Excel初心者がアンケートの複数回答を集計する手順と、データの並べ方

@SOHO編集部
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Excel初心者がアンケートの複数回答を集計する手順と、データの並べ方

この記事のポイント

  • ✓アンケートの複数回答をExcelで集計する手順を
  • ✓初心者向けにデータの並べ方から説明します
  • ✓1セルにまとまった回答を選択肢ごとの列に分ける方法

アンケートの集計を任されて、Excelを開いたところで手が止まる。単一回答なら数えられそうでも、「当てはまるものをすべて選んでください」という複数回答の設問になると、1つのセルに「価格, デザイン, 口コミ」のように回答が並んでいて、どこから手を付ければよいか分からなくなります。Excelの初心者がアンケートの複数回答を集計するときに大事なのは、関数を覚えることより先に、データの並べ方を決めることです。選択肢ごとに1列を用意し、選んだら1、選ばなかったら0を入れる形にそろえれば、あとは合計と割り算だけで集計が終わります。

この記事では、回答の取り込みから、1セルにまとまった回答を列に分ける方法、人数の数え方、割合の分母の決め方、グラフとクロス集計、初心者がつまずきやすい失敗までを順に説明します。集計のあとに回答者への返信や担当決めが必要になる場面では、フォームの回答を一件ずつ管理できるHalictのような道具にも触れます。

複数回答の集計が難しく感じる理由

単一回答の設問は、1人が1つしか選ばないので、選択肢ごとの人数を足すと回答者の人数とぴったり一致します。100人に聞けば、選択肢の人数の合計も100人です。割合も100%で閉じるので、円グラフにしても違和感がありません。

複数回答の設問は、この前提が崩れます。100人に「購入の決め手をすべて選んでください」と聞くと、1人が2つ選んだり4つ選んだりするので、選択肢の人数を合計すると200や250になります。ここで「割合は何で割ればいいのか」「合計が100%を超えたけれど間違っていないか」という迷いが生まれます。

フォームの道具を提供している会社の解説でも、複数回答は集める側には便利な反面、集計する側には扱いにくいと書かれています。

回答者が複数の選択肢をチェックできるので、よりリアルな声が拾える反面、集計する側にとっては少し厄介に感じる場面も多いでしょう。 出典: form.run

もう1つの理由は、データの形です。Googleフォームなどで集めた回答を表計算に書き出すと、複数回答の設問は1人分の回答が1つのセルにカンマ区切りで入ります。この形のままでは、Excelの関数で「価格を選んだ人が何人いるか」を素直に数えられません。逆に言えば、この形を集計しやすい形に変えるところさえ越えれば、残りの作業は単一回答とほとんど変わりません。

初心者が最初に押さえておきたいのは、次の2点です。

  • 複数回答では、選択肢の人数の合計が回答者の人数を超えるのが正常
  • 集計の前に、1セルにまとまった回答を選択肢ごとの列に分ける

この2点を頭に入れておくと、途中で数字が合わなくなっても慌てずに済みます。

集計を始める前に決める、データの並べ方

Excelでアンケートを集計するときの基本は、1行に1人分の回答を並べ、1列に1つの設問を並べる形です。この記事では、この形を「1行1回答者の表」と呼びます。

複数回答の設問は、この表の中でさらに2通りの並べ方があります。

並べ方 見た目の例 向いている作業
1セルにまとめる形 B2に「価格, 口コミ」 回答をそのまま読む、保存しておく
選択肢ごとに列を分ける形 価格の列に1、口コミの列に1、ほかは0 人数を数える、割合を出す、クロス集計

集計に向いているのは、選択肢ごとに列を分ける形です。たとえば「購入の決め手」の選択肢が価格、デザイン、口コミ、店員の説明、その他の5つなら、表の右側に5列を用意します。1人目が価格と口コミを選んでいれば、その行の価格の列に1、口コミの列に1、残りの3列に0が入ります。

この形にすると、列を縦に合計するだけで「価格を選んだ人数」が出ます。行を横に合計すれば「その人がいくつ選んだか」も分かります。0と1しか入っていないので、計算の間違いが起きにくいのも利点です。

並べ方を決めるときに、合わせて次のことも決めておきます。

  1. 回答者に通し番号を振る。A列に1から順に番号を入れておくと、並べ替えたあとでも元の行に戻せる
  2. 元のデータを残す。集計用のシートは別に作り、取り込んだ回答のシートには手を加えない
  3. 選択肢の名前をアンケートの画面と一字一句そろえる。表記がずれると数え漏れが出る
  4. 無回答をどう扱うかを決める。複数回答の設問で何も選ばなかった人を、分母に入れるかどうか

4つ目の無回答の扱いは、割合を出す段階で効いてきます。この記事では、何も選ばなかった人は分母から外し、そのことを集計表の下に書き添える方法をすすめます。

紙のアンケートを手で入力する場合も、最初から選択肢ごとの列を作り、1と0を入れていくのがいちばん速い方法です。1セルに「1,3,4」のように番号を入れていくと、あとで分ける手間が増えます。

手順1. 回答をExcelに取り込む

フォームで集めた回答は、まずExcelで開ける形に書き出します。Googleフォームなら回答をスプレッドシートに出力し、そこからExcel形式かCSV形式でダウンロードします。Microsoft Formsなら、回答の画面からExcelで開く操作ができます。

CSVで受け取ったときに起きやすいのが文字化けです。CSVをダブルクリックで開いて文字が崩れたら、Excelの「データ」タブから「テキストまたはCSVから」を選び、文字コードにUTF-8を指定して読み込みます。ダブルクリックで開くと、Excelが文字コードを推測して誤ることがあります。

取り込んだら、次の順で表を整えます。

  1. 1行目が設問名になっているかを確かめる。設問文が長いときは、集計用に「Q1_年代」「Q3_決め手」のような短い名前を2行目以降のデータに影響しない形で付け直す
  2. タイムスタンプやメールアドレスなど集計に使わない列は、集計用シートでは使わない
  3. 空の行が混ざっていないかを確かめる。途中に空の行があると、表の範囲を選ぶときに途切れる
  4. A列に通し番号を入れる

ここまでの作業は、すべて集計用にコピーしたシートで行います。元のシートは、あとで「数字がおかしい」と言われたときに見返すための控えです。

回答の件数が多くても、Excelの1シートには100万行以上入るので、社内アンケートやお客様アンケートで行数が足りなくなることはまずありません。重くなるのは、関数を何千行にも入れたときです。数式を入れ終えて結果が固まったら、値として貼り付け直すと動きが軽くなります。

紙の回答を入力する作業を人に頼む場合は、入力の決まり(選んだら1、選ばなかったら0、読めない字は空欄にして通し番号を控える)を紙1枚で渡しておくと、後の集計で直す箇所が減ります。

手順2. 1セルにまとまった回答を選択肢ごとの列に分ける

ここが複数回答の集計でいちばん大事な作業です。方法は3つあり、Excelの版と回答の件数で選びます。

方法A. 関数で0と1を入れる

どの版のExcelでも使える方法です。B列に「価格, 口コミ」のような回答が入っているとします。D1からH1に選択肢の名前(価格、デザイン、口コミ、店員の説明、その他)を入力し、D2に次の式を入れます。

=IF(ISNUMBER(SEARCH(D$1,$B2)),1,0)

SEARCHは、B2の文字の中にD1の文字が含まれていれば、その位置の数字を返し、含まれていなければエラーを返します。ISNUMBERで「数字が返ってきたかどうか」を確かめ、IFで1か0に置き換えています。D$1と$B2のドル記号は、式を右や下にコピーしたときに、選択肢の行と回答の列がずれないようにするためのものです。

D2に入れた式をH2までコピーし、そのまま最終行まで下にコピーすれば、表全体が0と1で埋まります。

方法B. 区切り位置で列に分ける

Excelの「データ」タブにある「区切り位置」を使うと、カンマで区切られた回答を別々の列に分けられます。ただし、この方法では1人目の1列目が「価格」、2人目の1列目が「デザイン」のように、同じ列に違う選択肢が入ります。人数を数えるには、分けたあとの複数の列をまとめてCOUNTIFで数える必要があり、初心者には方法Aのほうが扱いやすくなります。

方法C. TEXTSPLIT関数で分ける

Microsoft 365とExcel 2024では、TEXTSPLITという関数で文字を区切り記号ごとに分けられます。Microsoftのヘルプでは、区切り位置のウィザードと同じ働きを数式で行う関数と説明されています。回答を一覧で確かめたいときには便利ですが、分けた結果の並び方は方法Bと同じなので、人数を数える目的なら方法Aが近道です。

3つの方法のうち、どの版でも動き、あとの集計がいちばん楽になるのは方法Aです。初めて複数回答を集計するなら、方法Aだけ覚えれば足ります。式の意味がつかみにくいときは、まず5行ほどで試し、1と0が目で見た回答と合っているかを確かめてから全行にコピーしてください。

手順3. 選択肢ごとの人数を数える

0と1の表ができたら、人数は合計で出ます。価格の列がD2からD101なら、D102に =SUM(D2:D101) と入れるだけです。右にコピーすれば、すべての選択肢の人数が並びます。

0と1の表を作らずに、元の回答から直接数える方法もあります。COUNTIF関数の検索条件にアスタリスクを付けると、「その文字を含むセル」を数えられます。

=COUNTIF($B$2:$B$101,"*価格*")

アスタリスクは「何文字でもよい何か」を表す記号で、前後に付けると「価格」を含むセルをすべて数えます。Microsoftのヘルプでも、COUNTIFは範囲の中で条件に合うセルの個数を数える関数として説明されており、条件が1つならCOUNTIF、複数ならCOUNTIFSを使うと案内されています。式の書き方はMicrosoftのCOUNTIF関数のヘルプで確かめられます。

この方法は手軽ですが、部分一致の落とし穴があります。選択肢に「価格」と「価格以外の理由」があると、「価格」はどちらも数えてしまいます。「SNS」と「SNS広告」のように、ある選択肢の名前が別の選択肢の名前に含まれているときも同じです。方法Aの式も部分一致で判定しているので、同じ注意が要ります。

部分一致を避けるには、次のどちらかで対応します。

  • 選択肢の名前を、互いに含まれない名前に付け直してからアンケートを作る
  • すでに回答が集まっている場合は、紛らわしい選択肢を置換で別の名前に変えてから数える(「価格以外の理由」を「その他の理由」に一括で置き換えるなど)

数え終えたら、人数の合計と回答者数を並べて書いておきます。複数回答では、人数の合計が回答者数より大きくなります。合計が回答者数より小さいときは、無回答の人が多いか、数え漏れがあるかのどちらかです。

行ごとの合計(1人が選んだ数)も出しておくと、点検に使えます。1人で全部の選択肢に1が入っている行や、0しかない行が目立つときは、入力の間違いや、回答の取り込みでずれが起きていないかを確かめます。

手順4. 割合を出すときの分母を決める

複数回答の割合には、分母の取り方が2つあります。どちらも間違いではありませんが、意味が違うので、表の中で混ぜないことが大切です。

分母 計算 意味 合計
回答者数 価格を選んだ人数 ÷ 回答した人数 回答者の何割が価格を選んだか 100%を超える
回答の総数 価格を選んだ人数 ÷ すべての選択の合計 すべての選択の中で価格が占める割合 100%になる

アンケートの報告で一般に使われるのは、回答者数を分母にする方法です。「回答者の62%が価格を決め手に挙げた」という言い方は、読み手にとって意味がつかみやすいからです。この場合、選択肢の割合を全部足すと150%や200%になりますが、それで正しい結果です。

回答者数を分母にするときの式は、次のとおりです。D102に人数、B103に回答者数が入っているとします。

=D102/$B$103

セルの表示形式をパーセントにすれば、割合で表示されます。

回答者数をどう数えるかも決めておきます。この設問で1つも選ばなかった人を回答者数に入れると、割合は下がります。行ごとの合計が0の人を除いた人数を分母にし、「無回答の5人を除く95人を分母とした」と表の下に書くのが、読み手に誤解を与えない書き方です。

回答の総数を分母にする方法は、「選ばれた理由の構成」を見たいときに使います。たとえば、理由の中で価格が占める比率が前回より下がったかを比べたいときです。この場合は合計が100%になるので、帯グラフで表すこともできます。

割合の桁数もそろえておきます。資料では小数第1位までで十分なことが多く、セルの表示形式で桁を決めるか、=ROUND(D102/$B$103,3) のようにROUND関数で丸めます。表示だけを丸めた場合、表に並んだ割合を手で足すと、元の数字との間に0.1ポイントほどの差が出ることがあります。これは丸めによる差なので、気になる場合は「四捨五入のため合計が一致しないことがある」と表の下に添えます。

どちらの分母を使ったかは、表の見出しかすぐ下に必ず書きます。「n=95(回答者数)」のように、分母の数と種類を添えておけば、資料を見た人が計算の意味を取り違えることはありません。

手順5. グラフにするときの選び方

複数回答の結果をグラフにするときは、横棒グラフが基本です。選択肢の名前が長くても読みやすく、人数の多い順に並べ替えれば、何が多く選ばれたかが一目で分かります。

円グラフは使わないほうが安全です。円グラフは全体を100%として切り分ける図なので、回答者数を分母にした割合(合計が100%を超える)を表すと、図と数字が食い違います。資料を受け取った人が「合計が合わない」と感じる原因になります。

横棒グラフを作る手順は次のとおりです。

  1. 選択肢の名前と割合を2列に並べた小さな表を作る
  2. 割合の大きい順に並べ替える(「データ」タブの「並べ替え」)
  3. 表を選び、「挿入」タブから横棒グラフを選ぶ
  4. グラフのタイトルに設問の内容と分母を書く(例: 購入の決め手、n=95、複数回答)
  5. データラベルを表示し、割合の数字を棒の横に出す

横棒グラフは、Excelの初期設定では表の下にある項目が上に表示されます。割合の大きい項目を上に出したいときは、表を小さい順に並べ替えるか、縦軸の書式で「軸を反転する」を選びます。

「その他」は、人数が多くても一番下に置くのが見やすい並べ方です。「その他」の中身は自由記述で読むことになるので、グラフの下に主な記述をいくつか書き添えておくと、資料としての情報量が増えます。

この記事で説明した関数とグラフの作り方は、Googleスプレッドシートでもほぼ同じ手順で使えます。SEARCH、IF、ISNUMBER、COUNTIF、COUNTIFS、SUMはどれもスプレッドシートにあり、式の書き方も変わりません。職場の資料がExcelでそろっているならExcel、回答がGoogleフォームで集まっていて複数人で同時に見たいならスプレッドシート、のように、使う場面で選んでください。

グラフの色は1色にそろえます。選択肢ごとに色を変えると、色に意味があるように見えてしまいます。強調したい項目が1つだけあるときに、その棒だけ色を変える程度にとどめます。

クロス集計で属性ごとの違いを見る

全体の割合が出たら、次は「年代によって決め手が違うか」「初めての人とリピーターで違うか」のように、回答者の属性ごとに分けて見るクロス集計に進みます。0と1の表があれば、ここも難しくありません。

COUNTIFSで数える

年代がC列、価格の0と1がD列に入っているとします。20代で価格を選んだ人数は次の式で出ます。

=COUNTIFS($C$2:$C$101,"20代",D$2:D$101,1)

COUNTIFSは、複数の条件をすべて満たすセルを数える関数です。年代の列が「20代」で、価格の列が1の行だけを数えています。行に年代、列に選択肢を並べた表を作り、この式をコピーしていけば、クロス集計表ができあがります。

割合にするときの分母は、その年代の回答者数です。20代の回答者が30人で、そのうち18人が価格を選んでいれば、20代の中での割合は60%です。全体の回答者数で割らないように注意します。

ピボットテーブルで作る

関数を書きたくない場合は、ピボットテーブルを使います。0と1の表全体を選び、「挿入」タブから「ピボットテーブル」を選びます。行に年代、値に価格・デザイン・口コミなどの選択肢の列を入れ、集計方法を「合計」にすると、年代ごとの人数が並びます。0と1の列なので、合計がそのまま選んだ人数になります。

ピボットテーブルの作り方は、Microsoftのピボットテーブルのヘルプに画面つきで載っています。

クロス集計で気をつけたいのは、分けたあとの人数の少なさです。全体が100人でも、年代別に分けると1つの年代が8人ということがあります。8人中4人なら50%ですが、1人の違いで割合が12ポイント以上動きます。人数が少ない区分は、割合と一緒に人数を必ず書き、「この区分は人数が少ないため参考値」と添えておきます。

「その他」と自由記述の扱い

複数回答の設問には、「その他(具体的に)」という選択肢が付いていることがよくあります。この欄に書かれた内容は、数を数えるだけでなく、中身を読んで整理します。

整理の手順は次のとおりです。

  1. 「その他」に書かれた内容を、別のシートに通し番号と一緒に書き出す
  2. 1件ずつ読み、既存の選択肢に当てはまるもの(「安かったから」は価格に当たる、など)に印を付ける
  3. 既存の選択肢に当てはまるものを、元の選択肢の列に1として反映するかを決める。反映するなら、反映したことを表の下に書く
  4. どの選択肢にも当てはまらない記述を、似た内容ごとにまとめて小見出しを付ける(「ポイント還元」「家族の勧め」など)
  5. 小見出しごとの件数を数え、多いものから並べる

3番目の「元の選択肢に反映するか」は、判断が分かれるところです。反映すると選択肢の人数が増えて結果が実態に近づきますが、回答者が選ばなかった選択肢に集計する側が1を入れることになります。報告の目的が「回答者の意識をそのまま知る」なら反映しない、「実際の理由の分布をつかむ」なら反映する、と目的に合わせて決め、どちらにしたかを書いておきます。

自由記述が数百件ある場合でも、最初に30件ほどを読んで小見出しの候補を作り、残りを当てはめていくと作業が進みます。読みながら新しい小見出しが必要になったら追加し、最後に全体を見直して、似た小見出しをまとめます。

自由記述には、名前や連絡先、特定の人を指す内容が書かれていることがあります。報告書に引用するときは、個人が分かる部分を伏せてから載せます。

集計結果を報告資料に整理する

数字が出そろったら、報告を受ける人が読む資料の形に整えます。集計表をそのまま貼るより、設問ごとに「結果の一文」「表」「グラフ」の3点をそろえるほうが、会議の場で話が早く進みます。

結果の一文は、数字を1つか2つだけ入れて書きます。たとえば「購入の決め手は価格が最も多く、回答者の6割が挙げた。次いで口コミが4割だった」のように、上位の選択肢と割合を短く伝えます。すべての選択肢の数字を文章に並べると、かえって要点がぼやけます。

表には、選択肢、人数、割合の3列を並べ、表の下に次の3つを書きます。

  1. 設問の文(「購入の決め手として当てはまるものをすべて選んでください」)
  2. 回答の形式(複数回答)
  3. 分母の種類と数(無回答の5人を除く回答者95人)

同じアンケートを毎年や毎期に行っている場合は、前回の割合を横に並べると変化が分かります。このとき、前回と今回で選択肢の名前や数が変わっていないかを確かめます。選択肢が1つ増えるだけで、ほかの選択肢の割合は下がりやすくなるので、単純に比べると誤った結論になります。選択肢を変えた回は、その旨を表の下に書いておきます。

報告資料では、1人あたりの選択数の平均も役に立ちます。行ごとの合計を平均すれば出る数字で、「回答者は平均2.3個の理由を挙げた」のように書けます。この数字が大きいほど、回答者が1つの理由に絞れていない、つまり決め手がはっきりしないと読むこともできます。前回より平均が大きく変わったときは、選択肢の数や設問の聞き方が変わっていないかも合わせて確かめます。

初心者がつまずきやすい失敗と直し方

複数回答の集計でよく起きる失敗を、原因と直し方の組で整理します。

起きること よくある原因 直し方
人数が目で数えた数と合わない 選択肢の名前の表記ゆれ(全角と半角、空白の有無) 置換で表記をそろえてから数える
ある選択肢だけ多すぎる 部分一致で別の選択肢まで数えている 紛らわしい名前を置換で付け直す
割合の合計が100%を超えて焦る 複数回答の性質どおり 回答者数を分母にしたと表に書く
式をコピーしたら結果がずれる ドル記号の付け忘れ 選択肢の行と回答の列にドル記号を付ける
表の途中で集計が止まる 空の行が混ざっている 空の行を削除するか、範囲を手で指定する

表記ゆれは、とくに紙の回答を手で入力したときに起きます。「SNS」と「SNS」、「店員の説明」と「店員の 説明」は、Excelにとっては別の文字です。集計の前に、選択肢の名前で並べ替えて目で確かめるか、置換で全角の英字を半角にそろえておきます。

回答者が選択肢の名前にカンマを含む回答を書ける場合も注意が要ります。「その他(駅から近い、駐車場がある)」のように、自由記述にカンマが入ると、区切り位置で分けたときに1つの回答が2つに割れます。方法Aの関数で0と1を入れる方法なら、この問題は起きません。

最後に、集計が終わったら3つの点検をしておくと、報告の場で数字を問われても答えられます。

  1. 回答者数が、元のデータの行数と合っているか
  2. 選択肢ごとの人数が、COUNTIFでの数え直しと合っているか
  3. 割合の分母が、表の下に書いた数と合っているか

集計のあとに回答者への対応が必要なとき

アンケートの中には、集計して終わりではなく、回答した人に返事をしたり、要望に対応したりする必要があるものがあります。お客様アンケートで「不具合があった」「連絡がほしい」と書かれていた場合や、社内アンケートで改善の要望が寄せられた場合です。

この場面で起きやすいのが、Excelの集計表に「担当」「対応状況」の列を追加し、返信はメールソフトで送るという運用です。回答が数十件のうちは回りますが、担当者が複数になると、誰がどの回答に返事をしたかが表から分からなくなります。表を同時に編集して上書きしてしまうこともあります。

集計だけが目的なら、ここまで説明したExcelの手順で足ります。回答への対応まで1か所で回したいときは、回答を受け取るフォームの側で管理する方法があります。その選択肢の1つがHalictです。公式サイトによると、Halictはフォームで届いた回答1件ごとに担当と状況を記録でき、回答者への返信も同じ画面から送れて、開封まで記録されます。集まった回答は一覧で確認でき、CSVに書き出せるので、この記事で説明したExcelでの集計にもそのまま使えます。

フォームはテキスト・選択肢・評価・日付など12種類の項目で作れ、作りたいフォームを言葉で伝えるとAIが質問と選択肢の下書きを組み立てます。回答者には1画面に1問ずつ表示されます。料金は使う人数で決まり、1人で使うフリープランは0円で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限と案内されています。3人までのスタータープランは月額2,980円(税抜)で、Googleスプレッドシートとの連携が使えます。

Halictは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。

フォームの道具を選ぶときは、無料の範囲で回答の数に上限がないか、回答をCSVで書き出せるか、複数人で回答を共有できるかの3点を確かめておくと、Excelでの集計と組み合わせやすくなります。

アンケート集計の力が仕事で生きる場面

アンケートの集計は、事務職だけの作業ではありません。お客様の声を商品に反映するマーケティングの仕事、研修の効果を測る人事の仕事、地域の調査を受け持つ研究や調査の仕事など、多くの職種で必要になります。

在宅ワークやフリーランスの仕事としても、アンケートの集計とレポート作成の依頼は一定の数があります。依頼する側は、回答を集めたものの集計に手が回らない小さな会社や団体であることが多く、この記事で説明した「0と1の表に直す」「分母を明記する」「人数の少ない区分に注記する」といった基本ができているだけで、受け取った側が安心して使える資料になります。

調査や分析を仕事にしている人の収入の目安は、研究者の年収・単価相場で職種ごとのデータとして確かめられます。調査の設計から分析までを受け持つ仕事に関心があるなら、相場を知っておくと、自分の作業の値付けを考える手がかりになります。

フリーランスと在宅ワークの仲介を20年にわたって続けてきた運営者として見てきた限りでは、集計や資料作成の仕事で長く依頼が続く人は、計算の速さよりも、数字の前提を書き添える丁寧さで評価されています。「分母は無回答を除く95人」「この区分は8人なので参考値」と一行添えてあるだけで、依頼した側は報告の場で質問に答えられます。依頼者と受け手が直接やりとりできる仲介では、こうした細かな気配りがそのまま次の依頼につながり、中間の手数料が乗らない分だけ受け手の手取りも厚くなります。

集計の作業に慣れてきたら、アンケートの設計そのものに関わる仕事や、集計結果をもとに業務の改善を提案する仕事に広げる道もあります。中小企業の経営の相談に乗る専門家の資格として、中小企業診断士の試験の内容や活かし方もまとめています。また、表計算やAIを使って会社の業務を効率よくする手伝いは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事の中身と求められる力を紹介しています。

よくある質問

Q. 複数回答の割合を全部足すと100%を超えますが、計算が間違っていますか?

間違いではありません。回答者数を分母にした割合は、1人が複数の選択肢を選ぶため、合計が100%を超えるのが正常です。報告するときは、表やグラフの近くに「複数回答」「分母は回答者95人」のように分母の種類と数を書いておくと、読み手が誤解せずに済みます。合計を100%にしたい場合は、すべての選択の合計を分母にする方法を使います。

Q. Googleフォームで集めた複数回答は、どうやってExcelで数えればよいですか?

Googleフォームの回答をスプレッドシートに出力すると、複数回答は1つのセルにカンマ区切りで入ります。これをExcel形式でダウンロードし、選択肢ごとに列を作って、SEARCH関数とIF関数で選んだら1、選ばなかったら0を入れます。あとは列を縦に合計すれば、選択肢ごとの人数が出ます。

Q. COUNTIFで「価格」と数えると、数が多すぎることがあるのはなぜですか?

アスタリスクを付けた条件は、その文字を含むセルをすべて数える部分一致になるためです。「価格」と「価格以外の理由」のように、ある選択肢の名前が別の選択肢の名前に含まれていると、両方が数えられます。紛らわしい選択肢の名前を置換で付け直してから数えると、正しい人数になります。

Q. 複数回答の結果を円グラフにしてもよいですか?

回答者数を分母にした割合は合計が100%を超えるため、円グラフには向きません。全体を100%として切り分ける図なので、数字と図が食い違って見えます。複数回答の結果は、割合の大きい順に並べた横棒グラフで表すのが基本です。すべての選択の合計を分母にした構成比なら、帯グラフで表すこともできます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月26日最終更新:2026年10月19日
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