何ができる人か伝わる提案とは、Web運営支援の案件の取り方を考える

中西 直美
中西 直美
何ができる人か伝わる提案とは、Web運営支援の案件の取り方を考える

この記事のポイント

  • Web運営支援の案件の取り方を
  • 提案文の中身から考えます
  • 何ができる人か伝わらない原因

「応募しても、返事がまったく来ないんです」。Web運営支援の仕事を始めたばかりの方から、こういうご相談をよくいただきます。スキルがないから選ばれないのだと思い込んで、自信をなくしてしまう方も多いです。でも、話を聞いていくと、原因はスキルではないことがほとんどです。何ができる人なのかが、提案文から伝わっていない。ただそれだけのことが多いのです。大丈夫ですよ。ここは、書き方を変えるだけで結果が変わる部分です。

「何でもやります」が、いちばん伝わらない

まず、いちばん多いつまずきからお話しします。

提案文に「幅広く対応できます」「何でもやります」「柔軟に対応いたします」と書いていませんか。誠実な気持ちから出てくる言葉だと思います。ところが、この書き方は発注者にほとんど届きません。

理由は単純です。発注者は、目の前にある困りごとを解決してくれる人を探しています。「何でもできる人」ではなく、「うちの、この作業を、この品質でやってくれる人」を探しているのです。

たとえば、飲食店を経営している方が「毎週のSNS投稿が続かない」と困っているとします。そこに「Web全般に対応できます」という提案が届いても、その人の頭の中では自分の困りごとと結びつきません。逆に「週3回の投稿を、原稿作成から予約設定まで代行します。写真はお店で撮っていただいた分を加工して使います」と書かれていたら、明日からの景色が想像できます。

つまり、提案文の役割は「自分を説明すること」ではなく、「相手の来週を想像させること」なのです。ここを入れ替えるだけで、返信率は変わってきます。

そしてもうひとつ。何でもやりますと書く人ほど、実は自分が何を得意としているのか、まだ言葉にできていない段階にいます。これは能力の問題ではなく、整理の問題です。整理は今からできます。

発注者が提案文で見ている3つのこと

では、受け取る側は提案文のどこを見ているのでしょうか。運用の依頼を出す立場の方から聞く話をまとめると、見られているのは次の3点に集約されます。

1つ目:自分の困りごとを分かっているか

冒頭の数行で「この人はうちの状況を読んだうえで書いているな」と伝わるかどうか。ここが最初の関門です。

募集文に書かれた背景を、自分の言葉で言い換えて書くだけで大丈夫です。「更新が止まってしまっているとのこと、日々の営業と並行して続けるのは本当に大変だと思います」。この一文があるかないかで、読み手の姿勢が変わります。

コピー&ペーストの提案文が並ぶ中で、自分の状況に触れてくれている文章は、それだけで目に留まります。特別な技術は要りません。

2つ目:任せたあとの手間が減るか

発注者が本当に恐れているのは、失敗ではなく手間が増えることです。

指示を細かく出さないと動いてくれない、確認のたびに時間を取られる、そういう相手なら自分でやったほうが早い、と考えます。

だから提案文には「こちらで進める範囲」と「ご確認いただきたい範囲」を書きます。「原稿はこちらで作成し、公開前に一覧でお送りします。修正のご指示は箇条書きでいただければ反映します」。この書き方だと、依頼したあとの自分の作業量が想像できます。

3つ目:どのくらいで、いくらなのか

金額と期間が書かれていない提案は、比較の土俵に上がれません。

「ご予算に応じます」は、相手に考える手間を渡す言葉です。目安でいいので、こちらから提示してください。「週3回の投稿代行で月額いくら、初月は設計込みでこの金額」という形です。

ここで金額を書くのが怖い、という気持ちはよく分かります。安すぎても高すぎても嫌われるのではないか、と。でも、書かない提案は選考の前に落ちてしまいます。まずは相場を調べて、そこに自分の作業量を当てはめてみましょう。

「運用できます」を、具体的な言葉に置き換える

抽象的な言葉を具体に変えるだけで、伝わり方は大きく変わります。よく使われる言葉を、置き換えの例として並べてみます。

「SNS運用ができます」は、「週3回の投稿原稿の作成、画像の加工、予約投稿の設定、月末のまとめ報告までを担当します」と書けます。

「サイト更新ができます」は、「お知らせ欄の記事追加、既存ページの文言修正、バナー画像の差し替えを、ご連絡から2営業日以内に反映します」と書けます。

「分析ができます」は、「月に一度、アクセス数の推移、よく見られたページ、流入の経路をA4で1枚にまとめてお送りします」と書けます。

違いは何か。動詞が具体的になっていること、回数や期限が入っていること、成果物の形が見えていること。この3つです。

書けないと感じたら、それは能力がないのではなく、作業を分解したことがないだけです。紙に「その仕事を引き受けたら、月曜から何をするか」を時系列で書き出してみてください。書き出したものが、そのまま提案文の材料になります。

こういう作業は、一人でやると手が止まります。誰かに「これ、具体的に言うと何をするの」と聞いてもらいながらだと進みやすいので、家族や友人に説明してみるのもおすすめです。

返信が来ないのは、あなたの価値の問題ではありません

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。

提案を出しても返事が来ない時期は、必ずあります。そして多くの方が、この時期に「自分には価値がないのかもしれない」と考えてしまいます。

実際に副業でWebデザインをしている方(後述)は、クラウドソーシングで「10件以上営業をかけて、ようやく1件獲得」というリアルな経験をされています。返信率の低さを覚悟して、数をこなすマインドセットが重要です。 出典: liginc.co.jp

10件出して1件。この比率を先に知っているかどうかで、心の消耗がまったく違います。

3件出して返事がなかったとき、比率を知らない人は「向いていない」と結論を出します。知っている人は「あと7件」と考えます。同じ状況なのに、受け取り方がまるで違うのです。

カウンセリングの現場でも、こういうご相談は本当に多いです。返信が来ないという事実そのものより、それを「自分が否定された」と解釈してしまうことのほうが、人を疲れさせます。

だから、応募の記録をつけることをおすすめしています。日付、案件名、返信の有無だけの簡単な表で構いません。数字が並ぶと、感情ではなく確率の話として見られるようになります。

そしてもうひとつ。返事が来ない理由の多くは、こちらとは関係のないところにあります。募集が埋まった、予算が変わった、担当者が別の業務で手一杯。あなたの提案が読まれてすらいないことも、珍しくありません。それは、あなたの問題ではないのです。

応募のペースは、自分の生活に合わせて決める

数をこなすことが大切だとお伝えしましたが、一気に出そうとすると疲れてしまいます。

おすすめは、週に出す件数を先に決めてしまう方法です。週に3件、あるいは平日に1件ずつ。決めておくと、「今日は出したから終わり」と区切れます。区切りがないと、出していない時間がずっと罪悪感になります。

そして、返信が来るかどうかを毎日確認しないこと。確認する時間を1日1回に決めます。何度も見てしまう気持ちはよく分かりますが、見る回数を増やしても結果は変わらず、消耗だけが増えます。

もうひとつ。応募の記録には「出した件数」を残してください。「取れた件数」だけを見ていると、うまくいっていない時期に自分を責めることになります。出した件数は、自分がやったことの記録です。結果に関係なく、そこは確かに積み上がっています。

こういう小さな決めごとが、続ける力を支えます。案件を取ることは短距離走ではなく、生活の一部として長く続けるものだからです。

提案文の型を持っておくと、書くのが怖くなくなる

毎回ゼロから書こうとすると、応募そのものが億劫になります。型を用意しておきましょう。

第1ブロックは、相手の状況への言及です。募集文から読み取った困りごとを、自分の言葉で1文か2文にします。

第2ブロックは、引き受ける範囲です。何を、どのくらいの頻度で、どこまでやるのか。箇条書きで3項目から5項目にまとめます。

第3ブロックは、進め方です。初回の流れ、連絡の手段、確認をお願いする場面。ここが書かれていると、任せたあとの景色が見えます。

第4ブロックは、条件です。金額の目安、対応できる時間帯、開始できる時期。

第5ブロックは、自分についての短い紹介です。ここは最後で構いません。経歴を長く書くより、「この仕事に関係のある経験」だけを2文から3文で書くほうが届きます。

型があると、応募のたびに変えるのは第1ブロックと第2ブロックだけになります。1件あたり15分ほどで書けるようになれば、数をこなすことが苦しくなくなります。

なお、実績がまだない段階の見せ方については、自分で運用しているサイトやSNSを教材として提示するという方法があります。この点は別の切り口になるので、ここでは「実績がないから応募できない」と考えなくていい、とだけお伝えしておきます。

案件を探す経路は5つあります

提案の中身と同じくらい、どこに出すかも結果を左右します。経路ごとに性質が違うので、それぞれの特徴を整理しておきます。

1つ目は、クラウドソーシングです。案件数が多く、始めるハードルがいちばん低い経路です。ただし応募者も多く、価格の競争になりやすい面があります。最初の実績を作る場所として使い、慣れてきたら他と併用するのが現実的です。

2つ目は、在宅ワークの求人媒体です。募集内容が具体的に書かれていることが多く、業務範囲や稼働条件が読み取りやすいのが特徴です。継続前提の運用案件はこちらに出ることが多いです。

3つ目は、直接の営業です。気になる企業や店舗のサイトを見て、更新が止まっている、告知が古いといった具体的な観察を添えて連絡します。返信率は決して高くありませんが、届いたときの成約率は高い経路です。

4つ目は、紹介です。すでに取引のある発注者、以前の職場の同僚、地域のつながり。紹介は選考の過程がほとんど省かれるので、いちばん負担が軽い経路になります。そのぶん、日頃の仕事の丁寧さがそのまま効いてきます。

5つ目は、SNSや自分のサイトからの流入です。時間はかかりますが、続けていると「探さなくても来る」状態に近づきます。すぐに結果が出るものではないので、他の経路と並行して静かに育てるのが向いています。

大切なのは、1つの経路に依存しないことです。ひとつが止まったときに収入がゼロになる状態は、精神的にとても消耗します。2つか3つを細く保っておくだけで、気持ちの余裕がまるで違ってきます。

悪い提案文と良い提案文は、どこが違うのか

具体例で見てみましょう。同じ人が同じ実力で書いても、伝わり方はこれだけ変わります。

届きにくい書き方は、こうです。「はじめまして。Web制作の経験があります。SNS運用、サイト更新、画像加工など幅広く対応可能です。丁寧に対応いたしますので、ぜひよろしくお願いいたします」。

悪い文章ではありません。ただ、読んだ発注者の頭には何も残りません。誰にでも送れる文章だからです。

届きやすい書き方は、こうなります。「お知らせ欄の更新が昨年で止まっているとのこと、日々の業務と並行して続けるのは大変だと思います。まずは月2本のお知らせ記事の作成と公開を担当し、あわせて古くなっている料金ページの文言を整えます。原稿は公開前に一覧でお送りしますので、修正は箇条書きでご指示いただければ反映します。開始は来週から、月額は目安としてこの範囲を想定しています」。

違いは、相手のサイトを実際に見ていることが分かる点、範囲が数字で示されている点、依頼したあとの相手の作業が具体的に書かれている点です。

文章の巧さは関係ありません。見たこと、やること、相手にお願いすることを、順に書いただけです。これなら今日から書けます。

面談では、こちらからも質問してください

書類が通ると、面談やオンラインの打ち合わせに進みます。ここで緊張してしまう方は多いのですが、面談は審査の場であると同時に、こちらが相手を知る場でもあります。

聞いておきたいのは4つです。今いちばん困っていることは何か。これまで更新はどなたがされていたのか。連絡はどの手段で、どのくらいの頻度になりそうか。成果はどうやって判断されるのか。

4つ目は特に大切です。何をもって「うまくいっている」と考えるのかが分からないまま始めると、半年後に評価がすれ違います。アクセス数なのか、問い合わせの件数なのか、更新が止まらないことなのか。相手の中の物差しを、最初に言葉にしてもらいましょう。

質問をすると生意気に思われるのでは、と心配される方がいます。でも実際は逆です。質問がある人のほうが、真剣に検討していると受け取られます。何も聞かない人のほうが、印象に残らないのです。

そして、答えを聞いていて違和感が残ったときは、無理に受けなくて大丈夫です。稼働条件が曖昧、連絡の頻度が読めない、成果の基準が言葉にならない。こうした相手との仕事は、始まってから苦しくなることが多いです。断る勇気も、長く働くための技術のひとつです。

単価を下げて取る前に、考えてほしいこと

「安くすれば取れるのでは」と考える方は多いです。気持ちは分かります。

ただ、単価を下げて取った案件は、そのあとが苦しくなります。作業量は減らないのに報酬だけが低い状態が続き、値上げを切り出すタイミングを失うからです。

それに、極端に安い提案は、発注者側から「品質に不安がある」と見られることもあります。安さは、思っているほど強い武器ではありません。

もし価格で調整するなら、金額を下げるのではなく、範囲を狭めてください。「月額を下げる」のではなく「週3回の投稿を週2回にする」。これなら時間あたりの報酬は守れますし、成果が出たときに回数を戻す形で自然に増額できます。

相場の感覚を持っておくことも大切です。文章の作成や編集が中心の運用なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場、サイトの改修や実装まで含むならソフトウェア作成者の年収・単価相場が、水準を考える手がかりになります。自分の作業がどちらに近いかを見てから、金額を組み立ててみてください。

そして、クラウドソーシングだけに頼り続けないという視点も持っておきたいところです。

実績作りの段階では有効ですが、いつまでもクラウドソーシングだけに頼るのはおすすめしません。単価が低く、競争も激しいため、消耗戦になりがちです。実績が5〜10件たまったら、フリーランスエージェントや求人媒体、直接営業など、他の方法も併用していきましょう。クラウドソーシングから始めて、徐々にリピート案件中心にシフトしていくのが理想的です。 出典: liginc.co.jp

最初の何件かで型と自信を作り、そのあとは別の経路も試す。この順番が、心にも生活にも無理がありません。

断られたあとに、できる小さな一手

見送りの連絡が来たとき、そのまま終わりにしていませんか。ここに、次につながる余地があります。

まず、短いお礼を返してください。「ご検討ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いいたします」。この2行だけで構いません。

そして可能であれば、もう一文添えます。「もし差し支えなければ、どのあたりが合わなかったかを一言いただけますと今後の参考になります」。返ってこないことも多いですが、返ってきたときの情報はとても価値があります。

実際に返ってくる答えは、「予算が合わなかった」「稼働時間が合わなかった」「経験が近い方がいた」といったものが中心です。文章が下手だから、という理由はほとんど出てきません。ここを自分の目で確認すると、思い込みが少し外れます。

もうひとつ。見送りになった相手の情報は、記録に残しておきましょう。半年後に別の募集が出たとき、「以前ご検討いただいた者です」と書けます。前に一度読んだ相手からの連絡は、まったくの初対面より確実に届きやすいです。

断られることは、関係が終わることではありません。時期が合わなかっただけ、という場合が本当に多いのです。

続けるうちに、自分の得意が見えてきます

最初は「何ができる人か」が自分でも分からない、という状態が普通です。それでいいのです。

3件、5件と受けていくうちに、自分がどの作業で楽になれるかが見えてきます。文章を書くのは苦ではないけれど画像の加工は時間がかかる。数字をまとめるのは好きだけれど、細かい入稿は疲れる。この感覚は、実際にやってみないと出てきません。

見えてきたら、提案文を書き換えます。得意なほうを前に出し、苦手なほうは範囲から外すか、時間を多めに見積もる。これを何度か繰り返すと、提案文は自然と自分に合った形になっていきます。

面白いのは、自分が楽にできる作業ほど、相手からは価値のある仕事に見えることが多い点です。自分にとって当たり前だから安く見積もってしまう、というのはよくある行き違いです。

ですから、月に一度でいいので「今月やった作業のうち、いちばん苦にならなかったものはどれか」を振り返ってみてください。その答えが、次の提案の中心になります。

1件目を継続案件に育てる、最初の1か月

案件を取ることと、案件を続けることは別の技術です。そして、長く働くうえで効いてくるのは後者のほうです。

最初の1か月でやってほしいことが3つあります。

1つ目は、初回の打ち合わせで「困っていること」を3つ聞くこと。募集文に書かれていない困りごとが必ず出てきます。それは、次の提案の材料になります。

2つ目は、作業の記録を共有すること。何をいつやったかを簡単に見せるだけで、離れて働く相手からの信頼が積み上がります。特に在宅の仕事では、見えないことが不安につながります。

3つ目は、月末に短い振り返りを送ることです。今月やったこと、気づいたこと、来月やってみたいこと。この3行だけで構いません。次の依頼は、この振り返りから生まれることが多いのです。

こういう積み重ねをしていると、ある時期から応募をしなくても仕事が来るようになります。同じ発注者からの追加依頼、その方からの紹介。ここに到達すると、返信が来ない不安からも解放されます。

案件の幅を知っておくと、提案の角度が増える

Web運営支援と呼ばれる仕事の中身は、想像よりずっと広いです。自分がどの方向に寄せていくかを知っておくと、提案に説得力が出ます。

マーケティングや解析、広告の運用まで含む方向はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に、業務そのものの相談や仕組みづくりに寄る方向はAIコンサル・業務活用支援のお仕事に、実装や改修まで踏み込む方向はアプリケーション開発のお仕事に整理されています。どれが正解というものではありません。自分が疲れずに続けられる方向を選ぶのが、いちばん長持ちします。

提案書や見積書の書き方に自信がないという方には、実務文書の型を体系的に扱うビジネス文書検定の出題範囲が役に立ちます。資格を取ること自体が目的ではなく、条件や範囲を誤解なく書く型を身につけるためです。技術寄りの土台を作りたい場合はCCNA(シスコ技術者認定)の学習範囲が指標になりますし、在宅で通用する資格の全体像は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるにまとまっています。

働く環境も、提案の質に静かに影響します。打ち合わせで映像が止まる、ファイルの送信に時間がかかる。こうした小さなつまずきは、相手の印象に残ってしまいます。在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックも、余裕のあるときに目を通してみてください。

現場を見てきた側からの、ひとつの観察

在宅ワークの仲介を長く運営してきた立場から見ると、案件を継続的に受けている方には、はっきりした共通点があります。提案の文章がうまいことではありません。相手の手間を減らす提案をしていることです。

20年この市場を見てきた立場で言えば、長く続く方は、単発の作業を売っていません。「この人に任せておくと考えることが減る」という状態を売っています。同じ作業をしていても、そこに至れる人と至れない人がいて、その差は文章力よりも、確認の仕方や報告の丁寧さから生まれています。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。中間の手数料が引かれない直接の取引では、発注者は同じ予算でより多くを頼め、受け手は同じ作業量で手取りが厚くなります。金額が大きいという話ではなく、手取りの質が違うという話です。手数料0%という条件は、長く続く月額の運用ほど効き方が積み上がっていきます。

案件の取り方に悩んでいる方へ、最後にひとつだけ。返信が来ない期間は、あなたの価値が下がっている時間ではありません。書き方を整える時間です。何ができる人なのかを言葉にできたとき、同じ実力のまま、届き方だけが変わります。焦らず、一つずつでいきましょう。

よくある質問

Q. Web運営支援の提案文には何を書けばよいですか?

相手の状況への言及、引き受ける範囲、進め方、条件、自己紹介の5ブロックで組み立てます。特に大切なのは範囲の具体性で、「SNS運用ができます」ではなく「週3回の投稿原稿作成、画像加工、予約設定、月末報告まで担当します」のように回数と成果物の形まで書くと、依頼後の景色が伝わります。

Q. 応募しても返信が来ません。実力不足でしょうか?

返信率の低さは一般的なもので、副業でWebの仕事を受けている人でも10件以上応募してようやく1件という経験が語られています。返事が来ない理由は募集終了や予算変更など、こちらと無関係な事情も多いです。応募の記録を表につけて確率として捉えると、消耗しにくくなります。

Q. 単価を下げてでも案件を取るべきですか?

金額を下げるより、範囲を狭める調整をおすすめします。月額を下げると作業量はそのままで報酬だけが低い状態が固定され、値上げを切り出しにくくなります。週3回の投稿を週2回にするといった形なら時間あたりの報酬を守れますし、成果が出たときに回数を戻す形で自然に増やせます。

Q. 1件目を継続案件につなげるには何をすればよいですか?

初回の打ち合わせで募集文に書かれていない困りごとを3つ聞くこと、作業の記録を共有すること、月末に3行の振り返りを送ることの3つが有効です。次の依頼はこの振り返りから生まれることが多く、同じ発注者からの追加依頼や紹介につながると、応募し続ける負担が減ります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月30日最終更新:2026年9月14日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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