令和7年3月31日以前の自己都合離職は2か月です。

さらに、給付制限を解除する道も新設されました。離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定と就職の促進に資する教育訓練を自ら受けた場合は、給付制限がかかりません。ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練等を受講した場合も同様に解除されます。業務委託で独立する準備として講座を受ける予定があるなら、この制度に当てはまるかを窓口で確かめる価値があります。

正直なところ、ここは情報が混乱している領域です。ハローワークインターネットサービスの手続き案内には「2か月」という記述が残っているページもあります。判断に使うなら、通達の改正を示した厚生労働省の資料か、窓口での確認を根拠にしてください。

受給中に業務委託の仕事を受けたときの扱い

受給しながら業務委託の仕事を受けることは、制度として否定されていません。禁じられているのは、受けたことを隠すことです。

4週間に1度の失業認定日には、失業認定申告書を提出します。この用紙には、前回の認定日から今回までの間に就職や就労をしたか、内職や手伝いをしたか、その収入はいくらだったかを書く欄があります。業務委託で働いた日も、ここに書きます。

ハローワークインターネットサービスは、不正受給の典型例として次の行為を挙げています。

自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、偽りの申告を行った場合 出典: hellowork.mhlw.go.jp

同じページには、内職や手伝いをした事実と収入を書かずに偽りの申告をした場合も典型例として並んでいます。会社の役員に名義だけで就任している場合も対象です。

罰則は重いものです。不正行為があった日以降の基本手当等が一切支給されなくなり、不正に受給した金額の返還が命じられます。さらに、返還が命じられた金額とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付が命じられます。合わせると受給額の3倍を納める計算になるため、いわゆる3倍返しと呼ばれています。

申告した場合の扱いは2段階に分かれます。その日が「就職または就労」と判断されると、その日の基本手当は支給されず、支給が後ろへ先送りになります。所定給付日数そのものが減るわけではないので、受給期間の1年の中に収まれば最終的に受け取れる日数は変わりません。「内職または手伝い」と判断されると、収入の額に応じて基本手当が減額されるか、そのまま支給されるかに分かれます。

どちらに当たるかの線引きは、稼働の時間や事業としての実態を見て、ハローワークが判断します。ここを自己流で解釈して申告書を書くのは危険です。初回講習のあと、窓口で「業務委託で単発の仕事を受ける予定がある」と先に伝えて、申告の書き方を確認しておくのが確実です。

事業を始めるなら、受給期間の特例を使う

退職後に本格的に事業を始めるなら、受給期間の特例という制度があります。これは実務上いちばん効く仕組みなのに、知られていません。

雇用保険の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。この1年の間に所定給付日数を使い切れなければ、残った分は受け取れません。事業を始めると失業の状態ではなくなるので、そのままでは残りの日数が消えます。

特例は、事業を行っている期間を最大3年間、この1年の受給期間に算入しない扱いにするものです。事業がうまくいかずに廃業した場合、先送りにした受給期間を使って基本手当を受けられます。適用の条件は4つです。事業の実施期間が30日以上であること。事業を開始した日、事業に専念し始めた日、事業の準備に専念し始めた日のいずれかから起算して30日を経過する日が受給期間の末日以前であること。その事業について就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと。そして、その事業により自立することができないと認められる事業ではないことです。

4つ目の「自立することができないと認められる事業ではない」の判断には、客観的な目安が示されています。雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れて雇用保険適用事業の事業主となること、または登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証等の客観的資料で事業の開始と事業内容と事業所の実在が確認できることのいずれかに当たれば、要件を満たす扱いです。開業届を出しておくことが、そのまま条件を満たす材料になります。

申請の期限には注意してください。事業を開始した日、事業に専念し始めた日、事業の準備に専念し始めた日の翌日から2か月以内に、住所または居所を管轄するハローワークに申請する必要があります。代理人でも郵送でもかまいません。この2か月を過ぎると使えなくなるので、事業を始めると決めた時点で日付を記録しておいてください。

事業を始める場合も、再就職手当の対象になる

早期に再就職した人に支給される再就職手当は、就職だけでなく事業を開始した場合も対象になります。この点も見落とされがちです。

支給額は、基本手当の支給残日数に応じて決まります。所定給付日数の3分の2以上を残して早期に再就職した場合は、支給残日数の70%の額。3分の1以上を残した場合は60%の額です。早く動いたほうが給付率が高くなる設計になっています。

支給を受けるための要件は8つあります。受給手続き後の7日間の待期期間が満了した後に就職または事業を開始したこと。就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。離職した前の事業主に再び就職したものでないこと、また資本や資金や人事や取引面で密接な関わりのない事業主に就職したこと。給付制限がある人は、求職申込みをしてから待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。1年を超えて勤務することが確実であること。原則として雇用保険の被保険者になっていること。過去3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。受給資格決定の前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

計算に使う基本手当日額には上限があります。離職時の年齢が60歳未満の方は6,745円、60歳以上65歳未満の方は5,454円です。この上限は基本手当そのものの上限額とは別の数字なので、混同しないようにしてください。

なお、受給期間の特例と再就職手当は同時に使えません。特例の要件に「その事業について就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと」が含まれているためです。事業が続く見通しが高いなら再就職手当を受け取り、続くかどうか読めないなら特例で受給期間を先送りにする。どちらを選ぶかは、事業の見通しで判断する話になります。迷う場合は、両方の金額を窓口で試算してもらってから決めてください。

もらえる金額の目安を、自分の数字で出す

金額の計算は3段階です。

1段階目が賃金日額です。原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割って算出します。賞与は含みません。

2段階目が基本手当日額です。賃金日額のおよそ50%から80%で、60歳から64歳については45%から80%です。賃金の低い人ほど高い率が適用される仕組みになっています。

3段階目が上限の確認です。基本手当日額には年齢区分ごとの上限額が定められており、令和8年8月1日現在で30歳未満は7,450円、30歳以上45歳未満は8,270円、45歳以上60歳未満は9,110円、60歳以上65歳未満は7,830円です。上の段階の計算結果がこの額を超える場合は、上限額が適用されます。

所定給付日数は、離職の日における年齢、被保険者であった期間、離職の理由で決まり、90日から360日の間になります。倒産や解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた特定受給資格者と、一定の特定理由離職者は、一般の離職者より手厚い給付日数になる場合があります。

ハローワークの指示で公共職業訓練等を受講する場合、訓練期間中に所定給付日数が終了しても訓練が終了する日まで基本手当が支給され、受講手当と通所手当も受けられます。受講手当は日額500円で上限額は20,000円、通所手当は通所方法により月額最高42,500円です。独立に向けて技能を身につける計画があるなら、この組み合わせは検討に値します。

手続きの流れと、持っていくもの

手続きの順番を並べます。

第1に、離職した会社から離職票を受け取ります。これが届かないと手続きが始まりません。退職から2週間ほどで届くのが通常ですが、届かない場合は会社に催促し、それでも出ない場合はハローワークに相談します。

第2に、住所または居所を管轄するハローワークで求職の申込みと受給資格の決定を受けます。持ち物は、離職票、本人確認書類、マイナンバーを確認できる書類、写真、預金通帳またはキャッシュカードです。この日が待期7日の起算点になります。

第3に、雇用保険受給者初回説明会に出席します。ここで受給資格者証と失業認定申告書を受け取り、認定日の日程が決まります。

第4に、4週間ごとの失業認定日に出席し、失業認定申告書を提出します。求職活動の実績が必要で、業務委託の稼働があった日はここで申告します。失業の認定を行った日から通常5営業日で、指定した金融機関の預金口座に基本手当が振り込まれます。休日や年末年始を含む場合は遅れることがあります。

第5に、就職または事業開始が決まったら、その前日までの失業の認定を受けます。再就職手当の要件にこれが含まれているので、順番を間違えると受け取れなくなります。

正直なところ、この流れで最もつまずくのは第4の求職活動の実績です。業務委託で独立する準備をしている人は、求人への応募をしていないため実績が不足しがちです。職業相談を受ける、セミナーに参加する、といった活動も実績として認められる場合があるので、初回説明会で認められる活動の範囲を確認しておいてください。

健康保険と年金の切り替えを、退職の翌日から数える

失業保険の話と同時に片づけないといけないのが、健康保険と年金です。ここを放置すると、基本手当を受けている最中に医療費を全額負担する事態になります。

健康保険には3つの選択肢があります。1つ目は任意継続で、退職前に加入していた健康保険に最大2年間そのまま加入し続ける方法です。保険料は会社が負担していた分も自分で払うので、在職中の2倍近くになります。申請の期限が退職の翌日から20日以内と短いので、辞める前に決めておく必要があります。2つ目は国民健康保険で、住んでいる市区町村に加入します。保険料は前年の所得で決まるため、退職の翌年は高くなりがちです。3つ目は家族の被扶養者になる方法で、収入の要件を満たせばいちばん負担が軽くなります。

どれが有利かは、前年の所得と扶養する家族の人数で変わります。任意継続の保険料は在職中の健康保険の窓口で、国民健康保険の保険料は市区町村の窓口で試算してもらえます。両方の数字を並べてから決めてください。基本手当は所得ではないので、国民健康保険の保険料の計算には入りません。

年金は、厚生年金保険から国民年金の第1号被保険者に切り替えます。手続きは住んでいる市区町村の窓口で、退職から14日以内が目安です。国民年金保険料の金額は1カ月あたり17,920円で、これは令和8年度の額です。将来の老齢基礎年金を伸ばしたい場合、月額400円の付加保険料を納める制度もあります。

保険料の負担が重いときは、免除や納付猶予の申請ができます。失業は申請の理由として認められる事由に当たります。免除が認められた期間は、受給資格期間に算入されるうえ、年金額にも一部反映されます。未納のまま放置すると、受給資格期間にも年金額にも反映されないので、払えないときは必ず申請してください。納付した国民年金保険料は、所得税と個人住民税の計算上、全額が社会保険料控除の対象になります。

住民税も忘れないでください。退職した年の住民税は、前年の所得に対して課されたものが残っています。給与から引かれていた分が自分で納める形に切り替わるので、退職後に納付書が届きます。基本手当の金額を生活費として計算するときは、この支払いを先に引いておくのが安全です。

受給中にやりがちな5つの間違い

窓口で相談が多い間違いを5つ並べます。どれも事前に知っていれば避けられるものです。

1つ目は、離職票が届く前に何もしないことです。受給の起算点は求職の申込みをした日なので、離職票が遅れるとそのまま受給の開始も遅れます。届かない場合は、会社に催促しつつ、離職票がない状態でも仮の手続きができるかをハローワークに相談してください。

2つ目は、稼働を始めてから相談に行くことです。業務委託の仕事を受け始めた後に窓口へ行くと、すでに失業の状態でなかった日が発生している扱いになる場合があります。先に相談して、どこまでが内職または手伝いに当たるかを確認してから動いてください。

3つ目は、求職活動の実績の数え方を勘違いすることです。求人を検索しただけでは実績になりません。応募、職業相談、ハローワークのセミナーへの参加など、認められる活動の種類は決まっています。初回説明会で配られる資料に一覧があります。

4つ目は、開業届を出したことを申告しないことです。開業届は税務署への手続きですが、事業を始めた事実はハローワークへの申告の対象になります。税務と雇用保険は別の役所ですが、書類は残ります。

5つ目は、再就職手当の要件の順番を間違えることです。就職や事業開始の前日までに失業の認定を受けておかないと、要件を満たしません。日程を決めたら、認定日と開始日の順番を先に確かめてください。

業務委託が「労働者」と判断される場合

最後に、契約の形と実態がずれている場合の話をします。ここは受給の可否に直接影響します。

契約書の題名が業務委託契約書であっても、実態が指揮命令下の労働であれば、労働基準法や雇用保険法の上では労働者として扱われます。判断の材料になるのは、仕事の依頼を断る自由があるか、業務の内容や進め方について具体的な指示を受けているか、勤務の時間と場所が拘束されているか、報酬が労働時間に応じて決まっているか、代替の人に任せられるか、といった点です。

実態が労働者だった場合、本来は雇用保険に加入させるべき立場だったことになります。過去にさかのぼって被保険者資格を確認してもらう手続きがあり、認められれば被保険者期間として算入される余地があります。自分の働き方がこれに当たると感じたら、契約書、業務の指示のやりとり、稼働時間の記録を揃えてハローワークで相談してください。

逆の注意もあります。受給中に受けた業務委託の仕事が、実態として雇用に近い形だった場合、その日は就労として扱われます。「業務委託だから申告しなくてよい」という理解は成り立ちません。

報酬が支払われないという別の問題が起きたときの備えも、この段階で作っておく価値があります。取引先が支払いを止めたときの回収手順は未払い報酬を回収する!弁護士の着手金・成功報酬と支払督促の流れ【2026年最新】に、費用の相場と支払督促の進め方が整理されています。受給が終わる前に読んでおくと、初めての取引で条件を詰める判断が変わります。契約そのものの備えはフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに、発注書へ必ず入れる項目がまとめられています。

受給の期間を、次の働き方の準備期間に変える

運営者として20年この市場を見てきた立場から言えば、基本手当を受けている期間の使い方で、その後の1年が大きく変わります。受給が終わってから取引先を探し始めた人は、収入が途切れた状態で交渉することになり、条件を飲みやすくなります。受給中に単発の仕事を1件でも申告して受けておいた人は、実績と相場観を持って交渉に入れます。同じ期間を過ごしているのに、出発点が違うのです。

もうひとつ、長く見てきて確信していることがあります。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、同じ予算で依頼する側はより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなります。手数料0%という条件の値打ちは、金額の大小よりも、この手取りの質にあります。手取りが厚いと1件あたりの重みが増し、無理な数をこなさなくても生活が回る。独立の初年度でいちばん効くのは、この余裕です。運営者として見てきた限りでは、長く続く人ほど単発の作業を追いかけず、「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っています。

分野を決めるときは、単価の水準を先に確かめてください。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、開発の仕事の報酬水準と幅を確かめられます。文章の仕事を軸にするなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が、1件あたりいくらで受けるかを決める材料になります。基本手当の日額と比べてみると、月にどれだけの稼働が必要かが具体的な数字で見えてきます。

需要の側から選ぶ手もあります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事は、社内の業務にAIを組み込む相談に応じる仕事で、会社で業務改善を担当してきた経験がそのまま値打ちになる領域です。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、広告運用や情報セキュリティの実務を業務委託として受ける道筋を示しています。

技能の裏づけを作るなら、公共職業訓練や教育訓練給付と組み合わせる方法があります。ネットワークを扱う仕事に進むならCCNA(シスコ技術者認定)は実務での通用度が高く、受注のときに説明が省けます。給付制限を解除する教育訓練の対象になるかどうかも、講座を選ぶ前に窓口で確かめてください。

最後にもう一度だけ整理します。業務委託そのものに失業保険は出ません。出るのは、雇用保険に加入していた人が離職して、働く意思と能力があるのに職に就けていない期間に対してです。受給中に業務委託の仕事を受けるなら必ず申告する。事業を始めるなら、受給期間の特例か再就職手当のどちらかを選ぶ。この3つを押さえておけば、手続きで損をすることはありません。個別の金額や日数の判断は事情で変わるので、決める前にハローワークの給付窓口で確かめてください。

よくある質問

Q. 業務委託で働いている期間に失業保険はもらえますか?

もらえません。失業保険は雇用保険の基本手当で、雇用保険に加入していた人が離職したときに支給されます。雇用保険法は被保険者を「適用事業に雇用される労働者」と定めており、業務委託は雇用契約ではないため加入できません。もともと業務委託だけで働いていた人は、求職者支援制度による職業訓練が使える場合があります。

Q. 失業保険を受けながら業務委託の仕事をしてもよいですか?

可能ですが、失業認定申告書に必ず書いてください。働いた日は「就職または就労」か「内職または手伝い」に分かれ、前者はその日の基本手当が先送りになり、後者は収入額で減額されます。隠すと不正受給として支給が止まり、返還に加えて受給額の2倍以下の納付が命じられます。

Q. 自己都合で退職した場合、いつから受け取れますか?

令和7年4月1日以降の自己都合離職なら、待期7日の後に原則1か月の給付制限があります。5年間で3回以上の自己都合離職なら3か月です。離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定と就職の促進に資する教育訓練を自ら受けた場合は給付制限が解除されます。「2か月」は令和7年3月31日以前の離職の話です。

Q. 独立して事業を始めると、残りの日数は消えますか?

受給期間の特例を申請すれば、事業を行っている期間を最大3年間、受給期間に算入しない扱いにできます。事業の実施期間が30日以上であることなど4つの要件があり、申請は事業を開始した日等の翌日から2か月以内です。早期に事業を開始した場合は、代わりに再就職手当を受け取る選択もあります。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月3日最終更新:2026年9月27日
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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方