ガントチャートのテンプレートの選び方と、工程表を作るときの手順


この記事のポイント
- ✓ガントチャートのテンプレートを探している人向けに
- ✓日単位・週単位・WBS付きなど種類ごとの向き不向き
- ✓工程表を作る7つの手順
ガントチャートのテンプレートを探しているとき、多くの人が本当に知りたいのは「どのひな形をダウンロードすれば、明日からの工程表がちゃんと回るのか」という一点です。テンプレートは無料のものが数えきれないほど出回っていますが、選び方を間違えると、作った翌週には誰も更新しない表になってしまいます。
この記事では、ガントチャートのテンプレートを種類ごとに整理し、自分の仕事に合うものを選ぶ基準、無料で手に入る入手先、工程表を作るときの具体的な手順、そして更新を続けるための運用のコツまでを順に説明します。最後に、表計算のテンプレートでは足りなくなったときの移り先にも触れます。
ガントチャートのテンプレートで何が解決できるのか
ガントチャートとは、縦に作業の名前を並べ、横に日付を並べて、それぞれの作業がいつ始まりいつ終わるのかを横棒で示した表のことです。100年以上前に考案された表の形ですが、いまも工程管理の基本として使われ続けています。
テンプレートを使う一番の利点は、表の骨組みを自分で組み立てる手間がなくなることです。日付の見出しを並べる、土日に色を付ける、開始日と終了日から自動で棒を描く。こうした仕掛けを一から作ると、表計算に慣れた人でも半日はかかります。テンプレートなら、作業名と日付を入れるだけで見た目の整った工程表が手に入ります。
ただし、テンプレートが解決してくれるのは「見た目」と「入力の手間」だけです。どの作業をどの順番で進めるか、誰が担当するか、どれくらいの余裕を持たせるかといった計画の中身は、テンプレートを開く前に自分で考えておく必要があります。ここを飛ばしてテンプレートを先に開くと、空欄を埋めることが目的になってしまい、実態と合わない工程表ができあがります。
逆に言えば、計画の中身さえ固まっていれば、テンプレートはどれを選んでも大きな失敗にはなりません。選び方で差がつくのは、主に次の3点です。
- 日付の目盛り(1日単位か、1週間単位か、1か月単位か)が、作業の長さに合っているか
- 担当者や進み具合を書く列が、チームの運用に合っているか
- 共有の方法(ファイルを送るのか、同じファイルを複数人で開くのか)に合った形式か
この3点を押さえておくと、テンプレート探しにかける時間が短くなります。次の節からは、まず工程表がどんな場面で求められているのかを確かめ、そのうえで種類ごとの選び方に進みます。
工程表の管理が求められる場面は広がっている
工程表といえば建設現場や製造業のものという印象がありますが、いまはずっと幅広い仕事で使われています。システム開発、Webサイトの制作、イベントの準備、新商品の発売、社内の制度変更、補助金の申請など、複数の作業が関係して締切がある仕事であれば、ほぼすべてがガントチャートの対象になります。
背景にあるのは、働き方の変化です。テレワークが広がり、同じ部屋で顔を合わせて進み具合を確認する機会が減りました。口頭で「あの件どうなった?」と聞けない分、誰が見ても状況が分かる工程表の価値が上がっています。在宅勤務を進める企業向けの支援制度については、テレワーク 助成金 2026で制度の概要と申請の流れを紹介しています。
外部の協力者と組んで仕事を進める場面も増えています。業務委託のフリーランスや副業の人材にプロジェクトの一部を任せるとき、発注側と受注側が同じ工程表を見ていないと、締切の認識がずれたまま作業が進んでしまいます。工程表は、社内の管理表であると同時に、外部の人との約束を目に見える形にする道具でもあります。
地方の農業や小さな事業者の現場でも、工程表の考え方は役に立ちます。たとえば農業法人が補助金を使ってセンサーや機械を入れる場合、申請の準備、見積もりの取得、交付決定、発注、設置、実績報告と、半年から1年がかりの工程になります。どこか1つが遅れると次の作業に響くので、全体を1枚の表で見られるかどうかが成否を分けます。介護や福祉の事業所がIT機器を入れるときも同じで、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化のように、申請から導入までの段取りを整理しておくと、締切の取りこぼしを防げます。
こうした広がりを受けて、ガントチャートのテンプレートも、Excelで使うもの、Googleスプレッドシートで使うもの、印刷して手書きで使うもの、専用のツールに最初から入っているものと、形がいくつにも分かれています。自分の現場に合う形を選ぶには、まずテンプレートの種類を知っておくのが近道です。
ガントチャートのテンプレートの種類と向いている場面
テンプレートは、日付の目盛りの細かさと、表に含まれる列の種類で大きく分けられます。代表的な種類と、向いている場面を表に整理しました。
| テンプレートの種類 | 日付の目盛り | 向いている仕事 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 日単位(1か月表示) | 1日 | 1〜2か月で終わる短い案件、イベント準備 | 3か月を超えると横に長くなり見づらい |
| 週単位(四半期表示) | 1週間 | 3〜6か月の開発、制作、導入プロジェクト | 1日だけの作業が棒として見えにくい |
| 月単位(年間表示) | 1か月 | 年間計画、補助金の申請から実績報告まで | 細かな作業は別の表に分ける必要がある |
| WBS付き | 日または週 | 作業を階層で分けたい中規模以上の案件 | 列が多く、入力の手間が増える |
| マイルストーン付き | 日または週 | 中間の締切や納品日が決まっている案件 | 節目を決めずに使うと意味が薄れる |
| 進捗率付き | 日または週 | チームで進み具合を報告し合う案件 | 進捗率の付け方を決めておかないとばらつく |
WBSとは、作業分解構成図とも呼ばれ、大きな仕事を小さな作業に分けて階層で整理したもののことです。たとえば「Webサイト制作」を「設計」「デザイン」「コーディング」「公開準備」に分け、さらに「設計」を「サイトマップ作成」「ワイヤーフレーム作成」に分けるといった形です。WBS付きのテンプレートは、この階層を番号付きで入力できるようになっています。
マイルストーンとは、プロジェクトの途中にある重要な節目のことです。「デザインの確定」「テスト開始」「納品」など、その日までに必ず終わらせたい地点を指します。マイルストーン付きのテンプレートでは、節目がひし形の印などで表示され、締切が近づいていることが一目で分かります。
迷ったときは、作業全体の期間から選ぶのが確実です。2か月以内なら日単位、半年以内なら週単位、それ以上なら月単位の表を基本にし、細かな作業だけ別のシートで日単位に分けると、見やすさと細かさを両立できます。
個人で使うのか、チームで使うのかでも選ぶべきものが変わります。個人なら作業名と日付だけの簡単な表で十分です。チームで使うなら、担当者の列と進捗率の列があるものを選び、誰が何を持っているのかを表の上で確認できるようにしておくと、確認の連絡が減ります。
無料で手に入るテンプレートの入手先と特徴
ガントチャートのテンプレートは、主に3つの場所で無料で手に入ります。それぞれ特徴が違うので、使う道具と共有の方法に合わせて選びます。
Excelのテンプレート
もっとも数が多いのがExcel用のテンプレートです。Excelの「新規作成」の画面でテンプレートを検索すると、マイクロソフトが用意したひな形を選べます。少し意外ですが、Excelにはガントチャートという種類のグラフは最初から用意されていません。マイクロソフトの公式ヘルプにも、次のように書かれています。
ガント チャートを使って単純なプロジェクト スケジュールの状態を表示する必要がありますか? Excel には事前定義されたガント チャートの種類はありませんが、これらの無料のガント チャート テンプレートを使用して作成できます。 出典: support.microsoft.com
つまり、Excelでガントチャートを作るには、テンプレートを使うか、積み上げ横棒グラフや条件付き書式を自分で組み合わせる必要があります。テンプレートを使えば、この組み合わせの部分がすでに作られているわけです。
テンプレートを配布しているサイトの解説でも、使い方の要点は同じところに置かれています。
エクセルのガントチャートテンプレートは、プロジェクトの進行状況を視覚的に管理できる便利なツールです。使い方は非常にシンプルで、「タスク名」「開始日」「終了日」「担当者」などを入力するだけで、簡易的なガントチャートを作成できます。 出典: edraw.wondershare.jp
Excelのテンプレートの強みは、関数や条件付き書式を自由に書き換えられることです。土日の色、祝日の扱い、進捗率に応じた棒の色など、自分の現場に合わせて作り直せます。一方で、ファイルをメールで送り合う使い方をすると、どれが最新版か分からなくなるという弱点があります。
Googleスプレッドシートのテンプレートとタイムライン表示
Googleスプレッドシートにも、テンプレートギャラリーにプロジェクト管理用のひな形があります。ブラウザで開くので、同じファイルを複数人で同時に編集でき、最新版がどれかで迷うことがありません。
さらに、Googleスプレッドシートには「タイムライン ビュー」という機能があり、作業名・開始日・終了日の列を用意しておけば、ガントチャートに近い表示を自動で作れます。ただし、Googleの公式ヘルプでは、この機能を使えるのは仕事や学校向けのGoogle Workspaceの各エディションと案内されています。対象の一覧に個人の無料アカウントは入っていないため、個人で使う場合は、条件付き書式で棒を描くタイプのテンプレートを使うことになります。手順はタイムライン ビューを作成、編集するで確かめられます。
印刷用のPDFテンプレート
手書きで使う印刷用のテンプレートも、文房具メーカーや無料素材のサイトで配布されています。パソコンを開かずに壁に貼って使えるので、作業場や事務所の共有スペースで全員に見せたい場合に向いています。ただ、日程が変わるたびに書き直す必要があり、変更の多い仕事には向きません。
テンプレートを選ぶときに確かめたい5つの点
種類と入手先が分かったら、実際にダウンロードする前に、次の5つを確かめておきます。ここを確認せずに使い始めると、途中で列を足したり、別のテンプレートに乗り換えたりする手間が発生します。
1. 開始日を変えると日付の見出しが自動で動くか
よくできたテンプレートは、プロジェクトの開始日を1か所に入力すると、横に並ぶ日付の見出しがすべて自動で書き換わります。逆に日付が手入力になっているテンプレートは、計画を1週間ずらすだけで見出しを全部直すことになります。
2. 土日と祝日の扱い
土日に色が付くテンプレートは多いものの、日本の祝日まで反映するものは限られます。祝日の一覧を別のシートに入力しておき、そこから色を付ける仕組みがあるかを確認しておくと、ゴールデンウィークや年末年始をまたぐ計画で日数を読み違えずに済みます。
3. 作業の行を追加しても棒が描かれるか
テンプレートによっては、最初に用意された行数を超えて作業を追加すると、条件付き書式が適用されず棒が描かれないことがあります。使い始める前に、行を挿入しても棒が表示されるかを試しておきます。
4. 担当者と進捗率の列があるか
チームで使うなら、担当者と進捗率の列は欠かせません。進捗率の列があると、棒の一部を濃く塗るなどして、どこまで終わったかを表示できるテンプレートもあります。
5. 共有の方法に合ったファイル形式か
Excelのファイルをメールで送り合う運用か、クラウド上の1つのファイルを全員で開く運用かで、選ぶべき形式が変わります。複数人が同時に書き込むなら、Googleスプレッドシートや、Microsoft 365のOneDrive上で共同編集できる形にしておくと、版が分かれる事故を防げます。
この5つを満たすテンプレートは、実はそれほど多くありません。すべてを満たすものが見つからない場合は、まず1と3を優先してください。日付の自動計算と行の追加は、後から自分で直すのが一番難しい部分だからです。
工程表を作るときの手順
テンプレートを選んだら、いよいよ工程表を作ります。ここでは、どのテンプレートでも共通する7つの手順を順に説明します。テンプレートに入力を始めるのは、手順4まで進んでからで構いません。
手順1. ゴールと最終の締切を1行で書く
最初に、このプロジェクトが何をもって完了とするのかを1行で書きます。「新しい予約サイトを公開する」「補助金の実績報告を提出する」のように、終わった状態が誰にでも分かる表現にします。あわせて、最終の締切日を決めます。ここがあいまいなままだと、作業の洗い出しで範囲が広がり続けます。
手順2. 作業を洗い出して階層に分ける
ゴールに必要な作業を、思いつく限り書き出します。次に、似た作業をまとめて大きな括りを作り、大きな括りの下に細かな作業を並べます。これがWBSの考え方です。細かな作業は、1人が数日から2週間程度で終えられる大きさまで分けるのが目安です。1か月以上かかる作業は、途中の状況が見えなくなるので、さらに分けます。
手順3. 作業の順番とつながりを決める
作業の中には、前の作業が終わらないと始められないものがあります。たとえば「デザインの確定」が終わらないと「コーディング」には入れません。こうした前後のつながりを、作業ごとに書き出しておきます。つながりが分かると、どの作業が遅れると全体が遅れるのかが見えてきます。
手順4. それぞれの作業の日数を見積もる
作業ごとに、何日かかるかを見積もります。過去に似た作業をしたことがあれば、そのときの実績を使うのが一番正確です。初めての作業なら、担当する人に直接聞きます。見積もりは「順調にいった場合」ではなく「普通に進んだ場合」の日数で出し、楽観的な数字を入れないことが大切です。
手順5. テンプレートに入力して棒を並べる
ここで初めてテンプレートを開き、作業名、開始日、終了日を入力していきます。手順3で決めたつながりに沿って、前の作業の終了日の翌日を次の作業の開始日にします。同時に進められる作業は、開始日を重ねて並べます。
手順6. 担当者とマイルストーンを入れる
作業ごとに担当者を入れ、1人に作業が集中している期間がないかを確認します。同じ人の棒が同じ週に3本も4本も重なっていたら、どれかをずらすか、別の人に振り分けます。あわせて、中間の締切や確認の日をマイルストーンとして入れます。
手順7. 余裕を持たせて関係者と合意する
最後に、全体の終了日が最終の締切より前に収まっているかを確かめます。ぎりぎりで収まっている場合は、どこかの作業が1日遅れただけで締切を越えてしまいます。全体の期間の1割程度を目安に余裕を持たせ、その上で関係者に見せて合意を取ります。合意を取った日付は、後から変える場合にも誰が了承したかが分かるよう、記録を残しておきます。
用途別に見る工程表の組み立て例
手順だけでは具体的な姿が浮かびにくいので、よくある3つの用途について、どんな行を並べるとよいかの例を示します。テンプレートに入力するときの下書きとして使ってください。
小さなWebサイトの制作(期間2か月、日単位)
大きな括りは「要件の確認」「設計」「デザイン」「実装」「確認と修正」「公開」の6つです。「設計」の下には「ページ構成の決定」「原稿の受け取り」、「デザイン」の下には「トップページ案」「下層ページ案」「修正対応」を並べます。マイルストーンは「デザインの確定」と「公開日」の2つに絞ると、発注側との確認の場面が明確になります。原稿や写真の受け取りは相手次第で遅れやすいので、受け取りの締切を別の行として立てておくと、遅れたときにどこに影響するかを説明しやすくなります。
社内イベントの準備(期間6週間、日単位)
「会場の手配」「案内の作成と送付」「出欠の集計」「備品の準備」「当日の運営」「事後の報告」と並べます。案内の送付から出欠の締切までは最低でも2週間を見込み、締切の翌日に人数の確定をマイルストーンとして入れます。会場や料理の手配は人数が決まらないと確定できないので、つながりを表の上で矢印や注記で示しておくと、担当者どうしの確認が減ります。
補助金を使った機器の導入(期間9か月、週単位または月単位)
「公募要領の確認」「事業計画の作成」「見積もりの取得」「申請」「審査の待ち期間」「交付決定」「発注と納品」「設置と試運転」「実績報告」と並べます。この種の工程で大切なのは、交付決定の前に発注してはいけない制度が多いことです。発注の行は必ず交付決定の後ろにつなげ、審査の待ち期間は公募要領に示された目安に余裕を持たせて入れます。実績報告の締切は制度ごとに決まっているので、要領で確かめた日付をマイルストーンとして入れておきます。
3つの例に共通するのは、自分たちだけでは進められない「相手待ち」の行をきちんと立てていることです。相手待ちを表に出しておくと、遅れたときに原因がどこにあるのかを関係者全員が同じ表で確認できます。
作るときに失敗しやすい点と、その避け方
工程表は作り方を知っていても、実際に運用すると思わぬところでつまずきます。現場でよく見かける失敗を4つ挙げます。
作業を細かく分けすぎる
丁寧に作ろうとするあまり、半日で終わる作業まで1行ずつ並べてしまうことがあります。行数が100を超えると、全体を見渡すための表なのに、どこを見ればよいのか分からなくなります。工程表に載せるのは、数日から2週間程度の作業までにして、それより細かい作業は担当者の手元のメモに任せるのが現実的です。
天候や外部の都合を織り込まない
農業の現場での支援では、この失敗が特に目立ちます。センサーの設置やドローンの撮影は、雨が続けば予定どおりに進みません。田植えや収穫の時期には、農家さんの手がまったく空かなくなります。こうした事情を入れずに日付を並べると、最初の1か月で表が実態とずれてしまいます。ある農業法人の機器導入では、設置の工程を晴天の日数だけで組んだ結果、梅雨の時期に2週間遅れ、後に続く作業がすべてずれ込みました。こうした例を踏まえると、屋外の作業には天候による予備日を、相手先の繁忙期には作業を入れない期間を、最初から表に入れておくのが確実です。
外部の会社や役所が関わる工程も同じです。見積もりの返事、審査の結果、部品の納品など、自分たちの努力では早められない作業には、相手が示した期間に加えて、余裕を持った日数を見込んでおきます。
進み具合を自己申告だけで決める
進捗率を担当者の感覚で入力すると、「ほぼ終わっている」が何週間も80%のまま続くことがあります。進捗率は、「下書きが終われば50%」「確認が終われば80%」のように、何が終わったら何%かをあらかじめ決めておくと、人によるばらつきが減ります。
作った人しか更新しない
工程表を作った人だけが更新する運用は、その人が忙しくなった途端に止まります。作業の担当者が自分の行を自分で更新する、という決まりを最初に作っておくと、表が実態から離れにくくなります。
工程表を更新し続けるための運用のコツ
工程表は、作った日から古くなり始めます。テンプレートで見た目の整った表を作っても、更新されなければ意味がありません。運用を続けるためのコツを整理しておきます。
まず、更新する曜日と時間を決めます。たとえば「毎週月曜の朝10時までに、各担当が自分の行の進捗率と終了予定日を更新する」と決めておけば、月曜の打ち合わせで最新の表を見ながら話ができます。毎日の更新を求めると負担が大きく、続かないことが多いので、週に1回が無理のない頻度です。
次に、計画の変更は消さずに記録します。終了日を後ろにずらしたときに元の日付を上書きしてしまうと、どの作業がどれだけ遅れたのかが後から分からなくなります。「当初の終了日」と「現在の終了予定日」の2列を用意しておくと、遅れの大きさがそのまま見えます。これは次のプロジェクトで日数を見積もるときの貴重な材料にもなります。
さらに、遅れが見えたら早めに共有します。工程表の一番の役割は、遅れを早く見つけることです。今日の日付の位置に線を引き、その線より左にあるのに終わっていない作業があれば、それが遅れです。遅れを見つけたら、その作業の後ろにつながる作業の担当者に、その日のうちに伝えます。
最後に、プロジェクトが終わったら振り返ります。当初の計画と実際の結果を並べ、どの種類の作業で見積もりが外れやすかったかを確認します。たとえば「外部の確認待ちは毎回見積もりの1.5倍かかった」と分かれば、次の計画に活かせます。テンプレートは同じものを使い続けると、こうした振り返りの比較がしやすくなります。
表計算のテンプレートで足りなくなる場面
Excelやスプレッドシートのテンプレートは手軽で自由度が高い反面、チームの人数や作業の数が増えると、いくつかの場面で限界が見えてきます。
1つ目は、同時編集と版の管理です。Excelのファイルをメールで送り合う運用では、誰かが古い版に書き込んでしまう事故が起きがちです。クラウドで共同編集すれば防げますが、それでも誰がいつどこを変えたのかを追うのは手間がかかります。
2つ目は、日付の変更の手間です。表計算のガントチャートでは、作業の日程を変えるたびに開始日と終了日のセルを書き換える必要があります。つながっている後ろの作業の日付も、手で1つずつずらします。作業が50を超えるあたりから、この手間が無視できなくなります。
3つ目は、会話と記録が別の場所に分かれることです。作業についての相談はチャットやメールで行い、結果だけを工程表に書く運用では、なぜ日程が変わったのかという経緯が工程表に残りません。後から振り返ろうとしても、チャットの履歴を遡って探すことになります。
4つ目は、スマートフォンからの確認です。表計算のガントチャートは横に長いため、スマートフォンの小さな画面では見づらく、外出先や現場で状況を確認しにくいという声がよく聞かれます。
これらの不便が日常的に起きているなら、テンプレートの作り込みを続けるより、最初からガントチャートの機能を持つ専用のツールに移ったほうが、結果として手間が少なくなる場合があります。もちろん、作業が20程度で、更新する人が1〜2人のプロジェクトなら、表計算のテンプレートで十分です。どちらが正解というより、プロジェクトの大きさに合わせて道具を選ぶことが大切です。
表計算のテンプレートが合わなくなったときの候補
専用のツールを選ぶときは、ガントチャートが無料の範囲で使えるかどうかを最初に確かめます。ツールによっては、ガントチャートが有料プランだけの機能になっていることがあるためです。そのうえで、チームの人数と、作れるボードやプロジェクトの数の上限を見比べます。
無料から試せる選択肢の1つとして、Pinatecaがあります。公式の料金ページによると、フリープランは5人まで・ボード10個までなら期限なく無料で、カンバン・ガント・カレンダー・リストなど8種類のボードを無料プランから使えると案内されています。ガントのボードでは、カードの開始日と締切が横棒で並び、棒をドラッグすると日付もその場で変わります。日と週の目盛りを切り替えられ、今日の位置には縦線が表示されるので、線より左で終わっていない棒を探せば遅れが分かります。カードごとにコメントを残せて、チャットも内蔵されているため、表計算では別の場所に分かれがちだった相談の経緯を作業の隣に残せます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプラン(1人あたり月額500円、年払いなら1人あたり月額400円、いずれも税抜)になります。
Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
なお、表計算には、工数や費用を自由に集計できるという強みがあります。日程と作業の管理だけを専用のツールに移し、費用の計算はこれまでどおり表計算で続けるという分け方も十分に成り立ちます。いきなりすべてを移すのではなく、次に始まる1つのプロジェクトで試してみて、チームの反応を見てから広げるのが無理のない進め方です。
工程表を作る力は仕事の幅を広げる
最後に、ガントチャートで工程表を作る力が、副業やフリーランスの仕事でどう役立つかを考えます。
工程表を作れるということは、仕事を分解し、順番を考え、日数を見積もり、関係者と合意する力があるということです。これは、どの職種でも評価される段取りの力そのものです。特に業務委託で仕事を受ける場合、発注側に工程表を示して「この日までにここまで進めます」と約束できる人は、それだけで安心して任せてもらえます。
フリーランスと発注者をつなぐ市場を20年見てきた立場から言えば、長く仕事が続く人ほど、成果物そのものだけでなく、進み具合の見せ方に気を配っています。工程表を共有し、遅れそうなときは早めに知らせる。その積み重ねが「この人に任せると楽だ」という評価につながり、次の依頼を呼びます。仲介の手数料がかからない直接取引であれば、依頼者は同じ予算でより多くを頼め、受け手の手取りも厚くなります。そうした関係を支えるのが、こうした地味な段取りの力です。
システムやアプリの開発では、工程表を作って共有する場面が特に多くなります。開発の仕事の中身はアプリケーション開発のお仕事で、報酬の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確かめられます。
業務の効率化を支援する仕事では、クライアントが表計算で管理している工程表を見直し、専用のツールへの移行を手伝うこともあります。どの時点で道具を変えるべきかを説明できること自体が、提案の価値になります。こうした仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で紹介しています。
中小企業の経営課題を整理し、計画づくりを支える立場を目指すなら、国家資格の中小企業診断士も選択肢になります。事業計画や改善の段取りを組む力は、工程表づくりと地続きです。テンプレートを1つ選んで、まずは自分の手元の仕事で工程表を作ってみることから始めてみてください。
よくある質問
Q. ガントチャートのテンプレートは無料のもので十分ですか?
作業が20程度で、更新する人が1〜2人のプロジェクトなら、無料のテンプレートで十分に運用できます。選ぶときは、開始日を変えると日付の見出しが自動で動くか、行を追加しても棒が描かれるかを先に確かめてください。この2点は後から自分で直すのが難しい部分です。
Q. 日単位と週単位のテンプレートはどう使い分ければよいですか?
全体の期間で決めるのが確実です。2か月以内に終わる仕事なら日単位、半年以内なら週単位、それより長い計画なら月単位の表を基本にします。長い計画で細かな作業も管理したい場合は、全体を週単位や月単位で示し、直近の作業だけ別のシートに日単位で書き出すと見やすくなります。
Q. Googleスプレッドシートでガントチャートを作れますか?
作れます。テンプレートギャラリーのプロジェクト管理用のひな形や、条件付き書式で棒を描くテンプレートを使う方法があります。作業名・開始日・終了日の列から自動で表示を作るタイムライン ビューという機能もありますが、Googleの公式ヘルプでは仕事や学校向けのGoogle Workspaceのエディションが対象と案内されています。
Q. 工程表を作ったのに誰も更新しなくなるのはなぜですか?
作った人だけが更新する運用になっていることが多い原因です。担当者が自分の行を自分で更新する決まりにし、更新する曜日と時間を週に1回決めておくと続きやすくなります。毎日の更新を求めると負担が大きくなるため、週1回の打ち合わせの前に更新する形が無理のない頻度です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







