電気工事士の資格を副業に生かすには|受けられる工事と勤め先への確認

西田 航
西田 航
電気工事士の資格を副業に生かすには|受けられる工事と勤め先への確認

この記事のポイント

  • ✓電気工事士の資格を副業に生かす方法を
  • ✓電気工事士法と電気工事業法の条文に沿って整理
  • ✓第一種と第二種で受けられる工事の範囲

電気工事士の資格を取ったものの、本業では使う機会がない。せっかくなら週末の副業に生かしたい。そう考える人は少なくありません。ただし、電気工事士の副業には、ほかの副業にはない法律の決まりがあります。資格を持っていれば誰でも工事を請け負える、というわけではなく、自分で仕事を請け負うには、資格とは別に事業としての登録が必要になります。この記事では、電気工事士の資格を副業に生かす道筋を、受けられる工事の範囲、働き方ごとに必要な手続き、勤め先への確認の順に、法律の条文に沿って整理します。

結論:電気工事士の副業には3つの形がある

最初に結論を示します。電気工事士の資格を副業に生かす形は、大きく分けて3つあります。

  1. 電気工事の会社に雇われて、週末や休日に現場を手伝う
  2. 自分で電気工事の仕事を請け負う(電気工事業の登録が必要)
  3. 工事そのものではなく、資格の知識を生かした仕事をする

いちばん始めやすいのは1つめです。電気工事業の登録を受けた会社のもとで、従業員として作業に加わるので、事業としての手続きは会社が担います。2つめは収入の伸びしろが大きい一方で、登録の手続きや、主任電気工事士という管理の担当者を置く条件など、越えるべき壁があります。3つめは、試験対策の教材づくりや、電気に関する記事の執筆など、工事の現場に出ない形です。

どの形を選ぶかで、必要な手続きも、勤め先に確かめることも変わります。順に見ていきます。

第一種と第二種で、できる工事の範囲が違う

電気工事士の資格には、第一種と第二種があります。どちらを持っているかで、従事できる工事の範囲が決まっています。電気工事士法は、次のように定めています。

第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。 出典: e-Gov 法令検索(電気工事士法 第3条)

一般用電気工作物とは、主に一般の住宅や小さな店舗などの、低い電圧で電気を受けて使う設備のことです。つまり、第二種電気工事士は、住宅や小さな店舗の配線やコンセントの工事などに従事できます。

同じ条文の第1項では、自家用電気工作物に係る電気工事の作業は、第一種電気工事士でなければ従事してはならないと定めています。自家用電気工作物とは、工場やビル、大きな商業施設など、高い電圧で電気を受けて使う設備のことです。第一種電気工事士は、これに加えて、第二種の範囲の工事にも従事できます。

副業で多いのは第二種の範囲の工事

副業として受けやすいのは、住宅や小さな店舗の工事です。たとえば、コンセントの増設や移設、照明のスイッチの交換、エアコンの専用の回路の配線などがあります。これらは第二種電気工事士の範囲で行えます。

工場やビルの設備の工事は、規模が大きく、作業の期間も長くなりがちです。週末だけの副業で受けるのは難しい場合が多く、第一種の資格を生かすなら、会社に雇われて現場を手伝う形が現実的です。

資格 従事できる主な工事 副業での受けやすさ
第二種電気工事士 住宅や小さな店舗の配線、コンセント、照明のスイッチなど 短い時間の工事が多く、受けやすい
第一種電気工事士 第二種の範囲に加え、工場やビルなどの設備 規模が大きく、雇われて手伝う形が中心

資格がなくてもできる作業、資格が要る作業

電気に関わる作業のすべてに資格が要るわけではありません。法律では、保安の上で支障のない軽い工事は、資格がなくてもできるとされています。どこまでが資格の要らない作業なのかを知っておくことは、副業の仕事の中身を考えるうえで大切です。

資格が要らない軽微な工事

電気工事士法施行令は、資格の要らない軽微な工事として、次のようなものを挙げています。

  1. 電圧600ボルト以下で使う差し込みの接続器やソケットなどに、コードを接続する工事
  2. 電圧600ボルト以下で使う電気機器の端子に、電線をねじ止めする工事
  3. 電力量計や電流制限器、ヒューズを取り付けたり取り外したりする工事
  4. インターホンや火災感知器などに使う、二次電圧が36ボルト以下の小型の変圧器の二次側の配線工事
  5. 電線を支える柱などを設置したり変更したりする工事
  6. 地中の電線を通す管などを設置したり変更したりする工事

資格が要る工事の例

一方、壁の中の配線をつなぐ、コンセントを新しく増やす、スイッチを交換する、分電盤から新しい回路を引く、といった作業は、電気工事にあたり、資格が必要です。

エアコンの取り付けで気を付けること

エアコンの取り付けは、電気工事士の副業の例としてよく挙がります。ただし、エアコンの取り付けの作業のすべてが電気工事というわけではありません。室内機と室外機をつなぐ配管の作業そのものは、電気工事ではありません。一方、エアコン用の専用のコンセントを新しく設ける、回路を分電盤から引く、といった作業は電気工事にあたり、資格が必要です。

どの作業が資格の範囲にあたるかは、工事の中身ごとに判断が要ります。迷う場合は、資格が必要な作業として扱うのが安全です。

資格のない作業は罰則の対象になる

資格が必要な工事を、資格なしで行うと罰則があります。電気工事士法は、第3条の決まりに違反した者は、3か月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金に処すると定めています。

罰則があるのは、電気工事の不備が、火災や感電といった重大な事故につながるからです。配線のつなぎ方が悪いと、その場では問題なく動いても、時間がたってから熱を持ち、火災の原因になることがあります。電気工事士の資格は、こうした事故を防ぐための知識と技能を持つことを示すものです。

副業で仕事を受けるときも、「この程度なら資格がなくてもいいだろう」という依頼に応じないことが大切です。知人から頼まれた小さな工事でも、資格の範囲と、次の節で説明する事業としての手続きを確かめてから引き受けます。

自分で仕事を請け負うには、電気工事業の登録が要る

ここが、電気工事士の副業でいちばん誤解されやすい点です。電気工事士の資格は、工事の作業に従事するための資格であって、工事の事業を営むための許可ではありません。自分で電気工事の仕事を請け負うには、資格とは別に、電気工事業の登録を受ける必要があります。

電気工事業の登録

電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)は、電気工事業を営もうとする者は、営業所が1つの都道府県の中だけにあるときは、その都道府県の知事の登録を、2つ以上の都道府県にあるときは経済産業大臣の登録を受けなければならないと定めています。登録の有効期間は5年で、続けるには更新の登録が必要です。

電気工事業とは、電気工事を行う事業のことです。自宅を営業所として、週末だけ住宅の工事を請け負う場合も、事業として工事を行うなら、この登録の対象になります。

他社から依頼を受けて工事を行う場合についても、受託して電気工事を行うことは電気工事業にあたるとして、登録が必要と案内している都道府県があります。自分の働き方が登録の対象になるかどうかは、営業所のある都道府県の担当の窓口で確かめるのが確実です。

主任電気工事士を置く条件

登録電気工事業者は、一般用電気工作物の工事を行う営業所ごとに、主任電気工事士を置かなければなりません。電気工事業法は、主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士か、第二種電気工事士の免状を受けたあと電気工事に関し3年以上の実務の経験を持つ人と定めています。

登録電気工事業者は、その一般用電気工作物等に係る電気工事(以下「一般用電気工事」という。)の業務を行う営業所(以下この条において「特定営業所」という。)ごとに、当該業務に係る一般用電気工事の作業を管理させるため、第一種電気工事士又は電気工事士法による第二種電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し三年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士であつて第六条第一項第一号から第四号までに該当しないものを、主任電気工事士として、置かなければならない。 出典: e-Gov 法令検索(電気工事業の業務の適正化に関する法律 第19条)

つまり、第二種電気工事士の資格を取ったばかりで、実務の経験がない人は、自分で主任電気工事士になれません。自分で事業として請け負うには、3年以上の実務の経験を積むか、第一種の資格を取るか、条件を満たす人を雇う必要があります。

1人で営む場合

1人で電気工事業を営む、いわゆる一人親方の場合については、徳島県の案内で、登録業者が一人親方で、自身が主任電気工事士を務める場合は、別に主任電気工事士を置く必要はないとされています。自分自身が主任電気工事士の条件を満たしていれば、1人で登録を受けて事業を営むことができる、ということです。

資格を取ったばかりの人の進め方

ここまでをまとめると、第二種電気工事士の資格を取ったばかりの人が、いきなり自分で工事を請け負うのは、法律の上で難しいということになります。現実的な進め方は、まず電気工事の会社に雇われて実務の経験を積み、条件を満たしてから、自分の事業として登録を受ける順番です。副業で現場を手伝うことは、その実務の経験を積む機会にもなります。

雇われて現場を手伝う副業の進め方

いちばん始めやすい、電気工事の会社に雇われて現場を手伝う形について、進め方と注意点を整理します。

仕事の探し方

求人サイトやハローワークで、「電気工事 補助」「電気工事 週末」「電気工事士 アルバイト」などの言葉で探すと、土日だけや単発の募集が見つかることがあります。住宅の新築やリフォームの現場、エアコンの取り付けの繁忙期の応援などが中心です。

応募の前に確かめること

  1. 雇用か、業務委託か(業務委託なら、前の節の登録の問題が関わる)
  2. 雇い主が登録電気工事業者か
  3. 工具を自分で用意するのか、貸してもらえるのか
  4. 現場までの移動と交通費の扱い
  5. けがをしたときの労災保険の扱い

雇われて働く形なら、仕事中のけがには労災保険が使えます。業務委託の形だと、原則として労災保険は使えず、自分で備える必要があります。

現場で信頼されるために

週末だけ現場に入る副業の人は、毎日働いている職人から見ると、現場の流れを知らない新人に見えがちです。最初のうちは、指示を正確に聞き取り、分からないことはその場で確かめ、終わったら報告する、という基本を徹底します。道具の片付けや材料の運搬など、頼まれる前に手が空いている作業を探して動くと、次も声をかけてもらいやすくなります。現場の信頼は、実務の経験を積む機会そのものにつながります。

労働時間は本業と通算される

本業も副業も雇われて働く場合、労働時間の決まりでは、2つの職場の時間を合わせて考えます。労働基準法は、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。たとえば、平日に本業で週40時間働いている人が、土曜日に副業で8時間働けば、法律で決められた週40時間を超える分は時間外労働の扱いになり、割増の賃金が問題になります。厚生労働省は、副業・兼業のガイドラインと、労働時間の通算の考え方をまとめた資料を公表しています。副業先には、本業で働く時間を正確に伝えます。

副業の現場で多い工事の例

雇われて現場を手伝う場合も、将来自分で請け負う場合も、副業の現場でよく出てくる工事の種類を知っておくと、求人を見るときの判断に役立ちます。いずれも第二種電気工事士の範囲の工事です。

コンセントの増設や移設

家具の配置を変えた、在宅勤務でパソコンや周辺機器が増えた、といった理由で、コンセントを増やしたい、位置を変えたいという依頼は多くあります。壁の中の配線をつなぐ作業なので、資格が必要です。

スイッチや照明の配線

照明のスイッチを交換する、別の場所からも点けたり消したりできるようにする、といった工事です。照明器具を天井の配線に直接つなぐ作業も、資格が必要な作業にあたります。一方、天井にある引っかけて取り付ける形の接続器に、照明器具を取り付けるだけの作業は、差し込みの接続器にコードを接続する軽微な工事の考え方に近く、一般の人も行っています。どこからが資格の要る作業かを、現場ごとに確かめる習慣を付けます。

エアコンの専用の回路

消費電力の大きいエアコンは、ほかの機器と回路を分けた専用のコンセントを使うのが一般的です。専用のコンセントがない部屋にエアコンを付ける場合、分電盤から新しい回路を引く工事が必要になります。エアコンの取り付けの応援の仕事では、この電気工事の部分を資格者が担当する、という分担がよく見られます。

住宅の新築やリフォームの配線

新築やリフォームの現場では、壁や天井を閉じる前に配線を通す作業があります。図面を読みながら、決められた位置にコンセントやスイッチの配線を通していく作業で、経験を積むほど手早くなります。

依頼者とのトラブルを防ぐために

将来、自分で工事を請け負うようになると、依頼者とのやりとりも自分で担うことになります。電気工事は、仕上がりが壁の中に隠れて見えにくい仕事なので、トラブルを防ぐ工夫が欠かせません。

見積もりを書面で出す

工事の前に、作業の内容、使う材料、金額、工期を書いた見積もりを書面で渡します。口頭の説明だけで始めると、「そこまで頼んでいない」「その金額とは聞いていない」といった行き違いが起きやすくなります。

追加の工事は事前に相談する

現場を開けてみたら、古い配線が傷んでいて追加の作業が必要になった、ということは珍しくありません。追加の作業が必要になったら、作業を始める前に依頼者に説明し、金額を示して了解をもらいます。

作業の記録を残す

壁の中の配線の様子や、分電盤の作業の前後を写真で記録しておくと、あとで不具合の相談を受けたときに、どこに何をしたかを確かめられます。依頼者の家の中の写真なので、記録は工事の確認のためだけに使い、ほかの目的に使わないことを伝えておきます。

完成後に説明する

工事が終わったら、どこに何を設けたか、どのブレーカーがどの回路か、といった点を依頼者に説明します。説明を丁寧にすると、次の工事の依頼や、知人への紹介につながりやすくなります。

安全に作業するための基本

電気工事の副業でいちばん大切なのは、安全です。本業の疲れが残る週末の現場では、特に基本を守ることを意識します。

  1. 作業の前に、該当する回路のブレーカーを切り、電気が来ていないことを検電器で確かめる
  2. ブレーカーを切ったことをほかの人に知らせ、作業中に入れられないよう札を付ける
  3. 脚立や足場を使う高い所の作業は、足元を固め、できるだけ2人で行う
  4. 工具の絶縁の部分に傷がないかを、使う前に確かめる
  5. 疲れや眠気を感じたら、作業を止めて休む

電気工事士の技能試験で学んだ手順は、現場の安全の基本そのものです。慣れてきたころがいちばん事故の起きやすい時期なので、毎回同じ確認を繰り返すことが大切です。

仕事が増える時期を知っておく

電気工事の副業の仕事には、季節や時期による波があります。

夏の前から夏にかけては、エアコンの取り付けの依頼が集中します。エアコンの販売店や取り付けの会社が、週末の応援を募集するのもこの時期です。春は引っ越しの時期で、新しい住まいでのコンセントの増設や照明の工事の依頼が増えます。新築やリフォームの工事は、年間を通じて一定の需要がありますが、年度末に工期が集中することがあります。

副業で働ける時間が限られている人は、こうした忙しい時期に集中して働き、ほかの時期は本業や休養を優先する、という組み立て方もできます。

勤め先に確かめておくこと

会社員が電気工事の副業をするときは、本業の勤め先に確かめておくべきことがあります。電気工事の副業は、事務の仕事の副業と比べて、確かめる点が多くなります。

就業規則で副業が認められているか

まず、就業規則で副業が認められているか、届け出や許可が必要かを確かめます。厚生労働省のモデル就業規則では、副業を禁止や制限できるのは、労務の提供に支障がある場合、会社の秘密が漏れる場合、会社の名誉や信用を傷つける場合、競業により会社の利益を害する場合に限るという考え方が示されています。ただし、実際の扱いは会社ごとに違うので、自分の勤め先の規則を読みます。

競業にあたらないか

本業が電気工事や設備の会社の人は、特に注意が要ります。本業の会社と同じ地域で、同じ種類の工事を副業で請け負うと、本業の会社の顧客を奪う競業とみなされるおそれがあります。本業の取引先から、個人として直接仕事を頼まれた場合も、会社に断りなく受けるとトラブルになりやすい場面です。

疲れと安全

電気工事は、集中力を欠くと感電や転落の事故につながる仕事です。本業の疲れが残った状態で副業の現場に出ると、事故の危険が高まります。本業に支障が出るほどの長時間の副業は、会社から見ても問題になりやすい点です。休日のすべてを副業に充てず、休む日を確保します。

届け出の書き方

副業の届け出を出すときは、副業先の会社名、仕事の内容、働く日と時間、本業との関係(競業にあたらないこと)を具体的に書きます。「電気工事の補助」とだけ書くより、「住宅の新築現場での配線作業の補助。本業の取引先とは関わらない」のように書くと、会社も判断しやすくなります。

自分で請け負う場合に備えておくこと

将来、自分の事業として電気工事を請け負うことを考えている人のために、登録のほかに備えておきたいことを整理します。

賠償責任への備え

電気工事の不備が原因で火災が起きたり、作業中に依頼者の家財を壊したりした場合、損害を賠償する責任を問われることがあります。事業として工事を請け負うなら、工事の賠償責任に備える保険への加入を検討します。保険の内容や保険料は保険会社によって違うので、複数を比べて選びます。

自分のけがへの備え

一人親方として働く場合、雇われて働く人のように会社の労災保険には入れません。労災保険には、一人親方などが自分で加入できる特別加入の制度があります。建設の事業を行う一人親方は、以前からこの制度の対象です。加入の手続きは、特別加入の団体を通じて行うのが一般的です。

開業の届け出と税金

事業として工事を請け負うなら、税務署に開業の届け出を出します。所得税法の改正で、2026年1月1日から、開業の届け出の提出期限は、開業した年分の確定申告の期限までに変わっています。

副業の所得の扱いについて、国税庁の案内では、給与を1か所から受けている人で、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。工事の報酬から、材料や工具、交通費などの経費を差し引いた額で判断します。雇われて現場を手伝う場合は、副業の給料も給与なので、給与を2か所から受けている人の決まりになり、年末調整されなかった給与の収入金額と給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告が必要になります。

費用と手間から見た、副業としての見込み

副業を始める前に、かかる費用と手間を整理しておくと、続けられるかどうかの判断がしやすくなります。資格の取得から副業の開始までを、投資として考えてみます。

雇われて手伝う形の費用

雇われて手伝う形なら、必要なのは作業着や安全靴、基本的な工具くらいで、工具を貸してもらえる会社もあります。初期の費用は小さく、始めやすい形です。その分、収入は時間の長さに比例し、大きく伸びることは期待しにくい形でもあります。

自分で請け負う形の費用

自分で請け負う形では、登録の手続きの費用、測定の器具や工具一式、車両、賠償責任の保険料など、始める前の費用と毎年の費用がかかります。電気工事業法では、登録電気工事業者は、営業所ごとに絶縁抵抗計などの決められた器具を備えることも求められています。さらに、見積もり、依頼者とのやりとり、材料の手配、請求といった、工事以外の手間も増えます。週末だけの副業でこれらを回すのは簡単ではありません。

費用対効果の考え方

費用対効果で考えると、資格を取ったばかりの段階では、雇われて手伝う形で実務の経験を積みながら、収入を得るのが無理のない進め方です。実務の経験を積み、主任電気工事士の条件を満たしたうえで、本業を続けるか、電気工事を本業にするかを判断する、という順番が、失敗の少ない道筋です。

工事の現場に出ない、資格の知識の生かし方

電気工事の現場に出るのが難しい人でも、電気工事士の資格の知識を生かせる仕事があります。

試験対策の教材や解説

電気工事士の試験は、筆記と技能の両方があり、技能試験の練習の仕方に悩む受験者は多くいます。資格を取った経験を生かして、試験対策の解説を書いたり、練習の手順をまとめた教材を作ったりする仕事があります。

電気に関する記事の執筆

住宅の電気の安全、省エネの家電の選び方、太陽光発電や電気自動車の充電設備など、電気に関する記事の需要があります。資格の知識があると、正確で具体的な記事を書けるので、書き手として評価されやすくなります。書く仕事の単価が上がっていく流れは、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで紹介しています。

ネットワークの配線の仕事への広がり

電気工事士の知識は、建物の中のLANの配線や、ネットワーク機器の設置の仕事とも重なります。LANの配線そのものは、弱い電流を扱う作業で、電気工事士の資格の範囲とは別ですが、建物の中で配線を通す技術や、図面を読む力は共通しています。ネットワークの仕事に広げたい人には、CCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドが参考になります。

これから資格を取る人へ:第二種の試験の流れ

電気工事士の副業に興味があり、これから資格を取ろうとしている人のために、第二種電気工事士の試験の流れを確かめておきます。

試験を実施している電気技術者試験センターの案内によると、第二種電気工事士の試験は、一般用電気工作物等の保安に必要な知識と技能について、学科試験と技能試験で行われます。技能試験を受けられるのは、学科試験の合格者か、学科試験を免除された人です。

学科試験は四肢択一の形式で、マークシートに解答を書く筆記の方式と、パソコンで解答を入力するCBTの方式があります。CBTとは、試験会場のパソコンで受ける試験の方式のことで、受ける日時を選びやすいのが特徴です。前回か前々回の学科試験に合格した人は、申請によって学科試験が免除されます。

技能試験は、自分で持ち込んだ工具を使い、配線図で示された問題を、支給された材料で、決められた時間内に完成させる形で行われます。試験センターは、技能試験の候補問題を事前に公表しているので、それを繰り返し練習するのが一般的な準備の方法です。

合格したあとは、都道府県に申請して免状の交付を受けます。免状を受けて初めて、電気工事士として工事の作業に従事できます。試験の日程や受験の手数料は年度ごとに案内されるので、受験を考えるときは試験センターの最新の案内を確かめます。

よくある誤解の整理

電気工事士の副業について、よく見かける誤解を、正しい内容と並べて整理します。

よくある誤解 実際
資格があれば、すぐに自分で工事を請け負える 事業として行うには電気工事業の登録が必要
第二種の資格を取れば主任電気工事士になれる 第二種は免状の交付後3年以上の実務の経験が必要
エアコンの取り付けはすべて資格が要る 配管の作業は電気工事ではない。電源の工事は資格が要る
小さな工事なら資格がなくても構わない 軽微な工事として決められたもの以外は資格が必要
副業は勤め先に知られなければよい 就業規則の確認と、競業にあたらないかの確認が必要

運営者として見てきた、資格を仕事につなげる人

最後に、在宅ワークや業務委託の現場を長く見てきた立場から、資格を副業や仕事につなげている人の共通点を整理します。

運営者として長くフリーランスや在宅ワークの現場を見てきた限りでは、資格を仕事につなげる人ほど、「資格で何ができて、何ができないか」を正確に理解しています。電気工事士の副業でいえば、資格と事業の登録が別物であること、主任電気工事士の条件があることを知ったうえで、実務の経験を積む順番を組み立てている人が、長く仕事を続けています。仲介の手数料がかからない直接取引の仕事では、同じ予算で発注者はより多く頼め、受ける側の手取りも厚くなります。その分、法律の決まりや契約の中身を自分で確かめる力が、そのまま信頼につながります。

技術の仕事は、流行り廃りがある一方で、建物の電気の設備がなくなることはありません。電気工事士の資格は、長く価値が続く技能の1つです。現場の技能とIT、文章の力を組み合わせると、働き方の選択肢はさらに広がります。アプリやシステムを作る仕事に関心がある人は、アプリケーション開発のお仕事で、仕事の内容と求められる力を確かめられます。

よくある質問

Q. 第二種電気工事士の資格があれば、すぐに自分で工事を請け負えますか?

資格だけでは請け負えません。事業として電気工事を行うには、電気工事業法による登録が必要で、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。第二種の場合、主任電気工事士になるには免状の交付後3年以上の実務の経験が要ります。資格を取ったばかりなら、まず会社に雇われて経験を積むのが現実的です。

Q. 資格がなくてもできる電気の作業はありますか?

電気工事士法施行令では、電圧600ボルト以下で使うソケットなどにコードを接続する工事や、電気機器の端子に電線をねじ止めする工事などを、資格の要らない軽微な工事としています。一方、コンセントの増設やスイッチの交換、新しい回路を引く作業は資格が必要です。迷う作業は資格が必要な作業として扱うのが安全です。

Q. 会社員が電気工事の副業をするとき、勤め先に何を確かめればよいですか?

就業規則で副業が認められているか、届け出や許可が必要かを確かめます。本業が電気工事や設備の会社なら、同じ地域で同じ種類の工事を請け負うと競業とみなされるおそれがあるので、特に注意が要ります。副業先に雇われる場合は、労働時間が本業と通算されるので、働く時間も伝えておきます。

Q. 電気工事の副業の収入は、確定申告が必要ですか?

自分で請け負った報酬は、経費を差し引いた所得が20万円を超えると、確定申告が必要になるのが一般的です。会社に雇われて副業をした場合は給与を2か所から受けることになり、年末調整されなかった給与と給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告が必要です。細かい条件は人によって変わるので、税務署で確かめます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月6日最終更新:2026年10月10日
西田 航

この記事を書いた人

西田 航@SOHO編集部

フリーランスフルスタックエンジニア

Next.js・React・TypeScriptを主力に、SaaS企業の開発案件を手がけるフリーランスエンジニア。Web開発・SaaS系の技術記事を執筆しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方