育児休暇は法律でどう決まっているか|取れる期間と届け出先 2026


この記事のポイント
- ✓育児休暇は法律でどう決まっているかを
- ✓根拠条文と公式の記載だけで整理しました
- ✓2025年4月と10月に施行された改正点
結論から書きます。「育児休暇」という名前の制度は法律にありません。法律上の名前は育児休業で、根拠は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律です。長いので育児・介護休業法と呼ばれています。そして重要なのは、会社の就業規則にこの制度が書かれていなくても取得できる、という点です。
「育児休暇 法律」と検索する人の多くは、就業規則を読んでもよく分からなかった人、上司から「前例がない」と言われた人、あるいは人事担当としてどこまで応じる義務があるのかを確かめたい人です。この記事では、そのどちらの立場でも同じ答えにたどり着けるように、厚生労働省の公式ページと条文そのものだけを根拠に、期間・回数・届け出先・お金・断られたときの手順を順に並べます。
2025年(令和7年)4月1日と10月1日に、この法律は段階的に改正されました。2024年以前に書かれた解説はすでに内容がずれています。対象となる子の年齢、残業を免除できる範囲、会社に義務づけられた手続きが、いずれも広がっているためです。古い情報のまま準備すると、使えるはずの制度を使い損ねます。
「育児休暇」と「育児休業」は同じものを指していない
まず言葉の整理をします。育児休業は法律で決まっている権利です。対して「育児休暇」は日常語で、会社が独自に設けた育児目的の休暇(育児目的休暇)を指すこともあり、育児休業のことを指すこともあります。検索する側はこの区別を意識していませんが、会社に申し出るときには区別が効いてきます。法律上の権利として請求するなら「育児休業を取得したい」と言うのが正確です。
なぜそこが効くのか。育児休業は、申し出れば会社側が拒めない性質の権利だからです。厚生労働省の育児休業制度特設サイトは、この点をはっきり書いています。
育児休業とは、原則1歳未満のこどもを養育するために一定期間会社を休める制度です。育児休業の申出は、それにより一定期間労働者の労務提供義務を消滅させる意思表示です。仮に、お勤め先の就業規則に育児休業に関する規定がなくても、法律に基づき育児休業を取得することができ、会社側は休業の申出を拒めません。 出典: mhlw.go.jp
「意思表示」という言い方が肝心なところです。会社の許可をもらう申請ではなく、届け出た側の意思で労働の義務が消える仕組みだ、という整理になっています。だから就業規則に条文が無くても成り立ちます。逆に、会社が独自に作った育児目的休暇は、会社が決めた条件の範囲でしか使えません。就業規則を読んで「うちには育休の規定がない」と諦めるのは、この2つを混同している状態です。
一方で、育児休業は誰でも無条件に取れるわけではありません。法律は、労使協定(会社と従業員の代表が結ぶ取り決め)があるときに限って、一部の人を対象外にできると定めています。対象外にできるのは、継続して雇われた期間が1年未満の人、申出の日から1年以内(1歳以降の休業なら6か月以内)に雇用関係が終わることが明らかな人、1週間の所定労働日数が2日以下の人です。この3つに当てはまらなければ、雇用形態がパートでもアルバイトでも対象になります。
期間を定めて雇われている人には、もう1つ条件があります。子が1歳6か月に達する日までに労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと、という要件です。二重否定で読みにくい言い方ですが、要するに「契約がそこで確実に終わる」と決まっていなければ対象に入る、という意味になります。更新回数の上限が明示されていてその上限に達する場合などは対象から外れますが、その場合でも、雇用継続の見込みについて会社が何を言ってきたか、同じ立場の人がどう扱われているか、過去に実際どう更新されてきたかといった実態を見て判断されることがあります。書面の文言だけで自動的に決まるわけではありません。
数字で見ると、この5年で最も変わったのは男性の取得率
制度の話に入る前に、周囲の状況を数字で確かめておきます。厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査(2026年7月公表)による育児休業取得率は、女性が88.3%、男性が50.9%です。前年度の調査では女性86.6%、男性40.5%でした。女性はすでに高止まりで動きが小さく、1年で10.4ポイント動いたのは男性のほうです。
正直なところ、この伸び方は制度設計の勝利という側面が大きいと見ています。2022年10月に産後パパ育休(出生時育児休業)が始まり、育児休業そのものも男女それぞれ2回に分割できるようになりました。さらに2025年4月からは、育児休業の取得状況を公表する義務が、常時雇用する労働者1,000人超の企業だけでなく300人超の企業にも広がっています。公表義務がかかると数字が社外から見えるようになるため、社内の運用が動きます。制度の中身より、公表というてこのほうが効いた形です。
ただし取得率という指標には注意が必要です。取得率は「取得した人の割合」であって「どれだけ長く取ったか」は表しません。男性の取得率が半分を超えても、数日から2週間程度で復帰する例は依然として多く見られます。次世代育成支援対策推進法の改正で、くるみん認定の基準に男性の育児休業取得期間を伸ばすための項目が追加されたのも、この「率は上がったが期間が短い」という課題への対応です。
読み手として押さえておきたいのは、社内の前例が少ないことは法的な障害にならないという点です。取得率が上がっている局面では、会社側も「断った実績」を作りたくありません。制度が広く知られるほど、申し出そのものは通しやすくなります。
取れる期間と回数。延長できるのはどんなときか
ここが検索意図の中心です。原則から並べます。
育児休業は、原則として子が1歳に達するまでの連続した期間、取得できます。回数は子1人につき原則2回までで、男女ともそれぞれ2回に分割できます。分割できるようになったのは2022年10月1日からで、それ以前の「原則1回」を前提にした解説はすでに古いものです。分割できると、たとえば出産直後に1回、配偶者の復職に合わせてもう1回という組み方が可能になります。
延長できる場面は限定されています。保育所への入所を希望しているが入所できない等の特別な事情がある場合に、子が最大2歳に達するまで取得できます。同じ事情があるときは、2回を使い切ったあとでも再度の取得ができます。よく誤解されますが、「まだ働きたくない」という理由では延長できません。入所できなかったことを示す書類が必要になるため、自治体の保育所入所の結果通知は保管しておくことになります。
さらに、配偶者も育児休業を取る場合には、対象となる子の年齢が1歳2か月まで延びる特例があります。パパ・ママ育休プラスという名前の仕組みです。ただし延びるのは「いつまで取れるか」の期限だけで、1人が取得できる長さは1年間(女性は出生日以後の産前・産後休業期間と合わせて1年間)に収まります。適用には3つの条件があり、配偶者が子の1歳に達する日以前に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていること、本人の育児休業開始予定日が子の1歳の誕生日以前であること、本人の育児休業開始予定日が配偶者の育児休業の初日以降であることのすべてを満たす必要があります。3つ目の条件があるため、配偶者より先に始めると特例に乗れません。順番が効く制度です。
対象となる子について、法律上の親子関係があれば実子でも養子でも同じ扱いです。男性が事実婚の相手の子について育児休業を取る場合は、申出の時点で認知を済ませていることが条件になります。
産後パパ育休は、1歳までの育児休業とは別枠
2022年10月に始まった産後パパ育休(出生時育児休業)は、名前から誤解されやすい制度です。1歳までの育児休業の一部を切り出したものではなく、別枠で上乗せして取れます。
内容は、産後8週間以内に4週間(28日)を限度として、2回に分けて取得できる休業です。1歳までの育児休業とは別に取得できるため、産後パパ育休で28日、そのあと育児休業を2回、という組み合わせが成り立ちます。申出の期限は休業開始予定日の2週間前までで、これは1歳までの育児休業の1か月前より短く設定されています。ただし労使協定があるときは、会社が最大1か月前までに延ばせます。2回に分割するときは、1回目の申出のときにまとめて申し出る必要があります。あとから「もう1回」と追加する形は原則として取れません。
もう1つ、産後パパ育休には他の休業に無い特徴があります。労使協定で「休業中に就業させることができる」と定められた労働者に限り、申し出ることで一定の条件のもとで働けます。厚生労働省の解説は次のように書いています。
産後パパ育休とは産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度です。なお、労使協定で、産後パパ育休期間中に就業させることができると定められた労働者は、申し出ることにより一定の条件のもと就業することができます。 出典: mhlw.go.jp
この就業は会社から一方的に命じられるものではありません。労働者が「就業可能日」と「その日の就業可能な時間帯」を書面等で申し出て、その範囲内で会社が希望日を提示し、休業開始予定日の前日までに労働者の同意を得る、という順序になっています。つまり同意がなければ働かせられません。労使協定が無い会社では、そもそも産後パパ育休中の就業という選択肢自体が存在しません。
期間を定めて雇われている人の要件は、1歳までの育児休業とは基準日が違います。子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間を経過する日の翌日から、6か月を経過する日までに契約が満了し更新されないことが明らかでないこと、という形です。基準日が違うため、1歳までの育児休業は対象外でも産後パパ育休は対象になる、という組み合わせが起こり得ます。両方をそれぞれ確かめる必要があります。
届け出先は3か所ある。会社だけで終わらない
「届け出先」で調べる人がつまずくのは、窓口が1つではないところです。実際には役割の違う3か所が関係します。
1つ目は勤務先です。育児休業の申出そのものは会社に対して行います。期限は休業開始予定日の1か月前まで(1歳以降の育児休業については2週間前まで)で、書面等によることになっています。出産予定日より早く子が生まれた場合などは、休業開始予定日の1週間前までに申し出れば、開始日を繰り上げられます。終了予定日を後ろにずらしたいときは、終了予定日の1か月前まで(1歳以降の育児休業は2週間前まで)に申し出ます。社内の様式があればそれを使い、無ければ厚生労働省が公開している様式例を利用できます。なお、就業規則で申出期限を法律より短く設定するなど、労働者に有利な条件を定めることは差し支えないとされています。自社の規程が1か月前より短いなら、そちらが優先します。
会社側にも義務があります。申出を受けたら、育児休業の開始予定日と終了予定日等を速やかに書面等で労働者へ通知しなければなりません。法定の様式はありませんが、通知が無いまま話が進んでいる状態は本来の運用ではありません。
2つ目はハローワークです。育児休業給付金の手続きは雇用保険の枠組みで行われるため、窓口はハローワークになります。ただし実務上は勤務先が事業主として手続きを進める形が一般的で、労働者が直接出向く場面は限られます。振込先の口座情報や、母子健康手帳の写しなど出生を確認できる書類の提出を求められます。
3つ目は健康保険と厚生年金保険の保険料免除にかかる手続きで、こちらは勤務先が日本年金機構(年金事務所)または加入している健康保険組合へ届け出ます。労働者側の動きは会社への申出だけですが、この届出が漏れると保険料が引かれ続けます。給与明細で保険料が控除されていないかを、休業に入った翌月に一度確かめておくと安全です。
人事担当として整理するなら、社内の申出受付、雇用保険の給付手続き、社会保険料免除の届出という3本を別の帳票として管理することになります。どれか1つだけ済ませて完了と考えると抜けが出ます。
休業中に受け取れるお金と、給付率80%の正体
育児休業中、勤務先から給与が支払われない期間について、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす人には育児休業給付金が支給されます。額は休業開始時賃金日額の67%相当額で、支給日数が181日目以降は50%相当額になります。産後パパ育休については出生時育児休業給付金という名前で、同じく67%相当額です。
ここに2025年4月から上乗せが入りました。出生後休業支援給付金です。厚生労働省の記載を引きます。
なお、子の出生直後の一定期間内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得した場合は、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%相当額の出生後休業支援給付金が支給され、育児休業給付金と合わせて給付率が80%(手取りで10割相当)となります。 出典: mhlw.go.jp
「給付率80%なのに手取り10割」という言い方が引っかかる人が多いところなので、内訳を書きます。理由は3つあります。育児休業中は申し出により健康保険と厚生年金保険の保険料が免除されること、勤務先から給与が支払われない場合は雇用保険料の負担が生じないこと、そして育児休業等給付は非課税であることです。働いているときは額面から社会保険料と所得税が引かれて手取りになりますが、休業中の給付はその控除を受けません。だから額面の80%が手取りベースでは10割相当に届く、という計算になります。
ただし条件は厳しめです。夫婦の両方が14日以上の育児休業を取ることが必要で、上乗せの対象は最大28日間に限られます。片方だけが長く休むパターンでは上乗せがつきません。また、休業開始時賃金日額には上限額が設けられているため、給与が高い人ほど80%という割合が実感と合わなくなります。自分の場合の具体額は、賃金日額の上限を含めてハローワークで確認するのが確実です。
復帰後に時短勤務を選ぶ人向けには、育児時短就業給付金があります。2歳未満の子を養育する雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合、短時間勤務中の賃金の10%相当額が支給されます。給付額と賃金の合計が短時間勤務を始める前の賃金を超えないように給付率が調整される仕組みで、時短にしたほうが手取りが増えるという逆転は起きないよう作られています。
2025年4月に変わった4点
改正の中身は、公表順ではなく「自分が使えるものが増えたか」で読むと分かりやすいです。2025年4月1日施行分は4点です。
1点目は子の看護休暇の見直しです。名称が子の看護等休暇に変わり、対象となる子の範囲が小学校就学前から小学3年生修了までに広がりました。取得できる事由も増え、従来の病気やけが、予防接種や健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合と、子の入園式・卒園式・入学式に参列する場合が追加されました。学級閉鎖については、子自身が感染していなくても取得できると明記されています。あわせて、勤続6か月未満の人を労使協定で除外する仕組みが廃止されました。日数は対象となる子が1人なら1年間に5日まで、2人以上なら10日までで、1時間単位でも1労働日単位でも取得できます。1年間の区切りは、会社が特に定めなければ4月1日から翌年3月31日までです。
2点目は所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大です。それまで3歳に満たない子を養育する人だけが請求できた残業免除を、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する人が請求できるようになりました。1回の請求で1か月以上1年以内の期間を指定し、請求できる回数に制限はありません。制度利用開始予定日の1か月前までに請求します。なお、事業の正常な運営を妨げる場合には会社が請求を拒める余地が残っています。
3点目は育児のためのテレワーク等です。3歳未満の子を養育する人について短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置にテレワーク等が追加され、あわせて、3歳未満の子を養育する人がテレワーク等を選択できるように措置を講ずることが会社の努力義務になりました。努力義務であって義務ではないため、請求すれば必ず通るという性質のものではありません。ここは正確に読む必要があります。
4点目が前述の公表義務の拡大です。常時雇用する労働者が300人超の企業にも、育児休業等の取得状況の公表が義務づけられました。公表する内容は、公表日が属する事業年度の直前の事業年度における男性の「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかです。転職先を選ぶ材料としても使える数字なので、応募前に企業の公表値を見る習慣は持っておいて損がありません。
2025年10月に変わった2点。ここが最も実務に効く
2025年10月1日施行分は2点ですが、影響はこちらのほうが大きいと見ています。
1点目は柔軟な働き方を実現するための措置の創設です。3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、会社は職場のニーズを把握したうえで、5つの選択肢のうち2つ以上を選んで措置を講じなければならなくなりました。労働者はそのうち1つを選んで利用できます。5つの選択肢は、始業時刻等の変更、テレワーク等(1か月につき10日以上)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与(1年につき10日以上)、短時間勤務制度です。テレワーク等と養育両立支援休暇は原則として時間単位で取得できます。会社が措置を選ぶときには、過半数組合等から意見を聴く機会を設ける必要があります。
この改正の意味は、3歳から就学前という空白地帯が埋まったところにあります。それまでは3歳未満に短時間勤務制度の義務があり、3歳以降は努力義務に落ちていました。保育園の時期をどう乗り切るかは各家庭の工夫に任されていたわけです。2つ以上を選んで講じる義務が入ったことで、就学前まで何らかの選択肢が社内に存在する状態になりました。
2点目は、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が会社の義務になったことです。本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき、および子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)に、会社は労働者の意向を個別に聴かなければなりません。聴く内容は、勤務時間帯(始業および終業の時刻)、勤務地(就業の場所)、両立支援制度等の利用期間、仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量や労働条件の見直し等)の4つです。方法は面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかで、面談はオンラインでも構いません。FAXと電子メール等は労働者が希望した場合のみ使えます。
聴いたあとの配慮も義務です。勤務時間帯や勤務地にかかる配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、労働条件の見直しについて、自社の状況に応じて何らかの措置を行うか否かを決めることになります。意向に沿った対応が難しい場合には、困難な理由を労働者に説明するなどの丁寧な対応が重要とされています。「聴くだけ聴いて何もしない」は想定されていない設計です。読み手の立場から言えば、希望は口頭ではなく書面で出しておくほうが後々の確認材料になります。
復帰後に使える制度を、子の年齢で並べて確認する
育児休業そのものより長く付き合うのは、復帰後の制度です。子の年齢で整理します。
3歳に満たない子を養育する人には、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む短時間勤務制度が用意されます。対象になるのは、日々雇用ではないこと、1日の所定労働時間が6時間以下でないこと、その期間に現に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていないことを満たす人です。労使協定があるときは、継続雇用1年未満の人、1週間の所定労働日数が2日以下の人、業務の性質等に照らして短時間勤務を講ずることが困難と認められる業務に従事する人を対象外にできます。困難な業務に従事する人には代替措置が必要で、育児休業に関する制度に準ずる措置、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げや繰下げ(時差出勤)、保育施設の設置・運営等、テレワーク等のいずれか1つ以上を設けることになっています。
小学校就学の始期に達するまでの子については、前述の残業免除を請求できます。そのうえで、時間外労働の制限(1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働の禁止)と、深夜業(午後10時から午前5時)の制限も請求できます。残業免除は所定の労働時間を超える残業そのものを無くす請求、時間外労働の制限は法定労働時間を超える残業に上限をかける請求で、別の制度です。混同されやすいので、請求書を出すときは制度名を正確に書いたほうが早く通ります。
小学3年生修了までの子については、子の看護等休暇が使えます。そして3歳から就学前までは、2025年10月に始まった柔軟な働き方を実現するための措置から1つを選べます。
こうして並べると、法律が想定しているのは「1年休んで終わり」ではなく「就学までの数年をどう配分するか」だと分かります。育児休業をどこまで長く取るかだけに意識が向いていると、復帰後に使えた制度を知らないまま働き方を固定してしまいます。3歳の誕生日の1か月前までの1年間に会社からの意向聴取があるはずなので、その機会を使って、勤務時間帯と勤務地の希望をまとめて出しておくのが合理的です。
断られたとき、不利益な扱いを受けたときの手順
制度が整っても、現場で通らないことはあります。そのときに何を根拠に何をするか、順序で書きます。
まず、法律は不利益な取扱いを明確に禁じています。条文はこうなっています。
事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
条文中の「第九条の五第二項の規定による申出」等は、産後パパ育休中の就業に関する申出と同意を指しています。つまり、休業を申し出たことを理由にした不利益な扱いだけでなく、産後パパ育休中の就業に同意しなかったことを理由にした不利益な扱いも禁じられています。就業の打診を断った結果として評価を下げられる扱いは、条文の射程に入ります。
次に、育児休業等の利用に関する言動で就業環境が害されないようにする措置も、会社の義務です。相談に応じて適切に対応するための体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定められており、相談したことや調査で事実を述べたことを理由に解雇その他不利益な取扱いをすることも禁じられています。「相談した時点で不利になる」という懸念そのものに、法律が先に手当てをしている形です。
社内で解決しない場合の外部の窓口は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。育児・介護休業法に関する問い合わせ先として厚生労働省が案内している窓口で、相談だけでも受け付けています。行政の側には是正を促す仕組みがあり、厚生労働大臣が勧告をしてそれに従わなかったときは、その旨を公表できるとされています。公表という手段が用意されているのは、企業名が出ることの影響が実務上大きいためです。
報告に関する罰則もあります。条文は「第五十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する」と定めています。会社が行政から報告を求められたときに応じない、あるいは虚偽の報告をした場合の話で、制度を整えていないこと自体への罰金ではありません。この区別はよく混ざるので、人事担当として社内に説明する際は正確に伝えたほうがよいところです。
実務的な備えとしては、申出と会社の回答を書面か電子メールで残しておくことです。育児休業の申出は書面等で行うと定められており、会社側も開始予定日と終了予定日等を書面等で通知する義務があります。この2通が揃っていれば、あとから経緯を説明する手間が大きく減ります。口頭だけで進めた案件がもつれやすいのは、争点が「言った言わない」に移ってしまうからです。
業務委託で働く人に育児休業は無い。その前提で仕事の構成を考える
ここまでは雇われて働く人の話です。育児・介護休業法は労働者を対象にした法律で、業務委託で働くフリーランスは対象になりません。育児休業給付金も雇用保険の給付なので、雇用保険に入っていない働き方では受け取れません。会社員のうちに育児休業を取り、そのあと独立するという順序を考えている人は、この段差を先に知っておく必要があります。
そのうえで、在宅で業務委託の仕事を組む場合に何が効くかを整理します。20年この市場を見てきた立場から言えば、育児の時期に仕事を続けられた人の共通点は、単価の高い案件を取れたことではなく、時間の読める仕事を一定量持っていたことです。締切が動かない短納期の案件だけで構成すると、子の発熱1回で全部が崩れます。逆に、月ごとに分量が決まっていて着手時刻を自分で決められる仕事を土台にして、その上に単発の案件を重ねる形は、崩れても土台が残ります。
もう1つ、運営者として見てきた限りでは、仲介手数料の有無は「いくら稼げるか」よりも「同じ手取りを得るのに何時間必要か」に効きます。中間マージンが乗らない直接取引は、依頼する側が同じ予算でより多く頼めて、受ける側の手取りが厚くなります。手数料0%の意味は金額の大小ではなく、限られた作業時間の密度が上がることです。育児と並行する時期は作業時間そのものを伸ばせないので、この差がそのまま生活の余裕になります。
職種の目安をつけるには、相場を先に確かめるのが早いです。開発系ならソフトウェア作成者の年収・単価相場に単価のレンジが整理されています。文章仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参考になります。どちらも在宅で成り立つ職種ですが、案件の粒度が違います。開発は工程が長く進行の読みが立てやすく、文章仕事は1本ごとの分量が小さいので隙間時間に収めやすい、という違いです。
仕事の内容から入りたい場合は、アプリケーション開発のお仕事に、どんな依頼が来てどう進むかがまとまっています。需要が伸びている領域を知りたいならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も見ておくと、案件の傾向がつかめます。資格から入るなら、書類のやり取りが多い在宅業務にはビジネス文書検定が地味に効きます。見積書や納品書の書式でつまずく相談は、実際によく見かけます。
契約面の備えも必要です。業務委託には労働基準法の保護が及ばないため、発注書の内容が唯一の拠り所になります。何を作るのか、いつまでか、いくらか、修正は何回までかが書かれていない発注は、後で必ずもつれます。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストに、確認すべき項目が一覧で整理されています。
最後に、両方の道を同時に持てることを付け足しておきます。雇われて働きながら育児休業を取り、その期間中に副業として業務委託を始めることは、就業規則と労使協定の範囲内なら不可能ではありません。ただし育児休業給付金には就業日数の上限があり、働き方によっては給付が減額または不支給になります。始める前にハローワークで支給要件を確かめるのが順序です。制度を使い切りながら次の準備をするなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような相場データで、復帰後にどの水準を目指すかを先に決めておくと判断が早くなります。
よくある質問
Q. 就業規則に育児休業の規定がない会社でも取得できますか?
取得できます。厚生労働省は、就業規則に育児休業に関する規定がなくても法律に基づいて取得でき、会社側は申出を拒めないと明記しています。育児休業の申出は許可を求める申請ではなく、一定期間の労務提供義務を消滅させる意思表示という位置づけです。申出は書面等で行い、控えを残しておくと後の確認が楽になります。
Q. 育児休業はいつまでに申し出ればよいですか?
休業開始予定日の1か月前までです。1歳以降の育児休業は2週間前まで、産後パパ育休は2週間前まで(労使協定があるときは最大1か月前まで)となっています。出産予定日より早く子が生まれた場合は、開始予定日の1週間前までに申し出れば開始日を繰り上げられます。就業規則が法律より短い期限を定めているときは、そちらが優先します。
Q. 育児休業中の手取りはどのくらいになりますか?
育児休業給付金は休業開始時賃金日額の67%相当額で、支給日数181日目以降は50%相当額です。夫婦の両方が14日以上取得した場合は最大28日間、13%相当額の出生後休業支援給付金が上乗せされ給付率80%になります。社会保険料が免除され給付が非課税のため、この期間は手取り10割相当とされています。賃金日額には上限があるため具体額はハローワークで確認してください。
Q. 2025年10月から会社に新しく義務づけられたことは何ですか?
2つあります。3歳から小学校就学前の子を養育する人向けに、始業時刻等の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度の5つから2つ以上を選んで措置する義務です。もう1つは、妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前に、勤務時間帯・勤務地・制度の利用期間・就業条件について個別に意向を聴き、配慮する義務です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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