スマホ修理を開業する手順、必要な届け出と技術の身につけ方


この記事のポイント
- ✓スマホ修理を開業したい人向けに
- ✓総務省の登録修理業者制度と技適の関係
- ✓中古端末を扱うときの古物商許可
スマホ修理の開業を考えている人にとって、最初の壁は「何の届け出が必要なのか」が分かりにくいことです。資格がなくても始められると聞く一方で、技適マークや電波法の話も出てきます。中古のスマホを仕入れて売るなら古物商の許可も関係します。調べるほど情報が散らばっていて、どこから手を付ければいいか迷う人は多いはずです。
結論から書くと、スマホ修理そのものに国家資格は必要ありません。ただし、修理した端末を電波法の基準に合ったまま返すには、総務省の「登録修理業者」として登録を受ける方法があります。中古端末の買い取りや販売をするなら古物商の許可が必要で、個人で始めるなら税務署への開業届も出します。この記事では、総務省や法令の一次資料をもとに、開業までの手順を順番に整理します。
スマホ修理の開業に国家資格は不要
まず押さえておきたいのは、スマホの修理を仕事にするために必ず取らなければならない国家資格はない、ということです。画面の交換、バッテリーの交換、充電口の修理といった作業は、資格がなくても行えます。
ただし、資格が不要だからといって、何の決まりもないわけではありません。スマホは電波を出す無線機器なので、電波法の対象になります。電波法とは、電波の使い方を定めた法律で、スマホのような無線機器が他の通信に妨害を与えないよう、技術的な基準を設けています。この基準に合っていることを示すのが、いわゆる技適マークです。技適マークとは、技術基準適合証明などを受けた機器に付けられる表示のことです。
修理によって端末の性能が変わってしまうと、技術基準に合わなくなるおそれがあります。そこで国が設けたのが、次の節で説明する登録修理業者制度です。
整理すると、スマホ修理の開業に関係する主な手続きは次のとおりです。
| 手続き | 必要になる場面 | 窓口 |
|---|---|---|
| 登録修理業者の登録 | 修理後も技適の表示を維持したいとき(任意) | 総務省 |
| 古物商の許可 | 中古端末の買い取り・販売をするとき | 営業所を管轄する警察署 |
| 開業届 | 個人事業として始めるとき | 税務署 |
| 青色申告承認申請 | 青色申告をしたいとき | 税務署 |
どの手続きが必要になるかは、どんな事業にするかで変わります。修理だけをするのか、中古端末の売買もするのか、個人で始めるのか法人にするのかを、最初に決めておくと準備が進めやすくなります。
総務省の登録修理業者制度とは
登録修理業者制度は、メーカー以外の修理業者が、修理後の端末が技術基準に合っていることを自ら確認できる場合に、総務大臣の登録を受けられる仕組みです。総務省の電波利用ポータルは、制度ができた背景を次のように説明しています。
スマートフォンの急速な普及などに伴い、製造業者以外の第三者である修理業者が修理や交換を行う事例がみられるようになりました。 その一方で、その第三者が携帯電話端末を修理することによって、修理後の携帯電話端末(特別特定無線設備)の性能が電波法で規定している技術基準に適合するかどうか不明確になる等の点が懸念されていました。 出典: 総務省 電波利用ポータル 登録修理業者制度
特別特定無線設備とは、スマホなどの携帯電話端末を指す電波法上の呼び方です。
この制度は平成27年4月1日から始まりました。登録を受けた修理業者が、修理方法書に従って修理と確認を行った端末は、修理後も技術基準に合っていることを修理業者自身が確認しているため、もともと付いていた技適の表示を引き続き使うことができます。
一方で、登録を受けていない人が端末に「変更の工事」をした場合は、技適の表示を取り除かなければならないと定められています。変更の工事とは、電波法で定める無線設備としての性能が変わるような作業のことです。表示を取り除かなかった場合は、罰則の対象になります。
総務省は、修理によって無線設備としての性能が変わった場合は、修理ではなく改造にあたるとも説明しています。つまり、登録修理業者であっても、端末の性能を変える作業は修理として扱えません。
登録修理業者として登録する手順
登録修理業者として登録を受けるには、電波法と電気通信事業法の2つの法律について、それぞれ登録の手続きを行う必要があります。スマホは、電波を出す無線設備であると同時に、通信回線につなぐ端末設備でもあるからです。
電波法に基づく登録の要件は2つあります。1つ目は、修理の方法が、他の無線局に妨害を与えるおそれの少ないものとして総務省令で定める基準に合っていること。2つ目は、修理の確認の方法が、修理した端末が技術基準に合っていることを確認できるものであることです。
総務省令の基準では、修理できる箇所が定められています。表示装置(画面)、フレーム、マイク、スピーカ、カメラ、操作ボタン、コネクタ、バイブレータ、電池など、電波の質に影響を与えるおそれの少ない箇所です。同等の部品を使って修理し、技術基準に合わない電波が出ないようにすることも求められます。メーカーとの契約などで工事設計や修理方法の情報提供を受けた箇所であれば、これ以外の箇所も対象になります。
申請の手数料は、総務省によると、登録する端末の数にかかわらず登録申請が57,600円、変更登録申請が21,600円です。申請するときは、修理しようとするすべての機種を登録します。登録していない機種の修理は、登録修理業者制度に基づかない修理になります。新しい機種を追加するときは、変更登録の申請が必要です。
登録を受けた後には、守るべき義務があります。修理方法書に従って修理と確認を行うこと、修理と確認の記録を作成して10年間保存すること、修理した端末に登録修理業者が修理したことを示す表示を付けることです。表示する場所に制限はありません。
また、修理を受け付けるときは、登録している修理の内容を客に示すなどして、誤解を与えないよう求められています。登録修理業者の情報は総務省のサイトで公表されていて、誰でも検索できます。
登録は義務ではありませんが、客から見ると、登録修理業者であることは修理の質を判断する一つの目安になります。開業してすぐに登録するかどうかは事業の規模で判断すればよいですが、長く続けるなら検討する価値があります。
中古端末を扱うなら古物商の許可が必要
修理だけでなく、中古のスマホを買い取って修理し、販売する事業を考えているなら、古物商の許可が必要になります。
古物営業法の第3条は、古物の売買などの営業をしようとする人は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めています。古物とは、一度使われた物や、使うために取引された物のことです。中古のスマホは、この古物にあたります。
許可を受けずに古物の売買をすると、古物営業法第31条により、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。修理の部品取りのために中古端末を仕入れる場合も、仕入れ方によっては古物営業にあたることがあるので、事業の形が決まったら早めに確認しておくことが大切です。
許可の申請は、営業所の所在地を管轄する警察署を通じて行います。申請に必要な書類や手数料、審査にかかる期間は、各都道府県の警察で確認してください。
古物商として営業するときは、買い取りの際の本人確認や、取引の記録を残す義務もあります。中古スマホの買い取りでは、端末に前の持ち主の個人データが残っていることがあるため、データの消去の方法を決めておくことも欠かせません。盗品の売買に巻き込まれないよう、買い取りの基準をはっきりさせておくことも求められます。
開業届と青色申告の手続き
個人でスマホ修理店を始める場合は、税務署への届け出も必要です。
開業届は、所得税法第229条で定められた届出で、事業を始めたことを税務署に知らせるものです。提出の期限は、令和8年1月1日から変わっていて、事業を始めた日の属する年分の確定申告の期限までとなっています。以前は「開業から1か月以内」とされていましたが、現在の条文は確定申告の期限までです。
青色申告をしたい場合は、青色申告承認申請書も出します。所得税法第144条によると、提出の期限はその年の3月15日までで、1月16日以後に新しく事業を始めた場合は、事業を始めた日から2か月以内です。青色申告とは、帳簿をきちんとつけることを条件に、税金の面で優遇を受けられる申告の方法のことです。国税庁によると、青色申告特別控除は原則55万円で、電子帳簿保存か e-Tax での申告をすると65万円になります。
開業届と青色申告承認申請書は、一緒に出すことができます。青色申告の期限は開業届より短いので、青色申告を考えているなら、開業届と同時に出しておくと期限を逃しません。
法人として始める場合は、法人の設立登記や、税務署・都道府県・市区町村への届け出が別に必要になります。最初は個人で始めて、事業が軌道に乗ってから法人にする人も多くいます。
修理技術の身につけ方
スマホ修理の技術は、どのように身につければいいのでしょうか。国家資格がない分、学び方は人によってさまざまです。
1つ目は、修理店で働きながら学ぶ方法です。既存の修理店でアルバイトや社員として経験を積むと、分解の手順、部品の扱い、客への説明、トラブルの対応まで、実務に必要なことを一通り身につけられます。開業前に最も確実に技術を習得できる方法です。
2つ目は、修理技術を教えるスクールや講座を受ける方法です。短期間で基本を学べる講座もあります。受講料や内容は講座ごとに大きく違うので、実技の時間がどのくらいあるか、修了後の支援があるかを確認して選んでください。
3つ目は、フランチャイズに加盟して研修を受ける方法です。フランチャイズとは、本部の看板やノウハウを使って店を経営する仕組みです。加盟すると、研修や部品の仕入れ、集客の支援を受けられる代わりに、加盟金やロイヤリティ(売上などに応じて本部に払う費用)がかかります。契約の内容は本部ごとに違うので、契約書をよく読み、中途解約の条件も確認しておくことが大切です。
4つ目は、メーカーの認定資格を取る方法です。Appleの独立系修理プロバイダプログラムでは、Apple純正部品を使う修理は、Apple認定資格を持つ技術者が担当する必要があります。認定はオンラインの試験に合格することで受けられ、製品ごとに毎年更新されます。
技術を学ぶうえで大切なのは、静電気対策や、バッテリーの安全な扱いといった基本を徹底することです。リチウムイオン電池は、傷つけたり無理に曲げたりすると発熱や発火のおそれがあります。作業台の環境を整え、正しい工具を使うことが、事故を防ぐ第一歩です。
メーカーの修理プログラムに参加する
スマホ修理の開業では、メーカーの修理プログラムに参加するかどうかも選択肢になります。代表的なのが、Appleの独立系修理プロバイダプログラムです。
Appleの案内によると、このプログラムは、iPhoneやMacの保証対象外の修理サービスを提供したい会社のためのものです。承認されると、Appleの純正部品、ツール、トレーニング、サービスガイド、診断プログラムを利用して、iPhoneのディスプレイやバッテリーの交換などの保証対象外修理を行えるようになります。
独立系修理プロバイダとして承認されると、Appleの純正部品、ツール、トレーニング、サービスガイド、診断プログラム、リソースを利用しながら、iPhoneやMacのさまざまな保証対象外修理(たとえば、iPhoneのディスプレイやバッテリーの交換、Macのロジックボードやビデオカードの交換など)を行えるようになります。 出典: Appleサポート 独立系修理プロバイダプログラム
ただし、参加の条件は厳しめです。申請できるのは会社(法人)で、運営実績のある事業者であることを書類で示す必要があります。店舗は交通の便がよい商業区域で、歩いて入れる場所にあることが求められ、住宅区域は認められません。出張修理をする会社でも、商業区域の事業用建物に店舗を構えている必要があります。申請に使うメールアドレスは会社のドメインのものでなければならず、汎用的なメールアドレスでは審査の対象になりません。審査には最長で4週間かかるとされています。
開業したばかりの個人事業主がすぐに参加できるプログラムではありませんが、事業が軌道に乗って法人化したときの選択肢として知っておくと、将来の計画が立てやすくなります。
店舗型と出張型、どちらで始めるか
スマホ修理の開業には、大きく分けて店舗型と出張型があります。それぞれの特徴を整理します。
店舗型は、駅前や商業施設などに店を構え、客に来店してもらう形です。看板を見て来店する客を取り込めるので、集客の面で有利です。急ぎの修理にもその場で対応できます。一方で、家賃や内装、看板などの初期費用と、毎月の固定費がかかります。立地によって売上が大きく左右されるので、物件選びが重要です。
出張型は、客の自宅や職場に出向いて修理する形です。店舗を借りないので、初期費用と固定費を抑えられます。ただし、移動に時間がかかる分、1日に対応できる件数は限られます。出先で作業するための工具や部品を持ち運ぶ必要があり、作業環境が整わない場所での修理になることもあります。
郵送で端末を受け付けて修理し、送り返す郵送型という形もあります。全国から依頼を受けられる反面、端末の受け渡しに日数がかかり、配送中の破損や紛失への備えも必要です。
どの形で始めるかは、手元の資金と、ねらう客層で決まります。最初は出張型や郵送型で小さく始め、実績と資金ができてから店舗を構える、という段階的な進め方もあります。なお、前の節で触れたAppleの独立系修理プロバイダプログラムは、商業区域に歩いて入れる店舗があることを条件にしています。将来メーカーのプログラムへの参加を考えているなら、店舗を構える時期と場所も、その条件を踏まえて選ぶと遠回りになりません。出張型で始めた人が店舗を持つときにも、住宅区域ではなく商業区域の物件を選んでおくと、選択肢が広がります。
修理メニューの決め方
開業にあたっては、どの修理を受け付けるかを最初に決めておく必要があります。メニューが広すぎると部品の在庫と技術の習得が追いつかず、狭すぎると客を逃してしまいます。
最初に揃えたいのは、依頼の多い基本的な修理です。画面の割れの交換、バッテリーの交換、充電口の修理、カメラやスピーカの交換、ボタンの修理などがこれにあたります。これらは、総務省の登録修理業者規則で修理できる箇所として挙げられている、表示装置、カメラ、スピーカ、操作ボタン、コネクタ、電池とも重なります。将来、登録修理業者として登録することを考えるなら、この範囲でメニューを組んでおくと移行しやすくなります。
一方、基板の部品を交換するような修理は、高い技術と専用の設備が必要です。また、登録修理業者規則では、電波の質に影響を与えるおそれの少ない箇所が修理の対象とされていて、メーカーから情報の提供を受けた場合を除き、それ以外の箇所は対象になりません。基板修理を受け付けるかどうかは、技術の習得の度合いと、電波法との関係を踏まえて慎重に判断してください。
対応する機種も絞り込みます。スマホはメーカーと機種の種類が非常に多く、すべてに最初から対応するのは現実的ではありません。まずは自分が技術を身につけた機種から受け付け、問い合わせの多い機種を記録しながら、対応する機種を順に広げていくのが確実です。
メニューを決めたら、修理ごとの作業時間の目安も出しておきます。客にとって、待ち時間がどのくらいかは店を選ぶ大きな理由になります。画面交換を短時間で終えられる体制が整えば、それ自体が店の強みになります。
開業資金の内訳を考える
開業に必要な資金は、事業の形によって大きく変わります。ここでは金額ではなく、何にお金がかかるのかを整理します。具体的な金額は、地域や物件、仕入れ先によって違うので、見積もりを取って確かめてください。
店舗型で始める場合、最も大きいのは物件にかかる費用です。保証金や敷金、礼金、仲介手数料、前払いの家賃に加えて、内装工事や看板の設置費用がかかります。商業施設のテナントに入る場合は、施設ごとの出店条件も確認が必要です。
どの形で始めても必要になるのが、工具と設備です。精密ドライバー、ヒートガン、吸盤、静電気防止のマットやリストバンド、作業用のライトや拡大鏡などを揃えます。部品の在庫にも資金がかかります。よく出る部品は一定数を手元にそろえておく必要がありますが、在庫を持ちすぎると資金が寝てしまいます。
忘れがちなのが、開業後しばらくの運転資金です。開業してすぐに客が集まるとは限りません。売上が安定するまでの数か月間、家賃や仕入れ、自分の生活費をまかなえる資金を用意しておくと、焦らずに事業を育てられます。
資金を借りる場合は、日本政策金融公庫の創業向けの融資や、自治体の創業支援制度を調べる方法があります。自治体によっては、創業時の家賃の補助や、専門家による相談を受けられる制度もあります。
副業として小さく始める場合
いきなり独立するのではなく、会社に勤めながら副業として始めたいと考える人もいます。その場合に確かめておきたい点を整理します。
まず、勤務先の就業規則です。副業が認められているか、届け出が必要かを確認します。厚生労働省のモデル就業規則では、副業を原則として認めつつ、労務の提供に支障がある場合や、競業によって会社の利益を害する場合などに制限できるとしています。携帯電話の販売店や家電量販店に勤めている人がスマホ修理を副業にすると、競業にあたる可能性があるので注意が必要です。
次に、作業場所です。自宅で修理を受け付ける場合、賃貸物件では事業での利用が契約で認められているかを確認します。客が自宅に出入りすることになるので、家族の理解も欠かせません。郵送型にすれば、客を自宅に招かずに済みます。
3つ目は、税金の手続きです。副業でも事業として収入を得るなら、開業届を出すかどうかを検討します。会社員で給与以外の所得が年間20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要になります。20万円以下であっても、住民税の申告は別に必要になる点に注意してください。税金の扱いは個別の事情で変わるので、迷ったときは税務署で確認すると安心です。
副業で始めると、本業の収入があるので、売上が安定しない時期も生活に困りません。その間に技術と実績を積み、常連の客をつかんでから独立する、という順番で進めれば、開業の失敗のリスクを抑えられます。
よくあるトラブルと防ぎ方
スマホ修理の現場では、トラブルが起きやすい場面がいくつかあります。開業前に知っておくと、受付の段階で備えられます。
1つ目は、水没した端末です。水に濡れた端末は、見た目では分からない部分が傷んでいることが多く、修理しても後から不具合が出ることがあります。水没の端末を受け付けるときは、直らない可能性があること、修理後に別の不具合が出る可能性があることを、受付の時点ではっきり伝えておきます。
2つ目は、データの消失です。修理の過程でデータが消える可能性はゼロではありません。受付の前に、客にバックアップを取ってもらうよう案内し、データの保証はできないことを書面で確認しておくと、後のトラブルを防げます。
3つ目は、他の店で修理された端末です。前の修理で使われた部品の品質が悪かったり、内部が傷んでいたりすることがあります。分解してみて初めて分かることも多いので、他店で修理した履歴があるかを受付で聞いておきます。
4つ目は、預かった端末の紛失や破損です。修理のために端末を預かる場合は、受付票を作って預かった端末の状態を記録し、保管場所を決めておきます。万一に備えて、事業向けの保険に入っておく方法もあります。
どのトラブルも、受付の時点で説明し、客の同意を記録に残しておくことが一番の予防策です。説明の内容を受付票にまとめ、客に署名してもらう形にしておくと、説明の漏れも防げます。
開業までのスケジュールの立て方
ここまでの手続きと準備を、時間の流れに沿って並べてみます。期間は人によって大きく違うので、順番の目安として使ってください。
最初の段階は、技術の習得です。修理店で働く、講座を受けるなどして、基本的な修理を一人でこなせるようにします。この段階で、どの修理を自分のメニューにするかの見当もつけておきます。
次の段階は、事業の形を決めることです。店舗型、出張型、郵送型のどれで始めるか、修理だけにするか中古端末の売買もするか、個人で始めるか法人にするかを決めます。ここで決めた内容によって、必要な手続きが変わります。
3つ目の段階は、手続きです。中古端末を扱うなら、古物商の許可を警察署に申請します。許可が出るまでには審査の期間がかかるので、開業日から逆算して早めに動きます。登録修理業者として登録する場合も、申請書類の準備に時間がかかるので、計画に組み込んでおきます。
4つ目の段階は、物件と設備の準備です。店舗型なら物件を契約して内装を整え、工具と部品を揃えます。出張型や郵送型なら、作業場所と配送の仕組みを整えます。
最後の段階が、開業と届け出です。事業を始めたら、開業届を税務署に出します。青色申告をするなら、開業から2か月以内に承認申請書を出します。開業届の期限は確定申告の期限までですが、青色申告の期限のほうが早いので、両方を同時に出すと漏れがありません。
開業の前後には、地図アプリへの店舗情報の登録や、SNSでの告知も始めておくと、開業初日から客を迎えやすくなります。
開業前に準備しておきたいこと
最後に、開業前に準備しておきたい点を整理します。
まず、部品の仕入れ先です。修理の品質は部品の品質で大きく変わります。互換部品は純正部品より安く手に入りますが、品質にばらつきがあります。どの部品を使うかを客に説明できるようにしておくことが、信頼につながります。登録修理業者の基準でも、同等の部品を使うことが求められています。
次に、修理の保証と免責の決まりです。修理した箇所に不具合が出たときに、どの期間、どこまで無償で対応するのかを決め、受付の時点で客に説明します。修理によってメーカーの保証が受けられなくなる可能性があることや、データが消える可能性があることも、事前に伝えて同意を得ておくと、トラブルを防げます。
3つ目は、個人情報の扱いです。スマホには、写真や連絡先、メッセージなど、持ち主の大切な情報が入っています。修理のために端末を預かるときは、中のデータを見ないこと、預かった端末を安全に保管することを徹底します。
4つ目は、集客の方法です。地図アプリへの店舗情報の登録、ホームページ、SNSでの発信は、スマホ修理店の集客でよく使われる方法です。修理の事例を写真つきで紹介すると、技術力が伝わりやすくなります。
5つ目は、料金の示し方です。修理の料金は、機種と修理の内容ごとに一覧にして、店頭やホームページで分かりやすく示します。分解してみないと正確な料金が出せない修理もあるので、見積もりの段階と、作業に入る前の最終確認の段階を分け、追加の費用がかかる場合は必ず作業前に客の了解を得る流れにしておきます。料金の説明があいまいなまま作業を進めると、引き渡しの際にもめる原因になります。
6つ目は、作業の記録です。登録修理業者には修理と確認の記録を10年間保存する義務がありますが、登録していない場合でも、どの端末にどんな修理をしたか、どの部品を使ったかを記録しておくと、保証期間中の問い合わせに正確に答えられます。受付票と作業の記録を一つの台帳で管理しておくと、後から確認するときに便利です。
修理の技術を在宅ワークにもつなげる
フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から見ると、スマホ修理のような手を動かす仕事で独立した人ほど、店舗の仕事と並行して、オンラインで受けられる仕事を組み合わせる傾向があります。修理の依頼は季節や新機種の発売時期で波があるため、閑散期の収入をどう確保するかは、開業を続けるうえで大きなテーマです。
修理の技術と相性がよいのは、端末やネットワークに関わるIT系の仕事です。スマホやパソコンの初期設定、社内ネットワークの整備、中小企業のIT周りの困りごとの相談など、修理で身につけた知識を生かせる場面は多くあります。ネットワークの知識を体系的に身につけたいなら、CCNA(シスコ技術者認定)のような資格が学習の道しるべになります。アプリやシステムに関わる仕事に広げたい場合は、アプリケーション開発のお仕事で、どんな案件があるのかを確認できます。
集客のための情報発信も、修理店の運営で身につく技術の一つです。SNSや地図アプリの運用で培った経験は、他の店舗の集客支援として仕事にすることもできます。こうした仕事の全体像はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で整理されています。
運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料が差し引かれない直接取引の仕事は、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなります。店舗の家賃や部品の仕入れといった固定の出費がある修理店の経営では、手取りの差が積み重なって効いてきます。手数料0%で依頼主とつながれる場を使い、店舗の仕事とオンラインの仕事を組み合わせることは、開業後の収入を安定させる一つの方法です。ITの仕事で得られる収入の目安は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。
よくある質問
Q. スマホ修理を開業するのに資格は必要ですか?
スマホ修理そのものに必要な国家資格はありません。ただし、修理後も技適の表示を維持するには、総務省の登録修理業者として登録を受ける方法があります。登録は任意ですが、電波法と電気通信事業法の両方で手続きが必要です。中古端末の買い取りや販売をする場合は、古物商の許可が別に必要になります。
Q. 登録修理業者の登録にはいくらかかりますか?
総務省によると、電波法に基づく登録申請の手数料は、登録する端末の数にかかわらず57,600円、新しい機種を追加する変更登録申請は21,600円です。登録後は、修理方法書に従った修理と確認、記録の10年間の保存、修理した端末への表示といった義務があります。電気通信事業法に基づく手続きは別に確認してください。
Q. 中古スマホを売るときに必要な許可は何ですか?
中古スマホの買い取りや販売を営業として行う場合は、古物営業法に基づき、都道府県公安委員会の古物商の許可が必要です。申請は営業所の所在地を管轄する警察署を通じて行います。許可を受けずに営業すると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。書類や手数料は各都道府県の警察で確認してください。
Q. 開業届はいつまでに出せばいいですか?
所得税法第229条により、開業届は事業を始めた日の属する年分の確定申告の期限までに税務署へ出します。以前は開業から1か月以内とされていましたが、令和8年1月1日から条文が変わっています。青色申告をしたい場合は、承認申請書を事業開始から2か月以内(1月15日までに開業した場合はその年の3月15日まで)に出す必要があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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