私立の教師が副業を持つ|就業規則の確認と選べる仕事

長谷川 奈津
長谷川 奈津
私立の教師が副業を持つ|就業規則の確認と選べる仕事

この記事のポイント

  • ✓就業規則の読み方から整理しました
  • ✓公務員法が適用されない理由
  • ✓労働時間の通算と社会保険

結論から申し上げます。私立学校の教師に、公務員の副業規制は適用されません。地方公務員法第38条の許可制も、教育公務員特例法第17条の承認の仕組みも、対象は公務員である教職員です。私立学校の教員は学校法人に雇われた労働者であり、副業の可否を決めているのは法律ではなく勤務先の就業規則です。これ、知らない人が本当に多いんです。「教師だから副業は禁止」と思い込んで、確認もせずに諦めている方に何度もお会いしました。

この記事では、就業規則をどう読むのか、学校が制限できる範囲はどこまでなのか、届け出をどう進めるのかを順番に整理します。条文と公的な資料で確かめたことだけを書きますので、手元に就業規則を用意して読み進めてください。

私立の教師に公務員の副業規制は適用されない

まず、なぜ適用されないのかを確認します。

公務員の副業制限の根拠は、地方公務員法第38条第1項です。条文は「職員は、任命権者の許可を受けなければ」という書き出しで始まります。この「職員」とは地方公共団体に任用された職員のことで、学校法人に雇用された私立学校の教員は含まれません。同じく、教育公務員特例法第17条の「教育公務員」も、公立学校の教員を指す言葉です。

つまり、私立学校の教員にとって、副業の可否を決める規範は労働契約と就業規則ということになります。そして日本の法律には、労働者の副業そのものを禁止する規定がありません。勤務時間の外側にどう過ごすかは、原則として本人の自由です。

この原則は、厚生労働省が示しているモデル就業規則にも表れています。モデル就業規則には、労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができるという条文が置かれ、届出を前提とした運用が示されています。かつては副業を禁止する条文が例示されていましたが、2018年にこの方向へ改められました。副業・兼業の促進に関するガイドラインや関連資料は厚生労働省のサイトから確認できます。

※ここで1つ注意があります。「法律で禁止されていない」ことと「勤務先で自由にできる」ことは別です。就業規則に届出や許可の条項があれば、それに従う必要があります。従わずに始めて後から発覚した場合、副業そのものではなく手続き違反が問題にされます。順序を守るだけで避けられるトラブルです。

私立学校では、学校法人ごとに方針の差が大きいのも実態です。同じ県内の学校で、一方は届出制、もう一方は原則禁止という例があります。一般的な解説記事を読むより、自分の勤務先の1冊を読むほうが早く答えが出ます。

就業規則の4パターンと、それぞれの対応

就業規則の副業条項は、実務上4つのパターンに分かれます。自分がどれに当たるかを確認してください。

1つめ、全面禁止と書かれている場合です。「在職中、他に雇用されまたは自ら事業を営んではならない」という形の条文です。この場合でも、条文がそのまま全面的に有効とは限りません。理由は次の章で説明します。ただし、まず学校に相談するのが順序です。条文の有効性を争うのは最後の手段で、実務では例外を認めてもらう交渉のほうが現実的です。

2つめ、許可制です。「あらかじめ会社の許可を得た場合を除き」という条文です。この場合は申請して判断を仰ぎます。許可が下りない場合の理由を聞いて、条件を調整する余地があるかを確認してください。時間帯を変える、相手先を変える、無報酬から始めるといった調整で通る場合があります。

3つめ、届出制です。「あらかじめ届け出ること」という条文です。これがもっとも扱いやすい形です。届け出れば適法に行えるので、内容を正確に書いて提出します。

4つめ、記載がない場合です。副業に関する条項がまったくない就業規則も存在します。この場合、禁止されていないと読むのが自然です。ただし、後から「聞いていない」と言われるのを避けるため、管理部門に口頭で確認して記録を残しておくことをおすすめします。メールで質問して回答をもらえば、それが記録になります。

※就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成と周知が義務づけられています。見たことがないという方は、事務室や職員向けの共有フォルダを探してください。周知されていない就業規則の効力が争われた例もあり、「存在を知らされていない条文」で不利益を受ける必要はありません。

学校が制限できる範囲はどこまでか

全面禁止と書かれていた場合の話をします。つまり、その条文はどこまで効くのかという論点です。

裁判例の積み重ねによって、次のような枠組みが定着しています。勤務時間外の時間の使い方は原則として労働者の自由であり、就業規則による副業の制限が正当化されるのは、本業の労務提供に支障が生じる場合、勤務先の企業秘密が漏れる場合、競業によって勤務先の利益を害する場合、勤務先の名誉や信用を損なう場合などに限られる、という整理です。厚生労働省のガイドラインも、この考え方を前提に届出制への移行を促しています。

つまり、就業規則に全面禁止と書いてあっても、それだけで一切の副業が禁じられると読むのは正確ではありません。逆に言えば、次の4点に触れる副業は、就業規則の書き方にかかわらず問題になります。

1点め、本業への支障です。深夜まで作業して翌日の授業の質が落ちる、副業の締め切りで学校行事を休む。これは労務提供に支障が生じている状態です。

2点め、秘密の漏えいです。生徒の情報、入試の内容、学校の経営に関する情報を副業で使うことは、就業規則の有無と関係なく許されません。私立学校でも個人情報の取扱いには厳しい義務が課されています。

3点め、競業です。近隣の塾や他の私立学校で、生徒募集に関わる仕事をする形は、勤務先の利益と衝突します。家庭教師や塾講師を選ぶ場合、相手先の商圏を確認してください。

4点め、名誉と信用です。学校名や肩書を出して発信する場合は、内容によって学校の評価に影響します。実名で発信するかどうかは、事前に決めておくべき論点です。

※この4点のいずれかに当たりそうな場合は、弁護士に相談してください。特に競業の判断は、勤務先の事業内容との距離によって結論が変わります。一般論では答えが出ません。

実際に選ばれている副業と、その規模

では、私立学校の教員は実際に何をしているのでしょうか。教育業界向けのメディアが行った調査では、規模についてこんな結果が出ています。

今回アンケート回答をしてくれた方のうち、全体の76%(21名中16名)が副業月収10万円以下ということがわかりました。 出典: juku.st

回答者数が21名という小規模な調査なので、数字をそのまま一般化することはできません。ただ、傾向として読み取れるのは、本業を持ちながらの副業は大きな収入源にはなりにくいということです。76%が月10万円以下という結果は、期待値を現実に寄せるうえで有用な材料です。

選ばれている分野としては、家庭教師、個別指導、模試や教材の問題作成、教育系メディアへの寄稿、動画による解説などが挙がります。これらはいずれも教員としての経験が直接活きる領域です。

一方で、動画配信のような分野については冷静な見方もあります。

「副業可能かどうかで教員になるかどうか決める」なら分かるんですが、現在もう教員なのでとりあえず無心でYoutubeやってみたらいいと思うんですが。半分以上の人はろくな収益もらえずYoutube辞めるのでまず自分にその能力があるか挑戦すればいいと思います。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

正直なところ、この指摘は的を射ています。収益化までの期間が長い分野に、限られた時間を全部投じるのはリスクが高いです。私が相談を受けるときに必ずお伝えしているのは、「対価が発生するまでの期間」を先に確認することです。納品したらその月か翌月に報酬が発生する仕事と、半年から1年かけて土台を作る仕事は、まったく別の意思決定です。時間が限られている方は、前者から始めるほうが続きます。

学校に伝えるときの手順と、書く内容

届け出や相談の進め方を具体的に説明します。

先に管理部門へ「副業に関する手続きの案内があるか」を尋ねてください。就業規則の条文だけでは、実際の運用が分かりません。様式があるなら受け取り、なければ何を伝えればよいかを確認します。この一手で、後の往復がかなり減ります。

伝える内容は5点に絞れます。

1点め、活動の具体的な内容です。「執筆」の3文字では判断できません。「教育系のウェブメディアに、学習習慣の作り方を解説する記事を月1本、各3,000字程度で寄稿する」まで具体化します。抽象的な記載は、判断できないという理由で差し戻されます。

2点め、所要時間と実施するタイミングです。週あたり何時間、どの曜日のどの時間帯かを書きます。勤務日の前日は作業しない、勤務時間中は連絡を返さない、といった自主的な制限を自分から示すと、相手は安心します。

3点め、相手先と勤務先の関係です。相手先が近隣の塾や他校でないこと、生徒募集に関わらないことを確認して書きます。競業の懸念を先に消しておくのが、もっとも効果の大きい一手です。

4点め、報酬の形です。固定額か成果連動か、月額か案件ごとかを書きます。額を隠す必要はありません。翌年度の住民税が動いたときに説明できる状態にしておくほうが安全です。

5点め、秘密の扱いです。生徒の情報や学校の個別の事例を使わないこと、学校名や肩書を出さないこと(出す場合は事前に確認すること)を明記します。

この5点が揃っていれば、判断する側に必要な材料は全部渡っています。私が見てきた限り、揉める原因のほとんどは活動の中身ではなく説明不足でした。

※もし許可が下りなかった場合、理由を書面でもらえるか確認してください。理由が「規則で禁止しているから」だけであれば、前章の枠組みを踏まえた話し合いの余地があります。ただし、その交渉を1人で進めるのは負担が大きいので、労働問題を扱う専門家に相談することをおすすめします。

労働時間の通算と社会保険という落とし穴

ここは見落とされやすい論点です。副業を「雇用」で受けるか「業務委託」で受けるかによって、手続きの重さがまったく変わります。

労働基準法第38条第1項は、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算すると定めています。つまり、別の学校や企業に雇われる形で副業をすると、2つの職場の労働時間が合算され、法定労働時間を超える部分の時間外労働の扱いが発生します。割増賃金を誰が負担するのかという整理が必要になり、勤務先にも手続きが生じます。

学校側が副業に消極的になる理由の1つがここにあります。自校の管理義務が増えるからです。逆に、業務委託として受ける形であれば労働時間の通算の対象になりません。これは労働者として働くわけではないためです。手続きの軽さで選ぶなら、業務委託のほうが圧倒的に整理しやすくなります。

社会保険についても同じ構図があります。別の勤務先に雇われて所定労働時間や賃金の要件を満たすと、複数の事業所で加入する手続きが必要になります。私立学校の教職員は私学共済の制度に加入している場合が多く、この手続きは事務の負担を伴います。業務委託であれば、この論点は生じません。制度の基本的な仕組みは日本年金機構の解説で確認できます。

※業務委託と雇用の区別は、契約書の題名ではなく実態で判断されます。時間を指定され、作業の進め方を細かく指示され、他の仕事を受ける自由がない状態であれば、名称が業務委託でも労働者と評価されることがあります。契約の形と実際の働き方をそろえておいてください。

常勤講師や非常勤講師、事務職員の場合

私立学校には、専任教員のほかに常勤講師、非常勤講師、事務職員、司書、用務員など多様な立場の方が働いています。副業の扱いは、基本的に全員同じ枠組みです。つまり、労働契約と就業規則で決まります。

ただし、実務上の違いがいくつかあります。

非常勤講師の場合、そもそも週の勤務日数が少なく、その収入だけで生計を立てるのが難しい立場です。この事情は学校側も理解しているため、副業に対する姿勢が専任教員より柔軟な例が多くあります。複数校を掛け持ちしている方も少なくありません。ただし、掛け持ちが「雇用」の形であれば労働時間の通算の対象になります。1校あたりの勤務時間が短くても、合計すると法定労働時間に近づくことがあるので、自分の総労働時間は把握しておいてください。

常勤講師の場合は、専任教員とほぼ同じ扱いになります。任期付きの契約であることが多いため、契約更新の判断に影響しないかを気にされる方が多いのですが、届け出のうえで適正に行っている副業が更新の不利益につながるのは、合理的な理由がない限り問題のある取扱いです。不安があるなら、届け出た記録を残しておいてください。

事務職員や司書の場合は、教育に関する活動という縛りがありません。公立学校の教員には教育公務員特例法という枠組みがありますが、私立の事務職員には最初からそれがないため、逆に選べる仕事の幅は広いです。経理、労務、広報、データ整理といった経験は、そのまま在宅の業務委託に置き換えられる分野です。

※どの立場でも共通して問われるのは、勤務先の情報を使わないことです。生徒や保護者の情報、入試の内容、経営に関する数字は、就業規則に何と書かれていても持ち出せません。ここだけは立場を問わず線が引かれています。

時間の設計と、断る基準を先に持つ

制度の確認が終わったら、次は時間の設計です。ここを飛ばして始めると、3か月で息切れします。

まず、使える時間を正直に数えてください。私立学校の教員は、授業に加えて部活動、進路指導、生徒募集に関わる業務を抱えている方が多く、平日に確保できるのは現実的に1時間から2時間、土日で合わせて4時間から6時間程度でしょう。そこから家事や家族の予定を引いて、週に8時間から10時間が上限になります。この枠を超える仕事を受けると、本業の質か家庭のどちらかが削られます。

次に、単価の下限を決めてください。時間あたりいくら以下なら受けないという線を紙に書きます。週に使える時間が10時間しかないなら、その10時間をどの仕事に使うかは選択の問題です。安い仕事で枠を埋めてしまうと、条件のよい依頼が来たときに受けられません。断る基準を先に持つほうが、結果として収入が安定します。

3つめに、仕事の形を選びます。納期が週単位以上で、作業を分割できる仕事が向いています。記事の執筆、教材の作成、資料の整理、マニュアルの更新などです。逆に、当日連絡に即応する仕事や、決まった時間に対面で拘束される仕事は、行事や急な対応が入ったときに約束を破ることになります。約束を破る回数が増えると、報酬より先に信用を失います。

4つめに、記録を残す習慣をつけます。作業した日と時間、受け取った金額、使った経費を月ごとにまとめておくと、確定申告の時期に慌てません。それ以上に効くのが、自分の作業速度が見えるようになる点です。「この種類の原稿は1本あたり3時間かかる」と分かれば、次の見積りの精度が上がります。届け出に書いた所要時間と実態がそろっているかを確かめる材料にもなります。

そして、休む日を決めてください。学期中の教員は平日の大半と土日の一部を学校に使っています。そこに副業を足すのですから、1週間のうち丸1日は何もしない日を確保してください。疲労を抱えたまま授業に立つほうが、副業の収入を失うよりずっと大きな損失になります。

税金の手続きを先に押さえる

副業を始めると、所得税と住民税の手続きが必要になります。

所得税については、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。判定の対象は収入ではなく所得、つまり受け取った金額から必要経費を引いた残りです。年間の受取額が26万円で、資料代や通信費、ソフトの利用料などで8万円使っていれば所得は18万円になり、この基準では申告義務は生じません。ただし、経費として認められるのは業務に必要な支出だけで、記録がないものは説明できません。領収書は月ごとにまとめてください。

所得の区分も確認しておきましょう。継続して事業として行っているなら事業所得、単発の原稿料や講演料は雑所得として扱われるのが一般的です。区分によって経費の扱いや損失の通算の可否が変わります。判断に迷うときは国税庁の解説を確認するか、税務署の相談窓口で実態を伝えてください。

住民税は給与からの特別徴収が基本なので、副業分の所得が加わると翌年度の税額が動きます。届け出を済ませている前提であれば、この変動は隠すべきものではありません。手続きを踏まずに始めて、税額の変化から発覚するというのが、もっとも避けたい形です。

経費の考え方も先に整理しておきましょう。副業のために買ったパソコンやソフト、参考書、通信費のうち業務に使った割合分が経費になります。自宅の一部を作業場所として使っている場合、家賃や電気代を面積や使用時間の割合で按分する方法もあります。ただし、按分の根拠を説明できる状態にしておく必要があります。「なんとなく半分」では通りません。作業に使っている部屋の面積と自宅の総面積、1か月の作業時間を記録しておけば、根拠として示せます。

帳簿の付け方は、最初は表計算ソフトで十分です。日付、相手先、内容、金額、経費の区分の5列があれば足ります。件数が増えて処理が重くなってきたら会計ソフトに移すという順番で問題ありません。最初から高機能なものを揃える必要はありません。

※副業の相手先が源泉徴収をしている場合、支払調書が届くことがあります。届かない場合でも、自分で受取額を記録しておく必要があります。相手先の処理に頼らず、自分の帳簿を持ってください。届いた支払調書と自分の記録が合わないときは、相手先に確認して原因を特定してから申告してください。

在宅で選べる仕事の考え方

限られた時間で続けるなら、時間と場所を自分で決められる仕事が向いています。対面の指導は平日夜と土日を確実に拘束するため、行事や部活動でシフトが動く私立学校の教員にはリスクがあります。

もっとも相性がよいのは文章を書く仕事です。学習指導案や保護者向けの文書を日常的に書いている方は、読み手の理解度に合わせて言葉を選ぶ訓練を積んでいます。この力は、教材の解説、業務マニュアル、制度の解説記事といった仕事でそのまま評価されます。単価の相場観を先に持っておくと、安く受けすぎる失敗を避けられます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、統計をもとにした年収帯と業務委託での単価の考え方を並べて確認できます。

文書の型を整えたい方にはビジネス文書検定の学習範囲が役に立ちます。社外文書の構成や敬語の使い分けを体系立てて確認できるので、学校の作法から民間の作法へ切り替える練習になります。在宅の仕事につながる資格を横断で比べたい場合は在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで、学習期間と仕事への結びつき方を確認しておくと選びやすくなります。

ICTや校務システムを担当してきた方は、技術寄りの道も現実的です。校内ネットワークの運用経験があるならCCNA(シスコ技術者認定)の範囲を押さえると、経験を外から見える形にできます。プログラミング教育を担当してアプリ開発の基礎に触れているならアプリケーション開発のお仕事で依頼の中身を確認しておくと、自分の経験がどこに当てはまるか見えてきます。単価の考え方はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。

需要が伸びているのは生成AIの導入支援です。学校でも教材作成や校務での活用が検討され始めていて、現場の業務を知っていてツールも触れる人が足りていません。仕事の中身を知るにはAIコンサル・業務活用支援のお仕事が参考になります。業務フローの整理と定着支援が中心で、教員が得意な「手順を言葉にして人に伝える」力が直接効く領域です。

契約面では、報酬の支払い条件を最初に固めてください。まとまった時間が取れない前提なら、30分単位で終わる作業に分解しておくと進みます。集中の維持については在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに具体的な手法がまとまっています。

市場を長く見てきた立場からの観察

20年にわたって在宅ワークとフリーランスの市場を運営してきた立場から見ると、教員として働きながら副業を続けている方には共通点があります。作業の量を増やすのではなく、相談される関係を1本ずつ作っているのです。

短期で消える方は、単発の細かい作業を数で受けます。1件数千円の仕事を10件抱えると、連絡と調整の手間が10倍になります。勤務後に使える時間が1時間しかない状況で10件を回すのは無理があります。続いている方は、月1回の定例で相談を受ける枠を持っていたり、年単位で更新される小さな契約を1本持っていたりします。同じ収入でも、消耗の度合いがまったく違います。教員という職業の強みは、相手の理解度に合わせて説明を組み替えられることです。これは作業ではなく相談の仕事で値段がつきます。

もう1つ、運営者として見てきた限りではっきりしているのが、中間マージンが手取りに与える影響です。同じ予算を依頼者が用意したとき、仲介手数料が乗る経路では依頼者が頼める量が減り、受け手の手元に残る額も薄くなります。手数料0%で直接つながる経路なら、依頼者は同じ金額でもう1本頼めて、受け手は同じ作業量で厚い手取りになります。額面の大小ではなく、同じ仕事に対して手元に何割残るかの話です。使える時間が限られている教員にとっては、この差が続けられるかどうかを分けます。

最後に、確認の順番だけもう一度整理します。就業規則の副業条項を読む。全面禁止か許可制か届出制か記載なしかを判定する。管理部門に手続きの案内があるか尋ねる。活動内容、所要時間、相手先との関係、報酬の形、秘密の扱いの5点を準備して伝える。雇用ではなく業務委託で受けられるかを検討する。この順番を守れば、余計な心配をせずに進められます。法律はあなたの味方です。使うために、まず自分の立場を正確に知ってください。

よくある質問

Q. 私立学校の教師に公務員の副業規制は適用されますか?

適用されません。地方公務員法第38条の許可制も教育公務員特例法第17条の承認の仕組みも、対象は公務員である教職員です。私立学校の教員は学校法人に雇用された労働者なので、副業の可否は労働契約と就業規則で決まります。日本の法律には労働者の副業そのものを禁止する規定はありません。

Q. 就業規則に副業禁止と書かれていたら諦めるしかないのですか?

いいえ。裁判例では、勤務時間外の時間の使い方は原則として労働者の自由とされ、就業規則による制限が正当化されるのは本業への支障、秘密の漏えい、競業、名誉や信用の毀損がある場合に限られると整理されてきました。まず管理部門に相談し、条件の調整で通る道を探すのが実務的です。

Q. 雇用で受けるのと業務委託で受けるのはどちらがよいですか?

手続きの軽さでは業務委託です。労働基準法第38条第1項により、別の勤務先に雇われると労働時間が通算され、時間外労働と割増賃金の整理が必要になります。社会保険も複数事業所での手続きが生じます。業務委託ならこれらは生じませんが、実態が指示と時間拘束を伴う場合は労働者と評価されることがあります。

Q. 確定申告はいくらから必要になりますか?

給与以外の所得が年間20万円を超えると必要です。判定は収入ではなく所得、つまり受け取った金額から必要経費を引いた残りで行います。経費として認められるのは業務に必要な支出だけなので、領収書を月ごとにまとめてください。住民税は翌年度の税額に反映されるため、届け出を先に済ませておくと説明が楽になります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月13日最終更新:2026年9月21日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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