60歳以降に雇用保険から受け取れる給付金の種類と申請先 2026

@SOHO編集部
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60歳以降に雇用保険から受け取れる給付金の種類と申請先 2026

この記事のポイント

  • ✓60歳以降に雇用保険から受け取れる給付金を
  • ✓高年齢雇用継続基本給付金
  • ✓高年齢求職者給付金に分けて整理しました

60歳を迎えて、定年後も同じ会社で働き続けるのか、辞めて別の仕事を探すのか、少し休むのか。どの道を選ぶかで、雇用保険から受け取れる給付金は変わります。しかも、多くの給付金は自分か会社が申請しないと受け取れません。

先に全体を書くと、60歳から64歳の人が雇用保険から受け取れる主な給付金は、働き続けて賃金が下がったときの高年齢雇用継続基本給付金、仕事を失ったときの基本手当、早く再就職したときの再就職手当、基本手当を受けた後に賃金が下がる形で再就職したときの高年齢再就職給付金の4つです。65歳以上で仕事を失ったときは、高年齢求職者給付金という一時金に変わります。

この記事では、それぞれの給付金の条件、金額の計算、申請先と期限、年金との調整、選び方の考え方までを、ハローワークと日本年金機構の資料で確かめた2026年10月時点の内容で整理します。

60歳以降に受け取れる給付金の全体像

雇用保険の給付金は、60歳以降の働き方によって受け取れるものが分かれます。まず全体を表で見ておきます。

60歳以降の働き方 受け取れる主な給付金 申請先
同じ会社で働き続け、賃金が下がった 高年齢雇用継続基本給付金 勤め先を管轄するハローワーク(原則は会社経由)
辞めて仕事を探す(64歳まで) 基本手当 住所地のハローワーク
基本手当を受けている間に早く再就職した 再就職手当 住所地のハローワーク
基本手当を受けた後、賃金が下がる形で再就職した 高年齢再就職給付金 再就職先を管轄するハローワーク(原則は会社経由)
65歳以上で仕事を失った 高年齢求職者給付金 住所地のハローワーク

この表で大事なのは、再就職手当と高年齢再就職給付金は、同じ再就職について両方は受け取れないという点です。どちらか一方を選ぶ必要があり、後から変えられません。この選び方は後の節で詳しく見ます。

このほか、60歳以降も、家族の介護で休むときの介護休業給付や、学び直しのための教育訓練給付は、条件を満たせば受け取れます。年齢で対象から外れる給付ではないので、介護や資格取得の予定がある人は覚えておいてください。

どの給付金も、雇用保険に入っていることが前提です。業務委託で働いている期間や、週20時間未満で働いていて加入していない期間は、給付の対象にも、加入期間の計算にも入りません。60歳前後で働き方を変える予定がある人は、自分の加入期間を一度確かめておくと、どの給付金を受け取れるかの見通しが立ちます。

働き続ける人の高年齢雇用継続基本給付金

定年後も同じ会社で再雇用され、給料が下がる人は多いはずです。その下がった分の一部を雇用保険が支えるのが、高年齢雇用継続基本給付金です。

ハローワークは、制度の概要を次のように説明しています。

高年齢雇用継続給付は、「高年齢雇用継続基本給付金」と基本手当を受給し、60歳以後再就職した場合に支払われる「高年齢再就職給付金」とに分かれますが、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。 出典: ハローワークインターネットサービス(雇用継続給付)

つまり、受け取るための条件は次の3つです。

  1. 60歳以上65歳未満で、雇用保険に入って働いていること
  2. 雇用保険に入っていた期間が、通算して5年以上あること
  3. 60歳以降の各月の賃金が、60歳時点の賃金の75%未満に下がっていること

基本手当を受け取っていないことも条件です。基本手当を受け取った後に再就職した人は、この給付金ではなく、高年齢再就職給付金の対象になります。

60歳の時点で加入期間が5年に足りない人も、あきらめる必要はありません。60歳を過ぎてから加入期間が5年に達すれば、その月から対象になります。この場合、比べる基準は5年に達した時点の賃金になります。

受け取れる期間は、60歳に達した月から65歳に達する月までです。ただし、各月の初日から末日まで雇用保険に入っていることが必要です。

高年齢雇用継続基本給付金の金額の計算

支給額は、60歳時点の賃金に比べて、各月の賃金がどれだけ下がったかで決まります。この比率を低下率と呼びます。

2025年4月1日以降に60歳になった人は、低下率が64%以下なら、その月の賃金の10%が支給されます。64%を超えて75%未満なら、低下率に応じて10%より少ない率になり、75%以上なら支給されません。

ハローワークの例では、60歳時点の賃金が月額30万円で、60歳以降の賃金が18万円に下がった場合、低下率は60%になるので、18万円の10%にあたる1万8千円が支給されます。

低下率と支給率の主な対応は、ハローワークの資料の早見表で次のとおりです。

低下率 支給率
75.00%以上 支給なし
74.00% 0.79%
72.00% 2.42%
70.00% 4.16%
68.00% 5.99%
66.00% 7.93%
64.00%以下 10.00%

2025年3月31日以前に60歳になった人などは、支給率の上限が15%で、低下率が61%以下なら15%が支給されます。同じ制度でも、60歳になった時期で計算が違う点に注意してください。

金額にはいくつかの上限と下限があります。令和9年7月31日までの額で、その月の賃金が397,369円以上なら支給されず、賃金と支給額の合計が397,369円を超える場合は、超えた分が減らされます。計算した支給額が2,562円以下のときも支給されません。60歳時点の賃金月額は、上限が522,000円、下限が96,090円です。これらの額は毎年8月1日に見直されます。

もう1つ知っておきたいのが、みなし賃金です。病気で休んだ、自分の都合で欠勤した、懲戒で減給されたといった理由で賃金が下がった場合は、下がった分も支払われたものとみなして低下率を計算します。ハローワークの資料の例では、賃金月額30万円の人が欠勤で3万円減らされて18万円になった月は、21万円で計算されて低下率70%、支給率4.16%となり、支給額は7,488円です。働き続けて受け取る給付金なので、休んで賃金が下がった分までは支えない仕組みになっています。

高年齢雇用継続基本給付金の申請方法と期限

高年齢雇用継続基本給付金は、在職中に受け取る給付金なので、原則として勤め先の会社が手続きをします。本人が自分で申請することを希望すれば、本人が行うこともできます。

手続きの流れは次のとおりです。

  1. 会社が、60歳時点の賃金を証明する書類(雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書)をハローワークに出す
  2. 会社が、受給資格の確認票と初回の支給申請書をハローワークに出す
  3. ハローワークが受給資格を確認し、支給を決める
  4. 2回目以降は、ハローワークが指定した月に、原則として2か月に1回、支給申請書を出す

提出先は、勤め先の所在地を管轄するハローワークです。電子申請もできます。

期限で一番大事なのは初回です。初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする月の初日から数えて4か月以内に行う必要があります。2回目以降は、ハローワークから交付される次回の申請日の通知に書かれた月に出します。

ハローワークの資料には、賃金証明書や受給資格確認票の提出がなかったり遅れたりすると、受け取れなくなることがあると書かれています。会社が手続きを忘れている例もあるので、60歳を迎えて賃金が下がったら、会社の担当者に「高年齢雇用継続給付の手続きはどうなっていますか」と確かめておくと安心です。

添付する書類は、賃金台帳や出勤簿など支給申請書の内容を確かめられるもの、年齢を確かめられる運転免許証や住民票の写しなどです。マイナンバーを届け出ていれば、年齢の確認書類は省略できます。

働き続ける道を選ぶメリットとデメリット

同じ会社で再雇用されて高年齢雇用継続基本給付金を受け取る道と、辞めて基本手当を受け取りながら次の仕事を探す道は、どちらにも利点と弱点があります。給付金の金額だけでなく、全体で比べることが大切です。

働き続ける道のメリットは、まず収入が途切れないことです。賃金が下がっても、給付金で一部が支えられ、毎月の収入の見通しが立ちます。雇用保険と社会保険の加入も続くので、病気で休んだときの手当や将来の年金の積み上がりも続きます。慣れた職場で、これまでの経験をそのまま生かせる点も大きいでしょう。

デメリットは、賃金の下がり方が大きいと、給付金を受け取っても以前の収入には届かないことです。2025年4月以降に60歳になった人の支給率の上限は10%なので、賃金が6割に下がった場合、給付金を合わせても以前の66%程度にとどまります。仕事の中身が以前と同じなのに賃金だけが下がることに、納得しにくさを感じる人もいます。

辞めて次の仕事を探す道のメリットは、働き方を選び直せることです。基本手当を受け取りながら、自分に合う仕事をじっくり探せます。早く決まれば再就職手当、賃金が下がる形で決まれば高年齢再就職給付金で支えられます。

デメリットは、次の仕事が決まる保証がないことです。60歳以降の求人は、年齢以外の条件でも選ばれるので、思ったより時間がかかることがあります。基本手当の日数が終わるまでに決まらなければ、収入がない期間が生まれます。

どちらを選ぶにしても、退職前に再雇用の条件を書面で確かめ、辞めた場合に受け取れる基本手当の日数と金額をハローワークで聞いておくと、比べやすくなります。

定年で辞めた人の基本手当

60歳で定年を迎えて辞め、次の仕事を探す場合は、基本手当を受け取れます。基本手当とは、仕事を失った人が次の仕事を探す間の生活を支えるお金で、一般に失業保険と呼ばれているものです。

受け取るための条件は、ハローワークに来て仕事を探す申し込みをし、働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態にあることと、離職の日以前の2年間に雇用保険の加入期間が通算して12か月以上あることです。定年で辞めても、しばらく休んでから仕事を探すつもりの間は、仕事を探している状態ではないので受け取れません。

受け取れる日数は、離職の理由と加入期間で決まります。定年退職は自分の都合での離職とは扱いが違い、給付制限という待ち期間がかかりません。一般の離職者として、加入期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。会社の倒産や解雇で辞めた60歳以上65歳未満の人は、加入期間に応じて最長240日になります。

1日あたりの金額である基本手当日額は、離職前の賃金をもとに計算され、年齢ごとに上限があります。令和8年8月1日時点で、60歳以上65歳未満の上限は7,830円です。

定年で辞めた人には、受け取れる期間を延ばす特例があります。基本手当は原則として離職の翌日から1年以内に受け取り終える必要がありますが、60歳以上の定年などで辞めた人が、しばらく休んでから仕事を探したい場合は、申し出によってこの期間を最長1年延ばせます。申し出は、離職の日の翌日から2か月以内に、離職票を添えて住所地のハローワークに出します。

定年後に旅行や休養の期間を取りたい人は、この延長を申し出ておくと、休んでいる間に受け取れる期間が過ぎてしまうのを防げます。

再就職した人の再就職手当

基本手当を受け取っている人が、所定給付日数を多く残して早く再就職すると、再就職手当を受け取れます。所定給付日数とは、基本手当を受け取れる日数の上限のことです。

金額は、基本手当の支給残日数に、基本手当日額と給付率を掛けて計算します。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。計算に使う基本手当日額には上限があり、令和9年7月31日までの額で、離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人は5,454円です。基本手当そのものの上限とは別の数字なので、混同しないようにしてください。

ハローワークの案内では、受け取るために次のような条件をすべて満たす必要があります。

  • 受給手続きの後、7日間の待期期間が過ぎてから就職したこと
  • 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 辞めた会社や、その会社と密接な関係のある会社に再び就職したものでないこと
  • 1年を超えて勤めることが確実であること
  • 原則として雇用保険に加入したこと
  • 過去3年以内に再就職手当などを受け取っていないこと
  • 仕事を探す申し込みをする前から内定していた会社に就職したものでないこと

60歳で定年を迎え、同じ会社に再雇用される場合は、辞めた会社に再び就職する形なので、再就職手当は受け取れません。グループ会社への再就職も、関係の深い会社にあたる場合は対象外です。

申請は、就職した日の翌日から1か月以内に、住所地のハローワークに出します。

高年齢再就職給付金

基本手当を受け取った後、60歳以降に再就職して、賃金が前より下がった場合に受け取れるのが、高年齢再就職給付金です。

ハローワークの資料では、次の条件を示しています。

  • 60歳以上65歳未満で、雇用保険に加入して再就職したこと
  • 基本手当の算定の基礎になった加入期間が5年以上あること
  • 再就職した日の前日の基本手当の支給残日数が100日以上あること
  • 再就職後の各月の賃金が、基本手当の基準になった賃金日額の30倍の75%未満に下がっていること
  • 安定した職業に就いたこと

支給率の計算は、高年齢雇用継続基本給付金と同じで、低下率が64%以下なら各月の賃金の10%です。

受け取れる期間は、支給残日数で変わります。再就職した日の前日の支給残日数が200日以上なら2年、100日以上200日未満なら1年です。ただし、65歳に達した月が上限になります。

支給は原則として2か月に1回で、申請は再就職先の会社を通じて、再就職先を管轄するハローワークに出します。初回の申請は、最初に支給を受けようとする月の初日から4か月以内です。

この給付金と再就職手当は、同じ再就職について両方は受け取れません。どちらを選ぶかは次の節で考えます。

再就職手当と高年齢再就職給付金のどちらを選ぶか

同じ再就職で、再就職手当と高年齢再就職給付金の両方の条件を満たすことがあります。ハローワークの資料は、この場合について次のように説明しています。

雇用保険法第61条の2第4項の規定により、同一の就職につき、高年齢再就職給付金の支給を受けた場合には再就職手当が、再就職手当の支給を受けた場合には高年齢再就職給付金が支給されません。 出典: ハローワーク(高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続について)

一方を受け取ると、もう一方は受け取れなくなるので、慎重に選ぶ必要があります。

選び方の基本は、受け取れる総額を比べることです。再就職手当は、支給残日数と基本手当日額で決まる額を一括で受け取ります。高年齢再就職給付金は、再就職後の賃金の最大10%を、最大2年間、2か月ごとに受け取ります。

比べるときは、次の点を確かめます。

  • 支給残日数がどれだけ残っているか(多いほど再就職手当が大きくなる)
  • 再就職後の賃金がどれだけ下がるか(大きく下がるほど高年齢再就職給付金が大きくなる)
  • 再就職先に長く勤める見込みがあるか(高年齢再就職給付金は、勤め続けて初めて受け取れる)
  • 65歳までの残りの期間(65歳に達すると高年齢再就職給付金は終わる)

再就職手当を受け取った人は、再就職先に6か月以上勤め、賃金が離職前より下がっていれば、就業促進定着手当も受け取れる場合があります。比べるときは、この分も含めて考えます。

再就職手当を申請して不支給になった場合でも、高年齢再就職給付金の条件を満たしていれば、こちらを申請できます。計算に迷うときは、住所地のハローワークで、自分の支給残日数と再就職後の賃金を伝えて試算してもらうのが確実です。

65歳以上で仕事を失ったときの高年齢求職者給付金

65歳以上で雇用保険に入って働いていた人が仕事を失うと、基本手当ではなく、高年齢求職者給付金という一時金が支払われます。

雇用保険法では、その額を、基本手当の日額にあたる額に、加入期間が1年以上なら50日、1年未満なら30日を掛けた額と定めています。何回かに分けてではなく、1回でまとめて受け取ります。

受け取るための条件は、離職の日以前の1年間に、加入期間が通算して6か月以上あることなどです。基本手当と同じように、住所地のハローワークで仕事を探す申し込みをし、失業の認定を受けて支給されます。

64歳で辞めるか65歳で辞めるかで、受け取れる給付が変わる点は知っておきたいところです。64歳までに辞めれば基本手当の対象になり、加入期間によっては150日分以上を受け取れることがあります。65歳を過ぎて辞めると、一時金の30日分か50日分になります。ただし、64歳で辞めた場合は、後で見る年金との調整を受けることがあります。辞める時期を決めるときは、年金も含めて考える必要があります。

65歳以上で2つの勤め先を掛け持ちしている人は、雇用保険マルチジョブホルダー制度を使うと、2つの勤め先の時間を合わせて週20時間以上になれば加入できます。加入していれば、仕事を失ったときにこの給付金の対象になる場合があります。

年金との調整で気をつけること

60歳台前半の給付金は、年金と同時に受け取ると調整される場合があります。日本年金機構は、次のように説明しています。

特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の失業給付は同時には受けられません。また、厚生年金保険の被保険者の方で、特別支給の老齢厚生年金を受けている方が雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けられるときは、在職による年金の支給停止に加えて年金の一部が支給停止されます。 出典: 日本年金機構(雇用保険と年金の調整)

特別支給の老齢厚生年金とは、生まれた年によって、65歳より前から受け取れる老齢厚生年金のことです。対象になるのは一定の生年月日までに生まれた人で、性別によっても対象が違います。自分が対象かどうかは、年金事務所やねんきんネットで確かめられます。

対象の人が基本手当を受け取ると、その間は特別支給の老齢厚生年金が止まります。どちらを受け取るほうがよいかは、金額によって変わります。

高年齢雇用継続給付を受け取る場合は、ハローワークの資料によると、標準報酬月額が60歳時点の賃金月額の64%以下なら、老齢厚生年金について標準報酬月額の4%にあたる額が止まります。64%を超えて75%未満なら、4%から少しずつ下がる率で止まり、75%以上なら調整はありません。標準報酬月額とは、厚生年金の保険料や年金額の計算に使う、1か月あたりの賃金の区分のことです。

特別支給の老齢厚生年金の対象でない人には、この調整は関係ありません。65歳からの老齢年金と、65歳以上の高年齢求職者給付金も、調整されずに両方受け取れます。

介護や学び直しで使える給付金

60歳以降も、家族の介護や学び直しのために使える雇用保険の給付金があります。年齢で対象から外れるものではないので、予定がある人は合わせて確かめておきます。

1つ目は、介護休業給付です。家族の介護のために仕事を休んだ雇用保険の加入者に、休業前の賃金の一定割合が支給されます。ハローワークの案内では、支給額は原則として休業開始時の賃金日額に支給日数と67%を掛けた額で、同じ家族について通算93日まで、3回に分けて取ることができます。対象になる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。60歳を過ぎると、親や配偶者の介護が現実の問題になる人も多いので、休業を考えるときに役立ちます。

2つ目は、教育訓練給付です。厚生労働大臣が指定した講座を受けて修了すると、受講費用の一部が戻ってくる制度です。講座の種類によって戻ってくる割合が違い、専門的な資格の取得をめざす講座では、条件を満たせば費用の最大80%まで支給されます。60歳以降に新しい分野の仕事に移りたい人や、資格を取って業務委託で仕事を受けたい人には、学び直しの費用の負担を軽くできる制度です。

教育訓練給付を受け取るには、雇用保険の加入期間などの条件があります。辞めた後でも、離職の翌日から一定の期間内なら使える場合があるので、講座を選ぶ前に住所地のハローワークで、自分が対象になるかを確かめてください。

3つ目に、基本手当を受け取っている間に、ハローワークの指示で公共職業訓練を受けると、訓練が終わるまで基本手当が延長されることがあります。訓練の受講に必要な費用として、受講手当や通所手当も支給されます。

60歳を迎える前に準備しておくこと

給付金を確実に受け取るには、60歳を迎える前の準備が効きます。次の点を、誕生日の半年ほど前から確かめておくと安心です。

1つ目は、雇用保険の加入期間です。高年齢雇用継続給付も高年齢再就職給付金も、加入期間が5年以上あることが条件です。転職や休業で加入していない期間があった人は、通算して5年に届いているかを確かめます。勤め先の担当者に聞くか、ハローワークに照会できます。

2つ目は、会社の継続雇用の制度です。定年の年齢、再雇用後の仕事の中身、賃金、勤務時間を、就業規則や会社の説明で確かめます。再雇用後の勤務時間が週20時間未満になると、雇用保険から外れ、高年齢雇用継続基本給付金も受け取れなくなる点に注意が必要です。

3つ目は、年金の見込みです。ねんきん定期便やねんきんネットで、自分がいつから、いくら年金を受け取れるのか、特別支給の老齢厚生年金の対象になるのかを確かめます。給付金と年金の調整があるかどうかは、ここで分かります。

4つ目は、60歳時点の賃金の確認です。高年齢雇用継続給付の計算の基準になるのは、原則として60歳に達する前の6か月間の平均賃金です。この期間に残業が多かったか少なかったかで、基準の額が変わります。給与明細を保管しておくと、後で計算を確かめられます。

5つ目は、家族との話し合いです。働き続けるか、辞めて仕事を探すか、休むかで、家計の見通しは大きく変わります。給付金と年金の見込みを並べたうえで、家族と方針を共有しておくと、手続きの時期を逃しにくくなります。

60歳以降の給付金で失敗しやすい点

60歳以降の給付金で、受け取れたはずのお金を逃してしまう例には、いくつかの型があります。

1つ目は、会社任せにして手続きが漏れることです。高年齢雇用継続基本給付金は原則として会社が手続きをしますが、初回の申請は4か月以内という期限があります。会社の担当者が替わった時期などに漏れることがあるので、賃金が下がったら自分から確かめます。

2つ目は、定年後に休んでいる間に受給期間が過ぎることです。基本手当は離職の翌日から1年以内に受け取り終える必要があります。休む予定があるなら、離職の翌日から2か月以内に延長を申し出ます。

3つ目は、再就職手当と高年齢再就職給付金の選び方です。目先の一括の金額だけで再就職手当を選び、後で高年齢再就職給付金のほうが多かったと気づいても、変えられません。

4つ目は、年金との調整を見落とすことです。基本手当を受け取ると特別支給の老齢厚生年金が止まるので、手取りの合計が思ったより増えないことがあります。

5つ目は、雇用保険の加入期間を確かめていないことです。5年以上という条件を満たしていると思い込んでいて、実際には途中で加入していない期間があった、という例があります。

どれも、事前に確かめれば防げるものです。60歳の誕生日の半年ほど前から、会社の担当者、ハローワーク、年金事務所に、自分の場合の流れを聞いておくことをおすすめします。

申請先と期限の早見表

最後に、給付金ごとの申請先と期限をまとめて確かめておきます。

給付金 申請する人 申請先 主な期限
高年齢雇用継続基本給付金 原則は会社(本人も可) 勤め先を管轄するハローワーク 初回は支給対象月の初日から4か月以内、以後は指定の月
基本手当 本人 住所地のハローワーク 原則は離職の翌日から1年以内に受け取り終える
受給期間の延長(定年など) 本人 住所地のハローワーク 離職の翌日から2か月以内
再就職手当 本人 住所地のハローワーク 就職日の翌日から1か月以内
高年齢再就職給付金 原則は会社(本人も可) 再就職先を管轄するハローワーク 初回は支給対象月の初日から4か月以内
高年齢求職者給付金 本人 住所地のハローワーク 離職の翌日から1年以内

上限額や下限額は、毎年8月1日に見直されます。申請する年の額は、ハローワークの最新の資料で確かめてください。

60歳以降の働き方の選び方

在宅ワークや業務委託の仲介に長く関わってきた運営者として見てきた限りでは、60歳以降に満足して働き続けている人は、雇用か業務委託かの二択で考えず、両方を組み合わせています。再雇用で雇用保険と社会保険の守りを残しながら、これまでの経験を生かした仕事を業務委託で受ける。あるいは、定年後に一度基本手当を受け取りながら次の仕事を探し、短い時間の雇用と在宅の仕事を組み合わせる。給付金の仕組みを知っていると、こうした組み立てを落ち着いて選べます。

業務委託の部分は雇用保険の対象外なので、給付金の計算には入りません。その一方で、仲介の手数料が乗らない直接取引なら、同じ発注額でも受け手の手取りが厚くなります。長年の経験を、手取りの厚い形で生かせるのは、60歳以降の働き方の大きな選択肢です。

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制度の手続きを専門家に頼むことも選択肢です。雇用保険や社会保険の手続きを仕事にする社会保険労務士の働き方は、社労士の開業ガイド|独立1年目の収入と集客方法【2026年版】で紹介しています。60歳以降に新しい資格を目指す人には、事務の仕事に生かせるビジネス文書検定も、教育訓練給付と組み合わせて学び直しを考えるきっかけになります。

よくある質問

Q. 60歳で再雇用されて給料が下がったら、自動的に給付金が振り込まれますか?

自動的には振り込まれません。高年齢雇用継続基本給付金は、原則として会社がハローワークに申請して初めて支給されます。初回の申請は、最初に支給を受けようとする月の初日から4か月以内という期限があるので、賃金が下がったら会社の担当者に手続きの状況を確かめてください。本人が自分で申請することもできます。

Q. 高年齢雇用継続基本給付金はいくらもらえますか?

2025年4月以降に60歳になった人は、60歳以降の賃金が60歳時点の64%以下に下がった月に、その月の賃金の10%が支給されます。64%を超えて75%未満なら、それより少ない率になります。たとえば60歳時点が月額30万円で、賃金が18万円に下がった場合は1万8千円です。上限額などがあるので、ハローワークの資料で確かめてください。

Q. 定年退職してしばらく休みたい場合、失業保険はどうなりますか?

休んでいる間は仕事を探している状態ではないので、基本手当は受け取れません。60歳以上の定年などで辞めた人は、離職の翌日から2か月以内にハローワークへ申し出ると、受け取れる期間を最長1年延ばせます。延長しておけば、休んだ後に仕事を探し始めたときに基本手当を受け取れます。

Q. 65歳になる前に辞めるのと後に辞めるのでは何が違いますか?

64歳までに辞めると基本手当の対象になり、加入期間などに応じて90日分以上を受け取れることがあります。65歳以上で辞めると、高年齢求職者給付金という一時金になり、加入期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分です。ただし、64歳で辞めると特別支給の老齢厚生年金と調整される場合があるので、年金事務所でも確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月17日最終更新:2026年10月4日
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