就業規則に副業禁止をどう記載するか

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就業規則に副業禁止をどう記載するか

この記事のポイント

  • ✓就業規則に副業禁止をどう記載するかを
  • ✓条文例と運用手順の両面から整理しました
  • ✓全面禁止が無効になりやすい理由

就業規則に副業のことを書きたい。ただ、どう書けば有効なのか分からない。全面的に禁止と書いてよいのか、それとも届出だけ求めるべきなのか。この判断に迷って検索する人が増えています。

先に結論を書きます。「副業を一切禁止する」という条文は、書いても無効と判断される可能性が高い。有効に運用できるのは、原則として認めたうえで、支障が出る場合に限って制限する形です。そして条文だけを直しても足りません。届出の書式と、支障が出たときの対応手順まで揃えて初めて機能します。

この記事では、条文の記載例を届出制と許可制の両方で示し、制限できる事由の書き方、違反が発覚したときの処分の可否、労働時間の通算と労災の扱い、届出書に何を書かせるかまでを順に整理します。副業をする側として読む人向けに、どこを見れば自分の会社の規定が有効か判断できるかも最後に書きます。

副業を全面禁止にできるのかという前提

まず押さえるべきは、就業時間の外は原則として労働者の自由な時間だという点です。労働契約は、決められた時間に労務を提供する約束であって、24時間すべてを会社に預ける約束ではありません。

裁判例の傾向として、勤務時間外の副業を一律に禁止する規定は、合理性を欠くものとして効力が制限されてきました。禁止が正当化されるのは、副業によって本業の労務提供に具体的な支障が生じる場合、競業により会社の利益が害される場合、企業秘密が漏れるおそれがある場合、会社の信用や名誉を損なう場合などに限られます。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則も、2018年の改定で方向を転換しました。それまでの「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という遵守事項が削られ、副業や兼業に関する規定が新たに置かれています。この改定以降、「原則禁止」から「原則容認、支障があれば制限」への流れが実務の標準になりました。

ここで注意したいのが、古いひな型をそのまま使っている会社がまだ多いことです。何年も前に作った就業規則を見直していない場合、遵守事項の欄に「会社の許可なく他に雇われ、または自ら事業を営まないこと」という一文が残っています。この条文を根拠に処分を行うと、処分自体が争われたときに会社側が不利になります。

逆に、副業を認めるからといって何も書かないのも危険です。規定がなければ、労働時間の管理も競業の防止も、根拠のないお願いになってしまいます。届出を求める根拠、支障があるときに制限する根拠、そして違反時に処分できる根拠は、条文がなければ立ちません。書かないことと自由にさせることは別の話です。

規則の整備そのものを外部に任せる会社も増えています。就業規則や各種規程の作成、労務管理の代行はどんな依頼が出ているのか、採用・労務・人事代行のお仕事を見ると業務範囲の輪郭がつかめます。

届出制の条文をどう書くか

現在の実務で最も採用されているのが届出制です。事前に届け出させ、会社が支障の有無を確認する。許可を取らせるのではなく、把握することに主眼を置く形です。

条文の記載例を示します。

「第〇条(副業・兼業) 1 従業員は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 前項の業務に従事しようとする従業員は、あらかじめ所定の様式により会社に届け出なければならない。届け出た内容に変更が生じたときも同様とする。 3 会社は、前項の届出内容が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該業務に従事することを禁止し、または制限することができる。  一 労務提供上の支障があると認められる場合  二 企業秘密が漏えいするおそれがある場合  三 会社の名誉または信用を損なう行為があり、もしくは信頼関係を破壊する行為がある場合  四 競業により会社の正当な利益を害するおそれがある場合 4 会社は、従業員が第2項の届出を行わずに他の会社等の業務に従事した場合、または前項各号のいずれかに該当することとなった場合には、第〇条の定めにより懲戒処分を行うことがある。」

第1項で原則を容認と示しておくのが要点です。ここを書かずに届出義務だけを置くと、実質的な許可制と読まれて、制限の根拠が曖昧になります。

第3項の4つの号は、モデル就業規則が示す制限事由に沿った並びです。この4つを条文に列挙しておくと、制限が必要になったときに「どの号に当たるのか」を具体的に説明できます。号を示さずに「会社が認めた場合を除き禁止」と書くと、制限の判断が会社の裁量に見えてしまい、争われたときに説明が難しくなります。

第2項の後半、変更時の届出義務も忘れずに入れてください。副業の内容や時間は変わります。最初は月に数時間だった作業が、半年後に本業へ影響する分量になっていることがあります。変更届の根拠がないと、状況が変わったことを把握できません。

条文の作り方を考える出発点として、公的なモデルや実務書の考え方を参照する価値は高い。

実際に就業規則に副業禁止を定めるにあたって、どのようなアプローチがあるのか、参考となるモデルや具体的な例の考え方を見ていきましょう。 出典: biz.moneyforward.com

許可制にする場合の書き方と限界

業種によっては、届出制では足りない場合があります。同業他社への関与が直接の損失につながる業界、機密性の高い開発に関わる部門、顧客情報を大量に扱う職種などです。

許可制の記載例はこうなります。

「第〇条(副業・兼業) 1 従業員が他の会社等の業務に従事しようとするときは、あらかじめ所定の様式により申請し、会社の許可を得なければならない。 2 会社は、前項の申請について、労務提供上の支障、企業秘密の漏えいのおそれ、会社の名誉または信用の毀損、競業による正当な利益の侵害のいずれもないと認めるときは、これを許可する。 3 会社は、許可後に前項の事由が生じたときは、許可を取り消し、または条件を付すことができる。」

許可制で重要なのは第2項の書き方です。「支障がないと認めるときは許可する」という形にしておくと、許可しない理由の側に説明義務が残ります。逆に「会社が適当と認めたときに限り許可する」と書くと、裁量の幅が広すぎて、不許可の判断が恣意的だと主張される余地が生まれます。

許可制にしても、合理的な理由なく不許可にできるわけではありません。勤務時間外の活動を制限するには、前述の4つの事由に当たる具体的な事情が必要です。つまり、条文の形式が許可制か届出制かにかかわらず、実質的な判断基準は同じです。違いは手続の重さだけだと考えてください。

私の取引先に、ブランドのSNS運用を内製している会社があります。そこは社員の副業を許可制にしていて、同業のアパレルブランドに関わる案件だけを不許可にしていました。競業の範囲を業種で線引きし、それ以外は原則として通す運用です。基準を先に示しておけば申請する側も迷いませんし、会社側も判断がぶれません。運用まで設計されている規定は、この形になっています。

一点だけ、許可制を採るときの実務的な弱点を挙げます。申請の負担が重いと、社員は届け出ずに副業を始めます。把握できなくなるのがいちばん困る事態なので、手続の重さと把握率のバランスを見てください。届出制のほうが実態を掴めるという理由で、許可制から切り替える会社も出ています。

制限できる4つの事由を具体化する

条文に4つの事由を並べただけでは、実際の場面で使えません。それぞれ何が該当するのかを、社内向けの運用基準として具体化しておく必要があります。

労務提供上の支障については、時間と健康の2つで見ます。副業の実働時間が週何時間を超えたら面談する、といった目安を決めておくと運用が安定します。遅刻や早退の増加、業務中の居眠り、本業の成果の明確な低下は、支障の具体的な兆候です。ここは記録が要ります。感覚で「最近たるんでいる」と言っても根拠になりません。

企業秘密の漏えいのおそれについては、職務との近さで判断します。開発中の仕様に触れている社員が、同じ技術領域のコンサルティングを副業で請ける。この構図は、故意の漏えいがなくても情報が混ざるリスクがあります。秘密保持契約の対象と副業の内容が重なるかを、届出書の記載から確認してください。

名誉や信用の毀損については、業務内容そのものが問題になる場合があります。公序良俗に反する業種、会社の顧客層と対立する立場での発信活動などです。ただし、勤務時間外の個人的な表現活動を広く制限すると、今度は表現の自由の側の問題が生じます。会社名を出して発信しているか、業務上知り得た情報を使っているか、という線で切るのが現実的です。

競業については、範囲の定義が要点です。「同業」を広く取りすぎると、事実上あらゆる副業が競業に当たってしまいます。自社の顧客または見込み顧客に対して同種のサービスを提供する場合、という程度に絞ると運用に耐えます。

そして、制限を発動するときの手順を決めておいてください。いきなり禁止を命じるのではなく、面談して事実を確認し、時間や内容の調整を求め、それでも支障が解消しない場合に制限する。この段取りがあると、後で争いになったときに会社の対応の合理性を示せます。

この規定を設けることで、会社は定期的に副業の状況をモニタリングし、もし「最近、残業が増えて顔色が悪いな」と感じた場合に、この条文を根拠として副業の制限や停止を命じることが可能になります。 出典: altruloop.com

違反が発覚したときに処分できるか

届出をせずに副業をしていた社員が見つかった。この場合に懲戒処分ができるかどうかは、違反の性質で分かれます。

手続違反だけの場合、つまり届出を怠っただけで本業への支障も競業もない場合は、重い処分は難しい。裁判例の傾向として、形式的な違反にとどまる事案では、解雇や停職といった処分は重すぎると判断されやすい。まずは注意や指導、書面での警告といった段階から入るのが妥当です。

一方、実質的な支障がある場合は処分の対象になります。競業に当たる業務に従事していた、業務中に副業の作業をしていた、会社の備品や情報を使っていた、といった事情があれば、就業規則の定めに従って処分できます。この場合も、事実の確認、本人への説明の機会、処分内容の相当性という3つの手順は必要です。

処分の根拠条文は、副業の条項とは別に懲戒の条項が必要です。副業の条項に「違反した場合は懲戒処分を行うことがある」と書き、懲戒の条項に処分の種類と該当事由を並べる。この2つが連動していないと、処分を行う根拠が足りません。

発覚の経路にも触れておきます。実務上、副業が発覚するのは本人の申告以外では、住民税の特別徴収額の変化、社会保険の二重加入、取引先からの伝聞、SNSでの発信といった経路です。会社が調査できる範囲には限りがあり、私生活を過度に調べる行為は別の問題を招きます。発覚したら経路を問わず事実確認から始めるのが原則です。

処分の前に検討すべきなのは、そもそも禁止する必要があったのかという点です。支障がないなら、届出を出させて把握する方向に切り替えたほうが、会社にとっても得です。処分は関係を壊しますが、届出制への移行は関係を維持したまま管理できます。

労働時間の通算と労災をどう扱うか

条文の整備で見落とされやすいのが、労働時間の通算です。ここを知らずに副業を認めると、割増賃金の未払いという別の問題が発生します。

A社(本業)とB社(副業)という全く別の会社で働いていても、法律上は「一人の労働者の労働時間」として合計して計算しなければなりません。そして、その合計時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合、その超過分については割増賃金(残業代)を支払う義務が発生します。 出典: altruloop.com

通算が必要になるのは、副業先と雇用契約を結んでいる場合です。副業が業務委託や請負であれば、労働基準法上の労働時間には当たらないため通算の対象になりません。ここが実務上の分かれ目です。

つまり、副業の形態を届出書で必ず確認する必要があります。雇用なのか業務委託なのか。雇用であれば、副業先の所定労働時間と所定外労働の見込みを申告させ、通算した時間が法定労働時間を超える部分について、どちらが割増賃金を負担するかを整理します。原則として、後から契約した側が自らの労働時間を通算して割増賃金を支払う立場になります。

健康管理の側面も重要です。労働時間の通算は割増賃金のためだけではなく、過重労働の防止のためでもあります。本業で残業があり副業でも働いていると、合計の労働時間が健康障害のリスク水準に達します。届出書に副業先の労働時間を書かせ、定期的に更新させる仕組みが必要です。

労災については、それぞれの就業先での業務に起因して発生した災害が、その就業先の労災保険で扱われます。複数の事業所で働く人の給付基礎日額は、それぞれの事業所の賃金額を合算して算定される仕組みが導入されています。通勤災害についても、本業から副業先への移動が通勤に該当する場合があります。こうした制度の詳細は厚生労働省が公表している資料で確認してください。

労務管理の制度設計を体系的に学びたいなら、社会保険労務士の試験範囲に労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法が含まれており、副業をめぐる論点の大半がここに入っています。人事労務の実務に関わる人の報酬水準は庶務・人事事務員の年収・単価相場で確認できます。

届出書に書かせる項目と運用の実際

条文よりも運用を左右するのが届出書の様式です。何を書かせるかで、把握できる情報の質が変わります。

最低限、次の項目を入れてください。

・副業先の名称と所在地、事業内容
・契約の形態(雇用、業務委託、請負、自身の事業のいずれか)
・従事する業務の具体的な内容
・就業する曜日と時間帯、1か月あたりの見込み時間
・雇用の場合は所定労働時間と所定外労働の見込み
・開始予定日と契約期間
・本業の業務に支障を生じさせないことの確認欄
・秘密保持義務を遵守することの確認欄

このうち事業内容と業務内容は、具体的に書かせてください。「Web関連」だけでは競業の判断ができません。どの業界の、どんな顧客に対して、何を提供するのか。3行程度で書かせる欄を設けると、判断に必要な情報が集まります。

そして、変更時と更新時の運用を決めます。半年ごとに現況報告を出させる形が現実的です。年1回だと実態と乖離しますし、毎月では負担が重すぎます。

社内への周知も忘れてはいけません。規定を作っても、社員が知らなければ届出は出てきません。就業規則の変更は労働者への周知が効力の前提になるので、変更したら説明の場を設け、様式の置き場所を案内してください。労働者代表からの意見聴取と労働基準監督署への届出も必要な手続です。

副業を認める方向で規定を整える会社は、採用の場面でも有利になります。副業の可否は求職者が確認する項目のひとつで、規定が整っていることは働き方の柔軟性を示す材料になります。キャリアの相談や副業の始め方をめぐる需要は増えていて、キャリア・副業・人生相談のお仕事にはこうした相談を請ける業務が並んでいます。

副業を認める側に回るメリットと整備の順番

禁止から容認へ切り替えるとき、社内で必ず聞かれるのが「認めて会社に何の得があるのか」です。実利の面から3つ挙げます。

1つ目は離職の抑制です。収入や経験の面で物足りなさを感じている社員は、副業ができないなら転職を検討します。外で小さく試せる状態を作ると、辞めずに中で続ける選択肢が残ります。給与の総額を上げずに満足度を上げられる、という点が経営側にとっての現実的な利点です。

2つ目は技能の持ち帰りです。社内では触れない領域の仕事を外で経験した社員は、その知見を本業に持ち込みます。特にデジタル系の技能は、外部の案件を通すことで最新の実務が入ってきます。研修費を払って学ばせる代わりに、外の現場で学んでもらう形だと考えると理解しやすい。

3つ目は採用の場面です。求職者が募集要項で確認する項目に副業の可否が入るようになりました。「副業可(届出制)」と書けることは、給与を上げずに差をつけられる条件のひとつです。制度として整っていることが、働き方への姿勢の表明になります。

整備の順番はこうしてください。第1に、現在の就業規則に古い禁止条項が残っていないかを確認する。第2に、方針を届出制と許可制のどちらにするかを決める。第3に、条文案を作り、懲戒条項との連動を確認する。第4に、届出書の様式を作る。第5に、労働者代表から意見を聴取し、変更した規則を周知して、労働基準監督署へ届け出る。第6に、運用開始後の現況報告のサイクルを決める。

このうち抜けやすいのが第4と第6です。条文だけ整えて様式を作らないと、届出が口頭になり記録が残りません。現況報告のサイクルを決めないと、初回の届出だけで実態が更新されなくなります。条文の整備は入口にすぎず、運用の器を作るところまでが一連の作業です。

規程の作成や労務手続の代行は、在宅で完結しやすい業務のひとつです。契約書や社内規程の作成でどんな依頼が出ているかは契約書・資料・企画書作成のお仕事にまとまっています。

よくある失敗と、規定の点検リスト

実際に見てきた失敗を挙げます。自社の規定を点検する材料にしてください。

1つ目は、遵守事項と副業条項の二重構造です。副業の条項を新しく追加したのに、古い遵守事項に残っている「会社の許可なく他に雇われないこと」を削り忘れる。この状態だと、原則容認と原則禁止が同じ規則の中に並ぶことになり、どちらが優先するのかが読めません。条文を追加したら、関連する条項を全文検索して整合を取ってください。

2つ目は、懲戒条項との接続漏れです。副業条項に「懲戒処分を行うことがある」と書いても、懲戒条項の該当事由に副業に関する違反が並んでいなければ、処分の根拠が不完全になります。両方の条文を突き合わせて確認する作業が必要です。

3つ目は、制限事由の抽象化です。「会社が不適当と認める場合」という一文だけを置くと、制限の判断が説明できなくなります。4つの事由を具体的に列挙し、社内の運用基準でさらに具体化しておくのが安全です。

4つ目は、周知の欠落です。就業規則は、労働者に周知されて初めて効力を持ちます。社内の共有フォルダに置いただけで説明していない状態は、周知として不十分と判断される余地があります。変更時に説明の機会を設け、いつどう伝えたかを記録に残してください。

5つ目は、雇用と業務委託の区別をしないまま運用することです。労働時間の通算が必要かどうか、社会保険の二重加入が生じるかどうかは、契約の形態で変わります。届出書に形態の記載欄がないと、判断できないまま時間が過ぎます。

点検の観点をまとめると、次の6点になります。古い禁止条項が残っていないか。原則を容認と示しているか。制限事由が4つ列挙されているか。懲戒条項と接続しているか。届出書の様式があり契約形態を書かせているか。周知と現況報告の運用が決まっているか。この6点が揃っていれば、条文としては実務に耐えます。

規定を変えた後に起きる質問への答え方

運用を始めると、社員から同じ質問が繰り返し来ます。あらかじめ答えを用意しておくと、担当者の負担が減ります。

「実家の家業を手伝う場合も届出が必要か」。必要です。報酬の有無を問わず、他の事業に従事する事実を把握するのが届出の目的だからです。ただし、支障が生じる見込みがなければ制限はしません。届出と制限は別の手続だと説明してください。

「フリマアプリでの物販は副業に当たるか」。反復継続して営利目的で行う規模なら、事業として届出の対象に含めます。私物の不要品を売る範囲は対象外です。線引きの基準を金額や頻度で示しておくと、判断で迷いません。

「休職中や育児休業中の副業はどうなるか」。休業の目的と整合するかで判断します。傷病による休職中に副業で働いていれば、療養の実態が問われます。ここは個別の事情が絡むので、一律に可否を決めず面談で確認する運用にしてください。

「副業の収入は会社に知られるのか」。住民税の特別徴収を通じて総額の変化が見える場合があります。ただし会社が内容を調べる権限はありません。届出制の意味は、隠す必要をなくして働きやすくすることだと伝えると、制度への納得が得られます。

20年この市場を見てきた立場からの観察

フリーランスと発注企業の取引を長く見てきた立場から言えば、就業規則の副業規定は、会社が社員を縛るための道具としてよりも、社員が安心して外の仕事を受けるための足場として機能しています。

規定が曖昧な会社の社員は、副業を隠します。隠すと請けられる仕事の種類が狭まります。実名を出せない、請求書に本名を書きたくない、日中の打ち合わせに出られない。結果として、単発の軽い作業しか受けられなくなります。これは会社にとっても損です。社員が外で身につけるはずだった経験が育たないからです。

運営者として見てきた限りでは、長く続いている人ほど、最初に会社の規定を確認して、届出を出したうえで始めています。条文を読んで、届出書を出して、範囲を明示して受ける。この順番を踏んだ人は、本業と副業の両方で信頼を落としません。逆に隠したまま規模を広げた人は、どこかで住民税や社会保険の手続で露見して、そこで一度止まります。

もう1つ観察を述べると、中間業者が層になっている取引ほど、副業をする側の立場が弱くなります。誰が発注者なのか分からないまま作業だけを請けると、業務内容を会社に説明できません。届出書の「業務内容」の欄が書けない案件は、受けるべきでない案件だと考えたほうがいい。中間マージンが乗らない直接取引には、手数料0%という手取りの厚さに加えて、相手が誰かをはっきり書けるという実務上の利点があります。届出を出す側にとって、これは金額以上に効きます。

副業する側として自社の規定を読むときは、3点だけ確認してください。1つ、全面禁止と書いてあるか。書いてあれば、その条文は効力が制限される可能性が高いので、人事に届出の運用を確認する余地があります。2つ、届出制か許可制か。届出制なら出せば始められます。3つ、制限事由が具体的に列挙されているか。列挙されていれば、自分の副業が該当しないことを説明できます。

規定を整える側も、読む側も、目的は同じです。本業に支障を出さず、情報を守り、競業を避ける。この3点が守られていれば、副業は双方にとって不利益になりません。条文は、その3点を確認するための道具として書いてください。

よくある質問

Q. 就業規則に「副業を一切禁止する」と書いても有効ですか?

勤務時間外の副業を一律に禁止する規定は、合理性を欠くものとして効力が制限される可能性が高いです。制限が認められるのは、本業の労務提供に支障が出る場合、企業秘密の漏えいのおそれがある場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業により正当な利益を害する場合に限られます。

Q. 届出制と許可制はどちらを選ぶべきですか?

実質的な判断基準は同じで、違うのは手続の重さだけです。実態を把握したいなら届出制、競業や機密のリスクが高い業種なら許可制が向きます。許可制は申請の負担が重く未申告を招きやすいため、把握率を優先して届出制に切り替える会社も出ています。

Q. 届出をせずに副業していた社員を処分できますか?

本業への支障も競業もなく手続違反だけなら、解雇や停職は重すぎると判断されやすく、注意や書面警告から始めるのが妥当です。競業に当たる、業務時間中に作業していた、会社の情報を使ったといった実質的な違反があれば、懲戒条項に基づく処分の対象になります。

Q. 副業の労働時間は本業と合算する必要がありますか?

副業先と雇用契約を結んでいる場合は、労働時間を通算して法定労働時間を超える部分に割増賃金が発生します。業務委託や請負であれば労働基準法上の労働時間には当たらず通算の対象外です。届出書で契約形態と就業時間を必ず申告させてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月29日最終更新:2026年10月13日
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