職場・転職相談の案件の取り方は、相談者の悩みを言い当てる提案文にある

中西 直美
中西 直美
職場・転職相談の案件の取り方は、相談者の悩みを言い当てる提案文にある

この記事のポイント

  • ✓職場・転職相談の案件の取り方を
  • ✓提案文の組み立てから解説します
  • ✓相談者の悩みを言い当てる一文と初回面談の時間割を示すだけで

資格を取ったのに、案件が1件も取れない。職場・転職相談の案件の取り方を調べている方から、この声を本当によく聞きます。産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの登録を済ませ、募集サイトにも登録した。それでも応募した提案文に返信が来ない。

大丈夫です。返信が来ない理由は、あなたの経歴が足りないからではありません。提案文の1行目に、相談者が読みたい言葉が書かれていないからです。

この記事では、職場・転職相談の案件を取るための提案文の組み立て方を、手順として分解します。相談者の悩みを言い当てる一文の作り方、初回面談を時間割で見せる方法、そして単発の相談を継続契約に変える設計まで、順番にお話しします。

相談という仕事が個人に流れてきている背景

まず、市場の側から見ておきます。職場や転職の悩みを抱えた人が、どこに相談しているのか。ここを理解しないと、提案文をどこに向けて書けばいいのかが決まりません。

相談先が増えたことで「誰に話すか」が難しくなった

転職の相談先には、上司、同僚、家族、友人、社内のOB・OG、ハローワーク、転職エージェント、そして個人のキャリア相談員と、いくつもの選択肢があります。選択肢が増えたこと自体は悪いことではありません。ただ、相談する側にとっては「どこに話せば自分の状況に合った答えが返ってくるのか」が見えにくくなりました。

転職メディアの解説では、社内のつながりを持つ相手の価値がこう説明されています。

会社のOB・OGは、おすすめの相談相手の1つです。同じ職場の似た境遇で働いており、すでに転職した人たちのアドバイスや経験談は、自分の転職にも活かせる有益な情報といえます。 出典: aegis-japan.co.jp

ここに、個人で相談を受ける人が入り込む余地があります。相談者が本当に欲しいのは、一般論ではなく「自分と似た境遇の人が、そのあとどうなったか」です。ところが、社内にちょうどよいOB・OGがいる人ばかりではありません。転職経験のない上司に相談すれば話が漏れるリスクがあり、家族に相談すれば感情が混ざります。この空白が、個人の相談員が引き受けている領域です。

つまり案件の取り方の出発点は、「私は資格を持っています」ではなく「あなたの状況に近い話を、利害関係のない場所でできます」という提示になります。

公的窓口との使い分けを理解しておく

もう1つ、相談者が最初に頼る先としてハローワークがあります。無料で使えるうえ、職業訓練の情報も揃っています。ただし、そこで完結しない層が確実に存在します。

ただし、ハローワークの求人には、大企業・好待遇・専門性のある求人が少ない傾向があります。そのため、転職相談はハローワークで行い、転職活動は民間の求人サイトや転職エージェントを利用するなど、目指す職場によっては使い分けが必要です。 出典: aegis-japan.co.jp

使い分けが必要だということは、使い分けの判断を手伝う人が必要だということです。相談者は「どの窓口を、どの順番で、どう使えばいいのか」を知りません。ここを整理してあげるだけでも、初回の相談は十分に成立します。提案文にこの視点を1行入れておくと、公的窓口と競合せずに自分の役割を示せます。

相談の値段は時間ではなく持ち帰れるもので決まる

個人で相談を受けるとき、料金の考え方でつまずく方が多くいます。60分いくら、という時間単価で考えると、どうしても他の相談員との価格比較になります。そして価格競争になると、資格を取ったばかりの人がいちばん不利です。

値段の根拠を時間から動かしてください。相談者が支払っているのは、話を聞いてもらった時間ではなく、面談が終わったあとに手元に残るものです。職務経歴書の骨子、上司に伝える言い方の台本、判断を先送りにするための3つの条件。こうした持ち帰り物を提案文の段階で明記すると、値段の話が「高いか安いか」から「妥当かどうか」に変わります。

案件が取れない提案文に共通する3つのパターン

応募しても返信が来ないとき、多くの場合は次の3つのどれかに当てはまります。順番に見ていきます。

自分の経歴から書き始めてしまう

いちばん多いのがこれです。「産業カウンセラーの資格を保有し、企業で人事を10年経験してまいりました」から始まる提案文は、相談者の目に留まりません。

理由は単純で、相談者はいま自分の悩みでいっぱいだからです。転職しようか迷って眠れない人が、他人の職歴を読む余力を持っているとは考えにくい。提案文の1行目は、相談者自身の状況を映す鏡でなければなりません。

経歴を書くなという意味ではありません。書く位置を後ろに下げるだけです。1行目で悩みを言い当て、2行目で面談の中身を示し、そのあとで「なぜ私がそれをできるのか」として経歴を置く。順番を入れ替えるだけで、同じ文章でも読まれ方が変わります。

「なんでも聞きます」と間口を広げてしまう

案件を逃したくない気持ちから、対応範囲を広く書いてしまうことがあります。職場の人間関係、転職、キャリア設計、メンタル面、副業の相談まで承ります、というような書き方です。

間口を広げると、かえって選ばれにくくなります。相談者から見ると「この人は自分の悩みの専門家ではなさそうだ」と映るからです。転職を迷っている人は「転職の相談に強い人」を探しているのであって、なんでも屋を探しているわけではありません。

対応範囲は、むしろ狭く書いたほうが指名されます。「30代で、初めての転職を迷っている方の相談を専門に受けています」と書けば、当てはまる人には強く刺さり、当てはまらない人は最初から応募してきません。応募が減っても、成約率は上がります。

解決を約束してしまう

「必ず納得のいく答えが見つかります」「転職の不安を解消します」といった文言も、意外に逆効果です。相談者はすでに、こうした言葉をネット上で何度も見ています。そして、簡単には解決しないことを本人がいちばんよく知っています。

約束するなら、結果ではなくプロセスにしてください。「1回目の面談で、今の職場に残る場合と出る場合の条件を、それぞれ紙に書き出すところまでやります」。この書き方なら、嘘になりません。そして相談者は、その日に何が起きるかを想像できます。

結果を約束しようとすると、提案文を書く側も苦しくなります。相手の人生の結論を引き受けようとすると、書く言葉がどんどん大きくなり、そのぶん自分の負担が増える。プロセスを約束する書き方に変えるだけで、提案文を書くこと自体がずっと楽になります。

相談者の悩みを言い当てる提案文の組み立て方

ここからが本題です。提案文を5つの手順に分けます。この順番どおりに書けば、経歴が薄くても中身のある提案文になります。

手順1 募集文の中で言い換えられていない言葉を拾う

募集文を読むとき、注目してほしいのは「相談者が自分の言葉で書いた部分」です。テンプレートのような依頼文の中に、1カ所だけ生々しい表現が混ざっていることがあります。「上司に相談しづらい」「このまま10年いるのが怖い」「辞めたいわけではないんです」。こうした言葉です。

その言葉を、提案文の中でそのまま使ってください。要約したり、専門用語に置き換えたりしないこと。「辞めたいわけではない、というお気持ちのまま整理したい、ということですね」と書けば、相談者は自分の文章が読まれたことに気づきます。

これは心理学でいう反射という技法ですが、難しく考える必要はありません。相手の言葉をそのまま返す、それだけです。

手順2 悩みを1文で復唱してから、少しだけ広げる

拾った言葉を1文にまとめます。ここで大事なのは、まとめたあとに1つだけ、相談者が言語化していない要素を足すことです。

たとえば「今の職場に不満はないが、成長が止まっている気がする」という相談に対して、「不満がないぶん、辞める理由を自分でうまく説明できないのが苦しい状態かもしれません」と足す。この一文が、悩みを言い当てるという感覚を生みます。

ただし、外すこともあります。外したときのために、断定ではなく「かもしれません」で受けておくのが安全です。当たれば強く響き、外れても相手は訂正しやすい。この余白を残しておくと、提案文が押しつけになりません。

手順3 初回面談で何が起きるかを時間割で見せる

相談者がいちばん不安なのは、お金を払ったあとに何が起きるか分からないことです。ここを時間割で見せます。

60分の面談なら、最初の15分で状況を伺い、次の20分で判断の材料になっている条件を紙に書き出し、次の15分でその条件に優先順位をつけ、最後の10分で次にやることを1つ決める。この粒度で書いてください。

優先順位づけについては、市場価値との突き合わせが必要になる場面があります。

また、優先順位を決める際は、自分の市場価値も見極めることも重要となります。例えば、未経験の職種に転職したい場合に、高収入を最優先事項にしても実現は難しいものです。未経験の職種であれば、仕事内容や研修が充実している職場の方が転職を成功させやすいでしょう。 出典: aegis-japan.co.jp

条件の優先順位づけを一緒にやる、と提案文に書けるかどうか。ここが、雑談で終わる相談と、料金を受け取れる相談の分かれ目になります。相場感の裏づけがほしいときは、職種ごとの単価水準をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場のようなデータベースが役に立ちます。相談者の希望職種の水準を面談前に確認しておくと、話が具体的になります。

手順4 自分が扱わない領域を先に書く

意外に効くのが、これです。「未払い賃金やハラスメントの法的手続きについては、弁護士や労働局の窓口をご案内します」「メンタル面で医療的な対応が必要と判断した場合は、医療機関の受診をおすすめします」。この2文を提案文に入れておきます。

扱わない領域を明示すると、対応できる範囲の輪郭がはっきりします。そして相談者は「この人は分かっていないことを分かっている」と受け取ります。信頼は、できることの列挙よりも、できないことの明示から生まれます。

手順5 料金と回数を数字で置く

最後に、料金です。曖昧にしないこと。初回60分いくら、継続の場合は月2回でいくら、というように、回数と金額をセットで書きます。

キャリア相談の料金水準は、担当者の経験や提供形態によって幅があります。初回相談を低めに設定して継続で回収する形もあれば、単発で完結させる形もあります。どちらでも構いませんが、提案文の中で回数の見通しを示しておくと、相談者は予算を組めます。予算が組めない提案は、内容が良くても保留されます。

提案文の実例を、直す前と後で比べる

具体的に見たほうが早いので、同じ内容の提案文を2つ並べます。

直す前は、こうなりがちです。「はじめまして。産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を持ち、これまで多くの方のご相談に対応してまいりました。丁寧にお話を伺いますので、ぜひ一度ご相談ください。料金はご相談に応じます」。

これでは、誰に向けた文章なのかが分かりません。料金も不明です。

直したあとは、こうなります。「募集文の『辞めたいわけではない』という一文が印象に残りました。不満がはっきりしていないぶん、動く理由も残る理由も自分で説明しづらい状態かもしれません。初回60分では、まず今の職場に残る条件と出る条件を、それぞれ紙に書き出すところまでやります。最後の10分で、次の1週間にやることを1つだけ決めます。法的手続きが必要な内容については、労働局の窓口や弁護士をご案内します。料金は初回60分で設定しており、継続をご希望の場合は月2回のプランをご用意しています」。

文字数はほとんど変わりません。変わったのは、相談者が読んだときに頭の中に映像が浮かぶかどうかです。

案件の入口ごとに、提案文の書き分けを変える

同じ提案文をどこにでも貼るのは効率が悪い方法です。入口によって、読む人も判断基準も違います。

業務委託マッチングサービス経由の場合

在宅ワークの仲介サイトや業務委託マッチングサービスでは、募集1件に対して複数の提案が並びます。ここでは、冒頭の1行が勝負を決めます。相手のプロフィールを開かなくても内容が伝わる書き出しにしてください。

また、こうした場から入る場合は、対応可能な職種の幅を絞ったほうが指名につながります。どんな相談が実際に流通しているかを知るには、職場・転職・キャリア相談のお仕事のような職種別のガイドで募集の傾向を確認しておくと、提案文の言葉選びが変わります。

仲介手数料の扱いも、収支に直結します。マッチング型のサービスには報酬から一定割合を差し引く仕組みのものが多く、年間の売上が積み上がるほど差が効いてきます。一方で、手数料0%で直接やりとりできる場では、同じ報酬額でも手取りが厚くなります。相談職は原価がほぼ人件費だけの仕事なので、この差はそのまま働き方の余裕になります。

企業からの継続契約の場合

企業が個人のカウンセラーに依頼するのは、従業員向けの相談窓口や、休職者の復職面談などです。この場合、提案文の読み手は人事担当者であって、相談者本人ではありません。

書くべき内容も変わります。守秘の扱い、報告書の形式、対応時間帯、記録の保管方法。この4点を明記してください。人事担当者は社内で説明責任を負うので、説明できる材料を先に渡してあげると話が進みます。文書のやりとりが増えるため、ビジネス文書検定のような文書作成の基礎を押さえておくと、報告書の形式で信頼を落とすことがなくなります。

個人からの単発相談の場合

個人からの単発相談では、料金の説明が最重要になります。相談料は無料で受けられる窓口がある中で、あえて有料の相談を選ぶ理由を書く必要があります。

理由は、時間の融通、話す内容の自由度、そして継続して同じ人が担当することの3つに集約されます。公的窓口では担当者が毎回変わることがありますが、個人契約なら経緯を毎回説明し直す必要がありません。この違いを1文で書いてください。

提案文を送ったあと、返信をもらってからの初期対応

提案文が届いて返信が来たあと、そこで止まってしまう例も少なくありません。案件の取り方を考えるうえで、返信後の初動は提案文と同じくらい重要です。

返信は当日中に、日程は3つ出す

相談したいと連絡してくる人は、たいてい気持ちが揺れています。今日は話したいと思っていても、3日経つと「やっぱりいいか」に戻ってしまう。返信が遅れるほど、この揺り戻しに負けます。

返信では、必ず候補日を3つ提示してください。「ご都合のよい日時をお知らせください」と返すと、相談者は自分のカレンダーを開いて考える手間を負います。その手間が、そのまま離脱につながります。候補を出せば、相手は選ぶだけで済みます。

事前アンケートは5問までにする

面談の質を上げるために、事前に状況を書いてもらう方法があります。有効ですが、質問数を増やしすぎると回答が返ってきません。5問までに絞ってください。

聞くべきことは、現在の職種と勤続年数、いま迷っていることを一文で、すでに誰かに相談したかどうか、面談で決めたいこと、話したくないテーマの5つです。最後の1問が効きます。触れてほしくない領域を先に知っておくと、面談中に地雷を踏みません。

初回の前に、相手の業界の相場を確認しておく

面談で「その年収は妥当ですか」と聞かれる場面は、かなりの確率で発生します。ここで答えられないと、相談の説得力が一気に落ちます。

事前アンケートで職種が分かったら、その職種の水準を確認しておいてください。たとえばIT系の相談が入る見込みがあるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような職種別データで、雇用形態ごとの水準を頭に入れておきます。数字そのものを面談で読み上げる必要はありません。相談者の希望額が市場から大きく外れているかどうかを判断できれば十分です。

技術職の相談を受ける場合は、資格の位置づけも知っておくと会話が通じます。ネットワーク系の求人で名前が挙がるCCNA(シスコ技術者認定)のように、どの資格が採用の場面で実際に効いているのかを把握しておくと、「資格を取れば転職できますか」という質問に踏み込んで答えられます。

単発を継続に変えるために、初回面談を設計する

案件の取り方の話は、実は受注した瞬間で終わりません。1件を継続に変えられるかどうかで、年間の稼働はまったく違うものになります。

継続につながる面談には、共通点があります。それは、面談の最後に「次に確認すること」が相談者側の宿題として残っていることです。たとえば、求人票を3件見てきてもらう、上司との面談で1つだけ質問してみる、家計の固定費を書き出してくる。宿題があると、次の面談に来る理由が自然に生まれます。

逆に、その場で結論を出してしまうと継続しません。悩みが解決したからではなく、次に話すことがなくなるからです。相談者の人生は面談の外で動いているので、その動きを次回に持ち寄る設計にしておきます。

もう1つ、継続を左右するのが料金の見せ方です。単発の相談を何度も受けると、相談者は毎回「今日も払う価値があるか」を判断することになります。この判断を毎回させるのは、相談者にとっても負担です。月2回で3カ月、といった期間つきのプランを用意しておくと、相談者は決断を1回で済ませられます。

期間を区切ることには、もう1つ意味があります。終わりが決まっていると、相談者は依存しにくくなります。相談職でよく起きる問題として、相手が自分で決められなくなる状態がありますが、期間の設定はそれを防ぐ仕組みとして働きます。終了時に「延長するかどうか」をあらためて選んでもらえば、関係が惰性になりません。

記録の残し方も継続に効きます。面談ごとに、話した内容の要点と決めたことを短くまとめて共有しておくと、相談者は自分の変化を確認できます。3カ月前に自分が何に悩んでいたかを読み返せると、続ける意味を本人が実感します。

次の1通を送る前に整えておく4つのこと

ここまでの手順を読んで、すぐに提案文を書き直したくなった方もいると思います。その前に、次の4つを手元にそろえておくと、1通ごとに迷う時間が減り、書き方が安定します。

自分の対応範囲を3行で書いておく

まず、扱える相談と扱わない相談を3行にまとめます。1行目に得意な相談の種類(職場の人間関係、異動や退職の迷い、復職前の不安など)、2行目に扱わない領域(医療的な判断、法的な判断、労務トラブルの代理交渉など)、3行目に扱わない領域に当たったときの案内先の考え方を書きます。これを毎回の提案文の後半に置くだけで、手順4の「扱わない領域を先に書く」がぶれなくなります。

初回面談の時間割をひな形にする

手順3で示した時間割を、自分の標準形として1つ決めておきます。最初の10分で状況を聞く、次の20分で選択肢を書き出す、最後の10分で次にやることを1つ決める、といった形です。案件ごとに時間の配分だけを調整すれば、提案文に毎回具体的な中身を書けるようになります。相談者から見ても、何が起きるかが分かる文章は安心材料になります。

料金表を回数ごとに決めておく

単発の料金、3回の料金、継続契約の月額を、それぞれ数字で決めておきます。金額に迷って提案文の送信が遅れると、それだけで他の人に先を越されます。事前アンケートの有無や面談後のメモの送付など、料金に含まれる作業も一緒に書いておくと、相談者が比較しやすくなります。

記録の扱い方を文章にしておく

相談の内容は、相談者にとって人に知られたくない情報です。面談の記録をどこに保存し、いつ削除するのか、第三者に共有しないことをどう約束するのかを、短い文章にまとめておきます。企業からの継続契約では、報告書に書く範囲と書かない範囲を最初に取り決める必要があるため、この文章がそのまま打ち合わせの資料になります。

この4つが手元にあれば、募集文を読んでから提案文を送るまでの時間が短くなります。浮いた時間は、募集文の言葉を拾うことに使ってください。そこに時間をかけるほど、返信の来かたが変わっていきます。

運営者の視点から見た、相談職の受注が安定する条件

在宅で働く人の市場を20年見てきた立場から言うと、相談系の仕事で受注が安定している人には、はっきりした共通点があります。案件を1件ずつ取りに行っているのではなく、「この人に任せると自分が楽になる」という関係を先に作っています。

具体的には、依頼者から見て手間がかからない。日程調整が早い、記録が整理されている、扱えない範囲を先に言ってくれる。この3つが揃っていると、次の相談も同じ人に回ってきます。相談の質そのものは外から測りにくい領域なので、周辺の運用のなめらかさが評価の代わりになっているのだと考えています。

もう1つ、運営者として見てきた限りでは、中間マージンの有無が働き方の余裕に直結しています。相談職は在庫を持たず、原価のほとんどが自分の時間です。だからこそ、報酬から差し引かれる割合が小さいほど、1件あたりに使える準備時間を長く取れます。同じ予算でも依頼者はより多く頼めて、受け手は手取りが厚くなる。この構造が回っている場では、価格を下げずに関係が続いていく例をよく見ます。

案件の取り方を突き詰めると、結局は「相談者の言葉をどれだけ正確に受け取れるか」に戻ってきます。提案文はその最初の練習台です。募集文をよく読み、相手の言葉で返し、面談で起きることを時間割で見せる。この3つを守るだけで、返信の来かたは変わります。

相談を仕事にする土台として、周辺のスキルを増やしておくことも受注の幅を広げます。オンライン面談の環境や情報の扱いに不安があるなら、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、相談業務と相性のよい資格を確認しておくとよいでしょう。面談の通信が不安定だと信頼を損ねるため、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で回線環境を整えておくことも、地味ですが受注の質に効いてきます。連続で面談を入れる働き方になる場合は、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで紹介されている時間の区切り方が役に立ちます。

焦らなくて大丈夫です。提案文を1通ずつ、相手の言葉を拾いながら書いていけば、必ず届く相手がいます。

よくある質問

Q. 資格がなくても職場・転職相談の案件は取れますか?

民間の相談案件では資格が必須でない募集も多く、実務経験や相談の進め方を具体的に示せるかが重視されます。ただし企業の従業員向け窓口など、有資格者を条件にする募集もあります。無資格で始める場合は、扱う範囲を狭く限定し、対応できない領域を先に明記しておくと信頼を得やすくなります。

Q. 初回の相談料はどう決めればいいですか?

時間単価だけで決めると価格比較になりやすいため、面談後に相談者が持ち帰れるものを基準にしてください。職務経歴書の骨子や条件の優先順位表など、成果物を明記したうえで初回料金と継続プランの回数をセットで提示すると、相談者が予算を組みやすくなります。

Q. 提案文を送っても返信が来ないときは何を直すべきですか?

まず1行目を確認してください。自分の経歴から始まっている場合は、募集文にあった相談者自身の言葉を引用する書き出しに変えます。次に、初回面談の時間配分を分単位で書き足し、料金を数字で明記します。この3点だけで読まれ方が変わります。

Q. 法律や医療にかかわる相談を持ちかけられたらどうすればいいですか?

自分の対応範囲を超える相談は引き受けず、弁護士や労働局の窓口、医療機関などの適切な相談先を案内してください。提案文の段階で扱わない領域を明記しておくと、依頼の入口でミスマッチを防げます。範囲を明示することは信頼を損ねるどころか、専門性の裏づけとして受け取られます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月26日最終更新:2026年9月24日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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