子育てしながら特別支援学校で働く|シフトの融通と、頼れる制度

長谷川 奈津
長谷川 奈津
子育てしながら特別支援学校で働く|シフトの融通と、頼れる制度

この記事のポイント

  • 子育てしながら特別支援学校で働くために
  • 勤務時間の実態と使える制度を整理しました
  • スクールバス添乗や行事が家庭に与える影響

子育てをしながら特別支援学校で働けるかどうか。結論から言うと、働けます。ただし、勤務時間の表記だけを見て判断すると、必ず想定が外れます。

理由は3つあります。スクールバスの添乗で朝が早くなること、行事と現場実習の時期に負荷が集中すること、そして長期休業中も勤務日であることです。この3つは、求人票の「勤務時間8時30分から17時15分」という1行からは読み取れません。

一方で、使える制度は想像よりずっと多い。育児休業、部分休業、育児短時間勤務、子の看護等休暇。しかも、これらは正規の教諭だけのものではありません。会計年度任用職員でも、要件を満たせば使える制度があります。これ、知らない人が本当に多いんです。

この記事では、特別支援学校という職場の1日がどう動いているかを押さえたうえで、制度を実際にどう組み合わせるかを書きます。

この職場の1日は、子育てと相性がいい部分と悪い部分がはっきりしている

まず、良い面から。

特別支援学校は、児童生徒の下校が早い学校がほとんどです。スクールバスの運行に合わせて時間割が組まれるため、小学校や中学校より放課後の開始が早くなります。学校によっては14時台には下校が始まります。

放課後に部活動の指導がある学校も限られます。中学校で問題になってきた休日の部活動指導という負担は、特別支援学校では基本的にありません。高等部で部活動を設けている学校はありますが、規模も活動日数も限定的です。

つまり、放課後の時間を記録や準備に充てられるぶん、持ち帰り仕事が少なくて済む構造にはなっています。

ここからが、悪い面です。

スクールバスの添乗がある学校では、朝が早くなります。バスの到着が始業の30分前なら、その時刻には昇降口に立っていなければなりません。自分の子どもを保育園に預けてから出勤する場合、この30分が致命的になることがあります。保育園の開園時刻が730分で、通勤に40分かかるなら、計算が合わなくなる。

次に、行事です。運動会や学習発表会の準備は、児童生徒一人ひとりの参加の仕方を個別に設計するため、準備の量が多くなります。この時期は放課後の会議が増え、退勤が遅くなります。高等部を持つ学校では、秋の現場実習の時期に担当教員が学校を離れるため、校内に残る職員の負担が上がります。

そして、長期休業中の勤務です。児童生徒が登校しない期間も、教職員の勤務日は続きます。校内研究の進行、次学期の教材準備、外部研修への派遣。研究指定を受けている学校では、この時期に研究授業の準備が集中します。「夏休みは子どもと過ごせる」と考えて入ると、想定が外れます。

つまり、相性を決めるのは職場の平均的な忙しさではなく、朝の拘束と、負荷が集中する時期をどう乗り切るかという設計の問題です。

使える制度を、要件とセットで押さえる

ここからが本題です。公立学校の教諭として働く場合に使える制度を、根拠と要件つきで整理します。

産前産後休暇。労働基準法第65条に基づき、産前6週間(多胎妊娠は14週間)、産後8週間が確保されます。公立学校の教職員は条例で定められており、有給扱いとなる自治体が一般的です。

育児休業。地方公務員の育児休業等に関する法律に基づき、子が3歳に達する日まで取得できます。ここは民間と大きく違う点です。民間企業の育児休業は育児介護休業法により原則として子が1歳まで、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳までです。つまり、公務員のほうが期間が長い。

ただし注意点があります。育児休業中の給与は支給されません。共済組合から育児休業手当金が支給されますが、支給期間は原則として子が1歳(要件を満たせば延長あり)までです。つまり、3歳まで休めるからといって、3年間手当が出るわけではありません。ここを勘違いすると、家計の見通しが狂います。

部分休業。同法に基づき、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員は、12時間を超えない範囲で勤務しないことができます。始業を遅らせる、終業を早める、あるいは両方に分ける。減額された分の給与は支給されませんが、身分は常勤のまま維持されます。

つまり、朝のスクールバス添乗が厳しい場合、部分休業を使って始業を遅らせるという解決策があります。

育児短時間勤務。同じく小学校就学の始期に達するまでの子が対象で、週あたりの勤務時間を短縮する制度です。勤務形態のパターンは法令で定められており、週5日で1日あたりを短くする形や、週3日勤務にする形などがあります。

育児時間。労働基準法第67条により、生後満1年に達しない子を育てる女性は、12回、各30分の育児時間を請求できます。

子の看護等休暇20254月の育児介護休業法改正で、名称が「子の看護等休暇」に変わり、対象となる子の年齢が小学校3年修了までに拡大しました。取得できる事由にも、感染症に伴う学級閉鎖や、入園式と卒園式などの行事が加わっています。日数は子が1人なら年5日、2人以上なら年10日が基準です。

時間外勤務の制限と免除3歳に満たない子を養育する場合、所定外労働の免除を請求できます。小学校就学前の子を養育する場合は、時間外勤務を月24時間、年150時間以内に制限するよう請求できます。深夜業の制限もあります。

つまり、行事の準備で遅くなる時期に、制度として時間外を断る根拠があるということです。※請求には所定の手続きが必要なので、必ず事前に人事担当へ申し出てください。

会計年度任用職員でも、制度は使えます

ここが、いちばん誤解されている部分です。

支援員や介助員、非常勤講師として働く人の多くは、地方公務員法第22条の2に定める会計年度任用職員です。任用期間が1会計年度以内と区切られているため、「非常勤だから制度は使えない」と思い込んでいる方が非常に多い。

そんなことはありません。

育児休業については、地方公務員の育児休業等に関する法律が非常勤職員も対象としています。以前は「引き続き在職した期間が1年以上であること」という要件がありましたが、2022年の改正でこの要件が見直され、取得しやすくなりました。ただし、子の年齢や任用の見込みに関する要件は残っています。

つまり、「非常勤だから無理」ではなく、「自分が要件を満たすかどうかを確認する」が正しい対応です。

産前産後休暇についても、労働基準法第65条は雇用形態を問わず適用されます。妊娠中の女性が請求した場合の軽易な業務への転換(同法第65条第3項)も同様です。男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置、たとえば通勤緩和や休憩に関する措置も、非常勤を除外していません。

子の看護等休暇も、育児介護休業法の対象です。日々雇用される者などの例外はありますが、一般的な会計年度任用職員は対象になります。

期末手当と勤勉手当については、2020年の制度開始で期末手当の支給が可能になり、20244月からは勤勉手当も支給できるようになりました。ただし、支給するかどうかと金額は自治体の条例で決まります。同じ仕事でも、自治体によって差が出るのはこのためです。

※制度の詳細は各自治体の条例と規則で定められています。募集要項に書かれていなくても、人事担当に問い合わせれば教えてもらえます。聞くことは権利の行使であって、印象を悪くする行為ではありません。

妊娠が分かってから復帰するまで、何を順番に届け出るか

制度を並べただけでは動けません。実際の手順に落としておきます。

最初にするのは、管理職への報告です。妊娠が分かった段階で、できるだけ早く伝えてください。特別支援学校は身体介助のある職場です。移乗、抱き上げ、パニック時の対応。妊娠中に避けたほうがよい業務が具体的に存在します。報告が遅れるほど、配慮のしようがなくなります。

報告のあと、業務の調整を相談します。労働基準法には、妊娠中の女性が請求した場合に軽易な業務へ転換させる規定があります。男女雇用機会均等法にも、医師の指導に基づく措置を講じる義務が定められています。母性健康管理指導事項連絡カードという様式があり、医師から受けた指導内容を職場へ伝えるために使えます。口頭で「無理をしないように言われました」と伝えるより、書面で出したほうが職場も動きやすい。

次が、産前産後休暇の請求です。産前は本人の請求により、産後は本人が請求しなくても就業が禁止されます。学校としては、その期間の授業と担任業務をどう回すかを決める必要があるため、時期が分かった段階で人事担当へ連絡します。代替の講師を配置する手続きには時間がかかるので、早いほうが確実です。

続いて、育児休業の申し出です。取得予定の期間を示して申し出ます。ここで、復帰予定時期を仮でもよいので決めておくと、学校側も年度の見通しを立てられます。期間の変更は可能なことが多いので、最初から完璧に決める必要はありません。

復帰前には、もう一度相談の機会を持ってください。部分休業を使うのか、育児短時間勤務にするのか、フルタイムに戻るのか。復帰後の勤務形態によって、担任を持つかどうか、どの分掌に入るかが変わります。年度の途中で復帰する場合は、校内の体制が固まっているため、選べる余地が狭くなることも知っておいてください。

手続きの窓口は、学校の事務室と、任命権者である教育委員会に分かれます。どちらへ出す書類なのかを最初に整理しておくと、やりとりの往復が減ります。

保育園と学童の時間が、勤務時間と噛み合うか

もうひとつ、制度では解決できない部分があります。子どもを預ける先の時間です。

特別支援学校の職員は、通勤距離が長くなりやすい。都道府県立の学校は広域に配置されているため、自宅の近くに勤務先があるとは限らないからです。そうすると、保育園の送迎時間と勤務時間の間に、通勤時間が大きく挟まります。

計算してみてください。保育園の開園が朝の早い時間で、通勤に片道の時間がかかり、そこにスクールバス添乗の拘束が乗る。この3つを足して始業時刻に間に合うかどうかが、最初の関門です。

延長保育を使えば解決する場合もありますが、延長には上限時刻があります。行事の準備で退勤が遅くなる時期に、その上限を超えないかを確認しておいてください。ファミリー・サポート・センターなど、市区町村が実施する送迎の支援制度を併用している人もいます。

小学校に上がると、別の壁が来ます。学童保育の終了時刻です。保育園より早く終わる自治体もあり、預けられる時間がむしろ短くなることがあります。学年が上がると学童の対象から外れる地域もあります。

自分の子どもに支援が必要な場合は、放課後等デイサービスの利用という選択肢もあります。利用には市区町村の受給者証が必要で、申請から交付までに時間がかかります。事業所の空き状況も地域によって差が大きい。働き始める時期が決まっているなら、逆算して早めに動いてください。

そして、預け先の確保は勤務先の制度とは別の手続きです。学校の人事担当に相談しても解決しません。住んでいる市区町村の子育て支援の窓口が担当です。※就労証明書の発行は勤務先に依頼する必要があるので、申請のスケジュールは職場にも共有しておいてください。

配属先の選び方で、家庭への影響が変わる

制度で守れる部分と、配属で決まる部分があります。後者について整理します。

学部。小学部は身体介助の量が多く、体力の消耗が大きい。中学部は体格が大人に近づき、力が必要な場面が増えます。高等部は現場実習の引率や企業訪問があり、校外に出る時間が長くなります。

子育て中で通勤時間を読みたい人にとっては、校外に出る機会が少ない学部のほうが計画を立てやすい。ただし、学部の希望が通るとは限りません。

分掌。進路指導部は、高等部の実習時期に外部との折衝が集中します。研究部は、研究授業や紀要の作成が長期休業中に入ります。保健部は、感染症の流行期に対応が増えます。行事の主担当になると、その時期の退勤時刻は読めなくなります。

管理職との面談で希望を伝える機会があるなら、「行事の主担当は難しい」と具体的に言ってください。「忙しいので配慮してほしい」では伝わりません。

通勤時間。特別支援学校は広域から通学する学校なので、職員の通勤距離も長くなりがちです。都道府県立の学校であれば、異動先が自宅から遠くなる可能性があります。異動の範囲を確認してから受験する自治体を選ぶ、という考え方は現実的です。

保育や幼児教育の経験がある人は、幼稚部や小学部低学年での関わりに強みが出ます。働き方の選択肢を比べるときは、保育士の年収・単価相場に地域別や施設形態別の水準がまとまっているので、生活設計の材料として見ておく価値があります。

保護者との関係が、思った以上に時間を使う

子育てしながら働くうえで、見落とされやすいのが保護者対応の重さです。

言葉での意思表示が難しい児童生徒の場合、学校での様子を家庭に伝える手段は教員の記録だけになります。連絡帳の記入量が多く、電話でのやりとりも発生します。放課後に電話が入れば、その時間は退勤が遅れます。

そして、保護者の側にも事情があります。就学前から療育に通い、医療機関を回り、制度を調べてきた家庭が多い。学校に対する期待も不安も大きいのが自然です。

こんな頭の固いところに子どもをやっていいのか…学校と関係を築けるのか…と悩んだし、実際、特別支援学校は特別支援学校でデメリットもありますから、仕方ないからいいとこだけ見ようと思いましたが、当時はなかなかそういう気持ちになりませんでした。 出典: nanahoshihiroba.com

保護者がこういう気持ちで学校を見ていることを知っておくと、対応の仕方が変わります。何かを教える立場に立とうとせず、「家庭ではどうされていますか」を先に聞く。この順番を守るだけで、やりとりにかかる時間はむしろ短くなります。

同時に、抱え込まないでください。保護者から個人的な事情を打ち明けられたとき、一人で受け止めると時間も気力も削られます。学校として共有し、管理職やスクールカウンセラーにつなぐ。これは冷たい対応ではなく、組織として対応するための正しい手続きです。

やりとりの記録も、その日のうちに残してください。いつ、誰に、何を伝えたか。電話の内容も含めます。※「言った、言わない」になったときに立場を守るのは、記憶ではなく記録です。

求人票と面接で、必ず確認すること

子育てとの両立を前提に応募するなら、確認すべき項目は決まっています。

スクールバス添乗の有無。これが最優先です。添乗があるなら、始業の何分前に立つ必要があるかまで聞いてください。

勤務時間と休憩の実態。休憩が下校後に設定されているのが通常です。給食の時間は支援の時間であって休憩ではありません。

時間外勤務の実績。行事の時期に、どのくらい退勤が遅くなるか。月平均ではなく、いちばん忙しい月の実績を聞いてください。

長期休業中の勤務内容。年次有給休暇を取りやすい時期なのか、研修や研究で埋まるのか。ここは学校差が大きい部分です。

制度の利用実績。「部分休業を使っている職員はいますか」と聞くのが最も確実です。制度があることと、使える空気があることは別です。実績があれば、前例として話が通りやすくなります。

任用期間と手当(会計年度任用職員の場合)。任用期間の明記、再度の任用の有無、期末手当と勤勉手当の支給。ここは条例で決まるので、募集要項に記載がなければ問い合わせてください。

面接で条件を聞くことをためらう方がいますが、これは交渉ではなく確認です。働き始めてから「聞いていない」となるほうが、双方にとって損になります。

自分の状況をどう説明すれば伝わるかを整理しておきたいなら、相談実務の考え方が参考になります。職場・転職・キャリア相談のお仕事には、相談を受ける側が話をどう整理するかがまとまっていて、自分の条件を言語化する型として使えます。

復帰後の働き方を、先に設計しておく

育児休業から復帰したあと、どう働くか。ここを休業に入る前に考えておくと、復帰後の消耗がまったく違います。

選択肢は主に3つです。

ひとつめ、フルタイムで復帰して担任を持つ。収入は維持できますが、行事の時期の負荷を制度でどう切るかを決めておく必要があります。時間外勤務の制限を請求し、行事の主担当は外してもらう。この2点を管理職と合意しておくことが前提になります。

ふたつめ、部分休業を使って始業か終業をずらす。給与は時間分減りますが、身分は常勤のまま維持されます。保育園の送迎と勤務時間がどうしても合わない場合、これがいちばん現実的です。

みっつめ、育児短時間勤務を使う。勤務日数や時間を大きく減らせるぶん、給与の減額も大きくなります。ただし、共済の加入は継続されます。

どれを選ぶにしても、共通して重要なのは引き継ぎの設計です。特別支援学校は、児童生徒一人ひとりの情報量が多い職場です。自分が休む間、あるいは短時間勤務になる間、誰がどの情報を持つのか。個別の指導計画と日々の記録が整理されていれば、引き継ぎは短時間で済みます。記録を整えておくことが、そのまま自分の働きやすさになります。

介助や生活支援の比重が高い働き方の報酬水準を比べておきたい人は、介護職員の年収・単価相場で経験年数や地域による差が確認できます。復帰後に勤務形態を変える場合、収入がどう変わるかを事前に見積もる材料になります。

制度を使う前に、勤務先の実態を一度だけ確認する

制度の条文を読んだだけでは、実際に使えるかどうかは分かりません。運用する側の慣習が、条文とずれていることがあるからです。

確認しておくとよいのは、次の三点です。ひとつ、その制度を実際に使った職員が校内にいるか。ふたつ、申請の書類はどこで受け取り、どこへ提出するのか。みっつ、申請から承認までにどのくらいの日数がかかるのか。

この三点を事務室で聞いておくだけで、実際に申請するときの迷いがなくなります。前例がある制度は手続きが早く進みますし、前例がない制度でも、事務室が調べる時間をあらかじめ見込めます。

聞きにくいと感じる方もいますが、事務室の職員にとっては日常業務です。制度の利用希望を伝えることで不利益な取り扱いを受けることは、法律で禁じられています。※育児介護休業法は、制度の申し出や利用を理由とする不利益取扱いを明確に禁止しています。

制度は、パートナーと両方で使うもの

最後に、見落とされやすい点を書いておきます。育児に関する制度は、母親だけのものではありません。

育児休業は、父母がともに取得できます。地方公務員であれば、父親も子が3歳に達する日まで取得の対象です。民間企業に勤めるパートナーであれば、育児介護休業法に基づく制度が適用されます。2022年には出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休が創設され、子の出生後8週間以内に4週間まで、2回に分けて取得できるようになりました。

子の看護等休暇も、父母それぞれが取得できます。つまり、子どもが1人であれば母親に年5日、父親にも年5日の枠があるということです。両方を使えば、実質的に使える日数は倍になります。

時間外勤務の制限や深夜業の制限も、性別を問わず請求できます。パートナーが請求していないだけ、というケースは非常に多い。

なぜこれを強調するかというと、特別支援学校は行事や現場実習の時期に負荷が集中する職場だからです。その時期に、パートナー側が休みを取れる体制になっていれば、乗り切れます。逆に、片方だけが全部を引き受ける設計にしていると、その時期ごとに限界が来ます。

やることは単純です。年度の始めに、学校の年間行事予定を見て、忙しくなる時期をパートナーと共有する。運動会、学習発表会、修学旅行、現場実習、年度末の引き継ぎ。それぞれの時期に、どちらが家庭を回すかを先に決めておく。

これは家庭内の話し合いですが、制度の知識がないと選択肢が見えません。パートナーの勤務先にどんな制度があるかを、一度二人で確認してみてください。就業規則に書いてあります。※労働者が請求できる権利であって、会社の裁量で拒否できるものではない制度が多く含まれています。

運営者として見てきた、両立を続けられる人

フリーランスと在宅ワークの市場を20年見てきた立場から言うと、子育てと仕事を両立し続けている人には共通点があります。使える制度を、遠慮せずに先に押さえていることです。

制度を使わずに頑張る人は、一時的には評価されます。ただ、その状態は続きません。そして、限界が来たときに選べる選択肢が減っています。逆に、早い段階で制度を使って働き方を設計した人は、長い目で見ると仕事を手放さずに済んでいます。

運営者として見てきた限りでは、キャリアが途切れなかった人ほど、自分の稼働時間を正確に把握し、それを相手に伝えるのが上手です。「できません」ではなく「この時間帯なら確実にできます」と言える。この言い方ができる人は、どこへ行っても仕事が続きます。

もうひとつ、働き方の幅についてです。仲介が何段も挟まる形の仕事は、同じ予算でも受け手の手元に残る額が薄くなります。直接やりとりできる形なら、依頼する側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなる。手数料0%という条件の意味は、金額の派手さではなく、手元に残るものの質にあります。

学校の経験を持つ方が、教材の制作や研修の講師、発達支援に関する記事の執筆といった形で、在宅でできる仕事を組み合わせている例も増えています。子どもが小さい時期だけ在宅の比重を上げて、あとで学校現場に戻るという設計も成り立ちます。※ただし公立学校の教職員は地方公務員法により兼業が制限されるため、任命権者の許可が必要です。ここを確認せずに動くと、別の問題になります。

制度は、あなたを縛るものではありません。知っていれば味方になります。まず自分が使える制度を書き出して、勤務先の人事担当に確認するところから始めてください。それだけで、見通しは変わります。

よくある質問

Q. 特別支援学校は子育てと両立しやすい職場ですか?

下校が早く部活動指導もほぼないため、放課後の時間は確保しやすい職場です。ただしスクールバス添乗がある学校は朝の拘束が早まり、行事や現場実習の時期は退勤が遅くなります。長期休業中も勤務日として研修や教材準備が入ります。求人票の勤務時間だけで判断せず、この3点を面接で確認してください。

Q. 公務員の育児休業は民間とどう違いますか?

取得できる期間が長い点が最大の違いです。地方公務員は子が3歳に達する日まで取得できますが、民間は原則1歳、事情があれば最長2歳までです。ただし育児休業手当金の支給期間は原則として子が1歳までなので、3歳まで手当が出るわけではありません。家計の見通しを立てるときは分けて考えてください。

Q. 支援員などの会計年度任用職員でも育児休業は取れますか?

要件を満たせば取得できます。地方公務員の育児休業等に関する法律は非常勤職員も対象としており、以前あった在職期間1年以上の要件は2022年の改正で見直されました。産前産後休暇や子の看護等休暇も雇用形態を理由に一律で除外されることはありません。詳細は勤務先の条例によるため人事担当に確認してください。

Q. 朝のスクールバス添乗が保育園の送迎と重なる場合はどうすればいいですか?

部分休業の活用が現実的です。小学校就学の始期に達するまでの子を養育する職員は、1日2時間を超えない範囲で始業を遅らせたり終業を早めたりできます。給与は時間分減額されますが、常勤の身分は維持されます。申請には手続きが必要なので、着任前か年度初めに人事担当と管理職へ相談してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年8月28日最終更新:2026年9月21日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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