電気工事士のオンライン相談の仕事


この記事のポイント
- ✓電気工事士がオンライン相談で副業する方法を
- ✓法的に気をつける線の三つに分けて整理しました
- ✓現場に出ずに資格と経験を仕事に換えたい方向けの実務ガイドです
電気工事士の資格と現場経験を持っていて、体力的に現場から離れたい、あるいは本業があって現場に出られない。そういう方が「オンライン相談」という形に行き着くケースが増えています。これ、知らない人が本当に多いのですが、住宅の電気まわりの相談は工事の依頼よりずっと件数が多く、しかもその大半が有資格者に届いていません。この記事では、オンライン相談という仕事がどこで発生しているのか、答えてよい範囲はどこまでか、そして法律との関係で気をつける線はどこかを、順番に整理します。工事を請け負う話とは別物として読んでください。
相談だけを求めている人がこれだけいる
工事の依頼に至る前の段階には、必ず「聞きたいこと」があります。エアコンを増設したいがブレーカーは足りるのか。古い分電盤は交換すべきなのか。EV用のコンセントを付けたいが自宅の契約容量で足りるのか。太陽光の見積もりを三社から取ったが、書いてある内容の違いが分からない。
こうした問いは、工事会社に聞けば答えてもらえるように見えます。しかし相手は工事を受注したい立場です。相談者の側には「営業をかけられるのではないか」という警戒があり、だから中立の立場で答えてくれる人を探します。ここに、工事を請けない有資格者の居場所が生まれます。
もう一つ、供給側の事情もあります。電気工事の副業自体は、資格があれば入り口が開いている分野です。
電気工事の副業は、資格さえ取得していれば実務経験の長さに関わらず仕事を受けやすい特徴があります。第二種電気工事士の資格を持っていれば、家庭用の配線工事やコンセント増設などを正式に請け負うことができます。 出典: jobhouse.jp
つまり「工事を請ける」という選択肢は確かにあるわけです。ただしそれには、工具、車両、材料の調達、現場までの移動、そして日中の時間が要ります。オンライン相談が選ばれるのは、この四つを全部そろえなくても始められるからです。持っているのは知識と経験だけ、という状態から動かせる。ここが最大の違いです。
相談が発生している場所を整理する
相談の仕事は、どこで受けるかによって性質がまったく違います。主な受け皿を並べます。
| 受け皿の型 | 相談者 | 報酬の形 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スキル販売のプラットフォーム | 個人 | 1件または時間単位 | 始めやすい。手数料が引かれる形が多い |
| 住宅の相談を扱う投稿型サイト | 個人 | 回答単価または月額 | 単価は低めだが件数が読める |
| リフォーム会社の一次受付委託 | その会社の顧客 | 時間単価または月額 | 継続しやすい。応対の型が決まっている |
| 業務委託のマッチングサイト | 法人 | 案件単位 | 単価が高め。実務経験の証明を求められる |
| 自分のサイトやSNSからの直接依頼 | 個人と法人 | 自分で設定 | 価格を自分で決められる。集客に時間がかかる |
| 電材メーカーの技術サポート委託 | 施工業者 | 時間単価 | 専門性が要る。相談相手がプロなので話が早い |
この表で押さえておきたいのは、相談者が個人か法人かで求められるものが変わる点です。個人の相談者は、専門用語を使わずに説明できることを求めます。答えの正確さより、分かるように話してもらえたかどうかで評価が決まる場面すらあります。一方、施工業者や不動産管理会社からの相談は、相手も専門家なので前置きが不要で、代わりに根拠の提示を求められます。規格の番号、法令の条文、メーカーの技術資料。どこを見ればそう言えるのかを示せることが条件になります。
同じ「電気の相談に答える」でも、この二つはまるで別の仕事です。両方を並行して受けると頭の切り替えに疲れるので、最初はどちらかに寄せることをおすすめします。
初めて受けるなら、スキル販売のプラットフォームか、リフォーム会社の一次受付委託から入るのが現実的です。前者は相談者の質問の傾向をつかむのに向いていて、後者は応対の範囲があらかじめ決まっているため、線引きで悩む場面が少なくなります。
法人相手の案件を探す場合は、実務経験の中身を書けるかどうかが分かれ目になります。どんな設備を、どのくらいの規模で、何年扱ったか。これが書けていない応募は、資格を持っていても通りにくいのが実情です。副業や独立の相談そのものを扱う市場もあり、どんな依頼が動いているかはキャリア・副業・人生相談のお仕事で確認できます。
答えてよい範囲と、踏み込まない範囲
ここが記事の中心です。オンライン相談は、現物を見ないまま答えるという構造上のリスクを常に抱えています。
現物を見ずに安全の可否を断定しない
「コンセントが焦げているが使い続けて大丈夫か」。この質問に「大丈夫です」と答えてはいけません。写真や動画があっても、内部の状態、配線の材質、施工年、周囲の温度は分かりません。つまり、断定に必要な情報が構造的に不足しています。
答え方としては、危険の可能性がある事象を挙げ、確認すべき点を示し、現地で見てもらうべき状態かどうかの判断材料を渡す形になります。「この症状は接触不良や過負荷が原因である場合があります。使用を止めて、現地で点検できる事業者に見てもらってください」という形です。相談者にとってもこれが最も役に立つ回答です。「大丈夫」と言ってほしい気持ちに応えることが、親切ではないケースがあるのです。
資格と工事の範囲に関わる話
相談のなかで「自分でやってもいいか」と聞かれることがあります。ここは慎重に扱ってください。電気工事士法は、電気工作物の工事に従事できる者の範囲を定めています。作業の種類、工作物の区分、資格の種類の組み合わせで結論が変わるため、相談者の状況を聞いたうえで「該当する条文と所管の窓口で確認してください」と案内するのが安全です。
そして、相談を受ける側が自分で工事まで請ける形に踏み込む場合は、電気工事業の業務の適正化に関する法律との関係が出てきます。業として電気工事を営む場合の登録や届出、主任電気工事士の設置などが定められている法律です。オンライン相談だけなら直接の対象にはなりませんが、相談から工事の受注につなげる流れを作るなら、所轄の都道府県や産業保安監督部に確認してください。ここは「たぶん大丈夫」で進めてよい部分ではありません。
他の資格の領域に触れる話
相談の内容が、補助金の申請書類の作成、建築確認に関わる設計、消防法上の届出などに広がることがあります。報酬を得て他人の官公署提出書類を作成する行為は行政書士法が定める領域と重なりますし、建築物の設計は建築士法が範囲を定めています。
ここでも、この記事の立場は同じです。「電気工事士の資格だけでどこまでできる」という断定はしません。相談を受ける側としては、書類そのものを作るのではなく、記載内容の技術的な妥当性について意見を述べる形に留めるのが無難です。どの士業が何を扱う制度なのかは行政書士の解説で全体像がつかめます。線が微妙だと感じたら、該当する士業に確認してから進めてください。
免責と前提を先に書く
相談を始める前に、次の三点を文章で渡しておいてください。第一に、現物を見ていないため回答は一般的な情報であること。第二に、実際の作業や工事は資格と登録を備えた事業者に依頼する必要があること。第三に、回答に基づく判断の結果について責任を負わないこと。
これを書いておくと相談者が離れるのではないかと心配される方がいますが、実際は逆です。前提を明示する人のほうが信頼されます。曖昧なまま進めて後から揉めるより、最初に線を引いておくほうが双方にとって楽になります。
書き方は難しく考えなくて構いません。プロフィール欄と、相談を受ける前の最初のメッセージに、同じ内容を短く置いておけば足ります。長い規約文にすると読まれませんので、三行から五行程度にまとめるのが実用的です。プラットフォームによっては商品説明欄に書ける文字数の上限がありますので、その範囲で収まるよう先に整えておいてください。
なお、こうした前提を書いておいても、実際に危険が生じた場面で責任が完全になくなるわけではありません。免責の文言は万能ではなく、あくまで誤解を減らすための道具です。危ない状態だと分かる相談には、免責を書いてあるからと踏み込むのではなく、案内して手を引く。この判断が最終的な守りになります。
相談の形式ごとの進め方
テキストでのやりとり
最も始めやすい形式です。相談者が写真を添えて質問し、こちらが文章で返す。時間帯の制約がなく、本業のある方でも回しやすいのが利点です。
注意点は、往復が増えると無償の作業時間が膨らむことです。「何往復まで」を最初に決めてください。一件あたり3往復までと決めておくだけで、時間あたりの単価が安定します。また、回答の型を作っておくと所要時間が半分近くまで落ちます。同じ質問が繰り返し来る分野を選ぶのは、効率のうえで理にかなっています。
ビデオ通話
30分から60分の枠で、画面越しに現場を見せてもらいながら答える形です。テキストより単価は上がりますが、時間が固定されるぶん本業との調整が要ります。相談者が個人なら、夜と土日に希望が集中します。
進め方としては、事前に質問内容と写真を送ってもらい、通話は確認と回答に充てるのが効率的です。通話の場で状況を聞き取るところから始めると、半分の時間が状況把握で消えます。
写真や図面をもとにした診断
分電盤の写真、既存図面、設備の型番リストを受け取って、所見をまとめて返す形式です。成果物が文書になるため単価を上げやすく、時間帯の制約もありません。
ただし、この形式は最も断定の誘惑が強くなります。写真がはっきり写っているほど「見えている」と錯覚しやすいためです。所見には必ず、写真から判断できる範囲と、現地でないと判断できない範囲を分けて書いてください。この分け方ができている所見は、依頼する側の評価も高くなります。
単価と時間をどう設計するか
単価の目安を並べます。地域や専門性で幅がありますので、範囲として捉えてください。
| 形式 | 単価の目安 |
|---|---|
| テキストの相談 | 1件あたり2,000円から1万円 |
| ビデオ通話 | 30分で3,000円から1万円 |
| 写真や図面の所見 | 1件あたり5,000円から3万円 |
| 施工業者向けの技術サポート | 時間あたり4,000円から1万円 |
| 継続の顧問的な契約 | 月額2万円から10万円 |
設計で大事なのは、時間単価だけを見ないことです。相談の仕事は、回答の前後に発生する読み込み、調査、記録の時間が積み上がります。30分の通話で5,000円という条件でも、準備と記録に40分かかっていれば実質の時間単価は半分以下です。受注前に、一件あたりの総所要時間を実測してください。三件も受ければ自分の平均が見えます。
文章で納品する仕事の水準を知りたい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。相談の所見も文書の納品ですから、この水準感は無関係ではありません。
始める前にそろえておくもの
現場の仕事と違って、初期に必要なものはごく少ないのですが、ゼロではありません。
まず、通信と機材です。ビデオ通話を受けるなら安定した回線と、相手の写真を拡大して確認できる大きさの画面が要ります。スマートフォンだけで受けている方もいますが、分電盤の写真を見るときに細部が読み取れず、確認のやりとりが増えます。結果として時間単価が下がるので、画面は大きいほうが有利です。
次に、自分の経歴の書き方です。相談を頼む側は、この人が信用できるかを文章だけで判断します。免状の種類と取得年、扱ってきた設備の種類、規模、年数。これを箇条書きで書けるようにしておいてください。会社名を出せない場合でも、「戸建て住宅の新築と改修を年間で数十件」といった書き方で十分に伝わります。
三つ目は、回答のひな型です。よく来る質問に対して、確認すべき情報のリストと、回答の骨組みを用意しておく。これがあるかないかで、一件あたりの所要時間が倍近く変わります。
四つ目は、相談を受けない範囲の一覧です。産業用の高圧設備、消防設備の判定、建築確認に関わる設計。自分が答えない領域を先に決めておけば、迷って調べ込む時間が発生しません。断る基準を持っていることは、専門家としての信頼を下げるどころか、むしろ上げます。
向いている人と、向いていない人
この仕事には向き不向きがはっきりあります。
向いているのは、質問の背景を想像するのが苦にならない人です。相談者は専門用語を知らないので、書いてあることと本当に聞きたいことがずれます。「ブレーカーが落ちる」という相談の裏には、家電を買い足したいという目的があったりする。そこを読み取れる人は、短い時間で満足度の高い回答を返せます。
もう一つ向いているのは、書くことに抵抗がない人です。テキストの相談も所見も、成果物は文章です。うまい文章である必要はまったくありませんが、順序立てて書けることは必要になります。
逆に向いていないのは、断定しないと気が済まない人です。現場では判断を下すことが仕事ですが、オンライン相談では判断材料を渡すのが仕事になります。この切り替えができないと、リスクを抱えたまま回答を続けることになります。
もう一つ、相手のペースに合わせるのが強いストレスになる人にも向きません。相談者は自分の都合で連絡してきますし、質問の粒度もばらばらです。ここに苛立ちを感じる方は、相談ではなく図面や積算のように、成果物だけで完結する工程を選んだほうが長続きします。
相談者の質問はどこに集中するか
一次受付の委託を受けている方の話を総合すると、住宅の相談は次の五つに大きく偏ります。
一つ目は容量の話です。契約アンペアとブレーカーの容量、増設したときに足りるのかどうか。二つ目は費用の妥当性で、受け取った見積もりが高いのか安いのか。三つ目は既存設備の寿命で、分電盤、給湯器、換気設備をいつ替えるべきか。四つ目は不具合の原因で、ブレーカーが落ちる、照明がちらつく、コンセントが熱い。五つ目は制度で、補助金や電力会社の手続きです。
この偏りが分かっていると、回答の型を先に作れます。よく来る五つに対して、確認すべき情報のリストと、回答の骨組みをあらかじめ用意しておく。これだけで一件あたりの所要時間が大きく変わります。専門分野を絞って発信する考え方はSEO対策・MEO対策の副業で稼ぐ方法|必要なスキルと案件相場でも触れられている通りで、相談の仕事でも同じ理屈が働きます。
五つの質問それぞれについて、答え方の勘所を補足します。
容量の相談では、契約の種類、現在のブレーカー構成、増やしたい機器の消費電力の三点をそろえないと話が進みません。この三点を聞き出すテンプレートを持っておくと、初回のやりとりが一往復で済みます。
費用の妥当性の相談は、最も感謝されやすい一方で、扱いに注意が要ります。他社の見積もりを「高い」と評価することは、その会社への否定になります。金額そのものではなく、含まれている工事の範囲、使われている器具のグレード、追加費用が発生しうる条件を説明する形にしてください。判断は相談者に返すのが原則です。
寿命の相談では、法定の耐用年数と実際の使用限界が別物であることを説明する必要があります。数字を一つだけ挙げて終わらせると、その数字が独り歩きします。使用環境によって差が出る点を必ず添えてください。
不具合の相談は、危険度の切り分けが最優先です。焦げ、異臭、発熱、火花。この四つのいずれかが出ている場合は、原因の推測より先に使用の停止と現地点検を案内します。
制度の相談は、情報の鮮度が命になります。補助金の要件と受付期間は年度で変わるため、古い情報のまま答えると相談者に実害が出ます。所管の官公庁のページで最新の内容を確認したうえで答えるか、確認先を案内するに留めてください。経済産業省や総務省など、制度を所管する省庁の公表情報が一次の根拠になります。
トラブルを避けるための記録と契約
相談の仕事で揉めるパターンは、ほぼ二種類に絞られます。
一つは、回答の範囲についての認識のずれです。相談者は「工事してくれる人を紹介してもらえる」と思っていたのに、こちらは情報提供のつもりだった。これは事前の説明で防げます。
もう一つは、報酬の支払いです。個人相手の相談では前払いが原則で、プラットフォーム経由なら決済が仕組みとして担保されます。問題は法人との継続契約のほうで、ここは書面を交わしてください。業務内容、範囲、報酬額、支払期日、契約解除の条件。この五つが書いてあれば十分です。
なお、発注者が一定の要件に当たる場合には、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス取引の適正化に関する法律によって、取引条件の明示や報酬の支払期日について発注側に義務が課されます。自分の取引がこれに当たるかどうかは、公正取引委員会や厚生労働省の解説で確認してください。法律はこちらを守るために存在していますが、知らなければ使えません。
契約書という言葉に構える必要はありません。メールで条件を送り、相手が承諾の返信をする。この形でも取引条件を明示した記録になります。大事なのは形式ではなく、後から双方が同じ内容を確認できることです。
もう一点、相談の仕事で見落とされがちなのが、営業秘密と個人情報の扱いです。相談者から送られてくる写真には、住所が特定できる情報や家族の姿が写り込むことがあります。施工業者からの相談には、その会社の顧客情報が含まれます。受け取った資料をどう保管し、いつ削除するかを最初に決めておいてください。この一点だけで、法人からの信用の付き方が変わります。
やりとりの記録は必ず残してください。メッセージのログ、送られてきた写真、返した所見。相談を受けた事実と内容が確認できる状態にしておくことが、自分を守る最も安価な手段です。
相談の仕事から広がっていく先
相談を続けていると、周辺の依頼が自然に増えていきます。この広がり方を知っておくと、最初の一件の位置づけが変わります。
最初に増えるのは、書く仕事です。相談で書いた回答は、そのまま解説記事の素材になります。相談を受けているリフォーム会社や電材メーカーから「同じ内容をサイトの記事にしてほしい」と依頼される流れは珍しくありません。相談は一対一ですが、記事は一対多なので、同じ知識でも報酬の形が変わります。
次に増えるのが、監修です。編集者が書いた原稿の技術的な誤りを指摘する役割で、書く手間がないぶん時間あたりの効率が高くなります。監修は資格保有者でないと務まらないため、競合が少ないのも特徴です。
その次に来るのが、教える仕事です。相談で同じ質問を何度も受けていると、体系立てて説明する型ができあがります。それを講座や研修の形にする流れです。
さらに進むと、法人との継続契約が出てきます。施工業者の技術サポート、不動産管理会社の相談窓口、住宅メーカーの顧客対応の後方支援。月額での契約になることが多く、収入の読みが立ちやすくなります。
こうした広がり方は、他の在宅職種でも共通して見られる形です。音声の分野ならポッドキャスト編集で副業|未経験から月5万円を稼ぐ方法【2026年版】、開発の分野ならスマホアプリ開発の副業ガイド|個人で稼ぐ方法と案件相場のように、一つの受注が周辺の仕事を連れてくる構造は変わりません。
始めた月にやることの順序
最後に、動き出すときの順序を並べます。悩んでいる時間が一番もったいないので、上から順に手を付けてください。
一週目は、自分が答える範囲と答えない範囲を紙に書き出します。産業用の高圧設備は受けない、消防設備の判定はしない、といった線引きです。ここが決まらないまま募集を出すと、来た相談に振り回されます。
二週目は、経歴と免責を文章にします。免状の種類と取得年、扱ってきた設備、答える範囲、答えない範囲。それぞれ短くて構いません。
三週目は、受け皿を一つだけ選んで登録します。複数に同時に登録すると管理が煩雑になるので、まずは一つです。価格は相場の中央あたりに置いて、実際の所要時間を測ってから調整します。
四週目は、来た相談に答えながら回答のひな型を作ります。三件も受ければ、質問の傾向と自分の所要時間が見えてきます。そこから先は、単価を上げるのか件数を増やすのかを、実測した数字をもとに決めればよいだけです。
運営者として見てきたこと
在宅とフリーランスの市場を長く運営してきた立場から、この分野について二つ書きます。
一つは、相談の仕事で伸びている人は「答えの正確さ」より「聞き方のうまさ」で差がついている、ということです。相談者は自分の状況を整理できていない状態で来ます。何を確認すればよいかを先に示して、必要な情報を引き出せる人は、同じ知識量でも回答の質が上がります。逆に、いきなり結論を返す人は、前提を外して的外れな答えを出しがちです。
もう一つは、手取りの構造です。仲介の手数料が乗らない直接取引の形では、依頼する側は同じ予算でより多く相談でき、受ける側は同じ時間で残る額が厚くなります。手数料0%という条件は金額の話に見えますが、実際には「同じ相談時間で何が残るか」という質の話です。相談の仕事は時間が原価そのものなので、この差は他の職種より大きく効きます。
そして、長く続いている人ほど、単発の相談を安く数多くこなすのではなく、決まった相手から継続で受ける形に移っています。相手の設備と履歴を知っているぶん、一件あたりの時間が短くなり、回答の精度は上がる。この積み重ねが、現場に出ない働き方を成立させています。資格と経験を持っている時点で、入り口はもう開いています。
よくある質問
Q. 電気工事士の資格だけでオンライン相談を始められますか?
情報提供として相談に答える形であれば、資格そのものが相談を禁じているわけではありません。ただし、工事の受注につなげる形にする場合は電気工事士法と電気工事業の業務の適正化に関する法律との関係が出てきます。自分の受け方がどう評価されるかは、所轄の都道府県や産業保安監督部に確認してください。
Q. 写真を見て「大丈夫」と答えても問題ないですか?
避けてください。写真では内部の状態、配線の材質、施工年が分かりません。断定に必要な情報が構造的に不足しているためです。危険の可能性がある事象を挙げ、確認すべき点を示し、現地で点検できる事業者に見てもらうよう案内する形が適切です。
Q. 単価はどのくらいが相場ですか?
テキストの相談で1件2,000円から1万円、ビデオ通話は30分で3,000円から1万円、写真や図面の所見は1件5,000円から3万円が目安です。ただし準備と記録の時間が積み上がるため、受注前に一件あたりの総所要時間を実測して、実質の時間単価で判断してください。
Q. 相談から工事の依頼につなげてもいいですか?
その形にする場合は確認が必要です。業として電気工事を営む際の登録や届出を定めた電気工事業の業務の適正化に関する法律との関係が生じるためです。中立の立場で相談に答えることが価値になっている面もあるので、工事は別の事業者に紹介する形にするかどうかを含めて設計してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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