未経験から地域包括支援センターで働く|受け入れている募集と、慣れるまで

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
未経験から地域包括支援センターで働く|受け入れている募集と、慣れるまで

この記事のポイント

  • ✓地域包括支援センターの社会福祉士に未経験から入るには何が必要か
  • ✓未経験可の求人が何を指しているのか
  • ✓入職後3か月で任される業務

社会福祉士の資格は取ったものの、地域包括支援センターの求人を見ると「経験者優遇」と書いてある。未経験では無理なのだろうか。そう考えて手が止まっている方は少なくありません。

結論から書きます。地域包括支援センターは、実務未経験の社会福祉士を採用しています。むしろ、資格を持つ人材の確保に苦労している自治体が多く、新卒や他分野からの転職を受け入れる募集は継続的に出ています。ただし、入職後に何を任されるかは、施設や病院とはまったく違います。ここを知らずに入ると、想像とのずれで苦しむことになります。

この記事では、地域包括支援センターという職場がどういう仕組みで動いているのか、社会福祉士が実際に何を担当するのか、未経験で入った場合に最初の数か月で何が起きるのかを順番に整理します。求人の探し方と、求人サイトの件数の読み方も最後に書きます。

施設ではなく、市町村の相談窓口である

最初に押さえておくべき点があります。地域包括支援センターは介護施設ではありません。介護保険法に基づいて市町村が設置する、地域の高齢者に関する総合相談窓口です。

設置主体は市町村ですが、実際の運営は社会福祉法人、医療法人、社会福祉協議会などに委託されているケースが大半です。求人を出しているのは、この受託法人であることがほとんどです。つまり、応募先は法人でありながら、仕事の中身は行政の一部という、やや特殊な立ち位置になります。

担当する区域は決まっています。おおむね高齢者人口3,000人から6,000人ごとに1つのセンターを置く、という考え方が基準になっています。人口規模に応じて、市内に複数のセンターが置かれることになります。

そして、職員の構成が法令で定められています。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員。この3職種を各1名以上配置することが原則です。この「3職種必置」が、地域包括支援センターの求人の性質を決めています。

どういうことか。社会福祉士が1名退職すると、そのセンターは基準を満たせなくなります。だから、欠員が出た瞬間に急いで募集が出ます。そして、資格要件が明確なぶん、採用の競争相手も社会福祉士に限られます。これは応募する側にとって、実は有利な条件です。

センターの規模は小さく、職員数が3名から6名程度という事業所が多数を占めます。大きな法人に所属していても、日々顔を合わせるのはこの人数です。この点は、施設勤務との大きな違いです。

社会福祉士が担当するのは、相談と権利擁護

地域包括支援センターの業務は、大きく4つに分かれます。総合相談支援、権利擁護、包括的かつ継続的なケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメント。このうち、社会福祉士が主に担当するのは前の2つです。

総合相談支援は、地域の高齢者やその家族からのあらゆる相談を受ける窓口です。「母の物忘れがひどくなった」「近所に一人暮らしの方がいて心配だ」「介護保険を使いたいがどうすればいいか」。電話でも、来所でも、訪問でも入ってきます。

ここで求められるのは、相談の内容を分類し、誰につなぐかを判断する力です。介護保険の申請が必要なら市の窓口へ、医療の課題があれば主治医や医療機関へ、生活困窮があれば福祉事務所や自立相談支援機関へ、認知症の診断が必要なら専門医療機関へ。地域のどこに何があるかを知らないと、この判断ができません。

権利擁護は、より重い業務です。高齢者虐待への対応、成年後見制度の利用支援、消費者被害の防止と対応。この3つが柱になります。

高齢者虐待の通報が入った場合、センターは市町村と連携して事実確認を行います。訪問して状況を確認し、必要であれば分離保護の検討に加わります。養護者による虐待の場合、加害者にあたる家族も支援の対象です。ここは精神的な負荷が高い業務であり、未経験で入った方が最初に戸惑うところでもあります。

成年後見制度の利用支援では、判断能力が低下した方について、親族による申立てが期待できない場合に市町村長申立てにつなぐ手続きを支援します。制度の知識と、家庭裁判所や弁護士、司法書士との連携が必要になります。

消費者被害は、訪問販売や電話勧誘による高額な契約が典型です。消費生活センターと連携して、クーリングオフの手続きにつなぎます。

ただし現実には、3職種で業務をきれいに分担しているセンターは多くありません。人数が少ないため、社会福祉士も介護予防ケアプランを作り、保健師も相談を受けます。求人票に「社会福祉士」と書いてあっても、実際の業務範囲は幅広いと考えておいてください。

「未経験可」の求人が、何を未経験と呼んでいるか

ここが本題です。求人票の「未経験可」という言葉には、いくつかの意味が混ざっています。

もっとも多いのは、社会福祉士の資格を持っているが、地域包括支援センターでの勤務が未経験という意味です。前職が特別養護老人ホームの生活相談員、病院の医療ソーシャルワーカー、障害福祉サービスの相談支援専門員といった方が、これにあたります。この場合、相談援助の経験自体はあるので、求められるのは高齢者福祉の制度知識と地域の社会資源の把握です。

次に多いのが、社会福祉士の資格を取得したばかりの新卒または既卒という意味です。実務経験がまったくない状態での採用です。センターによっては、新卒を採用して育てる方針を持っているところがあります。特に複数のセンターを運営している法人は、教育の体制を持っていることが多いです。

3つめは、介護現場の経験はあるが相談援助が未経験というパターンです。介護職員として働きながら社会福祉士を取得し、相談職へ移りたいという方です。この場合、高齢者へのかかわりには慣れている一方で、記録の書き方や関係機関との調整の進め方を一から覚えることになります。

なお、資格要件については補足しておく必要があります。地域包括支援センターの3職種には「これに準ずる者」という規定が設けられています。社会福祉士の場合、福祉事務所の現業員等の経験が5年以上あり、かつ高齢者の保健福祉に関する相談援助業務に3年以上従事した経験がある者、といった条件が示されています。ただし、この準ずる者の規定を使った採用は例外的な扱いであり、求人の大半は社会福祉士の有資格者を対象としています。資格を持っていない状態から狙う道ではないと考えたほうが現実的です。

年齢についても触れておきます。地域包括支援センターは、比較的年齢層の幅が広い職場です。相談援助という業務の性質上、人生経験が評価される側面があります。40代で他分野から移ってくる方も珍しくありません。正直なところ、若さだけが評価される職場ではないという点は、転職を考える方にとって心強い材料だと思います。

求人の探し方と、検索件数の読み方

求人を探すとき、多くの方は求人検索サイトで「地域包括支援センター 社会福祉士 未経験」と打ち込みます。ここで知っておいてほしいことがあります。

検索結果に表示される件数は、実際に応募できる求人の数と一致しません。求人サイト側の仕様として、内容が似ている求人はまとめられます。

求人ボックスでは、類似する求人が複数ヒットした際に求人を探しやすくなるよう自動で非表示にしています。 そのため、記載されたヒット件数と実際に検索結果に表示されている求人の数が異なる場合がございます。 出典: 求人ボックス

同じ法人が複数のセンターを運営している場合、内容が近い求人がまとめられて1件に見えることがあります。逆に、1つの求人が複数のサイトに掲載されていて、別々の求人に見えることもあります。件数の多寡で地域の求人状況を判断しないでください。

地域包括支援センターの求人を探すには、求人検索サイト以外の経路も使ってください。

1つは、市町村のホームページです。センターの一覧が公開されており、どの法人が受託しているかが分かります。その法人のサイトを直接見ると、求人サイトに出していない募集が載っていることがあります。

2つめは、社会福祉協議会です。社協が受託しているセンターは多く、社協の採用ページで募集が出ます。

3つめは、都道府県の社会福祉人材センターです。福祉分野に特化した無料の職業紹介機関で、地域包括支援センターの求人も扱っています。

4つめは、ハローワークです。委託法人が公的機関に近い性質を持つため、ハローワークに求人を出す割合が高い分野です。

求人票で確認すべき項目も挙げておきます。センターの職員数、担当圏域の高齢者人口、介護予防ケアプランの担当件数、時間外労働の実績、そして募集背景。特に介護予防ケアプランの件数は、そのセンターの忙しさを測る最も分かりやすい指標です。1人あたりの担当件数が50件を超えているようであれば、相談業務に割ける時間はかなり圧迫されています。

入職してから最初の3か月に起きること

未経験で入ると、最初の数か月は相談対応の中心には立ちません。実際の流れを書きます。

最初の1か月は、介護予防ケアマネジメントから入るのが一般的です。要支援1と2の方、および事業対象者のケアプランを作成する業務です。訪問してアセスメントを行い、目標を設定し、サービス事業所と調整し、モニタリングで訪問する。この一連の流れを、先輩に同行しながら覚えます。

この業務が最初に割り当てられる理由は、手順が定型化されていて、かつ制度の基礎が一通り学べるからです。介護保険の要支援と要介護の違い、区分支給限度基準額、総合事業のサービス類型。実務で使いながら覚えていくことになります。

並行してやっておくべきことが2つあります。

1つは、担当圏域の地図を頭に入れることです。どこに何丁目があり、どの地区に高齢化が進んだ団地があり、坂が多いのはどのあたりか。訪問のたびに地図で確認する習慣をつけると、数か月で身につきます。相談の電話で住所を聞いた瞬間に地域の様子が浮かぶかどうかで、判断の速さが変わります。

もう1つは、関係機関の一覧を自分で作ることです。地域の居宅介護支援事業所、デイサービス、訪問介護、医療機関、薬局、民生委員、自治会、消費生活センター、福祉事務所、警察の生活安全課。名称と連絡先だけでなく、誰が窓口なのかまで書いておくと、後で必ず役に立ちます。センターに既存の一覧があっても、自分で作り直すことをおすすめします。手を動かして書いたものは記憶に残ります。

2か月目から3か月目にかけて、電話の一次受けを任されるようになります。ここが最初の山場です。かかってくる電話の内容は事前に分かりません。介護保険の手続きの問い合わせもあれば、切迫した虐待の通報もあります。

このとき大事なのは、自分で解決しようとしないことです。聞き取るべきことを聞き取り、相手の連絡先を確認し、折り返す。この3つができれば十分です。未経験の方が失敗するのは、その場で答えようとして誤った情報を伝えてしまう場面です。「確認してから折り返します」は、正しい対応です。

3か月を過ぎるころから、担当のケースを持つようになります。この段階で、自分がどの業務に時間を取られているかを一度書き出してみてください。多くの方が、想像以上に記録と書類に時間を使っていることに気づきます。

前職ごとに、どこが強みとして見られるか

未経験といっても、これまでに何をしてきたかで評価される点は変わります。面接で何を話すかの材料になるので、整理しておきます。

介護施設の生活相談員から移る場合、強みは家族対応の経験です。入退所の調整、苦情への対応、ケアマネジャーとのやり取り。地域包括支援センターの総合相談で必要になる要素が、そのまま揃っています。弱いのは、在宅サービスの制度知識です。施設の中で完結していた業務からの移行になるため、総合事業や住宅改修、福祉用具貸与といった在宅特有の仕組みを覚え直す必要があります。

病院の医療ソーシャルワーカーから移る場合、強みは医療機関との連携です。主治医意見書の読み方、退院支援の流れ、医療保険と介護保険の切り分け。この理解があると、センターに入ってすぐに戦力になります。弱いのは、地域の資源の把握です。病院は患者が集まってくる場所ですが、センターは職員が地域へ出ていく場所です。この向きの違いに慣れるまで時間がかかります。

介護職員から相談職へ移る場合、強みは利用者の生活の実感です。実際に身体介護をしてきた人は、ケアプランに書く「見守り」や「一部介助」が現場で何を意味するかを知っています。アセスメントの精度に直結します。弱いのは、書類と制度です。記録の書き方、会議の進め方、関係機関への文書での照会。ここを一から覚えることになります。

障害福祉分野から移る場合、強みは制度をまたぐ発想です。障害者総合支援法と介護保険の適用関係は複雑で、65歳を境に制度が切り替わる場面に日常的に直面します。この知識を持つ人は、センターでも重宝されます。

新卒の場合、強みは素直さと制度知識の新しさです。試験で学んだ内容が最新の制度に基づいているという点は、意外に評価されます。弱いのは当然、経験そのものです。ここは隠さず、「最初の1年は先輩に同行しながら地域を覚えたい」と伝えるほうが、話が通ります。

どの経歴であっても、面接で必ず聞かれるのは「なぜ施設や病院ではなく、地域包括支援センターなのか」です。ここに答えるには、センターが地域の相談窓口であり、制度をまたいで人をつなぐ役割を担っているという理解を、自分の言葉で示す必要があります。

未経験の方がつまずきやすいところ

いくつか、事前に知っておくと楽になる点を挙げます。

1つめは、相談に「終わり」がないことです。施設であれば、入居者が退所すれば関係は一区切りします。地域包括支援センターの相談は、その方が地域に住み続ける限り続きます。解決したように見えても、数か月後に別の形で再び連絡が入ります。この長さに慣れるまで時間がかかります。

2つめは、断りにくい相談が入ってくることです。地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口ですが、実際には高齢者以外の相談も持ち込まれます。同居している中年の子どもの就労の問題、家族の借金、近隣トラブル。制度上はほかの機関が担当する内容でも、相談してきた方にとっては同じ困りごとです。ここで「うちの担当ではありません」と切ると、その後の関係が切れます。適切な機関につなぎながら、関係は保つ。この加減が難しいところです。

3つめは、虐待対応の重さです。通報を受けて訪問し、事実確認を行う場面では、相手から強い拒否を受けることがあります。玄関を開けてもらえない、怒鳴られる、警察沙汰になる。これは未経験の方が想定していない業務です。ただし、虐待対応は必ず複数人で動きます。一人で判断することはありません。

4つめは、記録の量です。相談記録、訪問記録、ケアプラン、モニタリング記録、市町村への報告書。地域包括支援センターは公的な業務を担うため、記録の正確さが強く求められます。文章を書くことに苦手意識がある方は、ここで時間を取られます。

5つめは、人数の少なさです。3名から6名の職場で、毎日同じ顔ぶれと過ごします。関係が良ければ働きやすく、こじれると逃げ場がありません。面接のときにセンターの中を見学させてもらい、職員同士の会話の様子を見ておくと、判断材料になります。

1日の動き方と、生活との折り合い

働き方の面も見ておきます。

地域包括支援センターの開設時間は、おおむね午前9時から午後6時です。平日のみ、あるいは平日と土曜という体制が多く、夜間の開所はほとんどありません。夜勤がなく、曜日が固定される点は、生活の予定が立てやすい大きな利点です。

ただし、緊急時の連絡体制は別です。虐待通報などに備えて、時間外の連絡先を設定しているセンターがあります。当番制で携帯電話を持つ運用をしているところもあるので、面接で確認してください。

1日の流れは、午前に訪問、午後に記録と会議、という組み方が標準的です。訪問は1日2件から4件程度。移動手段は自転車か公用車で、圏域の広さによって変わります。窓口と電話の当番が日替わりで割り当てられ、当番の日は外に出られません。

会議も多い職場です。センター内のケース検討会議、市町村との定例会議、地域ケア会議、居宅介護支援事業所との連絡会。この会議の準備と記録が、業務時間の一定割合を占めます。

残業については、センターによって差が大きいのが実情です。介護予防ケアプランの担当件数が多いセンターほど、記録の時間が押します。求人票の時間外労働の実績欄と、面接での確認を組み合わせてください。

給与の水準にも触れておきます。地域包括支援センターの社会福祉士は、委託先の法人の給与体系に従います。そのため、同じ市内のセンターでも、受託している法人が社会福祉協議会なのか医療法人なのかで金額が変わります。社会福祉協議会は公務員に近い給与表を使っていることが多く、昇給の見通しが立ちやすい一方で、初任給は突出して高くはありません。医療法人や民間の社会福祉法人は、法人ごとの規定によります。

未経験で入る場合、入職時の給与は経験者より低く設定されるのが通常です。ただし、地域包括支援センターは資格要件が明確な職場なので、社会福祉士としての資格手当は最初から支給されます。求人票では、基本給と資格手当を分けて確認してください。

もう1つ、雇用の安定性についても知っておく価値があります。地域包括支援センターの運営は市町村からの委託であり、委託契約は数年ごとに更新されます。受託法人が変わると、センターの運営主体が入れ替わります。実際には職員がそのまま新しい法人に引き継がれる例が多いのですが、この仕組み自体は知っておいたほうがよいでしょう。長く同じ地域で働きたいと考えている方は、面接で委託の期間と、これまでの受託の経緯を聞いてみてください。

窓口の外で、人前に立って話す仕事がある

地域包括支援センターの求人票には、あまり書かれていない業務があります。地域の集まりに出向いて、人前で話す仕事です。未経験で入った方が、相談業務そのものより先に緊張するのが、実はこの場面だったりします。

センターは、困りごとが起きてから相談を待つだけの窓口ではありません。介護予防や認知症への備え、虐待や消費者被害の早期発見のために、地域へ情報を届ける役割も担っています。そのため、次のような場に呼ばれたり、自分たちで企画したりします。

・自治会や老人クラブの集まりで、介護保険の使い方やセンターの役割を説明する ・民生委員の定例会に出て、気になる高齢者の情報を共有し、連絡の流れを確認する ・認知症サポーター養成講座で、認知症の基礎知識と接し方を住民や企業の従業員に伝える ・公民館の介護予防教室で、体操や口腔ケアの講師と一緒に運営を担う ・銀行や郵便局、コンビニの職員向けに、詐欺被害や認知症の兆候に気づいたときの連絡先を案内する

参加者は十数人のこともあれば、100人近い会場のこともあります。聞き手は専門職ではなく地域の住民なので、制度の言葉をそのまま使っても伝わりません。「要支援」「総合事業」と言った瞬間に、会場の空気が止まります。自分が理解していることを、生活の言葉に置き換えて短く話す。これが、相談記録を書く力とは別の技術として求められます。

未経験の方には、少し意外に感じられる業務かもしれません。ただ、この場は相談の入口としてとても重要です。講座のあとに「実はうちの父が」と個別に声をかけてくる方がいます。民生委員の会合で名前と顔を覚えてもらうと、気になる世帯の情報が早い段階で届くようになります。センターの存在を知らないまま困りごとが深刻になる前に、住民とつながっておく。そのための仕事です。

面接では、こうした地域活動がどのくらいの頻度であるかを聞いておくと、仕事の姿がはっきりします。「年間に地域の講座や会合へ出る回数はどのくらいですか」「未経験の職員は、最初は同行から始めますか」と尋ねてみてください。土曜や夕方の開催が多い地域では、勤務時間の振り替えがどうなっているかも確認しておく必要があります。

入職後の学びの道筋も知っておきましょう。センターの職員向けには、都道府県や市町村が研修を用意しています。初めて地域包括支援センターに配属された職員向けの研修、権利擁護や虐待対応の研修、介護予防ケアマネジメントの研修などです。受講が業務として扱われるか、費用を法人が負担するかは、求人票ではなかなか分かりません。面接で聞いておく価値があります。

長い目で見ると、社会福祉士として相談援助の実務を重ねることで、介護支援専門員の試験を受ける道も開けます。受験には、社会福祉士などの資格にもとづく業務に通算5年以上、かつ900日以上従事していることが要件になっています。センターの業務は介護予防ケアマネジメントも含むため、ケアマネジャーの資格を取ると担える範囲が広がり、将来的に主任介護支援専門員を目指す人もいます。

なお、2024年度からは、居宅介護支援事業所も要支援の方のケアプラン作成を直接担えるように制度が改められました。センターによっては、ケアプランの件数が徐々に減り、そのぶん総合相談や地域の仕事に時間を回せるようになっているところもあります。応募先のセンターがこの変化をどう受け止めているかも、面接で聞いてみると、そのセンターの今後の方向性が見えてきます。

相談援助の経験は、高齢者福祉の外でも使われています。働く人の悩みや職場の問題を聞き取り、適切な窓口につなぐ仕事がどのように成り立っているかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事に業務の中身と求められる力がまとめられています。センターに持ち込まれる相談にも、同居する家族の就労の悩みが混ざることは多いので、隣の分野の仕組みを知っておくと、つなぎ先を考えるときの引き出しが増えます。

この仕事で身につくものと、その先

地域包括支援センターで働くと、特定の力が集中的に伸びます。

1つは、制度を横断的に使う力です。介護保険、高齢者虐待防止法、成年後見制度、生活保護、障害者総合支援法、消費者契約法。1つの相談を解きほぐすために、複数の制度をまたいで考えることになります。この経験は、他のどの職場でも得にくいものです。

もう1つは、関係機関と調整する力です。行政、医療、介護事業者、地域住民。立場も優先順位も違う相手をつなぐ役割を、日常的に担います。

3つめは、書く力です。相談記録も報告書も、読む相手が決まっています。市町村の担当者、他機関の専門職、場合によっては家庭裁判所。誰が読むかを意識して書く訓練を、毎日することになります。

この力は、現場の外でも価値があります。制度を実務で理解していて、相手の状況を聞き取りながら選択肢を整理できる人は多くありません。相談援助の経験を働く人の支援に広げたい方は、国家資格のキャリアコンサルタントの内容を確認しておくと、社会福祉士の学びとの重なりが見えてきます。

文書作成の基準も意識しておきたいところです。地域包括支援センターの報告書は、何をもって「伝わる文書」とするかがまさに問われる書類です。誰が読むのかを決めてから書くだけで、差し戻しは確実に減ります。

地域ケア会議や担当者会議をオンラインで行うセンターも増えました。ツールごとの違いを整理したZoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】は、そうした場面に備えたい方に向いています。

この市場を20年見てきた運営者の立場から、1つ観察を書いておきます。長く続く人に共通しているのは、専門知識の量ではなく、「この人に相談すると話が早い」と思われる関係を築いていることです。地域包括支援センターのように、関係機関とのつながりが仕事の質を決める職場では、これがそのまま成果になります。

そしてもう1つ。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受け取る側の手取りが厚くなります。手数料0%という条件の値打ちは、金額の大きさよりも、この手取りの質にあります。相談職として収入の柱を作りながら、休日に別の形の仕事を少し試してみる。そういう組み立て方も、いまは現実的な選択肢です。

未経験から地域包括支援センターを目指すなら、まず自分の住む市町村のホームページでセンターの一覧を開いてください。どの法人が受託しているかを確認し、その法人の採用ページを見る。ここから始めるのが、いちばん確実です。

よくある質問

Q. 実務未経験の社会福祉士でも地域包括支援センターに採用されますか?

採用されます。3職種必置の仕組みがあり、社会福祉士が1名欠けると基準を満たせなくなるため、資格保有者の募集は継続的に出ています。新卒を採用して育てる方針の法人もあります。ただし入職直後は相談対応の中心には立たず、介護予防ケアマネジメントから始めるのが一般的です。

Q. 社会福祉士の資格がなくても地域包括支援センターで働けますか?

原則として資格が必要です。3職種には「これに準ずる者」という規定があり、福祉事務所の現業員等の経験が5年以上かつ高齢者の相談援助に3年以上といった条件が示されていますが、これは例外的な扱いです。求人の大半は社会福祉士の有資格者を対象としているため、資格なしから狙う道とは考えないほうが現実的です。

Q. 地域包括支援センターに夜勤はありますか?

ありません。開設時間はおおむね午前9時から午後6時で、平日のみ、または平日と土曜という体制が大半です。曜日が固定されるため生活の予定が立てやすい職場です。ただし虐待通報などに備えて時間外の連絡当番を設けているセンターがあるため、面接で体制を確認してください。

Q. 求人はどこで探すのが確実ですか?

求人検索サイトに加えて、市町村のホームページでセンターの一覧と受託法人を調べ、その法人の採用ページを直接見る方法が確実です。社会福祉協議会の採用ページ、都道府県の社会福祉人材センター、ハローワークも有効です。求人サイトの検索件数は類似求人がまとめられるため、実際に応募できる数とは一致しません。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月7日最終更新:2026年9月15日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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