事業計画作成支援の案件の取り方は、提案文に業種の理解をどう出すかで決まる


この記事のポイント
- ✓事業計画作成支援の案件の取り方を
- ✓提案文の書き方から整理します
- ✓発注者が見ているのは実績の数ではなく
事業計画作成支援の案件の取り方について、先に結論を書きます。選ばれるのは、その業種で何が説得材料になるかを1行で言える人です。実績の件数でも、資格の有無でもありません。
「事業計画書を作成いたします。丁寧に対応します」という提案文は、届いた瞬間に他の提案と区別がつかなくなります。一方で「飲食店の創業融資であれば、席数と回転数から売上を積んで、原価率と人件費率の根拠を先に固めます」と書いてある提案文は、読んだ側が「この人は分かっている」と判断できます。この違いが受注率を分けます。この記事では、案件がどこにあるのか、提案文で何を見られているのか、業種の理解をどう文章に出すのかを順に整理します。
事業計画作成支援の案件は、どこから出てくるか
まず、案件の発生経路を押さえます。取り方を考える前に、どこに存在するのかを知る必要があります。
経路1: 業務委託の募集に応募する
コンサルティング会社や支援事業者が、作成の実務を外部に出すケースです。募集要件には、財務モデルの作成経験や特定業種の知識が書かれていることが多い。
この経路の利点は、依頼の内容が明確なことです。様式も進め方も決まっているので、提案文では「その要件を満たせるか」だけを書けば通ります。逆に言えば、要件に書かれていないことを長々と書くと減点されます。
経路2: 士業や支援機関の下請けとして関わる
税理士事務所、行政書士事務所、中小企業診断士の事務所などが、繁忙期に外部の手を借りる形です。
この経路では、提案文よりも過去のやり取りの積み重ねが効きます。ただし最初の1件は文章で判断されるので、後述する型は同じように必要です。
経路3: 事業者から直接依頼を受ける
創業する人や中小企業の経営者から、直接依頼を受ける形です。単価は最も高くなりやすい一方、依頼者が事業計画書の相場も進め方も知らないため、提案の段階で説明の負担が大きくなります。
ここで効くのが、業種の理解を先に出すことです。相手は自分の業界の話が通じるかどうかで判断します。
経路4: 紹介による受注
既存の依頼者からの紹介です。これは提案文が不要になる代わりに、最初の1件を丁寧に仕上げることが条件になります。
この4経路のうち、提案文の質が直接効くのは1と3です。まずここで通る文章を作ることが、案件の取り方の中心になります。
発注者が提案文で見ているのは、3点だけ
提案文を受け取る側の視点で整理します。読み手が確認しているのは、次の3点です。
1点目は、この人が自分の業種を分かっているか。これが最も重い。事業計画書は業種によって説得の組み立てが全く違います。分かっていない人に頼むと、ヒアリングの段階から説明の手間がかかります。
2点目は、成果物の範囲が明確か。文章だけなのか、数値計画も含むのか、指定様式への転記までやるのか。ここが曖昧な提案は、後でもめる予感がするので選ばれません。
3点目は、進め方と期日が読めるか。いつヒアリングして、いつ初稿が出て、いつ完成するのか。この見通しが書かれていない提案は、発注の判断ができません。
これ、知らない人が本当に多いんです。多くの提案文は、この3点ではなく自己紹介と意欲の表明で埋まっています。経歴を並べ、丁寧に対応することを約束し、最後に「ご検討よろしくお願いします」で終わる。読み手が知りたい3点が、ひとつも書かれていない。
業種の理解を、提案文にどう出すか
いちばん重要な1点目に入ります。業種の理解を出すとは、その業種の計画書で何が焦点になるかを言い当てることです。
実際の調達事例を見ると、業種ごとに何を軸に組み立てたかがはっきり分かります。
しっかり経験を積んだ美容師さんの独立開業でした。自己資金は400万円。 公庫と地元信金の協調融資で1300万円の調達が完了しました。 事業計画書では、スタイリストとしての実績と強みを中心に差別化集中戦略を 策定しました。プロモーション戦略では、具体的なSNSを使った手法を挙げ、説得力を付けました。 出典: excelbrain.co.jp
美容室の創業では、施術者本人の実績と指名客の存在が売上の根拠になります。つまり計画書の軸は「なぜこの人なら客が来るのか」であり、集客の手段が具体的であるほど説得力が出ます。提案文にこう書けます。「美容室の創業計画では、指名客の見込みと集客手段の具体性が審査の焦点になるため、そこを先に固めてから数値を積みます」。この1行があるだけで、読み手の反応が変わります。
飲食や製造では、焦点が移ります。
洋菓子店 調達金額1,800万円 都内でケーキとジェラートの店を新規開業されたいというお客様でした。業界での経験は十分にありましたが、借入希望額に対する自己資金がやや少ないのが懸念事項でした。 提供するお菓子に特長が有り他社と差別化が図れることから、日本政策金融公庫の「中小企業経営力資金」の制度を利用することにしました。 事業計画では、プロモーション以外にもロスの少ない生産管理方法にも触れ、事業全体の資金の流れを明確にしました。 最終的には公庫と信金の協調融資にして、公庫1,500万円、信金300万円で実行されました。 出典: excelbrain.co.jp
ここで焦点になっているのは、自己資金が少ないという弱点をどう補うか、そして原材料のロスをどう抑えるかです。つまり製造や飲食では、差別化に加えて生産管理と資金の流れが問われます。制度の選び方まで含めて設計しているのも重要な点です。融資制度の要件は年度で変わるため、実際の内容は日本政策金融公庫の案内で確認してください。
法人向けのサービス業になると、また違います。
ITシステムビジネス 調達金額1,200万円 ニッチな分野のITシステム会社の創業案件でした。創業者は業界経験30年近くのベテランで人脈も豊富でした。事業計画書ではターゲット顧客を挙げた上で、現時点での商談状況をリアルに記載し、確かなニーズがあることを訴求しました。また、競合会社との違いや持続的競争優位の源泉についての説明にページを割きました。 売上はストック型になるため、累積される売上の割合と減少する割合をシビアに予測して財務データ作成しました。 出典: excelbrain.co.jp
ここでは、商談の実在と、ストック型収益の積み上がり方が焦点です。つまり売上の作り方そのものが業種で違い、それを数式に落とせるかが問われます。
この3例から言えることは単純です。業種の理解とは、その業種で売上がどう作られるかを知っていることです。席数と回転数なのか、指名客数なのか、契約社数と継続率なのか。ここを提案文で言い当てられれば、実績の数は二の次になります。
業種ごとに、売上がどう作られるかを言語化しておく
提案文で使える引き出しとして、主要な業種の売上構造を整理しておきます。ここが手元にあると、募集を見た瞬間に書き出しが決まります。
飲食店は、席数と回転数と客単価の掛け算です。ここに営業日数が乗ります。焦点は、その回転数が立地と業態で現実的かどうか。原価率と人件費率の水準も必ず問われます。
小売店は、商圏人口と来店率と客単価です。焦点は在庫です。仕入れた商品が売れるまで現金が寝るため、資金繰りの説明が甘いと計画全体の信頼が落ちます。
美容室や整体などの技術サービスは、施術者1人あたりの1日の対応件数と単価、そして再来率です。焦点は集客の手段と、施術者本人の実績。設備投資が先行するため、初期の返済負担をどう見るかも論点になります。
法人向けのサービスやシステム開発は、契約社数と月額単価と継続率です。焦点は商談の実在性。売上がストック型に積み上がる場合は、新規の獲得ペースと解約の割合を両方置かないと、数字が現実離れします。
製造業は、生産能力と稼働率と単価です。焦点は設備の投資回収と、歩留まりやロスの管理。原材料価格の変動をどう織り込むかも問われます。
教育や講座の事業は、受講者数と単価と開講回数です。焦点は集客経路と、講師の稼働上限。人が教える以上、売上には物理的な上限があります。
この6つを覚えておくだけで、提案文の冒頭は書けます。募集に「飲食店の創業融資」とあれば、席数と回転数の話から入る。「システム開発会社の資金調達」とあれば、商談状況と継続率の話から入る。それだけで、汎用の提案文とは別物になります。
もちろん、実際の案件では業態がこの分類に収まらないこともあります。その場合も考え方は同じで、「何が増えれば売上が増えるのか」を最初に特定します。この問いに答えられれば、数値計画の骨組みは自動的に決まります。
悪い提案文と、良い提案文を並べて比べる
抽象論だけだと分かりにくいので、書き出しの違いを具体的に示します。
避けたい書き出しの例は、次のようなものです。「はじめまして。事業計画書の作成を承っております。これまで多数の案件に携わってまいりました。丁寧かつスピーディーに対応いたしますので、ぜひご検討ください」。
問題点は3つあります。業種の話がひとつも出てこないこと、多数という言葉で件数をぼかしていること、そして何を納品するかが書かれていないこと。読み手は判断材料をひとつも受け取れません。
同じ案件に対する、望ましい書き出しの例はこうなります。「飲食店の創業計画では、席数と回転数から売上を積み、原価率と人件費率の根拠を先に固める形が審査で説明しやすくなります。今回の業態であれば、昼と夜で回転数を分けて置くのが実態に合うと考えます。まずヒアリングで想定の席数と営業時間を伺い、周辺の同業の価格帯を調べたうえで数値の骨組みを作ります」。
違いは、業種の焦点が最初にあること、その焦点をどう扱うかが具体的であること、そして最初の一歩が示されていることです。実績の件数には一切触れていませんが、読み手は理解の深さを判断できます。
この書き出しを作るのに必要な時間は、慣れれば10分程度です。募集文から業態を読み取り、売上構造を当てはめ、最初の工程を書く。この10分をかけるかどうかが、受注率の差になります。正直なところ、汎用の文章を10件に送るより、業種を調べた文章を3件に送るほうが結果は良くなります。
提案文の型を、5つのブロックで組む
具体的な文章の構成に落とします。順番に意味があります。
ブロック1: 業種の焦点を1行で示す
冒頭に置きます。自己紹介より先です。「この業種の計画書では、ここが焦点になります」と書く。読み手が最初の3行で判断するので、ここに配置しないと読まれません。
ブロック2: その焦点にどう対応するかを書く
焦点を挙げただけでは足りません。「その根拠を、どの数字と資料で固めるか」を続けます。たとえば「客単価と来店頻度は、周辺の同業の価格帯と商圏人口から算出します」と書けば、進め方が見えます。
ブロック3: 成果物の範囲を箇条で示す
何を納品するかを列挙します。本文の章立て、数値計画の表、指定様式への転記、想定問答。含むものと含まないものを両方書いてください。含まないものを書くのが重要です。
ブロック4: 進め方と期日を示す
ヒアリング、初稿、修正、納品の4段階で日程を出します。修正の回数も明記します。ここまで書いてある提案は、それだけで少数派になります。
ブロック5: 自己紹介は最後に短く
経歴は、その業種と関係する部分だけを書きます。関係のない職歴を並べると、読み手は「業種の理解がないから経歴で埋めている」と受け取ります。
この5ブロックで、A4で1枚程度に収まります。長ければよいというものではありません。読み手は複数の提案を短時間で比較しています。
見積もりと範囲の書き方
提案文で範囲を明確にすると書きましたが、具体的にどう書くかを補足します。
範囲は「工程」で区切ります。ヒアリング1回、市場調査、数値計画の作成、本文執筆、修正2回、形式チェック。この単位で並べると、追加の依頼が来たときに範囲外だと説明できます。
含まないものも明記します。金融機関との面談への同席、提出代行、申請システムへの入力代行、採択後の実績報告。これらは別途の作業です。書いていないと、含まれていると解釈されることがあります。
修正回数の上限は必ず書いてください。事業計画書は、依頼者からも読み手からも修正が入ります。上限がないと、無限に往復します。※ここを書かずに受けて、報酬に見合わない工数になった相談は珍しくありません。
金額については、範囲が違えば比較できません。同じ「事業計画作成支援」でも、文章の整形だけと、数値計画から組むのとでは工数が何倍も違います。相場を調べるときも、提示するときも、範囲を揃えてから比べてください。
提案の前に、30分で調べておくこと
業種の焦点を書くには、下調べが要ります。ただし時間をかけすぎると採算が合いません。30分で終わる範囲を決めておきます。
最初に、その業種の一般的な原価率と人件費率の水準を確認します。業界団体や公的機関の統計、会計ソフトの提供元が公開している業種別の解説などが手がかりになります。freeeやマネーフォワードには業種ごとの経理の勘所がまとまっており、実務の言葉で書かれているぶん短時間で読めます。
次に、その業種で使える制度を確認します。創業融資の枠なのか、業種特有の補助金があるのか。制度は年度で変わるため、必ず一次情報を見てください。制度なら中小企業庁、融資なら日本政策金融公庫が出発点になります。
3つめに、許認可の有無を確認します。飲食なら営業許可、建設なら建設業許可、古物の売買なら古物商許可というように、開業に許認可が要る業種があります。計画書に取得の見通しが書かれていないと、審査で必ず突かれます。※許認可の要否や手続きは業種と自治体で異なるため、行政書士や所管の窓口に確認するのが確実です。
最後に、その業種の一般的な資金の流れを押さえます。現金商売なのか、掛け売りなのか。掛け売りなら回収までの期間はどのくらいか。この違いで資金繰り表の形が変わります。
この4つを30分で押さえておけば、提案文の冒頭は具体的に書けます。全部を完璧に理解する必要はありません。焦点を外さないだけの下調べで十分です。
提案でやりがちな失敗
通らない提案には、はっきりした型があります。
失敗1は、汎用の文章を使い回すことです。業種名だけ差し替えた提案は、読めば分かります。焦点を書けていないので、内容が抽象的になります。
失敗2は、成果を約束することです。「融資が通る計画書を作ります」「採択率を上げます」といった表現は避けてください。結果は審査する側が決めます。約束すると、通らなかったときに責任の話になります。書くなら「審査の観点に沿って説明できる形に整えます」です。
失敗3は、資格を前面に出しすぎることです。事業計画書の作成そのものは、特定の資格がなければできない業務ではありません。ただし、税務の代理や登記の申請など、隣接する業務には資格が必要なものがあります。自分ができる範囲と、専門家に引き継ぐ範囲を分けて書くほうが、かえって信頼されます。※税務や登記が絡む相談は、税理士や司法書士に確認してください。
失敗4は、質問をしないことです。提案の段階で1つか2つ、的確な質問を入れると、理解の深さが伝わります。「開業予定地の商圏はどの範囲を想定していますか」といった質問は、それ自体が業種理解の証明になります。
契約前に、法務まわりで確認しておくこと
案件が決まりそうになったら、着手前に確認する項目があります。ここを飛ばすと、後でもめます。
まず、取引条件の明示です。業務の内容、報酬額、支払期日を、書面または電磁的方法で残してください。フリーランスとの取引では発注者側に条件明示の義務があり、口約束のまま進めるのは双方にとって危険です。制度の考え方は公正取引委員会や厚生労働省の情報で確認できます。
次に、秘密保持です。事業計画には未公開の情報が入ります。取引先名、原価、資金の状況。NDA(エヌディーエー)を結ぶか、業務委託契約に秘密保持条項を入れてください。
そして、成果物の権利です。作成した計画書や数値のひな型を、他の案件で流用してよいかを決めておきます。依頼者固有の情報を除いた汎用の構成であれば流用可能とする、といった整理が一般的です。
最後に、修正と検収の条件です。何をもって完了とするかを決めます。「依頼者が内容を確認し、7日以内に指摘がなければ検収完了」といった形にしておくと、納品後に止まりません。法律はあなたを守る側にありますが、条件を書いていなければ守りようがありません。
納品後に、次の案件へつなげる
案件の取り方は、新規開拓だけの話ではありません。1件を次につなげるほうが効率的です。
納品時に、その計画書がどう使われるかを確認してください。融資の面談があるのか、補助金の申請があるのか。そこで想定問答を追加で提供すれば、次の依頼の入口になります。
提出の結果を聞くことも大切です。通ったかどうかだけでなく、どこを聞かれたかを聞く。この情報が、次の案件での業種理解を深めます。3件も蓄積すれば、その業種については提案文で書ける具体性が一段上がります。
補助金の申請支援に広げるなら、制度の全体像を押さえておく必要があります。公募情報や制度の解説は中小企業庁や中小機構で公開されています。制度は年度で変わるため、案件のたびに一次情報を見に行く習慣が要ります。
提案の返信が来たあと、初回面談までにやること
提案が通ると、次は初回の打ち合わせです。ここでの印象が、範囲や単価の合意に影響します。
面談の前に、質問票を送ってください。事業の内容、想定する顧客、価格の考え方、開業や着手の予定時期、現在の自己資金、いつまでに何が必要か。この6項目を文章で書いてもらうだけで、面談の中身が変わります。
質問票を送る効果は2つあります。1つは、面談を確認と深掘りに使えること。もう1つは、依頼者の準備の進み具合が事前に読めることです。回答が薄い場合、ヒアリングの回数が想定より増えると判断できます。
面談では、進め方の全体像を先に示してください。いつヒアリングを終え、いつ初稿を出し、いつ修正して、いつ納品するか。この予定表を口頭ではなく画面に出して共有すると、認識のずれが減ります。
そして、面談の最後に必ず範囲を口頭でも確認します。書面に書いてあっても、読んでいない依頼者はいます。含むものと含まないものを声に出して確認しておけば、後で範囲外の作業を求められたときに話が早い。
面談後は、その日のうちに議事の要点を送ります。決まったこと、宿題、次の接点。3行で構いません。この習慣がある人は、進行が安定していると評価されます。
断るべき案件を見分けることも、取り方の一部
案件の取り方を考えるとき、取らない判断も同じくらい重要です。合わない案件を1件受けると、その期間は他の提案が出せなくなります。
見送ったほうがよいのは、まず期日が極端に短い依頼です。来週の面談に間に合わせたいという相談は、ヒアリングの時間が取れません。素材が足りないまま数字を置くことになり、結果として質の低い成果物が残ります。
次に、成果を保証してほしいと言われる依頼です。融資の可否や採択の可否は審査する側が決めます。ここを約束させようとする相手とは、条件の合意が成立しません。
3つめに、範囲の合意ができない依頼です。修正回数を決めたくない、納品物の一覧を書きたくないという相手は、着手後も合意ができません。提案の段階で範囲の話が通じるかどうかは、その後の進めやすさを予測する材料になります。
断るときは、理由と代替案を添えてください。今の日程では品質を保てないこと、いつなら着手できるかを書けば、相手は待つか別を当たるかを選べます。丁寧に断った相手から、後日あらためて依頼が来ることは珍しくありません。
市場を長く見てきた立場からの観察
20年この市場を見てきた立場から言えば、案件が途切れない人は、提案の巧拙よりも「業種を絞っている」ことが共通しています。
すべての業種に対応できると書く人は、どの業種の依頼者からも決め手を感じてもらえません。逆に、飲食と小売に絞っていると書く人は、その2業種の依頼が集まります。絞ることで案件が減るのではなく、絞ったほうが選ばれる確率が上がる。これは繰り返し観察される傾向です。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、間に手数料が乗らない直接の取引は、提案の中身を変えます。依頼する側は同じ予算でより広い範囲を頼めるようになり、受ける側は同じ作業でも手取りが厚くなる。手数料0%の意味は金額の大小ではなく、1件にどれだけ時間をかけられるかという質の話です。時間をかけられる前提があると、提案の段階で相手の業種を調べる余裕が生まれ、それが受注率に返ってきます。
業務委託として受けられる仕事は、事業計画作成支援だけではありません。ヒアリングして課題を整理し、資料に落とすという進め方は他の領域でも通用します。業務改善の支援がどう発注されているかはAIコンサル・業務活用支援のお仕事にまとまっており、提案の作り方が近い。市場調査や販促設計に寄せるならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が、技術寄りを見るならアプリケーション開発のお仕事が参考になります。
見積もりを出すときの水準感を持っておくことも、提案の説得力につながります。職種は違いますが、著述家,記者,編集者の年収・単価相場やソフトウェア作成者の年収・単価相場には業務委託の報酬水準がまとまっており、作業の性質による差が分かります。
提案文そのものの精度を上げたいなら、実務文書の型を確認できるビジネス文書検定の範囲が直結します。IT寄りの案件も扱うならCCNA(シスコ技術者認定)のような資格もありますが、受注に効くのは前者です。在宅で使える資格の全体像は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるにまとまっています。オンラインで提案の面談を行う機会が増えるので、在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で回線環境を整えておくと安心です。長時間の資料作成を続ける工夫は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが参考になります。
もう一度、結論を書きます。案件の取り方は、提案文の冒頭1行で決まります。その業種で売上がどう作られるかを言い当てること。そのうえで範囲と期日を明示すること。この2つが揃えば、実績の件数は決定的な要素ではなくなります。
よくある質問
Q. 事業計画作成支援の案件は、どこで探すのが現実的ですか?
発生経路は4つあります。支援事業者による業務委託の募集、士業事務所からの下請け、事業者からの直接依頼、既存の依頼者からの紹介です。提案文の質が直接効くのは業務委託の募集と直接依頼で、まずこの2つで通る文章を作るのが近道になります。
Q. 提案文には、何を最初に書くべきですか?
その業種の計画書で何が焦点になるかを1行で書いてください。自己紹介より先です。飲食なら席数と回転数、美容室なら指名客の見込み、法人向けサービスなら商談の実在と継続率というように、売上の作られ方を言い当てられると読み手の反応が変わります。
Q. 実績が少なくても案件は取れますか?
実績の件数より、業種の理解と範囲の明示が効きます。ただし成果を約束する表現は避けてください。融資が通る、採択されるといった書き方は、結果を審査する側が決める以上、後で責任の問題になります。審査の観点に沿って整えるという書き方が適切です。
Q. 契約前に必ず確認すべきことは何ですか?
業務内容と報酬額と支払期日を書面または電磁的方法で残すこと、秘密保持の取り決め、成果物の流用可否、そして修正回数と検収の条件です。特に修正回数の上限を書かずに受けると、報酬に見合わない往復が続く原因になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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