防災士の資格を仕事に活かす|講師や地域活動


この記事のポイント
- ✓防災士は日本防災士機構が認証する民間資格で
- ✓資格だけで就ける専門の仕事はありません
- ✓取得の手順と費用を公式の案内で確かめたうえで
防災士の資格を取った人、これから取ろうとしている人の多くが気にしているのは、「防災士の資格で仕事はあるのか」という点です。結論から言うと、防災士は特定非営利活動法人日本防災士機構が認証する民間資格で、この資格がなければできない仕事、という独占的な仕事はありません。一方で、地域や職場の防災の担い手として、防災士の知識が評価される場面は広がっています。
この記事では、防災士の資格の性格と取得の手順を公式の案内で確かめたうえで、講師、企業や福祉施設の防災担当、自治体や地域の活動、執筆や教材づくりなど、防災士の知識を仕事に活かす道を整理します。法律に関わる部分は、e-Gov法令検索で条文を確かめた内容だけを書いています。
防災士とはどんな資格か
民間資格で、権利や義務は生じない
日本防災士機構は、防災士を「自助」「共助」「協働」を原則に、社会のさまざまな場で防災力を高める活動が期待され、そのための意識と一定の知識や技能を身につけたことを機構が認証した人、と説明しています。同機構は、資格の権利と義務について次のように案内しています。
防災士資格は民間資格です。防災士資格取得により特定の権利が得られる、もしくは行動が義務づけられるといったことはありません。あくまでも自発的な防災ボランティア活動を行うということです。 出典: 日本防災士機構「防災士とは」
つまり、防災士の資格を持っていても、それだけで給料が上がる、特定の職に就ける、ということはありません。資格はあくまで、防災について一定の知識と意識を持っていることを示すものです。仕事に活かすには、資格の知識を、自分の職場や地域で具体的な活動にどう結び付けるかが問われます。
登録者は全国で増えている
日本防災士機構の発表では、防災士の認証登録者数は2026年10月末日時点で累計371,977名、10月だけで3,367名が認証されています。同機構は、全国の自治体や大学、民間の研修機関で防災士の養成が進み、地域の自主防災組織や学校、福祉施設、事業所などで防災士を配置し活用する動きが広がっていると案内しています。
登録者が多いということは、資格を持っているだけでは他の人と差がつきにくい、ということでもあります。仕事に活かすうえでは、防災士の知識に、自分の本業や得意分野をどう重ねるかが鍵になります。
期待されている役割
同機構は、防災士に期待される役割を、平常時と災害時に分けて示しています。平常時は、自宅の耐震補強や家具の固定、備蓄などを進め、それを周囲に広め、地域や職場で防災の啓発や訓練を行うこと。必要に応じて、防災講演や災害図上訓練、避難所訓練のリーダー役を務め、自主防災組織や消防団の活動に参加することです。災害時は、自分の身を守ったうえで、避難誘導や初期消火、救出救助、避難所の開設などに当たり、被災地の支援活動に参加することが挙げられています。
防災士になるための手順と費用
一般的な取得の流れ
日本防災士機構の案内によると、防災士になるための一般的な方法は次の3つの段階を経ます。
- 機構が認証した研修機関が行う「防災士養成研修講座」を受講し、研修履修証明を取得する
- 機構が行う「防災士資格取得試験」に合格する(受験料3,000円(税込)、受験資格は研修講座の履修証明を取得した人に限る)
- 自治体や消防署、日本赤十字社などが行う「救急救命講習」(心肺蘇生法やAEDを含む)を受け、修了証を取得する
この3つを終えた人が、機構へ防災士認証登録を申請できます(申請料5,000円(税込))。救急救命講習の修了証は、登録の申請時に5年以内に発行されたもので、講習の発行者が定めた有効期限内のものが対象です。なお、機構は2027年度の認証料などの価格改定を案内しているので、申し込む時期の金額は公式の案内で確かめてください。
研修講座の中身
研修講座は、機構のガイドラインに沿ったカリキュラムで、防災や災害対応の専門家を講師とする集合研修として行われます。防災士教本に示された21講目のうち最低12講目以上を集合研修で履修するため、最低でも2日間以上の日程になります。集合研修で履修しなかった講目は、研修機関が定めた様式のレポートなどを出す必要があります。
講目は、災害が起きる仕組み、災害に関する情報、公的機関や企業の災害対策、自助、共助、防災士制度の6章に分かれています。地震や津波、風水害、土砂災害などの災害の知識だけでなく、ハザードマップの読み方、行政の災害対策、企業の事業継続、避難所の運営、災害ボランティア活動まで、幅広い内容を学びます。研修講座の受講料は研修機関ごとに違うので、各研修機関の案内で確かめてください。
試験の形式
試験は、一般的な研修講座では研修の最終日に同じ会場で行われます。機構のよくある質問によると、問題は3つの選択肢から正解を1つ選ぶ3択式で、30問のうち24問以上正解すれば合格です。問題集は用意されておらず、過去の問題も公開されていません。不合格だった場合も、研修講座を修了した人は無料で再受験できますが、試験はいつでもどこでも行われているわけではないので、受講した研修機関か機構に相談します。
自治体の助成と特例
防災士の資格取得の費用、教本代、受験料、認証手続料について、一定の条件のもとで住民に費用の一部や全額を助成している自治体があります。住んでいる自治体に制度がないか、機構の一覧や自治体の案内で確かめてみてください。
また、警察官、消防吏員、消防団員(分団長以上の職歴を持つ人)、自衛官(いずれも退職者を含む)や、赤十字救急法救急員の資格を持つ人には、取得の特例制度があります。こうした職歴のある人が、退職後の仕事として防災の分野を考える場合は、特例を使って資格を取る方法も選べます。
防災士の知識を活かせる仕事
防災講師や研修の講師
防災士の知識を最も直接に活かせるのが、講師の仕事です。自治体や町内会、学校、企業、福祉施設などで開かれる防災講座や研修、訓練の進行役を務めます。日本防災士機構も、防災士に期待される役割として、防災講演や災害図上訓練、避難所訓練のリーダー役を挙げています。
講師の仕事は、資格を持っているだけで依頼が来るものではありません。話す内容の専門性、受講者に合わせた伝え方、ワークショップの進め方など、講師としての技術が求められます。最初は、自分の地域の自主防災組織や町内会の勉強会、職場の防災訓練などで、無償や少額の機会から経験を積む人が多くいます。
企業の防災担当や事業継続の担当
企業では、災害が起きたときに従業員の安全を守り、事業を続けるための備えが求められます。防災士の研修でも、企業や団体の事業継続が講目の1つに入っています。総務や人事、施設管理の担当者が防災士の資格を取り、防災マニュアルの見直し、備蓄品の管理、避難訓練の企画、安否確認の手順づくりなどを担う例は多くあります。
この場合、防災士の資格は、社内で防災の担当を任されるときの裏付けとして役立ちます。転職の場面でも、総務や施設管理の経験と合わせて、防災の知識を持っていることを示す材料になります。
福祉施設や学校での防災
高齢者施設や障害者施設、保育所、学校など、避難に支援が必要な人が利用する施設では、災害への備えが特に重要です。水防法は、市町村の地域防災計画に名前と所在地が定められた要配慮者利用施設の所有者や管理者に、洪水などのときの利用者の避難を確保するための計画の作成と訓練を求めています。
当該要配慮者利用施設の利用者の洪水時等の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画を作成しなければならない。 出典: e-Gov法令検索「水防法」第15条の3
こうした施設で働く職員が防災士の資格を取り、避難の計画づくりや訓練の企画に関わる例があります。介護や保育の仕事をしている人にとって、防災士の知識は、職場で頼られる役割を広げるきっかけになります。福祉の職場で研修や資格取得を進めるときの助成の考え方は、福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法でも紹介しています。
自治体や地域の防災活動
災害対策基本法は、市町村内の一定の地区の住民や事業者が共同して行う防災訓練、物資の備蓄、災害時の相互の支援などに関する計画を「地区防災計画」と呼び、市町村の地域防災計画に定めることができるとしています。地域の自主防災組織や町内会で、こうした計画づくりや訓練の中心を担うのが、防災士に期待されている役割の1つです。
自治体によっては、防災の啓発や地域の防災活動の支援を担う人を、非常勤の職員や委託の形で募集することがあります。募集の有無や条件は自治体ごとに大きく違うので、住んでいる自治体の募集の案内を確かめてください。地域の活動は、多くがボランティアとして行われるものなので、仕事として収入を得る場面とは分けて考える必要があります。
執筆や教材づくり
防災の知識は、文章や教材の形でも活かせます。防災に関する記事やコラムの執筆、企業や学校向けの防災マニュアルや教材の作成、防災グッズの紹介記事などが例です。こうした仕事では、正確な情報を分かりやすく書く力が求められます。災害の情報は、気象庁や内閣府、自治体などの公式の情報にもとづいて書く必要があり、誤った情報は読み手の命に関わることもあります。記事の執筆を仕事にする場合の単価の上げ方は、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】でまとめています。
取得までの期間の目安
一般的な流れでは、研修講座の最終日に試験を受け、合格後に救急救命講習の修了証をそろえて登録を申請します。機構の案内では、毎月末までに届いた登録の申請は、翌月末までに登録され、防災士認証状と防災士証が発送されます。救急救命講習は消防署などで日程が決まっているので、研修講座の前後に受けられる日を早めに確かめておくと、登録までの期間を短くできます。講習の修了証には有効期限があるため、古い修了証を使う場合は期限を確かめてください。
研修で学ぶことと、仕事での使いどころ
章ごとに使い道が違う
防災士の研修で学ぶ内容は幅が広く、すべてを同じ深さで仕事に使うわけではありません。自分の仕事に関係の深い章を見極め、そこを重点的に学び直すと、資格を仕事の力に変えやすくなります。研修の6つの章と、仕事での主な使いどころを並べると次のようになります。
- 災害発生のしくみ:講座で災害の基礎を説明するとき、住まいや施設の立地のリスクを考えるとき
- 災害に関する情報:ハザードマップの読み方を教えるとき、警報や避難情報の意味を伝えるとき
- 公的機関や企業等の災害対策:企業の事業継続の計画づくり、行政との連携を考えるとき
- 自助:家庭向けの備えの講座、住まいの耐震や家具の固定の助言
- 共助:自主防災組織の運営、避難所の運営訓練、地区防災計画づくり
- 防災士制度:防災士としての活動の仕方、各種訓練の進め方
たとえば企業の防災担当なら、公的機関や企業の災害対策と共助の章が中心になります。家庭向けの講座をしたいなら、自助と災害に関する情報の章が中心です。自分の目指す仕事に合わせて、防災士教本の該当する講目を繰り返し読み、最新の公式情報で補っておくことが、講座の質を上げる近道になります。
公式の情報源を使い分ける
防災の仕事では、どの情報をどこから取るかが、仕事の信頼を左右します。気象の警報や注意報は気象庁、国の防災の制度は内閣府、地域の避難所やハザードマップは自治体、というように、情報ごとに原本となる公式の発信元があります。講座の資料や記事を作るときは、必ずその発信元で最新の内容を確かめ、資料に出典と確かめた日を書いておきます。
家庭向けの備えを伝える仕事
何を伝えると喜ばれるか
家庭向けの防災講座で求められるのは、聞いた人が帰ってすぐに行動できる内容です。災害の仕組みの話だけでは、受講者の行動は変わりません。日本防災士機構も、防災士に期待される平常時の活動として、自宅の耐震補強、家具の固定、備蓄などを進め、それを周囲に広めることを挙げています。講座では、こうした具体的な備えを、手順として示すことが大切です。
伝える内容の例としては、次のようなものがあります。
- 自宅と職場、学校の周りのハザードマップを確かめる
- 避難する場所と、そこまでの道を家族で決める
- 家族が離れているときの連絡の方法を決める
- 寝室や居間の家具が倒れてこないように固定する
- 水や食料、常備薬、懐中電灯などを備える
- 定期的に備えを見直す日を決める
相手に合わせて伝え方を変える
同じ内容でも、子育て中の家庭、高齢の人、一人暮らしの人、ペットを飼っている人では、気をつける点が違います。たとえば高齢の人には、早めに避難を始める判断の目安や、持病の薬の備えが重要になります。子育て中の家庭には、子どもの年齢に合わせた備えや、子どもと一緒に避難の練習をする方法が役立ちます。受講者の状況を事前に聞いておき、内容を合わせると、講座の満足度が上がります。
災害時の活動で気をつけること
まず自分の安全を守る
防災士の基本理念の1つ目は、自分の命は自分で守る「自助」です。日本防災士機構は、災害時に命を失ったり、大けがをしたりすれば、家族や隣人を助けることも、防災士としての活動をすることもできないと説明しています。災害時に地域で活動するときも、自分と家族の安全を確保することが前提です。危険な場所に無理に入らない、二次災害の危険がある場所では専門の機関に任せる、という判断が欠かせません。
被災地の支援に参加するとき
被災地の支援に参加する場合は、現地の受け入れの態勢を確かめてから動きます。多くの災害では、地元の社会福祉協議会などが災害ボランティアセンターを設けて、ボランティアの受け付けや活動の調整を行います。個人の判断で現地に入ると、かえって現地の負担になることがあるので、募集の案内を確かめ、食事や宿泊、移動の手段は自分で用意するのが基本です。活動中のけがに備えた保険への加入も、出発前に確かめておきます。
仕事と活動を分けて考える
防災士としての地域の活動や被災地の支援は、多くが自発的なボランティアとして行われるものです。講師や企業の防災担当のように報酬を受け取る仕事とは、性格が違います。両方に関わる場合は、どこまでが仕事で、どこからがボランティアなのかを自分の中で分けておくと、依頼者や地域の人との間で誤解が生まれにくくなります。
退職後や転職で防災の分野を考える人へ
職歴を活かせる特例がある
警察官、消防吏員、消防団員、自衛官として働いてきた人は、退職後も含めて防災士の資格取得の特例を使えます。日本防災士機構は、こうした職域の人を特例の対象にした理由として、防災に関わる高いレベルの経験を持つ人を防災士として認証することで、資格の社会的評価と制度の周知につながると説明しています。長く現場で災害に向き合ってきた経験は、講師や企業の防災担当の仕事で大きな説得力を持ちます。
再就職の決まりは別に確かめる
公務員を退職した人が民間の会社に再就職する場合は、職種や役職によって、再就職に関する決まりが設けられていることがあります。防災の分野での再就職を考えるときも、自分に当てはまる決まりがあるかを、元の勤め先の人事の窓口や所管の省庁の案内で確かめてから進めてください。
経験を言葉にして示す
現場の経験が豊富な人ほど、その経験を、民間の企業や地域の人に分かる言葉で説明する準備が大切です。どんな災害の対応に関わり、何を判断し、どんな訓練を企画してきたかを、職務経歴書や講師のプロフィールに具体的に書き出します。専門の用語は、聞き手に合わせて言い換えます。
仕事に活かすための準備
本業との組み合わせを考える
防災士の資格を仕事に活かすうえで最も大切なのは、本業や得意分野と組み合わせることです。建築や不動産の仕事なら住まいの耐震や水害への備え、介護や保育の仕事なら要配慮者の避難、ITの仕事なら災害時の情報システムやデータの守り方、教育の仕事なら子どもへの防災教育、というように、防災の知識を自分の専門の上に重ねると、ほかの人にはない強みになります。
ITの仕事をしている人であれば、災害時に業務を止めないためのシステムの備え、データのバックアップ、遠隔で仕事を続ける環境づくりなどは、企業の事業継続の中心的なテーマです。防災士の研修で学ぶ事業継続の考え方と、ITの技術を組み合わせれば、企業の防災担当と話が通じる技術者として評価されます。
実践の経験を積む
講師や地域の活動で頼られるには、資格の知識に加えて、実際の訓練や活動の経験が欠かせません。地域の防災訓練に参加する、自主防災組織の活動に加わる、防災士の団体の勉強会に参加する、といった形で経験を積みます。日本防災士機構は、全国の防災士による活動の事例を紹介しており、各地に防災士の団体もあります。
学び続ける
災害の情報や防災の制度は、大きな災害が起きるたびに見直されます。資格を取ったあとも、防災に関する新しい情報を追い、研修やセミナーに参加して知識を更新することが大切です。講師として話す場合は、古い情報を伝えないよう、毎回、公式の最新情報を確かめてから資料を作ります。
企業の防災担当として社内で進めること
現状の点検から始める
社内で防災の担当を任されたら、まず今の備えを点検します。防災マニュアルはあるか、最後に見直したのはいつか、避難の経路と集合場所は従業員に知られているか、備蓄品は人数に合っているか、賞味期限は切れていないか、災害時に従業員の安否を確かめる手順は決まっているか。こうした項目を一覧にして、できていることとできていないことを分けます。
優先順位を付けて進める
点検で見つかった課題を一度に片付けようとすると、担当者の負担が大きくなり、続きません。従業員の命に関わること、つまり避難の経路の確保、家具や棚の固定、安否確認の手順を先に進め、事業の継続に関わる備えはその次に進めます。年に1回は避難訓練を行い、訓練で分かった問題をマニュアルに反映する、という流れを定着させると、備えが形だけにならずに済みます。
経営層を巻き込む
防災の備えには、備蓄品の購入や設備の改修など、費用がかかるものもあります。担当者だけで判断できない部分は、経営層に、何を、なぜ、いくらで備えるのかを説明して判断を仰ぎます。説明の資料には、自社の所在地のハザードマップや、過去の災害で同じ地域が受けた影響など、確かめられる根拠を添えると、判断を得やすくなります。
IT技術者が防災の知識を活かす場面
災害時に業務を止めない仕組み
ITの仕事をしている人にとって、防災の知識は、災害時に業務を止めないための仕組みづくりに直結します。データのバックアップを別の地域にも保存しておく、社内のシステムを外から使えるようにしておく、従業員が自宅から仕事を続けられる環境を整える、といった備えは、企業の事業継続の中心的なテーマです。
防災士の研修で学ぶ災害の種類と地域ごとのリスクの知識があれば、どの災害を想定して、どの程度の備えが必要かを、経営層や現場と同じ言葉で話し合えます。技術の話だけでは伝わりにくい備えの必要性を、災害のリスクから説明できるのは大きな強みです。
災害時の情報の扱い
災害時には、従業員の安否、取引先の状況、被害の情報など、多くの情報を短い時間で集めて共有する必要があります。誰が、どの手段で、何を報告するかを平常時に決めておかないと、災害時に情報が混乱します。連絡の手段が1つだけだと、通信の障害で使えなくなることもあるので、複数の手段を用意しておくことも大切です。こうした情報の流れを設計する仕事は、ITの知識と防災の知識の両方が活きる場面です。
向いている人と、始める前に考えたいこと
向いている人
防災士の知識を仕事に活かすのに向いているのは、人の前で話すことや、人をまとめることが苦にならない人です。講師も、企業の防災担当も、地域の活動も、多くの人に声をかけて動いてもらうことが仕事の中心になります。日本防災士機構も、誰かが積極的に声をかけなければ人は動かない、防災士はまず自分が動き、周囲を動かすよう努める、と説明しています。
また、地道な準備を続けられる人にも向いています。備蓄品の点検やマニュアルの見直しは、目立たない作業の繰り返しです。災害が起きないうちは成果が見えにくいからこそ、続けられる人が重宝されます。
収入の見通しは慎重に
防災士の資格だけで、安定した収入を得られる仕事は多くありません。講師の依頼は時期や地域によって波があり、地域の活動の多くはボランティアです。副業として始める場合は、本業の収入を前提にしたうえで、防災の仕事は経験と実績を積む場として考えるのが現実的です。資格を取れば仕事が保証されるような説明をする講座や勧誘には注意してください。
講師の仕事を始めるとき
話す内容を決める
防災講師として活動を始めるときは、まず自分が話せるテーマを絞ります。家庭の備え、地域の避難、職場の防災、子どもへの防災教育など、対象とテーマを決めると、資料も話の流れも作りやすくなります。自分の本業や経験と結び付いたテーマを選ぶと、話に説得力が生まれます。
資料と進め方を準備する
講座の資料は、受講者が自宅や職場に持ち帰って使えるものにすると喜ばれます。ハザードマップの見方、備蓄品のチェックリスト、家族の連絡方法の決め方など、受講後にすぐ行動に移せる内容を入れます。話すだけでなく、地図を使ったワークや、避難の判断を考える演習を取り入れると、受講者の理解が深まります。
依頼を受けるときの取り決め
講師の依頼を受けるときは、日時、場所、対象者と人数、テーマ、時間、報酬、交通費、資料の印刷の負担などを、事前に書面やメールで確かめます。個人として講師を引き受ける場合は、業務委託の形になることが多く、報酬の支払いの時期や源泉徴収の有無も確かめておきます。依頼者とのやり取りや見積もりの文書を整える力は、ビジネス文書検定で学べる社外向けの文書の書き方の基本が役立ちます。
講座のあとに振り返る
講座が終わったら、受講者のアンケートや依頼者の感想を集め、分かりにくかった点、時間が足りなかった点、反応が良かった内容を記録します。同じテーマの講座を何度か開くうちに、資料と進め方が磨かれ、講師としての実績として示せる材料もたまっていきます。依頼者には、講座の様子や受講者の声を短くまとめて報告すると、次の依頼や、ほかの団体への紹介につながりやすくなります。
安全と責任の範囲を決めておく
避難訓練や応急手当の実習を含む講座では、受講者がけがをしないように、会場の安全を事前に確かめます。実習の内容は、自分が修了した講習の範囲を超えないようにし、心肺蘇生法やAEDの実技の指導は、消防署や日本赤十字社など、その指導の資格を持つ機関の講習を案内するのが確実です。講座の中で、医療や建物の構造など、専門の判断が要る質問を受けたときは、断定せず、専門の窓口を紹介します。
お金と税金のこと
副業の所得が20万円を超えたら確定申告
会社員が副業として防災講師などの報酬を得た場合、税金の申告が必要になることがあります。国税庁は、給与を1か所から受けていて年末調整を受けている人でも、給与と退職金以外の所得の合計が20万円を超える場合は確定申告が必要だと案内しています(国税庁 No.1900)。所得は報酬から交通費や資料の作成費などの経費を引いた額です。経費の扱いは事情によって変わるので、税務署や税理士に確認してください。
住民税の申告
所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別に必要になることがあります。20万円の線は所得税の話で、住民税にはこの線がありません。手続きは住んでいる市区町村で確かめてください。
運営者の目から見た、資格を仕事につなげる人
資格の名前より、活動の実例が評価される
在宅の仕事と業務委託の仲介を20年以上見てきた運営者の立場から言えば、資格を仕事につなげている人は、資格の名前より、何をしてきたかを具体的に示せる人です。地域の訓練を何回企画したか、職場の防災マニュアルをどう見直したか、どんな対象に講座を開いたか。こうした実例が、次の依頼者の安心につながっています。防災士は登録者の多い資格だからこそ、活動の積み重ねで差がつきます。
直接の取引は双方に残る額が大きい
講師や教材づくりの仕事を仲介のサービスを通して受けると、手数料の分だけ依頼者の支払いが増えるか、受け手の手取りが減ります。依頼者と直接やり取りできれば、同じ予算でも依頼者は内容の濃い講座を頼みやすく、受け手は準備にかけた時間に見合う報酬を受け取りやすくなります。手数料0%で直接取引できる場は、小さな地域の講座から実績を積みたい人にとって、使いやすい選択肢になります。
防災の知識を広げる次の一歩
防災士の知識を情報発信やマーケティングの仕事に広げたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、在宅でできるマーケティングや情報の守り方に関わる仕事の内容を確かめられます。災害時の情報システムやデータの守り方は、防災とセキュリティの両方に通じるテーマです。講座の資料や依頼者との文書を整えたい人は、ビジネス文書検定の内容も確かめておくと、講師としての仕事の質を上げる手がかりになります。
よくある質問
Q. 防災士の資格があれば就ける仕事はありますか?
防災士は日本防災士機構が認証する民間資格で、資格がなければできない独占的な仕事はありません。機構も、資格の取得で特定の権利が得られたり、行動が義務づけられたりすることはないと案内しています。防災講師や企業の防災担当など、本業や経験と組み合わせて知識を活かすのが現実的です。
Q. 防災士になるにはどんな手順が必要ですか?
機構が認証した研修機関の養成研修講座を受けて履修証明を取り、資格取得試験に合格し、消防署や日本赤十字社などの救急救命講習の修了証を取得します。この3つを終えると認証登録を申請できます。受験料は3,000円、申請料は5,000円(いずれも税込)で、研修講座の受講料は研修機関ごとに違います。
Q. 防災士の試験は難しいですか?
機構の案内では、試験は3択式で30問出題され、24問以上の正解で合格です。一般的な研修講座では研修の最終日に同じ会場で行われます。問題集や過去の問題は公開されていないため、研修の内容と防災士教本をしっかり学ぶことが大切です。研修講座を修了した人は無料で再受験できます。
Q. 防災士の資格取得に助成はありますか?
資格取得の費用、教本代、受験料、認証手続料について、一定の条件のもとで住民に費用の一部や全額を助成している自治体があります。条件や金額は自治体ごとに違うので、日本防災士機構が公開している一覧や、住んでいる自治体の案内で確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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